JP4078568B2 - 液状体の吐出塗布方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弁機構を有する吐出ガンと、基材とを相対的に移動させながら、基材表面に接着剤、シーラント剤、封止剤、コーティング剤等の液状体を前記吐出ガンのノズルから吐出して基材上に線状に吐出塗布する方法に関する。なお本発明では、液状体とは、熱可塑性樹脂のごとく、加熱溶融することにより液状体をなすものも含むものとして用いる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、液晶基板の製造工程や電子基板の製造工程等において、弁機構を有する吐出ガンと、被塗物である基材とを相対的に移動させながら、基材表面に接着剤、シーラント剤、封止剤、コーティング剤等の液状体を前記吐出ガンのノズルから吐出して、基材上に細線を描画するように吐出塗布することは、広く実施されている行為である。
【0003】
上記した従来の液状体の吐出塗布方法に用いられている、弁機構を有する吐出ガン装置の実施例として、実公平7−33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサが知られている。この装置は弁機構の開閉動作に電磁アクチュエーターを用いたもので、その詳細は同公報に詳述されているので、同公報を参照されたい。また同公報には被塗物である基材及び基材とディスペンサとの関係の説明が欠けているが、ディスペンサと被塗布物である基材とは、相対的に移動可能に構成され、例えばX軸Y軸移動可能のロボット装置等によって基材に対してディスペンサが移動するか、又はディスペンサに対して基材が移動するように構成される。
【0004】
また別の実施例として、弁機構の開閉動作にエアアクチュエーターを用いた事例を図2に示す。すなわち図2は、液状体を吐出塗布するための装置の概要を示したもので、符号1は吐出ガンで、該吐出ガン1はエアオペレートタイプを示す。2は液状体供給装置であり、3は吐出ガン1の操作用エアをオン・オフ制御する電磁弁で、該電磁弁3は制御装置4からの制御信号によって開閉動作が行われる。5は吐出ガン1の操作用のエア供給源であり、6は被塗布物である基材を示す。
【0005】
図2に示す吐出ガン1においても、吐出ガン1と被塗布物である基材6とは、相対的に移動可能に構成されており、例えばX軸Y軸移動可能のロボット装置等によって基材6に対して吐出ガン1が移動するか、又は吐出ガン1に対して基材6が移動するように構成される。このように構成された液状体の吐出塗布装置では、制御装置4からの制御信号を受けて電磁弁3が開状態になると、エア供給源5から操作エアが吐出ガン1ヘ供給される。すると吐出ガン1のピストン7が、ばね8の押し圧力に抗して上方へ押し上げられる。そして吐出ガン1の弁機構を構成するニードル9もピストン7に直結しているので同時に上方へ引き上げられ、弁機構は開となる。
【0006】
そして液状体供給装置2から供給される液状体は、吐出ガン1の弁機構の開動作によりノズル10から吐出し、吐出ガン1に対し相対移動する基材6の面上に線状に塗布される。符号11は基材上に塗布された液状体を示す。塗布の終了は、制御装置4からの制御信号により電磁弁3が切り替わり、吐出ガン1のピストン7を押し上げていたエア圧が大気開放されると、ピストン7は、ばね8の力で押し下げられ、ニードル9が弁機構を閉じて液状体の吐出が停止する。
【0007】
前記した実公平7−33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサ及び図2に例示した吐出ガンによる、液状体の線状塗布における弁機構の開閉動作と液状体の塗布パターンを図3に示す。
【0008】
すなわち、図3は、弁機構の開閉動作のタイミング12と塗布パターン11の関連を示す模式図である。図は横軸に時間をとったもので下側に示す線図が弁機構の開閉動作12を示し、これに同期して、上側が液状体の塗布パターン11を示している。もちろんこの図は模式的に拡大誇張して表したものなので、実際の液状体塗布パターン11は、パターンの線幅Hがおよそ50〜150ミクロンといった極めて細い線幅で塗布されることも珍しいことでない。この図3で明らかなように従来の塗布方法では、塗布の開始から塗布の終了まで弁機構は開いたままであり、また塗布終了時点Aで塗布量が急激に増加して線幅が拡大していることが理解されよう。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、前述した液状体の塗布方法においては、次のような問題があった。すなわち、図3に示すように塗布の終了時点Aで、急激に塗布量が増加することである。それは、正常な塗布パターンの線幅Hに対して塗布終了点Aの線幅は3〜5倍にも達することもあり、これが製品の品質低下を招いていた。これはあくまでも吐出ガンと基材との相対移動速度が塗布開始から塗布終了まで一定速で移動される場合である。この原因は、塗布終了時点で弁機構が閉じるときに、ニードルがピストンポンプ的な作用をして、ノズル部の液状体を一気に押し出すためと考えられる。
【0010】
また、最近の生産工程では、ロボットの高機能化に伴い複雑な曲線描画的塗布の要求もあり、このような生産工程では塗布開始から塗布終了時点まで、吐出ガンと基材との相対移動速度は必ずしも一定速ではなく可変速制御されることもある。例えば直線的移動部分では早く、急激なカーブや屈折的塗布部分では速度を遅くするなどの制御が行われる。このような場合、相対移動速度が早いところでは塗布の線幅は細く、また遅いところでは塗布の線幅が広くなり、一定の線幅を描くことがむずかしい。これがまた製品の品質低下を招いていた。
【0011】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、弁機構を有する吐出ガンと、基材とが相対的に移動するように構成された液状体の吐出塗布装置を用いて、液状体を基材表面に線状に吐出塗布する方法において、塗布終了時点で急激な塗布量の増加による塗布線幅の拡大を防止し、また相対移動速度が変化しても常に一定の線幅で液状体を塗布することができるような、液状体の吐出塗布方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
前記した課題を解決するために、本発明では次のような方法とした。すなわち、弁機構を有する吐出ガンと、基材とが相対的に移動するように構成された液状体の吐出塗布装置を用いて、前記吐出ガンのノズルから液状体を50〜150ミクロンの線幅で線状に基材表面に吐出塗布する方法において、吐出ガンと基材との相対移動速度に比例して毎分2000〜20000サイクルの範囲内で吐出ガンの弁機構をパルス状に開閉作動させて液状体を0.5〜1.0kg/cm と低圧で吐出塗布させると共に基材表面に隣り合うドットとドットが部分的に重なり合うようにして連続したドット状に吐出塗布し、前記相対移動速度が変化しても一定の線幅で実質的に線状に塗布することを特徴とする、液状体の吐出塗布方法とした。
【0013】
また、前記の液状体の吐出塗布方法において、前記基材は液晶基板又は電子基板であり、前記液状体は接着剤又はシーラント剤又は封止剤又はコーティング剤であることを特徴とする、液状体の吐出塗布方法とした。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。本発明では、先ず弁機構を有する吐出ガンと、基材とが相対的に移動するように構成された液状体の吐出塗布装置を用いて、前記吐出ガンのノズルから液状体を基材表面に吐出塗布する方法において、吐出ガンの弁機構をパルス状に開閉作動させながら液状体を基材表面に連続したドット状に吐出塗布することにより実質的に線状に塗布される。そしてその塗布パターンはミクロ的な視野から観察すれば、一つのドットごとにパターンの線幅は若干の広いところと狭いところができるが、全体的に観察すればほぼ均一な線幅となって塗布され、従来技術に比べて塗布終了時点で線幅が広くなることもなく実質的に高い製品品質を得ることができる。また1ドットごとの液状体の吐出は、ニードルのピストンポンプ的な作用に依存するので、液状体の圧力は極めて低圧力で吐出させることができる。
【0015】
また弁機構を吐出ガンと基材との相対速度に比例させて毎分2000〜20000サイクルの範囲内でパルス状に開閉作動させることにより、カーブなどを描くように塗布する場合の相対速度を可変させて塗布する場合においても、常に一定の線幅で塗布することができる。また弁機構を吐出ガンと基材との相対速度に比例させて毎分2000〜20000サイクルの範囲内でパルス状に開閉作動させることは、実験による吐出ガンの構造的な臨界を示したもので、開閉動作が前記値から外れると液状体の粘度特性の影響も受け易く、塗布される線幅が不安定となるためである。
【0016】
【実施例】
以下本発明の液状体の吐出塗布方法を、その実施例を示す図と共に具体的に説明する。なお塗布に用いた装置は従来技術で説明した実公平7−33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサ及び図2に示すものと基本的に同一の装置を用いた。また、制御装置4への入力情報として、図示していないX軸Y軸移動のロボットからの速度信号を取り入れ、制御装置4に組み込まれた演算機能によって、速度に比例した開閉信号を実公平7−33907号公報に開示された液体微量吐出用ディスペンサのソレノイド装置へあるいは図2の電磁弁3へ出力するように構成した。従って塗布装置の詳細な説明は省略する。次に図1は、本発明による弁機構のパルス状開閉タイミング13と塗布パターン14の関連を示す模式図である。
【0017】
図1は横軸に時間をとったもので、下側に示す線図13は弁機構がパルス状に開閉動作していることを示し、これに同期して、上側が液状体の塗布パターン14を示したものである。もちろんこの図は模式的に拡大誇張して表したものなので、実験による塗布パターンでは、パターンの線幅Hはおよそ0.10ミリであり、全長にわたって安定した線幅が得られた。また液状体の液圧は0.5〜1.0kg/cm2 と従来の15〜20kg/cm2 に比べて極めて低圧で正常な吐出塗布ができた。また実公平7−33907号公報に開示された弁機構の開閉動作に電磁アクチュエーターを用いた装置は、図2に例示したエアオペレートタイプの吐出塗布装置に比べて高速応答性が優れている。
【0018】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、前述した従来の塗布方法に比べ、塗布終了時点で急激な塗布量の増加による塗布線幅の拡大することもなく、また相対移動速度が変化しても常に一定の線幅で液状体を塗布することができ、安定した液状体の吐出塗布方法を提供することができる。また液状体に作用させる圧力は極めて低圧で吐出塗布することができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による弁機構の開閉タイミングと塗布パターンの関連を示す模式図。
【図2】液状体を吐出塗布するための装置の事例を示す図。
【図3】従来の塗布方法における弁機構の開閉タイミングと塗布のパターンの関連を示す図である。
【符号の説明】
1…吐出ガン、2…液状体供給装置、3…電磁弁、4…制御装置、5…エア供給源、6…基材、11…液状体、13…弁機構のパルス状開閉タイミング、14…塗布パターン、

Claims (2)

  1. 弁機構を有する吐出ガンと、基材とが相対的に移動するように構成された液状体の吐出塗布装置を用いて、前記吐出ガンのノズルから液状体を50〜150ミクロンの線幅で線状に基材表面に吐出塗布する方法において、吐出ガンと基材との相対移動速度に比例して毎分2000〜20000サイクルの範囲内で吐出ガンの弁機構をパルス状に開閉作動させて液状体を0.5〜1.0kg/cm と低圧で吐出塗布させると共に基材表面に隣り合うドットとドットが部分的に重なり合うようにして連続したドット状に吐出塗布し、前記相対移動速度が変化しても一定の線幅で実質的に線状に塗布することを特徴とする、液状体の吐出塗布方法。
  2. 前記基材は液晶基板又は電子基板であり、前記液状体は接着剤又はシーラント剤又は封止剤又はコーティング剤であることを特徴とする、請求項1に記載の液状体の吐出塗布方法。
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