JP4079480B2 - (メタ)アクリル酸エステルの製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、(メタ)アクリル酸エステルの製造方法に関する。詳しくは、本発明は、(メタ)アクリル酸と炭素数1ないし3のアルコールとを特定の条件下で反応させて(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法に関する。なお、ここで「(メタ)アクリル」という用語は、「アクリル」及び「メタクリル」のいずれをも意味するものとする。
【0002】
【従来の技術】
(メタ)アクリル酸エステルは、合成繊維、塗料、接着剤等の原料として工業的に重要である。
(メタ)アクリル酸とアルコールとを反応させて(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、触媒としてイオン交換樹脂を用いる方法はよく知られている。この反応は平衡反応であるため、平衡をずらし、反応率を上げるために通常反応において反応物の一方、通常はアルコールを過剰に用いると共に、反応で生成する水を反応系から除去することが行われる。
【0003】
水を除去する方法としては、高温反応、減圧反応、共沸蒸留による方法等、従来からいろいろ提案されている。
例えば、特開平8−143512号公報には、イオン交換樹脂を触媒として炭素数1乃至8のアルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル化反応により(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、減圧下で反応を行い、反応液を加熱し生成水を除きながら、循環させることにより高転化率を達成する方法が提案されている。しかしながら、この場合、高転化率を得るためには反応液を加熱循環せねばならないという欠点を有しており、また、実施例には炭素数4又は6の高級アルコールの例しか示されていない。
【0004】
特開昭53−56611号公報には、イオン交換樹脂を触媒として用い、アクリル酸と高級アルコールとを反応させてアクリル酸エステルを製造するに当り、アルコールを過剰に用い、減圧下で反応させる方法が提案されている。そして、この場合、減圧下で反応を行うことによって、溶剤を用いずにワンパスで高い転化率を達成できること、常圧反応に比べ反応の選択率が良好であること、副生成物の増加率が遅いことの効果が挙げられているが、アルコールが過剰な条件で反応を行っているために副生成物であるアルコキシプロピオン酸とアルコキシプロピオン酸エステルの生成割合がアルコキシプロピオン酸エステルの方に偏っている。このため、メタノール等の低級アルコールを用いて反応を行ったとき、精製系においてアルコキシプロピオン酸エステルがアクリル酸エステルと共に留出し、精製系内を循環するようになってしまい精製プロセスでの負荷が大きくなるという欠点を有している。
【0005】
また、特開昭55−122740号公報には、イオン交換樹脂を触媒として用い、(メタ)アクリル酸とメタノール又はエタノールを反応させて(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、原料を反応器に供給しながら、反応系を気液混相状態に保って反応させる方法が提案されている。この場合、低級アルコールのエステル化では、減圧下で反応を行う必要がなく、常圧下で気液混相に保つことによりワンパスで高転化率を達成できるとされているが、本発明者等が検討を行ったところ、低級アルコールの反応において常圧では気液混相になる温度でも液相反応と同程度の転化率しか達成できなかった。また、常圧で気液混相にするために若干反応温度が高くなり、(メタ)アクリル酸が重合してしまうというトラブル等の原因になり易いという欠点を有している。
【0006】
上述したように、従来のアルコール過剰下で行うエステル化方法では、エステル化反応における転化率が必ずしも十分ではなく、また、その際、精製系で問題となるアルコキシプロピオン酸エステルのような副生物或いはアクリル酸エステルのポリマー等の生成量が多いという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、イオン交換樹脂を触媒として用いて、(メタ)アクリル酸と炭素数1ないし3の低級アルコールとを反応させて(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、ワンパスでのエステル化の収率を向上させると共に、精製系で問題となる副生物の生成量を極力減らすことができる方法を提供することにある
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、強酸性イオン交換樹脂を触媒として用い、減圧条件で反応を行い、更に(メタ)アクリル酸に対する低級アルコールのモル比を1未満にすることにより、ワンパスでのエステル化反応転化率及び選択率が向上するだけでなく、とりわけ、アクリル酸とメタノールとの反応において、アクリル酸と近い沸点を持ち、精製系で問題となるメトキシプロピオン酸メチルの生成量を減らすことができることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0009】
即ち、本発明は、
1.強酸性イオン交換樹脂を触媒として用い、(メタ)アクリル酸と炭素数1ないし3のアルコールとを反応させて(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、(メタ)アクリル酸に対するアルコールのモル比を1未満にし、反応温度が60〜130℃であり、且つ減圧下で反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法、
2.炭素数1ないし3のアルコールとしてメタノールを用いる1項に記載の方法、
3.(メタ)アクリル酸に対するアルコールのモル比が0.3以上ないし1未満である1又は2項に記載の方法、
4.反応圧力が100〜500Torrである1ないし3項のいずれかに記載の方法、
5.反応器として固定床反応器を用い、かつ該固定床反応器に供給する反応液の空間速度(hr-1)が0.1以上ないし1未満である1ないし4項のいずれかに記載の方法、
6.強酸性イオン交換樹脂を触媒として用い、(メタ)アクリル酸とメタノールとを反応させて(メタ)アクリル酸メチルを製造する方法において、(メタ)アクリル酸に対するメタノールのモル比が0.3以上ないし1未満、圧力100〜500Torr、温度60〜130℃及び空間速度(hr-1)0.1以上ないし1未満で反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法、
7.(メタ)アクリル酸とメタノールを強酸性イオン交換樹脂を充填した固定床反応器に供給して反応させる際に(メタ)アクリル酸とメタノールとを気液並流操作で接触させる1ないし6項のいずれかに記載の方法、
8.(メタ)アクリル酸とアルコールとを減圧下反応させて得られる反応混合物を冷却凝縮せずに、次工程の(メタ)アクリル酸分離蒸留塔に供給する1ないし7項のいずれかに記載の方法、
9.(メタ)アクリル酸とアルコールとを減圧下反応させて得られる反応混合物を、次工程の(メタ)アクリル酸分離蒸留塔に供給する際に、該反応混合物中の液状成分と気体状成分とを分離し、気体状成分は蒸留塔の塔頂付近に、液状成分は気体状成分の供給位置より下部に供給する1ないし8項のいずれかに記載の方法、
10.エステル化反応器として熱交換器型多管式反応器を用い、反応管内に触媒を充填し、反応管の外側を水蒸気又は熱媒体で加熱する1ないし9項のいずれかに記載の方法、及び
11.(メタ)アクリル酸としてアクリル酸を用いる1ないし10項のいずれかに記載の方法、を要旨としている。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について更に詳細に説明する。
本発明に用いられる炭素数1ないし3のアルコールとしては、メタノール、エタノール、n−プロパノール及びi−プロパノールが挙げられる。アルコールについては、工業的に用いられる純度のもので十分である。但し、水分については、出来るだけ少ないものが好ましい。
【0011】
なお、アルコールとしてメタノールを用いた場合、従来法のメタノール過剰でエステル化を行う場合には副生するメトキシプロピオン酸メチルの沸点(143℃)がアクリル酸の沸点(141℃)と非常に近いため、精製系においてその分離が問題となるが、本発明の場合、アクリル酸過剰でエステル化を行うためにその副生量を大幅に減らすことができるというメリットがある。
【0012】
本発明に用いられるアクリル酸又はメタクリル酸については、工業的に用いられる純度のもので十分であるが、水分については出来るだけ少ないものが好ましい。
(メタ)アクリル酸に対する低級アルコールのモル比は、通常0.3から1未満、好ましくは0.5〜0.75で行うのがよい。残存(メタ)アクリル酸は、精製工程で回収され、反応器に戻される。
【0013】
本発明に用いられる強酸性陽イオン交換樹脂は、通常、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体を硫酸で処理して得られるものである。樹脂としては、多孔質又はゲルタイプの樹脂が使用可能であるが、多孔質タイプの樹脂が好適に用いられる。特に粗製アクリル酸を使用する場合には耐有機汚染性に優れた多孔質タイプの樹脂を使用するのが好ましい。多孔質の強酸性陽イオン交換樹脂としては架橋度2〜16%、ポロシティ0.1〜1.0ml/g、平均細孔径100〜600オングストロームのものが好ましく使用でき、具体例としてはC−260(デュオライト社製)、ダイヤイオンPK−208,PK−216,PK−228(三菱化学社製)、HCR−W2−H,MSC−1,88(ダウ・ケミカル社製)、アンバーリスト−16(ローム・アンド・ハース社製)、SPC−108、SPC−112(バイエル社製)等が挙げられる。
【0014】
この中、ダイヤイオンPK−216(三菱化学社製)、HCR−W2−H(ダウ・ケミカル社製)が好適に使用できる。
このようなイオン交換樹脂を触媒として用いた(メタ)アクリル酸エステルの製造に用いる反応器としては固定床反応器が好ましく、またその反応方式としては、気−液−固の三相反応として反応させる方式が好適に採用される。本発明において気液の流れ方は、気液並流となるのが好ましい。
【0015】
気液向流で反応する場合は、強酸性イオン交換樹脂の形状、サイズ、充填態様を調節することによって、ガスの流れを確保する必要がある。
また、気−液−固の三相反応を行う前段階として常圧又は加圧の固定床でのエステル化反応を組み合わせてもよい。
反応温度は、通常60〜130℃で行われるが、60〜100℃が好ましく、更に好ましくは70〜90℃である。60℃未満では、触媒の活性が不十分で、反応速度が遅くなるため反応器容積が大きくなり経済的でない。また、圧力500Torrでのアクリル酸の沸点は129℃であるために130℃を越えると減圧条件下でアクリル酸が気化してしまい本発明の効果が低下する傾向となる。
【0016】
反応圧力は、100〜500Torrが好ましく、更に好ましくは200〜300Torrである。100Torr未満ではアクリル酸が気化しやすくなるため、本発明の効果が低下する傾向となる。
固定床反応器に供給する反応液の空間速度(hr-1)は、通常0.1〜1.0未満であり、好ましくは、0.33〜0.5で行うのがよい。SVが0.1未満では反応器単位容積当りの生産性が低く、経済的でない。また、SVが1.0以上だと、十分な反応率を得られない。
【0017】
減圧下、60〜130℃で反応を行うため、エステル化反応器は熱交換器型多管式反応器が好適である。この反応器を竪置きに設置し、反応管内に触媒であるイオン交換樹脂を充填して、好適には上部より反応原料である(メタ)アクリル酸とアルコールとを主成分とする反応液を供給する。反応管の外側には水蒸気又は加熱用熱媒体を供給し、反応管内の反応温度を維持する。反応圧力を100〜500Torrに保つためには、エステル化反応器の出口を冷却凝縮器を介して、真空ポンプ等の真空系に導くことにより達成される。
【0018】
特開平2−279655号公報等に示されているように、エステル化反応後の反応混合物は、次工程である(メタ)アクリル酸分離工程へ導かれて未反応(メタ)アクリル酸が分離される。
(メタ)アクリル酸分離工程は一般に蒸留により行われるが、(メタ)アクリル酸を高温に曝すことは重合防止の点からも好ましくないので、(メタ)アクリル酸分離蒸留塔は減圧下で操作するのがよい。好適には、エステル化反応器の出口をアクリル酸分離蒸留塔に連結し、反応混合物を直接アクリル酸分離蒸留塔に供給することにより、反応系及び蒸留系を一貫して減圧に保つことができる。
【0019】
本発明ではエステル化反応器は100〜500Torrの減圧下に保たれ、水蒸気又は加熱用熱媒体で加熱することにより温度が60〜130℃に保たれる。該反応条件ではエステル化反応が進行するに従い、反応液の一部が蒸発する。エステル化反応器の出口における反応混合物は、反応液とその一部が蒸発した気体とが共存する気液混合状態である。エステル化反応の次工程では(メタ)アクリル酸分離蒸留塔で(メタ)アクリル酸が蒸留分離されるが、エステル化反応器の出口の反応混合物を凝縮や冷却することなく、(メタ)アクリル酸分離回収塔に供給することにより、エステル化反応器に供給された熱エネルギーを有効に利用することが出来、エネルギー的にも、蒸留分離のためにも、より効率的に(メタ)アクリル酸分離が可能であることが見いだされた。
【0020】
更に、本発明者等は、気液共存状態の反応器出口の反応混合物の内、液状成分は(メタ)アクリル酸を主成分とし、気体成分はアルコール、(メタ)アクリル酸エステル及びエステル化反応で生成した水を主成分とする混合物であることを確かめた。これらの組成は、アルコールの種類、反応温度及び反応圧力によって異なるが、反応圧力が高いほど、また反応温度が低いほど反応器出口の気体成分への(メタ)アクリル酸混入は少なく、逆の場合には液状成分中の(メタ)アクリル酸エステル等の低沸点成分の含有量は少なくなる。
【0021】
反応器出口の反応混合物を(メタ)アクリル酸分離蒸留塔に供給する際、予め(メタ)アクリル酸を主成分とする液状成分とアルコール及び(メタ)アクリル酸エステルを主成分とする気体成分とに分離し、この気体成分を(メタ)アクリル酸分離蒸留塔の塔頂付近に供給し、液状成分を前記気体成分の蒸留塔への供給位置よりも下部に供給することが好適であることを見い出した。
【0022】
次に、本発明を図1に示すフローシートに基づいて具体的に説明する。(メタ)アクリル酸及びアルコールは混合されて、エステル化反応器1の上部より供給される。エステル化反応器の内部には触媒であるイオン交換樹脂が充填されている。エステル化反応器には水蒸気又は加熱用熱媒体が供給され、反応温度が維持される。
【0023】
エステル化反応器1から取り出される反応混合物は液状成分と気体成分とに分離される。好ましくは、気体成分は(メタ)アクリル酸分離塔2の上部、即ち、蒸留塔の塔頂付近に供給される。この(メタ)アクリル酸分離塔2は蒸気凝縮器3を介して真空系に連結されている。(メタ)アクリル酸分離塔2の塔頂からはアルコール、(メタ)アクリル酸エステル及び反応生成水からなる混合液が留出し、更に次工程でこの混合液からアルコール及び水を分離して、(メタ)アクリル酸エステルが製品として得られる。塔底からは実質的に(メタ)アクリル酸が流出し、該(メタ)アクリル酸は反応副生物を分離した後(フローには記述されていない)、或いはそのままエステル化反応用に循環使用される。
【0024】
【実施例】
以下、本発明を実施例及び比較例を挙げて更に具体的に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
<実施例1>
内径20mm、長さ500mmのガラス製二重管の反応塔の内管に強酸性イオン交換樹脂(PK−216)を100cc充填固定し、この反応塔の中央部に測温端を挿入した。外部のジャケットにマントルヒーターで80℃まで加熱した熱媒(トリエチレングリコール)を循環した。反応系の圧力は300Torr(0.04MPa)にした。
【0025】
原料は、アクリル酸に対するメタノールのモル比を0.75としたアクリル酸/メタノール混合液を使用した。この混合液には重合防止剤として、1000ppmのハイドロキノン、500ppmのヒドロキノンモノメチルエーテル、500ppmのフェノチアジンを添加した。
混合された原料は定量ポンプにより、背圧弁を通して反応塔の上部よりSV=0.33で供給した。
【0026】
反応塔下部より得られる反応液を全凝縮したところ、アクリル酸(以下AAと略す)15.92モル%、メタノール(以下MeOHと略す)2.05モル%、アクリル酸メチル(以下AEMと略す)40.80モル%、水40.80モル%、メトキシプロピオン酸(以下MPAと略す)0.24モル%、メトキシプロピオン酸メチル(以下MPMと略す)0.19モル%からなるエステル化生成物を得た。
【0027】
メタノール転化率は、95.32%に達した(計算上の平衡転化率は83%)。選択率は98.50%であった。
上記の条件における反応結果を表−1に示す。
<実施例2、3及び比較例1>
反応圧力を表−1に示すように変えたこと以外は実施例1と同様にしてエステル化反応を行った。結果を表−1に示す。
<実施例4〜6>
反応圧力、モル比(MeOH/AA)を0.5に変えたこと以外は実施例1と同じ条件で反応を行った。結果を表−2に示す。
<実施例7及び比較例2>
実施例1と同様な装置を使用し、80℃、300Torrの条件でモル比0.5及び0.85の場合の反応結果を表−3に示す。
<実施例8及び比較例3>
熱媒の温度を表−4に示すように、65℃(実施例8)又は55℃(比較例3)に変えたこと以外は実施例1と同様に反応を実施した。結果を実施例1の結果と併せて表−4に示す。
<実施例9>
実施例1と同様な条件で反応を行ったが、反応液を全凝縮させずに、気体成分と液状成分とを分取した。結果を表−5に示す。
【0028】
気体成分は、3.12g/時で流出し、AEM80.42モル%、メタノール5.66モル%、水14.15モル%であり、液状成分は、27.23g/時で流出し、水42.76モル%、AEM37.77モル%、アクリル酸17.25モル%、メタノール1.76モル%、MPA0.26モル%、MPM0.20モル%であった。
<実施例10、比較例4>
メタノールの代わりにエタノール(以下EtOHと略す)を用い、モル比(EtOH/AA)及び反応圧力を表−6に示す通りに変更したこと以外は実施例1と同様に反応を実施した。結果を表−6に示す。
<実施例11>
アクリル酸の代わりにメタクリル酸を用い、さらに圧力を200Torr、SV=0.2と変えたこと以外は実施例1と同様にしてエステル化反応を行った。
【0029】
その結果、反応塔下部より、メタクリル酸19.34モル%、メタノール4.04モル%、メタクリル酸メチル38.31モル%、水38.31モル%からなるエステル化生成物を得た。
ワンパスでのメタノール転化率は90%に達した。
<比較例5>
反応圧力を常圧としたこと以外は実施例11と同様に反応を実施したところ、メタノール転化率は77%であった。
【0030】
【発明の効果】
上述の実施例及び比較例から明らかな通り、本発明によれば、イオン交換樹脂を触媒として用いて、(メタ)アクリル酸と炭素数1ないし3の低級アルコールとを反応させて(メタ)アクリル酸エステルを製造する際に、エステル化反応におけるワンパスでの転化率及び選択率が向上すると共に、精製系で問題となるアルコキシプロピオン酸エステルの副生量を大幅に減らすことができる。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】
【表4】
【0035】
【表5】
【0036】
【表6】
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一態様を示すフローシートである。
【符号の説明】
1 エステル化反応器
2 アクリル酸分離塔
3 蒸気凝縮器
Claims (5)
- 強酸性イオン交換樹脂を触媒として用い、(メタ)アクリル酸と炭素数1ないし3のアルコールとを反応させて(メタ)アクリル酸エステルを製造する方法において、(メタ)アクリル酸に対するアルコールのモル比を1未満にし、反応温度が60〜130℃であり、且つ減圧下で反応させることを特徴とする(メタ)アクリル酸エステルの製造方法。
- 炭素数1ないし3のアルコールとしてメタノールを用いる請求項1に記載の方法。
- (メタ)アクリル酸に対するアルコールのモル比が0.3以上ないし1未満である請求項1又は2に記載の方法。
- 反応圧力が100〜500Torrである請求項1ないし3のいずれか1項に記載の方法。
- 反応器として固定床反応器を用い、かつ該固定床反応器に供給する反応液の空間速度(hr-1)が0.1以上ないし1未満である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の方法。
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