WO2020179673A1 - 乗物用シート、及び、乗物用シートを備えた車両 - Google Patents

Abstract

着座者の坐骨結節部（Ｐ）に対応するシートクッションの部分の位置を変更すべく駆動する坐骨結節支持装置（２６）と、着座者の仙骨（Ｑ）及び腸骨（Ｒ）に対応するシートバックの部分の位置を変更すべく駆動する仙骨腸骨支持装置（２７）と、着座者の第９胸椎部（Ｓ）に対応するシートバックの部分の位置を変更すべく駆動する第９胸椎支持装置（２８）と、制御装置（１８）とを有し、制御装置は着座者の体格情報を取得する情報取得ステップ（ＳＴ１）と、取得した体格情報に基づいて、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置のそれぞれの駆動量に係るパラメータを決定する決定ステップ（ＳＴ２）と、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び第９胸椎支持装置を対応するパラメータに基づいて駆動させる出力ステップ（ＳＴ３）とを順に実行する。

Description

乗物用シート、及び、乗物用シートを備えた車両

　本発明は、乗物用シート、及び、乗物用シートを備えた車両に関する。

　座席装置のリクライニング装置、レッグレスト装置、ランバーサポート装置、ヘッドレスト装置、サイドサポート装置、或は再サポート装置等の姿勢調整装置を個別的に制御するとともに、予め入力したデータ又は着座者のデータに従って最適な姿勢に総合的に自動姿勢制御する座席装置が公知である（例えば、特許文献１）。

特開平６－２７０８９５号公報

　座席装置である乗物用シートには、腰痛等の長時間着座時における疲労を軽減する機能を備えることが望まれている。長時間着座時の疲労の原因の一つとして、例えば、骨格筋の緊張が知られている。

　そこで、本願発明者らは、着座者の姿勢が例えば骨格筋の緊張が緩んだ姿勢等の疲労し難い姿勢となるように誘導すべく、乗物用シートを変形及び／又は移動させることに思い至った。しかし、乗物用シートに着座する着座者の体格は、着座者ごとに異なる。よって、乗物用シートを、着座者の体格によらず、着座者の姿勢を疲労し難い姿勢に誘導するように変形及び／又は移動させることは容易ではない。

　本発明は、以上の背景を鑑み、乗物用シートに、着座者の体格によらず、疲労軽減する機能を付与することを課題とする。

　上記課題を解決するために本発明の一態様は、シートクッション（５）、及びシートバック（６）を備えた乗物用シート（１、５１、６１、７１）であって、着座者の坐骨結節部（Ｐ）に対応する前記シートクッションの部分の位置を変更すべく駆動する坐骨結節支持装置（２６）と、前記着座者の仙骨（Ｑ）及び腸骨（Ｒ）に対応する前記シートバックの部分の位置を変更すべく駆動する仙骨腸骨支持装置（２７）と、前記着座者の第９胸椎部（Ｓ）に対応する前記シートバックの部分の位置を変更すべく駆動する第９胸椎支持装置（２８）と、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の駆動を制御する制御装置（１８）とを有し、前記制御装置は前記着座者の体格情報を取得する情報取得ステップ（ＳＴ１）と、前記位置のそれぞれを前記着座者の体格に適合するように、前記情報取得ステップにおいて取得した前記体格情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置のそれぞれの駆動量に係る少なくとも３つのパラメータを決定する決定ステップ（ＳＴ２）と、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び前記第９胸椎支持装置を対応する前記パラメータに基づいて駆動させる出力ステップ（ＳＴ３）とを順に実行する。

　この態様によれば、各位置の変更により坐骨結節部、仙骨、腸骨、及び第９胸椎部を移動させることで、着座者の姿勢を制御することができる。これにより、着座者の姿勢を疲労し難い姿勢となるように制御することができる。また、坐骨結節部、仙骨、腸骨、第９胸椎部の移動量を着座者の体格に合わせて設定することができるため、着座者の姿勢を、着座者の体格に合った疲労を軽減することのできる適切な姿勢となるように誘導することができる。

　より好ましくは、前記シートクッション及び前記シートバックはそれぞれパッド部材（５Ａ、６Ａ）と、前記パッド部材の表面を覆う表皮材（５Ｂ、６Ｂ）とを有し、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置はそれぞれ、前記表皮材と前記パッド部材との間に配置されたエアセル（２６Ａ、２７Ａ、２８Ａ）と、前記エアセルの内圧値を取得するセンサ（２６Ｃ、２７Ｃ、２８Ｃ）と、前記内圧値を所定の圧力とすべく、前記エアセルに給排気する給排気装置（２６Ｂ、２７Ｂ、２８Ｂ）と、を有し、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量はそれぞれ、対応する前記エアセルの前記内圧値であるとよい。

　この態様によれば、シートクッション及びシートバックの各部分の位置を容易に変更することができる。

　より好ましくは、前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記体格情報に基づく人体モデルの中立姿勢時の背面形状を再現するように、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量を決定する。

　この態様によれば、着座者の体格によらず、背面形状を椎間板中立と骨格筋中立とを満たす中立姿勢時の形状とすることができる。これにより、椎間板の内圧上昇、骨格筋の緊張、局部圧迫による皮膚並びに骨格筋系の負荷を低減することができるため、着座者の疲労を低減することができる。

　より好ましくは、前記体格情報は、前記着座者の身長、及び体重に係る情報を含み、前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記着座者の前記身長及び前記体重に係る情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定するとよい。

　この態様によれば、駆動量をそれぞれ、坐骨結節部、仙骨、腸骨、及び、第９胸椎部が着座者の体格に合致した適切な位置となるように決定することができる。

　より好ましくは、前記制御装置からの信号に基づいて、前記着座者に情報を表示するとともに、前記着座者からの入力を受け付けて、前記制御装置に出力する端末（１７）を備え、前記端末は、前記着座者から前記身長、及び前記体重の入力又は選択を受け付ける受付欄（４０、４０Ａ，４０Ｂ）を表示する。

　この態様によれば、着座者の体格情報を簡便に取得することができる。

　より好ましくは、前記端末は、前記身長及び前記体重に係る情報に基づいて、前記着座者の体型を判定し、前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記身長、前記体重、及び、判定された前記体型に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定する。

　この態様によれば、駆動量をそれぞれ、坐骨結節部、仙骨、腸骨、第９胸椎部が着座者の体格により合致した適切な位置となるように決定することができる。また、身長、及び体重に基づいて、着座者の体型が判定される。よって、着座者は体型に係る情報を別途入力する必要がないため、入力を要する場合に比べて、利便性を高めることができる。

　より好ましくは、前記体格情報は、前記着座者の身長、体重、及び体型に係る情報を含み、前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記着座者の前記身長、前記体重、及び、前記体型に係る情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定する。

　この態様によれば、駆動量をそれぞれ、坐骨結節部、仙骨、腸骨、及び、第９胸椎部が着座者の体格により合致した適切な位置となるように決定することができる。

　より好ましくは、前記制御装置からの信号に基づいて、前記着座者に情報を表示するとともに、前記着座者からの入力を受け付けて、前記制御装置に出力する端末（１７）を備え、前記端末は、前記着座者から前記身長、前記体重、及び、前記体型に係る情報の入力又は選択を受け付ける受付欄（４０Ｃ）を表示するとよい。

　この態様によれば、着座者の体格情報を簡便に取得することができる。

　より好ましくは、前記体格情報は、前記着座者の身長、体重、体型、及び、座位姿勢に係る情報を含み、前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記着座者の前記身長、前記体重、前記体型、及び、前記座位姿勢に係る情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定する。

　この態様によれば、パラメータをそれぞれ、着座者の座位姿勢に対応するように設定することができる。

　より好ましくは、前記体格情報は、前記着座者の身長、体重、体型、及び、座位姿勢に係る情報を含み、前記制御装置は、前記座位姿勢に係る情報を、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置それぞれの前記エアセルの前記内圧値によって取得し、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを、対応する前記内圧値によって補正するとよい。

　この態様によれば、着座者の姿勢を簡便に取得することができる。また、パラメータをそれぞれ、着座者の座位姿勢に対応するように設定することができる。

　前記乗物用シートと、前記着座者の側方に設けられたアームレストとを備えた車両（８１）であって、前記アームレストの上下位置、左右位置、及び、前記着座者側への突出量の少なくとも一つを変更するアームレスト駆動装置（８６）を備え、前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記情報取得ステップにおいて取得した前記体格情報に基づいて、前記アームレストの位置を決定し、前記出力ステップにおいて、前記決定ステップにおいて決定した前記位置に向けて前記アームレスト駆動装置の駆動を制御する。

　この態様によれば、着座者が適切な着座姿勢となるように、アームレストが自動調整されて、着座者の腕が着座者にとって無理のない位置に配置される。これにより、着座者の身体にかかる負担が減るため、着座者の疲労を低減することができる。

　上記課題を解決するために本発明の一態様は、シートクッション、及びシートバックを備えた乗物用シートであって、着座者の坐骨結節部に対応するシートクッションの部分の位置を変更すべく駆動する坐骨結節支持装置と、着座者の仙骨及び腸骨に対応するシートバックの部分の位置を変更すべく駆動する仙骨腸骨支持装置と、着座者の第９胸椎部に対応するシートバックの部分の位置を変更すべく駆動する第９胸椎支持装置と、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動を制御する制御装置とを有し、制御装置は着座者の体格情報を取得する情報取得ステップと、位置のそれぞれを着座者の体格に適合するように、情報取得ステップにおいて取得した体格情報に基づいて、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置のそれぞれの駆動量に係る少なくとも３つのパラメータを決定する決定ステップと、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び第９胸椎支持装置を対応するパラメータに基づいて駆動させる出力ステップとを順に実行する態様によれば、各位置の変更により坐骨結節部、仙骨、腸骨、及び第９胸椎部を移動させることで、着座者の姿勢を制御することができる。これにより、着座者の姿勢を疲労し難い姿勢となるように制御することができる。また、坐骨結節部、仙骨、腸骨、第９胸椎部の移動量を着座者の体格に合わせて設定することができるため、着座者の姿勢を、着座者の体格に合った疲労を軽減することのできる適切な姿勢となるように誘導することができる。

　より好ましくは、シートクッション及びシートバックはそれぞれパッド部材と、パッド部材の表面を覆う表皮材とを有し、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置はそれぞれ、表皮材とパッド部材との間に配置されたエアセルと、エアセルの内圧値を取得するセンサと、内圧値を所定の圧力とすべく、エアセルに給排気する給排気装置と、を有し、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動量はそれぞれ、対応するエアセルの内圧値である態様によれば、シートクッション及びシートバックの各部分の位置を容易に変更することができる。

　より好ましくは、制御装置は、決定ステップにおいて、体格情報に基づく人体モデルの中立姿勢時の背面形状を再現するように、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動量を決定する態様によれば、着座者の体格によらず、背面形状を椎間板中立と骨格筋中立とを満たす中立姿勢時の形状とすることができる。これにより、椎間板の内圧上昇、骨格筋の緊張、局部圧迫による皮膚並びに骨格筋系の負荷を低減することができるため、着座者の疲労を低減することができる。

　より好ましくは、体格情報は、着座者の身長、及び体重に係る情報を含み、制御装置は、決定ステップにおいて、着座者の身長及び体重に係る情報に基づいて、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動量のそれぞれを決定する態様によれば、駆動量をそれぞれ、坐骨結節部、仙骨、腸骨、第９胸椎部が着座者の体格に合致した適切な位置となるように決定することができる。

　より好ましくは、制御装置からの信号に基づいて、着座者に情報を表示するとともに、着座者からの入力を受け付けて、制御装置に出力する端末を備え、端末は、着座者から身長、及び体重の入力又は選択を受け付ける受付欄を表示する態様によれば、着座者の体格情報を簡便に取得することができる。

　より好ましくは、端末は、身長及び体重に係る情報に基づいて、着座者の体型を判定し、制御装置は、決定ステップにおいて、身長、体重、及び、判定された体型に基づいて、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動量のそれぞれを決定する態様によれば、駆動量をそれぞれ、坐骨結節部、仙骨、腸骨、第９胸椎部が着座者の体格により合致した適切な位置となるように決定することができる。また、身長、及び体重に基づいて、着座者の体型が判定される。よって、着座者は体型に係る情報を別途入力する必要がないため、入力を要する場合に比べて、利便性を高めることができる。

　より好ましくは、体格情報は、着座者の身長、体重、及び体型に係る情報を含み、制御装置は、決定ステップにおいて、着座者の身長、体重、及び、体型に係る情報に基づいて、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動量のそれぞれを決定する態様によれば、駆動量をそれぞれ、坐骨結節部、仙骨、腸骨、及び第９胸椎部が着座者の体格により合致した適切な位置となるように決定することができる。

　より好ましくは、制御装置からの信号に基づいて、着座者に情報を表示するとともに、着座者からの入力を受け付けて、制御装置に出力する端末を備え、端末は、着座者から身長、体重、及び、体型に係る情報の入力又は選択を受け付ける受付欄を表示する態様によれば、着座者の体格情報を簡便に取得することができる。

　より好ましくは、体格情報は、着座者の身長、体重、体型、及び、座位姿勢に係る情報を含み、制御装置は、決定ステップにおいて、着座者の身長、体重、体型、及び、座位姿勢に係る情報に基づいて、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動量のそれぞれを決定する態様によれば、駆動量をそれぞれ、着座者の座位姿勢に対応するように設定することができる。

　より好ましくは、体格情報は、着座者の身長、体重、体型、及び、座位姿勢に係る情報を含み、制御装置は、座位姿勢に係る情報を、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置それぞれのエアセルの内圧値によって取得し、坐骨結節支持装置、仙骨腸骨支持装置、及び、第９胸椎支持装置の駆動量のそれぞれを、対応する内圧値によって補正する態様によれば、着座者の姿勢を簡便に取得することができる。また、駆動量をそれぞれ、着座者の座位姿勢に対応するように設定することができる。

　上記課題を解決するために本発明の一態様は、上記乗物用シートと、着座者の側方に設けられたアームレストとを備えた車両であって、アームレストの上下位置、左右位置、及び、着座者側への突出量の少なくとも一つを変更するアームレスト駆動装置を備え、制御装置は、決定ステップにおいて、情報取得ステップにおいて取得した体格情報に基づいて、アームレストの位置を決定し、出力ステップにおいて、決定ステップにおいて決定した位置に向けてアームレスト駆動装置の駆動を制御する態様によれば、着座者が適切な着座姿勢となるように、アームレストが自動調整されて、着座者の腕が着座者にとって無理のない位置に配置される。これにより、着座者の身体にかかる負担が減るため、着座者の疲労を低減することができる。

本発明の第１実施形態、第２実施形態、及び、第３実施形態に係る乗物用シートの斜視図 着座者の骨格と、シートクッション及びシートバックとの関係を説明するための説明図 本発明に係る乗物用シートの機能ブロック図 第１実施形態に係る乗物用シートの駆動設定を行うための端末の入力画面を説明するための説明図 シート調整処理のフローチャート 着座者の体格と、駆動装置を駆動させるためのパラメータとの関係を示すテーブルを示す図 第２実施形態に係る乗物用シートの駆動設定を行うための端末の画面を説明するための説明図 第３実施形態に係る乗物用シートの駆動設定を行うための端末の画面遷移を説明するための説明図 座位姿勢グループと、駆動装置のパラメータの補正量との関係を示すテーブルを示す図 第４実施形態に係る乗物用シートの斜視図 本発明に係る車両（第５実施形態）の車内を示す斜視図 第４実施形態に係る乗物用シートの変形例を示す斜視図

　以下、図面を参照して、本発明を自動車に搭載される乗物用シートに適用した実施形態について説明する。

　図１に示すように、本発明に係る乗物用シート１は、車室２の底部を画定するフロア３上に載置されている。乗物用シート１は運転席の側方に設けられた助手席を構成している。以下では、乗物用シート１に着座した乗員（以下、着座者）から見た方向を基準として、前後、左右、及び上下方向をそれぞれ定めて説明を行う。

　乗物用シート１は車両の前方を向くように（より詳細には着座者が車両の前方に向くように）、フロア３の上面に配置されている。乗物用シート１は着座者の臀部を支持するシートクッション５と、シートクッション５の後部に設けられ、背凭れとして機能するシートバック６と、各シートバック６の上部に設けられたヘッドレスト７とを備えている。

　シートクッション５は略上下方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートクッション５は骨格となるフレーム（不図示）と、フレームに支持されたパッド部材５Ａ（図２参照）と、パッド部材５Ａの表面を覆う表皮材５Ｂとを有している。シートクッション５の上面は１人分の着座面９を構成している。着座面９は左右方向略中央において下方に凹み、後方に向かってやや下方に傾斜している。図２には、乗物用シート１と、乗物用シート１に着座した標準的な体格の着座者の骨格とが示されている。図２に示すように、着座面９には着座者の臀部及び大腿部が配置され、着座面９は着座者の臀部及び大腿部に適合する形状をなしている。

　図２に示すように、シートクッション５はフロア３に対してスライド装置１１を介して結合されている。スライド装置１１は、前後に延在する左右一対のロアレール１１Ａと、ロアレール１１Ａに対してそれぞれその延在方向に沿ってスライド移動可能に結合された左右一対のアッパレール１１Ｂとを含む。ロアレール１１Ａはそれぞれ前端及び後端においてシートレッグ１２を介してフロア３に締結されている。アッパレール１１Ｂがロアレール１１Ａに対してスライド移動することによって、シートクッション５はフロア３に対して前後に移動する。

　シートクッション５を構成するフレームの前部とアッパレール１１Ｂの前部とは前側リンク１３Ａによって、シートクッション５を構成するフレームの後部とアッパレール１１Ｂの後部とは後側リンク１３Ｂによってそれぞれ接続されている。前側リンク１３Ａ及び後側リンク１３Ｂはそれぞれ上端においてシートクッション５に左右方向を軸線とする回転可能に接続され、下端においてアッパレール１１Ｂに左右方向を軸線とする回転可能に接続されている。前側リンク１３Ａを、下端を中心として回転させることによって、シートクッション５の着座面９はフロア３に対して傾動する。前側リンク１３Ａ及び後側リンク１３Ｂをそれぞれ、下端を中心として回転させることによって、シートクッション５の着座面９はフロア３に対して上下に移動する。

　図１に示すように、シートバック６は上下に延び、略前後方向を向く面を有する略直方体状をなしている。シートバック６は骨格となるフレーム（不図示）と、フレームに支持されたパッド部材６Ａ（図２参照）と、パッド部材６Ａの表面を覆う表皮材６Ｂとを有している。シートバック６の前面はそれぞれ着座者の背中を支持する支持面１０を構成している。支持面１０は左右方向略中央において後方に凹み、上方に向かってやや後方に傾斜している。支持面１０は着座者の背中に適合する形状をなし、支持面１０に着座者の背中が支持される。シートバック６は下端において、シートクッション５の後端に左右方向を軸線とする回動可能に接続されている。以下、シートクッション５のシートバック６に対する回転角度をリクライニング角度と記載する。

　本実施形態では、シートバック６は、シートクッション５に対して回動（傾倒）可能に設けられた下部シートバック６Ｄと、下部シートバック６Ｄに対して回動（傾倒）可能に設けられた上部シートバック６Ｕとを有する。上部シートバック６Ｕは前面が下部シートバック６Ｄと連続する位置から前方に傾倒可能となっている。以下、上部シートバック６Ｕの下部シートバック６Ｄに対する回動角度を中折角度と記載する。

　ヘッドレスト７は、シートバック６の上端にピラー７Ａを介して接続されている。ヘッドレスト７は着座者の頭部の後方となる位置に配置されている。

　本実施形態では、ヘッドレスト７はシートバック６に対してヘッドレスト７の基準位置（ヘッドレスト７がシートバック６に接触する位置）から上側の所定の範囲で上下動可能に接続されている。以下、ヘッドレスト７の基準位置から上方向への移動量を、ヘッドレスト上昇量と記載する。

　乗物用シート１には、着座者の姿勢を適正なものとなるように誘導し、着座者の疲労を軽減するための疲労軽減システム１５が設けられている。

　図３に示すように、疲労軽減システム１５は、乗物用シート１の位置及び／又は形状を変形させる駆動装置１６と、着座者からの入力を受け付け、着座者に情報を表示する端末１７と、端末１７からの入力に基づいて、駆動装置１６を制御する制御装置１８とを備えている。

　駆動装置１６は、着座面９又は支持面１０の形状を変更する変形装置２０を含む。本実施形態では、変形装置２０は、シートクッション５、シートバック６、ヘッドレスト等のシートバック６の各部の相対位置を変更する変位装置２１をも含む。本実施形態では、駆動装置１６は、乗物用シート１をフロア３に対してスライド移動させるスライド調節装置２２と、シートクッション５の高さを変更するハイト調節装置２３と、シートクッション５を回転させるチルト調節装置２４とを更に含む。

　変形装置２０は、着座者の坐骨結節部Ｐ（図２参照）を支持する坐骨結節支持装置２６と、着座者の仙骨Ｑ及び腸骨Ｒを支持する仙骨腸骨支持装置２７と、着座者の第９胸椎部Ｓを支持する第９胸椎支持装置２８とを備えている。本実施形態では、変形装置２０は更に、シートバック６の中折角度を変更する中折装置２９と、シートクッション５の前後長を変更する伸縮装置３０と、シートバック６をシートクッション５に対して傾倒させ、リクライニング角度を変更するリクライニング調節装置３１と、ヘッドレスト７をシートバック６に対して上下動させ、ヘッドレスト上昇量を変更するヘッドレスト上下装置３２とを備えている。

　坐骨結節支持装置２６は、シートクッション５の表皮材５Ｂとパッド部材５Ａとの間に設けられたエアセル２６Ａと、エアセル２６Ａの内部に空気を供給及び排出する給排気装置２６Ｂと、エアセル２６Ａ内の空気圧（すなわち、内圧値）を取得するセンサ２６Ｃとを含む。坐骨結節支持装置２６のエアセル２６Ａはシートクッション５の後部に位置している。エアセル２６Ａは給排気装置２６Ｂによって内部に空気が供給されて内圧値が増加すると膨張し、着座者の坐骨結節部Ｐに当接するシートクッション５の部分を上方に突出させる。すなわち、エアセル２６Ａの内圧値は給排気装置２６Ｂの駆動量に対応する。エアセル２６Ａの膨張によって、坐骨結節部Ｐに当接するシートクッション５の部分は、着座者からの荷重によらず、エアセル２６Ａの内圧によって定まる所定の位置となる。よって、着座者の坐骨結節部Ｐもまた、エアセル２６Ａによって下方から支持されて上方に移動し、所定の位置となる。エアセル２６Ａの内部が排気されるとエアセル２６Ａは収縮し、着座者の坐骨結節部Ｐは下方に移動する。坐骨結節支持装置２６に含まれる給排気装置２６Ｂ及びセンサ２６Ｃはそれぞれ制御装置１８に接続されている。

　仙骨腸骨支持装置２７は、シートバック６の表皮材６Ｂとパッド部材６Ａとの間に設けられたエアセル２７Ａと、エアセル２７Ａの内部に空気を供給及び排出する給排気装置２７Ｂと、エアセル２７Ａ内の空気圧（すなわち、内圧値）を取得するセンサ２７Ｃとを含む。仙骨腸骨支持装置２７のエアセル２７Ａはシートバック６の下部に位置している。エアセル２７Ａは給排気装置２７Ｂによって内部に空気が供給されて内圧値が増加すると膨張し、着座者の仙骨Ｑ及び腸骨Ｒに当接するシートバック６の部分を前方に突出させる。すなわち、エアセル２７Ａの内圧値は、給排気装置２７Ｂの駆動量に対応する。エアセル２７Ａの膨張によって、仙骨Ｑ及び腸骨Ｒに当接するシートクッション５の部分は、着座者からの荷重によらず、エアセル２７Ａの内圧値によって定まる所定の位置となる。着座者の仙骨Ｑ及び腸骨Ｒもまた、エアセル２７Ａによって下方から支持されて上方に移動し、所定の位置となる。これにより、着座者の仙骨Ｑ及び腸骨Ｒはエアセル２７Ａによって後方から支持されて前方に移動し、所定の位置となる。エアセル２７Ａの内部が排気されるとエアセル２７Ａは収縮し、着座者の仙骨Ｑ及び腸骨Ｒは後方に移動する。仙骨腸骨支持装置２７に含まれる給排気装置２７Ｂ及びセンサ２７Ｃはそれぞれ制御装置１８に接続されている。

　第９胸椎支持装置２８は、シートバック６の表皮材６Ｂとパッド部材６Ａとの間に設けられたエアセル２８Ａと、エアセル２８Ａの内部に空気を供給及び排出する給排気装置２８Ｂと、エアセル２８Ａ内の空気圧（すなわち、内圧値）を取得するセンサ２８Ｃとを含む。第９胸椎支持装置２８のエアセル２８Ａはシートバック６の略中央部に位置している。エアセル２８Ａは給排気装置２８Ｂによって内部に空気が供給されると膨張し、着座者の第９胸椎部Ｓに当接するシートバック６の部分を前方に突出させる。すなわち、エアセル２８Ａの内圧値は給排気装置２８Ｂの駆動量に対応する。エアセル２８Ａの膨張によって、第９胸椎部Ｓに当接するシートクッション５の部分は、着座者からの荷重によらず、エアセル２８Ａの内圧値によって定まる所定の位置となる。着座者の第９胸椎部Ｓもまた、エアセル２８Ａによって下方から支持されて上方に移動し、所定の位置となる。これにより、着座者の第９胸椎部Ｓはエアセル２８Ａによって後方から支持されて前方に移動し、所定の位置となる。エアセル２８Ａの内部が排気されるとエアセル２８Ａは収縮し、着座者の第９胸椎部Ｓは後方に移動する。第９胸椎支持装置２８に含まれる給排気装置２８Ｂ及びセンサ２８Ｃはそれぞれ制御装置１８に接続されている。但し、ここでいう第９胸椎部Ｓとは、着座者の第９胸椎を含む上体側の重心位置で脊柱の中でも動きにくい部位を意味する。

　中折装置２９は、上部シートバック６Ｕを下部シートバック６Ｄに対して回動させるモータ２９Ａと、上部シートバック６Ｕの前面上部に設けられた表面圧センサ２９Ｂを含む。表面圧センサ２９Ｂはシートバック６の前面上端に加わる表面圧力を検出する。上部シートバック６Ｕが下部シートバック６Ｄに対して回動し、上部シートバック６Ｕの上端が着座者の背中に接触すると、表面圧センサ２９Ｂによって検出される表面圧力が上昇する。中折装置２９のモータ２９Ａ、及び、表面圧センサ２９Ｂはそれぞれ制御装置１８に接続されている。

　伸縮装置３０は、シートクッション５の内部に設けられ、シートクッション５の前端を前方に突出させるアクチュエータ３０Ａと、シートクッション５の前面に設けられた近接センサ３０Ｂとを備える。近接センサ３０Ｂは着座者の脚部への近接及び／又は接触を検出する。近接センサ３０Ｂは、例えば、着座者の脚部背面からシートクッション５前面に加わる圧力を検出する圧力センサや、脚部とシートクッション５前面との距離を測定する赤外線センサであってもよい。アクチュエータ３０Ａは、シートクッション５内部に設けられていてもよく、シートクッション５が後部を構成する後部クッション、及び、前部を構成する前部クッションを備え、前部クッションが後部クッションに対してスライド移動可能である場合には、前部クッションをスライド移動させるモータであってもよい。

　リクライニング調節装置３１は、シートバック６をシートクッション５に対して回転させるモータ３１Ａと、リクライニング角度を検出するセンサ３１Ｂとを含む。リクライニング調節装置３１に含まれるモータ３１Ａ及びセンサ３１Ｂはそれぞれ制御装置１８に接続されている。

　ヘッドレスト上下装置３２は、シートバック６に結合されたピラー７Ａを移動させることで、ヘッドレスト７をシートバック６に対して上下動させるモータ３２Ａを含む。モータ３２Ａは制御装置１８に接続され、モータ３２Ａの駆動は制御装置１８によって制御されている。

　スライド調節装置２２はアッパレール１１Ｂをロアレール１１Ａに対してスライド移動させるモータ２２Ａを含む。モータ２２Ａは制御装置１８に接続され、モータ２２Ａの駆動は制御装置１８によって制御されている。

　ハイト調節装置２３は、前側リンク１３Ａ及び後側リンク１３Ｂをそれぞれ回動させることによって、シートクッション５を上下移動させるモータ２３Ａを含む。モータ２３Ａの駆動によって、シートクッション５、シートバック６、及びヘッドレスト７は一体として上下動する。モータ２３Ａは制御装置１８に接続され、モータ２３Ａの駆動は制御装置１８によって制御されている。以下、モータ２３Ａの駆動によるシートクッション５の所定の位置からの上昇量をハイト量と記載する。

　チルト調節装置２４は、前側リンク１３Ａを回動させることによって、シートクッション５を、後部を軸線として回転させ、前部を後部に対して上下動させるモータ２４Ａを含む。モータ２４Ａは制御装置１８に接続され、モータ２４Ａの駆動は制御装置１８によって制御されている。以下、モータ２４Ａの駆動によるシートクッション５の回転角度をチルト角度と記載する。

　端末１７は、スマートフォンやタブレット型のコンピュータであって、タッチパネル１７Ａを備え、制御装置１８と近距離無線通信を行う。端末１７は、所定のアプリケーションを実行することによって着座者から、身長及び体重を含む体格に係る情報（以下、体格情報）の入力を受け付けて、体格情報を含む入力完了信号を制御装置１８に送信する受付処理を実行する。

　制御装置１８は、中央演算処理装置（ＣＰＵ）と、ＲＯＭ、ＲＡＭ、書換可能な不揮発性メモリ、ハードディスク等の記憶装置１８Ａとを含むコンピュータである。本実施形態では、制御装置１８はシートクッション５下面に固定されている。記憶装置１８Ａは、着座者の体格と、乗物用シート１をそれぞれの体格に適合させるべく駆動装置１６を駆動させるための駆動量に係るパラメータとの関係を示すテーブル（以下、駆動テーブル）を記憶している。パラメータは予め、対応する体格に基づく人体モデルの中立姿勢時の背面形状を再現するように定められている。ここでいう中立姿勢とは、椎間板中立と骨格筋中立とを満たす姿勢のことをいう。

　駆動テーブルには、図４に示すように、身長の範囲、体重の範囲、及び、体型を示すグループ（例えば、痩せ型、標準型、ぽっちゃり型等。以下、体型グループ）の番号と、その番号のグループに属する標準的な体型の着座者に対応する駆動装置１６のパラメータとの関係が記録されている。駆動装置１６のパラメータには、変形装置２０の各種パラメータと、スライド調節装置２２のパラメータであるスライド量と、ハイト調節装置２３のパラメータであるハイト量と、チルト調節装置２４のパラメータであるチルト角度とを含む。変形装置２０のパラメータには、坐骨結節支持装置２６のエアセル２６Ａの内圧値、仙骨腸骨支持装置２７のエアセル２７Ａの内圧値、第９胸椎支持装置２８のエアセル２８Ａの内圧値、中折装置２９のパラメータである中折角度、伸縮装置３０のパラメータであるシートクッション５の伸縮量、及び、ヘッドレスト上下装置３２のパラメータであるヘッドレスト上昇量が含まれる。坐骨結節支持装置２６、仙骨腸骨支持装置２７、及び、第９胸椎支持装置２８のパラメータはそれぞれ、対応するグループに属する標準的な着座者の坐骨結節部Ｐ、仙骨Ｑ、腸骨Ｒ、及び、第９胸椎部Ｓの中立姿勢時の位置となるように定められている。制御装置１８は、入力完了信号を受信すると、体格情報に基づいて駆動装置１６を制御するシート調整処理を実行する。

　以下では、まず、端末１７において実行される受付処理の詳細について説明し、その後、制御装置１８において実行されるシート調整処理について説明する。

　端末１７はタッチパネル１７Ａに所定の入力があったときに、受付処理を開始する。受付処理において、まず、着座者から身長、及び、体重の入力をそれぞれ受け付ける受付欄４０を入力欄４０Ａとして表示する。このとき、端末１７は入力欄４０Ａとともに、「次へ」と記載された（以下、送りボタン４１）をタッチパネル１７Ａに表示する（図５（Ａ）参照）。端末１７は、入力が完了していないか、又は、送りボタン４１が押圧されていないときには、入力が完了し、且つ、送りボタン４１が押圧されるまで待機する。

　但し、端末１７に表示される受付欄４０は身長、及び体重の入力を直接受け付けるものでなくてもよく、受付欄４０は着座者に、着座者の身長が属する範囲、及び体重が属する範囲を選択させ、その着座者の選択を受け付けるもの（すなわち、プルダウン方式によるもの）であってもよい（図５（Ｂ）参照）。

　端末１７は入力が完了し、且つ、送りボタン４１が押圧されたときに、受付欄４０において受け付けた身長、及び体重を用いて、着座者の属する体型グループを判定する。本実施形態では、端末１７は、身長、及び、体重を用いて、ＢＭＩ値を算出する。その後、端末１７は、ＢＭＩ値に基づいて着座者の体型が属する体型グループを判定する。本実施形態では、端末１７は、着座者のＢＭＩ値が２２未満であるときに痩せ型、２２以上３０未満であるときに標準型、３０以上であるときにぽっちゃり型と判定する。

　体型グループの判定が完了すると、端末１７は、タッチパネル１７Ａに、身長及び体重と、体型グループを示す記号４２と、開始ボタン４３、及び、「戻る」と記載されたボタン（以下、戻りボタン４４）と、を表示する（図５（Ｃ）参照）。開始ボタン４３が押圧されたときには、端末１７は身長、体重、及び体型グループの３つの情報（以下、体格情報）を含む入力完了信号を制御装置１８に送信する。その後、端末１７は、シート調整が開始されたことを示すポップアップ表示４５（図５（Ｄ）参照）を行い、受付処理を終える。戻りボタン４４が押圧されたときは、端末１７は、タッチパネル１７Ａに受付欄４０を表示し、再び、着座者から身長、及び、体重の入力を受け付ける。

　制御装置１８は入力完了信号を受信すると、図６のフローチャートに示すシート調整処理を実行する。制御装置１８は、シート調整処理の最初のステップＳＴ１（情報取得ステップ）において、入力完了信号に含まれる体格情報、すなわち、着座者の身長、体重、及び体型グループの３つの情報を取得する。体格情報の取得が完了すると、制御装置１８は、ステップＳＴ２を実行する。

　制御装置１８は、ステップＳＴ２（決定ステップ）において、取得した体格情報に基づいて、駆動装置１６を駆動させるための各種パラメータを決定する。より具体的には、制御装置１８は、記憶装置１８Ａに保持されたテーブルを参照し、取得した体格情報に適合するグループの番号を取得する。その後、制御装置１８は、テーブルを参照して、取得したグループに対応する駆動装置１６のパラメータを取得し、取得したパラメータをそれぞれ、駆動装置１６を駆動させるためパラメータとして決定する。取得される駆動装置１６のパラメータには、坐骨結節支持装置２６のエアセル２６Ａの内圧値、仙骨腸骨支持装置２７のエアセル２７Ａの内圧値、及び、第９胸椎支持装置２８のエアセル２８Ａの内圧値が含まれる。

　ステップＳＴ３（出力ステップ）において、制御装置１８は、ステップＳＴ２にて取得した駆動装置１６のパラメータに基づいて、対応する駆動装置１６を駆動させる。これにより、スライド調節装置２２、ハイト調節装置２３、チルト調節装置２４、中折装置２９、伸縮装置３０、リクライニング調節装置３１、ヘッドレスト上下装置３２、坐骨結節支持装置２６、仙骨腸骨支持装置２７、及び、第９胸椎支持装置２８がそれぞれ、設定されたパラメータに対応するように駆動する。坐骨結節支持装置２６、仙骨腸骨支持装置２７、及び、第９胸椎支持装置２８の駆動によって、着座者の坐骨結節部Ｐに対応するシートクッション５の部分の位置、仙骨Ｑ及び腸骨Ｒに対応するシートバック６の部分の位置、第９胸椎部Ｓに対応するシートバック６の部分の位置が、体格情報に基づく人体モデルの中立姿勢時の背面形状を再現するようにそれぞれ制御される。各駆動装置１６の駆動が完了すると、制御装置１８は、シート調節処理を終了する。

　次に、このように構成した乗物用シート１の効果について説明する。着座者の坐骨結節部Ｐに対応するシートクッション５の部分の位置、仙骨Ｑ、及び、腸骨Ｒに対応するシートバック６の部分の位置、第９胸椎部Ｓに対応するシートバック６の部分の位置がそれぞれ、体格情報に基づく人体モデルの中立姿勢時の背面形状を再現するように制御される。これにより、着座者の坐骨、仙骨Ｑ、腸骨Ｒ、第９胸椎部Ｓがそれぞれ移動して、着座者は中立姿勢となる。このとき、着座者の体は弛緩した状態となるため、骨格筋の緊張から生じる着座者の疲労を低減することができる。

　乗物用シート１には、下体側の痛覚荷重が高い坐骨結節部Ｐと、骨格構造上剛体である仙骨Ｑ及び腸骨Ｒと、上体側の重心位置で脊柱の中でも動きにくい第９胸椎部Ｓとを移動させる位置に、エアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａが内蔵されている。これにより、椎間板の内圧を上昇させることなく、椎間板の内圧上昇や、骨格筋の緊張、局部圧迫による皮膚並びに骨格筋系の負荷及び着座時間を要素として発生する疲労を効果的に低減できる。

　また、着座者の坐骨結節部Ｐに対応するシートクッション５の部分の位置、仙骨Ｑ及び腸骨Ｒに対応するシートバック６の部分の位置、第９胸椎部Ｓに対応するシートバック６の部分の位置がそれぞれ、着座者の体格情報に基づく人体モデルに基づいて定められる。これにより、坐骨結節部Ｐ、仙骨Ｑ、腸骨Ｒ、第９胸椎部Ｓが、着座者の体格に合致した適切な位置となるように、シートバック６の各部分の位置がそれぞれ設定される。これにより、着座者の体格によらず、着座者を体が弛緩した状態することができる。よって、体格によらず、着座者の疲労を効果的に低減することができる。

　着座者の体型に係る情報は、タッチパネル１７Ａに表示された受付欄４０に入力された身長、及び体重を用いてＢＭＩ値を算出することによって取得される。これにより、着座者の体型を計測するためのセンサを要することなく、着座者の体型に係る情報を取得することができる。よって、着座者の身長、体重、及び体型を含む体格情報を簡便に取得することができる。

　また、車両を共用するライドシェアやカーシェア等では、車両に搭載される乗物用シート１は形状が異なる。着座者の体格に合致するように、各乗物用シートの変形量を設定すること容易ではない。本実施形態では、記憶装置１８Ａに保存されたテーブルを変更することによって、乗物用シート１の形状に合わせた駆動装置１６のパラメータを設定することで、着座者の体格に合致する変形量の設定が可能である。

＜＜第２実施形態＞＞
　第２実施形態に係る乗物用シート５１は、第１実施形態に係る乗物用シート１に比べて、受付処理が異なり、他の構成については同様であるため、説明を省略する。

　端末１７は、第１実施形態と同様に、タッチパネル１７Ａに所定の入力があったときに、受付処理を開始する。受付処理において、端末１７は、着座者から身長、体重、及び、対応する体型グループの入力をそれぞれ受け付ける受付欄５２を表示する。本実施形態では、端末１７は、受付欄５２を着座者に、身長が属する範囲、体重が属する範囲、及び、自らが属すると考える体型グループをそれぞれ選択させる選択欄５２Ｃ（プルダウンリスト）によって表示してもよい（図７参照）。また、端末１７は、第１実施形態と同様に、受付欄４０とともに、送りボタン４１をタッチパネル１７Ａに表示し、入力が完了していないか、又は、送りボタン４１が押圧されていないときには、入力が完了し、且つ、送りボタン４１が押圧されるまで待機する。

　受付処理において表示される受付欄４０は、身長の属する範囲、体重の属する範囲、及び体型グループを選択させるものには限定されず、例えば、着座者の入力を直接受け付ける入力欄であってもよい。

　入力が完了し、且つ、送りボタン４１が押圧されると、端末１７は、身長の属する範囲、体重の属する範囲、及び、体型グループ（すなわち、体格情報）と、開始ボタン４３及び戻りボタン４４とを表示する。開始ボタン４３が押圧されたときには、端末１７は、入力された体格情報を含む入力完了信号を制御装置１８に送信する。その後、端末１７は、シート調整が開始されたことを通知する画面表示を行い、受付処理を終える。戻りボタン４４が押圧されたときは、端末１７は、図７に示すように、タッチパネル１７Ａに受付欄５２を表示し、再び、身長が属する範囲、体重が属する範囲、及び、自らが属すると考える体型グループの選択を受け付ける。

　次に、このように構成した乗物用シート５１の効果について説明する。本実施形態では、着座者から体型グループの入力を直接受け付けるため、ＢＭＩの算出を行うことなく、着座者の体格情報を簡便に取得することができる。

＜＜第３実施形態＞＞
　第３実施形態に係る乗物用シート６１は、第１実施形態に比べて、受付処理において端末１７が、身長及び体重に加えて、着座姿勢に係る情報の入力を受け付ける受付欄４０を表示する点が異なる。また、記憶装置１８Ａが第１実施形態と同様のテーブルに加えて補正テーブルを記憶している点が異なる。更に、制御装置１８が、身長、体重、及び、体型に係る情報に加えて、着座姿勢に係る情報に基づいて、駆動装置１６の各種パラメータを算出する点、すなわち、ステップＳＴ３が異なる。以下、受付処理の詳細、記憶装置１８Ａが記憶するテーブルの構成、及び、シート調整処理のステップＳＴ３を順に説明する。

　端末１７は、第１実施形態と同様に、タッチパネル１７Ａに所定の入力があったときに、受付処理を開始する。受付処理において、端末１７は、受付欄６２を、着座者から身長の入力欄６２Ａ、及び、体重の入力欄６２Ｂと、自らが属すると考える座位姿勢のグループ（以下、座位姿勢グループ）の選択欄６２Ｃとによって表示する（図８（Ａ）参照）。本実施形態では、座位姿勢のグループは、猫背、やや猫背、普通、やや反背、反背の５グループからなる。端末１７が表示する座位姿勢のグループの選択欄６２Ｃはプルダウンリストによって構成されているとよい。端末１７は、第１実施形態と同様に、受付欄６２とともに、送りボタン４１をタッチパネル１７Ａに表示し、入力が完了していないか、又は、送りボタン４１が押圧されていないときには、入力が完了し、且つ、送りボタン４１が押圧されるまで待機する。

　端末１７は入力が完了し、且つ、送りボタン４１が押圧されたときに、第１実施形態と同様に、受付欄４０に入力された身長、及び体重を用いて、ＢＭＩ値を算出し、着座者が属する体型グループを算出する。

　算出が完了すると、端末１７は、身長及び体重と、着座者の属する体型グループを示す記号４２及び座位姿勢を示す図６３と、開始ボタン４３及び戻りボタン４４とを表示する（図８（Ｂ）参照）。送信ボタンが押圧されたときには、端末１７は身長、体重、着座者の属する体型グループ、及び、座位姿勢グループの４つの情報（以下、体格情報）を含む入力完了信号を制御装置１８に送信する。その後、端末１７は、画面表示（図８（Ｃ）参照）を行い、受付処理を終える。修正ボタンが押圧されたときは、端末１７は、タッチパネル１７Ａに受付欄４０を表示し、再び、着座者から身長、及び体重の入力と、座位姿勢グループの選択とを受け付ける。

　次に、記憶装置１８Ａが記憶する補正テーブルの構成について説明する。図９に示すように、補助テーブルは、座位姿勢グループと、各駆動装置１６のパラメータの補正量との関係を示すテーブルである。補正量はそれぞれ、座位姿勢グループに対応する座位姿勢に対応するように設定され、本実施形態では、補正量は座位姿勢を補正し、適正なものとするように設定されている。より具体的には、座位姿勢グループが「猫背」であるときには、駆動装置１６のパラメータはその猫背の姿勢を補正するように（例えば、第９胸椎支持装置２８のエアセル２８Ａを前方に突出させるように）設定されている。

　次に、シート調整処理のステップＳＴ２、及びステップＳＴ３について説明する。第１実施形態と同様に、制御装置１８は、取得した体格情報に基づいて、駆動装置１６を駆動させるための各種パラメータを決定する。より具体的には、制御装置１８は、記憶装置１８Ａに保持されたテーブルを参照し、取得した体格情報に適合するグループの番号を取得する。その後、制御装置１８は、テーブルを参照して、取得したグループの番号に対応する駆動装置１６のパラメータを取得して、駆動装置１６を駆動させるためのパラメータとして決定する。

　更に、制御装置１８は、ステップＳＴ３において、取得した駆動装置１６のパラメータを、補正テーブルを参照して補正する。より具体的には、制御装置１８は、着座者の属する座位姿勢グループから、補正テーブルを参照して、各駆動装置１６の補正量を取得する。次に、制御装置１８は、駆動パラメータを取得した補正量によって補正する。これにより、例えば、坐骨結節支持装置２６のエアセル２６Ａの内圧値、仙骨腸骨支持装置２７のエアセル２７Ａの内圧値、及び、第９胸椎支持装置２８のエアセル２８Ａの内圧値の各駆動装置１６のパラメータがそれぞれ、着座者の座位姿勢に係る情報に基づいて、着座者の姿勢を矯正すべく補正されて算出される。

　その後、制御装置１８は、補正された駆動装置１６のパラメータに基づいて、対応する駆動装置１６を駆動させる。これにより、スライド調節装置２２、ハイト調節装置２３、チルト調節装置２４、中折装置２９、伸縮装置３０、リクライニング調節装置３１、ヘッドレスト上下装置３２、坐骨結節支持装置２６、仙骨腸骨支持装置２７、及び、第９胸椎支持装置２８がそれぞれ、座位姿勢に係る情報に基づいて補正されたパラメータに対応するように駆動する。坐骨結節支持装置２６、仙骨腸骨支持装置２７、及び、第９胸椎支持装置２８の駆動によって、着座者の坐骨結節部Ｐに対応するシートクッション５の部分の位置、仙骨Ｑ及び腸骨Ｒに対応するシートバック６の部分の位置、第９胸椎部Ｓに対応するシートバック６の部分の位置が、着座者の姿勢を正すようにそれぞれ制御される。各駆動装置１６の駆動が完了すると、制御装置１８は、シート調節処理を終了する。

　次に、このように構成した乗物用シート６１の効果について説明する。着座者の座位姿勢が猫背、又は、やや猫背であるときには、着座者の座位姿勢を矯正するべく、着座者の座位姿勢が中立姿勢よりもやや反るように乗物用シート６１が変形することが好ましい。着座者の座位姿勢が反背、又は、やや反背であるときには、着座者の座位姿勢が中立姿勢よりもやや猫背気味となるように乗物用シート６１が変形することが好ましい。

　本実施形態では、着座者の座位姿勢に基づいて、駆動装置１６のパラメータが補正され、その補正されたパラメータに基づいて、駆動装置１６が駆動する。これにより、例えば、着座者の坐骨結節部Ｐに対応するシートクッション５の部分の位置、仙骨Ｑ及び腸骨Ｒに対応するシートバック６の部分の位置、第９胸椎部Ｓに対応するシートバック６の部分の位置のそれぞれが、座位姿勢に応じた着座者の姿勢矯正を行うように設定される。このように、本実施形態に係る乗物用シート６１では、着座者の座位姿勢に応じて、補正量を設定し、その形状等を補正することができるため、乗物用シート６１に着座者の姿勢に適合する機能を付与することができる。

＜＜第４実施形態＞＞
　第４実施形態に係る乗物用シート７１は、第１実施形態に係る乗物用シート１に比べて、図１０に示すように、着座者の着座を検知する着座センサ７２を備える点と、シート調整処理のステップＳＴ１の処理と、ステップＳＴ３の処理とが異なる。また、本実施形態において、制御装置１８は、着座センサ７２によって着座が検知されていないときに坐骨結節支持装置２６、仙骨腸骨支持装置２７、及び、第９胸椎支持装置２８のエアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａにそれぞれ所定量の空気を供給する。更に、制御装置１８の記憶装置１８Ａは、予め、着座者が着座していないとき（例えば、工場出荷時）に取得された坐骨結節支持装置２６、仙骨腸骨支持装置２７、及び、第９胸椎支持装置２８のエアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａの内圧値（以下、初期圧）が記録されたテーブル（以下、初期圧テーブル）を保持している。以下では、まず、シート調整処理のステップＳＴ１の処理について説明する。

　制御装置１８は、ステップＳＴ１において、坐骨結節支持装置２６のエアセル２６Ａの内圧値、仙骨腸骨支持装置２７のエアセル２７Ａの内圧値、及び、第９胸椎支持装置２８のエアセル２８Ａの内圧値をそれぞれ対応するセンサ２６Ｃ、２７Ｃ、２８Ｃから取得する。次に、制御装置１８は、取得された各エアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａの内圧値（内圧の測定値）と、初期圧テーブルに記録された各エアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａの内圧値との差分を算出する。

　次に、制御装置１８は算出された差分に基づいて、着座者の座位姿勢が属する座位姿勢グループを判定する。このとき、制御装置１８は取得された差分を所定の判定式に代入することによって座位姿勢グループを判定してもよく、また、記憶装置１８Ａに予め差分値と座位姿勢グループとの関係が記載されたテーブル（以下、判定テーブル）を記録させ、制御装置１８はその判定テーブルを参照することによって、座位姿勢グループを判定してもよい。

　その後、制御装置１８は、ステップＳＴ３において、第３実施形態と同様に、補正テーブルを参照して着座者が属すると判定された座位姿勢グループに対応する補正量を取得し、駆動パラメータを補正する。その後、制御装置１８は、補正された駆動パラメータに基づいて、対応する駆動装置１６を駆動させる。これにより、駆動装置１６が、着座者の姿勢を矯正するように駆動する。

　第４実施形態に係る乗物用シート７１の効果について説明する。測定されたエアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａの内圧値と、内圧の想定値との差に基づいて、制御装置１８は、着座者の座位姿勢を判定する。よって、第３実施形態に比べて、着座者は座位姿勢を入力する必要がないため、着座者にとっての乗物用シート７１の利便性を向上させることができる。

　また、測定されたエアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａの内圧値と、内圧の想定値との差分は、エアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａに対応する部分に対して着座者から加わる圧力に対応する。よって、制御装置１８は、その差分に基づいて座位姿勢の判定を行うことで、実際の着座者の姿勢に即した判定を行うことができる。

＜＜第５実施形態＞＞
　第５実施形態は、本発明を車両８１に適用したものであって、図１１に示すように、第１～第４実施形態の乗物用シート１、５１、６１、７１と、その側方に設けられ、車内側にドアトリム８２を備えた車両用ドア８３とを備える。ドアトリム８２は、車両用ドア８３に固定されたドアトリム本体８４と、ドアトリム本体８４の車内側側面に設けられたアームレスト８５とを備えている。アームレスト８５はドアトリム本体８４の着座者の腕の位置に設けられている。ドアトリム本体８４には、制御装置１８からの信号に基づいて、アームレスト８５を上下方向に移動させ、且つ、着座者側に突出させるアクチュエータ８６（アームレスト駆動装置）が設けられている。

　制御装置１８は、第１～第４実施形態と同様のシート調節処理を実行する。但し、本実施形態において制御装置１８が実行するシート調節処理のステップＳＴ３には、アームレスト調節処理が含まれる点で、他の実施形態とは異なる。また、記憶装置１８Ａが、アームレスト駆動テーブルを更に記憶している。以下、アームレスト駆動テーブルと、アームレスト調節処理とについて説明する。

　アームレスト駆動テーブルは、身長の範囲、体重の範囲、及び、体型グループの番号と、アームレスト８５を駆動させるためのパラメータ（以下、アームレスト駆動パラメータ）との関係を示すものであって、本実施形態では、アームレスト移動テーブルには、身長の範囲、体重の範囲、及び、体型グループのそれぞれに対応する着座者に対して、適切なアームレスト８５の上下方向の移動量、及び、突出量との関係が記載されている。

　制御装置１８は、アームレスト調節処理において、アームレスト駆動テーブルを参照し、着座者の体格情報に基づいて、着座者の属する身長の範囲、体重の範囲、及び、体型グループに対応するアームレスト駆動パラメータを取得する。その後、制御装置１８は、アームレスト駆動パラメータに対応するように、アームレスト８５の上下位置、及び、突出量を変更するべく、アクチュエータ８６を制御する。これにより、アームレスト８５は必要に応じて、着座者に適合するように上下に移動し、着座者側に突出する。

　次に、本実施形態に係る車両８１の効果について説明する。制御装置１８は、着座者の体格に適合するように、アームレスト８５の上下方向の移動量、及び、突出量と設定し、アームレスト８５を駆動させる。これにより、着座者からのアームレスト８５の移動量の入力を受けることなく、アームレスト８５は自動調整されて、着座者の腕が着座者にとって無理のない位置に配置される。これにより、着座者の身体にかかる負担が減るため、着座者の疲労を低減することができる。

　以上で具体的実施形態の説明を終えるが、本発明は上記実施形態に限定されることなく幅広く変形実施することができる。上記実施形態では、制御装置１８は、身長、体重、及び体型グループに基づいて、駆動装置１６を駆動させるための各種パラメータを算出していたが、この態様には限定されない。駆動装置１６を駆動させるための各種パラメータの算出には体型グループは必須ではなく、例えば、制御装置１８は身長、及び体重のみに基づいて、駆動装置１６を駆動させる各種パラメータを算出するように構成されていてもよい。但し、体型グループに基づいて、駆動装置１６を駆動させる各種パラメータを算出することによって、より着座者の体格に合わせた乗物用シート１の移動や変形が可能となる。

　上記第４実施形態では、エアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａの内圧値と、初期圧との差分に基づいて、座位姿勢グループを判定するように構成されていたが、この態様には限定されない。図１１に示すように、着座面９及び支持面１０に複数の受圧センサ９１が設けられていてもよい。受圧センサ９１はセンサ面９２を有し、センサ面９２に加わる圧力の平均値、及び／又は、圧力分布を取得可能である。制御装置１８は、各受圧センサ９１Ａの圧力に基づいて、着座者の姿勢に対応する座位姿勢グループを判定してもよい。このとき、受圧センサ９１Ａ、９１Ｂは左右に対をなすように配置され、シートバック６及びシートクッション５に左右に対をなすようにエアセル９３Ａ、９３Ｂが設けられ、それぞれ対応する支持面１０又は着座面９を出没させるように構成されていてもよい。制御装置１８は、対をなす受圧センサ９１Ａ、９１Ｂの圧力の差に基づいて、着座者の左右方向の姿勢を正すように、左右のエアセル９３Ａ、９３Ｂを制御し、支持面１０及び／又は着座面９を出没させるとよい。

　上記第３、及び、第４実施形態では、着座者の姿勢を矯正するように補正量が設定されていたが、この態様には限定されない。受付処理において、端末１７が着座者から希望する姿勢（例えば、中立姿勢、中立姿勢よりも着座者の負担の少ない安楽姿勢、及び、矯正姿勢）の選択を受け付け、制御装置１８はその選択に対応するように補正量を設定してもよい。

　上記第３、及び第４実施形態では、着座者の姿勢に基づいて補正量が設定されていたが、この態様には限定されない。例えば、補正量は、着座者の睡眠状態、心拍、体温、体調等の身体状態に基づいて設定されてもよく、また、着座者の体の柔軟性に基づいて設定されてもよい。また、補正量は季節や車内温度等の車内や車外の環境に基づいて設定されてもよい。

　より具体的には、例えば、乗物用シート１は着座面９又は支持面１０の温度を測定する温度センサ１００（図１２参照）を備え、着座者の体温が所定温度よりも高いと判定したときには、制御装置１８は着座者が中立姿勢（又は、安楽姿勢）となるように補正量を減らすとよい。同様に、乗物用シート１は着座面９又は支持面１０に着座者の心拍センサ１０１（図１２参照）を備え、心拍センサ１０１からの信号に基づいて、着座者の体調を判定し、体調が優れないと判定したときには、制御装置１８は着座者が中立姿勢（又は、安楽姿勢）となるように、補正量を設定する（例えば、姿勢を矯正する場合には、補正量を減らす）とよい。心拍センサ１０１は、好ましくは、シートバック６の左側部分に設けられるとよい。また、制御装置１８は車内（例えば、ドアトリム８２等）に設けられた車内温度センサ１０２（図１１参照）からの信号を取得し、車内温度が所定温度よりも高いと判定したときには、制御装置１８は着座者の姿勢が中立姿勢（又は、安楽姿勢）に近づくように、補正量を設定するとよい。これにより、着座者の姿勢が身体状態に合ったものとなるため、着座者の疲労低減を図ることができる。

　上記第５実施形態では、アームレスト８５は、上下移動、且つ、着座者側に突出可能に構成されていたが、この態様には限定されない。アームレスト８５は制御装置１８からの信号に基づいて、少なくとも上下移動、左右移動、及び、着座者側への出没のいずれか１つの態様で駆動し、制御装置１８からの信号によって上下位置、左右位置、及び突出量の少なくともいずれか１つが変更されるものであればよい。

　上記実施形態において、出力ステップ（ＳＴ３）が完了した後、端末１７において着座者から補正量を受け付け、その補正量に基づいて、乗物用シート１の形状を変更するように構成してもよい。このとき、制御装置１８は、着座者から受け付けた補正量を着座者の体格情報とともに記憶装置１８Ａに保存してもよい。制御装置１８は、更に、保存された着座者の体型と補正量との関係に基づいて駆動テーブルに記載された駆動パラメータを修正してもよい。

　上記実施形態では、乗物用シート１、５１、６１、７１において、坐骨結節部Ｐ、仙骨Ｑ、腸骨Ｒ、及び第９胸椎部Ｓに対応する位置にエアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａが設けられていたが、それらに加えて、着座者の姿勢を矯正すべく、着座者の他の部分に対応する位置（例えば、上部シートバック６Ｕ）にエアセル１０３が設けられていてもよい。また、上記実施形態において、エアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａはパッド部材４Ａ、５Ａと表皮材５Ｂ、６Ｂとの間に設けられていたが、エアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａがパッド部材４Ａ、５Ａの背面側（シートバック６においては後側、シートクッション５においては下側）に設けられていてもよい。また、乗物用シート１、５１、６１、７１にはエアセル２６Ａ、２７Ａ、２８Ａの代わりに、着座面９又は支持面１０の位置を変更するための公知のアクチュエータが設けられていてもよい。

１　　　　：第１実施形態に係る乗物用シート
５　　　　：シートクッション
５Ａ　　　：パッド部材
５Ｂ　　　：表皮材
６　　　　：シートバック
６Ａ　　　：パッド部材
６Ｂ　　　：表皮材
１６　　　：駆動装置
１７　　　：端末
１８　　　：制御装置
２６　　　：坐骨結節支持装置
２６Ａ　　：エアセル
２６Ｃ　　：センサ
２７　　　：腸骨支持装置
２７Ａ　　：エアセル
２７Ｃ　　：センサ
２８　　　：第９胸椎支持装置
２８Ａ　　：エアセル
２８Ｃ　　：センサ
４０　　　：受付欄
５１　　　：第２実施形態に係る乗物用シート
５２　　　：受付欄
６１　　　：第３実施形態に係る乗物用シート
６２　　　：受付欄
７１　　　：第４実施形態に係る乗物用シート
８１　　　：車両
８５　　　：アームレスト
Ｐ　　　　：坐骨結節部
Ｑ　　　　：仙骨
Ｒ　　　　：腸骨
Ｓ　　　　：第９胸椎部
ＳＴ１　　：ステップ（取得ステップ）
ＳＴ２　　：ステップ（決定ステップ）
ＳＴ３　　：ステップ（出力ステップ）

Claims (11)

1. 　シートクッション、及びシートバックを備えた乗物用シートであって、
   　着座者の坐骨結節部に対応する前記シートクッションの部分の位置を変更すべく駆動する坐骨結節支持装置と、
   　前記着座者の仙骨及び／又は腸骨に対応する前記シートバックの部分の位置を変更すべく駆動する仙骨腸骨支持装置と、
   　前記着座者の第９胸椎部に対応する前記シートバックの部分の位置を変更すべく駆動する第９胸椎支持装置と、
   　前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の駆動を制御する制御装置とを有し、
   　前記制御装置は
   　前記着座者の体格情報を取得する情報取得ステップと、
   　前記位置のそれぞれを前記着座者の体格に適合するように、前記情報取得ステップにおいて取得した前記体格情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置のそれぞれの駆動量に係る少なくとも３つのパラメータを決定する決定ステップと、
   　前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び前記第９胸椎支持装置を対応する前記パラメータに基づいて駆動させる出力ステップとを順に実行することを特徴とする乗物用シート。
2. 　前記シートクッション及び前記シートバックはそれぞれパッド部材と、前記パッド部材の表面を覆う表皮材とを有し、
   　前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置はそれぞれ、前記表皮材と前記パッド部材との間に配置されたエアセルと、前記エアセルの内圧値を取得するセンサと、前記内圧値を所定の圧力とすべく、前記エアセルに給排気する給排気装置と、を有し、
   　前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量はそれぞれ、対応する前記エアセルの前記内圧値であることを特徴とする請求項１に記載の乗物用シート。
3. 　前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記体格情報に基づく人体モデルの中立姿勢時の背面形状を再現するように、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量を決定することを特徴とする請求項１又は請求項２に記載の乗物用シート。
4. 　前記体格情報は、前記着座者の身長、及び体重に係る情報を含み、
   　前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記着座者の前記身長及び前記体重に係る情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定することを特徴とする請求項１～請求項３のいずれか１つの項に記載の乗物用シート。
5. 　前記制御装置からの信号に基づいて、前記着座者に情報を表示するとともに、前記着座者からの入力を受け付けて、前記制御装置に出力する端末を備え、
   　前記端末は、前記着座者から前記身長、及び前記体重の入力又は選択を受け付ける受付欄を表示することを特徴とする請求項４に記載の乗物用シート。
6. 　前記端末は、前記身長及び前記体重に係る情報に基づいて、前記着座者の体型を判定し、
   　前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記身長、前記体重、及び、判定された前記体型に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定することを特徴とする請求項５に記載の乗物用シート。
7. 　前記体格情報は、前記着座者の身長、体重、及び体型に係る情報を含み、
   　前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記着座者の前記身長、前記体重、及び、前記体型に係る情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定することを特徴とする請求項１～請求項３のいずれか１つの項に記載の乗物用シート。
8. 　前記制御装置からの信号に基づいて、前記着座者に情報を表示するとともに、前記着座者からの入力を受け付けて、前記制御装置に出力する端末を備え、
   　前記端末は、前記着座者から前記身長、前記体重、及び、前記体型に係る情報の入力又は選択を受け付ける受付欄を表示することを特徴とする請求項７に記載の乗物用シート。
9. 　前記体格情報は、前記着座者の身長、体重、体型、及び、座位姿勢に係る情報を含み、
   　前記制御装置は、前記決定ステップにおいて、前記着座者の前記身長、前記体重、前記体型、及び、前記座位姿勢に係る情報に基づいて、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを決定することを特徴とする請求項１～請求項３のいずれか１つの項に記載の乗物用シート。
10. 　前記体格情報は、前記着座者の身長、体重、体型、及び、座位姿勢に係る情報を含み、
    　前記制御装置は、前記座位姿勢に係る情報を、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置それぞれの前記エアセルの前記内圧値によって取得し、前記坐骨結節支持装置、前記仙骨腸骨支持装置、及び、前記第９胸椎支持装置の前記駆動量のそれぞれを、対応する前記内圧値によって補正することを特徴とする請求項２に記載の乗物用シート。
11. 　請求項１～請求項１０のいずれか１つの項に記載の前記乗物用シートと、前記着座者の側方に設けられたアームレストとを備えた車両であって、
    　前記アームレストの上下位置、左右位置、及び、前記着座者側への突出量の少なくとも一つを変更するアームレスト駆動装置を備え、
    　前記制御装置は、
    　前記決定ステップにおいて、前記情報取得ステップにおいて取得した前記体格情報に基づいて、前記アームレストの位置を決定し、
    　前記出力ステップにおいて、前記決定ステップにおいて決定した前記位置に向けて前記アームレスト駆動装置の駆動を制御することを特徴とする車両。

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