JP4076101B2 - 水溶性アゾ化合物及びそれを用いる染色法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は水溶性アゾ化合物、及びこれを用いてヒドロキシ基含有高分子基材又はカルボキシアミド基含有高分子基材、特に繊維材料を染色する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ヒドロキシ基含有高分子基材又はカルボキシアミド基含有高分子基材、特に繊維材料の染色には数多くの反応染料が使われている。このうち赤色染料については、種々の染料が開発されているが、鮮明性に欠けたり、黄色染料、青色染料などとの配合染色時に、親和性が揃っていないため、再現性に欠けたり、表裏の色調が大きく異なるなどの問題がある。また繊維のインクジェットプリンターによる染色の場合、記録ヘッドを使用するため、多くの種類の染料を使用することができず、一般にはイエロー,マゼンタ、シアン、ブラックの4色による減法混色で表現される。そのため、幅広い配合色を得るのに適する鮮明なマゼンタ色しての、青系赤色染料が求められているが、未だ満足できるものがない。他方、色相の鮮明なものは、堅牢度特性、特に、光及び汗複合堅牢度、洗浄時の白場(色糊の印捺されていない部分)への汚染性において不十分であるという問題がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
染色時の再現性が良好で、染色物の諸堅牢度が良好な水準にあると同時に、配合染色時に幅広い色出しを可能とする赤色染料の開発が望まれている。特に、インクジェットプリンターによる染色の場合は、使用する染料の数が限られているため、幅広い配合色を得るのに適する色相、鮮明性を有する染料を開発することが望まれている。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記従来の欠点を解決すべく鋭意検討した結果、本発明に至ったものである。
即ち本発明は、
(1)下記式(1)
【0005】
【化2】
【0006】
で表される水溶性アゾ化合物又はその塩、
(2)(1)記載の水溶性アゾ化合物を含有する水性インク、
(3)ヒドロキシ基含有高分子基材又はカルボキシアミド基含有高分子基材を染色する際に、(1)記載の水溶性アゾ化合物を用いることを特徴とする高分子基材の染色方法、
(4)(2)記載の水性インクを用いて、インクジェットプリンターにて染色することを特徴とする(3)記載の高分子基材の染色方法、
に関する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物は、1−アミノ−8−ナフトール−3、6−ジスルホン酸1モルと、o−アミノ安息香酸1モルのジアゾニウム塩と、2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン1モルと、2−アミノエタンスルホン酸1モルとを、任意の順序で常法により縮合又はカップリングすることにより得られる。
【0008】
本発明の前記式(1)で示される化合物は塩となっていても良い。塩は水溶性塩が好ましい。塩としては、例えばアルカリ金属塩、アンモニウム塩、置換アンモニウム塩等があげられる。アルカリ金属としては、例えばナトリウム、カリウム、リチウム等があげられる。置換アンモニウムとしては、例えばモノメチルアミン、モノエチルアミン、ジブチルアミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド等のモノ−、ジ−、トリ−又はテトラ−アルキルアンモニウム、あるいは例えばモノメタノールアミン、ジメタノールアミン、トリメタノールアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン等のモノ−、ジ−、トリ−又はテトラ−アルカノールアンモニウム等があげられる。
【0009】
式(1)で示される水溶性アゾ化合物は、通常の方法により、塩析取り出しを行い乾燥製品として、また、反応液を希釈又は濃縮等の濃度調製をし、液状製品としても良い。
【0010】
本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物は、反応性染料として、反応性染料が染着する各種高分子基材の染色に使用される。反応性染料が染着する各種高分子基材としては、例えばヒドロキシ基含有高分子基材、カルボキシアミド基含有高分子基材があげられ、特に繊維材料が好ましい。繊維材料としては、例えば糸状のもの、布状のもの等があげられる。
【0011】
ヒドロキシ基含有高分子基材には、天然又は合成高分子材料、例えば、セルロース繊維材料またはそれらの再生生成物及びポリビニルアルコールがあげられる。セルロース繊維材料は好ましくは木綿であるが、例えばリンネル、麻、ジュート及びラミー繊維でもよい。再生セルロース繊維は、例えばビスコースレーヨン、リヨセル等である。
【0012】
カルボキシアミド基含有高分子基材には、合成及び天然ポリアミド及びポリウレタン、例えば羊毛及び他の動物毛、絹、皮革、ナイロン−6、6、ナイロン−6、ナイロン−11及びナイロン−4等が包含される。
【0013】
染色法としては、浸染法、捺染法、パディング法、インクジェットプリント法が適用されるが、最も好ましい方法は、捺染法、パディング法、インクジェットプリント法などの浴比の比較的小さい染色法である。
【0014】
本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物を用いて、繊維材料、特に布状のものに捺染により染着させる場合は、アルギン酸ナトリウム又はエマルジョン糊などを元糊とし、これに本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物、染料固着剤及び尿素などを加えて調製した色糊を繊維材料に印捺し、ついで中間乾燥をして熱処理して染料を固着させる。
【0015】
パディング法に適用する場合には、本発明の式(1)で示される水溶性化合物、染料固着剤、尿素及び浸透剤などを用いて染浴を調製し、繊維材料、特に布状のものを短時間浸漬後、絞って中間乾燥し、短時間蒸熱又は乾熱処理する。その後、洗浄、乾燥する。
【0016】
インクジェットプリント法に適用する場合は、染料、水、水溶性有機溶剤からなるインクを調製し、水溶性高分子等で前処理を行った繊維材料、特に布状のものに、インクジェットプリンターにて印捺し、中間乾燥をして熱処理し固着させる。
【0017】
捺染法、パディング法において、本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物を、汎用の黄色染料及び/又は青色染料などとの配合染色に用いた場合、親和性がそろっているために、再現性よく染色することができる。また、水に対する溶解度が高いので、捺染糊、パディング液などの高濃度の染料液での安定性が大変良好である。さらに、繊維のインクジェットプリント法のインクとして用いる場合、記録ヘッドを使用するため、染料の数が限られる。本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物は、鮮明な青系赤色染料であるので、マゼンタインクとして使用することができ、幅広い配合色を得ることができる。また、水に対する溶解度が高いのでインクの安定性も良い。
【0018】
ヒドロキシ基含有高分子基材の染色には、本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物の固着をもたらすため、通常酸結合剤を使用する。酸結合剤は、捺染法、パディング法の場合、色糊中に添加して使用され、インクジェットプリント法の場合、被染物の前処理剤中に添加して使用される。を行ったは酸結合剤としては、例えば無機酸又は有機酸のアルカリ金属塩及びアルカリ土類金属の水溶性の塩基性塩並びに加熱の際アルカリを遊離する化合物が包含される。特に、弱乃至中−強無機又は有機酸のアルカリ金属水酸化物及びアルカリ金属塩が適している。好ましいアルカリ金属化合物は、ナトリウム化合物及びカリウム化合物である。このような、酸結合剤には、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、蟻酸ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸水素二ナトリウム、トリクロル酢酸ナトリウム、水ガラス又はリン酸三ナトリウムが包含される。
【0019】
カルボキシアミド基含有高分子基材の染色は、通常酸性で行われる。例えば酢酸及び/又は硫酸アンモニウム及び/又は酢酸アンモニウム及び/又は酢酸ナトリウムを、捺染法、パディング法の場合、色糊中に添加し、又インクジェットプリント法の場合、被染物の前処理剤中に添加し、pH4〜6に調製して行う。
【0020】
本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物を使用して得られた染色物は、色相が鮮明であり、洗浄時の白場への汚染性、耐光性、耐塩素性、光及び汗複合堅牢度等の堅牢度特性 、特に光及び汗複合堅牢度が著しく良好である。
【0021】
本発明の水性インク組成物は、前記式(1)で示される水溶性アゾ化合物を水又は水性溶媒(後記する有機溶剤)を含有する水に溶解したものである。インクのpHは6〜8が好ましい。この水性インク組成物をインクジェット記録用プリンタで使用する場合、色素成分としては金属陽イオンの塩化物、硫酸塩等の無機物の含有量は少ないものを用いるのが好ましく、その含有量の目安は例えば、塩化ナトリウムと硫酸ナトリウムの総含量として1重量%以下である。無機物の少ない本発明の式(1)で示される水溶性化合物を製造するには、例えば逆浸透膜による通常の方法で脱塩処理すればよい。
【0022】
本発明の水性インク組成物は水を媒体として調製されるが、本発明の式(1)で示される水溶性アゾ化合物は該水性インク組成物中に、好ましくは1〜40重量%、より好ましくは5〜30重量%程度含有される。本発明の水性インク組成物にはさらに水溶性有機溶剤1〜50重量%、より好ましくは5〜25重量%、インク調製剤1〜30重量%、より好ましくは1〜20重量%含有していても良い。
【0023】
本発明のインク組成物は、蒸留水等不純物を含有しない水に、本発明の染料及び必要により、上記水溶性有機溶剤、インク調製剤等を添加混合することにより調製される。また、水と上記水溶性有機溶剤、インク調製剤等との混合物に本発明の染料を添加、溶解してもよい。また必要ならインク組成物を得た後で濾過を行い、狭雑物を除去してもよい。
【0024】
使用し得る水溶性有機溶剤としては、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリアルキレングリコール類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール等のアルキレングリコール類、N−メチル−2−ピロリドン、1、3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等の含窒素複素環式ケトン類、グリセリン等の一種以上を液媒体成分として使用することができる。
【0025】
インク調製剤としては、例えば防腐防黴剤、pH調整剤、キレート試薬、防錆剤、水溶性紫外線吸収剤、水溶性高分子化合物、染料溶解剤、界面活性剤などがあげられる。
【0026】
【実施例】
次に実施例によって本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例中「部」及び「%」はそれぞれ「重量部」及び「重量%」を示す。
【0027】
実施例1
1−アミノ−8−ナフト−ル−3,6−ジスルホン酸31.9部を水100部に加え、48%水酸化ナトリウム溶液を加え溶解する。次に、この溶液に無水酢酸を10.2部加え、室温で5時間反応させ、アセチル化を行う。別に、o−アミノ安息香酸13.7部を水50部に加え濃塩酸2部を加えて、氷冷下5℃で亜硝酸ナトリウム7部を徐々に加え1時間反応させ、ジアゾニウム塩を得る。このジアゾニウム塩を含む溶液を、5℃に冷却した前記の反応液に加え、10%炭酸ナトリウム溶液を加えてpH7〜8に調整し3時間反応させカップリングさせる。この反応液を90℃に昇温し、48%水酸化ナトリウム溶液でpH12とし、5時間反応させ脱アセチル化を行い、この溶液を室温に冷却後、濃塩酸でpH2.0に調整し、塩化ナトリウムを対液15%の量を加え塩析、濾過し結晶を取り出し、7−(2−カルボキシ−1−フェニルアゾ)−1−アミノ−8−ナフト−ル−3,6−ジスルホン酸を得る。この化合物53.6部を水400部に溶解し、48%水酸化ナトリウム溶液で中和し、5℃にて2,4,6−トリクロロ−1,3,5−トリアジン18.5部の水分散液を徐々に滴下する。この滴下後の溶液を48%水酸化ナトリウム溶液でpH7.5に調整し、2時間反応させる。次いで、反応液に2−アミノエタンスルホン酸(タウリン)15部を加え、10%炭酸ナトリウム溶液を用いてpH7.5を保持しながら50℃に昇温し、同pH、同温度にて3時間反応させる。得られる反応液を逆浸透膜処理して脱塩し、乾燥することにより、式(1)で示される本発明の化合物79.3部を粉末として得た。(λmax=544nm)
【0028】
実施例2
実施例1で得られた本発明の式(1)で示される化合物10部と尿素100部を混合し温湯390部を加え染料を溶解し染料溶液とする。次にポリミンLニュー(還元防止剤:日本化薬製)20部、重炭酸ナトリウム40部を含む5%アルギン酸ナトリウム水溶液500部に、この染料溶液を加えよく撹拌して、色糊を調製する。木綿布上にスクリーンを用いて印捺し60〜80℃で中間乾燥後100〜103℃で10分間スチーミング処理を行う。水洗後、95〜100℃の沸騰水で10分間洗浄し、水洗、乾燥することにより、鮮明な青味赤色の染色物が得られる。この染色物は、洗浄時の白場への汚染性が良好であった。また光及び汗複合堅牢度4級(JIS アルカリ)と優れたものであった。結果を表1に示す。
【0029】
実施例3
実施例1で得られた本発明の式(1)で示される化合物5部、尿素100部、アルギン酸ナトリウム1部、炭酸ナトリウム20部を含む染料溶液(パッド浴)1000部を調製し、このパッド浴にレーヨン布を通しパッダーを用いパディングし、もとの繊維重量の1.7倍になるように絞り、100℃で2分間中間乾燥後、170℃で2分間スチーミング処理を行う。次いで実施例2と同様に水洗、洗浄、乾燥し、鮮明な青味赤色染色物を得た。
【0030】
実施例4
実施例1で得られた本発明の式(1)で示される化合物10部と尿素50部を混合し、温湯440部を加え染料を溶解し染料溶液とする。次に、ポリミンLニュー(還元防止剤、日本化薬製)5部、硫酸アンモニウム10部を含む5%アルギン酸ナトリウム水溶液500部に、この染料溶液を加え浴撹拌して色糊を調製する。ナイロン布上にスクリーンを用いて印捺し60〜80℃で中間乾燥後、100〜103℃で30分間スチーミング処理を行う。水洗後、アニオン活性剤を含む水溶液で50℃、10分間洗浄し、水洗、乾燥することにより鮮明な青味赤色の染色物が得られた。この染色物は、洗浄時の白場への汚染性は良好であった。
【0031】
実施例5
下記組成で染料溶液を調製する。
実施例1の式(1)で示される化合物 1.4部
Kayacion Yellow P−N3R 1.7部
(日本化薬製反応染料)
Kayacion Blue P−N3G 6.9部
(日本化薬製反応染料)
尿素 100部
温湯 390部
次にポリミンLニュー(還元防止剤:日本化薬製)20部、重炭酸ナトリウム40部を含む5%アルギン酸ナトリウム水溶液500部に、この染料溶液を加えよく撹拌して、色糊を調製する。木綿布上にスクリーンを用いて印捺し60〜80℃で中間乾燥後100〜103℃で10分間スチーミング処理を行う。水洗後、95〜100℃の沸騰水で10分間洗浄し、水洗、乾燥することにより、灰色の染色物が得た。この染色物の裏抜けの状態は小さく、表裏の色相は同系色であった。
【0032】
実施例6
下記組成で染料溶液(パッド浴)を調製する。
実施例1の式(1)で示される化合物 0.7部
Kayacion Yellow P−N3R 0.85部
(日本化薬製反応染料)
Kayacion Blue P−N3G 3.45部
(日本化薬製反応染料)
尿素 100部
アルギン酸ナトリウム 1部
炭酸ナトリウム 20部
温湯 874部
このパッド浴にレーヨン布を通しパッダーを用いパディングし、もとの繊維重量の1.7倍になるように絞り、100℃で2分間中間乾燥後、170℃で2分間スチーミング処理を行う。次いで実施例2と同様に水洗、洗浄、乾燥し、灰色染色物を得た。この染色物は、テーリング(反末反始の色相差)はみられず均一に染色された。
【0033】
実施例7
下記組成の溶液を調製し、0.45μmのメンブランフィルターで濾過することにより、インクジェットプリント用インクを得た。
(イエローインク)
Kayacion Yellow P−S8G(日本化薬製) 8部
プロピレングリコール 10部
水 82部
(マゼンタインク)
実施例1で得られた式(1)の化合物 8部
プロピレングリコール 10部
水 82部
(シアンインク)
Kayacion Turquoise P−3GF(日本化薬製)8部
プロピレングリコール 10部
水 82部
【0034】
アルギン酸ナトリウム、尿素、pH調整剤(重炭酸ソーダ)等を含む溶液を用いてパッド法にて前処理を行った木綿布に、これらのインクを使用してオンデマンド型インクジェットプリンターにてプリントし、60〜80℃で中間乾燥後100〜103℃で10分間スチーミングし、水洗後、95〜100℃の沸騰水で10分間洗浄し、水洗、乾燥した。この染色物の、洗浄時の白場への汚染性は良好であった。印捺した色はイエロー、マゼンタ、シアン、レッド(イエローとマゼンタの混色)、グリーン(イエローとシアンの混色)、ブルー(マゼンタとシアンの混色)の6色である。この染色物を測色した色度を図1に示す。また、本実施例により得たマゼンタインクは、常温又は低温(0℃)においても一ヶ月以上結晶の析出等がみられず、良好な安定性を示した。
【0035】
比較例1
遊離酸として下記構造で示される試作品(A)を、実施例2と同様の方法を用いて印捺、スチーミング後、洗浄、乾燥し染色物を得た。色相、光及び汗複合堅牢度結果を表1に示す。
【0036】
【化3】
【0037】
比較例2
遊離酸として下記構造で示される試作品(B)を、実施例2と同様の方法を用いて印捺、スチーミング後、洗浄、乾燥し染色物を得た。色相、光及び汗複合堅牢度結果を表1に示す。
【0038】
【化4】
【0039】
【表1】
【0040】
光及び汗複合堅牢度の試験はJIS L0888(B法、アルカリ性汗液)に従い行った。
この表1から明らかなように、本発明の式(1)で示される化合物は光及び汗複合堅牢度に優れている。
【0041】
比較例3
実施例1で得られた式(1)で示される化合物の代わりに、比較例1記載の試作品(A)を用いて、実施例2と同様にして灰色染色物を得た。この染色物の表面の色相は、相当青味であり赤味の裏抜けが大きかった。
【0042】
比較例4
実施例1で得られた式(1)で示される化合物の代わりに、比較例1記載の試作品(A)を用いて、実施例3と同様にして灰色染色物を得た。この染色物はテーリングがみられ、反始は青味、反末は赤味に染色された。
【0043】
比較例5
マゼンタインクに、実施例1で得られた式(9)の化合物の代わりに、比較例2記載の試作品(B)を用いる以外は、実施例7と同様にして染色物を得た。測色結果を図1に示す。また、本比較例により得たマゼンタインクを常温又は低温(0℃)で一ヶ月保存したところ、結晶の析出がみられた
【0044】
図1から明らかなように、実施例7の被染物の測色値を結んだ実線で囲まれた部分の面積の方が、比較例5の被染物の測色値を結んだ破線で囲まれた部分の面積より広くなっている。このことは、実施例7で使用した本発明の式(1)の化合物は、比較例5で使用した色素よりも色出し範囲が広いことを意味している。尚、L*a*b*表色系においてはa*は赤方向、−a*は緑方向を、又b*は黄方向、−b*は青方向をそれぞれ示す。
【0045】
【発明の効果】
本発明で得られる水溶性アゾ化合物を用いて、ヒドロキシ基含有高分子基材又はカルボキシアミド基含有高分子基材、特に繊維材料を染色すると、単独で用いた場合鮮明な青味赤色に染色され、白場への汚染性、光及び汗複合堅牢度が良好であるため高品位の染色物が得られる。また、配合に使用した場合、捺染及びパディング法においては、汎用の黄色染料、青色染料との親和性がそろっているため、良好な染色再現性が得られる。特にインクジェットプリント法においては、幅広い色相を色出しすることができ、また溶解度が高いためインクの安定性が良好で、鮮明性、耐光性、光及び汗複合堅牢度及び白場汚染性に優れた染色物を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は色素の色だし範囲を示す図である。
【符号の説明】
図1において、X軸はL*a*b*表色系におけるa*値を、又Y軸は同じくb*値をそれぞれ示す。Yはイエロー、Rはレッド、Mはマゼンタ、Bはブルー、Cはシアン、Gはグリーンを示す。又、実線は実施例7の染色物の色だし範囲であり、破線は比較例5の染色物の色だし範囲である。
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