JP4132776B2 - ガス発生装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は混合した状態で常温より高い温度に加熱あるいは触媒と作用させることにより互いに反応して気体を発生する液体同士あるいは液体と固体とを混合した混合液を、反応槽に導いて反応させて気体を発生させるガス発生装置に係り、詳しくは水又はアルコールと反応して水素を発生する水素化物と、水又はアルコールとを混合し、その混合液を反応槽へ送って反応させて水素を発生させるのに好適なガス発生装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
水素と酸素とを電気化学的に反応させて化学エネルギーを直接電気エネルギーに変換する燃料電池の燃料である水素源として、メタノールや天然ガス等の化石燃料等を水蒸気改質して水素燃料とする方法、水素吸蔵合金や高圧ボンベ等に直接水素を蓄えて燃料とする方法等が考えられている。ところが、化石燃料等を水蒸気改質して水素を得る方法では装置が大型化する。また、水素吸蔵合金や高圧ボンベ等に水素を蓄えておく方法は重量が重くなるとともに、水素吸蔵合金を使用する方法では水素を取り出すために加熱手段が必要になる。そのため、小型化が難しい。
【0003】
前記の問題を解消する燃料電池用の燃料である水素の発生装置として、特開平10−64572号公報には、少なくとも水を含む室と、水と反応して水素を発生する物質を含む室と、前記水を含む室を前記水と反応して水素を発生する物質を含む室から隔離する隔離手段とを有し、燃料電池を動作させる際に、水と反応して水素を発生する物質に水を加えて反応を起こして水素を発生させるため、前記隔離手段に孔をあけるようにした装置が提案されている。水と反応して水素を発生する物質として、水素化ホウ素化合物、水素化ホウ素リチウム、水素化ホウ素アルミニウム等が開示されている。
【0004】
また、固体物質と液体物質とを反応させて気体を発生させる時に用いる装置として、キップのガス発生器が知られている。このガス発生器は図9に示すように、液体を貯留する室40と、室40の下方に配置されて固体を貯留するとともに液体と固体とを接触させて反応を行わせる反応室41と、反応室41の下方に設けられ反応室41の底部に連通する中間室42とを備えている。室40の底部には管43が一体に形成され、室40と中間室42とは反応室41を貫通する管43を介して連通されている。反応室41には発生したガスを取り出すためのパイプ44が設けられパイプ44には弁45が設けられている。この装置では、反応室41に固体を入れ、弁45を開いた状態で液を室40に入れる。液は管43を通って中間室42に入り、中間室42が満たされた後、管43との隙間から反応室41に入り、固体と接触して両者が反応して気体が発生する。弁45を閉じると、反応室41内で発生する気体の圧力により液が押されて中間室42に戻り、さらに管43を通って室40まで戻り、液と固体との接触が断たれてガスの発生が停止するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、前記特開平10−64572号公報に開示された水素発生装置は、ノート型パソコン等のOA機器の携帯用電源に使用する燃料電池を主な対象としており、水と反応して水素を発生する物質が収容された室に水を供給し、該室が反応室(反応槽)を兼ねた構成となっている。その結果、反応を途中で中断したり、水素発生量を調整することができない。
【0006】
一方、キップのガス発生器では、反応室41内の圧力が高くなると、反応室41内の液が中間室42及び室40まで戻り、反応室41内に液が無くなり、反応が停止する。しかし、この装置では固体物質と液体物質を接触させることによって反応させることを前提としているため反応を停止させる場合、固体物質と液体物質との接触を遮断する必要がある。従って、固体と液体とを予め混合し、常温あるいは触媒が存在しない状態では反応の進行が極めて遅い混合液を原料とし、その混合液を反応室(反応槽)に導いて反応室で反応を行わせる方法に適用することはできない。なぜならば、反応室に導入されて反応が開始した混合液を反応室から戻しても、その液は直ちに反応を停止するのではない。反応室から戻された液は他の混合液を熱する作用を為し、混合液が反応を始める場合がある。
【0007】
本発明は前記の問題点に鑑みてなされたものであって、その第1の目的は混合した状態で常温より高い温度に加熱あるいは触媒と作用させることにより互いに反応して気体を発生する液体同士あるいは液体と固体とを混合した混合液から、気体を適量ずつ発生させることができ、しかも装置が大型化しないガス発生装置を提供することにある。また、第2の目的は水素化物と水又はアルコールとの混合液から水素を適量ずつ発生させることができ、しかも装置が大型化しないガス発生装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記第1の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、混合した状態で常温より高い温度に加熱あるいは触媒と作用させることにより反応が開始又は促進されて気体を発生する液体同士あるいは液体と固体とを混合した混合液を、反応槽に導いて反応させて気体を発生させるガス発生装置であって、前記混合液を収容する原料収容タンクと、前記混合液の前記反応を促進するための触媒または加熱手段が設けられる反応槽と、前記原料収容タンク内の前記混合液を前記反応槽に移送する混合液移送路と、前記反応槽で反応後の生成物を管路を介して回収する回収タンクと、前記反応後の生成物である気体を前記回収タンク内から取り出すためのガス取出しパイプと、前記混合液移送路の途中に設けられ、前記反応槽内の溶液の少なくとも一部を戻すことが可能な一時貯留部とを備え、前記原料収容タンク内の前記混合液を前記反応槽に移送し、前記回収タンク内の圧力が所定圧力以上になると、前記反応槽内の溶液の少なくとも一部を前記一時貯留部に戻して気体の発生を抑制するようにした。
【0009】
この発明では、原料収容タンク内に収容された混合液が混合液移送路を経て反応槽に移送され、反応槽内で混合液の反応が進行して気体を発生する。気体を含む反応生成物は管路を介して回収タンクに回収される。発生した気体の圧力で回収タンク内の圧力が一時貯留部の圧力以上になると、反応槽に移送された混合液の少なくとも一部が一時貯留部に戻される。その結果、反応が抑制される。即ち、適量ずつ気体を発生させることができる。
【0010】
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載のガス発生装置において、前記混合液移送路のうち前記原料収容タンクと前記一時貯留部との間に、一時貯留部側から原料収容タンク側へのガスの移動を阻止する逆止め弁が設けられている。
この発明では、反応槽で発生した気体が混合液移送路を通って原料収容タンクまで移動することが、逆止め弁の作用により阻止される。従って、加熱された状態の気体で混合液が加熱されることはなく、原料収容タンク内で混合液の反応が進行することがない。
【0011】
請求項3に記載の発明では、請求項1に記載のガス発生装置において、前記混合液移送路には前記原料収容タンクから前記反応槽への前記混合液の移送量を調整可能な調整手段が設けられている。
この発明では、反応槽への混合液の移送量を調整可能なため、反応槽から一時貯留部に反応中の混合液が戻される作用との組合せにより、気体の発生量をより適正に制御できる。
【0012】
請求項4に記載の発明では、請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス発生装置において、前記回収タンクに回収されたガスの一部を、前記原料収容タンク内の混合液を前記反応槽へ移送する手段として利用可能とするため、前記原料収容タンクと前記ガス取出しパイプとをガス移送パイプにより連結し、このガス移送パイプには前記原料収容タンク側から前記回収タンク側へのガスの移動を阻止する逆止め弁が設けられている。
【0013】
この発明では、回収タンク内のガスの一部がガス移送パイプを介して原料収容タンクに移送されるため、そのガスの圧力を原料収容タンク内の混合液を反応槽に送る手段として利用できる。従って、移送用のポンプ設ける必要がなく構造が簡単になる。
【0014】
請求項5に記載の発明では、請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス発生装置において、前記原料収容タンク内の圧力が過大になるのを防止可能とするため、前記原料収容タンクと前記ガス取出しパイプとが流量調整弁を備えたパイプで連結されている。
この発明では、原料収容タンクとガス取出しパイプとが流量調整弁を備えたパイプで連結されているため、原料収容タンク内の圧力が過大になるのを防止することができる。
【0015】
請求項6に記載の発明では、請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス発生装置において、前記一時貯留部又は前記混合液移送路の前記反応槽と前記一時貯留部との間に、前記反応槽から戻された溶液を冷却する冷却手段が設けられている
この発明では、反応槽から戻される混合液が冷却されるため、該混合液の反応が素早く抑制され、反応中の混合液を反応槽から一時貯留部へ戻すだけの構成に比較して応答性が良くなる。
【0016】
第2の目的を達成するため、請求項7に記載の発明では、請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス発生装置において、前記混合液は、水又はアルコールと反応して水素を発生する水素化物と、水又はアルコールとの混合液であり、前記原料収容タンク内の前記混合液は原料収容タンク内に充填されたガスの圧力により前記反応槽へ移送される。
この発明では、請求項1〜請求項6のいずれか一項に記載の発明と同様な作用で水素を適量ずつ発生させることができる。なお、この発明において、水とは純粋な水に限らず、前記水素化物と水との反応を促進又は抑制する物質、あるいは水溶液の状態で前記水素化物と反応して水素を発生する物質を含む水溶液をも意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1の実施の形態)
以下、本発明を簡易タイプの水素発生装置に具体化した第1の実施の形態を図1に従って説明する。
【0018】
図1に示すように、水素発生装置1は、水素化物と水との混合液2を収容する原料収容タンク3と、一時貯留部としての中間タンク4と、反応槽5と、回収タンク6とを備えている。この実施の形態では水素化物として、水素化ホウ素ナトリウム(NaBH4 )が使用されている。混合液2の水の量は、反応槽5で反応後の生成物を水で移送するため、水素化物の全量の加水分解に必要な理論量より多い量に設定されている。なお、原料収容タンク3には外部から水素を充填するための充填口(図示せず)が設けられている。反応槽5内には混合液2の水素発生反応を促進するため、上下方向に貫通するハニカム状の隔壁が設けられ、隔壁には前記反応を促進する触媒が担持されている。
【0019】
原料収容タンク3と中間タンク4とは管路7aによって連結され、中間タンク4と反応槽5とは管路7bによって連結されている。管路7aは第1端部が原料収容タンク3内の底部に配置され、第2端部が中間タンク4の上部に連結されるパイプによって構成されている。管路7bは第1端部側が中間タンク4の底部に、第2端部が反応槽5の底部にそれぞれ連結されるパイプによって構成されている。反応槽5には混合液2が中間タンク4を介して、反応槽5の下側から送り込まれるように構成されている。反応槽5の上部側の圧力が中間タンク4の圧力以上になると、反応槽5内の混合液2の一部を中間タンク4に戻すことが可能に構成されている。管路7a,7bは原料収容タンク3内の混合液2を反応槽5に移送する混合液移送路を構成し、中間タンク4は該混合液移送路の途中に設けられている。
【0020】
反応槽5の上部と回収タンク6の上部とは反応槽5で発生した反応生成物を回収タンク6へ移送する管路としてのパイプ8で連結されている。回収タンク6の上部にはガス取出しパイプとしての水素取出しパイプ9が連結され、水素取出しパイプ9には手動弁10が設けられている。
【0021】
次に前記のように構成された装置の作用を説明する。水素発生装置1の運転を開始する際は、手動弁10を閉じ、原料収容タンク3に図示しない入口から混合液2を所定量充填する。その後、水素の充填口から水素を原料収容タンク3内が所定圧力となるように充填する。
【0022】
そして、原料収容タンク3内の水素の圧力により、原料収容タンク3内の混合液2が管路7aを介して先ず中間タンク4に移送され、中間タンク4から管路7bを介して反応槽5に供給される。そして、反応槽5を通過する際に水素化物が次の反応式で加水分解されて水素が発生する。
【0023】
NaBH4 +2H2 O→4H2 +NaBO2
触媒の存在により前記の反応が良好に進行する。この反応は発熱反応のため、反応熱により混合液2中の水の一部が水蒸気となる。そして、加水分解で発生した水素と反応生成物とが霧状の状態で反応槽5の上部からパイプ8を通って回収タンク6へ導かれる。反応生成物のうち液体は回収タンク6の底部に溜まり、水素は回収タンク6の上部に溜まる。そして、手動弁10を開くと、回収タンク6内の水素が水素取出しパイプ9から供給される。
【0024】
手動弁10が閉じた状態で反応槽5への混合液2の供給が継続され、回収タンク6内の圧力が反応槽5の圧力以上になると、その圧力が反応槽5の上部に及び、反応槽5の圧力が中間タンク4の圧力以上になると反応槽5内に移送された混合液2の一部が管路7bを介して中間タンク4に戻される。その結果、反応槽5内の混合液2の量が減少する。また、中間タンク4内に戻された混合液2は反応槽5内における反応速度より遅い速度で反応して水素を発生する。即ち、反応中の混合液2の反応が抑制される。中間タンク4に戻された混合液2から発生する水素は中間タンク4内の混合液2を反応槽5側に押圧するため、中間タンク4内に戻された混合液2が原料収容タンク3へと戻されることはない。そして、手動弁10が開放されて回収タンク6内の水素が排出され、回収タンク6内の圧力が低下すると、再び混合液2が反応槽5に移送され、反応槽5内で水素発生反応が進行する。従って、適量ずつ水素を発生させることができる。
【0025】
原料収容タンク3内の水素の圧力が低下して原料収容タンク3内の混合液2の反応槽5へ移送ができなくなった場合は、水素を追加充填する。原料収容タンク3内の混合液2が全て使用され、発生された水素が使用された後、回収タンク6内に回収された反応生成物が回収タンク6から取り出される。その後、原料収容タンク3内に再び混合液2及び水素が充填されて水素発生装置1が再使用される。
【0026】
この実施の形態では次の効果を有する。
(1) 原料収容タンク3内に収容された混合液2を反応槽5に移送して気体(水素)発生反応を行わせ、反応生成物を回収する回収タンク6内の圧力が所定圧力以上になると、反応槽5内の溶液の一部を中間タンク4に戻すことにより、気体(水素)の発生を抑制するようにした。従って、常温より高い温度に加熱あるいは触媒と作用させることにより互いに反応して気体を発生する液体同士あるいは液体と固体とを混合した混合液2から、気体を適量ずつ発生させることができ、しかも装置が大型化しない。
【0027】
(2) 原料収容タンク3内の混合液2を反応槽5に移送する方法として、原料収容タンク3内に充填した気体の圧力を使用するため、移送用のポンプを設ける場合に比較して構造が簡単になる。
【0028】
(3) 原料収容タンク3内に水素を充填することにより混合液2を反応槽5に移送するため、加圧用のガスが混合液2で発生した水素と混じっても、水素を外部に供給する際に加圧用のガスを分離する必要がない。
【0029】
(4) 中間タンク4及び反応槽5がそれぞれ底部において管路7bに連結されて互いに連通されているため、反応槽5から中間タンク4に戻された混合液2の量が僅かでも、管路7bの端部は混合液2に覆われている。従って、中間タンク4内で発生した水素の圧力は中間タンク4内の混合液2を反応槽5側へ押圧する状態となり、再び反応槽5へ混合液2を移送する際に寄与する。
【0030】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態を図2に従って説明する。この実施の形態では予め原料収容タンク3内に所定量の混合液2と水素とを充填しておいても、水素が必要な時まで原料収容タンク3内の混合液2が反応槽5に移送されない点が前記実施の形態と異なっている。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0031】
原料収容タンク3と中間タンク4とを連結する管路7aに、電磁弁11と、中間タンク4側から原料収容タンク3側へのガスの移動を阻止する逆止め弁12とが設けられている。また、水素取出しパイプ9には、手動弁10に代えて電磁弁13が設けられるとともに、可変絞り弁14が設けられている。
【0032】
この装置では、水素発生装置1の運転を開始する際に、原料収容タンク3に混合液2及び水素を所定量充填するのではなく、電磁弁11を閉じた状態で予め原料収容タンク3内に混合液2及び水素が所定量充填される。原料収容タンク3内が加圧状態にあっても、電磁弁11が閉じられているため混合液2は反応槽5に移送されず、水素が必要な時期まで待機する。
【0033】
水素を発生させる際は、電磁弁11が開放される。そして、原料収容タンク3内の混合液2が管路7a、中間タンク4及び管路7bを介して反応槽5に移送され、前記実施の形態と同様にして水素が発生し、発生した水素が回収タンク6に貯留される。そして、電磁弁13を開放することにより、回収タンク6内の水素が水素取出しパイプ9から供給される。水素の供給量は可変絞り弁14の開度の変更により調整できる。
【0034】
この実施の形態では前記実施の形態の(1)〜(4)の効果の他に次の効果を有する。
(5) 原料収容タンク3と中間タンク4とを連結する管路7aに、中間タンク4側から原料収容タンク3側へのガスの移動を阻止する逆止め弁12とが設けられている。従って、反応槽5から混合液2が中間タンク4に戻された際、中間タンク4内で発生した加熱状態の水素が管路7aを通って原料収容タンク3まで移動することが、逆止め弁12の作用により阻止される。その結果、加熱された状態の気体(水素)で原料収容タンク3内の混合液2が加熱されることはなく、原料収容タンク3内で混合液2の反応が促進されることがない。
【0035】
(6) 原料収容タンク3と中間タンク4とを連結する管路7aに、電磁弁11が設けられている。従って、水素の発生を行う直前に原料収容タンク3に混合液2と水素とを充填する代わりに、電磁弁11を閉じた状態で予め原料収容タンク3内に混合液2と水素とを充填しておき、水素を発生させたい時、電磁弁11を開放させることにより、水素を短時間で発生させることができる。
【0036】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態を図3及び図4に従って説明する。この実施の形態では、反応槽5内から戻された混合液2の一部を一時貯留する一時貯留部の構成と、反応槽5で発生した水素を貯留する構成が前記実施の形態と大きく異なっている。前記実施の形態と同一部分は同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0037】
図3に示すように、反応槽5と、反応槽5内から戻された混合液2の一部を一時貯留する一時貯留部15と、反応槽5で発生した水素を貯留するサージタンク16とが1個のタンクユニット17として構成されている。タンクユニット17には下から一時貯留部15、反応槽5及びサージタンク16の順に配置されている。
【0038】
一時貯留部15は反応槽5の下方の空間を、上端が封鎖されたベローズ18で区画することにより構成され、ベローズ18の外側が一時貯留部15となり、内側に空気室19が形成されている。空気室19は空気注入部19aから空気を注入可能に構成されている。空気室19に予め注入される空気の圧力は、反応槽5内の混合液2をサージタンク16内の圧力がどの程度になった時点で戻すかによって決まる所定の値に設定される。ベローズ18の上面と反応槽5の下面との間には、一時貯留部15に供給された混合液2がベローズ18の周面を通って上昇した後、反応槽5内に均一に流入するように、空間が設けられている。
【0039】
一時貯留部15と原料収容タンク3とを連通する管路7aの途中にはポンプ20が設けられている。即ち、この水素発生装置1では原料収容タンク3内の混合液2は水素の圧力で反応槽5へ移送されるのではなく、ポンプ20により移送される。
【0040】
反応槽5とサージタンク16との間には気液分離装置21が配設されている。図4(a),(b)に示すように、気液分離装置21は下壁21a及び上壁21b間に設けられた渦巻き状の通路22を備え、下壁21aの中心部に入口22aが設けられ、上壁21bの渦巻きの外側端部と対応する位置に出口22bが設けられている。気液分離装置21の下壁21aは中心部から外側に向かって下降傾斜するテーパ状に形成され、上壁21bは水平に形成されている。そして、通路22の下部に分離された液が溜まる様になっている。
【0041】
気液分離装置21で分離された回収液を回収タンク6へ移送する回収パイプ23は、その第1の端部が出口22b付近において通路22に連通する状態で気液分離装置21に連結されている。回収パイプ23の途中には電磁弁23aが設けられている。サージタンク16の上部には水素取出し部24が設けられ、水素取出し部24には圧力センサ25が設けられている。水素取出し部24には圧力逃がし弁26を介してパイプ27の一端が連結され、パイプ27の他端は回収タンク6に連結されている。また、水素取出し部24にはフィルタ28を介して水素取出しパイプ9が連結されている。水素取出しパイプ9には電磁弁13及び減圧弁29が設けられている。
【0042】
この装置では、原料収容タンク3に所定量の混合液2が収容された状態で水素が必要な時期まで待機する。水素を発生させる際は、ポンプ20が駆動されて、原料収容タンク3内の混合液2が管路7a及び一時貯留部15を介して反応槽5に移送される。ベローズ18は反応槽5の上部、即ちサージタンク16内の圧力が所定の圧力になるまでは、図3に示すように一時貯留部15の容積が最小状態に保持される。そして、反応槽5に移送された混合液2が反応槽5内で反応し、前記実施の形態と同様にして水素が発生する。
【0043】
反応生成物は霧状になって気液分離装置21の入口22aに流入し、通路22に沿って移動する間に液滴が通路22の壁に付着し、気体(水素)と液体とが分離される。そして、水素がサージタンク16に貯留される。通路22の壁に付着した液滴は壁を伝って下壁まで移動した後、下壁に沿って出口22b側へ向かって移動し、通路22の端部の出口22bの下方に回収液として集められる。そして、電磁弁23aが間欠的に開放されて、通路22内の回収液が回収タンク6へ移送される。
【0044】
サージタンク16に貯留された水素は、電磁弁13を開放することにより減圧弁29を介して所定の圧力で水素取出しパイプ9から供給される。水素の供給量は減圧弁29により一定量に調整される。
【0045】
電磁弁13が閉じた状態で反応槽5への混合液2の供給が継続され、サージタンク16内の圧力が所定圧力以上になると、ポンプ20の駆動を制御する制御装置(図示せず)は圧力センサ25の検出結果に基づき、ポンプ20を停止させる。また、サージタンク16内の圧力が反応槽5の上部に及び、反応槽5内の混合液2の一部がベローズ18を押し下げて一時貯留部15に戻される。そして、前記両実施の形態と同様に、反応中の混合液2の反応が抑制される。その後、電磁弁13が開放されてサージタンク16内の水素が排出され、サージタンク16内の圧力が低下すると、ベローズ18が混合液2を反応槽5に戻し、更に圧力が低下すると再びポンプ20が駆動されて混合液2が反応槽5に移送され、反応槽5内で水素発生反応が進行する。
【0046】
なお、サージタンク16内の圧力が、圧力逃がし弁26の設定圧力より高くなると、サージタンク16内の水素ガスの一部がパイプ27を介して回収タンク6へ排出された後、外気に放出される。
【0047】
この実施の形態では前記実施の形態の(1)の効果の他に次の効果を有する。
(7) 原料収容タンク3内の混合液2をポンプ20を利用して反応槽5に移送するため、原料収容タンク3内に水素を充填する必要がなく、原料収容タンク3を密閉構成とする必要がない。従って、原料収容タンク3の構造が簡単になる。また、ポンプ20を駆動させない限り混合液2が反応槽へ移送されないため、予め原料収容タンク3内に混合液2を充填しておき、必要な時にポンプ20を駆動して水素発生反応を開始できる。
【0048】
(8) 一時貯留部15、反応槽5及びサージタンク16が1個のタンクユニット17として構成されているため、コンパクト化が容易になる。
(9) 反応槽5から霧状で排出された反応生成物が気液分離装置21で水素と液滴とに分離されるため、液滴が水素と共に水素取出しパイプ9から供給されるのを抑制できる。
【0049】
(10) 空気室19内に充填する空気の圧力を調整することにより、反応槽5内の混合液2を一時貯留部15に戻す際のサージタンク16内の圧力を設定できる。
【0050】
(第4の実施の形態)
次に第4の実施の形態を図5に従って説明する。この実施の形態は基本的な構成は第2の実施の形態と同じで、回収タンク6に設けられた水素取出しパイプ9と、原料収容タンク3とがガス移送パイプ30によって連結され、流量調整弁31を備えたパイプ32がガス移送パイプ30と並列に設けられている点が大きく異なっている。ガス移送パイプ30の途中に原料収容タンク3側から回収タンク6側への水素の移動を阻止する逆止め弁33が設けられている。
【0051】
この水素発生装置1では、回収タンク6内のガス(水素)の一部がガス移送パイプ30を介して原料収容タンク3に移送されるため、そのガスの圧力を原料収容タンク3内の混合液2を反応槽5に送る手段として利用できる。従って、原料収容タンク3内の混合液2を反応槽5に送るため、予め原料収容タンク3内に充填するガスの量を少なくでき、途中でガスを追加充填する必要もない。
【0052】
また、ガス移送パイプ30と並列に流量調整弁31を備えたパイプ32が存在するため、原料収容タンク3内の圧力が過大になるのが防止される。
実施の形態は前記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
【0053】
○ 図5に示す第4の実施の形態において、流量調整弁31を備えたパイプ32を省略してもよい。即ち、回収タンク6に設けられた水素取出しパイプ9と、原料収容タンク3とを、途中に原料収容タンク3側から回収タンク6側への水素の移動を阻止する逆止め弁33を備えたガス移送パイプ30によって連結するだけでもよい。この構成の場合も、回収タンク6内のガス(水素)の一部がガス移送パイプ30を介して原料収容タンク3に移送されるため、そのガスの圧力を原料収容タンク3内の混合液2を反応槽5に送る手段として利用できる。
【0054】
○ 図5に示す第4の実施の形態において、原料収容タンク3側から回収タンク6側への水素の移動を阻止する逆止め弁33を備えたガス移送パイプ30を省略してもよい。即ち、回収タンク6に設けられた水素取出しパイプ9と、原料収容タンク3とを、途中に流量調整弁31を備えたパイプ32によって連結するだけでもよい。この構成の場合も、原料収容タンク3内の圧力が過大になるのを防止できる。
【0055】
○ 図6に示すように、中間タンク4と反応槽5とを連結する管路7bの途中に冷却手段34を設けてもよい。冷却手段34の構成としては、管路7bの途中をジグザグに屈曲させたり、管路7bの外面にフィンを設けるものがある。冷却手段34を設けた場合は、反応槽5内の混合液2の一部が中間タンク4へ戻される際、冷却手段34で冷却される。従って、中間タンク4内の水素が管路7aを介して原料収容タンク3内に戻されても、加熱された水素が戻らないため、原料収容タンク3内の混合液2が加熱されないため、逆止め弁12を省略することができる。
【0056】
○ 図7に示すように、原料収容タンク3と中間タンク4とを連結する管路7aの途中に経路を並列を2本設け、各経路に電磁弁11,35と可変絞り弁36a,36bを設けてもよい。この場合、可変絞り弁36a,36bの開度を予め異なる所定の値に設定しておき、開放する電磁弁11,35の選択により、原料収容タンク3内の混合液2を反応槽5へ移送する際、あるいは反応槽5内の混合液2を中間タンク4へ戻す際の応答性を変更できる。
【0057】
○ サージタンク16を回収タンク6と別に設けない構成において、反応槽5と中間タンク4とを1個のユニットとしてもよい。例えば、図8に示すように、反応槽5の下方に中間タンク4を配置したタンクユニット37を設ける。管路7aは中間タンク4の上部に連結され、反応槽5の底面に一端が連結された管路7bは中間タンク4の底面近傍まで延びている。中間タンク4の周囲には冷却手段としての多数のフィン38が設けられている。この場合、中間タンク4と反応槽5とを独立して設ける構成に比較してコンパクト化ができる。また、中間タンク4の周囲にフィン38が存在するため、反応槽5から中間タンク4へ戻された混合液2が効率よく冷却されて反応が抑制される。
【0058】
○ 中間タンク4又は反応槽5と中間タンク4との間の管路7bに設けられ、反応槽5から戻された混合液2を冷却する冷却手段として、管路7bの周囲や中間タンク4の周囲に冷却媒体を流して冷却する構成を採用してもよい。この場合、冷却効果が高くなる。冷却手段は第1〜第3の実施の形態の装置やその他の構成の装置に設けてもよい。
【0059】
○ 原料収容タンク3内に収容されている混合液2を反応槽5に送り込むため原料収容タンク3内に充填されるガスは、水素に限らず、窒素、ヘリウム、アルゴン、ネオン等の不活性ガスや空気を使用してもよい。しかし、水素を燃料電池の水素源として使用する場合、空気中の酸素と水素が反応し、爆発する等の不具合が発生する虞があるため、水素あるいは不活性ガスを使用するのが好ましく、水素を使用するのが最も良い。
【0060】
○ 原料収容タンク3、中間タンク4、反応槽5及び回収タンク6をそれぞれ1個ずつ設ける構成に代えて、反応槽5を複数の原料収容タンク3及び回収タンク6で共用する構成としてもよい。
【0061】
○ 反応槽5の反応生成物をパイプ8から直接回収タンク6内へ移送する構成に代えて、パイプ8から気液分離装置を介して回収タンク6へ移送する構成としてもよい。この場合、反応生成物のNaBO2 を含んだ液滴が水素と共に燃料電池等へ送られることを防止できる。
【0062】
○ 反応槽5は必ずしも触媒を担持した構成に限らず、触媒を使用せずに、加熱することにより反応を開始させたり促進させる構成としてもよい。水素発生反応は発熱反応であるため、反応が進行するとその発熱により反応槽5内が加熱されるため、水素吸蔵合金から水素を取り出す時と異なり多量の熱を加える必要はない。
【0063】
○ 反応槽5内の混合液2の一部ではなく、全部を中間タンク4あるいは一時貯留部15へ戻すことが可能に構成してもよい。
○ 反応抑制剤として、水素化物と反応させる水に水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等のアルカリ物質を添加してもよい。この場合、水素化物と水とが混合された混合液2が反応槽5へ送られる前に水素発生反応が進行するのを抑制できる。
【0064】
○ 水素化物と反応させて水素を発生させる液体として、アルコールを使用したり、過酸化水素を含む水溶液を使用してもよい。
○ 水素化物として水素化ホウ素ナトリウム以外の物質、例えば水素化アルミニウムリチウムや水素化カルシウム等を使用してもよい。
【0065】
○ 水素以外のガスを発生させる装置に適用してもよい。
前記実施の形態から把握される発明(技術的思想)について、以下に記載する。
【0066】
(1) 請求項6に記載の発明において、前記原料収容タンク内に充填されたガスは水素である。
(2) 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記一時貯留部と反応槽とは1個のタンクユニット内に、反応槽が上側に、一時貯留部が下側になるように配設されている。
【0067】
(3) 請求項1〜請求項6のいずれかに記載の発明において、前記一時貯留部は、前記反応槽の下方に設けられたタンクをベローズを介して区画され、該ベローズの外側に位置する空間で構成され、ベローズの内側には気体が充填されている。
【0068】
(4) 水又はアルコールと反応して水素を発生する水素化物と、水又はアルコールとの混合液を反応槽に送り、前記反応槽内で常温より高い温度に加熱あるいは触媒と作用させることにより水素発生反応を開始又は促進させ、反応生成物を前記反応槽から回収タンクに移送する水素発生装置において、前記反応槽で発生する水素量が必要以上となったとき、前記反応槽内の混合液を反応槽の下流側の圧力によって上流側の一時貯留部に一時的に戻して反応を抑制する水素発生装置における反応制御方法。
【0069】
【発明の効果】
以上詳述したように請求項1〜請求項6に記載の発明によれば、混合した状態で常温より高い温度に加熱あるいは触媒と作用させることにより互いに反応して気体を発生する液体同士あるいは液体と固体とを混合した混合液から、気体を適量ずつ発生させることができ、しかも装置が大型化しない。また、請求項7に記載の発明によれば、水素化物と水又はアルコールとの混合液から水素を適量ずつ発生させることができ、しかも装置が大型化しない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 第1の実施の形態の水素発生装置の模式図。
【図2】 第2の実施の形態の水素発生装置の模式図。
【図3】 第3の実施の形態の水素発生装置の模式図。
【図4】 (a)は同じく気液分離装置の模式断面図、(b)は(a)のB−B線断面図。
【図5】 第4の実施の形態の水素発生装置の模式図。
【図6】 別の実施の形態の水素発生装置の模式図。
【図7】 別の実施の形態の水素発生装置の模式図。
【図8】 別の実施の形態の水素発生装置の模式図。
【図9】 キップの装置の模式図。
【符号の説明】
1…ガス発生装置としての水素発生装置、2…混合液、3…原料収容タンク、4…一時貯留部としての中間タンク、5…反応槽、6…回収タンク、7a,7b…混合液移送経路を構成する管路、8…管路としてのパイプ、9…ガス取出しパイプとしての水素取出しパイプ、12,33…逆止め弁、15…一時貯留部、30…ガス移送パイプ、31…流量調整弁、32…パイプ、34…冷却手段、36a,36b…調整手段としての可変絞り弁、38…冷却手段としてのフィン。

Claims (7)

  1. 混合した状態で常温より高い温度に加熱あるいは触媒と作用させることにより反応が開始又は促進されて気体を発生する液体同士あるいは液体と固体とを混合した混合液を、反応槽に導いて反応させて気体を発生させるガス発生装置であって、
    前記混合液を収容する原料収容タンクと、
    前記混合液の前記反応を促進するための触媒または加熱手段が設けられる反応槽と、
    前記原料収容タンク内の前記混合液を前記反応槽に移送する混合液移送路と、
    前記反応槽で反応後の生成物を管路を介して回収する回収タンクと、
    前記反応後の生成物である気体を前記回収タンク内から取り出すためのガス取出しパイプと、
    前記混合液移送路の途中に設けられ、前記反応槽内の溶液の少なくとも一部を戻すことが可能な一時貯留部と
    を備え、
    前記原料収容タンク内の前記混合液を前記反応槽に移送し、前記回収タンク内の圧力が所定圧力以上になると、前記反応槽内の溶液の少なくとも一部を前記一時貯留部に戻して気体の発生を抑制するようにした
    ことを特徴とするガス発生装置。
  2. 請求項1に記載のガス発生装置において、
    前記混合液移送路のうち前記原料収容タンクと前記一時貯留部との間に、一時貯留部側から原料収容タンク側へのガスの移動を阻止する逆止め弁が設けられている
    ことを特徴とするガス発生装置。
  3. 請求項1に記載のガス発生装置において、
    前記混合液移送路には前記原料収容タンクから前記反応槽への前記混合液の移送量を調整可能な調整手段が設けられている
    ことを特徴とするガス発生装置。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のガス発生装置において、
    前記回収タンクに回収されたガスの一部を、前記原料収容タンク内の混合液を前記反応槽へ移送する手段として利用可能とするため、前記原料収容タンクと前記ガス取出しパイプとをガス移送パイプにより連結し、このガス移送パイプには前記原料収容タンク側から前記回収タンク側へのガスの移動を阻止する逆止め弁が設けられている
    ことを特徴とするガス発生装置。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のガス発生装置において、
    前記原料収容タンク内の圧力が過大になるのを防止可能とするため、前記原料収容タンクと前記ガス取出しパイプとが流量調整弁を備えたパイプで連結されている
    ことを特徴とするガス発生装置。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のガス発生装置において、
    前記一時貯留部又は前記混合液移送路の前記反応槽と前記一時貯留部との間に、前記反応槽から戻された溶液を冷却する冷却手段が設けられている
    ことを特徴とするガス発生装置。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のガス発生装置において、
    前記混合液は、水又はアルコールと反応して水素を発生する水素化物と、水又はアルコールとの混合液であり、前記原料収容タンク内の前記混合液は原料収容タンク内に充填されたガスの圧力により前記反応槽へ移送される
    ことを特徴とするガス発生装置。
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