JP4080564B2 - エラストマー補強用の金属コード - Google Patents
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- Y10S57/902—Reinforcing or tire cords
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- Engineering & Computer Science (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Ropes Or Cables (AREA)
- Tires In General (AREA)
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は広い範囲の用途に供されるが、特にエラストマーの補強に用いられる金属コードに関し、特に空気入りタイヤ等のゴム製品の補強に用いられる金属コードに関する。
【０００２】
【従来の技術】
同じ方向に撚り合され同じ撚り長さをもつ複数の同一径のフィラメントを用いて金属コードを製造する技術はよく知られている。このコードは密な断面構造を有し、一般的には、長さ方向について均質なものとなっている。断面中のフィラメントは同心円状に配列し、各フィラメントは１本のフィラメントを取囲む全てのフィラメントと接している。単一の密なストランドをもつコードは単一の操作により作製することができる。この単一ストランドの密なコードはコードの径を小さくできるため、種々の利点を有する。すなわち、以下のような利点がある。
（１）カレンダー加工後のプライの厚みを低減できる。したがってカレンダー加工時のゴムの必要量が少なくて済む。
（２）所定の幅のプライにおいてインチ当りのコードの本数を増加することができる。
（３）インチ当りのコードの本数の増加によりプライ強度が向上する。
【０００３】
断面構造が均一であるため、コードに対する負荷は個々のフィラメントにより一様に分散すると考えられる。その結果、より高い破壊荷重が得られる。また、耐疲労性の改善、柔軟性の向上が期待できる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の補強用金属コードを用いた従来の空気入りラジアルタイヤにおいては、カーカスプライとベルト層の耐疲労性が低下するという問題があった。これは主として、隣接するフィラメントの接触部における繰返し歪と擦過摩耗による材料疲労に起因するものである。この問題は、ゴムをコード内部へ浸透させることによって軽減するとされている。すなわち、スチールフィラメントの間にゴム層を介在させることにより、隣接するフィラメント間の摩擦、いわゆる「擦過摩耗」を防止できると考えられている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明はコード内部へのゴムの浸透が改善された十四本のフィラメントを持つコードに関する。ゴムの浸透が改善されているため、コードが湿気に曝されても、高い耐食性を発揮するものである。
【０００６】
すなわち、本発明のエラストマー補強用の金属コードは、二本のフィラメントよりなるストランドを七組有し、一組のストランドが他の六組のストランドに取り囲まれ、該六組のストランドは同じ方向に撚られ同じ撚り長さを有することを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【０００８】
図１−４には七組のストランド３０、３２、３４、３６、３８、４０、４２を含むエラストマー補強用の金属コード１が図示されている。コードは異った名称がつけられ、例えばこれらのコードは１×２＋６×２、２＋６×２または７×２等と呼ばれる。
【０００９】
各ストランドは二本のフィラメントからなっている。すなわち、それぞれ２と４、６と８、１０と１２、１４と１６、１８と２０、２２と２４、および２６と２８からなっている。一組のストランド３０は残りの六組のストランド、３２、３４、３６、３８、４０、４２によって取り囲まれている。
【００１０】
ストランドに関連して用いられる「撚り長さ」という用語は、フィラメントがストランドの外側を完全に３６０°回転する時のストランドの長さ方向に沿った距離である。ストランドまたは同一ストランド中の互いに関連した各フィラメントの撚り長さは約２〜約１８ｍｍの範囲とすることができる。また、撚り長さは約４〜約１２ｍｍの範囲にあることが好ましい。ストランド３０の撚り長さは他の六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２と同じ長さであってもよいが、異なる撚り長さであってもよい。ただし、周囲の六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２は、同じ撚り長さとする。
【００１１】
六組の周囲のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２はそれぞれ同じ方向に撚られる。中心のストランド３０は他の六組のストランド、３２、３４、３６、３８、４０、４２と同じ方向に撚られてもよくまたコード中の周囲の六組のストランドと反対の方向に撚られてもよい。
【００１２】
フィラメント２の径はコード１の意図する用途によって変えることができる。フィラメント２の径は約０．１０〜約０．５０ｍｍの範囲とすることができる。好ましくはフィラメント２の径は約０．１５〜約０．３５ｍｍの範囲にある。
【００１３】
各フィラメントの引張り張力は少くとも３０４０ＭＰａ−（１２００×Ｄ）（式中Ｄはフィラメントの径を示す。）以上とするのがよい。好ましくは、各フィラメントの引張り張力は約３０４０ＭＰａ−（１２００×Ｄ）〜約４４００ＭＰａ−（２０００×Ｄ）の範囲にある。
【００１４】
七組のストランド３０、３２、３４、３６、３８、４０、４２の各々を作製した後、ストランド３０、３２、３４、３６、３８、４０、４２を撚ることにより本発明のコード１が得られる。ストランド３０は中心にあり、残りの六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２はストランド３０を中心として撚られる。
【００１５】
コードに関連して用いられる撚り長さとは、周囲の六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０のうちの一組がコード１の外側を完全に３６０°回転するときのコードの長さ方向に沿った距離を意味する。コード１の撚り長さは約３〜約２５ｍｍの範囲とすることができ、約５〜約２０ｍｍの範囲とすることが好ましい。
【００１６】
コードのねじれ角は一般に約８０度〜約８６度の範囲とする。好ましくは、約８２度〜約８４度の範囲とする。
【００１７】
本発明のコード１は任意にスパイラルラッップ（図示せず）を有していてもよい。スパイラルラップの直径は約０．１〜約０．３ｍｍとすることができ、０．１５ｍｍとするのが好ましい。スパイラルラップの撚れ方向は一般に逆方向である。また、その撚り長さは３〜７ｍｍの範囲とすることができ、５ｍｍとすることが好ましい。
【００１８】
【発明の効果】
本発明のエラストマー補強用金属コードはゴムの浸透が改善されているため、隣接するフィラメントの接触部における繰返し歪と擦過摩耗による材料疲労を効果的に低減でき、コードの耐食性等やプライの耐疲労性等をさらに改善することができる。
【００１９】
本発明のコードの意図する用途はゴム補強製品にある。このような製品に対して本発明のコードが適用され、当業者に知られているようにゴムで含浸される。本発明のコードを用いる製品の代表的なものとしてベルト、タイヤおよびホースがあげられる。最も好ましい用途として、本発明のコードは空気入りタイヤのベルトプライまたは空気入りタイヤのカーカスプライに使用される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【図２】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【図３】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【図４】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【符号の説明】
１ コード
２ フィラメント
４ フィラメント
６ フィラメント
８ フィラメント
１０ フィラメント
１２ フィラメント
１４ フィラメント
１６ フィラメント
１８ フィラメント
２０ フィラメント
２２ フィラメント
２４ フィラメント
２６ フィラメント
２８ フィラメント
３０ ストランド
３２ ストランド
３４ ストランド
３６ ストランド
３８ ストランド
４０ ストランド
４２ ストランド
【発明の属する技術分野】
本発明は広い範囲の用途に供されるが、特にエラストマーの補強に用いられる金属コードに関し、特に空気入りタイヤ等のゴム製品の補強に用いられる金属コードに関する。
【０００２】
【従来の技術】
同じ方向に撚り合され同じ撚り長さをもつ複数の同一径のフィラメントを用いて金属コードを製造する技術はよく知られている。このコードは密な断面構造を有し、一般的には、長さ方向について均質なものとなっている。断面中のフィラメントは同心円状に配列し、各フィラメントは１本のフィラメントを取囲む全てのフィラメントと接している。単一の密なストランドをもつコードは単一の操作により作製することができる。この単一ストランドの密なコードはコードの径を小さくできるため、種々の利点を有する。すなわち、以下のような利点がある。
（１）カレンダー加工後のプライの厚みを低減できる。したがってカレンダー加工時のゴムの必要量が少なくて済む。
（２）所定の幅のプライにおいてインチ当りのコードの本数を増加することができる。
（３）インチ当りのコードの本数の増加によりプライ強度が向上する。
【０００３】
断面構造が均一であるため、コードに対する負荷は個々のフィラメントにより一様に分散すると考えられる。その結果、より高い破壊荷重が得られる。また、耐疲労性の改善、柔軟性の向上が期待できる。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の補強用金属コードを用いた従来の空気入りラジアルタイヤにおいては、カーカスプライとベルト層の耐疲労性が低下するという問題があった。これは主として、隣接するフィラメントの接触部における繰返し歪と擦過摩耗による材料疲労に起因するものである。この問題は、ゴムをコード内部へ浸透させることによって軽減するとされている。すなわち、スチールフィラメントの間にゴム層を介在させることにより、隣接するフィラメント間の摩擦、いわゆる「擦過摩耗」を防止できると考えられている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明はコード内部へのゴムの浸透が改善された十四本のフィラメントを持つコードに関する。ゴムの浸透が改善されているため、コードが湿気に曝されても、高い耐食性を発揮するものである。
【０００６】
すなわち、本発明のエラストマー補強用の金属コードは、二本のフィラメントよりなるストランドを七組有し、一組のストランドが他の六組のストランドに取り囲まれ、該六組のストランドは同じ方向に撚られ同じ撚り長さを有することを特徴とする。
【０００７】
【発明の実施の形態】
図面を参照して本発明をより詳細に説明する。
【０００８】
図１−４には七組のストランド３０、３２、３４、３６、３８、４０、４２を含むエラストマー補強用の金属コード１が図示されている。コードは異った名称がつけられ、例えばこれらのコードは１×２＋６×２、２＋６×２または７×２等と呼ばれる。
【０００９】
各ストランドは二本のフィラメントからなっている。すなわち、それぞれ２と４、６と８、１０と１２、１４と１６、１８と２０、２２と２４、および２６と２８からなっている。一組のストランド３０は残りの六組のストランド、３２、３４、３６、３８、４０、４２によって取り囲まれている。
【００１０】
ストランドに関連して用いられる「撚り長さ」という用語は、フィラメントがストランドの外側を完全に３６０°回転する時のストランドの長さ方向に沿った距離である。ストランドまたは同一ストランド中の互いに関連した各フィラメントの撚り長さは約２〜約１８ｍｍの範囲とすることができる。また、撚り長さは約４〜約１２ｍｍの範囲にあることが好ましい。ストランド３０の撚り長さは他の六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２と同じ長さであってもよいが、異なる撚り長さであってもよい。ただし、周囲の六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２は、同じ撚り長さとする。
【００１１】
六組の周囲のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２はそれぞれ同じ方向に撚られる。中心のストランド３０は他の六組のストランド、３２、３４、３６、３８、４０、４２と同じ方向に撚られてもよくまたコード中の周囲の六組のストランドと反対の方向に撚られてもよい。
【００１２】
フィラメント２の径はコード１の意図する用途によって変えることができる。フィラメント２の径は約０．１０〜約０．５０ｍｍの範囲とすることができる。好ましくはフィラメント２の径は約０．１５〜約０．３５ｍｍの範囲にある。
【００１３】
各フィラメントの引張り張力は少くとも３０４０ＭＰａ−（１２００×Ｄ）（式中Ｄはフィラメントの径を示す。）以上とするのがよい。好ましくは、各フィラメントの引張り張力は約３０４０ＭＰａ−（１２００×Ｄ）〜約４４００ＭＰａ−（２０００×Ｄ）の範囲にある。
【００１４】
七組のストランド３０、３２、３４、３６、３８、４０、４２の各々を作製した後、ストランド３０、３２、３４、３６、３８、４０、４２を撚ることにより本発明のコード１が得られる。ストランド３０は中心にあり、残りの六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０、４２はストランド３０を中心として撚られる。
【００１５】
コードに関連して用いられる撚り長さとは、周囲の六組のストランド３２、３４、３６、３８、４０のうちの一組がコード１の外側を完全に３６０°回転するときのコードの長さ方向に沿った距離を意味する。コード１の撚り長さは約３〜約２５ｍｍの範囲とすることができ、約５〜約２０ｍｍの範囲とすることが好ましい。
【００１６】
コードのねじれ角は一般に約８０度〜約８６度の範囲とする。好ましくは、約８２度〜約８４度の範囲とする。
【００１７】
本発明のコード１は任意にスパイラルラッップ（図示せず）を有していてもよい。スパイラルラップの直径は約０．１〜約０．３ｍｍとすることができ、０．１５ｍｍとするのが好ましい。スパイラルラップの撚れ方向は一般に逆方向である。また、その撚り長さは３〜７ｍｍの範囲とすることができ、５ｍｍとすることが好ましい。
【００１８】
【発明の効果】
本発明のエラストマー補強用金属コードはゴムの浸透が改善されているため、隣接するフィラメントの接触部における繰返し歪と擦過摩耗による材料疲労を効果的に低減でき、コードの耐食性等やプライの耐疲労性等をさらに改善することができる。
【００１９】
本発明のコードの意図する用途はゴム補強製品にある。このような製品に対して本発明のコードが適用され、当業者に知られているようにゴムで含浸される。本発明のコードを用いる製品の代表的なものとしてベルト、タイヤおよびホースがあげられる。最も好ましい用途として、本発明のコードは空気入りタイヤのベルトプライまたは空気入りタイヤのカーカスプライに使用される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【図２】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【図３】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【図４】本発明のスチールコードの一例の断面図である。
【符号の説明】
１ コード
２ フィラメント
４ フィラメント
６ フィラメント
８ フィラメント
１０ フィラメント
１２ フィラメント
１４ フィラメント
１６ フィラメント
１８ フィラメント
２０ フィラメント
２２ フィラメント
２４ フィラメント
２６ フィラメント
２８ フィラメント
３０ ストランド
３２ ストランド
３４ ストランド
３６ ストランド
３８ ストランド
４０ ストランド
４２ ストランド
Claims (7)
- 二本のフィラメントよりなるストランドを七組有し、一組のストランドが他の六組のストランドに取り囲まれ、該六組のストランドは同じ方向に撚られ同じ撚り長さを有することを特徴とするエラストマー補強用金属コード。
- ベルト、タイヤおよびホースよりなる群から選ばれる製品であって、請求項１に記載のエラストマー補強用金属コードを有することを特徴とする製品。
- 前記エラストマー補強用金属コードが空気入りタイヤのベルトプライに用いられることを特徴とする請求項２に記載の製品。
- 前記エラストマー補強用金属コードが空気入りタイヤのカーカスプライに用いられることを特徴とする請求項２に記載の製品。
- 二本のフィラメントよりなるストランドを七組有し、一組のストランドが他の六組のストランドに取り囲まれ、該六組のストランドは同じ方向に撚られ同じ撚り長さを有し、かつ二本のフィラメントよりなる前記七組のストランドの周りに巻かれた一本のスパイラルフィラメントを有することを特徴とするエラストマー補強用金属コード。
- 前記一組のストランドが、それを取り囲む前記六組のストランドの前記撚り長さとは異なる撚り長さを有するか、もしくは、それを取り囲む前記六組のストランドの前記撚られる方向とは異なる撚られる方向を有することを特徴とする請求項１に記載のコード。
- 前記一組のストランドが、それを取り囲む前記六組のストランドの前記撚り長さと同一の撚り長さを有するか、もしくは、それを取り囲む前記六組のストランドの前記撚られる方向と同じ撚られる方向を有することを特徴とする請求項１に記載のコード。
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| US08/615,338 US5737909A (en) | 1996-03-11 | 1996-03-11 | Metallic cord for the reinforcement of elastomers |
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