JP4078191B2 - 羽ばたき浮上移動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、本体と、該本体の前後方向に対する左側および右側のそれぞれに設けられた一対の羽部とを有する羽ばたき浮上移動装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、人間の生活環境や災害地といった多種多様な環境においてロボットが活動することが求められている。その求めに対応するために、多種多様な障害物の存在する環境における活動に適した移動機構が求められている。そのような状況の中で、飛行により移動可能な移動機構、特に、停空可能であり、機動性が高く、かつ、小型化に有利な羽ばたき飛行による移動機構の研究が進められている。
【0003】
その代表的な例として、高谷は、特開2002−85860号公報において、羽ばたきにより浮上する模型飛行機を提案している。特開2002−85860号公報に開示されている模型飛行機の動作原理は次のようなものである。
【0004】
この模型飛行機は、1自由度のアクチュエータを用いている。また、この模型飛行機は、1自由度のアクチュエータによって駆動される駆動軸が羽の前縁に沿って設けられている。この1自由度のアクチュエータの駆動により、羽の主表面に対して略垂直な方向、すなわち鉛直方向に羽が往復運動する。その羽の往復運動により、羽の後縁側がしなる。しなった羽の復元力により、羽の主表面が広がる方向において模型飛行機の後ろ側に向かって気流が生じる。その気流により、模型飛行機に推進力が生み出される。その結果、羽が略水平方向前側に移動する。その羽の前側への移動により、迎角を有する羽に揚力が生まれる。模型飛行機は、この揚力を用いて、浮上移動するものである。
【0005】
また別の例として、カリフォルニア大学バークレー校のRon Fearingらが開発した浮上移動装置がある。Ron Fearingらは、ハエの羽の動きを模倣した2自由度アクチュエータを用いてロボットを構築する手法を試みている。その手法が、論文"Wing transmission for a micromechanical flying insect" (J. Yan, S.A. Avadhanula, J. Birch, M.H. Dickinson, M. Sitti, T. Su, and R.S. Fearing Journal of Micromechatronics, vol. 1, no. 3, pp. 221-238, 2002).に紹介されている。
【0006】
たとえば、ハエのように、体軸(体の前後方向に伸びる軸)をほぼ水平にしたまま安定してホバリング可能な昆虫は、羽の長手方向に延びる軸回りに羽を大きくねじることにより、体軸が延びる方向の羽の往復運動の往路および復路のそれぞれで揚力を生み出している。また、昆虫は、体軸が延びる方向の羽の往復運動の両端では、羽を回転させることにより回転揚力と呼ばれる揚力を生みだしている。さらに、昆虫は、往復運動の開始時点では、体軸が延びる方向の羽の往復運動によって発生した流体の流れを用いることにより、効率的に浮上力を得ている。つまり、昆虫は、体軸が延びる方向において後側に羽を運動させるときには、体軸が延びる方向において前側に羽を運動させたときに発生した流体の流れに逆らって羽を運動させるとともに、体軸が延びる方向において前側に羽を運動させるときには、体軸が延びる方向において後側に羽を運動させたときに発生した流体の流れに逆らって羽を運動させることにより、自らの羽の運動で発生させた流体の流れを利用して揚力を得ている。
【0007】
上記論文に記載された浮上移動装置は、これらの動作原理を利用することを目指した浮上移動装置である。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−85860号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
前述したような実用化に適した数cm〜数十cm程度の浮上移動装置の一例の羽ばたき飛行ロボットは、浮上のため小型軽量であることが要求される。より具体的には、作業に適した飛行形態である停空飛翔(ホバリング)を行うには、左右それぞれ一方の羽を2自由度で運動させることが必要である。すなわち、浮上移動装置には、水平方向への往復回転運動(回動)と、羽の長手方向に延びる軸を回転軸とするねじり運動とを、左右それぞれの羽に行わせる必要がある。しかしながら、左右それぞれの羽に2自由度の運動させることを、1自由度で駆動するアクチュエータを用いて実現する手法は未だ発明されていない。
【0010】
また、左右それぞれの羽に2自由度の運動させることを実現するために、1自由度のアクチュエータを左右それぞれの羽に2つ以上設けて羽を駆動する場合には、アクチュエータの総重量が大きくなってしまうため、浮上移動装置の飛行に支障をきたすという問題がある。
【0011】
以下、従来技術の問題を、例を挙げて説明する。
高谷の発案による模型飛行機に見られる羽ばたき浮上移動装置は、1方向の羽の運動、すなわち羽の主表面に対して垂直な方向のみの羽の往復運動で羽ばたき飛行を実現することができるものである。
【0012】
しかしながら、この浮上移動装置は、羽ばたきの運動により発生する流体力を推進力の発生に用いている。また、この浮上移動装置では、浮上力のほとんどが、推進力に起因して羽に生じる揚力を利用して発生する。すなわち、この浮上移動装置は、ある程度の速度で前進することによって初めて揚力を得ることができる。そのため、この浮上移動装置は、水平方向へ移動しない限り落下してしまう。つまり、高谷の発案による模型飛行機は、停空飛翔することが困難であり、また、障害物への衝突を回避し難いという問題がある。
【0013】
また、Fearingらによる浮上移動装置としてのロボットでは、羽の表面に対して垂直な方向の往復運動のみにより揚力を発生させることができる。そのため、上述の問題は回避されることにより、Fearingらによる浮上移動装置は、停空飛翔が可能である。しかしながら、Fearingらによる浮上移動装置は、左右それぞれの羽の往復運動を実現するために、一方の羽の根元の両端それぞれを羽の表面に対して垂直な方向に独立して往復運動させているため、一方の羽それぞれに別個独立した2つのアクチュエータが必要になる。
【0014】
その結果、アクチュエータの構成が複雑なものとなるという問題がある。また、アクチュエータの質量も大きなものになるため、浮上可能な重量でこのアクチュエータを実現することができないと言う問題がある。さらに、飛行方向の制御などを行うためには、もう1自由度増加させる必要がある。すなわち、2つのアクチュエータとは別個独立した他のアクチュエータを搭載する必要がある。その結果、さらなる重量増加を余儀なくされると言う問題がある。
【0015】
以上のように、従来提案されてきた浮上移動装置は、ホバリングを行えない1自由度のタイプの浮上移動装置、または、浮上を行うアクチュエータに重量が飛行に影響を与える程度に大きくなるタイプの浮上移動装置しかない。すなわち、実用可能な浮上移動装置はいまだ開発されていない。
【0016】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、1自由度のアクチュエータでホバリング可能な羽ばたき浮上機構を提供することである。
【0017】
また、他の目的は、ホバリング可能な浮上移動装置にさらに1自由度アクチュエータが付加され、その付加されたアクチュエータにより方向制御が可能となる羽ばたき浮上移動装置を提供することである。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明の羽ばたき浮上移動装置は、本体と、本体の前後方向に対する左側および右側のそれぞれに設けられた一対の羽部とを有する羽ばたき浮上移動装置(以下、単に「浮上移動装置」ともいう。)である。
【0019】
また、本発明の羽ばたき浮上移動装置は、一方端側が羽部に固定されるとともに、他方端側が本体に取り付けられている。また、本発明の羽ばたき浮上移動装置は、駆動源の駆動力を羽部に伝達する伝達軸と、前後方向および前後方向に垂直な方向である左右方向を含む面に平行な面に沿って伝達軸を所定の中心点回りに回動させる中心点回り回動機構とを備えている。また、本発明の羽ばたき浮上移動装置は、駆動源の駆動力を利用することなく、伝達軸の所定の中心点回りの回動に従動する機構であって、伝達軸が延びる方向を回動中心軸として、伝達軸を回動中心軸回りに回動させる軸回り回動機構を備えている。
【0020】
また、羽部は、伝達軸の回動中心軸回りの回動により周囲流体に流体力を生じさせ、その流体力は、浮上移動装置の重力の方向とは逆向きに、浮上移動装置の重力よりも大きな浮上力を浮上移動装置に生じさせることが可能である。
軸回り回動機構は、中心点回りの回動としての往復運動の一方の死点に伝達軸が到達した時点の前の時点から後の時点にかけて、および、中心点回りの回動としての往復運動の他方の死点に伝達軸が到達した時点の前の時点から後の時点にかけて、それぞれ、羽部に回転揚力を生じさせるように、伝達軸を回動中心軸回りに回動させる。
【0021】
上記の構成によれば、中心点回り回動機構による伝達軸の所定の中心点回りの回動に従って、中心軸回り回動機構による伝達軸の回動中心軸回りの回動が行われる。したがって、駆動源は、回動中心軸回り回動機構を駆動することなく、中心点回り回動機構を駆動するだけで、羽部の2自由度の動作をさせることができる。つまり、上記構成によれば、中心点回り回動機構という1自由度のアクチュエータを駆動するだけでホバリングを行うことが可能な浮上移動装置を提供することができる。
【0022】
本発明の浮上移動装置は、好ましくは、前後方向および左右方向を含む面に沿って、伝達軸の所定の中心点回りの回動の振幅中心を移動させることが可能な回動振幅中心移動機構をさらに備えている。
【0023】
この構成によれば、伝達軸の所定の中心点回りの回動の振幅中心を移動させるにより、ホバリングのみならず前後左右のいずれの方向へ進むことが可能となる。
【0024】
また、本発明の浮上移動装置によれば、回動振幅中心移動機構は、中心点回り回動機構が伝達軸を回動させているときに、伝達軸の前記所定の中心点回りの回動の振幅中心を移動させることが可能であることが望ましい。
【0025】
また、軸回り回動機構は、ラックギアとピニオンギアとのかみ合いを利用して回動する。これにより、単純な構造で上述の1自由度のアクチュエータでホバリングを行うことが可能な浮上移動装置を提供することができる。
【0026】
また、浮上移動装置は、回動振幅中心移動機構として、ラックギアとピニオンギアとのかみ合いの状態を保持しつつ、伝達軸の所定の中心点回りの回動に追随して、ラックギアを移動させることが可能であるギア移動機構を備えていてもよい。
【0027】
上記の構成によれば、伝達軸の所定の中心点回りの回動の範囲のみを変更することが可能となる。
【0028】
また、ラックギアの移動を用いて、羽部の表面の近傍において、羽部の表面と平行な方向に発生する流体の流れの向きを変化させることが可能であることが望ましい。
【0029】
上記の構成によれば、羽部の回動により発生する合力の向きおよび大きさを変化させることができるため、浮上移動装置の移動の方向をラックギアの移動という簡単な制御で実現することができる。
【0030】
また、ラックギアに対するピニオンギアのギア比は、伝達軸が中心点回り回動機構の回動の振幅の2つの死点それぞれおよびそれぞれの近傍にあるときよりも、伝達軸が中心点回り回動機構の回動の振幅中心およびその近傍にあるときの方が大きいことが望ましい。
【0031】
上記の構成によれば、羽部の回転揚力を大きくすることができるため、浮上移動装置の消費エネルギーを小さくすることができる。
【0032】
また、伝達軸の回動中心軸回りの回動の速度は、伝達軸が所定の中心点回りの回動の振幅中心およびその近傍にあるときよりも、伝達軸が所定の中心点回りの回動の振幅の死点およびその近傍にあるときの方が大きいことが望ましい。
【0033】
上記の構成によれば、所定の中心点回りの回動の振幅の2つの死点およびその近傍における羽部の回転揚力を大きくすることができる。したがって、羽速の所定の中心点回りの回動の速度の低下に伴う揚力の減少を補うことができる。
【0034】
また、本発明の浮上移動装置は、一対の中心点回り回動軸それぞれを独立して制御可能な制御部と、一対の中心点回り回動軸および制御部を駆動する駆動源と、一対の中心点回り回動軸、制御部、および、駆動源を支持する支持構造とを備えていてもよい。
【0035】
上記の構成によれば、駆動源が内蔵されているため、駆動源からの距離の制約を受けずに、羽ばたき飛行することができる浮上移動装置を提供することができる。
【0036】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施の形態の羽ばたき浮上移動装置について、図1〜13を用いて説明する。
【0037】
(全体の構成)
まず、本実施の形態の浮上移動装置の全体の主要な構成について、図1を用いて説明する。なお、本実施の形態の浮上移動装置では、特に断らない限り、説明の簡便のため、羽を駆動する主要な部分は左右対称であるものとする。したがって、以後においては、浮上移動装置の左半分についてのみ説明を行い、左半分に対して鏡面対称である構成要素が右半分について配されているものとする。ただし、本発明の浮上移動装置においては、左右対称であることは、必要な条件ではない。
【0038】
本実施の形態の羽ばたき浮上移動装置1は、図1および図2に示すように、支持構造9上に配されたアクチュエータ2、このアクチュエータ2によりベアリング31,32を介して駆動される伝達軸33、および伝達軸33により駆動される羽4を主要な構成要素とする。
【0039】
伝達軸33には、伝達軸33の並進運動(アクチュエータ2の回動:伝達軸33が扇型状の軌跡を描く運動)を用いて伝達軸33に伝達軸33が延びる方向の軸まわりの回動(羽4を伝達軸33が延びる方向に見たときに羽4が扇型状の軌跡を描く運動)を与える機構としてピニオンギア34が固定されている。ピニオンギア34には、ラックギア35がかみ合っている。ピニオンギア34とラックギア35とがかみ合いを維持しながら、ラックギア35の移動によりピニオンギア34が回動する。
【0040】
このとき、ラックギア35は支持構造9に対して相対的な位置が固定されている。また、ラックギア35はラックギア移動機構36によって保持されている。ラックギア移動機構36は、支持構造9に設けられており、支持構造9に対してラックギア35を相対的に移動させることができる。これにより、アクチュエータ2が、アクチュエータ2の回動中心軸回りに回動すると、伝達軸33が、伝達軸33が延びる方向の軸である回動中心軸回りに回動する。その結果、羽4は、鉛直下向きの気流を生み出す。それにより、浮上移動装置1は、鉛直下向きの気流の反作用によって鉛直上向きに浮上する。
【0041】
また、詳細については後述するが、本実施の形態の浮上移動装置1は、ラックギア移動機構36を用いて、左右それぞれの羽4のアクチュエータ2の回動の振幅の中心を、別個独立して進行方向前側または進行方向後側にずらすことにより、進行方向を左右のいずれかに変更すること、ならびに、前進および後退のいずれかの状態に変更することが可能である。なお、浮上移動装置1の前後方向に延びる軸回りの回転動作は、左右の羽4のいずれか一方の振幅の大きさおよび周波数のうちいずれか一方を変更することにより、実現されるものとする。
【0042】
アクチュエータ2およびラックギア移動機構36それぞれは制御装置5により制御される。また、アクチュエータ2およびラックギア移動機構36、および制御装置5は、電源6より供給される電力によって稼働する。
【0043】
(支持構造)
次に、支持構造9について説明する。支持構造9は、支持構造としての機能を損なわない範囲内の質量であって、より軽量であることが望ましい。この範囲は、従来のエンジニアリングの技術で求めることができる。たとえば、軽量化のあまり剛性が低下し過ぎてしてしまい、羽4を駆動させるべきエネルギーが支持構造9の振動となって散逸することがないこと等が、その範囲を決定するための基準となる。本実施の形態の浮上移動装置1においては、軽量なカーボングラファイトを支持構造9に用いる。
【0044】
(羽とその駆動システム)
次に、羽および羽の駆動システムについて、図2〜11を用いて説明する。
【0045】
(アクチュエータ)
まず、アクチュエータ2について、図2を用いて説明する。
【0046】
本実施の形態の浮上移動装置1においては、アクチュエータ2として、超音波モータと一般に呼ばれているモータを用いる。本実施の形態においてアクチュエータ2として用いる超音波モータは、図2に示されるように、支持構造9に固定されているステータ部21に対してロータ部22を回動させることができる。ロータ部22には、ベアリング31,32の外周部31a,32aが固定されている。
【0047】
ベアリング31,32は、外周部31a,32aに対して内周部31b,32bが円滑に回転できるようになっており、内周部31b,32bには伝達軸33が固定されている。したがって、アクチュエータ2は、伝達軸33が延びる方向の回動軸を含む面であって、アクチュエータ2の主表面と平行な面において、伝達軸33をアクチュエータ2の回動中心点回りに回動させることが可能である。また、伝達軸33が延びる方向を回動軸とする伝達軸33の回動は、後述するピニオンギア34が、ラックギア35にかみ合いながら回動することによって得られる。
【0048】
(変形ラックおよびピニオンギアによるリンク機構)
次に、ピニオンギア34およびラックギア35について図3および図4を用いて説明する。
【0049】
図2に示すように、ラックギア35は、アクチュエータ2の円盤状と相似形の円を底面に有する円柱の周面の一部を用いて構成されている。これは、アクチュエータ2の回動に伴ったピニオンギア34の回動に対応するためである。しかしながら、説明の簡便のため、ラックギア35の円柱状の周面を平面に展開する。ピニオンギア34およびラックギア35の展開図は、図3に示すような図である。この図3において、ピニオンギア34は、楕円形である。ピニオンギア34は、短軸と長軸との交点を回動の中心点として自転する。また、アクチュエータ2の回動により、伝達軸33が延びる方向の軸を回動の中心軸として回動するとともに、ラックギア35の歯とピニオンギア34の歯とがかみ合う状態を繰返しながら、ピニオンギア34がラックギア35の歯の並びに沿って往復運動する。このとき、ピニオンギア34は、図3において左右対称のラックギア35の対称軸を中心にして左右対称の移動を行う。伝達軸33は、図3において左右対称のラックギア35の対称軸を中心にして左右対称に水平に移動する。
【0050】
ただし、実際のラックギア35は、図3の展開図のラックギア35の平面が、アクチュエータ2の回動中心回りの回動中心点を曲率中心とする円筒の周面となるように構成されている。また、実際のピニオンギア34は、図3の展開図のピニオンギア34の平面が、球殻の一部となるように構成されている。これにより、伝達軸33のアクチュエータ2に起因した回動が行われても、ラックギア35の歯とピニオンギア34の歯とのかみ合わせがはずれないようになっている。なお、ギアの歯形の形状等を工夫することにより、上記伝達軸33の回動によって発生するラックギア35とピニオンギア34とのかみ合わせの齟齬を解消することができるのであれば、前述のラックギア35およびピニオンギア34それぞれの形状以外の形状であってもよい。
【0051】
ここで、ラックギア35に対するピニオンギア34のギア比は、アクチュエータ2の回動の振幅の両端すなわち2つの死点で小さく、アクチュエータ2の回動の振幅の中心付近で極端に大きくなっている。なお、ギア比は、図4に示される羽4のアクチュエータ2の回動の回動角をαとし、羽4の伝達軸33が延びる方向の回動軸回りの回動角をβとした場合に、dα/dβで表される。すなわち、図3に示す左右対称のラックギア35の対称軸に対称に左右対称移動する楕円形のピニオンギア34の運動において、対称軸およびその近傍では、ピニオンギア34の角速度は小さく、左右方向の移動の両端およびその近傍では、対称軸およびその近傍に比較してピニオンギア34の角速度が極端に大きくなっている。これは、ピニオンギア34が楕円形であるために、対称軸およびその近傍では、長軸と短軸との交点からラックギア35と接する楕円形の外周までの距離が長く、左右方向の移動の両端およびその近傍では、長軸と短軸との交点からラックギア35と接する楕円形の外周までの距離が短くなっているためである。なお、前述したように、ラックギア35の形状を所定の形状にしておくことにより、伝達軸33は、図3では、上下することなく、左右方向に直線上を移動する。
【0052】
なお、本実施の形態の浮上移動装置1においては、ピニオンギア34として、楕円形のものを用いたが、必ずしも楕円形である必要はない。
【0053】
上述のような構成であるため、伝達軸33が延びる方向の伝達軸33の回動中心軸回りの回動の速度は、アクチュエータ2の回動の振幅中心およびその近傍では小さいが、アクチュエータ2の回動の振幅の両端では大きくなる。
【0054】
上述のような原理により、図4に示すように、アクチュエータ2の回動によってアクチュエータ2の回動により描かれる扇型の軌跡と相似形の軌跡を有する回動を羽4にさせるとともに、ピニオンギア35がラックギア36にかみ合いながら移動することによって伝達軸33が延びる方向の回動中心軸回りに羽4を回動させることができる。なお、この伝達軸33が延びる方向の回動中心軸回りの羽4の回動の速度は、アクチュエータ2の回動の振幅の両端では大きく、アクチュエータ2の回動の振幅中心近傍では小さいため、羽4は、切り返しのときにより大きな回転揚力を得ることができる。
【0055】
なお、本実施の形態の浮上移動装置においては、アクチュエータ2の回動角は±45°である。また、±45°のアクチュエータ2の回動角によって生じる伝達軸33が延びる方向の回動中心軸回りの回動角は±30°と設定されているものとする。
【0056】
(ラックギア移動機構)
次に、ラックギア移動機構36について、図5を用いて説明する。
【0057】
ラックギア移動機構36は、支持構造9に設置されており、ラックギア35がアクチュエータ2の外周上の点の回動の軌跡と相似形の円弧状の軌跡を描くようにラックギア35の位置を移動させる機能を有する。このラックギア35の位置の移動は、図3においては、ラックギア35が水平方向(左右方向)に移動することに相当する。
【0058】
このラックギア35の位置の移動とともに、羽4の伝達軸33が延びる方向の回動軸回りの回動角の地面に対する範囲に変更が生じないようにアクチュエータ2を回動させれば、羽4のアクチュエータ2の回動の振幅の中心を浮上移動装置1の前方または後方側にずらすことができる。これにより、後述する飛行方向の転換などの制御を簡単に行うことができる。
【0059】
また、ラックギア移動機構36によっても、羽4の回動角を制御することがある程度可能である。たとえば、伝達軸33とラックギア35とのかみ合いの位置関係が保たれるようにラックギア移動機構36を用いてラックギア35を伝達軸33の移動に追従して移動させれば、伝達軸33は伝達軸33が延びる方向の回動中心軸回りの回動を行わない。そのため、羽4の地面に対する回動角の範囲を一定に保ちながら、アクチュエータ2の回動による羽4の回動の振幅中心を浮上移動装置1の前側または後側に移動させることができる。
【0060】
ラックギア移動機構36における、ラックギア推進力発生機構は、必要なトルクや質量および消費エネルギーなどの条件を満たすなら特にその構成に制約はない。そこで、本実施の形態の浮上移動装置のラックギア移動機構36においては、図5に示すように、応答性に優れた超音波リニアアクチュエータ37を用いる。図5は、図3の展開図において、紙面に垂直にラックギア移動機構36を切断したときのラック移動機構36およびラックギア35の断面図である。実際には、図5に示す構造が、上下逆になって、浮上移動装置1に取り付けられる。なお、軽量化のため、ラックギア移動機構36とラックギア35との接触部であって超音波リニアアクチュエータが存在しない部分には、潤滑性に優れたテフロン(R)ベアリング38が用いられている。また、空気から羽4へ加えられる反力に起因して超音波リニアアクチュエータ37に加えられる力の影響を低減するため、超音波リニアアクチュエータ37は伝達軸33が延びる方向をその法線に有する面上にその面に沿って平行に延びるように設けられている。
【0061】
(羽部)
続いて、羽4について図6〜13を用いて説明する。
【0062】
(形状、剛性の概略)
羽4は、図6に示すように、伝達軸33に直接固定されており、その厚さはほぼ均一な平板である。羽4は、長軸の長さが約20mm、かつ、短軸の長さが約5mmの楕円を、その長軸と平行に長軸から約2.5mmの箇所で、かつ、その短軸と平行に短軸から約8mmの箇所で切断した場合に、最も大きい部分に相当する部分の形状を用いている。
【0063】
また、羽4は、軽量な硬質の樹脂から構成されている。さらに、羽4は、レーザカッティングによって成形される。そのため、羽4の輪郭部には縁取りが形成されている。この縁取りにより、羽4の強度が増している。
【0064】
また、本発明者らが用いた羽4の剛性を代表するものとして、伝達軸33を拘束した際の、伝達軸33より伝達軸33に垂直な方向の距離が17.1mmの位置における荷重−変位関係を図7に示す。
【0065】
(羽の運動と捻り変位拡大機構)
本実施の形態による羽の挙動を図8〜13を用いて説明する。
【0066】
羽4を浮上移動装置1の前後方向に往復運動することによって揚力を得る羽ばたき方は、図8および図9に示す2通りの羽ばたき方が考えられる。しかしながら、図8に示す羽ばたき方では、羽4の前後方向の往復運動の両端それぞれで負の回転揚力が発生してしまうため、本実施の形態の浮上移動装置1では、羽4の前後方向の往復運動の両端それぞれで正の回転揚力が得られる図9に示す羽ばたき方を採用する。
【0067】
この際、便宜上、羽4を浮上移動装置1の進行方向の前方から後方へ運動させる動作を羽の打ち上げ動作とし、その逆を打ち下ろし動作と定義する。ただし、羽の打ち上げ動作および羽の打ち下ろし動作は、通常地面に対してほぼ水平方向の往復運動であるため、羽の打ち上げ動作および羽の打ち下ろし動作といっても、地面にほぼ垂直な方向に行われる動作を意味するものではない。
【0068】
本実施の形態の浮上移動装置の羽4の運動は図9に示すものとなるが、効率よく揚力を得るためには、図13に示す迎え角θが概ね10°程度である必要がある。このため、羽4の弾性変形がほとんどない状態では、打ち上げ動作と打ち下ろし動作の切り替えにおいて、羽4を160°程度回転させる必要がある。
【0069】
しかしながら、羽4に弾性変形の度合いが大きいものを用いれば、迎え角θが概ね10°程度である状態を維持しながら、伝達軸33が延びる方向の回動軸回りの回動の角度をより小さくすることができる。つまり、本実施の形態の浮上移動装置1では、羽4を空力によって受動変形させることで、伝達軸33に対して垂直な方向の羽4の先端の回動角をより大きくする手法を採用する。それは、図14に示す完全剛体の羽では、負の回転揚力が生じるためである。
【0070】
本発明者らの実験によれば、前後方向の羽4の往復運動の両端において、羽4の伝達軸33が延びる方向の回動中心軸を±30°程度回動させることで、羽4の受動変形によって、羽4の伝達軸33に垂直な方向の中央部より伝達軸33に対して遠い位置においては±80°程度の羽4の回動角が得られた。発明者らが実験で用いた羽ばたき運動により、図9に示す羽4の運動と等価な浮上力を得ることができる。この際の羽4の挙動を図11に断面図として示す。
【0071】
なお、図4に示すような、アクチュエータ2の回動によって得られる羽4の回動角がαであり、かつ、伝達軸33が延びる方向を回動軸とする回動によって得られる回動角がβである場合における、αとβとの関係を図10に示す。
【0072】
(浮上可能要件)
本発明者らの実験によれば、図11に示す羽4の運動により発生する浮上力の最大値は、羽1枚あたり約0.13gfである。また、この浮上力を得る際に必要なアクチュエータ2の駆動トルクは最大約1gf・cmである。
【0073】
羽4の質量は約5mgである。伝達軸33の質量は約3mgである。ピニオンギア34の質量は約2mgである。ラックギア35の質量は約6mgである。アクチュエータ2の質量は約80mgである。
【0074】
支持構造9、制御装置5および電源6の重量の合計が68mg以内となるように構成すれば、浮上移動装置1は浮上が可能である。ただし、電源6を無線で供給し、無線送信される電源の変換部分および制御装置5をワンチップに集積して、そのワンチップを支持構造9上にパッケージングすれば、支持構造9、制御装置5の合計が5〜10mg以内となるように構成することができる。
【0075】
さらに、アクチュエータ2の効率は今後の技術革新により向上させることが可能であるので、本実施の形態の浮上移動装置を浮上させることは実現可能である。
【0076】
(飛行制御方法)
次に、飛行の制御方法について図12を用いて説明する。なお、ここに示した飛行の制御方法は第一義近似的な例示である。実際には羽ばたきの変更によって羽に及ぼされる力は、周囲流体である空気と羽4との相互作用によって複雑にその挙動が変化する。そのため、現実には下記する羽ばたき方の変更のみに対応して羽ばたき飛行の態様が行われるとは限らない。
【0077】
また、ある羽ばたき飛行の状態を生み出す羽ばたき方を変更する手法は、以下に記述された手法以外にも存在する。
【0078】
羽ばたき飛行により、3次元空間をくまなく移動するには、前進後退、左右への旋回、上昇および下降の3つの運動要素が実現される必要がある。以下、各運動要素およびその基本動作となるホバリングを実現する手法について述べる。
【0079】
(ホバリング)
本実施の形態の浮上移動装置においては、図10に示す羽ばたき方でホバリングが可能である。ピニオンギア34およびラックギア35それぞれの形状は、ラックギア移動機構36によりラックギア35が移動しない状態で、アクチュエータ2が伝達軸33を±45°回動させる際に、この図10に示す運動が実現されるよう設計されている。
【0080】
このため、図4に示されるように、左右のアクチュエータ2を回動の振幅の中心が浮上移動装置1のほぼ真横方向になる状態で、振幅の中心に対して前後に±45°の振幅で羽4を回動させることでホバリングが実現される。つまり、左のアクチュエータ2の回動の振幅中心と左の羽部4の伝達軸33が延びる方向の先端を結ぶ線と、右のアクチュエータ2の回動の振幅中心と右の羽部4の伝達軸33が延びる方向の先端を結ぶ線とが、ほぼ一直線上になるように、左右の羽4それぞれが前後方向に往復運動すれば、浮上移動装置1はホバリングを行う。
【0081】
(前進および後退)
上述の羽4の前後方向の±45°の回動により、羽4には、鉛直下向きの流れ以外に、伝達軸33が延びる方向において、アクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かうように、図12に示すような流れが発生する。この流れを利用することで羽ばたき浮上移動装置1に前後方向の移動をさせることができる。
【0082】
たとえば、ラックギア移動機構36によって、前述のように、ピニオンギア34とラックギア35とのかみ合いの関係を保ちつつ、アクチュエータ2の回動の振幅の中心を前側または後側にずらすことで、羽4の前後方向の往復運動である羽ばたき運動を前側または後側に偏らせる。それにより、上述の伝達軸33が延びる方向において、アクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かう流れを浮上移動装置1の後方または前方へ向けることができる。そのため、浮上移動装置1は推進する力または後退する力を得ることができる。左右の羽4それぞれについて羽4の根元から先端へ向かう流れを、等しく後方へ向ける羽ばたき方に変更すれば、羽ばたき浮上機構1は前進する。また、伝達軸33が延びる方向においてアクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かう流れを、左右の羽4について等しく、浮上移動装置1の前方へ向ける羽ばたき方に変更すれば、浮上移動装置は後退することが可能となる。この様子を図12に示す。
【0083】
(左右への旋回)
さらに、上述の羽4の表面において、伝達軸33が延びる方向においてアクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かう流れを用いることで、浮上移動装置1を左右のいずれかへ旋回させることが可能である。
【0084】
たとえば、左の羽4のみ上述の伝達軸33が延びる方向においてアクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かう流れを後方に向ければ、羽ばたき浮上機構1は右へ旋回しながら前進する。逆に、右の羽4のみ上述の伝達軸33が延びる方向においてアクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かう流れを後方に向ければ、羽ばたき浮上機構1は左へ旋回しながら前進する。
【0085】
また、左の羽4のみ上述の伝達軸33が延びる方向においてアクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かう流れを前方に向け、かつ、右の羽4のみ上述の伝達軸33が延びる方向においてアクチュエータ2側から羽4の先端側へ向かう流れを後方に向ければ、羽ばたき浮上装置1は、その上方から見て反時計回りにその場で回転することができる。
【0086】
(浮上および降下)
浮上および降下を行う最も単純な方法は、アクチュエータ2の駆動を変更し、羽ばたき周波数を上昇または低下させる手法が挙げられる。
【0087】
また、前述の手法以外の浮上および降下を行う手法としては、羽ばたきのストローク(振幅)を大きくする手法、すなわちアクチュエータ2による伝達軸33の前後方向の回動の振幅を大きくする手法が挙げられる。
【0088】
しかしながら、単にアクチュエータ2の回動の振幅を大きくしたのでは、羽ばたき運動の両端でのラックギア35の幅を超えてピニオンギア34が移動してしまう問題がある。そこで、この問題を解決するためには、ピニオンギア34の移動に伴って適度にラックギア35を移動させる必要がある。
【0089】
すなわち、アクチュエータ2の回動の振幅を大きくして、かつ、ラックギア移動機構36によって、ラックギア35を、伝達軸33の移動方向と同方向に、伝達軸33の回動の振幅に相当するだけ移動させる。たとえば、アクチュエータ2の回動を±45°から±55°に変更したとすると、ラックギア移動機構36によってラックギア35を、第一義的にはアクチュエータ2の回動により生じる位相差に応じて±10°移動させる手法が挙げられる。
【0090】
また、ラックギア移動機構36の移動の態様をより複雑に制御すれば、様々な動作を得ることができる。
【0091】
(姿勢変化への対処)
上述の運動変更により、浮上移動装置1の姿勢は変化する。姿勢の変化が望ましくない場合には、浮上移動装置1の重心を、伝達軸33の位置より低くしておけばよい。これによって、ある程度の時間ホバリングすることによって、左右の伝達軸33の中心直下に浮上移動装置1の重心が位置する姿勢に安定する。
【0092】
(駆動エネルギー供給方法)
本実施の形態の浮上移動装置1においては、駆動エネルギー供給方法は、浮上機能を損なわない限りその手法に制約はない。
【0093】
たとえば、浮上移動装置1内に充電池または燃料電池等を内蔵する手法、または、外部のエネルギー供給源から電波を用いて、羽4に設けられたアンテナに電力を送電する手法などが考えられる。なお、本実施の形態の浮上移動装置1においては後者の手法を採用するものとする。
【0094】
(補足)
上述したラック・アンド・ピニオンギアおよびラック移動機構は一例であり、浮上移動に支障無く、本実施の形態に示す羽ばたき方を実現することができるのであれば、浮上移動装置の駆動機構は上述した機構以外のものであってもよい。
【0095】
本実施の形態の浮上移動装置1においては、現段階で浮上移動を実現することが可能である機構を提示するために、アクチュエータ2として超音波モータを用いたが、浮上移動装置1が浮上移動でいるのであれば、超音波モータ以外の駆動源を用いても良い。また、アクチュエータ2の運動は、最終的に伝達軸33に前述した運動を行わせるものであるならば特に限定が必要なものではない。たとえば、軽量化を狙って高分子材料を用いたリニアアクチュエータ等を使用し、リンク機構によって伝達軸33を運動させる手法が用いられてもよい。
【0096】
羽4の形状は、浮上移動装置が浮上移動可能なものの一例であり、浮上移動を実現することが可能であるならば、羽4の構成または材料などは、他の構成または材料であってもよい。たとえば、羽4の厚さは一様である必要はない。また、金属膜をスパッタリングするなどの手法により、部分的に剛性を変化させて空力特性を変更する手法を用いて作成された羽であってもよい。
【0097】
なお、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0098】
【発明の効果】
本発明の浮上移動装置によれば、中心点回り回動機構という1自由度のアクチュエータを駆動するだけでホバリングを行うことが可能な浮上移動装置を提供することができる。また、本発明の浮上移動装置によれば、前述のホバリング可能な浮上移動装置にさらに1自由度アクチュエータが付加され、その付加されたアクチュエータにより方向制御が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の構成を示す概略図である。
【図2】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の駆動機構の主要部の構成を示す概略図である。
【図3】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置のラックギアおよびピニオンギアの機能を説明するための展開図である。
【図4】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の羽の動作を示す概念図である。
【図5】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置のラックギア移動機構の構成を説明する断面図である。
【図6】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の羽の形状を表す図である。
【図7】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の羽の剛性を、荷重に対する変位量を用いて示すグラフである。
【図8】 浮上移動に用いる羽の運動態様の一形態を示す概念図である。
【図9】 浮上移動に用いる羽の運動態様の別の一形態を示す概念図である。
【図10】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の羽の角度と時間との関係とを表すグラフである。
【図11】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の羽の挙動を表す概念図である。
【図12】 本発明の一実施の形態の浮上移動装置の方向制御の方法を示す概念図である。
【図13】 羽の迎え角の定義を表す概念図である。
【図14】 剛体の羽を1自由度で回動する場合の羽の挙動を表す概念図である。
【符号の説明】
1 浮上移動装置、2 アクチュエータ、4 羽、5 制御装置、6 電源、9 支持構造、21 ステータ、22 ロータ、31,32 ベアリング、31a,32a 外周部、31b,32b 内周部、33 伝達軸、34 ピニオンギア、35 ラックギア、36 ラックギア移動機構、37 超音波リニアアクチュエータ、38 テフロン(R)ベアリング。

Claims (8)

  1. 本体と、該本体の前後方向に対する左側および右側のそれぞれに設けられた一対の羽部とを有する羽ばたき浮上移動装置であって、
    該羽ばたき浮上移動装置は、
    一方端側が前記羽部に固定されるとともに、他方端側が前記本体に取り付けられ、駆動源の駆動力を前記羽部に伝達する伝達軸と、
    前記前後方向および該前後方向に垂直な方向である左右方向を含む面に平行な面に沿って前記伝達軸を所定の中心点回りに回動させる中心点回り回動機構と、
    前記駆動源の駆動力を利用することなく、前記伝達軸の前記所定の中心点回りの回動に従動する機構であって、前記伝達軸が延びる方向を回動中心軸として、前記伝達軸を該回動中心軸回りに回動させる軸回り回動機構とを備え、
    前記羽部は、前記伝達軸の前記回動中心軸回りの回動により周囲流体に流体力を生じさせ、
    該流体力は、前記羽ばたき浮上移動装置の重力の方向とは逆向きに、前記羽ばたき浮上移動装置の重力よりも大きな浮上力を前記羽ばたき浮上移動装置に生じさせることが可能であり、
    前記軸回り回動機構は、前記中心点回りの回動としての往復運動の一方の死点に前記伝達軸が到達した時点の前の時点から後の時点にかけて、および、前記中心点回りの回動としての往復運動の他方の死点に前記伝達軸が到達した時点の前の時点から後の時点にかけて、それぞれ、前記羽部に回転揚力を生じさせるように、前記伝達軸を前記回動中心軸回りに回動させる、羽ばたき浮上移動装置。
  2. 前記前後方向および前記左右方向を含む面に沿って、前記伝達軸の前記所定の中心点回りの回動の振幅中心を移動させることが可能な回動振幅中心移動機構をさらに備えた、請求項1に記載の羽ばたき浮上移動装置。
  3. 前記回動振幅中心移動機構は、前記中心点回り回動機構が前記伝達軸を回動させているときに、前記伝達軸の前記所定の中心点回りの回動の振幅中心を移動させることが可能である、請求項2に記載の羽ばたき浮上移動装置。
  4. ラックギアの移動を用いて、前記羽部の表面の近傍において、該表面と平行な方向に発生する流体の流れの向きを変化させることが可能である、請求項2に記載の羽ばたき浮上移動装置。
  5. 前記軸回り回動機構は、ラックギアとピニオンギアとのかみ合いを利用して回動し、
    前記羽ばたき浮上移動装置は、前記回動振幅中心移動機構として、前記ラックギアと前記ピニオンギアとのかみ合いの状態を保持しつつ、前記伝達軸の前記所定の中心点回りの回動に追随して、前記ラックギアを移動させることが可能であるギア移動機構を備えた、請求項2に記載の羽ばたき浮上移動装置。
  6. 前記ラックギアに対する前記ピニオンギアのギア比は、前記伝達軸が前記中心点回り回動機構の回動の振幅の2つの死点それぞれおよびそれぞれの近傍にあるときよりも、前記伝達軸が前記中心点回り回動機構の回動の振幅中心およびその近傍にあるときの方が大きい、請求項5に記載の羽ばたき浮上移動装置。
  7. 前記伝達軸の前記回動中心軸回りの回動の速度は、前記伝達軸が前記所定の中心点回りの回動の振幅中心およびその近傍にあるときよりも、前記伝達軸が前記所定の中心点回りの回動の振幅の死点およびその近傍にあるときの方が大きい、請求項1に記載の羽ばたき浮上移動装置。
  8. 一対の前記中心点回り回動軸それぞれを独立して制御可能な制御部と、
    前記一対の前記中心点回り回動軸および前記制御部を駆動する駆動源と、
    前記一対の中心点回り回動軸、前記制御部、および、前記駆動源を支持する支持構造とを備えた、請求項1に記載の羽ばたき浮上移動装置。
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