JP4080035B2 - 気流式磁選機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、気流式磁選機に係り、より詳細には、磁気的性質の異なる複数種類の被搬送物中の磁石吸着成分(すなわち磁性体)と磁石非吸着成分(すなわち非磁性体)をスムーズに分別することができる気流式磁選機に関する。
【0002】
【従来の技術】
缶ジュース、缶ビール等の飲料用缶は、アルミニウム缶とスチール缶の2種類に分別することができる。これらの空き缶は、その素材のリサイクルの観点からすると、回収後、アルミニウム缶とスチール缶に分別することが必要となる。そこで、これらの分別には、磁選機(磁気選別機)を利用している。そして、磁気分別した空き缶は、通常、これを粉砕し、種々のリサイクルに用に供するようにしている。
【0003】
ところで、前記空き缶をアルミニウム缶とスチール缶を分別することは、前記磁選機によって行うことができるが、スチール缶については、その上蓋部分(飲み口が形成してある面側)は、缶の作製工程上、アルミニウムからなり、該アルミニウムが、スチール缶全体の15%程度を占めている。従って、このスチール缶を、そのまま粉砕した場合、再度、この粉砕物からアルミニウムとスチールとに分別する必要となる。このような粉砕物をアルミニウムとスチールに分別するための装置としては、図5(a)(b)に示すようなものがある。
【0004】
図5(a)の装置は、ベルトコンベア装置51のプーリ52の内側に磁石(磁極)53を設け、このプーリ52の下方に、非選別物の磁気的性質の相違と比重の相違に基づく位置に、スチールを選別回収するスチール回収箱54と、アルミニウムを選別回収するアルミニウム回収箱55を設けた構成からなる。この装置の場合、コンベアベルト56に被選別物を載せ、該被選別物がプーリ52の位置に達すると、被選別物中のスチールは磁石に吸着されてスチール回収箱54に回収でき、一方、アルミニウムは、非磁性体からなるので、その自重によって落下し、アルミニウム回収箱55に回収できる。
図5(b)の装置は、非選別物を収納したホッパー57の下方に回転ドラム58を設け、また回転ドラム58の内部に磁石59を設け、この回転ドラム58の下方にスチール回収箱60と、アルミニウム回収箱61を設けた構成からなる。そして、この装置は、ホッパー57から落下した非選別物のうちスチールは、磁石59に吸着されてスチール回収箱60の上方まで運ばれ、磁力が切れる位置で落下してスチール回収箱60に回収され、一方、アルミニウムは、非磁性体であるので、その自重によって落下し、アルミニウム回収箱61に回収できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、前述したような磁気的性質の相違を利用したスチールとアルミニウムの選別機は、次のような課題がある。すなわち、
▲1▼ 被選別物中の磁性体を磁石の磁力によって吸着選別し、アルミニウム等の被磁性体については、その自重によって落下選別するので、該被磁性体が磁性体に挟まれた状態で、磁性体と一緒になって選別し難くなる。また、被選別物中の磁性体が、磁石の磁力で十分に吸着されなかった場合、非磁性体と一緒になって、その選別が難しい。
▲2▼ 特に、回転ドラムあるいはプーリの下方向の同じ個所で、磁性体と非磁性体を選別しているので、十分な選別ができない。
▲3▼ 前者の装置にあっては、コンベアベルトを用いているため、その耐久性が十分でなく、かつ装置が大型化する。
▲4▼ 後者にあっては、連続的操作を行うには、ホッパーを大きくする必要があるため、その装置が大型化する。
等の課題がある。
【0006】
本発明は、以上のような課題に対処して創作したものであって、その目的とする処は、磁気的性質の異なる複数種類の被搬送物中の磁石吸着成分(すなわち磁性体)と磁石非吸着成分(すなわち非磁性体)の選別性能を向上でき、かつ耐久性があり、コンパクト化できる気流式磁選機を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そして、上記課題を解決するための手段としての本発明の第1の発明の気流式磁選機は、磁気的性質の異なる複数種類の被選別物を流体によって移送する流体コンベアの管路の一部に開口部を設け、該開口部に磁石を内蔵した回転ドラムの一部を配し、該回転ドラムを前記流体コンベア内の流体の向きと同じ向きあるいる逆向きに回転させ、該磁石の磁力により前記被選別物中の磁石吸着成分を吸着しながら前記開口部から分離排出し、他の磁石非吸着成分を前記流体コンベア内の流体の流れによって排出することを特徴とする。
また、本発明の第2の発明の気流式磁選機は、磁気的性質の異なる複数種類の被選別物を流体によって移送する流体コンベアの管路の一部に凹部と、該凹部の前方隣接する個所に開口部を設け、該凹部に磁石を内蔵した回転ドラムの一部を配し、該回転ドラムを前記流体コンベア内の流体の向きと同じ向きあるいる逆向きに回転させ、該磁石の磁力により前記被選別物中の磁石吸着成分を吸着しながら前記開口部から分離排出し、他の磁石非吸着成分を前記流体コンベア内の流体の流れによって排出することを特徴とする。
【0008】
ここで、前記流体コンベアとは、管路内を流れる空気、その他の流体を媒体として、かさ物、ばら物を移送するためのコンベアで、本発明においては、該かさ物、ばら物として、アルミニウム、スチールその他の被選別物を採用している。コンベアを構成する管路の入口側あるいは途中から、被選別物と、被選別物移送用媒体としての空気を送り込み、管路の出口側あるいは途中で、被選別物のうちの選別・分別されたものを排出することができる。前記回転ドラムを配置する開口あるいは凹部は、該回転ドラムの大きさによって異なるが、ドラムの1/10〜1/2円弧程度としている。しかし、磁力選別が十分に行える大きさであれば他の大きさとしてもよい。また前記磁石としては、永久磁石、電磁石のいずれも用いることかでき、該永久磁石を用いる場合は、その磁石としては、半円形状程度のものが好ましい。これより大きいものを用いてもその磁力を利用できないからである。しかし、この形状は任意のものを用いることができる。
また、前記回転ドラムの回転方向は、流体の流れ(換言すれば、気流)の向きと同じ向きでも、気流に対抗する向き(逆向き)に向きでもよいが、気流に対して逆向きに回転させる場合は、該気流速度を緩く(遅く)することが好ましい。これは磁力選別が十分に行えない場合を考慮したことによる。なお、回転ドラム内に設けている磁石は、その配置位置を任意に調整できる形態とすることが好ましい。これによって、磁石の磁力の及ぶ範囲を調整できる。
【0009】
本発明の気流式磁選機は、その流体コンベアに被選別物を送り込むと、通常の流体コンベアと同じく、流体コンベアの管路を流れる流体(通常は空気)の流れ(気流)によって、被選別物が、これを媒体として出口方向に移送できる。そして、その移送途中において、該被選別物中の磁性体は、磁石が内蔵されている回転ドラムに吸着され、かつ該回転ドラムの回転によって流体コンベアの管路外に誘導排出されることになる。これに対して、残りの非磁性体は、気流によって積極的に、流体コンベアの管路の出口側に移送され、被選別物がスムーズに磁性体と非磁性体とに分別できる。
【0010】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、本発明の気流式磁選機によれば、磁気的性質の異なる複数種類の被選別物を流体によって移送する流体コンベアと磁石を内蔵した回転ドラムとを組み合わせて、該回転ドラムを前記流体コンベア内の流体の向きと同じ向きあるいる逆向きに回転させ、該磁石の磁力により被選別物中の磁石吸着成分を吸着しながら分離排出し、磁石非吸着成分を流体コンベア内の流体の流れによって排出し、その磁石非吸着成分の排出位置を磁石吸着成分の排出位置から離れた位置とすることができるので、被選別物をスムーズにかつ高精度に分別できるという効果を有する。また回収箱の位置を異ならせることができるので、その構成をコンパクト化できるという効果をも有する。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら、本発明を具体化した最良の実施形態について説明する。ここに、図1〜図4は、本発明の一実施形態を示し、図1は本実施形態の気流式磁選機の正面図、図2は平面図、図3は側面図、図4は概略構成を示す説明図である。
【0012】
本実施形態の気流式磁選機は、スチール缶を粉砕した粉砕物を被選別物とし、スチール缶の一部(蓋部分)を構成するアルミニウムcとスチールbを選別するための気流式磁選機あって、概略すると、図1〜図4に示すように、流体コンベア部1と、磁性体選別部2、および非磁性体物選別・移送部3の3つの部分からなる。
【0013】
流体コンベア部1は、通常の流体コンベア4から構成してある。すなわち、コンベアを構成するステンレス、SUS304、その他の金属材からなる管路4aの入口4b側から被選別物aを送り込むと、管路4aを流れる流体を媒体として、該被選別物aを排出口3aの方向に移送できる構成からなる。そして、流体コンベア4を構成する管路4aの底面の一部には、開口5が形成してあり、この開口5に磁性体選別部2を構成する回転ドラム6の一部が配置してある。この開口5は、回転ドラム6の表面に後記する磁石10によって磁着されたスチールbが流体コンベア4の管路4aから排出されるための部分をも構成する。そのため、回転ドラム6が開口5に嵌まった状態で、スチールbが磁着排出される排出口7を形成している。なお、流体コンベア4は、架台8に立設されている脚部9によって所定高さに保持されている。ここで、管路4aの直径は、一般的なもので、160mm〜700mm程度のものを用いる。しかし、これは磁石10の磁力等によって任意に変更できる。また、管路4aの位置には、アクリル製の覗き窓4cと、掃除口4dが設けてある。
【0014】
磁性体選別部2は、回転ドラム6と、回転ドラム6に内蔵されている磁石(ここでは永久磁石を用いている)10と、スチール回収箱11、および駆動源12とからなる。そして、回転ドラム6は、その一部が流体コンベア4の開口5に嵌合し、流体コンベア4の管路4a内に位置する。従って、回転ドラム6が嵌まっている個所は、管路4aの流路が狭くなり、通常、管路4aの直径の1/2〜2/3程度を回転ドラム6が占めている形態となっている。これは、流路を狭くすることで、被選別物a内のスチールbを磁石10によって確実に吸着・磁着するためである。この流路が広いと、流体コンベアの気流によって、スチールbがアルミニウムcと一緒に流されてしまうからである。回転ドラム6は、内蔵されている磁石10による磁力でスチールbを吸着でき、かつ耐久性を保持させるためにステンレスで形成してある。なお、磁石10の磁力がスチールbに及んで、回転ドラム6の表面でスチールbを吸着できる材質であれば、他のものであってもよい。すなわち、非磁性体からなるものであってもよい。また、磁石7は、半円形状の永久磁石が用いてある。この磁石10は、固定できるように配置してあり、回転ドラム6の回転に従属しない。なお、磁石10は、その位置を変えるために、任意に移動させることができる形態からなる。これによって、磁石7の磁力の及ぶ範囲を変更できる。スチール回収箱11は、回転ドラム6の下方で、磁石10の磁力が及ばなくなる前後位置に設けてある。すなわち、磁石10の磁力が及ばなくなった位置で回転ドラム6に磁着しているスチールbは、その磁石10の磁力から開放されるので、その自重により自然落下し、スチール回収箱11に回収できる。また、駆動源12は、リニアモーター、その他の駆動源を用いることができる。
【0015】
非磁性体物選別・移送部3は、流体コンベア4の後側に位置し、アルミニウムcを流体コンベア4の排出口3aに移送する部分である。そして、この排出口3aは、磁性体選別部2との間に、ある程度の距離を取っている。これにより、アルミニウムcとスチールbとの回収部分が離れるので、両方が選別できないという状態を回避できる。被選別物aからスチールbが取り除かれた残りのアルミニウムは、流体コンベア4内を流れる流体の気流によって、排出口3aに移送・排出できる。
【0016】
そして、本実施形態の気流式磁選機は、流体コンベア4の入口4bに被選別物aを送り込むと、被選別物aは、流体コンベア4の管路4aを流れる空気の流れ(気流)によって、その排出口3aの方向に強制的に移動する。そして、その移送途中において、被選別物a中のスチールbは、磁石10が内蔵されている回転ドラム6の表面に、その磁力によって磁着されると共に、磁着された状態で、回転ドラム6の回転によって流体コンベア4の管路4aに形成されている開口6からなる排出口7を通じて誘導・排出され、磁石10の磁力が及ばなくなる個所まで移動し、該磁力が及ばなくなった個所で、その自重によって落下し、スチール回収箱11に落下・収納されることになる。一方、回転ドラム6に吸着選別されなかったアルミニウムcは、流体コンベア4内の気流によって、更に非磁性体物選別・移送部3の、排出口3aに送られ、アルミニウム回収箱(図示せず)に回収されることになる。このように、気流によって被選別物aを移送し、スチールbのみを磁力選別して、アルミニウムcがスチールbに混ざりあった状態で、スチール回収箱11に回収されるのを防止できる。すなわち、スムーズで、かつ正確な選別・回収ができる。また、その構成をコンパクト化できると共に、両回収箱の位置が異なるので、選別途中で混ざり合うおそれがなく、また一つ一つの回収箱を大きくすることが可能で、回収箱の交換回数を軽減できる。
また、途中で、選別状態を覗き窓4cを見ることによって、常に、確認することができ、流体コンベア4は、掃除口4dによって、容易に掃除することができる。
【0017】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で変形実施できる構成を含む。因に、前述した実施形態においては、磁石として、半円形状のもので説明したが、磁石の磁力の及ぶ範囲によって、1/4円形状〜2/3円形状等の任意の形状とすることができる。また、回転ドラムの大きさは、流体コンベアの径お大きさ等によって任意に異なったものを使用できる。
【0018】
ところで、前述した実施形態では、回転ドラムの回転の方向を、流体コンベア内を流れる流体の流れ(気流)と同じ向きとしているが、気流に対向する向き、すなわち逆向きに回転させてもよい。この場合は、気流の速度を調整することが必要となる。気流速度が速すぎる場合は、回転を気流と同じ向きとすることが好ましい。また、流体コンベアに回転ドラムを嵌合する形態において、前述した実施形態においては、流体コンベアの管路に開口を設け、該開口に嵌合する構成としたが、該管路に凹部を設け、この凹部に回転ドラムを嵌める構成としてもよい。この場合は、別個に回転ドラムに磁着されている磁性体を排出するための排出口用の開口を別途に設ける必要がある。そして、この構成の場合、流体コンベア内での回転ドラムの磁石の磁力の及ぶ距離が長い場合、管路と回転ドラムとの間のシール性(気密封止性)を維持することができる。また、前述した実施形態では、被選別物をスチール缶の粉砕物で、磁性体としてスチールの場合、非磁性体としてアルミニウムの場合で説明したが、他の各種の缶、その他に、ステンレスとアルミニウム、ステンレスと紙片等の場合であっても同様にに実施できることは当然である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す気流式磁選機の正面図である。
【図2】図1の平面図である。
【図3】図1の側面図である。
【図4】概略構成を示す説明図である。
【図5】従来例の概略構成図である。
【符号の説明】
1・・・流体コンベア部、2・・・磁性体選別部、3・・・非磁性体物選別・移送部、3a・・・排出口、4・・・流体コンベア、4a・・・管路、4b・・・入口、4c・・・覗き窓、4d・・・掃除口、5・・・開口、6・・・回転ドラム、7・・・スチール排出口、8・・・架台、9・・・脚部、10・・・磁石、11・・・スチール回収箱、12・・・駆動源、a・・・被選別物、b・・・スチール、c・・・アルミニウム
Claims (2)
- 磁気的性質の異なる複数種類の被選別物を流体によって移送する流体コンベアの管路の一部に開口部を設け、該開口部に磁石を内蔵した回転ドラムの一部を配し、該回転ドラムを前記流体コンベア内の流体の向きと同じ向きあるいる逆向きに回転させ、該磁石の磁力により前記被選別物中の磁石吸着成分を吸着しながら前記開口部から分離排出し、他の磁石非吸着成分を前記流体コンベア内の流体の流れによって排出することを特徴とする気流式磁選機。
- 磁気的性質の異なる複数種類の被選別物を流体によって移送する流体コンベアの管路の一部に凹部と、該凹部の前方隣接する個所に開口部を設け、該凹部に磁石を内蔵した回転ドラムの一部を配し、該回転ドラムを前記流体コンベア内の流体の向きと同じ向きあるいる逆向きに回転させ、該磁石の磁力により前記被選別物中の磁石吸着成分を吸着しながら前記開口部から分離排出し、他の磁石非吸着成分を前記流体コンベア内の流体の流れによって排出することを特徴とする気流式磁選機。
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