JP4079829B2 - カーテンウォール - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明に係るカーテンウォールは、鉄骨建造物の外壁面を構成するカーテンウォールの構造に関する。
【０００２】
【本発明の実施の対象となる構造】
鉄骨建造物を造る場合、鉄骨（躯体）を組み立てた後、この鉄骨の外側に予め工場で造った複数枚のカーテンウォールを張り付けて外観を整える。この様なカーテンウォールにより構成された建造物の外壁面の意匠に就いて、建築主の要求が多様化している。例えば本発明の実施の形態を示す図１に示す様に、それぞれが縦方向に連続する柱の如く見える第一部分１、１同士の間を、ガラス窓２、２を含む第二部分３、３とする事が考えられている。この様な第一部分１、１と第二部分３、３とを水平方向に交互に配置した外壁面は、それぞれが１階分（或は２階分）の高さ寸法を有するカーテンウォール４、４ａを、上下方向に順番に組み合わせつつ鉄骨５、５（後述する図２、３参照）に支持する事により構成する。
【０００３】
上記各カーテンウォール４、４ａには、採光用或は装飾用のガラスパネル６、６ａを設けている。ビルディングの同じ壁面を構成するガラスパネル６、６ａは、互いに同一の鉛直面上に位置させて、建造物の外観の体裁を整える様にしている。
【０００４】
【発明が解決しようとする課題】
それぞれが採光用或は装飾用である複数枚のガラスパネル６、６ａを同一平面上に位置させる構造として一般的には、カーテンウォール４、４ａを構成するコンクリート製の主体に、アルミニウム合金の押し出し型材製の枠材を固定し、この枠材により上記各ガラスパネル６、６ａの四辺を支持する事が考えられる。但し、この様な構造を採用した場合には、コンクリートに比べて高価なアルミニウム合金製の枠材の使用量（全長）が嵩み、上記各カーテンウォール４、４ａの製造コストが嵩んでしまう。
本発明のカーテンウォールは、この様な事情に鑑みて、上記アルミニウム合金製の枠材の使用量が少なくて（全長が短くて）済み、製造コストの低減を図れる構造を実現すべく発明したものである。
【０００５】
【課題を解決するための手段】
本発明のカーテンウォールは、コンクリート製の主体と、この主体によりそれぞれの水平方向両側縁を支持された状態で同一鉛直面上に支持された複数枚のパネルとを備える。 このうちの主体は、水平方向に離隔した状態で互いに平行に配置された１対の側部と、これら両側部同士を連結する連結部とを備えたものである。
又、上記各パネルの水平方向両側縁部は、上記両側部の互いに対向する内側面に直接形成された凹溝部に支持されている。
【０００６】
具体的には、上記主体の連結部が、１対の側部の上下方向中間部乃至一端部の屋内寄り部分同士を連結する。上記各凹溝部は、上記両側部の内側面の屋内寄り部分に、上端から下端まで連続する状態で形成する。又、上記各凹溝部にそれぞれの水平方向両端縁部を支持した複数枚のパネルのうち、上記連結部から上下方向に外れた部分に設けられたパネルを採光用パネルとし、この連結部に対向する部分に設けられたパネルは装飾用パネルとする。
好ましくは、請求項２に記載した様に、上記採光用パネルの上下方向一端部を１対の側部の上下方向一端部よりも上下方向に突出させ、この採光用パネルを、上下方向に連接されたカーテンウォールの側部同士の間に掛け渡した状態で支持する事もできる。
【０００７】
【作用】
上述の様に構成する本発明のカーテンウォールは、主体に設けた１対の側部の内側面に直接形成された凹溝部により、各パネルの両側縁部を支持している為、これら各パネルの両側縁部を支持する為の竪枠を設ける必要がない。従って、上記枠材の全長を短くして、その分、カーテンウォールの製造コストの低減を図れる。
【０００８】
【発明の実施の形態】
図１〜９は、本発明の実施の形態の第１例を示している。本例は、ビルディングの入隅部に設けるカーテンウォール４、４ａに本発明を適用する場合に就いて示している。これら各カーテンウォール４、４ａのうち、図１、２の下端部に示したカーテンウォール４ａを除く残りのカーテンウォール４、４が本発明に対応するもので、プレキャスト鉄筋コンクリート製の主体７と、この主体７によりそれぞれの水平方向両側縁（左右両側縁）を支持された状態で同一鉛直面上に支持された複数枚（図示の例では３枚）のガラスパネル６、６ａとを備える。
【０００９】
上記カーテンウォール４の構成各部材７、６のうちの主体７は、水平方向に離隔した状態で互いに平行に配置された１対の側部８、８と、これら両側部８、８同士を連結する連結部９とを備える。この例の場合にこの連結部９は、これら両側部８、８の上下方向中間部乃至上端部の屋内寄り部分同士を連結している。従って上記両側部８、８の互いに対向する内側面の屋外寄り部分は、上記カーテンウォール４の上端部から下端部まで連続している。そして、上記両側部８、８の互いに対向する内側面の屋外寄り部分にそれぞれ凹溝部１０を、上記主体７の上端から下端まで連続する状態で、鉛直方向に形成している。
【００１０】
この様に、上記両側部８、８の内側面に形成した各凹溝部１０には、上記ガラスパネル６、６ａの水平方向両端縁部を、それぞれ支持している。上記各凹溝部１０によりこれら各ガラスパネル６、６ａの両側縁部を支持する構造は、これら各ガラスパネル６、６ａ毎に同じであるが、採光用のガラスパネル６は、図４に示す様に、上記両側部８、８の下部で、上記連結部９よりも下方に存在する部分に、その両端縁部を支持している。これに対して装飾用のガラスパネル６ａ、６ａは、図５に示す様に、上記両側部８、８の中間部乃至上端部で上記連結部９に対向する部分に、その両端縁部を支持している。
【００１１】
何れのガラスパネル６、６ａを上記凹溝部１０に支持する部分に関しても、これら各ガラスパネル６、６ａの左右両端縁部を、表裏１対の弾性材１１ａ、１１ｂ、１１ｃにより弾性的に挟持している。但し、採光用のガラスパネル６の支持部分と装飾用のガラスパネル６ａ、６ａの支持部分とで、断面円形の弾性材１１ａの使用部位を表裏逆にしている。即ち、上記採光用のガラスパネル６に関しては、屋外側に配置した矩形断面部を有する弾性材１１ｂと、屋内側に配置した上記断面円形の弾性材１１ａとにより、上記ガラスパネル６の左右両端縁部を、表裏両側から弾性的に挟持している。又、このガラスパネル６と上記弾性材１１ａと上記凹溝部１０とにより三方を囲まれる部分にシール剤１２を充填している。
【００１２】
これに対して上記装飾用のガラスパネル６ａに関しては、屋内側に配置した矩形断面部を有する弾性材１１ｃと、屋外側に配置した上記断面円形の弾性材１１ａとにより、上記ガラスパネル６ａの左右両端縁部を、表裏両側から弾性的に挟持している。又、このガラスパネル６ａと上記弾性材１１ａと上記凹溝部１０とにより三方を囲まれる部分にシール剤１２を充填している。この様に、採光用のガラスパネル６と装飾用のガラスパネル６ａとで上記断面円形の弾性材１１ａの設置位置を逆にしているのは、上記シール剤１２の充填作業の容易化を考慮した為である。
【００１３】
上述の様にそれぞれの左右両側縁部を前記両側部８、８の凹溝部１０に支持した、上記各ガラスパネル６、６ａの上下両端縁部は、それぞれアルミニウム合金の押し出し型材製の横枠１３ａ、１３ｂ、１３ｃにより支持している。これら各横枠１３ａ〜１３ｃによる上記各ガラスパネル６、６ａの上下両端縁部の支持構造に就いて、カーテンウォール４の上から順番に説明する。
【００１４】
先ず、上下２枚設けた装飾用のガラスパネル６ａ、６ａのうちの上側のガラスパネル６ａの上端縁部は、図６に示す様に、上記両側部８、８の中間部上端寄り同士の間に掛け渡した横枠１３ａの下面に設けた係止溝部に、弾性材とシール剤とにより支持している。又、上記上側のガラスパネル６ａの下端縁部、上下２枚設けた装飾用のガラスパネル６ａ、６ａのうちの下側のガラスパネル６ａの上下両端縁部、採光用のガラスパネル６の上端縁部は、図７に示す様に、上記両側部８、８の中間部同士の間に掛け渡した横枠１３ｂ、１３ｂの上面及び下面に設けた係止溝部に、弾性材とシール剤とにより支持している。更に、上記採光用のガラスパネル６の下端縁部は、上記図６に示す様に、下方に隣り合わせて設けられた別のカーテンウォール４の上部に設けられた横枠１３ａの上面に設けた係止溝部に、弾性材とシール剤とにより支持している。従って、上記採光用のガラスパネル６の下端部は、上記両側部８、８の下端部よりも下方に突出した状態で設けられており、上下方向に連接されたカーテンウォール４、４の側部８、８同士の間に掛け渡された状態で支持される。尚、上記各ガラスパネル６、６ａの上下両端縁部を上記各横枠１３ａ、１３ｂ、１３ｃの上面又は下面に設けた係止部に支持する構造は、広く知られているカーテンウォール或は窓枠の場合と同様であるから、詳しい説明は省略する。
【００１５】
更に、図１、２の下端部に示したカーテンウォール４ａに就いては、図８に示す様に、主体７ａの下部に連結部９ａを設け、この連結部９ａの上面に横枠１３ｃを支持固定している。そして、この横枠１３ｃの上面に設けた係止溝部に、装飾用のガラスパネル６ａの下端縁部を支持している。このガラスパネル６ａに関しても、左右両側縁は、前述の図５に示した様に、側部８の内側面に形成した凹溝部１０に支持している。この様な図１、２の下端部に示したカーテンウォール４ａの構造は、本発明の技術的範囲からは外れる。
【００１６】
尚、ビルディングの壁面を構成する複数枚のカーテンウォールのうち、上端部に設けるカーテンウォール４ｃに関しては、図９に示す様に、左右１対の側部８の上端部同士の間に横枠１３ｄを掛け渡し、この横枠１３ｄの下面に設けた係止溝部に、装飾用のガラスパネル６ａの上端縁部を係止している。又、上記横枠１３ｄの上方に、笠木１４を支持している。この様なカーテンウォール４ｃを構成するガラスパネル６ａに関しても、左右両側縁は、前述の図５に示した様に、側部８の内側面に形成した凹溝部１０に支持している。この様な上端部に示したカーテンウォール４ｃの構造は、請求項１にのみ対応する。
【００１７】
上述の様に構成する本例の構造の場合、何れのカーテンウォール４、４ａ、４ｃに関しても、主体７、７ａに設けた１対の側部８、８の内側面に直接形成された凹溝部１０により、各ガラスパネル６、６ａの両側縁を支持している。この為、これら各ガラスパネル６、６ａの両側縁部を支持する為の竪枠を設ける必要がない。これら各ガラスパネル６、６ａを支持する為の枠材は、これら各ガラスパネル６、６ａの上下両端縁部分を支持する為の横枠１３ａ〜１３ｄのみを設ければ足りる。従って、上記枠材の全長を短くして、その分、カーテンウォール４、４ａ、４ｃの製造コストの低減を図れる。
【００１８】
【発明の効果】
本発明は、以上に述べた通り構成し作用する為、建築主の要求に対応する意匠を実現できる構造で、しかも製造コストを低く抑えられるカーテンウォールを得られる。
【図面の簡単な説明】
【図１】 本発明の実施の形態の１例に対応し、カーテンウォールにより構成した建造物の外壁面を示す、図３のＡ−Ａ断面図。
【図２】 同じく縦断面を示す、図１のＢ−Ｂ断面図。
【図３】 同じく横断面を示す、図１のＣ−Ｃ断面図。
【図４】 図３のＤ部拡大図。
【図５】 図１の拡大Ｅ−Ｅ断面図。
【図６】 図２のＦ部拡大図。
【図７】 同Ｇ部拡大図。
【図８】 同Ｈ部拡大図。
【図９】 壁面上端部の縦断面図。
【符号の説明】
１ 第一部分
２ ガラス窓
３ 第二部分
４、４ａ、４ｃ カーテンウォール
５ 鉄骨
６、６ａ、６ｂ ガラスパネル
７、７ａ 主体
８ 側部
９、９ａ 連結部
１０ 凹溝部
１１ａ、１１ｂ、１１ｃ 弾性材
１２ シール剤
１３ａ、１３ｂ、１３ｃ、１３ｄ 横枠
１４ 笠木

Claims (2)

1. コンクリート製の主体と、この主体によりそれぞれの水平方向両側縁を支持された状態で同一鉛直面上に支持された複数枚のパネルとを備え、このうちの主体は、水平方向に離隔した状態で互いに平行に配置された１対の側部と、これら両側部の上下方向中間部乃至一端部の屋内寄り部分同士を連結する連結部とを備えたものであり、上記各パネルの水平方向両側縁部は、上記両側部の互いに対向する内側面の屋外寄り部分に直接、上端から下端まで連続する状態で形成された凹溝部に支持されており、上記各パネルのうち、上記連結部から上下方向に外れた部分に設けられたパネルは採光用パネルであり、この連結部に対向する部分に設けられたパネルは装飾用パネルであるカーテンウォール。
2. 採光用パネルの上下方向一端部が１対の側部の上下方向一端部よりも上下方向に突出しており、上記採光用パネルは、上下方向に連接されたカーテンウォールの側部同士の間に掛け渡された状態で支持されるものである、請求項１に記載したカーテンウォール。

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