JP4080629B2 - アクセス制御装置及びプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、所定の装置と外部装置とを複数の伝送媒体で接続して多重化した場合のアクセスを制御するためのアクセス制御装置及びプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディスクアレイシステムを使用した計算機(RAID[Redundant Arrays of Inexpensive Disk]構成のディスク装置を使用した計算機)においては、ホストの計算機とディスクアレイ装置との間における信頼性を向上させるために、この計算機とディスクアレイ装置の間を二重化する場合がある。
【0003】
図2は、計算機とディスクアレイ装置との間を二重化した場合の第1の従来例を示すブロック図である。
【0004】
この第1の構成例において、計算機1とディスクアレイ装置2との間は2本のSCSIケーブル3a、3bで接続されている。
【0005】
計算機1には、主にユーザアプリケーション4と、オペレーティング・システム(以下、「OS」という)5と、2つのSCSIカード6a、6bが備えられている。
【0006】
この計算機1に備えられているユーザアプリケーション4は、アプリケーションプログラムであり、二重化によるアクセスを実現するためにディスクアレイ装置2へのアクセス経路を切り換える機能を有する。
【0007】
また、通常のユーザアプリケーションならば計算機1に接続されている装置はそれぞれ個別の装置であると認識するが、このユーザアプリケーション4においては特別にSCSIカード6a、6bで接続されている装置が単一のディスクアレイ装置2であることが認識されている。
【0008】
OS5は、主にファイルシステム7と、SCSIディスクドライバ8と、SCSIアダプタドライバ9とを含んでいる。
【0009】
ファイルシステム7は、ファイルの配置を例えば木構造等により管理するOS標準のプログラムである。
【0010】
SCSIディスクドライバ8は、SCSIによる通信インタフェースの制御を行うOS標準のプログラムである。このSCSIディスクドライバ8は、SCSIディスク専用のドライバであり、例えばディスクのSeek等のようなディスク特有のアクセスを行うための機能を有する。
【0011】
SCSIアダプタドライバ9は、汎用的なSCSI装置のドライバであり、SCSIカード6a、6bとディスクアレイ装置2との間のデータ転送制御を行うOS標準のプログラムである。なお、このSCSIアダプタドライバ9は、アクセス中にアクセス先のコントローラに障害が発生した場合にハードウェア障害を検出してアクセス元に通知する機能を有する。
【0012】
一方、ディスクアレイ装置2には、ディスクアレイ10と2つのコントローラ11a、11bが備えられている。
【0013】
ディスクアレイ10は、分解したデータを複数のディスクに並列に読み出し又は書き込み可能な状態で記憶する。
【0014】
コントローラ11a、11bは、このディスクアレイ10への読み出し又は書き込みを制御する。
【0015】
SCSIケーブル3a、3bは、それぞれ計算機1のSCSIカード6a、6bとディスクアレイ装置2のコントローラ11a、11bとを伝送可能な状態で接続している。
【0016】
このように、計算機1とディスクアレイ装置2との間のアクセス経路を二重化したコントローラ二重化構成を実現した場合においては、ユーザアプリケーション4から例えばファイルシステム7による処理7a、SCSIディスクドライバ8による処理8a、SCSIアダプタドライバ9による処理9aを介し、SCSIカード6a、SCSIケーブル3a、コントローラ11aを経由してディスクアレイ10がアクセスされる(このアクセス経路を「第1の経路12A」とする)。
【0017】
ここで、第1の経路12Aによるアクセス中に、例えばコントローラ11aの障害が発生したとする。
【0018】
すると、このコントローラ11aの障害がSCSIアダプタドライバ9の処理9aによって検出され、このハードウェア障害がSCSIディスクドライバ8による処理8a、ファイルシステム7による処理7aを介して、ユーザアプリケーション4に通知される。
【0019】
ユーザアプリケーション4においてハードウェア障害が検出されると切り換え機能によりアクセス経路が切り換えられ、ファイルシステム7による処理7b、SCSIディスクドライバ8による処理8b、SCSIアダプタドライバ9による処理9bを介し、SCSIカード6b、SCSIケーブル3b、コントローラ11bを経由してディスクアレイ10がアクセスされる(このアクセス経路を「第2の経路12B」とする)。
【0020】
また、上記の第1の従来例とは異なる手法により計算機とディスクアレイ装置との間の二重化を実現する場合もある。
【0021】
図3は、計算機とディスクアレイ装置間との間を二重化した場合の第2の従来例を示すブロック図であり、図2と同一の部分については同一の符号を付している。
【0022】
この図3における計算機13は、先に述べた計算機1のユーザアプリケーション4に代えて切り換え機能を含んでおらず接続された装置が単一の装置であると認識していないユーザアプリケーション14が備えられており、さらにディスクアレイ装置専用ドライバ15が付加されている点が異なる。
【0023】
計算機13のユーザアプリケーション14は、ユーザに提供する処理は備えているが、先で述べたユーザアプリケーション4のように切り換え機能は持たず、また計算機13に接続された装置が単一の装置であることを認識していない通常のアプリケーションである。
【0024】
ディスクアレイ装置専用ドライバ15は、OS標準のSCSIディスクドライバ8と同様に、SCSIによる通信インタフェースの制御を行う機能を有している。
【0025】
また、このディスクアレイ装置専用ドライバ15は、ディスクアレイ装置2へのアクセス経路を認識しており、アクセス異常発生時に異なる経路に切り換える機能を有する。
【0026】
このような構成で実現される第2の従来例においては、ユーザアプリケーション14からファイルシステム7による処理を介してディスクアレイ装置専用ドライバ15がアクセスされる。
【0027】
ディスクアレイ装置専用ドライバ15では、ファイルシステム7からのアクセスにしたがってSCSIによる通信インタフェースの制御が実行され、アクセス可能な経路実現のためにSCSIアダプタドライバ9へ処理9aが要求される。
【0028】
これにより、SCSIアダプタドライバ9による処理9aを介し、SCSIカード6a、SCSIケーブル3a、コントローラ11aを経由してディスクアレイ10がアクセスされる(このアクセス経路を「第1の経路16A」とする)。
【0029】
ここで、例えばコントローラ11aのハードウェア障害等のような異常がSCSIアダプタドライバ9の処理9aによって検出され、その旨がディスクアレイ装置専用ドライバ15に通知されたとする。
【0030】
すると、ディスクアレイ装置専用ドライバ15の切り換え機能により、アクセス可能な経路実現のためにSCSIアダプタドライバ9へ処理9bが要求される。
【0031】
これにより、SCSIアダプタドライバ9による処理9bを介し、SCSIカード6b、SCSIケーブル3b、コントローラ11bを経由してディスクアレイ10がアクセスされる(このアクセス経路を「第1の経路16B」とする)。
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、従来においてはアクセスの高信頼性を確保するために計算機とディスクアレイ装置との間を二重化しているが、単に二重化接続しただけでは計算機が単一のディスクアレイ装置をそれぞれ別々のディスクアレイ装置として認識する。
【0033】
したがって、ディスクアレイ装置は単一の装置であり二重化したものである旨を計算機に認識させる必要がある。
【0034】
先に説明した第1の従来例では、接続されているディスクアレイ装置が単一の装置であることがユーザアプリケーションによって認識されており、このユーザアプリケーションがアクセスする際の経路を切り換える。
【0035】
また、第2の従来例では、ディスクアレイ装置が単一の装置であるとディスクアレイ装置専用ドライバが認識されており、このディスクアレイ装置専用ドライバによりアクセスする経路を切り換える。
【0036】
しかしながら、このような各従来法により計算機とディスクアレイ装置との間の二重化を実現した場合には、以下のような問題が生じる。
【0037】
まず、第1の従来例では、ユーザアプリケーションに二重化された旨を認識させ、アクセス経路の切り換え機能を含ませる必要があり、通常のユーザアプリケーションをそのまま適用することができない。
【0038】
そのため、ディスクアレイ装置を利用する計算機に備えられる各種のユーザアプリケーションに対して経路を認識させ切り換え機能を付加する作業が必要になり、このユーザアプリケーションの改造に労力と時間がかかる。
【0039】
一方、第2の従来例においてはディスクアレイ装置専用のディスクドライバを開発する必要があるが、このディスクアレイ装置専用ドライバはOSに含まれている既存のSCSIディスクドライバを改造して開発されるのが一般的である。
【0040】
しかしながら、OS自体が自社製品でない場合には、既存のSCSIディスクドライバを改造することが困難である。
【0041】
また、独自にこのディスクアレイ装置専用ドライバを開発する場合には、SCSIディスクドライバに関する知識が必要であるが、このSCSIディスクドライバはOSに含まれているファイルシステムとのインタフェースを持っているため、ファイルシステムに関する知識も必要となる。
【0042】
したがって、ディスクアレイ装置専用ドライバの開発量は大きくなり、この開発作業には労力と時間がかかる。
【0043】
本発明は、以上のような実情に鑑みてなされたもので、ユーザアプリケーションやOSの改造を行うことなく、所定の装置と外部装置との間の多重化アクセスを実現するアクセス制御装置及びプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体を提供することを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】
本発明の骨子は、通信インタフェースドライバによって実行される外部装置へのアクセス制御を、当該外部装置を接続している複数の通信媒体からアクセス可能な通信媒体を選択して実現する点にある。
【0045】
以下、本発明を実現するにあたって講じた具体的手段について説明する。
【0046】
第1の発明は、計算機とディスクアレイとの間が複数の伝送媒体によって接続されている場合に計算機からディスクアレイへのアクセスを制御する装置であって、各伝送媒体を利用したディスクアレイへの複数のアクセス経路のうちディスクアレイへのアクセスが可能ないずれかのアクセス経路を選択する経路選択手段と、計算機のオペレーティング・システム標準のディスクドライバとオペレーティング・システム標準のアダプタドライバとの間に組み込まれて動作し、ディスクドライバからのアクセスを経路選択手段によって選択されたアクセス経路によって実現させるためのデータ転送制御処理を、アダプタドライバに要求するアクセス実現手段とを具備したアクセス制御装置である。
【0047】
この第1の発明においては、OS標準のドライバによるアクセスを、ディスクアレイへの複数のアクセス経路のうち正常な経路により実現させる。
【0048】
したがって、単一の外部装置に対する多重化通信を実現するためにOS標準のドライバやユーザアプリケーションを改造する必要がない。
【0049】
ゆえに、アクセスの信頼性を容易に向上させることができる。また、OS標準のドライバやユーザアプリケーションの改造に必要な労力、時間を削除することができる。
【0050】
また、OS標準のドライバ、既存のユーザアプリケーションをそのまま利用可能なため、プログラム開発に伴うバグの発生を防ぐことができ、高い信頼性を維持することができる。
【0051】
さらに、この第1の発明を適用すると、ユーザアプリケーションやユーザによっては多重化接続されたディスクアレイへのアクセスが通常のアクセスと同様の手法により実現できる。
【0052】
ゆえに、ユーザの操作性も維持できる。
【0053】
第2の発明は、第1の発明のアクセス制御装置において、複数のアクセス経路は、一方のアクセス経路と他方のアクセス経路とを含み、経路選択手段は、一方のアクセス経路がアクセス不可能となった場合に、アクセス可能な他方のアクセス経路に切り換える旨を示す切換命令をアクセス実現手段に通知し、アクセス実現手段は、経路選択手段から受け付けた切換命令に基づいてアクセス可能なアクセス経路を認識し、アダプタドライバに対してこの認識したアクセス経路によるアクセスを実現するための処理を要求し、アクセス経路切り換えが実施された旨をユーザに通知する通知手段をさらに具備するアクセス制御装置である。
【0054】
この第2の発明においては、アクセス経路が切り換えられたことをユーザに通知することができるため、ユーザの管理作業を支援することができる。
【0055】
また、どのアクセス経路がアクセス可能であり、どのアクセス経路がアクセス不可能かをユーザに知らせることで、ユーザはアクセス不可能な経路に係わる部分を修理し、積極的に障害の回復を図ることができる。
【0062】
第3の発明は、計算機とディスクアレイとの間が複数の伝送媒体によって接続されている場合に計算機からディスクアレイへのアクセスを制御するプログラムであって、計算機に、各伝送媒体を利用したディスクアレイへの複数のアクセス経路のうちディスクアレイへのアクセスが可能ないずれかのアクセス経路を選択する経路選択機能と、計算機のオペレーティング・システム標準のディスクドライバとオペレーティング・システム標準のアダプタドライバとの間に組み込まれて動作し、ディスクドライバからのアクセスを経路選択手段によって選択されたアクセス経路によって実現させるためのデータ転送制御処理を、アダプタドライバに要求するアクセス実現機能とを実現させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0063】
第4の発明は、第3の発明で述べたプログラムであって、複数のアクセス経路は、一方のアクセス経路と他方のアクセス経路とを含み、経路選択機能は、一方のアクセス経路がアクセス不可能となった場合に、アクセス可能な他方のアクセス経路に切り換える旨を示す切換命令をアクセス実現機能に通知し、アクセス実現機能は、経路選択機能から受け付けた切換命令に基づいてアクセス可能なアクセス経路を認識し、アダプタドライバに対してこの認識したアクセス経路によるアクセスを実現するための処理を要求し、計算機に、アクセス経路切り換えが実施された旨をユーザに通知する通知機能をさらに実現させるプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0067】
上記第3及び第4の発明は、それぞれ第1及び第2の発明で説明したアクセス制御装置の機能をコンピュータにより実現するためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体である。
【0068】
このようなプログラムを記憶した記憶媒体を用いることによって、上述した機能を有していない装置や、計算機、計算機システムに対しても、簡単に上述した機能を付加することができる。
【0069】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0070】
(第1の実施の形態)
本実施の形態においては、計算機と外部装置が2本のSCSIケーブルで接続されている場合に、ユーザアプリケーションやOSを改造することなく多重化アクセスを実現するアクセス制御装置について説明する。
【0071】
図1は、本実施の形態に係るアクセス制御装置の構成を示すブロック図であり、図2及び図3で述べた部分と同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略するかあるいは簡単に説明し、ここでは異なる部分についてのみ詳しく説明する。
【0072】
計算機17は、二重化に関するアクセス経路を認識しておらず切り換え機能を有していない既存のユーザアプリケーション14と、既存のOS5と、2つのSCSIカード6a、6bが備えられている。2つのSCSIカード6a、6bとディスクアレイ装置2の2つのコントローラ11a、11bとはSCSIケーブル3a、3bによって接続されている。さらに、この計算機17には、本実施の形態に係るアクセス制御装置18が備えられている。
【0073】
本実施の形態に係るアクセス制御装置18は、OS5標準のSCSIディスクドライバ8とOS5標準のSCSIアダプタドライバ9の間に組み込まれて動作するものであり、主に経路選択部19、アクセス実現部20、通知部21とから構成されている。
【0074】
経路選択部19は、各SCSIケーブル3a、3bを利用したディスクアレイ装置2へのアクセス経路22A、22Bを認識しており、各アクセス経路22A、22B毎にアクセスが可能か否かをテーブル19aに管理している。そして、一方のアクセス経路がアクセス不可能となった場合に、アクセス可能な他方のアクセス経路に切り換える旨を示す切換命令をアクセス実現部20に通知する。
【0075】
この経路選択部19においてアクセス可能か否かを判定する手法は、例えば一方のアクセス経路によるアクセス中に、このSCSIアダプタドライバ9からハードウェア障害通知を受けた場合にこの経路のアクセスが不可とする方法が利用可能である。また、読み出しアクセスにおいてアクセスを開始してから所定の時間経過しても読み出しデータが得られない場合や、書き込みアクセスにおいてアクセスを開始してから所定の時間経過しても書き込みの正常終了通知が得られない場合をアクセス不可と判定する手法も利用可能である。さらに、読み出しアクセスに対する応答として読み出し異常通知を受けた場合や、書き込みアクセスに対する応答として書き込み異常通知を受けた場合をアクセス不可と判定する手法も利用可能である。
【0076】
アクセス実現部20は、経路選択部19から受け付けた切換命令に基づいてアクセス可能なアクセス経路を認識し、SCSIディスクドライバ8からのアクセスがディスクアレイ装置2に対するアクセスの場合に、SCSIアダプタドライバ9に対してこの認識した経路によるアクセスを実現するための処理を要求する。
【0077】
すなわち、このアクセス実現部20は、SCSIディスクドライバ8からのアクセスをアクセス経路22A、22Bのいずれか一方により実現するためにSCSIアダプタドライバ9に対して処理を要求する。また、経路選択部19から経路の切り換えを命令されるとディスクアレイ10へのアクセス経路を他のアクセス経路により実現するために、新たにSCSIアダプタドライバ9に対して処理を要求する。
【0078】
さらに、このアクセス実現部は、いずれかの経路でアクセスが実現されている限り、異常又は障害の発生に関する応答をSCSIディスクドライバ8に通知しない。
【0079】
通知部21は、経路選択部19のテーブル19aの内容や、アクセス経路切り換えが実施された旨をユーザに通知する。例えば、テーブル19aの内容をディスプレイに表示させ、アクセス不可能な経路が発生した場合に異常発生を画面出力及び音声出力する。
【0080】
また、この通知部21は、アクセス経路が復旧された旨をユーザから受け付け、この復旧されたアクセス経路に関するテーブル19aの内容を更新する機能を持つ。
【0081】
上記のような構成を有するアクセス制御装置18を備えた場合のアクセス制御処理について以下に説明する。
【0082】
ユーザアプリケーション14からディスクアレイ10への書き込み/読み込み等のアクセスが行われると、ファイルシステム7による処理、SCSIディスクドライバ8による処理を介するアクセス経路23を通り、アクセス制御装置18がアクセスされる。
【0083】
アクセス制御装置18の経路選択部19においては、SCSIアダプタドライバ9によるSCSIカード6aに対するデータ転送制御処理9a、SCSIカード6a、SCSIケーブル3a、コントローラ11aを介してディスクアレイ10をアクセスするアクセス経路22Aが管理されている。また、SCSIアダプタドライバ9によるSCSIカード6bに対するデータ転送制御処理9b、SCSIカード6b、SCSIケーブル3b、コントローラ11bを介してディスクアレイ10をアクセスするアクセス経路22Bも管理されている。
【0084】
通常の場合、経路選択部19からはアクセス経路22Aを選択させる切換命令がアクセス実現部20に通知されている。
【0085】
SCSIディスクドライバ8からアクセス制御装置18がアクセスされると、このSCSIディスクドライバ8からのアクセスをこのアクセス経路22Aにより実現させるために、SCSIカード6aによるデータ転送制御がアクセス実現部20からSCSIアダプタドライバ9に要求される。
【0086】
これにより、SCSIディスクドライバ8からアクセス制御装置18になされたアクセスが、SCSIアダプタドライバ9による処理9a、SCSIカード6a、SCSIケーブル3a、コントローラ11aを介してディスクアレイ10に対して実行される。
【0087】
ここで、アクセスに対する応答としてディスクアレイ装置2からアクセス制御装置18の経路選択部19が書き込み異常通知又は読み出し異常通知を受けたり、SCSIアダプタドライバ9から経路選択部19がハードウェア障害通知の情報を受けたり、あるいは経路選択部19がアクセスに対する応答を所定時間経過しても受けられなかったとする。
【0088】
すると、経路選択部19においてアクセス経路22Aがアクセス不可能であると認識され、アクセス可能として認識されているアクセス経路22Bへの切換命令がアクセス実現部20に通知される。また、アクセス経路が切り換えられる旨が経路選択部19から通知部21を介し、ユーザに通知される。
【0089】
しかしながら、アクセス制御装置18が受けたアクセス不可に関する通知は、SCSIディスクドライバ8、ファイルシステム7、ユーザアプリケーション14には通知されず、SCSIディスクドライバ8、ファイルシステム7、ユーザアプリケーション14はアクセス経路切り換え前と同様の処理を継続する。
【0090】
経路選択部19からの切換命令にしたがって、SCSIディスクドライバ9からのアクセスをアクセス経路22Bによって実現させるために、アクセス実現部20からSCSIアダプタドライバ9に対してSCSIカード6bによるデータ転送制御処理9bが要求される。
【0091】
これにより、SCSIディスクドライバ8からアクセス制御装置18になされたアクセスが、SCSIアダプタドライバ9による処理9b、SCSIカード6b、SCSIケーブル3b、コントローラ11bを介してディスクアレイ10に対して実行される。
【0092】
ユーザは、アクセス経路22Aを調査し、異常を復旧された場合にはその旨が通知部21を介して経路選択部119に通知され、アクセス経路22Aがアクセス可能であるとテーブル19aの内容が更新される。
【0093】
以上説明したように、本実施の形態に係るアクセス制御装置18は、OS標準のドライバであるSCSIディスクドライバ8及びSCSIアダプタドライバ9の間に組み込まれてており、OS標準のドライバの改造を必要としない。
【0094】
したがって、既存のソフトウェア資源を活用することができ、容易に多重化を導入することができ、信頼性の向上させることができる。
【0095】
また、既存のソフトウェア資源を活用することで多重化を実現させるための開発労力、開発時間、開発費を削減させることができる。さらに、開発に伴って発生するバグを削減することができ、プログラムの信頼性を維持することができる。
【0096】
さらに、この本実施の形態に係るアクセス制御装置18は、SCSIディスクドライバ8の後からディスクアレイ10までのアクセス経路を管理して正常なアクセス経路を提供している。
【0097】
したがって、ユーザアプリケーション14に対してSCSIカード6aとSCSIカード6bに接続されている装置が一つの装置と認識させなくてもよい。このため、ユーザアプリケーション14からは通常時と同様にディスクアレイ装置2に対してアクセス可能であり、ユーザの操作も変更する必要がない。
【0098】
ゆえに、ユーザアプリケーション14の改造が必要なく、ユーザの操作性も維持できる。
【0099】
ゆえに、ユーザアプリケーションに切り換え機能を付加したり、ディスクアレイ装置専用ドライバを開発して多重アクセスを行うよりも容易に高品質の多重アクセスを提供することができる。
【0100】
なお、本実施の形態においては、アクセス制御装置18が計算機17に内蔵された状態を示しているが、外付けされて利用されてもよい。また、拡張カードや、拡張ボードにより計算機17に搭載されてもよい。
【0101】
また、本実施の形態においては、アクセスする側が計算機17であり、アクセスされる側がディスクアレイ素値の場合を例として説明しているが、これに限定されるものではない。
【0102】
例えば、アクセスを行う側は計算機に限られず、計算機システム、通信装置等のような所定の通信インタフェースを用いて他の装置にアクセスする各種の装置であっても本実施の形態に係るアクセス制御装置を適用できる。
【0103】
また、アクセスされる側もディスクアレイ装置に限られず、磁気ディスク装置、光ディスク装置、光磁気ディスク装置等の各種周辺装置、計算機、計算機システム等のような所定の通信インタフェースを用いて他の装置からアクセスされる各種の装置であっても本実施の形態に係るアクセス制御装置は適用できる。
【0104】
また、本実施の形態においては、通信インタフェースがSCSIの場合を説明しているが、例えばウルトラSCSI、ファイバーチャネル等の他の通信インタフェースの場合にもこのアクセス制御装置は同様に適用できる。
【0105】
また、本実施の形態に係るアクセス制御装置の構成は、上記で述べた場合に限られず、同様の機能・作用が実現できれば組合せたり、分解したり様々な変更が可能である。
【0106】
また、本実施の形態においては、アクセスする側の装置とアクセスされる側の装置のと間が二重化された場合を説明しているが、それ以上に多重化されている場合にも同様に適用することができる。
【0107】
また、本実施の形態に係るアクセス制御装置の各機能、各要素は、コンピュータに実行させることのできるプログラムとして、例えば磁気ディスク(フロッピーディスク、ハードディスク等)、光ディスク(CD−ROM、DVD等)、半導体メモリなどの記憶媒体に書き込んで適用したり、通信媒体により伝送して各種装置に適用することも可能である。上記各機能、各要素を実現するコンピュータは、記憶媒体に記憶されたプログラムを読み込み、プログラムによって動作が制御されることにより、上述した処理を実行する。
【0108】
例えば、上記のアクセス制御装置の構成要素19〜21と同様の機能を実現させるプログラムを記憶媒体に記憶させておき、このプログラムをアクセスする側の装置にインストールすれば、本施の形態で説明したアクセス制御装置と同様の動作を実現させることができる。
【0109】
【発明の効果】
以上詳記したように本発明においては、計算機とディスクアレイとが複数の伝送媒体によって接続された場合に、OS標準のドライバからのアクセスを切り換えることで、OS標準のドライバを改造することなく多重化アクセスを実現している。
【0110】
これにより、OS標準のドライバを有効に利用してアクセスが実現されるため、多重化導入に伴うプログラムの開発量を大幅に削減し、また多重化導入に伴うバグの発生を防止することができる。
【0111】
また、ユーザやユーザアプリケーションにとってはディスクアレイを通常の装置と同様にアクセスできるため、ユーザの操作性を維持し、ユーザアプリケーションの改造も必要ない。
【0112】
ゆえに、計算機からディスクアレイへのアクセスの多重化を効率よく実現することができ、品質の高い多重化サービスが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るアクセス制御装置の構成を示すブロック図。
【図2】計算機とディスクアレイ装置との間を二重化した場合の第1の従来例を示すブロック図。
【図3】計算機とディスクアレイ装置との間を二重化した場合の第2の従来例を示すブロック図。
【符号の説明】
1、13、17…計算機
2…ディスクアレイ装置
3a、3b…SCSIケーブル
4、14…ユーザアプリケーション
5…オペレーティング・システム
6a、6b…SCSIカード
7…ファイルシステム
8…SCSIディスクドライバ
9…SCSIアダプタドライバ
10…ディスクアレイ
11a、11b…コントローラ
15…ディスクアレイ装置専用ドライバ
18…アクセス制御装置
19…経路選択部
20…アクセス実現部
21…通知部
Claims (4)
- 計算機とディスクアレイとの間が複数の伝送媒体によって接続されている場合に前記計算機から前記ディスクアレイへのアクセスを制御する装置であって、
前記各伝送媒体を利用した前記ディスクアレイへの複数のアクセス経路のうち前記ディスクアレイへのアクセスが可能ないずれかのアクセス経路を選択する経路選択手段と、
前記計算機のオペレーティング・システム標準のディスクドライバと前記オペレーティング・システム標準のアダプタドライバとの間に組み込まれて動作し、前記ディスクドライバからのアクセスを前記経路選択手段によって選択されたアクセス経路によって実現させるためのデータ転送制御処理を、前記アダプタドライバに要求するアクセス実現手段とを具備したことを特徴とするアクセス制御装置。 - 請求項1記載のアクセス制御装置において、
前記複数のアクセス経路は、一方のアクセス経路と他方のアクセス経路とを含み、
前記経路選択手段は、前記一方のアクセス経路がアクセス不可能となった場合に、アクセス可能な前記他方のアクセス経路に切り換える旨を示す切換命令を前記アクセス実現手段に通知し、
前記アクセス実現手段は、前記経路選択手段から受け付けた前記切換命令に基づいてアクセス可能なアクセス経路を認識し、前記アダプタドライバに対してこの認識したアクセス経路によるアクセスを実現するための処理を要求し、
アクセス経路切り換えが実施された旨をユーザに通知する通知手段をさらに具備することを特徴とするアクセス制御装置。 - 計算機とディスクアレイとの間が複数の伝送媒体によって接続されている場合に前記計算機から前記ディスクアレイへのアクセスを制御するプログラムであって、
前記計算機に、
前記各伝送媒体を利用した前記ディスクアレイへの複数のアクセス経路のうち前記ディスクアレイへのアクセスが可能ないずれかのアクセス経路を選択する経路選択機能と、
前記計算機のオペレーティング・システム標準のディスクドライバと前記オペレーティング・システム標準のアダプタドライバとの間に組み込まれて動作し、前記ディスクドライバからのアクセスを前記経路選択手段によって選択されたアクセス経路によって実現させるためのデータ転送制御処理を、前記アダプタドライバに要求するアクセス実現機能とを実現させるためのプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。 - 請求項3記載のプログラムにおいて、
前記複数のアクセス経路は、一方のアクセス経路と他方のアクセス経路とを含み、
前記経路選択機能は、前記一方のアクセス経路がアクセス不可能となった場合に、アクセス可能な前記他方のアクセス経路に切り換える旨を示す切換命令を前記アクセス実現機能に通知し、
前記アクセス実現機能は、前記経路選択機能から受け付けた前記切換命令に基づいてアクセス可能なアクセス経路を認識し、前記アダプタドライバに対してこの認識したアクセス経路によるアクセスを実現するための処理を要求し、
前記計算機に、
アクセス経路切り換えが実施された旨をユーザに通知する通知機能をさらに実現させることを特徴とするプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
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