JP4075770B2 - 巻取りボビンの回転速度制御方法およびインバータ - Google Patents

巻取りボビンの回転速度制御方法およびインバータ Download PDF

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本発明は、紡績製造業等で用いる巻取り装置等における線状部材巻取り時の巻取りボビンの回転速度制御方法および該巻取りボビンの回転速度制御用のインバータに関する。
紡績製造業等で用いられる巻取り装置において線状部材(本明細書においては、文字通りの線状の部材に限らず、糸条等の糸状部材も含む概念とする)である例えば糸条を巻取りボビンにより巻き取る際には、巻取りボビンに対して糸条を掛着し、その糸条を巻取りボビンの軸方向に沿ってトラバースしながら巻取りボビンを回転させることにより、該巻取りボビンに対して巻き取っている。
このとき、巻取りボビンの回転速度制御を行わない場合、巻取り経過時間に伴い巻取りボビンが膨らみ、巻取りボビンに巻き取られる糸条の巻取り速度(巻き取られる糸条の速度;線速度)が上昇し、この糸条の線速度の上昇に応じて巻取り量が増大してしまい、均一な巻取りを行うことが困難であった。
そこで、従来は、巻取り経過時間に従い手動で周波数指令を可変したり、あるいは糸条の一部分に装着した回転速度検出器から糸条の線速度を検出してフィードバックし、線速度一定制御を行い巻取りを行っていた(例えば、特許文献1参照)。
また、1つの巻取りボビンに対する糸条巻取りが終了に近付いた場合、すなわち、巻取りボビンが満巻状態に近付いた場合には、巻取り装置を一旦停止して手動により交換を行う手法に加えて、満巻状態の巻取りボビンを他の空巻状態の巻取りボビンへ自動的に交換し、連続して巻き取る手法も知られている(例えば、特許文献2参照)。
特開平2002−12368号公報 特開平2003−171065号公報
従来のフィードバック制御においては、線速一定制御を行うに際に、糸条の検出速度と目標速度との偏差に応じてPI制御またはPID制御により制御指令値を算出し、その制御指令値に追従するように巻取りボビンの回転速度、すなわち、回転周波数を制御している。
しかしながら、上述した単純なPI制御(PID制御)を用いたフィードバック制御では、常に巻取りボビンの回転周波数を補正制御しているため、PI制御(PID制御)部分に大きな負担がかかり、また、速度リップルや、ハンチング等の現象が発生する恐れが生じていた。
特に、高速回転(300Hz程度)の巻取りを実現することは、上記速度リップルやハンチング等の発生を顕著に助長する恐れがあるため困難であり、糸条が巻き取られた巻取りボビン(以下、生産品とする)の生産性の向上が望めなかった。
この点、上記特許文献1において、巻取りボビンの加速制御およびフィードバック制御{PI制御(PID制御)}を組み合わせる内容が開示されている。
しかしながら、上記加速制御からフィードバック制御に切換える際の具体的な手法に関しては何ら開示されておらず、上記切換に起因した周波数の急激な変化により巻取りが不安定になる恐れが生じていた。
さらに、巻取り終了時のボビン切換えにおいても、満巻状態に近付いた巻取りボビンを減速制御しながら、空巻状態の巻取りボビンを起動させて巻取りを継続する場合、上記巻取り時のフィードバック制御から減速制御に切換える際の周波数変化に起因して、巻取りボビンにより糸条を最後まで均一に巻き取ることは困難であった。
このため、生産品の巻取り状態に巻きムラ、巻き歪みや巻きたるみ等が発生し、後工程において修復する必要性が生じていた。
本発明は上述した事情に鑑みてなされたもので、巻取りボビンの速度制御を切換える際において周波数を安定させることにより、巻取りボビンによる線状部材の巻取りを安定して行うことを可能にした巻取りボビンの回転速度制御方法およびインバータを提供することをその目的とする。
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、順次供給される糸条を、複数の巻取りボビンを巻取り位置および待機位置間において切り換えながら該巻取り位置の巻取りボビンの回転により巻き取る際に、前記巻取り位置の巻取りボビンの回転速度の指令値に対応する指令周波数と前記糸条の線速度に対応してフィードバックされる速度値に対応するフィードバック周波数との偏差を比例積分する比例積分制御により前記糸条の線速度一定制御を行う巻取りボビン回転速度制御方法であって、前記巻取り位置に糸掛け前の前記巻取りボビンが配置された状態において前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を前記指令周波数に強制的に設定し、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の加速時定数に基づいて前記指令周波数の上昇により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の加速制御を行ない、前記巻取りボビンの加速制御時において前記巻取りボビンが所定の周波数に達したとき糸掛け部により前記糸条が前記巻取りボビンに糸掛けされ、糸掛け終了時に前記糸条の巻取りを開始し、前記加速制御から前記線速度一定制御に切り替えた際に、前記線速度一定制御の前記比例積分制御が開始された時点で、前記加速制御の前記積分出力に基づく前記指令周波数から継続して積分を行うことを要旨とする。
請求項記載の発明は、上記課題を解決するため、前記加速時定数に基づいて前記巻取りボビンの加速制御を終了し、その終了タイミングに応じて、前記偏差、所定の比例ゲインおよび所定の積分ゲインを用いて前記偏差を0にする比例積分制御を実行し、前記比例積分制御実行時における前記比例ゲインおよび積分ゲインを、前記偏差の極性に応じて変化させることを要旨とする。
請求項記載の発明は、上記課題を解決するため、前記巻取りボビンの回転速度に対応する周波数を時間的に変動させるための周波数変動データを用意し、前記加速時定数に基づいて前記巻取りボビンの加速制御を終了し、その終了タイミングに応じて、前記巻取りボビンの回転速度に対応する周波数を前記周波数変動データにより設定し、設定した周波数とフィードバックされた周波数との偏差、所定の比例ゲインおよび所定の積分ゲインを用いて前記偏差を0にする比例積分制御を実行することを要旨とする。
請求項記載の発明は、上記課題を解決するため、記巻取り位置の巻取りボビンが満巻き状態になったことを検出し、前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を、前記検出タイミング時での積分値と前記検出タイミング時での前記指令周波数との比を前記指令周波数に乗算して得られた値に設定し、設定された値に前記検出タイミング時での出力周波数をロックし、前記線速度一定制御から、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の減速時定数に基づいて前記指令周波数の下降により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の減速制御に切り替えることを要旨とする。
請求項記載の発明は、上記課題を解決するため、順次供給される糸条を、複数の巻取りボビンを巻取り位置および待機位置間において切り換えながら該巻取り位置の巻取りボビンの回転により巻き取る際に、前記巻取り位置の巻取りボビンの回転速度の指令値に対応する指令周波数と前記糸条の線速度に対応してフィードバックされる速度値に対応するフィードバック周波数との偏差を比例積分する比例積分制御により前記糸条の線速度一定制御を行うインバータであって、前記巻取り位置に糸掛け前の前記巻取りボビンが配置された状態において前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を前記指令周波数に強制的に設定し、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の加速時定数に基づいて前記指令周波数の上昇により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の加速制御を行ない、前記巻取りボビンの加速制御時において前記巻取りボビンが所定の周波数に達したとき糸掛け部により前記糸条が前記巻取りボビンに糸掛けされ、糸掛け終了時に前記糸条の巻取りを開始し、前記加速制御から前記線速度一定制御に切り替えた際に、前記線速度一定制御の前記比例積分制御が開始された時点で、前記加速制御の前記積分出力に基づく前記指令周波数から継続して積分を行う制御手段を備えたことを要旨とする。
請求項記載の発明は、上記課題を解決するため、前記制御手段は、前記巻取り位置の巻取りボビンが満巻き状態になった時、その満巻き時のタイミングに応じて、前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を、前記検出タイミング時での積分値と前記検出タイミング時での前記指令周波数との比を前記指令周波数に乗算して得られた値に設定し、設定された値に前記検出タイミング時での出力周波数をロックし、前記線速度一定制御から、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の減速時定数に基づいて前記指令周波数の下降により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の減速制御に切り替えることを要旨とする。
請求項1および請求項記載の発明によれば、例えば巻取りボビンが待機位置から巻取り位置に切り換えられた後等、巻取り位置に糸掛け前の巻取りボビンが配置された状態において巻取りボビンの指令周波数とフィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を指令周波数に強制的に設定し、積分出力に基づく指令周波数に追従した所定の加速時定数に基づいて指令周波数の上昇によりモータの電圧と周波数との比が一定の加速制御を行ない、巻取りボビンの加速制御時において巻取りボビンが所定の周波数に達したとき糸掛け部により糸条が前記巻取りボビンに糸掛けされ、糸掛け終了時に糸条の巻取りを開始し、加速制御から線速度一定制御に切り替えた際に、線速度一定制御の比例積分制御が開始された時点で、加速制御の積分出力に基づく指令周波数から継続して積分を行う。即ち、線速度一定制御への切替え時には、指令周波数とフィードバック周波数とは略等しいことから、急激な周波数偏差は生じない。このため、加速制御から線速度一定制御に切り替えた場合でも出力周波数を安定させることができる
このため、上述した巻取りボビンの交換を、交換時における巻取りボビンの周波数変動を抑制しながら行なうことができ、連続的かつ安定した巻取りボビン変更動作による生産性向上を実現することが可能になる。
請求項記載の発明によれば、比例積分制御実行時における前記比例ゲインおよび積分ゲインを、前記偏差の極性に応じて例えば一方の極性側に対するゲインを他方の極性側に対するゲインよりも大きくするように変化させることができる。
このため、巻取りボビンの回転速度制御時、すなわり巻取りボビンの巻き太り抑制に基づく回転速度制御時においては、偏差が負の極性になることが予想されるため、負の極性側の比例ゲインおよび積分ゲインを、正の極性側の比例ゲインおよび積分ゲインよりも大きくすることにより、巻取りボビンの回転周波数における正側の変動量を、負側よりも抑制することができる。この結果、比例積分制御に起因したハンチング動作の発生を回避して巻取りボビンの回転周波数の安定性を向上させることができる。
請求項記載の発明によれば、比例積分制御の制御量を必要最小限度にすることができ、比例積分制御に起因したハンチング動作の発生を回避して巻取りボビンの回転周波数の安定性を向上させることができる。
請求項および記載の発明によれば、前記巻取り位置の巻取りボビンが満巻き状態になった時、満巻き時のタイミングに応じて、指令周波数とフィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を、検出タイミング時での積分値と検出タイミング時での指令周波数との比を指令周波数に乗算して得られた値に設定し、設定された値に検出タイミング時での出力周波数をロックするので、線速度一定制御から減速制御に切り替えた場合でも、周波数変化を生じさせることなく出力周波数を安定させることができる。
このため、満巻き状態の巻取りボビンの交換を、交換時における巻取りボビンの周波数変動を抑制しながら行なうことができ、連続的かつ安定した巻取りボビン変更動作による生産性向上を実現することが可能になる。
図1は、本発明の実施の形態に係る巻取り装置の一例として、例えば複数のボビンB1〜Bn(図1においては、5つの円筒状ボビンB1〜B5として示している)にそれぞれ巻き取られた線状部材である源糸(以下、糸条とも記載する)S1〜Sn(図1では、Sn=S5)を高速に巻き取るための高速紡績巻取り装置(以下、単に巻取り装置とする)1の概略構成を示すブロック図である。
図1に示すように、巻取り装置1は、上記ボビンB1〜B5から順次供給される糸条S1〜S5を同時に巻き取ることができる所定位置(以下、巻取り位置とする)に配置された複数(上記巻取り対象となる糸条に対応する数であり、本実施形態では5つ)のボビンから構成された円筒状の巻取りボビン2と、この巻取り位置に配置された巻取りボビン2に接離自在に支持された誘導ボビン3とを備えている。
この誘導ボビン3は、ボビンB1〜B5から供給され図示しないトラバーサを介して巻取りボビン2の軸方向に沿ってトラバースしながら送出されてくる糸条S1〜S5の巻取りボビン2による巻取り時において、巻取りボビン2に対して所定の接圧で当接して一体に回転しながら糸条S1〜S5を誘導する機能を有している。
さらに、巻取り装置1は、巻取りボビン2の交換用として上記巻取り位置に対応する待機位置に配設され、巻取りボビン2と同数のボビンにより構成された交換ボビン4を備えている。
巻取り装置1は、巻取りボビン2および交換ボビン4を着脱自在および回動自在に支持する支持機構5を備えており、この支持機構の回動動作により、巻取りボビン2を待機位置に、かつ交換ボビン4を巻取り位置にそれぞれ移動可能になっている。
巻取り装置1は、誘導ボビン3の回転軸に直接あるい間接的に取り付けられ、誘導ボビン3の回転速度を例えばパルス出力として検出する回転速度検出器であるパルスジェネレータ(Pulse Generator:PG)10と、巻取りボビン2を回転駆動させるためのモータM11と、交換ボビン4を回転駆動させるためのモータM12とを備えている。
そして、巻取り装置1は、PG10およびモータM11にそれぞれ電気的に接続され、対応するモータM11へ供給する電圧(V)および周波数(Fout)をそれぞれ可変制御してモータM11の回転速度をそれぞれ制御するためのインバータ(INV)21と、PG10およびモータM12にそれぞれ電気的に接続され、対応するモータM12へ供給する電圧(V)および周波数(Fout)を可変制御してモータM12の回転速度をそれぞれ制御するためのインバータ(INV)22とを備えている。
巻取り装置1は、満巻時の巻取りボビン2の慣性エネルギーに基づくモータM11の回生エネルギー(モータM11の発電機動作による電気的エネルギー)を熱エネルギーとして消費するための抵抗R31と、満巻時の交換ボビン4の慣性エネルギーに基づくモータM12の回生エネルギーを熱エネルギーとして消費するための抵抗R32とを備えている。
また、巻取り装置1は、巻取りボビン2の巻取り位置の近傍に設置され、巻取り位置において回転するボビン(巻取りボビン2あるいは交換ボビン4)の満巻き時を含む巻取り状態として、少なくとも例えば満巻状態に対する所定比率(例えば70%等)に到達した状態、および満巻き状態に到達した状態(満巻き時)をそれぞれ検出して満巻前パルスおよび満巻パルスとして出力するための満巻センサ35を備えている。
そして、巻取り装置1は、INV21、INV22および満巻センサ35に対してそれぞれ電気的に接続されており、満巻センサ35から出力された満巻前パルスおよび満巻パルスに応じてINV21およびINV22に対して、指令周波数を含む駆動制御信号を出力するコントローラ42を備えている。
INV21は、そのハードウェア構成として、図示しないダイオード等の整流素子、コンデンサ等の平滑化素子、トランジスタ等の複数のスイッチング素子およびメモリ内蔵型のマイクロプロセッサ等をそれぞれ備えている。また、INV21の外部入出力端子である運転指令入力端子IT1、制御切換信号入力端子IT2、周波数ロック信号入力端子IT3およびマイクロプロセッサのメモリ(フラッシュメモリ等)クリア指令入力端子IT4は、それぞれコントローラ42の制御端子に接続されている。
図2は、上述したハードウェア構成を有する図1に示すINV21の機能ブロック構成およびPG10を介したモータM11のフィードバック制御構成を示す図である。
ここで、上述したように、誘導ボビン3は、巻取りボビン2の糸条S1〜S5巻取り時において、巻取りボビン2の回転に応じて回転して糸条S1〜S5を誘導する機能を有しており、自身において糸条S1〜S5を巻き取る動作を行わないため、回転するにも係らず、糸条巻取りによる膨張(巻き太り)に起因した線速度上昇は発生しない。そこで、本実施形態においては、誘導ボビン3の回転速度をPG10により検出し、その回転速度を一定に保つように巻取りボビン2の回転速度をINV21により制御することにより、巻取りボビン2に巻き取られる糸条の線速度を一定に維持している。
すなわち、図2に示すように、INV21は、コントローラ42から供給された指令周波数FRの加減速時定数を設定する加減速部50を備えている。
なお、加速時定数とは、停止状態のモータM11が後述するV/Fout一定制御に基づいて設定された最大周波数(本実施の形態では、300Hzとする)まで到達するまでの時間を意味し、減速時定数とは、モータM11が最大周波数300Hzから”0”(運転停止)になるまでの時間を意味する。
また、INV21は、巻取りボビン2に対応するモータM11の回転速度(例えば、18000rpm)に基づく誘導ボビン3の回転速度{例えば、モータM11の回転速度に対して、ボビン2および3間の直径比等を含むボビン2および3間に生じる機械的ゲイン(Gain)Gが掛けられた値}がPG10により、例えば所定のパルスレート{例えば、1回転あたり32パルス(32p/r)}により検出されINV21にフィードバックされた際に、その誘導ボビン3の回転速度をゲイン倍し、ゲイン倍された回転速度(rpm)を周波数{Fb(Hz);例えば1800rpm→300Hz}に変換する周波数変換部51を備えている。
この周波数変換部51において回転数をゲイン倍できるようにしているのは、上述したPG10の出力パルスレートや上記ボビン2および3間に生じる機械的ゲインが機器や部材の変更により変化した場合であっても、その変更に応じて上記ゲインを変化させることにより、正確な回転数を容易に検出可能にするためである。
さらに、INV21は、加減速部50により加減速時定数が設定された指令周波数Finと周波数変換部51を介してフィードバックされてきた誘導ボビン3の回転周波数Fbとの偏差ΔFを求め、この偏差ΔFが常に0になるようにモータM11へ供給する周波数Fout{すなわち、周波数Foutの駆動信号(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号)}を制御してモータM11の回転速度(巻取りボビン2の回転速度)を制御する速度制御部52を備えている。
本実施の形態において、速度制御部52は、偏差ΔFを0にするフィードバック制御として、PI制御を行っている。
すなわち、速度制御部52は、図2に示すように、指令周波数Finからフィードバック周波数Fbを減算してその偏差ΔFを求める減算部52a1と、この減算部52a1により得られた偏差ΔFに所定の比例ゲインPを掛けた値P*ΔFを比例出力Poutとする機能、および偏差ΔFに所定の積分ゲインIを掛けた値I*ΔFを例えばINV21のメモリに保持して時間的に積算し、この積算値を積分出力Ioutとし、上記比例出力Poutおよび積分出力Ioutを加算して制御出力(周波数出力Fout)とする機能を有するPI制御部(PI)52a2とを備えている。
ここで、図3は、INV21の例えばメモリに予め記憶されたPI制御部52a2の比例ゲインPおよび積分ゲインIの設定値を書き換え可能に保持するゲイン設定テーブルTを示す図である。
図3に示すように、ゲイン設定テーブルTにおいて、比例ゲインPおよび積分ゲインIは、周波数偏差ΔFの極性(ΔF→正「+」、あるいはΔF→負「−」)に応じてその値が予め設定されている。
例えば、ゲイン設定例1として、周波数偏差ΔFの極性が正「+」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIをそれぞれ「0」とし、周波数偏差ΔFの極性が負「−」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIをそれぞれ「1」としている。
また、他のゲイン設定例2として、周波数偏差ΔFの極性が負「−」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIをそれぞれ「1」とし、周波数偏差ΔFの極性が正「+」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIを、上記ゲイン「1」よりも小さい値である例えば「1/2」にそれぞれ設定している。
なお、他のINV22のハードウェア構成および機能ブロック構成についても、INV21と同等であるため、その説明は省略する。
次に、本実施形態に係わる巻取り装置1による巻取りボビン2および交換ボビン4の回転速度(周波数)制御における全体動作について説明する。
図4は、巻取りボビン2に対応するINV21のモータM11に供給する周波数の時間特性(図中C1)およびコントローラ42からの制御信号のタイムチャートを互いに対応付けて示す図である。
さらに、図4は、交換ボビン4に対応するINV22のモータM12に供給する周波数の時間特性(図中C2)およびコントローラ42からの制御信号のタイムチャートを互いに対応付けて示す図である。
なお、図4中、上段がINV21の周波数−時間特性C1およびINV21に対するコントローラ42からの制御信号のタイムチャートを示しており、下段がINV22の周波数−時間特性C2およびINV22に対するコントローラ42からの制御信号のタイムチャートを示している。
最初に、糸条S1〜S5を巻き取るために巻取り位置に糸掛け前の巻取りボビン2が配置された状態(初期時、あるいは再交換時、誘導ボビン3は巻取りボビン2から離間している:時間t=t0)において、コントローラ42は、制御端子および入力端子IT1を介してINV21に対して、運転指令(指令周波数)FRを送信する。そして、コントローラ42は、制御端子および入力端子IT2を介してINV21に対して制御切換信号(ONパルス)VFPIDを送信する(図5;ステップS1)。なお、入力端子IT3および入力端子IT4に対する信号はOFF状態である。
このとき、INV21は、送信されてきた運転指令FRに対応する指令周波数Finおよび制御切換信号VFPIDに応じて、オープンループのV/Fout一定制御、すなわち、モータM11に供給する電圧Vおよび周波数Foutの比V/Foutを一定にする制御を、PG10により検出された誘導ボビン3の回転速度を無視して強制的に行う(ステップS2)。
すなわち、INV21は、制御切換信号VFPIDがON状態においては、図6および図7に示すように、フィードバックされた誘導ボビン3の回転速度に対応する回転周波数Fbを無視して周波数偏差ΔFを強制的に0(ΔF=0)に設定し(ステップS2a1)、積分出力Ioutを上記フィードバックされた回転周波数Fbを無視して強制的に指令周波数Fin(Iout=Fin)に設定する(ステップS2a2)。
指令周波数Finとフィードバック周波数Fbの偏差ΔFがフィードバック周波数Fbの値に関係なく常に0であるため、図6および図7に示すように、比例出力Pout(P*ΔF)も0となる。
この結果、制御切換信号VFPIDがONの期間(t0〜t4)においては、誘導ボビン3の速度検出が無視されて、上記積分出力Ioutに基づく指令周波数Finに追従した加速時定数(t0〜t2)に基づくV/Fout一定の加速制御が実行され、巻取りボビン2は、INV21によるV/Fout一定制御によりV/Foutパターンの最大周波数である300Hzまで加速される。
一方、上記巻取りボビン2のV/Fout一定の加速制御中において、コントローラ42は、交換ボビン4に対応するINV22に対してメモリクリア信号MCLを制御端子および入力端子IT4を介して送信し、INV22のメモリをクリアする(図4:t1〜t2参照)。
上記V/Fout一定制御による巻取りボビン2の加速制御時において、巻取りボビン2が高速領域の300Hzに到達すると、この巻取りボビン2の高速回転状態において、図示しない支持機構の糸掛け部により自動的に糸条S1〜S5が巻取りボビン2の対応する各ボビンそれぞれに対して糸掛けが行われ、糸掛け終了時において誘導ボビン3が移動して巻取りボビン2に対して当接し、糸条S1〜S5の巻取りが開始される。
なお、糸掛け終了時(時間t=t3)において、コントローラ42は、巻取りの線速度一定制御に備え、時間t=t3〜t4の間、INV21からの出力周波数Foutを若干(約30Hz程度)低下させて約270Hzに設定する(ステップS3)。これは上記巻取りボビン取り付け(交換)後の最初の巻取り時において、若干早めの回転速度で糸条を巻き取ることにより、巻きむらを防止するためである。
次いで、コントローラ42は、時間t=t4において制御切換信号VFPIDをONからOFFに切換える(ステップS4)。
このとき、INV21は、制御切換信号VFPIDのONからOFFへの切換に応じて、上述した周波数偏差強制制御および積分出力Iout強制制御をそれぞれ中止し、通常のPI制御、すなわり、線速度一定制御を行う(ステップS5)。
すなわち、INV21は、減算部52a1により指令周波数Finから現在の誘導ボビン3の回転速度に対応するフィードバック周波数Fbを減算してその偏差ΔFを求め、PI制御部52a2により、求めた偏差ΔFに所定の比例ゲインPを掛けた値P*ΔFを指令周波数Finに加算して比例出力Poutを求める。
そして、INV21は、PI制御部52a2により、偏差ΔFに所定の積分ゲインIを掛けた値I*ΔFをメモリに蓄積された積算値に積算して積分出力Ioutを求める(図7参照、なお、図7においては、Δ偏差Fを極性が負の一定の値とした場合について図示した)。
このとき、本実施形態では、積分出力Iout強制制御により、積分値として指令周波数Finがメモリに保存されているため、PI制御が開始された段階で、現在の積分値(指令周波数Fin)から継続して積分が行われる。
このようにして、PI制御により誘導ボビン3の回転速度、すなわち、糸条S1〜S5の線速度が略一定に維持された状態で、巻取りボビン2により糸条S1〜S5が巻き取られる。
ここで、図4に示すように、巻取りボビン2に対する糸条S1〜S5の巻取りが進むと、巻取りボビン2の外径が膨らんでいくため、この巻取りボビン2の外径の増大に伴う線速度上昇に起因してフィードバック制御によりフィードバックされる周波数Fbは指令周波数Finよりも大きくなること、すなわち、周波数偏差ΔFの極性が負(−)になることが予想される。
この点、本実施形態においては、上記周波数偏差ΔFの極性が負(−)に偏ることを考慮して、予め周波数偏差ΔFの極性(ΔF→+、あるいはΔF→−)に応じて、例えばゲイン設定例1として、周波数偏差ΔFの極性が「+」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIをそれぞれ「0」とし、周波数偏差ΔFの極性が「−」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIをそれぞれ「1」としている。
このため、PI制御の補正量は、周波数偏差ΔFの極性が負「−」側のみとなっており、PI制御の出力結果である出力周波数Foutは負側(指令周波数値Foutを下げる方向)のみの変動となっている。
なお、ゲイン設定例2として、周波数偏差ΔFの極性が負「−」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIをそれぞれ「1」とし、周波数偏差ΔFの極性が正「+」の場合、比例ゲインPおよび積分ゲインIを、上記ゲイン「1」よりも小さい値である「1/2」にそれぞれ設定した場合であっても、PI制御の出力結果である出力周波数Foutの正側への変動は、負側に対する変動の約1/2となり、大幅に抑制されている。
上述した周波数偏差ΔFの極性が負「−」において大きな比例ゲインPおよび積分ゲインIを用いたPI制御により、INV21からの出力周波数Fout、すなわち、モータM11の回転速度は、巻取りが進むにつれて減速制御されている(図4;時間t=t4〜t5参照)。
ここで、巻取りボビン2により巻き取られた糸条S1〜S5の量が、そのボビン2の満巻状態に対して所定比率(例えば70%)に到達したとき(例えば、時間t=t5)、満巻センサ35は、満巻前パルスP1をコントローラ42に送信し、コントローラ42は、送信されてきた満巻前パルスP1を受信する。
コントローラ42は、受信した満巻前パルスP1に応じて、上述したステップS1と同様に、運転指令FRとして指令周波数FRを送信するとともに、制御切換信号VFPIDをONにする(ステップS6)。
このとき、INV22は、INV21のステップS2と同様の処理を実行することにより、オープンループのV/Fout一定制御、すなわち、モータM12に供給する電圧Vおよび周波数Foutの比V/Foutを一定にする制御を、PG10により検出された誘導ボビン3の回転速度を無視して強制的に行う(ステップS7)。
この後、時間t=t5〜t6において巻取りボビン2の糸条S1〜S5の巻取りが進み、巻取りボビン2が満巻状態に到達すると(時間t=t6、このときのINV21からの出力周波数を30Hzとする)、INV22の出力周波数Foutは定常状態(300Hz)に到達している。
このとき、コントローラ42は、巻取りボビン2の満巻状態を検出した満巻センサ35からの満巻パルスP2に応じて、ボビンの交換動作に備えて交換時の巻取りボビン2の巻きたるみを防止するため、時間t=t6〜t7の間、INV21からの出力周波数Foutを若干(約5Hz程度)上昇させて約35Hzに設定する(ステップS8)。
一方、上記時間t=t6〜t7の間において、支持機構5の動作により、巻取りボビン2が巻取り位置から待機位置に移動し、交換ボビン4が待機位置から巻取り位置に移動し、糸掛け処理が行われる。
ボビンの交換終了後(時間t=t7)、コントローラ42は、交換後の巻取りボビン2に対する速度フィードバック制御を終了するために、PI制御から制御を切換えるための制御切換信号PIDLCK(ON信号)を制御端子および入力端子IT3を介してINV21に対して送信する(ステップS9)。
このとき、INV21は、送信されてきた制御切換信号PIDLCKに応じて、モータM11に対する出力周波数Foutを強制的にロックして、モータM11に供給する電圧Vおよび周波数Foutの比V/Foutを一定にする制御を、PG10により検出された誘導ボビン3の回転速度を無視して強制的に行う(ステップS10)。
すなわち、INV21は、制御切換信号PIDLCKがON状態においては、図6および図7に示すように、フィードバックされた誘導ボビン3の回転速度に対応する回転周波数Fbを無視して周波数偏差ΔFを強制的に0(ΔF=0)に設定し(ステップS10a1)、積分出力Ioutを上記フィードバックされた回転周波数Fbを無視して強制的に指令周波数Finのα倍(Iout=αFin)に設定する(ステップS10a2)。
以下、ステップS10a2による積分出力Ioutの設定について説明する。
この係数αは、制御切換信号PIDLCKがON時(時間t=t7)における積分値(積算値)Iaと指令周波数Finとの比(α=Ia/Fin)として定義される。
すなわち、係数αは、制御切換信号PIDLCKがOFFからONに切り換った時点での積分値(積算値)Iaと上記切換時点での指令周波数Finとの比率である。
通常、制御切換信号PIDLCKがOFFからONに切り換った状態では、PI制御により速度制御が安定的に行われているため、周波数偏差ΔFは、ほぼ0の状態である。
したがって、指令周波数Finは、巻取り開始時の高速周波数(270Hz)として一定であり、満巻状態における巻取りボビン2の回転周波数(30Hz)の巻き太り(外径増大)に対する補正分の周波数(270Hz−30Hz=240Hz)が積算値Iaとなって安定制御されている。
この点、上記安定状態(積算値Ia=240Hzとして安定制御されている状態)において、出力周波数Foutをロックし、かつ指令周波数Finの減少とともに停止動作を行うために、ステップS2a2で述べたように、積分出力Ioutを強制的に指令周波数Fin(Iout=Fin)に設定することも考えられる。
しかしながら、巻取り時間が終了近くまで経過した状態では、積分値Ioutを一気に高速の指令周波数Finにすると周波数は一気に上昇するため、周波数出力が不安定となってしまう。
そこで、これまで巻取りボビン2の巻き太り補正を行い積算された積算値Ia(=240Hz)と制御信号PIDLCKがONに立ち上がった時点(t=t7)での指令周波数Finの比α(=Ia/Fin)を指令周波数Finに掛けることにより、積分出力Ioutを(α×Fin=Ia)、すなわち、制御切換信号PIDLCKがONに立ち上がった時点(t=t7)での積算値Ia(=240Hz)に設定し、その積分出力Ioutにより出力周波数Foutをロックする。
なお、制御切換信号PIDLCK信号のONエッジ1回目だけで係数αを演算するのは、ロック状態で、Finが変化した場合に、その状態と連動して積算値を変化させ、最終的に停止させるためである。毎回αを演算すると指令周波数Finが減少しても積算値は変化しなくなり、停止できなくなってしまうからである。
すなわち、INV21からの出力周波数Foutを、指令周波数Finの関数である積分出力Iout(α×Fin)に設定する。
このようにして、INV21による切換制御により巻取りボビン2の速度制御がPI制御からV/Fout一定の減速制御に切り換った時(時間t=t7)、コントローラ42は、巻取りボビン2の場合と同様に、時間t=t7〜t8の間、INV22からの出力周波数Foutを若干(約30Hz程度)低下させて約270Hzに設定し(ステップS11)、次いで時間t=t8において制御切換信号VFPIDをONからOFFに切換える(ステップS12)。
この結果、INV22は、制御切換信号VFPIDのONへの切換に応じて、上述した周波数偏差強制制御および積分出力Iout強制制御をそれぞれ中止し、通常のPI制御、すなわり、線速度一定制御を行う(ステップS13(ステップS5参照))。
この結果、巻取りボビン2と同様に、糸条S1〜S5が一定の線速度で交換ボビン4に巻き取られる。
一方、時間t=t9において、INV21は、運転指令FRがOFFとなった際に、対応する指令周波数Finの減速時定数(t9〜t10)に基づくV/Fout一定の減速制御を実行し(ステップS14)、この結果、巻取りボビン2は、INV21によるV/Fout一定制御により減速制御され、設定した減速時定数に応じた時間で停止(0Hz)する。
この後、巻取りボビン2は空ボビンに交換され、待機位置の交換ボビン(図1における交換ボビン4)として次の巻取りに備える。
以下、上述した図4に示すタイムチャートおよびステップS1〜ステップS13までの処理を、巻取りボビン2を交換ボビン4、INV21をINV22、交換ボビン4を巻取りボビン2およびINV22をINV21として繰り返し実行することにより、ボビン交換を、繰り返し高速かつ自動的に実行することができる。
以上述べたように、本実施形態によれば、例えば巻取りボビン2の糸掛け前等のオープンループのV/Fout一定制御時において、誘導ボビン3の回転速度に対応する回転周波数Fbを無視して周波数偏差ΔFを強制的に0(ΔF=0)に設定し、積分出力Ioutを上記フィードバックされた回転周波数Fbを無視して強制的に指令周波数Fin(Iout=Fin)に設定している。
このため、上記V/Fout一定制御からフィードバックループによる通常のPI制御、すなわち、線速度一定制御に切換えた際に、PI制御が開始された段階で、現在の積分値(指令周波数Fin)から継続して積分を行うことができる。
そして、上記制御切換時には、指令周波数Finとフィードバック周波数Fbとは略等しくなっていることから、急激な周波数偏差ΔFは生じない。
したがって、V/Fout一定制御からPI制御(線速度一定制御)に切換えた場合でも出力周波数Foutを安定させることができる。
さらに、本実施形態では、ボビンの交換終了後において、交換後の巻取りボビン2に対する速度制御をPI制御からV/Fout一定制御に切換える際に、フィードバックされた誘導ボビン3の回転周波数Fbを無視して周波数偏差ΔFを強制的に0(ΔF=0)に設定し、積分出力Ioutを上記フィードバックされた回転周波数Fbを無視して強制的に指令周波数Finのα(α:制御切換信号PIDLCKがOFFからONに切り換った時点での積分値(積算値)Iaと上記切換時点での指令周波数Finとの比率)に設定している。
すなわち、制御切換信号PIDLCKがONに立ち上がった時点での周波数出力Foutを、その時点での巻き太り補正量に対応する積算値Ia(=240Hz)にロックすることができる。
このため、PI制御からV/Fout一定の速度減速制御に切換えた場合でも、周波数変化を生じさせることなく周波数出力Foutを安定させることができる。
さらに、本実施形態によれば、PI制御時において、そのPI制御の出力結果である出力周波数Foutの変動を、負側(指令周波数値Foutを下げる方向)一方のみに抑制するか、あるいは正側の変動量を負側よりも大幅に抑制することができる。
すなわち、PID制御は、フィードバック値(周波数Fb)が指令値(周波数Fin)に追従するように常に偏差ΔFを0にする制御であるため、常時PID演算が行われることにより、その結果である出力(出力周波数Fout)は常に小さな範囲で上下(正側および負側に変動)しながら、徐々に減少して行く動作となり、微小なハンチング動作を生じる恐れがある。
しかしながら、本実施形態によれば、上述したように、PI制御において、出力周波数Foutの変動を、負側(指令周波数値Foutを下げる方向)一方のみに抑制するか、あるいは正側の変動量を負側よりも大幅に抑制することができるため、PI制御に起因したハンチング動作の発生を回避して出力周波数Foutの安定性をさらに向上させることができる。
なお、本実施形態においては、速度制御部52の機能として、PI制御を実行することにより、線速度一定制御を実現したが、本発明はこの構成に限定されるものではない。
すなわち、本実施形態における巻取りボビン2の回転速度に対応する周波数Fの時間軸上の減少曲線(時間毎の減少量(傾き)をΔftとする)を基本周波数変動データ(計算式/テーブル)FDとしてINV21Aのメモリに予め保持しておく。
そして、図8のPI制御部52a2aとして、所定の時間における出力周波数Foutから所定の時間に対応する減少量Δftを減算した値を出力周波数Foutとし、この出力周波数Foutと実際の周波数Fbとの偏差ΔF分だけPI制御により補償することにより、PI制御の偏差制御量を減少させて上述した出力周波数Foutの上下変動に伴うハンチング等の発生を回避することができる。
このPIの補正はあくまでも周波数(線速度)フィードバック値の補正であり、伸線機等のダンサー位置フィードバックによる張力フィードバックとは異なる。
なお、図9に示すように、巻取りボビン2の回転速度に対応する周波数減少カーブと正確に一致した指令周波数Finの減少カーブを用意しておくことにより、PI制御を用いることなく出力周波数制御を行うことができ、PI制御に伴う周波数上下変動に起因したハンチングの発生を完全に防止して線速度一定制御をさらに安定して行うことも可能である。
上述した実施の形態および変形例において、INV21,22および21Aへの周波数指令は、上位コンピュータからの通信や、INV21,22および21Aの多段速指令をスイッチ等で切換えることにより行っても良い。
また、上述した実施の形態および変形例において、ボビンの切換えは2つのボビンとは限らず、複数のボビンを同時切換える際においても同一の制御により実現可能である。
さらに、糸条の速度検出はPGセンサに限らず、TG(タコジェネレータ)等のアナログ量出力のセンサを用いることも可能である。
上述した実施の形態および変形例において、各INV21、22および21Aは、PI制御部52a2および52a2aによりフィードバック制御としてPI制御を行なっているが、本発明はこの構成に限定されるものではなく、微分(Differential)制御を加えたPID制御を行なうようにしても良い。このPID制御を行なう場合において、微分制御における微分ゲインDは、比例制御におけるPと同様に、周波数偏差ΔFの極性が正「+」の場合、微分ゲインDを「0」とし、周波数偏差ΔFの極性が負「−」の場合、微分ゲインDを「1」とするか、あるいは他のゲイン設定例2として、周波数偏差ΔFの極性が負「−」の場合、微分ゲインDを「1」とし、周波数偏差ΔFの極性が正「+」の場合、微分ゲインDを、上記ゲイン「1」よりも小さい値である例えば「1/2」に設定している。
このPID制御を行なう場合においても、PID制御の補正量を、周波数偏差ΔFの極性が負「−」側のみ、すなわち、PID制御の出力結果である出力周波数Foutを負側のみの変動とすることができ、PID制御に起因したハンチング動作の発生を回避して出力周波数Foutの安定性をさらに向上させることができる。
そして、上述した実施の形態および変形例においては、巻取り装置1を紡績業における源糸(糸条)の巻取りに用いたが、上記紡績業に限らず、線状部材を巻き取る必要性がある分野であれば、何れの分野においても適用可能である。
本発明は、上述した実施の形態および変形例に限定されるものではなく、本発明に属する範囲内において、上記実施の形態および変形例を様々に変形して実施することが可能である。
本発明の実施の形態に係る巻取り装置高速紡績巻取り装置の概略構成を示すブロック図。 図1に示すインバータ(INV)の機能ブロック構成およびPGを介したモータMのフィードバック制御構成を示す図。 図1に示すインバータ(INV)の例えばメモリに予め記憶されたPI制御部の比例ゲインPおよび積分ゲインIの設定値を書き換え可能に保持するゲイン設定テーブルを示す図。 図1に示す巻取りボビンに対応するINVのモータに供給する周波数の時間特性およびコントローラからの制御信号のタイムチャートを互いに対応付けて示すとともに、交換ボビンに対応するINVのモータに供給する周波数の時間特性およびコントローラからの制御信号のタイムチャートを互いに対応付けて示す図。 図1に示すコントローラおよびインバータの処理の一例を示す概略フローチャート。 図1に示す巻取りボビンに対応するインバータの処理を説明するための機能ブロック図。 図1に示す巻取りボビンに対応するINVのモータに供給する周波数の時間特性およびコントローラからの制御信号のタイムチャートに加えて、INVのPI制御部から出力される比例出力Poutおよび積分出力Ioutの時間特性を示す図。 本実施形態の変形例に係る図1に示す巻取りボビンに対応するインバータの処理を説明するための機能ブロック図。 本実施形態の他の変形例に係る図1に示す巻取りボビンに対応するインバータの処理を説明するための機能ブロック図。
符号の説明
1…巻取り装置
2…巻取りボビン
3…誘導ボビン
4…交換ボビン
5…支持機構
10…PG
21,21A…インバータ(INV)
22…インバータ(INV)
35…満巻センサ
42…コントローラ
50…加減速部
51…周波数変換部
52…速度制御部
52a1…減算部
52a2、52a2a…PI制御部

Claims (6)

  1. 順次供給される糸条を、複数の巻取りボビンを巻取り位置および待機位置間において切り換えながら該巻取り位置の巻取りボビンの回転により巻き取る際に、前記巻取り位置の巻取りボビンの回転速度の指令値に対応する指令周波数と前記糸条の線速度に対応してフィードバックされる速度値に対応するフィードバック周波数との偏差を比例積分する比例積分制御により前記糸条の線速度一定制御を行う巻取りボビン回転速度制御方法であって、
    前記巻取り位置に糸掛け前の前記巻取りボビンが配置された状態において前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を前記指令周波数に強制的に設定し、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の加速時定数に基づいて前記指令周波数の上昇により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の加速制御を行ない、
    前記巻取りボビンの加速制御時において前記巻取りボビンが所定の周波数に達したとき糸掛け部により前記糸条が前記巻取りボビンに糸掛けされ、糸掛け終了時に前記糸条の巻取りを開始し、
    前記加速制御から前記線速度一定制御に切り替えた際に、前記線速度一定制御の前記比例積分制御が開始された時点で、前記加速制御の前記積分出力に基づく前記指令周波数から継続して積分を行うことを特徴とする巻取りボビンの回転速度制御方法。
  2. 前記加速時定数に基づいて前記巻取りボビンの加速制御を終了し、その終了タイミングに応じて、前記偏差、所定の比例ゲインおよび所定の積分ゲインを用いて前記偏差を0にする比例積分制御を実行し、前記比例積分制御実行時における前記比例ゲインおよび積分ゲインを、前記偏差の極性に応じて変化させることを特徴とする請求項記載の巻取りボビンの回転速度制御方法。
  3. 前記巻取りボビンの回転速度に対応する周波数を時間的に変動させるための周波数変動データを用意し、
    前記加速時定数に基づいて前記巻取りボビンの加速制御を終了し、その終了タイミングに応じて、前記巻取りボビンの回転速度に対応する周波数を前記周波数変動データにより設定し、設定した周波数とフィードバックされた周波数との偏差、所定の比例ゲインおよび所定の積分ゲインを用いて前記偏差を0にする比例積分制御を実行することを特徴とする請求項記載の巻取りボビンの回転速度制御方法。
  4. 記巻取り位置の巻取りボビンが満巻き状態になったことを検出し、その検出タイミングに応じて、前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を、前記検出タイミング時での積分値と前記検出タイミング時での前記指令周波数との比を前記指令周波数に乗算して得られた値に設定し、設定された値に前記検出タイミング時での出力周波数をロックし、前記線速度一定制御から、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の減速時定数に基づいて前記指令周波数の下降により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の減速制御に切り替えることを特徴とする請求項1記載の巻取りボビンの回転速度制御方法。
  5. 順次供給される糸条を、複数の巻取りボビンを巻取り位置および待機位置間において切り換えながら該巻取り位置の巻取りボビンの回転により巻き取る際に、前記巻取り位置の巻取りボビンの回転速度の指令値に対応する指令周波数と前記糸条の線速度に対応してフィードバックされる速度値に対応するフィードバック周波数との偏差を比例積分する比例積分制御により前記糸条の線速度一定制御を行うインバータであって、
    前記巻取り位置に糸掛け前の前記巻取りボビンが配置された状態において前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を前記指令周波数に強制的に設定し、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の加速時定数に基づいて前記指令周波数の上昇により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の加速制御を行ない、前記巻取りボビンの加速制御時において前記巻取りボビンが所定の周波数に達したとき糸掛け部により前記糸条が前記巻取りボビンに糸掛けされ、糸掛け終了時に前記糸条の巻取りを開始し、前記加速制御から前記線速度一定制御に切り替えた際に、前記線速度一定制御の前記比例積分制御が開始された時点で、前記加速制御の前記積分出力に基づく前記指令周波数から継続して積分を行う制御手段を備えたことを特徴とするインバータ。
  6. 前記制御手段は、前記巻取り位置の巻取りボビンが満巻き状態になった時、その満巻き時のタイミングに応じて、前記指令周波数と前記フィードバック周波数との偏差に係わらず、該偏差を0に設定し、該偏差を比例積分した積分出力を、前記検出タイミング時での積分値と前記検出タイミング時での前記指令周波数との比を前記指令周波数に乗算して得られた値に設定し、設定された値に前記検出タイミング時での出力周波数をロックし、前記線速度一定制御から、前記積分出力に基づく前記指令周波数に追従した所定の減速時定数に基づいて前記指令周波数の下降により前記巻取りボビンを回転させるモータに供給する電圧と周波数との比が一定の減速制御に切り替えることを特徴とする請求項5記載のインバータ。
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