JP4080438B2 - 超磁歪ユニット - Google Patents

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Description

本発明は、超磁歪素子を用いたアクチュエータや圧力センサ等の超磁歪ユニットに関する。
磁界の印加に応じて伸縮する磁歪素子は古くから知られているが、これまでの磁歪素子は変位が小さく、このため実用的に使用されることはほとんどなかった。ところが近年、1500ppm〜2000ppmといった非常に変位の大きな磁歪素子(超磁歪素子)が知られるようになり、現在、その様々な利用形態が提案されている。例えば、超磁歪素子が持つ応答性の高さや駆動力の大きさに注目して、これをアクチュエータとして利用するといった提案(特許文献1及び2参照)や、圧力センサとして利用するといった提案(特許文献3〜6参照)が数多くなされている。
このような超磁歪ユニットは、基本的に、超磁歪素子とその径方向に配置されたコイルを備えている。したがって、コイルに所定の電流を流すことにより超磁歪素子を変位させれば、これをアクチュエータとして利用することが可能となり、逆に、外力による超磁歪素子の変位をコイル電流の変化として検出すれば、これを圧力センサとして利用することが可能となる。
特開平10−145892号公報 特許第2523027号公報 特公平7−54282号公報 特開平11−139270号公報 特開平11−241955号公報 特開2000−114615号公報
超磁歪素子の変位は、磁界の向きに対して方向性がないため、用途によっては、永久磁石を用いて超磁歪素子に磁気バイアスを印加する必要がある。しかしながら、超磁歪材料は一般に透磁率が低く(μ=6〜10程度)、このため磁気回路の設計によっては超磁歪素子中の磁気バイアスが不均一となりやすいという問題があった。超磁歪素子中の磁気バイアスが不均一であると、超磁歪ユニットの出力に歪みが生じてしまうことから、超磁歪素子中の磁気バイアスについてはできる限り均一であることが望ましい。
したがって、本発明は、超磁歪素子中の磁気バイアスをより均一化し、これにより超磁歪ユニットの出力歪みを低減することを目的とする。
本発明による超磁歪ユニットは、超磁歪素子と、前記超磁歪素子の径方向に配置されたコイルと、前記コイルの径方向に配置された永久磁石とを備え、前記永久磁石の軸方向における長さをa1、前記永久磁石の中心径をb1とした場合、
0.3≦b1/a1≦0.7
を満たしており、且つ、前記超磁歪素子の軸方向における長さをa2とした場合、
1≦a1/a2≦2
を満たしていることを特徴とする。本発明によれば、超磁歪素子に均一な磁気バイアスを与えることができるため、超磁歪ユニットの出力歪みを効果的に低減することが可能となる。
本発明による超磁歪ユニットは、前記超磁歪素子の軸方向に配置されたヨークをさらに備えていることが好ましい。このようなヨークを設けることによって閉磁路を構成すれば、超磁歪素子内の磁束密度をより均一とすることができ、且つ、磁束密度自体を高めることが可能となる。
ここで、前記ヨークの径をb3とした場合、
1≦b3/b1≦3
を満たしていることが好ましい。b3とb1との関係を上記の範囲に設定すれば、磁束密度の過度の低下を防止しつつ、磁束密度を十分に均一化することが可能となる。
また、前記ヨークと前記永久磁石との間には、軸方向に0.1mm以上のギャップが設けられていることが好ましい。これによれば、超磁歪素子の端部における磁気バイアスの盛り上がりを適度に抑制することが可能となる。
ヨークの透磁率は100以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。これは、ヨークの透磁率が高いほど、超磁歪素子の端部における磁束密度の低下を抑制でき、その結果、磁束密度がより均一化されるからである。
さらに本発明においては、前記超磁歪素子の軸方向における長さと前記コイルの軸方向における長さが実質的に一致していることが好ましい。これによれば、コイルによる超磁歪素子内の磁束密度を均一とすることができ、超磁歪ユニットの出力歪みを効果的に低減することが可能となる。
このように、本発明による超磁歪ユニットは超磁歪素子内における磁気バイアスが均一であることから、これをアクチュエータとして用いた場合、或いは、圧力センサとして用いた場合のいずれにおいても、出力歪みを大幅に低減することが可能となる。
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施の形態について詳細に説明する。
図1は、本発明の好ましい実施形態による超磁歪ユニット10の構造を示す略断面図である。
図1に示すように、本実施形態による超磁歪ユニット10は、円柱状の超磁歪素子11と、超磁歪素子11の径方向に配置された円筒状のコイル12と、超磁歪素子11の軸方向に配置された円盤状のヨーク13と、コイル12の径方向に配置された円筒状の永久磁石14とを備えている。本実施形態による超磁歪ユニット10は、コイル12に所定の電流を流すことにより超磁歪素子11を変位させるアクチュエータとして利用することが可能であり、さらに、外力による超磁歪素子11の変位をコイル電流の変化として検出する圧力センサとして利用することも可能である。
超磁歪素子11は、磁界の印加に応じて変位するとともに、外力による変位に応じて透磁率が変化する超磁歪材料によって構成された円柱状の素子である。使用する超磁歪材料としては、特に限定されるものではないがTb0.34−Dy0.66−Fe1.90を中心組成とする超磁歪材料等を用いることができる。超磁歪素子11のサイズについては、目的とする超磁歪ユニット10の用途や出力に応じて適宜選択すれば良い。
コイル12は、その中空部に超磁歪素子11が挿入されており、超磁歪素子11と磁気結合する電磁変換手段として用いられる。したがって、図示しない駆動回路より所定の電流をコイル12に供給すると、コイル12はこれに基づく磁界を超磁歪素子11に印加し、これにより得られる超磁歪素子11の変位をヨーク13の第1の部分13aから取り出すことができる。つまり、この場合は超磁歪ユニット10がアクチュエータとして機能する。逆に、ヨーク13の第1の部分13aに加えられた外力によって超磁歪素子11が伸縮し、これによって超磁歪素子11の透磁率が変化すると、コイル12はこれにより生じる電流を図示しない検出回路へと供給する。つまり、この場合は超磁歪ユニット10が圧力センサとして機能する。
図1に示すように、本実施形態による超磁歪ユニット10では、超磁歪素子11の軸方向における長さとコイル12の軸方向における長さが実質的に一致している。これは、コイル12による超磁歪素子11中の磁束密度を均一化するためであり、かかる構成により超磁歪ユニット10の出力歪みが低減されている。つまり、超磁歪素子11の軸方向における長さがコイル12の軸方向における長さよりも短い場合には、超磁歪素子11の端部における磁束密度が中央部分よりも高くなる一方、超磁歪素子11の軸方向における長さがコイル12の軸方向における長さよりも長い場合には、超磁歪素子11の端部における磁束密度が中央部分よりも低くなってしまう。これに対し、これらの軸方向における長さを実質的に一致させれば、超磁歪素子11中の磁束密度を端部から中央部に亘ってほぼ均一とすることが可能となる。但し、本発明において、超磁歪素子11の軸方向における長さとコイル12の軸方向における長さを実質的に一致させることは必須でない。
ヨーク13は、図1に示すように、超磁歪素子11の一方の端部側に設けられた第1の部分13aと、他方の端部側に設けられた第2の部分13bによって構成されている。ヨーク13の第1の部分13aは、超磁歪素子11の変位を取り出し、或いは、超磁歪素子11に外力を伝える入出力部として機能し、ヨーク13の第2の部分13bは実質的に固定される。
本発明においてヨークを設けることは必須ではないが、これを設けることによって閉磁路を構成すれば、コイル12及び永久磁石14による超磁歪素子11内の磁束密度をより均一とすることができ、且つ、磁束密度自体を高めることが可能となる。
本実施形態では、ヨーク13の径b3が永久磁石14の中心径(=(内径+外径)/2)をb1よりも大きく設定されている。ヨーク13の径b3と永久磁石14の中心径b1との関係は、
1≦b3/b1≦3
を満たしていることが好ましく、これは、ヨーク13の径b3が永久磁石14の中心径b1に対して大きいほど、磁束密度が均一となると同時に磁束密度が低下する点を考慮したものである。つまり、b3とb1との関係を上記の範囲に設定すれば、磁束密度の過度の低下を防止しつつ、磁束密度を十分に均一化することが可能となる。
ヨーク13の材料としては、できる限り透磁率の高い材料を用いることが好ましく、具体的には、透磁率(μ)が100以上であることが好ましく、1000以上であることがより好ましい。これは、ヨーク13の透磁率が高いほど、超磁歪素子11の端部における磁束密度の低下を抑制する効果が高くなるからであり、ヨーク13の材料として透磁率が100以上である材料を用いれば、本実施形態の構成と相まって、よりいっそう磁束密度を均一化することが可能となる。特に、ヨーク13の材料として透磁率が1000以上である材料を用いれば、本実施形態の構成と相まって、磁束密度をほぼ均一とすることが可能となる。好ましい具体的な材料としては、純鉄(μ=5000以上)、けい素鉄(μ=6000以上)、電磁ステンレス(μ=4000以上)、パーマロイ(μ=30000以上)、フェライト(μ=1000以上)等を挙げることができる。
永久磁石14は、コイル12の外側を取り囲む筒状体であり、超磁歪素子11に磁気バイアスを印加する役割を果たす。これは、磁気バイアスのない状態では、超磁歪素子11の変位が磁界の向きに対して方向性がないからである。
本実施形態による超磁歪ユニット10では、永久磁石14の軸方向における長さをa1、永久磁石14の中心径(=(内径+外径)/2)をb1とした場合、
0.3≦b1/a1≦0.7
に設定されている。このように設定しているのは、超磁歪素子11に均一な磁気バイアスを与えるためであり、かかる構成により超磁歪ユニット10の出力歪みが低減されている。つまり、
b1/a1<0.3
であると、超磁歪素子11の中央部における磁気バイアスが不足するとともに、端部の磁気バイアスが中央部分よりも著しく強くなる一方、
b1/a1>0.7
であると、超磁歪素子11の端部における磁気バイアスが中央部分よりも大幅に弱くなってしまう。これに対し、a1とb1との関係を上記の範囲に設定すれば、超磁歪素子11中の磁気バイアスを端部から中央部に亘って均一とすることができる。具体的には、端部における磁気バイアス強度を中央部における磁気バイアス強度の80%以上、150%以下とすることが可能となる。ここで、中央部に対する端部の磁気バイアス強度差を正方向(100%超)に大きく許容しているのは、磁気バイアスが強すぎる場合に比べ、弱すぎる場合の方が問題が大きいからである。
尚、超磁歪素子11により均一な磁気バイアスを与えるためには、
0.45≦b1/a1≦0.55
に設定することが好ましい。
さらに、本実施形態による超磁歪ユニット10では、超磁歪素子11の軸方向における長さをa2とした場合、
a1=a2
に設定されている。これにより、全体のサイズをできるだけ小型化しつつ、超磁歪素子11に均一な磁気バイアスを与えることが可能となる。これに対し、
a1<a2
とすると、超磁歪素子11中に磁気バイアスがほぼゼロとなる領域が生じることがあり、この場合には、極めて不均一な磁気バイアスとなってしまう。逆に、
a1>a2
であるケースについては後述する。
以上の構成を有する超磁歪ユニット10は、上述のとおり、永久磁石14の軸方向における長さa1と永久磁石14の中心径b1との関係が
0.3≦b1/a1≦0.7
に設定され、且つ、永久磁石14の軸方向における長さa1と超磁歪素子11の軸方向における長さa2との関係が、
a1=a2
に設定されていることから、超磁歪素子11に均一な磁気バイアスを与えることが可能となる。さらに、本実施形態では、超磁歪素子11の軸方向にヨーク13を設け、その径b3と永久磁石14の中心径をb1との関係を、
1≦b3/b1≦3
に設定していることから、磁気バイアスによる磁束密度をより均一化することが可能となる。
しかも、本実施形態では、超磁歪素子11の軸方向における長さとコイル12の軸方向における長さが実質的に一致していることから、コイル12による超磁歪素子11内の磁束密度の均一性が非常に高くなる。
これらにより、本実施形態の超磁歪ユニット10をアクチュエータとして用いた場合、或いは、圧力センサとして用いた場合のいずれにおいても、出力歪みを大幅に低減することが可能となる。
図2は、本発明の好ましい他の実施形態による超磁歪ユニット20の構造を示す略断面図である。
本実施形態による超磁歪ユニット20は、永久磁石14の軸方向における長さa1が超磁歪素子11の軸方向における長さa2よりも長い点において、上記実施形態と相違している。これは、永久磁石14の軸方向における長さa1を超磁歪素子11の軸方向における長さa2よりも長くすることにより、磁気バイアスがよりいっそう均一となる点に着目したものである。
永久磁石14の軸方向における長さa1は、超磁歪素子11の軸方向における長さa2に対して長いほど磁気バイアスが均一となる一方、その磁束密度は低下してしまう。このため、本発明では、永久磁石14の軸方向における長さa1と超磁歪素子11の軸方向における長さa2との関係を、
1≦a1/a2≦2
の範囲内に設定する必要があり、これにより、磁束密度の過度の低下を防止しつつ、磁気バイアスをほぼ均一とすることが可能となる。
図3は、本発明の好ましいさらに他の実施形態による超磁歪ユニット30の構造を示す略断面図である。
本実施形態による超磁歪ユニット30は、ヨーク13と永久磁石14が直接接しておらず、これらの間にギャップ31が設けられている点において、上記各実施形態と相違している。これは、ギャップ31を設けることにより、超磁歪素子11の端部における磁気バイアスの過度の盛り上がりを抑制することができるからである。
ギャップ31の幅は、軸方向に0.1mm以上あることが好ましい。これは、ギャップ31の幅が0.1mm未満であるとギャップによる効果が十分に得られないからである。
本実施形態においても、永久磁石14の軸方向における長さa1を超磁歪素子11の軸方向における長さa2よりも長く設定しても構わないが、やはり、
1≦a1/a2≦2
の範囲内に設定する必要がある。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
以下、本発明の効果を実証すべく、静磁場解析装置を用いた静磁場シミュレーションの結果について説明する。以下に説明する実施例は、永久磁石による磁気バイアスに注目したシミュレーションであり、したがってコイルについては省略している。
[実施例1]
まず、図4に示す断面を持った超磁歪ユニットを想定し、超磁歪素子11の中心軸11aに沿った磁束密度をシミュレーションした。超磁歪素子11の透磁率(μ)は6とし、軸方向における長さa2については20mm、径については2mmとした。また、永久磁石14の軸方向における長さa1についても20mmとし、その中心径b1については7mmとした。永久磁石14の残留磁束密度(Br)については1.25T、透磁率(μ)については1.05とした。実施例1では、
b1/a1=0.35、且つ
a1/a2=1
である。
この構造において、超磁歪素子11の中心軸11aに沿った磁束密度をシミュレーションした。シミュレーションの結果を図5に示す。
図5に示すように、中心軸11aに沿った磁束密度は、超磁歪素子11の軸方向にほぼ均一であり、中央部の磁束密度(T1)に対する端部(末端から約3mmの領域、以下同様)の磁束密度(T2)のずれ(=(T2/T1)−100%)は約+48.6%であることが確かめられた。また、中央部の磁束密度(T1)は0.2339Tであった。
[実施例2]
永久磁石14の中心径b1を9mmとした他は、実施例1と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。実施例2では、
b1/a1=0.45、且つ
a1/a2=1
である。シミュレーションの結果は同じく図5に示されている。図5に示すように、中心軸11aに沿った磁束密度は、超磁歪素子11の軸方向にほぼ均一であり、中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+15.0%であることが確かめられた。また、中央部の磁束密度(T1)は0.2601Tであり、実施例1よりも高い値が得られた。
[実施例3]
永久磁石14の中心径b1を11mmとした他は、実施例1と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。実施例3では、
b1/a1=0.55、且つ
a1/a2=1
である。シミュレーションの結果は同じく図5に示されている。図5に示すように、中心軸11aに沿った磁束密度は、超磁歪素子11の軸方向にほぼ均一であり、中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約−5.4%であることが確かめられた。また、中央部の磁束密度(T1)は0.2737Tであり、実施例2よりもさらに高い値が得られた。
[実施例4]
永久磁石14の中心径b1を13mmとした他は、実施例1と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。実施例4では、
b1/a1=0.65、且つ
a1/a2=1
である。シミュレーションの結果は同じく図5に示されている。図5に示すように、中心軸11aに沿った磁束密度は、超磁歪素子11の軸方向にほぼ均一であり、中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約−18.0%であり、端部における磁束密度の落ち込みが認められたが、中央部の磁束密度(T1)は0.2776Tであり、実施例3と同等の高い値が得られた。
[比較例1]
永久磁石14の中心径b1を5mmとした他は、実施例1と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。比較例1では、
b1/a1=0.25、且つ
a1/a2=1
である。シミュレーションの結果は同じく図5に示されている。図5に示すように、中心軸11aに沿った磁束密度は、超磁歪素子11の端部において極端に盛り上がり、中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+103.3%に達した。
[比較例2]
永久磁石14の中心径b1を15mmとした他は、実施例1と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。比較例2では、
b1/a1=0.75、且つ
a1/a2=1
である。シミュレーションの結果は同じく図5に示されている。図5に示すように、中心軸11aに沿った磁束密度は、超磁歪素子11の端部において大きく落ち込み、中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約−25.8%に達した。
[実施例5]
図6に示す断面を持った超磁歪ユニットを想定し、永久磁石14の軸方向における長さa1を24mmとし、その中心径b1を11mmとした他は、実施例1と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。実施例5では、
b1/a1=0.458、且つ
a1/a2=1.2
である。
シミュレーションの結果は図7に示されている。図7に示すように、実施例5の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+15.5%であることが確かめられた。また、中央部の磁束密度(T1)は0.2173Tであった。
[実施例6]
永久磁石14の軸方向における長さa1を28mmとし、その中心径b1を13mmとした他は、実施例5と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。実施例5では、
b1/a1=0.464、且つ
a1/a2=1.4
であり、b1/a1の値は実施例5とほぼ同等である。シミュレーションの結果は同じく図7に示されている。図7に示すように、実施例6の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+10.3%であり、磁気バイアスがより均一であったが、中央部の磁束密度(T1)は0.1859Tであり、実施例5より低かった。
[実施例7]
永久磁石14の軸方向における長さa1を32mmとし、その中心径b1を15mmとした他は、実施例5と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。実施例7では、
b1/a1=0.469、且つ
a1/a2=1.6
であり、b1/a1の値は実施例5、6とほぼ同等である。シミュレーションの結果は同じく図7に示されている。図7に示すように、実施例7の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+6.1%であり、磁気バイアスがより均一であったが、中央部の磁束密度(T1)は0.1627Tであり、実施例6より低かった。
[実施例8]
永久磁石14の軸方向における長さa1を36mmとし、その中心径b1を17mmとした他は、実施例5と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。実施例8では、
b1/a1=0.472、且つ
a1/a2=1.8
であり、b1/a1の値は実施例5〜7とほぼ同等である。シミュレーションの結果は同じく図7に示されている。図7に示すように、実施例8の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+2.6%であり、磁気バイアスがより均一であったが、中央部の磁束密度(T1)は0.1451Tであり、実施例7より低かった。
[実施例9]
永久磁石14の軸方向における長さa1を40mmとし、その中心径b1を19mmとした他は、実施例5と同一条件にて磁束密度のシミュレーションを行った。実施例9では、
b1/a1=0.475、且つ
a1/a2=2
であり、b1/a1の値は実施例5〜8とほぼ同等である。シミュレーションの結果は同じく図7に示されている。図7に示すように、実施例9の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+0.1%であり、磁気バイアスがより均一であったが、中央部の磁束密度(T1)は0.1312Tであり、実施例8より低かった。
[実施例10]
図8に示す断面を持った超磁歪ユニットを想定し、ヨーク13の径b3を11mmとした他は、実施例3と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。実施例10では、
b1/a1=0.55、
a1/a2=1、且つ、
b3/b1=1
である。
シミュレーションの結果は図9に示されている。図9に示すように、実施例10の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+44.3%であることが確かめられた。また、中央部の磁束密度(T1)は0.3013Tであり、非常に高い値が得られた。
[実施例11]
超磁歪素子11とヨーク13の中心軸を合わせたまま、ヨーク13の径b3を12mmとした他は、実施例10と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。実施例11では、
b1/a1=0.55、
a1/a2=1、且つ、
b3/b1=1.09
である。
シミュレーションの結果は同じく図9に示されている。図9に示すように、実施例11の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+44.5%、中央部の磁束密度(T1)は0.2942Tであり、実施例10とほぼ同等の特性が得られた。
[実施例12]
超磁歪素子11とヨーク13の中心軸を合わせたまま、ヨーク13の径b3を22mmとした他は、実施例10と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。実施例11では、
b1/a1=0.55、
a1/a2=1、且つ、
b3/b1=2
である。
シミュレーションの結果は同じく図9に示されている。図9に示すように、実施例11の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+9.8%であり、極めて高い均一性が得られたが、中央部の磁束密度(T1)は0.1773Tであり、実施例10より低かった。
[実施例13]
超磁歪素子11とヨーク13の中心軸を合わせたまま、ヨーク13の径b3を33mmとした他は、実施例10と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。実施例12では、
b1/a1=0.55、
a1/a2=1、且つ、
b3/b1=3
である。
シミュレーションの結果は同じく図9に示されている。図9に示すように、実施例12の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+2.7%であり、極めて高い均一性が得られたが、中央部の磁束密度(T1)は0.1108Tであり、実施例12より低かった。
[比較例3]
図10に示す断面を持った超磁歪ユニットを想定し、永久磁石14の軸方向における長さa1を16mmとした他は、実施例1と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。比較例3では、
b1/a1=0.438、且つ
a1/a2=0.8
である。
シミュレーションの結果は図11に示されている。図11に示すように、比較例3の構造では、超磁歪素子11中に磁束密度がほぼゼロとなる領域が生じてしまうことが確かめられた。
[実施例14]
図12に示す断面を持った超磁歪ユニットを想定し、ヨーク13と永久磁石14との間に0.1mmのギャップ31を設けた他は、実施例11と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果は図13に示されている。図13には、実施例11(ギャップなし)の結果も併せて示されている。図13に示すように、実施例14の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+40.0%であり、実施例11よりも均一となった。
[実施例15]
ギャップ31を0.2mmとした他は、実施例14と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果は同じく図13に示されている。図13に示すように、実施例15の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+35.8%であり、実施例14よりもさらに均一となった。
[実施例16]
ギャップ31を0.3mmとした他は、実施例14と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果は同じく図13に示されている。図13に示すように、実施例16の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+31.6%であり、実施例15よりもさらに均一となった。
[実施例17]
ギャップ31を0.4mmとした他は、実施例14と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果は同じく図13に示されている。図13に示すように、実施例17の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+28.1%であり、実施例16よりもさらに均一となった。
[実施例18]
ギャップ31を0.6mmとした他は、実施例14と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果は同じく図13に示されている。図13に示すように、実施例18の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+22.0%であり、実施例17よりもさらに均一となった。
[実施例19]
ギャップ31を0.8mmとした他は、実施例14と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果は同じく図13に示されている。図13に示すように、実施例19の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+16.4%であり、実施例18よりもさらに均一となった。
[実施例20]
ギャップ31を1.0mmとした他は、実施例14と同一として中心軸11aに沿った磁束密度のシミュレーションを行った。
シミュレーションの結果は同じく図13に示されている。図13に示すように、実施例20の構造では中央部の磁束密度(T1)に対する端部の磁束密度(T2)のずれは約+12.0%であり、実施例19よりもさらに均一となった。
本発明の好ましい実施形態による超磁歪ユニット10の構造を示す略断面図である。 本発明の好ましい他の実施形態による超磁歪ユニット20の構造を示す略断面図である。 本発明の好ましいさらに他の実施形態による超磁歪ユニット30の構造を示す略断面図である。 実施例1〜4及び比較例1,2の静磁場シミュレーションにおいて想定した超磁歪ユニットの断面構造である。 実施例1〜4及び比較例1,2のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例5〜9の静磁場シミュレーションにおいて想定した超磁歪ユニットの断面構造である。 実施例5〜9のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例10〜13の静磁場シミュレーションにおいて想定した超磁歪ユニットの断面構造である。 実施例10〜13のシミュレーション結果を示すグラフである。 比較例3の静磁場シミュレーションにおいて想定した超磁歪ユニットの断面構造である。 比較例3のシミュレーション結果を示すグラフである。 実施例14〜20の静磁場シミュレーションにおいて想定した超磁歪ユニットの断面構造である。 実施例14〜20のシミュレーション結果を示すグラフである。
符号の説明
10,20,30 超磁歪ユニット
11 超磁歪素子
11a 中心軸
12 コイル
13 ヨーク
13a ヨークの第1の部分
13b ヨークの第2の部分
14 永久磁石
31 ギャップ
a1 永久磁石の軸方向における長さ
a2 超磁歪素子の軸方向における長さ
b1 永久磁石の中心径
b3 ヨークの径

Claims (7)

  1. 円柱状の超磁歪素子と、前記超磁歪素子の径方向に配置された円筒状のコイルと、前記コイルの径方向に配置された円筒状の永久磁石とを備え、前記永久磁石の軸方向における長さをa1、前記永久磁石の中心径をb1とした場合、
    0.3≦b1/a1≦0.7
    を満たしており、且つ、前記超磁歪素子の軸方向における長さをa2とした場合、
    1≦a1/a2≦2
    を満たしていることを特徴とする超磁歪ユニット。
  2. 前記超磁歪素子の軸方向に配置された円盤状のヨークをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の超磁歪ユニット。
  3. 前記ヨークの径をb3とした場合、
    1≦b3/b1≦3
    を満たしていることを特徴とする請求項2に記載の超磁歪ユニット。
  4. 前記ヨークと前記永久磁石との間には、軸方向に0.1mm以上のギャップが設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の超磁歪ユニット。
  5. 前記ヨークの透磁率が100以上であることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項に記載の超磁歪ユニット。
  6. 前記ヨークの透磁率が1000以上であることを特徴とする請求項5に記載の超磁歪ユニット。
  7. 前記超磁歪素子の軸方向における長さと前記コイルの軸方向における長さが一致していることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に超磁歪ユニット。
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