JP4076336B2 - 車両用シートの着座姿勢測定装置 - Google Patents

車両用シートの着座姿勢測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両用シートの着座姿勢測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の車両用シートの着座姿勢測定装置としては、例えば特許第2690978号公報に示すように、帯状基板の長手方向に沿って多数の歪みゲージを装着してなる形状センサーを着座シート上に上下方向に沿わせて配置することで該シートと着座者との間に介在させ、各歪みゲージの歪み出力を検出することに基づき着座姿勢を測定するものがある。
また、他には例えばアクチュエータの駆動に基づき全面の形状を任意に変更可能な圧力測定マットを備え、該圧力測定マットの形状を人体形状に応じて変更し、該圧力測定マットにより座圧を測定することに基づき着座姿勢を測定する方式のものがある。なお、圧力測定マットは、面内に多数の圧力検出部を備えてなる。
従って、いずれにしても、歪み或いは圧力の検出箇所が多数に及ぶ。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のように、検出箇所が多数に及ぶと、検出結果の演算処理や、演算結果の評価等に非常に手間がかかる上、測定毎に異なる各演算結果に対する評価基準も多くなるため、結局の所、必要以上に多くの評価用パラメータを無為に収集するだけのことになってしまい、各測定毎の分かり易い相対評価が困難になりがちであるという問題がある。
さらに、圧力測定マット全面の形状を変更するには多数の駆動要素が必要となりコスト高を招いてしまうという問題がある。
加えて、人体は、その構造上、少数箇所を位置決めすることにより姿勢が決まるという性質を有するが、例えば上記の圧力マットを用いる技術のように全面の形状を人体に沿わせて変更可能である場合は、例えば第9胸椎と骨盤との中間部分のように、人体姿勢を決めた状態でも比較的自由に動きやすい骨格部位をも動かしてしまうことになる。このような骨格部位を動かした状態は短時間であれば心地良く過ごせるが、長時間に及ぶと逆に疲労を招いてしまう。従って、あまりに多くの可動部位がある車両用シートの着座姿勢測定装置の場合は、長時間座した場合に疲労しやすい姿勢で測定を行うことになりかねないという問題がある。
【0004】
この発明は、上記のような問題点を解決するためになされたもので、駆動要素の数を低減し、より好ましくは、人体構造上、姿勢決定に最も効果的な箇所のみを位置決めした状態で着座姿勢を測定可能で、必要最小限の評価用パラメータのみを好適に収集可能とする車両用シートの着座姿勢測定装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明に係る車両用シートの着座姿勢測定装置は、
背中支持部及び足支持部を有する着座シートと、
前記着座シートの背中支持部にそれぞれ横断方向に配設された弾性変形可能な第1板状部材および第2板状部材と、
前記第1板状部材および第2板状部材をそれぞれ移動および弾性変形させることで、前記背中支持部を着座した人の背中に沿うように変形させるための第1駆動手段および第2駆動手段と、
前記着座シートの足支持部にそれぞれ横断方向に配設された第3板状部材および第4板状部材と、
前記第3板状部材および第4板状部材をそれぞれ移動させることで、前記足支持部を変形させるための第3駆動手段および第4駆動手段と、
前記第1板状部材〜第4板状部材の移動位置をそれぞれ検出する位置検出手段と、
前記第1板状部材〜第4板状部材に加わる圧力をそれぞれ検出する圧力検出手段と、を備え、
前記第1駆動手段〜第4駆動手段のそれぞれはシリンダユニットからなり、各シリンダユニットは、ユニット本体とそのユニット本体に固定される複数のシリンダとを含み、
前記位置検出手段は、前記各シリンダの伸縮状態の検出信号に基づいて前記各板状部材の移動位置をそれぞれ検出すると共に、各シリンダの駆動制御を行う制御装置を含み、
前記第1板状部材は前記着座シートに着座した人の第9胸椎に沿うような位置に配され、
前記第2板状部材は前記着座した人の骨盤に沿うような位置に配され、
前記第3板状部材は前記着座した人の座骨結節に沿うような位置に配され、
前記第4板状部材は前記着座した人の腿前部に沿うような位置に配されていることを特徴とする。
【0006】
本発明によれば、駆動手段により板状部材を移動および弾性変形させるのに伴わせて着座シートを人体形状に沿うように(着座シートに着座した人の背中から腿部に至る背面形状に沿うように)変形させた状態で、板状部材の移動位置を位置検出手段により検出することで、着座姿勢を測定することができるとともに、この姿勢で板状部材に加わる圧力を圧力測定手段により測定することで、座圧を測定することができる。また、複数列の板状部材を動かすだけで良いため駆動要素の数を低減できる。
【0007】
また、本発明は、前記第1駆動手段及び第2駆動手段の各シリンダは、ロッド及びヘッドのうちの一方がユニット本体に固定され、他方がボールジョイント等の自在継ぎ手を介して第1板状部材又は第2板状部材に固定されていることを特徴としている。
【0008】
また、本発明において、前記各シリンダは、前記第1板状部材及び第2板状部材の長手方向に間隔をおいてそれぞれ三つ配置されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明において、前記第3駆動手段及び第4駆動手段の各シリンダは、ロッド及びヘッドのうちの一方がユニット本体に固定され、他方がボールジョイント等の自在継ぎ手を介して第3板状部材又は第4板状部材に固定されていることを特徴としている。
ここで、前記各シリンダは、前記第3板状部材及び第4板状部材の長手方向に間隔をおいてそれぞれ二つ配置される。
【0010】
本発明によれば、第1および第2駆動手段により第1および第2板状部材をそれぞれ移動および弾性変形させるのに伴わせて背中支持部を変形させ、第3および第4駆動手段により第3および第4板状部材をそれぞれ移動させるのに伴わせて足支持部を変形させた状態で、第1〜第4板状部材の移動位置を位置検出手段により検出することで、着座姿勢を測定することができるとともに、この姿勢で第1〜第4板状部材に加わる圧力を圧力測定手段により測定することで、座圧を測定することができる。また、複数列の板状部材を動かすだけで良いため駆動要素の数を低減できる。
【0011】
また、本発明によれば、板状部材を、例えば人体構造上姿勢決定に最も効果的な第9胸椎、骨盤(特に仙骨および腸骨)、坐骨結節および腿前部にそれぞれ沿うラインのみ構成するように、着座シートに横断方向に配設することができ、人体構造上、姿勢決定に最も効果的な箇所のみを位置決めした状態で着座姿勢および座圧を測定することができる。さらに、この場合、必要最小限の評価用パラメータのみを好適に収集可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明に係る実施の形態について説明する。
図1および図2に示すように、本実施の形態の車両用シートの着座姿勢測定装置1は、着座シート2(図1)と、該着座シート2の例えば裏面側に配設された板状部材3,4,5,6(図2)と、各板状部材3〜6等を介して着座シート2を裏面側から支持した駆動手段としてのシリンダユニット7,8,9,10と、このうちシリンダユニット7,8がそれぞれ固定された上部フレーム11と、該上部フレーム11を支持した下部フレーム12と、該下部フレーム12およびシリンダユニット9,10がそれぞれ固定された台座13と、ヘッドレスト14と、制御装置20(図7)と、表示装置30(図7)等を備えて概略構成されている。
【0013】
着座シート2は弾性変形および弾性復帰可能な材質からなる。着座シート2の材質としては、具体的には例えばポリプロピレンビーズ発泡体が適当であるが、これに限らず、要は、着座に適し、後述するようにシリンダの駆動によっても破損せず、しかも、荷重を好適に伝達可能な材質であれば何でも良い。
この着座シート2は、例えば背中支持部21と足支持部22とに分割された分割構造をなしている。このうち、背中支持部21は、互いの間にくびれ部21cが形成された上部21aと下部21bを有する。
【0014】
上部フレーム11は、例えば略ロ字状の枠体であり、その下辺付近を軸として揺動可能となるように下部フレーム12によって支持されている。ただし、通常は、上部フレーム11は、その起き上がり角度が一定となるように下部フレーム12に固定されている。
【0015】
図3に示すように、シリンダユニット7,8(駆動手段、特に第1駆動手段、第2駆動手段)は、それぞれユニット本体71,81(図1,図2)と、該ユニット本体71,81にそれぞれ固定されたシリンダ15とを備えて構成されている。本実施の形態の場合、図3に示すように、ユニット本体71,81には、それぞれ例えば3つずつのシリンダ15が、互いに並列となるよう略等間隔に設けられている。なお、各シリンダ15は、例えばロッド(図示略)がユニット本体71,81に固定され、伸縮によりヘッド15aがユニット本体71,81に対し矢印A方向および矢印B方向に可動となっている。
同様に、図4に示すように、シリンダユニット9,10(駆動手段、特に第3駆動手段、第4駆動手段)は、それぞれユニット本体91,101(図1,図2)と、該ユニット本体91,101にそれぞれ固定されたシリンダ15とを備えて構成されている。本実施の形態の場合、ユニット本体91,101には、それぞれ例えば2つずつのシリンダ15が、互いに並列となるように左右対称に設けられている。なお、各シリンダ15は、例えばロッド(図示略)がユニット本体91,101に固定され、伸縮によりヘッド15aがユニット本体91,101に対し矢印C方向および矢印D方向に可動となっている。
【0016】
シリンダユニット7,8の各シリンダ15は、それぞれロードセル(圧力検出手段)16およびボールジョイント17等を介してそれぞれ対応する板状部材3,4(第1板状部材、第2板状部材)に連結されている。
すなわち、例えば各シリンダ15のヘッド15aには、それぞれロードセル16が固定されている。他方、板状部材3,4の裏面には、例えば金属等の剛体である連結板18が、各ロードセル16と対向する位置に固定されている。そして、各連結板18がボールジョイント17を介して各ロードセル16と連結されることで、各シリンダユニット7,8のシリンダ15は、対応する板状部材3,4を矢印A方向およびB方向に移動可能に支持した状態となっている。
同様に、シリンダユニット9,10の各シリンダ15も、それぞれロードセル16、ボールジョイント17および連結板18を介してそれぞれ対応する板状部材5,6(第3板状部材、第4板状部材)に連結され、これにより、各シリンダユニット9,10のシリンダ15は、対応する板状部材5,6を矢印C方向およびD方向に移動可能に支持した状態となっている。
【0017】
なお、各シリンダ15は、各シリンダ15と板状部材3,4,5,6との角度を自由に変更可能とする角度可変手段(ボールジョイント17)を介して板状部材3,4,5,6と連結されていると言える。ここではボールジョイント17を例示したが、これに限らず角度変更可能なその他のジョイントを用いても良い。
【0018】
また、板状部材3,4は、例えば左右に長尺に形成された平板状の弾性部材(例えば板バネ)からなる。従って、板状部材3,4は、シリンダユニット7,8の各シリンダ15の伸縮量を互いに不等量とすることにより板面湾曲方向に弾性変形し、再び等量に戻すことにより弾性復帰する。
他方、板状部材5,6は、例えば左右に長尺に形成された剛体の平板状部材(例えば金属板)からなる。
【0019】
このように構成されたシリンダユニット7,8,9,10のうち、2つのシリンダユニット7,8は、各板状部材3,4の長手方向が略水平方向となるとともに、各シリンダ15の伸縮方向(図3の矢印A方向および矢印B方向)が上部フレーム11を含む略平面と略直交するようにそれぞれ上部フレーム5に固定され、この状態で各板状部材3,4が上部フレーム5を介して斜め上方に臨んでいる。
また、残る2つのシリンダユニット9,10は、各板状部材5,6の長手方向が略水平方向となるとともに、各シリンダ15の伸縮方向(図4の矢印C方向および矢印D方向)が略鉛直方向となるようにそれぞれ台座13に固定されている。
【0020】
さらに、板状部材3,4には、該板状部材3,4に支持させるように着座シート2の背中支持部21が取付けられ、これにより、背中支持部21の上部21aの裏面には板状部材3が、また、下部21bの裏面には板状部材4が、それぞれ横断方向に配設された状態となっている(図1)。
なお、板状部材3,4の表側の面と、着座シート2の背中支持部21の裏面とは、例えばマジックテープ(登録商標)19(板状部材3,4側のみ図示)等の貼設手段により、横断方向に亘り連続的に相互に貼り付けられている。
他方、板状部材5,6には着座シート2の足支持部22が固定され、これにより足支持部22の裏面に板状部材5,6がそれぞれ横断方向に配設された状態となっている(図1)。
【0021】
ここで、板状部材3は、着座状態で、人体のうち特に第9胸椎に沿うような位置に配され、板状部材4は、骨盤、より具体的には仙骨および腸骨に沿うような位置に配され、板状部材5は、坐骨結節(座骨結節)に沿うような位置に配され、板状部材6は、腿の前部に沿うように位置に配されている。
【0022】
また、制御装置20は、上記の各構成のうち、各シリンダユニット7,8,9,10の各シリンダ15の駆動制御を行うと共に、各シリンダ15の伸縮状態の検出信号が入力されるようになっている。そして、この検出信号に基づき各板状部材3,4,5,6の移動位置をそれぞれ検出するようになっている。つまり、各シリンダ15と制御装置20とで位置検出手段を構成している。
さらに、制御装置20には、各ロードセル16で検出する圧力検出信号が入力されるようになっている。そして、この圧力検出信号に基づき各板状部材3,4,5,6に加わる圧力をそれぞれ検出するようになっている。つまり、各ロードセル16と制御装置20とで圧力検出手段を構成している。
加えて、制御装置20は、表示装置30の表示制御を行うようになっている。
【0023】
以上のように構成された車両用シートの着座姿勢測定装置1を用いる着座姿勢測定について以下に説明する。
【0024】
先ず、背中支持部21により背中を支持させ、足支持部22により腿を支持させるように着座シート2に着座する。
この際、第9胸椎の後ろ側には板状部材3が、骨盤(厳密には仙骨および腸骨)の後ろ側には板状部材4が、座骨結節の後ろ側には板状部材5が、腿前部の後ろ側には板状部材6が、各々の長手方向が人体の横断方向となるように位置する。
【0025】
次に、各シリンダユニット7〜10のシリンダ15を適宜に駆動し、該駆動に基づき板状部材3〜6を移動および弾性変形、或いは移動のみさせるのに伴わせて、着座シート2を人体形状に沿うように(着座シート2に着座した人の背中から腿部に至る背面形状に沿うように)変形させる(マッチングさせる)。
【0026】
すなわち、着座シート2の背中支持部21をマッチングさせるには、シリンダユニット7の各シリンダ15の伸縮状態をそれぞれ適当量変化させることにより、板状部材3を移動および板面湾曲方向に弾性変形させる一方、シリンダユニット8についても、同様に、各シリンダ15の伸縮状態を適当量変化させる。この際、各シリンダ15と板状部材3,4とは、ボールジョイント17を介して連結されているため、中央のシリンダ15よりも左右両脇のシリンダ15,15の方が長くなるように伸縮状態を調節すると、図3(b)に示すように、板状部材3,4がそれぞれ凹面状に湾曲するのに伴い、該板状部材3,4に張り付いている背中支持部21の上部21aおよび下部21bもそれぞれ独立に凹面状に湾曲する。その結果、着座シート2の背中支持部21は、その横断方向において人体曲面に沿う状態となる。なお、背中支持部21は、その上部21aと下部21bとの間にくびれ部21cを有するので、上部21aと下部21bとが各々独立な湾曲量で湾曲するのに好都合である。また、この調節の際、シリンダユニット7のシリンダ15の伸長量と、シリンダユニット8のシリンダ15との伸長量とをそれぞれ調節することにより、背中支持部21を縦方向に曲面変化させることができる。しかも、各シリンダ15と板状部材3,4とは、ボールジョイント17を介して連結されているため、板状部材3と板状部材4とが互いに同一平面上に位置しないように各シリンダ15の伸縮状態を調節した場合には、板状部材3,4は、それぞれ背中支持部21の変形に起因して該背中支持部21に生じる反発力に基づき該背中支持部21により引っ張られる(つまり、着座シート2の背中支持部21はマジックテープ(登録商標)19で板状部材3,4に貼り付けられているので、例えば板状部材3を板状部材4よりも突出させると両者の相対距離が大きくなり、それに伴って板状部材3、4は背中支持部21により互いに接近する方向へ引っ張られる。換言すれば、背中支持部21が板状部材3、4で引っ張られる)結果各々長手方向を軸とした軸周りに角度変化する。このため、背中支持部21の縦方向における曲率変化が極力なめらかになる。このようにして、背中支持部21は不連続な曲面を作り出すことなく、人体にマッチングできる形状に設定することができる。
【0027】
他方、足支持部22をマッチングさせるには、シリンダユニット9の各シリンダ15を互いに同期させて互いに略等しい伸長量となるように伸縮状態を調節することにより、板状部材5の鉛直位置を調節する一方で、シリンダユニット10の各シリンダ15の伸縮状態を同様に調節することにより、板状部材6の鉛直位置を調節する。これにより、足支持部22を縦方向に曲面変化させることができる。また、各シリンダ15と板状部材5,6とは、ボールジョイント17を介して連結されているため、例えば板状部材5と板状部材6とが互いに同一平面上に位置しないように各シリンダ15の伸縮状態を調節した場合には、板状部材5,6は、それぞれ足支持部22の変形に起因した該足支持部22に生じる反発力に基づき該足支持部22により引っ張られる(換言すれば、足支持部22が板状部材5,6で引っ張られる)結果各々長手方向を軸とした軸周りに角度変化する。このため、足支持部21の縦方向における曲率変化が極力なめらかになる。このようにして、足支持部22も人体にマッチングできる形状に設定することができる。
【0028】
以上のように、着座シート2を人体形状にマッチングさせた状態で、着座姿勢の測定および各部位の座圧測定(圧力測定)を行う。
【0029】
着座姿勢の測定は、各シリンダユニット7〜10の各シリンダ15の伸縮状態の検出に基づき行う。
具体的には、例えば基準とする着座姿勢が予め設定され、この着座姿勢を測定する際の各シリンダ15の伸長量を予め調べておき、この基準の伸長量と比較して各シリンダ15がどれだけ伸びたか(或いは縮んだか)を各シリンダ15の伸縮状態の検出信号に基づき判定することにより、着座姿勢を測定することができる。
【0030】
また、座圧測定は、各ロードセル16で検出する圧力検出信号に基づき行う。
なお、着座シート2は、弾性変形した際には、反発力を生じ、この結果、各ロードセル16での検出値が、本来測定すべき座圧と異なるが、予め、着座シート2を各形状に変形させる毎に反発力を計測しておくことで、この値を着座姿勢と対比させ、適宜圧力検出結果より補正することによって、正確な座圧を測定することができる。
【0031】
さらに、以上のように、着座姿勢の測定および座圧の測定をしたならば、例えば図6に示すように、測定した着座姿勢を簡略的に示す画像を、表示装置30の画面に表示する。ここで、表示装置30およびこの表示装置30を表示制御する制御装置20は、報知手段として機能する。
図6にて、各黒丸が、測定した着座姿勢での第9胸椎、仙骨および腸骨、坐骨結節、腿前部の位置(各板状部材3,4,5,6の位置)を示す。この表示を確認することにより、着座姿勢を認識することができる。
また、各白丸は、理想的な着座姿勢(疲れにくい着座姿勢)の場合の第9胸椎、仙骨および腸骨、坐骨結節、腿前部の位置(各板状部材3,4,5,6の位置)を示す。この表示を確認することにより、理想的な着座姿勢と、実際の着座姿勢との相違を認識することができる。
【0032】
なお、車両用シートの着座姿勢測定装置1では、所定の操作を行うことにより、理想的な着座姿勢となるように(各シリンダユニット7,8,9,10の各シリンダ15を駆動させるのに基づき)板状部材3,4,5,6を移動および弾性変形させて着座シート2を移動および変形させることができるようになっている。従って、着座者の姿勢を矯正するとともに着座者に理想姿勢を体感させることができる。
ここで、人体は、その構造上、骨盤(仙骨および腸骨)を支点として、第9胸椎を前後(矢印E方向および矢印F方向)に背中部分を中立姿勢時の背面形状(50パーセンタイル)になるように位置調節することで、体格に拘わらず背中部分を理想姿勢となるように矯正することができる。また、同様に、坐骨結節を支点として、腿前部を車両用シートとしての人間工学的見地から好ましい位置に上下に位置調節することで、体格に拘わらずサイバー角α(図5に示すように、水平面と大腿骨とのなす角度)を理想姿勢となるように矯正することができる。
【0033】
以上のような実施の形態によれば、シリンダユニット7,8により板状部材3,4をそれぞれ移動および弾性変形させるのに伴わせて背中支持部21を人体形状に沿うように変形させる一方、シリンダユニット9,10により板状部材5,6をそれぞれ移動させるのに伴わせて足支持部22を人体形状に沿うように変形させた状態で、板状部材3〜6の移動位置を検出することで、着座姿勢を測定することができるとともに、この姿勢で板状部材3〜6に加わる圧力を測定することにより、余計な局部荷重を分散して人体の各部位の圧力測定を行うことができる。
また、複数列の板状部材3〜6を動かすだけで良いため駆動要素の数が少なくて済む。
さらに、特に、人体構造上姿勢決定に最も効果的な3つの人体支持中心、すなわち、第9胸椎、骨盤(特に仙骨および腸骨)および坐骨結節に加え、車のドライビングポジションに影響する腿前部の4つの部位にそれぞれ沿うラインのみを構成するように、板状部材3,4を着座シート2に横断方向に配設しているので、人体構造上、姿勢決定に最も効果的な箇所のみを位置決めした状態で着座姿勢および座圧を測定することができる。
しかも、これら4つの部位のみの座面形状形成および圧力測定を行うので、検出結果の演算処理や、演算結果の評価等が容易になるとともに、測定毎に異なる各演算結果に対する評価基準も最小限で済むため、各測定毎の分かり易い相対評価を行うことができる。
また、例えば第9胸椎と骨盤との中間部分のように、人体姿勢を決めた状態でも比較的自由に動きやすい骨格部位を動かさず、中立姿勢(着座シート2より負荷を加えない状態)にさせるので、疲れにくい姿勢での測定を行うことができる。
以上、要するに、本実施の形態の車両用シートの着座姿勢測定装置1によれば、疲れにくいシート形状やシート材質を判断するための必要最小限の評価用パラメータを好適に収集することができる。
【0034】
なお、上記の実施の形態では、板状部材5,6を剛体としたが、これに限らず、板状部材5,6も板状部材3,4と同様に弾性部材であっても良い。あるいは、逆に、板状部材3,4も板状部材5,6と同様に剛体であっても良い。
また、板状部材3,4に加わる圧力の測定ポイント数を3つ、また、板状部材5,6に加わる圧力の測定ポイント数を2つ(つまり、板状部材3,4に設けられたロードセル16が3つで、板状部材5,6に設けられたロードセル16が2つ)としたが、測定ポイント数は適宜に増減して良い。
【0035】
【発明の効果】
本発明の車両用シートの着座姿勢測定装置によれば、駆動手段により板状部材を移動および弾性変形させるのに伴わせて着座シートを人体形状に沿うように変形させた状態で、板状部材の移動位置を位置検出手段により検出することで、着座姿勢を測定することができるとともに、この姿勢で板状部材に加わる圧力を圧力測定手段により測定することで、座圧を測定することができる。また、複数列の板状部材を動かすだけで良いため駆動要素の数を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用シートの着座姿勢測定装置を示す斜視図である。
【図2】図1の車両用シートの着座姿勢測定装置の着座シートを取り外した状態を示す斜視図である。
【図3】駆動手段として例示するシリンダユニットを示す図であり、このうち(a)は着座シートの背中支持部が横断方向において直線状となるような各シリンダの伸縮状態を示し、(b)は背中支持部が人体にフィットする曲面となるような各シリンダの伸縮状態を示す。
【図4】駆動手段として例示するシリンダユニットを示す図であり、このうち(a)は着座シートの足支持部が下がった状態となるような各シリンダの伸縮状態を示し、(b)は足支持部が上がった状態となるような各シリンダの伸縮状態を示す。
【図5】板状部材(圧力測定箇所)と人骨各部との位置相関を示す図である。
【図6】着座姿勢の測定結果および理想姿勢を示す図である。
【図7】図1の車両用シートの着座姿勢測定装置の主要構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 車両用シートの着座姿勢測定装置
2 着座シート
21 背中支持部
22 足支持部
3 板状部材(第1板状部材)
4 板状部材(第2板状部材)
5 板状部材(第3板状部材)
6 板状部材(第4板状部材)
7 シリンダユニット(駆動手段、特に第1駆動手段)
8 シリンダユニット(駆動手段、特に第1駆動手段)
9 シリンダユニット(駆動手段、特に第1駆動手段)
10 シリンダユニット(駆動手段、特に第1駆動手段)
16 ロードセル(圧力検出手段を構成する)
20 制御装置(圧力検出手段、位置検出手段、報知手段を構成する)
30 表示装置(報知手段を構成する)

Claims (5)

  1. 背中支持部及び足支持部を有する着座シートと、
    前記着座シートの背中支持部にそれぞれ横断方向に配設された弾性変形可能な第1板状部材および第2板状部材と、
    前記第1板状部材および第2板状部材をそれぞれ移動および弾性変形させることで、前記背中支持部を着座した人の背中に沿うように変形させるための第1駆動手段および第2駆動手段と、
    前記着座シートの足支持部にそれぞれ横断方向に配設された第3板状部材および第4板状部材と、
    前記第3板状部材および第4板状部材をそれぞれ移動させることで、前記足支持部を変形させるための第3駆動手段および第4駆動手段と、
    前記第1板状部材〜第4板状部材の移動位置をそれぞれ検出する位置検出手段と、
    前記第1板状部材〜第4板状部材に加わる圧力をそれぞれ検出する圧力検出手段と、を備え、
    前記第1駆動手段〜第4駆動手段のそれぞれはシリンダユニットからなり、各シリンダユニットは、ユニット本体とそのユニット本体に固定される複数のシリンダとを含み、
    前記位置検出手段は、前記各シリンダの伸縮状態の検出信号に基づいて前記各板状部材の移動位置をそれぞれ検出すると共に、各シリンダの駆動制御を行う制御装置を含み、
    前記第1板状部材は前記着座シートに着座した人の第9胸椎に沿うような位置に配され、
    前記第2板状部材は前記着座した人の骨盤に沿うような位置に配され、
    前記第3板状部材は前記着座した人の座骨結節に沿うような位置に配され、
    前記第4板状部材は前記着座した人の腿前部に沿うような位置に配されていることを特徴とする車両用シートの着座姿勢測定装置。
  2. 前記第1駆動手段及び第2駆動手段の各シリンダは、相対変位するロッド及びヘッドのうちの一方がユニット本体に固定され、他方がボールジョイント等の自在継ぎ手を介して前記第1板状部材又は第2板状部材に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートの着座姿勢測定装置。
  3. 前記各シリンダは、前記第1板状部材及び第2板状部材の長手方向に間隔をおいてそれぞれ三つ配置されていることを特徴とする請求項2に記載の車両用シートの着座姿勢測定装置。
  4. 前記第3駆動手段及び第4駆動手段の各シリンダは、相対変位するロッド及びヘッドのうちの一方がユニット本体に固定され、他方がボールジョイント等の自在継ぎ手を介して第3板状部材又は第4板状部材に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用シートの着座姿勢測定装置。
  5. 前記各シリンダは、前記第3板状部材及び第4板状部材の長手方向に間隔をおいてそれぞれ二つ配置されていることを特徴とする請求項4に記載の車両用シートの着座姿勢測定装置。
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