JP4076778B2 - アジン化合物及びオキシム化合物の製造法 - Google Patents
アジン化合物及びオキシム化合物の製造法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリアミドの中間原料、有機合成中間体などとして有用なアジン化合物及びオキシム化合物の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オキシム化合物の製造法として、カルボニル化合物とヒドロキシルアミンとを脱水縮合させる方法、ニトロアルケノンをパラジウム触媒存在下で接触水添する方法、ヒドロキシアミノアルカンを2価のコバルト存在下で空気酸化する方法などが知られている。しかし、これらの方法では、原料化合物が比較的高価である。
【0003】
一方、シクロヘキサンを塩化ニトロシルの存在下で光照射することにより、ニトロソシクロヘキサンを経由してシクロヘキサノンオキシムを製造する方法が工業的に行われている。この方法によれば、シクロヘキサンを直接オキシムに変換できるので、上記の方法と比較して製造コストを低くできるという利点があるものの、原料として用いる塩化ニトロシルは、通常一酸化窒素と塩素との反応により製造されるので、設備面や操作性の点で不利であり、しかも環境への負荷が大きいという欠点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、オキシム化合物又は該オキシム化合物の原料として有用なアジン化合物を安価な原料から簡易に製造できる方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、アジン化合物を原料とするオキシム化合物の新規な製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定のイミド系化合物を用いると、ペルオキシド化合物を対応するアジン化合物及び/又はオキシム化合物に、また、アジン化合物を対応するオキシム化合物にそれぞれ効率よく変換できること、並びに、特定のイミド系化合物を用いることにより、メチレン基を有する化合物、アルコール化合物、及びカルボニル化合物から選択された少なくとも1種の化合物から、対応するアジン化合物及び/又はオキシム化合物が効率よく得られることを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は、下記式(I)
【化11】
[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す]
で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、下記式(2)
【化12】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。RaとRb、RcとRdは、それぞれ互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい)
で表されるペルオキシド化合物と、アンモニアと、水とを反応させて、下記式(3)
【化13】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記に同じ)
で表されるアジン化合物、又は下記式(4a)及び/又は(4b)
【化14】
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記に同じ)
で表されるオキシム化合物を生成させることを特徴とするアジン化合物又はオキシム化合物の製造法(以下、「製造法1」と称する場合がある)を提供する。
【0007】
本発明は、また、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、前記式(3)で表されるアジン化合物と水とを反応させて、前記式(4a)及び/又は(4b)で表されるオキシム化合物を生成させることを特徴とするオキシム化合物の製造法(以下、「製造法2」と称する場合がある)を提供する。
【0008】
本発明は、さらに、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、下記式(5a)及び(5b)
Ra−CH2−Rb (5a)
Rc−CH2−Rd (5b)
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。RaとRb、RcとRdは、それぞれ互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい)
で表される1組のメチレン基を有する化合物、下記式(6a)及び(6b)
Ra−CH(OH)−Rb (6a)
Rc−CH(OH)−Rd (6b)
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記に同じ)
で表される1組のアルコール化合物、及び下記式(7a)及び(7b)
Ra−C(=O)−Rb (7a)
Rc−C(=O)−Rd (7b)
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記に同じ)
で表される1組のカルボニル化合物の3組から選択された少なくとも1組の化合物と、酸素と、アンモニアと、水とを反応させて、前記式(3)で表されるアジン化合物、又は前記式(4a)及び/又は(4b)で表されるオキシム化合物を生成させることを特徴とするアジン化合物又はオキシム化合物の製造法(以下、「製造法3」と称する場合がある)を提供する。
【0009】
なお、本明細書において、製造法1における「式(2)で表されるペルオキシド化合物」、製造法2における「式(3)で表されるアジン化合物」、及び製造法3における「1組のメチレン基を有する化合物、1組のアルコール化合物、及び1組のカルボニル化合物の3組から選択された少なくとも1組の化合物」を、単に「基質」と称する場合がある。
【0010】
【発明の実施の形態】
[イミド系化合物]
本発明の各方法で用いるイミド系化合物が有する式(I)で表される環状イミド骨格において、窒素原子とXとの結合は単結合又は二重結合である。前記イミド系化合物は、分子中に、式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を複数個有していてもよい。また、このイミド系化合物は、前記Xが−OR基であり且つRがヒドロキシル基の保護基である場合、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合していてもよい。
【0011】
式(I)中、Rで示されるヒドロキシル基の保護基としては、有機合成の分野で慣用のヒドロキシル基の保護基を用いることができる。このような保護基として、例えば、アルキル基(例えば、メチル、t−ブチル基などのC1-4アルキル基など)、アルケニル基(例えば、アリル基など)、シクロアルキル基(例えば、シクロヘキシル基など)、アリール基(例えば、2,4−ジニトロフェニル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル、2,6−ジクロロベンジル、3−ブロモベンジル、2−ニトロベンジル、トリフェニルメチル基など);置換メチル基(例えば、メトキシメチル、メチルチオメチル、ベンジルオキシメチル、t−ブトキシメチル、2−メトキシエトキシメチル、2,2,2−トリクロロエトキシメチル、ビス(2−クロロエトキシ)メチル、2−(トリメチルシリル)エトキシメチル基など)、置換エチル基(例えば、1−エトキシエチル、1−メチル−1−メトキシエチル、1−イソプロポキシエチル、2,2,2−トリクロロエチル、2−メトキシエチル基など)、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基、1−ヒドロキシアルキル基(例えば、1−ヒドロキシエチル、1−ヒドロキシヘキシル、1−ヒドロキシデシル、1−ヒドロキシヘキサデシル、1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル基など)等のヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基など;アシル基(例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル、オクタノイル、ノナノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-20脂肪族アシル基等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基など)、スルホニル基(メタンスルホニル、エタンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、p−トルエンスルホニル、ナフタレンスルホニル基など)、アルコキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル基などのC1-4アルコキシ−カルボニル基など)、アラルキルオキシカルボニル基(例えば、ベンジルオキシカルボニル基、p−メトキシベンジルオキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基(例えば、カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイル基など)、無機酸(硫酸、硝酸、リン酸、ホウ酸など)からOH基を除した基、ジアルキルホスフィノチオイル基(例えば、ジメチルホスフィノチオイル基など)、ジアリールホスフィノチオイル基(例えば、ジフェニルホスフィノチオイル基など)、置換シリル基(例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、トリベンジルシリル、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。
【0012】
また、Xが−OR基である場合において、N−置換環状イミド骨格のうちRを除く部分(N−オキシ環状イミド骨格)が複数個、Rを介して結合する場合、該Rとして、例えば、オキサリル、マロニル、スクシニル、グルタリル、アジポイル、フタロイル、イソフタロイル、テレフタロイル基などのポリカルボン酸アシル基;カルボニル基;メチレン、エチリデン、イソプロピリデン、シクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、ベンジリデン基などの多価の炭化水素基(特に、2つのヒドロキシル基とアセタール結合を形成する基)などが挙げられる。
【0013】
好ましいRには、例えば、水素原子;ヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール基を形成可能な基;カルボン酸、スルホン酸、炭酸、カルバミン酸、硫酸、リン酸、ホウ酸などの酸からOH基を除した基(アシル基、スルホニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基等)などの加水分解により脱離可能な加水分解性保護基などが含まれる。
【0014】
式(I)において、nは0又は1を示す。すなわち、式(I)は、nが0の場合は5員のN−置換環状イミド骨格を表し、nが1の場合は6員のN−置換環状イミド骨格を表す。
【0015】
前記イミド系化合物の代表的な例として、下記式(1)
【化15】
[式中、nは0又は1を示す。Xは酸素原子又は−OR基(Rは水素原子又はヒドロキシル基の保護基を示す)を示す。R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示し、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、又は芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成してもよい。前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、下記式(a)
【化16】
(式中、n、Xは前記に同じ)
で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい]
で表される化合物が挙げられる。
【0016】
このイミド系化合物において、置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうちハロゲン原子には、ヨウ素、臭素、塩素およびフッ素原子が含まれる。アルキル基には、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ヘキシル、デシル、ドデシル、テトラデシル、ヘキサデシル基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)の直鎖状又は分岐鎖状アルキル基が含まれる。
【0017】
アリール基には、フェニル、ナフチル基などが含まれ、シクロアルキル基には、シクロペンチル、シクロヘキシル基などが含まれる。アルコキシ基には、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、t−ブトキシ、ヘキシルオキシ、オクチルオキシ、デシルオキシ、ドデシルオキシ、テトラデシルオキシ、オクタデシルオキシ基などの炭素数1〜30程度(特に、炭素数1〜20程度)のアルコキシ基が含まれる。
【0018】
置換オキシカルボニル基には、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、イソプロポキシカルボニル、ブトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニル、デシルオキシカルボニル、ヘキサデシルオキシカルボニル基などのC1-30アルコキシ−カルボニル基(特に、C1-20アルコキシ−カルボニル基);シクロペンチルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル基などのシクロアルキルオキシカルボニル基(特に、3〜20員シクロアルキルオキシカルボニル基);フェニルオキシカルボニル、ナフチルオキシカルボニル基などのアリールオキシカルボニル基(特に、C6-20アリールオキシ−カルボニル基);ベンジルオキシカルボニル基などのアラルキルオキシカルボニル基(特に、C7-21アラルキルオキシ−カルボニル基)などが挙げられる。
【0019】
アシル基としては、例えば、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、オクタノイル、デカノイル、ラウロイル、ミリストイル、パルミトイル、ステアロイル基などのC1-30脂肪族アシル基(特に、C1-20脂肪族アシル基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシル基;アセトアセチル基;シクロペンタンカルボニル、シクロヘキサンカルボニル基などのシクロアルカンカルボニル基等の脂環式アシル基;ベンゾイル、ナフトイル基などの芳香族アシル基などが例示できる。
【0020】
アシルオキシ基としては、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、プロピオニルオキシ、ブチリルオキシ、イソブチリルオキシ、バレリルオキシ、ピバロイルオキシ、ヘキサノイルオキシ、オクタノイルオキシ、デカノイルオキシ、ラウロイルオキシ、ミリストイルオキシ、パルミトイルオキシ、ステアロイルオキシ基などのC1-30脂肪族アシルオキシ基(特に、C1-20脂肪族アシルオキシ基)等の脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基;アセトアセチルオキシ基;シクロペンタンカルボニルオキシ、シクロヘキサンカルボニルオキシ基などのシクロアルカンカルボニルオキシ基等の脂環式アシルオキシ基;ベンゾイルオキシ、ナフトイルオキシ基などの芳香族アシルオキシ基などが例示できる。
【0021】
前記置換基R1、R2、R3、R4、R5及びR6は、同一又は異なっていてもよい。また、前記式(1)において、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、二重結合、または芳香族性又は非芳香属性の環を形成してもよい。好ましい芳香族性又は非芳香族性環は5〜12員環、特に6〜10員環程度であり、複素環又は縮合複素環であってもよいが、炭化水素環である場合が多い。このような環には、例えば、非芳香族性脂環式環(シクロヘキサン環などの置換基を有していてもよいシクロアルカン環、シクロヘキセン環などの置換基を有していてもよいシクロアルケン環など)、非芳香族性橋かけ環(5−ノルボルネン環などの置換基を有していてもよい橋かけ式炭化水素環など)、ベンゼン環、ナフタレン環などの置換基を有していてもよい芳香族環(縮合環を含む)が含まれる。前記環は、芳香族環で構成される場合が多い。前記環は、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子などの置換基を有していてもよい。
【0022】
前記R1、R2、R3、R4、R5、R6、又はR1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して形成された二重結合又は芳香族性若しくは非芳香族性の環には、前記式(a)で表されるN−置換環状イミド基がさらに1又は2個以上形成されていてもよい。例えば、R1、R2、R3、R4、R5又はR6が炭素数2以上のアルキル基である場合、このアルキル基を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。また、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素−炭素結合と共に二重結合を形成する場合、該二重結合を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。さらに、R1、R2、R3、R4、R5及びR6のうち少なくとも2つが互いに結合して、環状イミド骨格を構成する炭素原子又は炭素−炭素結合と共に、芳香族性若しくは非芳香族性の環を形成する場合、該環を構成する隣接する2つの炭素原子を含んで前記N−置換環状イミド基が形成されていてもよい。
【0023】
好ましいイミド系化合物には、下記式で表される化合物が含まれる。
【化17】
(式中、R11〜R16は、同一又は異なって、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基又はアシルオキシ基を示す。R17〜R26は、同一又は異なって、水素原子、アルキル基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、ニトロ基、シアノ基、アミノ基、ハロゲン原子を示す。R17〜R26は、隣接する基同士が結合して、式(1c)、(1d)、(1e)、(1f)、(1h)又は(1i)中に示される5員又は6員のN−置換環状イミド骨格を形成していてもよい。Xは前記に同じ)
【0024】
置換基R11〜R16におけるハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シクロアルキル基、ヒドロキシル基、アルコキシ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基としては、前記R1〜R6における対応する基と同様のものが例示される。
【0025】
置換基R17〜R26において、アルキル基には、前記例示のアルキル基と同様のアルキル基、特に炭素数1〜6程度のアルキル基が含まれ、ハロアルキル基には、トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4程度のハロアルキル基、アルコキシ基には、前記と同様のアルコキシ基、特に炭素数1〜4程度の低級アルコキシ基、置換オキシカルボニル基には、前記と同様の置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基、シクロアルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アラルキルオキシカルボニル基など)が含まれる。また、アシル基としては前記と同様のアシル基(脂肪族飽和又は不飽和アシル基、アセトアセチル基、脂環式アシル基、芳香族アシル基等)などが例示され、アシルオキシ基としては前記と同様のアシルオキシ基(脂肪族飽和又は不飽和アシルオキシ基、アセトアセチルオキシ基、脂環式アシルオキシ基、芳香族アシルオキシ基等)などが例示される。ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素原子が例示できる。置換基R17〜R26は、通常、水素原子、炭素数1〜4程度の低級アルキル基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基、ニトロ基、ハロゲン原子である場合が多い。
【0026】
好ましいイミド系化合物のうち5員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α−メチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ジメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,α,β,β−テトラメチルコハク酸イミド、N−ヒドロキシマレイン酸イミド、N−ヒドロキシヘキサヒドロフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシシクロヘキサンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラブロモフタル酸イミド、N−ヒドロキシテトラクロロフタル酸イミド、N−ヒドロキシヘット酸イミド、N−ヒドロキシハイミック酸イミド、N−ヒドロキシトリメリット酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N,N′−ジヒドロキシナフタレンテトラカルボン酸ジイミド、α,β−ジアセトキシ−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(プロピオニルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(バレリルオキシ)コハク酸イミド、N−ヒドロキシ−α,β−ビス(ラウロイルオキシ)コハク酸イミド、α,β−ビス(ベンゾイルオキシ)−N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシ−4−メトキシカルボニルフタル酸イミド、4−クロロ−N−ヒドロキシフタル酸イミド、4−エトキシカルボニル−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−ペンチルオキシカルボニルフタル酸イミド、4−ドデシルオキシ−N−ヒドロキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4−フェノキシカルボニルフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(メトキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(エトキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(ペンチルオキシカルボニル)フタル酸イミド、4,5−ビス(ドデシルオキシカルボニル)−N−ヒドロキシフタル酸イミド、N−ヒドロキシ−4,5−ビス(フェノキシカルボニル)フタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシフタル酸イミド、N−(2−メトキシエトキシメチルオキシ)フタル酸イミド、N−テトラヒドロピラニルオキシフタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシフタル酸イミド、N−(p−トルエンスルホニルオキシ)フタル酸イミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシフタル酸イミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0027】
好ましいイミド系化合物のうち6員のN−置換環状イミド骨格を有する化合物の代表的な例として、例えば、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−α,α−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−β,β−ジメチルグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−デカリンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−デカリンテトラカルボン酸ジイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド(N−ヒドロキシナフタル酸イミド)、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが水素原子である化合物;これらの化合物に対応する、Rがアセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等のアシル基である化合物;N−メトキシメチルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メトキシメチルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがヒドロキシル基とアセタール又はヘミアセタール結合を形成可能な基である化合物;N−メタンスルホニルオキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ビス(メタンスルホニルオキシ)−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRがスルホニル基である化合物;N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド又はN,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドの硫酸エステル、硝酸エステル、リン酸エステル又はホウ酸エステルなどの式(1)におけるXが−OR基で且つRが無機酸からOH基を除した基である化合物などが挙げられる。
【0028】
前記イミド系化合物のうち、Xが−OR基で且つRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イミド化合物)は、慣用のイミド化反応、例えば、対応する酸無水物とヒドロキシルアミンとを反応させ、酸無水物基の開環及び閉環を経てイミド化する方法により得ることができる。また、前記イミド系化合物のうち、Xが−OR基で且つRがヒドロキシル基の保護基である化合物は、対応するRが水素原子である化合物(N−ヒドロキシ環状イミド化合物)に、慣用の保護基導入反応を利用して、所望の保護基を導入することにより調製することができる。例えば、N−アセトキシフタル酸イミドは、N−ヒドロキシフタル酸イミドに無水酢酸を反応させたり、塩基の存在下でアセチルハライドを反応させることにより得ることができる。また、これ以外の方法で製造することも可能である。
【0029】
特に好ましいイミド化合物は、脂肪族多価カルボン酸無水物(環状無水物)又は芳香族多価カルボン酸無水物(環状無水物)から誘導されるN−ヒドロキシイミド化合物(例えば、N−ヒドロキシコハク酸イミド、N−ヒドロキシフタル酸イミド、N,N′−ジヒドロキシピロメリット酸ジイミド、N−ヒドロキシグルタルイミド、N−ヒドロキシ−1,8−ナフタレンジカルボン酸イミド、N,N′−ジヒドロキシ−1,8;4,5−ナフタレンテトラカルボン酸ジイミドなど);及び該N−ヒドロキシイミド化合物のヒドロキシル基に保護基を導入することにより得られる化合物などが含まれる。
【0030】
式(I)で表されるN−置換環状イミド骨格を有するイミド系化合物は、反応において、単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。前記イミド系化合物は反応系内で生成させてもよい。
【0031】
[助触媒等]
なお、本発明の各製造法では、必要に応じて、イミド系化合物とともに助触媒を用いることもできる。助触媒として、例えば、バナジウム化合物、マンガン化合物、コバルト化合物、周期表1族又は2族の金属元素化合物等の金属化合物;有機オニウム塩などが挙げられる。また、このほか、例えば特開平9−327626号公報にイミド化合物触媒の助触媒として記載されているものなどを使用できる。これらの助触媒は単独で又は2種以上組み合わせて使用できる。
【0032】
また、系内にラジカル開始剤(アゾビスイソブチロニトリルなど)やラジカル反応促進剤、酸化剤など初期活性化剤を添加してもよい。ラジカル開始剤の使用量は、例えば、基質1モルに対して、0.0000001〜0.5モル、好ましくは0.0001〜0.3モル程度である。さらに、中間体である過酸化物等の安定化のために、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの安定化剤(中間体過酸化物のトラップ剤)を系内に添加してもよい。安定化剤の使用量は、例えば、基質1モルに対して、0.0000001〜0.1モル、好ましくは0.00001〜0.01モル程度である。
【0033】
[製造法1]
本発明の製造法1では、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、前記式(2)で表されるペルオキシド化合物と、アンモニアと、水とを反応させて、前記式(3)で表されるアジン化合物、又は前記式(4a)及び/又は(4b)で表されるオキシム化合物を生成させる。
【0034】
式(2)中、Ra、Rb、Rc、Rdにおける炭化水素基には、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基、これらが複数個結合した基が含まれる。脂肪族炭化水素基としては、例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、イソペンチル、ヘキシル、オクチル、デシル、テトラデシル基などのアルキル基(例えば、C1-20アルキル基など);ビニル、アリル基などのアルケニル基(例えば、C2-20アルケニル基など);エチニル、プロピニル基などのアルキニル基(例えば、C2-20アルキニル基など)などが挙げられる。
【0035】
脂環式炭化水素基としては、例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチル、シクロデシル、シクロドデシル基などのシクロアルキル基(3〜20員のシクロアルキル基など);シクロペンテニル、シクロヘキセニル基などのシクロアルケニル基(3〜20員のシクロアルケニル基など)などが挙げられる。脂環式炭化水素基の脂環には他の環(芳香族性又は非芳香族性の炭素環又は複素環)が縮合していてもよく、この場合橋かけ環が形成されていてもよい。芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ナフチル基などの炭素数6〜20の芳香族炭化水素基などが挙げられる。
【0036】
前記炭化水素基のなかでも、特に、C1-20アルキル基、3〜20員のシクロアルキル基、C6-20芳香族炭化水素基、これらが複数個結合した基などが好ましい。
【0037】
上記の炭化水素基には、反応を損なわない範囲で、種々の置換基が結合していてもよい。このような置換基として、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシル基、メルカプト基、置換オキシ基(例えば、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基など)、置換チオ基、カルボキシル基、置換オキシカルボニル基(アルコキシカルボニル基など)、置換又は無置換カルバモイル基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換アミノ基、複素環式基、オキソ基などが挙げられる。
【0038】
RaとRb、RcとRdが、それぞれ互いに結合して、隣接する炭素原子と共に形成してもよい環としては、シクロプロパン環、シクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロヘプタン環、シクロオクタン環、シクロノナン環、シクロデカン環、シクロドデカン環、シクロテトラデカン環、シクロヘキサデカン環、シクロオクタデカン環、シクロイコサン環、シクロドコサン環、シクロトリアコンタン環等の3〜40員程度(好ましくは3〜30員程度)のシクロアルカン環;シクロペンテン環、シクロヘキセン環等3〜40員程度(好ましくは3〜30員程度)のシクロアルケン環などが挙げられる。なかでも、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、シクロオクタン環、シクロドデカン環等の5〜20員程度のシクロアルカン環が好ましい。
【0039】
前記シクロアルカン環は反応を阻害しない範囲で置換基を有していてもよい。このような置換基として、例えば、上記の炭化水素基が有していてもよい置換基のほか、アルキル基(例えば、メチル、エチル、イソプロピル、t−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル基等のC1-20アルキル基など、特にC1-4アルキル基)、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、アリール基(例えば、フェニル、ナフチル基など)、アラルキル基(例えば、ベンジル基など)などが挙げられる。また、シクロアルカン環には、芳香族性又は非芳香族性の炭素環や複素環が縮合していてもよく、この場合橋かけ環が形成されていてもよい。
【0040】
RaとRb及びRcとRdがそれぞれ互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成しているペルオキシド化合物の代表的な例として、下記式(8)で表されるビス(1−ヒドロキシシクロアルキル)ペルオキシド類が挙げられる。
【化18】
(式中、環Zはシクロアルカン環を示す)
【0041】
環Zにおけるシクロアルカン環としては、前記のシクロアルカン環が挙げられる。このシクロアルカン環は前記の置換基を有していてもよい。また、芳香族性又は非芳香族性の炭素環や複素環が縮合していてもよく、この場合橋かけ環が形成されていてもよい。
【0042】
式(2)で表されるペルオキシド化合物のうち鎖状化合物として、ビス(1−ヒドロキシ−1−フェニルメチル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルエチル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシ−1−メチルプロピル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシ−1−フェニルエチル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシ−1,1−ジフェニルメチル)ペルオキシドなどが挙げられる。また、前記式(8)で表されるビス(1−ヒドロキシシクロアルキル)ペルオキシド類の代表的な例として、ビス(1−ヒドロキシシクロプロピル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロブチル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロペンチル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロヘキシル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロヘプチル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロオクチル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロノニル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロデシル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロテトラデシル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロヘキサデシル)ペルオキシド、ビス(1−ヒドロキシシクロオクタデシル)ペルオキシドなどが挙げられる。
【0043】
式(2)で表されるペルオキシド化合物は、例えば、前記式(6a)で表されるアルコール化合物及び前記式(7b)で表されるカルボニル化合物[又は、前記式(6b)で表されるアルコール化合物及び前記式(7a)で表されるカルボニル化合物]を、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、分子状酸素と反応させることにより得ることができる[国際公開公報WO99/50204(PCT/JP99/01464)参照]。この反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては、例えば、酢酸、プロピオン酸などの有機酸;アセトニトリル、ベンゾニトリルなどのニトリル類;ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミドなどのアミド類;ヘキサン、オクタンなどの脂肪族炭化水素;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、ジクロロベンゼン、トリフルオロメチルベンゼンなどのハロゲン化炭化水素;ニトロベンゼン、ニトロメタン、ニトロエタンなどのニトロ化合物;酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル類;これらの混合溶媒などが挙げられる。前記カルボニル化合物の使用量は、アルコール化合物1モルに対して、例えば0.5〜5モル程度である。前記イミド系化合物の使用量は、アルコール化合物1モルに対して、例えば0.000001〜1モルである。分子状酸素としては、純粋な酸素、不活性ガスで希釈された酸素、又は空気を使用できる。反応温度は30〜150℃程度である。反応は常圧下又は加圧下で行われる。必要に応じて、マンガン化合物、コバルト化合物などの金属化合物等を助触媒として用いることもできる。なお、式(7b)で表されるカルボニル化合物として式(6a)で表されるアルコール化合物に対応する化合物を用いた場合には、対称なペルオキシド化合物が生成する。
【0044】
また、式(2)で表されるペルオキシド化合物は、前記式(5a)で表されるメチレン基を有する化合物と式(5b)で表されるメチレン基を有する化合物とを、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、分子状酸素と反応させることにより得ることもできる。なお、式(5a)で表されるメチレン基を有する化合物と式(5b)で表されるメチレン基を有する化合物とは同一の化合物であってもよい(この場合、対称なペルオキシド化合物が生成する)。この反応は溶媒の存在下又は非存在下で行われる。溶媒としては上記と同様の溶媒を使用できる。前記イミド系化合物の使用量は、メチレン基を有する化合物1モルに対して、例えば0.000001〜1モル程度である。分子状酸素としては、純粋な酸素、不活性ガスで希釈された酸素、又は空気を使用できる。反応温度は60〜150℃程度である。反応は常圧下又は加圧下で行われる。必要に応じて、マンガン化合物、コバルト化合物などの金属化合物等を助触媒として用いることもできる。
【0045】
さらに、式(2)で表されるペルオキシド化合物は、前記式(7a)で表されるカルボニル化合物と式(7b)で表されるカルボニル化合物とを、過酸化水素と反応させることにより得ることができる。なお、式(7a)で表されるカルボニル化合物と式(7b)で表されるカルボニル化合物とは同一の化合物であってもよい。この場合には対称なペルオキシド化合物が生成する。
【0046】
本発明の製造法1において、アンモニアは気体のアンモニアをそのまま使用してもよく、有機溶媒や水に溶解したものを用いてもよい。アンモニアを気体として使用する場合、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈して用いてもよい。アンモニアの使用量は、基質1モルに対して、通常0.5モル以上、例えば0.5〜100モル程度、好ましくは1〜50モル程度である。
【0047】
反応に用いる水の使用量は、基質1モルに対して、通常0.5モル以上、例えば0.5〜100モル程度、好ましくは1〜50モル程度である。水を大過剰量用いることもできる。前記イミド系化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、基質1モルに対して0.0000001〜2モル、好ましくは0.0001〜1モル、さらに好ましくは0.01〜0.8モル程度であり、0.05〜0.8モル程度である場合が多い。なお、必要に応じて、系内に前記安定化剤を添加してもよい。また、ヒドロキシルアミンを添加してもよい。
【0048】
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒としては、前記式(2)で表されるペルオキシド化合物の調製法において例示したものと同様の溶媒を使用できる。
【0049】
反応温度は、基質の種類などに応じて、例えば0〜200℃、好ましくは10〜100℃程度の範囲から選択できる。反応圧力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。反応はアンモニアの存在下又は流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0050】
本方法では、反応により、原料として用いた式(2)で表されるペルオキシド化合物に対応する式(3)で表されるアジン化合物、及び/又は式(4a)で表されるオキシム化合物及び/又は式(4b)で表されるオキシム化合物が生成する。特に、原料として式(8)で表されるビス(1−ヒドロキシシクロアルキル)ペルオキシド類を用いた場合には、下記式(9)
【化19】
(式中、環Zは前記に同じ)
で表されるシクロアルカノンアジン類、及び/又は下記式(10)
【化20】
(式中、環Zは前記に同じ)
で表されるシクロアルカノンオキシム類が生成する。
【0051】
式(3)で表されるアジン化合物のうち鎖状化合物として、ベンズアルデヒドアジン、アセトンアジン、メチルエチルケトンアジン、アセトフェノンアジン、ベンゾフェノンアジンなどが挙げられる。また、前記式(9)で表されるシクロアルカノンアジン類の代表的な例として、シクロプロパノンアジン、シクロブタノンアジン、シクロペンタノンアジン、シクロヘキサノンアジン、シクロヘプタノンアジン、シクロオクタノンアジン、シクロノナノンアジン、シクロデカノンアジン、シクロドデカノンアジン、シクロテトラデカノンアジン、シクロヘキサデカノンアジン、シクロオクタデカノンアジンなどが挙げられる。
【0052】
式(4a)、(4b)で表されるオキシム化合物のうち鎖状化合物として、ベンズアルデヒドオキシム、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム、アセトフェノンオキシム、ベンゾフェノンオキシムなどが挙げられる。また、式(10)で表されるシクロアルカノンオキシム類の代表的な例として、シクロプロパノンオキシム、シクロブタノンオキシム、シクロペンタノンオキシム、シクロヘキサノンオキシム、シクロヘプタノンオキシム、シクロオクタノンオキシム、シクロノナノンオキシム、シクロデカノンオキシム、シクロドデカノンオキシム、シクロテトラデカノンオキシム、シクロヘキサデカノンオキシム、シクロオクタデカノンオキシムなどが挙げられる。
【0053】
製造法1において、アジン化合物とオキシム化合物の生成比率は、例えば、反応温度、反応時間、触媒の種類及び量、溶媒の種類、水の使用量などの反応条件を適宜選択することによりコントロールできる。より具体的には、反応時間を長くしたり、イミド系化合物の量を増やすと、オキシム化合物の生成比率が増大する。
【0054】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【0055】
[製造法2]
本発明の製造法2では、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、前記式(3)で表されるアジン化合物と水とを反応させて、前記式(4a)及び/又は(4b)で表されるオキシム化合物を生成させる。
【0056】
式(3)中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記と同様である。Ra、Rb、Rc、Rdとしては、特に、C1-20アルキル基、3〜20員のシクロアルキル基、C6-20芳香族炭化水素基、これらが複数個結合した基などが好ましい。また、式(3)で表される化合物のうち、RaとRb及びRcとRdがそれぞれ互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成している化合物も好ましい。このようなアジン化合物の代表的な例として、前記式(9)で表されるシクロアルカノンアジン類が挙げられる。これらの中でも、シクロペンタノンアジン、シクロヘキサノンアジン、シクロオクタノンアジン、シクロドデカノンアジン等の5〜20員程度のシクロアルカノンアジンが好ましい。式(3)で表されるアジン化合物は本発明の製造法1により得ることができる。
【0057】
製造法2において、反応に用いる水の使用量は、基質1モルに対して、通常0.5モル以上、例えば0.5〜100モル程度、好ましくは1〜50モル程度である。水を大過剰量用いることもできる。前記イミド系化合物の使用量は、広い範囲で選択でき、例えば、基質1モルに対して0.0000001〜5モル、好ましくは0.0001〜3モル、さらに好ましくは0.01〜2モル程度であり、0.1〜1.5モル程度である場合が多い。なお、反応速度や収率を向上させるため、必要に応じて、系内にアンモニアやヒドロキシルアミンを加えたり、前記安定化剤を添加してもよい。
【0058】
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒としては、例えば前記例示の溶媒を使用できる。反応温度は、基質の種類などに応じて、例えば、0〜200℃、好ましくは10〜100℃程度の範囲から選択できる。反応圧力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。反応は、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0059】
本方法では、反応により、原料として用いた式(3)で表されるアジン化合物に対応する式(4a)で表されるオキシム化合物及び/又は式(4b)で表されるオキシム化合物が生成する。特に、原料として式(9)で表されるシクロアルカノンアジン類を用いた場合には、前記式(10)で表されるシクロアルカノンオキシム類が生成する。
【0060】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【0061】
[製造法3]
本発明の製造法3では、前記式(I)で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、前記式(5a)及び(5b)で表される1組のメチレン基を有する化合物、前記式(6a)及び(6b)で表される1組のアルコール化合物、及び前記式(7a)及び(7b)で表される1組のカルボニル化合物の3組から選択された少なくとも1組の化合物と、酸素と、アンモニアと、水とを反応させて、前記式(3)で表されるアジン化合物、又は前記式(4a)及び/又は(4b)で表されるオキシム化合物を生成させる。
【0062】
式(5a)で表される化合物と式(5b)で表される化合物、式(6a)で表される化合物と式(6b)で表される化合物、式(7a)で表される化合物と式(7b)で表される化合物は、それぞれ同一化合物であってもよい。この場合、対称なアジン化合物、及び/又は1種類のオキシム化合物が生成する。
【0063】
この製造法3では、基質として(i)メチレン基を有する化合物(例えばシクロアルカン類)、又は(ii)アルコール化合物(例えばシクロアルカノール類)とカルボニル化合物(例えばシクロアルカノン類)との混合物(例えば、K/Aオイル)を用いることが多い。
【0064】
式(5a)、(5b)、(6a)、(6b)、(7a)、(7b)中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記と同様である。Ra、Rb、Rc、Rdとしては、特に、C1-20アルキル基、3〜20員のシクロアルキル基、C6-20芳香族炭化水素基、これらが複数個結合した基などが好ましい。また、式(5a)、(5b)、(6a)、(6b)、(7a)、(7b)において、RaとRb及びRcとRdがそれぞれ互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成しているのも好ましい。RaとRb及びRcとRdがそれぞれ互いに結合して隣接する炭素原子と共に環を形成しているメチレン基を有する化合物、アルコール化合物、及びカルボニル化合物の代表的な例として、それぞれ、下記式(11)、(12)、(13)で表されるシクロアルカン類、シクロアルカノール類、及びシクロアルカノン類が挙げられる。
【化21】
(式中、環Zは前記に同じ)
【0065】
式(5a)、(5b)で表されるメチレン基を有する化合物のうち鎖状化合物として、トルエン、プロパン、ブタン、エチルベンゼン、フェニルメチルベンゼンなどが挙げられる。また、式(11)で表されるシクロアルカン類の代表的な例として、例えば、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン、シクロデカン、シクロドデカン、シクロテトラデカン、シクロヘキサデカン、シクロオクタデカン、シクロイコサン、シクロドコサン、シクロトリアコンタン等の3〜40員程度(好ましくは3〜30員程度)のシクロアルカンなどが挙げられる。なかでも、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロオクタン、シクロドデカン等の5〜20員程度のシクロアルカンが好ましい。
【0066】
式(6a)、(6b)で表されるアルコール化合物のうち鎖状化合物として、ベンジルアルコール、イソプロピルアルコール、s−ブチルアルコール、α−メチルベンジルアルコール、ベンズヒドロールなどが挙げられる。また、式(12)で表されるシクロアルカノール類の代表的な例として、例えば、前記シクロアルカンに対応するシクロアルカノール、例えば、シクロプロパノール、シクロブタノール、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロヘプタノール、シクロオクタノール、シクロノナノール、シクロデカノール、シクロドデカノール、シクロテトラデカノール、シクロヘキサデカノール、シクロオクタデカノール、シクロイコサノール、シクロドコサノール、シクロトリアコンタノール等の3〜40員程度(好ましくは3〜30員程度)のシクロアルカノールなどが挙げられる。なかでも、シクロペンタノール、シクロヘキサノール、シクロオクタノール、シクロドデカノール等の5〜20員程度のシクロアルカノールが好ましい。
【0067】
式(7a)、(7b)で表されるカルボニル化合物のうち鎖状化合物として、ベンズアルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、ベンゾフェノンなどが挙げられる。また、式(13)で表されるシクロアルカノン類の代表的な例として、例えば、前記シクロアルカンに対応するシクロアルカノン、例えば、シクロプロパノン、シクロブタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロヘプタノン、シクロオクタノン、シクロノナノン、シクロデカノン、シクロドデカノン、シクロテトラデカノン、シクロヘキサデカノン、シクロオクタデカノン、シクロイコサノン、シクロドコサノン、シクロトリアコンタノン等の3〜40員程度(好ましくは3〜30員程度)のシクロアルカノンなどが挙げられる。なかでも、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、シクロオクタノン、シクロドデカノン等の5〜20員程度のシクロアルカノンが好ましい。
【0068】
反応に用いる酸素としては、分子状酸素及び発生期の酸素の何れであってもよい。分子状酸素は特に制限されず、純粋な酸素を用いてもよく、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素などの不活性ガスで希釈した酸素や空気を使用してもよい。酸素は系内で発生させてもよい。酸素の使用量は、基質の種類によっても異なるが、通常、基質1モルに対して0.5モル以上(例えば、1モル以上)、好ましくは1〜100モル、さらに好ましくは2〜50モル程度である。基質に対して過剰モルの酸素を使用する場合が多い。
【0069】
アンモニアは気体のまま用いてもよく、有機溶媒や水に溶解したものを用いてもよい。アンモニアを気体として使用する場合、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等の不活性ガスで希釈して用いてもよい。アンモニアの使用量は、基質1モルに対して、通常0.5モル以上、例えば0.5〜100モル程度、好ましくは1〜50モル程度である。
【0070】
反応に用いる水の使用量は、基質1モルに対して、通常0.5モル以上、例えば0.5〜100モル程度、好ましくは1〜50モル程度である。水を大過剰量用いることもできる。
【0071】
反応は溶媒の存在下又は非存在下で行うことができる。溶媒としては前記例示の溶媒を使用できる。反応温度は、基質の種類などに応じて、例えば、0〜200℃、好ましくは10〜100℃程度の範囲から選択できる。反応圧力は、常圧、加圧下の何れであってもよい。反応は、アンモニア及び酸素の存在下又はアンモニア及び酸素の流通下、回分式、半回分式、連続式などの慣用の方法により行うことができる。
【0072】
また、反応を段階的に進行させることもできる。例えば、基質、イミド系化合物、及び必要に応じてラジカル開始剤、溶媒等の混合物を酸素の存在下で所定時間反応させ、次いで、水、アンモニア、及び必要に応じて安定化剤を系内に添加してさらに所定時間反応させることにより、アジン化合物及び/又はオキシム化合物を生成させることができる。この場合、前段の操作で前記式(2)で表されるペルオキシド化合物が生成し、これが後段の操作により目的物に変換されるものと考えられる。なお、水は前段で添加しておいてもよい。
【0073】
本発明では、反応により、原料として用いた式(5a)及び(5b)で表されるメチレン基を有する化合物、式(6a)及び(6b)で表されるアルコール類、又は式(7a)及び(7b)で表されるカルボニル化合物に対応する式(3)で表されるアジン化合物、及び/又は式(4a)、式(4b)で表されるオキシム化合物が生成する。アジン化合物とオキシム化合物との生成比率は、例えば、反応温度、反応時間、触媒の種類及び量、溶媒の種類、水の使用量などの反応条件を適宜選択することによりコントロールできる。
【0074】
反応終了後、反応生成物は、例えば、濾過、濃縮、蒸留、抽出、晶析、再結晶、吸着、カラムクロマトグラフィーなどの分離手段やこれらを組み合わせた分離手段により分離精製できる。
【0075】
本発明の各製造法で得られたアジン化合物、オキシム化合物は、医薬、農薬、染料、溶剤、爆薬などの原料、ポリアミド(ナイロン)の原料などとして利用できる。特に、6〜12員のシクロアルカノンアジン類及びシクロアルカノンオキシム類は、ポリアミドの原料として有用である。
【0076】
【発明の効果】
本発明によれば、オキシム化合物又は該オキシム化合物の原料として有用なアジン化合物を安価な原料から簡易に製造できる。また、アジン化合物からオキシム化合物を効率よく製造できる。
【0077】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、分析はガスクロマトグラフィー又は高速液体クロマトグラフィーにより行った。
【0078】
実施例1
ビス(1−ヒドロキシシクロヘキシル)ペルオキシド[前記式(8)において環Zがシクロヘキサン環である化合物]1ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、及びアセトニトリル3mlと水4mlをフラスコに入れ、アンモニアガス雰囲気下(1atm=0.101MPa)、55℃で12時間攪拌した。反応混合物をジイソプロピルエーテルで抽出し、有機層を分析したところ、シクロヘキサノンアジン[式(9)において環Zがシクロヘキサン環である化合物]が0.35ミリモル、シクロヘキサノンオキシム[式(10)において環Zがシクロヘキサン環である化合物]が0.52ミリモル生成していた。
【0079】
実施例2
ビス(1−ヒドロキシシクロヘキシル)ペルオキシド1ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、EDTA・2Na(エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム)5mg、及びアセトニトリル3mlと水4mlをフラスコに入れ、アンモニアガス雰囲気下(1atm=0.101MPa)、55℃で12時間攪拌した。反応混合物をジイソプロピルエーテルで抽出し、有機層を分析したところ、シクロヘキサノンアジンが0.31ミリモル、シクロヘキサノンオキシムが0.52ミリモル生成していた。
【0080】
比較例1
N−ヒドロキシフタルイミドを用いなかった点以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、シクロヘキサノンアジンが0.04ミリモル、シクロヘキサノンオキシムが0.03ミリモル生成していた。
【0081】
比較例2
水を用いなかった点以外は実施例1と同様の操作を行ったところ、シクロヘキサノンアジンが0.02ミリモル生成していた。シクロヘキサノンオキシムは全く生成していなかった。
【0082】
実施例3
シクロヘキサノン3ミリモル、シクロヘキサノール6ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)0.3ミリモル、及びアセトニトリル3mlをフラスコに入れ、酸素雰囲気下(1atm=0.101MPa)、55℃で19時間攪拌した。その後、EDTA・2Na5mgと水4mlを加え、アンモニアガス雰囲気下(1atm=0.101MPa)、30℃で0.5時間攪拌した。反応混合物をジイソプロピルエーテルで抽出し、有機層を分析したところ、シクロヘキサノンアジンが0.87ミリモル、シクロヘキサノンオキシムが0.43ミリモル生成していた。
【0083】
実施例4
シクロヘキサノンアジン1ミリモル、N−ヒドロキシフタルイミド0.6ミリモル、EDTA・2Na5mg、及びアセトニトリル3mlと水4mlをフラスコに入れ、アンモニアガス雰囲気下(1atm=0.101MPa)、55℃で12時間攪拌した。反応混合物をジイソプロピルエーテルで抽出し、有機層を分析したところ、シクロヘキサノンオキシムが0.56ミリモル生成していた。未反応シクロヘキサノンアジンは0.67ミリモルであった。
【0084】
実施例5
N−ヒドロキシフタルイミドを1.2ミリモル用いた点以外は実施例4と同様の操作を行ったところ、シクロヘキサノンオキシムが0.99ミリモル生成していた。未反応シクロヘキサノンアジンは0.31ミリモルであった。
【0085】
実施例6
アセトニトリルを用いなかった点以外は実施例4と同様の操作を行ったところ、シクロヘキサノンオキシムが0.41ミリモル生成していた。未反応シクロヘキサノンアジンは0.71ミリモルであった。
【0086】
実施例7
アンモニアガス雰囲気下ではなく、アルゴン雰囲気下で反応を行った点以外は実施例4と同様の操作を行ったところ、シクロヘキサノンオキシムが0.48ミリモル生成していた。未反応シクロヘキサノンアジンは0.41ミリモルであった。
【0087】
比較例3
水を用いなかった点以外は実施例4と同様の操作を行ったところ、シクロヘキサノンオキシムは全く生成せず、未反応シクロヘキサノンアジンが回収された。
【0088】
比較例4
N−ヒドロキシフタルイミドを用いなかった点以外は実施例4と同様の操作を行ったところ、シクロヘキサノンオキシムは全く生成せず、未反応シクロヘキサノンアジンが0.83ミリモル回収された。
Claims (3)
- 下記式(I)
で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、下記式(2)
で表されるペルオキシド化合物と、アンモニアと、水とを反応させて、下記式(3)
で表されるアジン化合物、又は下記式(4a)及び/又は(4b)
で表されるオキシム化合物を生成させることを特徴とするアジン化合物又はオキシム化合物の製造法。 - 下記式(I)
で表される環状イミド骨格を有するイミド系化合物の存在下、下記式(5a)及び(5b)
Ra−CH2−Rb (5a)
Rc−CH2−Rd (5b)
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは、同一又は異なって、水素原子又は炭化水素基を示す。RaとRb、RcとRdは、それぞれ互いに結合して、隣接する炭素原子と共に環を形成していてもよい)
で表される1組のメチレン基を有する化合物、下記式(6a)及び(6b)
Ra−CH(OH)−Rb (6a)
Rc−CH(OH)−Rd (6b)
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記に同じ)
で表される1組のアルコール化合物、及び下記式(7a)及び(7b)
Ra−C(=O)−Rb (7a)
Rc−C(=O)−Rd (7b)
(式中、Ra、Rb、Rc、Rdは前記に同じ)
で表される1組のカルボニル化合物の3組から選択された少なくとも1組の化合物と、酸素と、アンモニアと、水とを反応させて、下記式(3)
で表されるアジン化合物、又は下記式(4a)及び/又は(4b)
で表されるオキシム化合物を生成させることを特徴とするアジン化合物又はオキシム化合物の製造法。
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