JP4075403B2 - GaAsウエハの研磨方法と研磨装置 - Google Patents

GaAsウエハの研磨方法と研磨装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、GaAsウエハの研磨方法と研磨装置に関する。半導体の単結晶インゴットを成長させこれを内周刃スライサーなどで薄い薄片に切断したものが半導体ウエハである。スライサーで切断したものはアズカットウエハと呼び切断刃の跡や変質層、加工歪みを伴う。そこでエッチングして変質層や歪みを除去する。さらにラッピングして厚さを整える。これは回転する上下定盤の間に幾つかのウエハ分の穴を有するプレートを置き、穴にウエハを入れて上下の定盤を相対運動させてウエハの表裏面を同時に削り、厚さを整えるものである。研磨とは違う。
【0002】
ウエハの縁が鋭利なままであると欠けたり割れたりする恐れがあるのでウエハの縁を丸く面取りする場合もある。それをチャンファとかベベリングと呼ぶ。凹面を有する回転砥石にウエハの周面を当てて周辺部を削って所望の形状に面取りする。また方位を示すオリエンテーションフラット(OF)をウエハの周囲に付けることもある。これは劈開面に付けることが多い。Siの場合はOFは一つで良いがGaAsの場合はOFは二つ必要である。
【0003】
【従来の技術】
ここでウエハの研磨というのはアズカットウエハの片面か両面かを研磨するということである。研磨したウエハは表面が平滑平坦で鏡のようであるからミラーウエハと呼ぶ。
【0004】
研磨には大きく分けて物理研磨と化学研磨がある。物理研磨というのは微小な粒子を含む研磨液を用いてウエハ表面を物理的に削るものである。化学研磨というのは化学薬品を用いて化学反応によってウエハ表面を腐食して平坦平滑にするものである。もちろん両者を併用する場合もある。
【0005】
半導体ウエハとして現在広く一般に用いられているのはSiウエハである。メモリ素子など大型のデバイスにすることが多いし生産性を上げる必要性が高いので10インチや12インチの大口径のSiウエハが用いられる。チョクラルスキー法などによって大口径のインゴットを製造できるから、これをスライスして薄片とし(アズカットウエハ)、上記の工程を経てミラーウエハとする。
【0006】
Siウエハの場合は堅牢であり剛性も充分高いのでコロイダルシリカなどの粒子を含む研磨液を用いて物理研磨することが多い。
【0007】
▲1▼特開2001−150332「研磨パッドおよび研磨方法」は研磨パッドに六角形の溝を設けて研磨液が流動し易い構造にしている。これは研磨布に溝のような開口部を設けているので挙げた。
【0008】
▲2▼特開平9−57608号「研磨パッド及びこれを用いた被表面処理加工物の研磨方法」は研磨液の流通を盛んにするため多数の貫通穴を穿った研磨布を多孔質シートに張り付けた研磨パッドによってウエハを研磨し研磨終了後は研磨布上に研磨液を供給しウエハを離した時に研磨布が膨れ研磨液を充分に吸い込むようにしている。これは研磨布に大きい開口部を設けて研磨液を充分に保有できるようにしているので挙げたものである。研磨終了後ウエハを持ち上げたとき研磨布が自由になって膨張する時に新しい研磨液を吸引するように工夫している。
【0009】
ウエハの研磨には段階の異なる二種類の研磨がある。一つは先程から説明しているようなアズカットウエハを平滑にしてミラーウエハとするものである。これは均一な単結晶を研磨するだけの初期段階の研磨である。
【0010】
もう一つはSiウエハだけのものであるが、Siウエハの上にデバイスを作製したあと凹凸を落とすために研磨するものである。平坦化技術の一環である。Siデバイスの場合、多層配線技術が用いられており上下方向に3層、4層というようにデバイスを積み上げる構造が取られる。その場合、下地のデバイスに凹凸があり、その上にさらにデバイスの配線やFETを載せるのは難しいので、下地のデバイスの絶縁膜などを薄く研磨して平坦化する。平坦化の為の研磨はCMP法(Chemical Mechanical Polishing)と呼ばれる。研磨の対象はSiではなく、Siの上に形成された層間絶縁膜や金属配線である。
【0011】
研磨布は発泡ポリウレタンで研磨液にはシリカ、アルミナなどの粒子が含まれる。絶縁膜が対象の場合、シリカ(SiO)を研磨粒子としKOHやNHOHを添加した研磨液が用いられる。金属配線が対象の場合アルミナを研磨粒子として過酸化水素を添加した研磨液が用いられる。
【0012】
物理作用と化学作用を併せて絶縁膜(SiO)や金属(Al配線など)を除去するからCMPというのである。これは1990年代になって始められた方法であり新しい技術である。だから平坦化のための研磨技術の改良は現在でも数多く提案されている。研磨に関する発明と言えば殆どがSiウエハの多層配線のための平坦化CMPに関するものである。
【0013】
▲3▼特開2000−190232「半導体ウエハ研磨用樹脂砥石、その製造方法、半導体ウエハの研磨方法、半導体素子および半導体装置」はCMPの研磨定盤の研磨布の構造について新規のものを提案している。その研磨布は、最大粒径が2μmである砥粒を18〜33容積%含み、気孔率が45〜55容積%で、曲げ弾性率が1000〜35000kgf/cmであり平均粒径が50μm以下の樹脂材料を18〜33容積%含むものである。CMPは本発明とは直接の関係はないが研磨条件を定義する参考になるので挙げておく。ここでは研磨布を定義するために気孔率、砥粒の比率、樹脂の比率、曲げ弾性率などで研磨布の特性を定義している。良好な研磨を行うため研磨布の選択は重要であるが研磨布のどのような特性が研磨の条件を決めるのかハッキリしない場合が多い。ここでは分かりやすいパラメータを用いて研磨布を定義している。
【0014】
本発明の研磨はSiのミラーウエハの為の研磨でない。またSiデバイスを多層配線構造とする平坦化技術としての研磨でもない。
【0015】
本発明はSiではなくてGaAsウエハの研磨技術に関する。それも平坦化の研磨でなく、アズカットウエハをミラーウエハにする初期的な研磨である。GaAsウエハの場合は多層配線、平坦化というところまで技術が進歩しておらず平坦化のための研磨という概念はいまだにない。
【0016】
Siウエハについで生産量の多いのはGaAsウエハである。CD読み取り用AlGaAsレーザの基板として用いられることが多い。直接遷移型の半導体であるから光関係では有用である。しかも単結晶基板を製造することができるので重要な半導体である。電子移動度の高速性を生かして電界効果トランジスタ(MES−FET)や、バイポーラトランジスタ(HBT)などを含むデバイスの基板とすることもある。
【0017】
GaAsはSiウエハに比べると、まだ需要は少ないが将来性のある魅力的な半導体である。単一の発光素子(LEDやLD)とする場合はチップサイズが小さいのでウエハも小さくて良い(2インチでもよい)が、集積回路の基板ということになればチップサイズも大きいものが要求される可能性がある。ウエハの直径も2インチ径から始まり、3インチ径のものが作られ、現在は4インチGaAsウエハ(10cm直径)が生産され始めている。
【0018】
同じように半導体といっても物理的化学的な物性が異なり、Siと同じような技術が使える場合は少なく、GaAs独自の技術が要求される事が多い。GaAsはSiよりも脆弱であって硬度が低く剛性も低い。そのような違いのため、GaAsウエハの研磨において、シリカ粒子を用いる物理研磨はふさわしくない。次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を用いた化学研磨が行われる事が多い。研磨布は例えばポリウレタン系の発泡した研磨布を用いる。研磨液は化学的にウエハ面を除去する作用と、ウエハと研磨布の接触を和らげる緩衝作用がある。
【0019】
そのように半導体ウエハ研磨にはいろいろな種類があるが研磨装置は似たような構成をもっている。半導体ウエハの研磨装置は、研磨布を張った大きい回転する研磨定盤と、研磨定盤に研磨液を供給する研磨液供給装置と、ウエハを保持する研磨ヘッドと、研磨ヘッドを回転自在に保持して研磨定盤へ押し付けるアームと、アームから回転力を与え研磨ヘッドを回転させる回転機構などよりなる。
【0020】
図1に研磨装置の概略を示す。図1(a)はウエハを研磨プレートに固着し研磨定盤の研磨布に当てているところを示し、図1(b)はウエハを研磨布から離隔させているところを示す。大きい水平の円板状の研磨定盤1は回転軸2に支持され回転軸2とともに回転する。研磨定盤1の上面には研磨布3が張り付けられている。研磨定盤1の上に研磨プレート5が設けられる。これは円板状の研磨プレート5とこれの上面中心に付いているヘッド軸6よりなる。研磨プレート5の下面にGaAsウエハ7が固定されている。GaAsウエハの固定はワックスによって研磨プレートに固着する方法と、真空チャックによって吸引し仮固定する方法がある。研磨定盤1は大きく公転し、研磨ヘッド4は偏心位置で自転する。自転と公転を併せてウエハの下面(表面)を研磨する。ウエハサイズが小さい場合はヘッドに複数枚(3枚〜4枚)のウエハを取り付けることもある。
【0021】
しかしウエハサイズが大きくなると一つのヘッドのプレートに1枚のウエハだけを貼り付けることもある。また研磨定盤の中心に、1枚ウエハを付けた研磨ヘッドを接触させることもある。その場合はヘッドを研磨定盤の中心に当て研磨定盤とヘッドの回転方向を反対向きにして研磨する。軸中心が常に一致しているとウエハの中心と周辺で研磨量が異なってくるのでヘッドを研磨定盤の直径方向に往復運動させ研磨量を均一にする。
【0022】
GaAs研磨には、反応力の旺盛な化学薬品を研磨液に用いるのでSiウエハの場合とは違った様々の問題が生ずる。研磨されたGaAsウエハ自体についていうと、研磨が終わるとすぐにウエハを研磨布から引き上げてウエハの下面(表面)に純水を吹き付けて研磨液を完全に除去する。研磨液の排除は早急にしなければならず、これが遅れると残留研磨液のためにウエハが腐食される。そのために折角綺麗に研磨した面にエッチピットが発生する。
【0023】
手動でヘッドを交換していた時分は、作業者が手早くヘッドを研磨定盤から引上げて水洗装置に漬けるということが行われている。どれほど速くヘッドを引き上げることができるか?ということでウエハの品質が左右されたものである。だから作業者は研磨ヘッドの引き上げの速さを競ったものである。手練の早業がウエハ研磨の仕上がりを決定したものである。しかし、それはあまりに作業者の熟練に依存するものであり老練な作業者でなければできない。作業者の手技に依存する研磨は大量生産の場合は向かないという欠点がある。
【0024】
▲4▼特開平7−201786号「化合物半導体基板の研磨方法と研磨装置」はGaAsウエハを張り付けた研磨ヘッドを研磨定盤から引き上げると同時に側方の水洗装置から水をウエハ面に噴射するような装置を提案している。これは本出願人になる発明である。手作業でなく自動的に研磨ヘッドを引き上げ、すぐに水を吹き付けるものである。すばやい水洗によって残留次亜塩素酸などの化学薬品を速やかに除去することができミラー面を得ることができるという。これは研磨布のことについては述べていない。
【0025】
しかしGaAsにおいて化学研磨をしたのち瞬時迅速に引き上げるというのは本出願人の固有の方法である。一般にそうだということではないようである。GaAsウエハを製造する会社は世界でも僅かしかないが、研磨後定盤やプレートの運動を停止してからプレートをゆっくりと持ち上げるようにしている会社もあるようである。それは研磨液自体が本出願人の場合と異なるのであろう。腐食性の少ない研磨液を用いる場合はそのような早業は必要としないわけである。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】
GaAsウエハについてはそのような急速洗浄によって腐食進行を防ぐことができるようになった。しかしまだいくつかの問題がある。
【0027】
一つは研磨布の寿命が短いということである。ウエハが2インチ径の場合はまだよかったのであるが、3インチ、4インチと口径が大きくなるに従って研磨布の寿命が短くなってきた。もちろん研磨布の種類によって寿命が大きく異なる。2インチGaAsウエハの場合、研磨布の寿命は最も良いもので1.5時間〜2.5時間程度であった。3インチウエハとなると研磨布寿命が1〜2時間程度に短縮された。4インチウエハであると寿命は最も良いものでも1時間未満というような有り様であった。
【0028】
GaAsウエハ1枚あたりの研磨時間は1〜2分程度であるが1時間未満というのでは困る。頻繁に研磨布を交換しなければならない。それに研磨布の種類によっては寿命が0時間というような信じられないものもある。たとえば一度研磨すると再び使えない。また1枚も研磨できないという情けない研磨布もある。これは研磨布が劣化したということではなくてウエハにスクラッチが出たら研磨布の寿命が来たと判断しているので初めからスクラッチが出れば寿命が0時間ということになる。研磨布の寿命の違いはどこに起因するのか未だ不明であった。
【0029】
曲げ弾性率や圧縮率などで研磨布を分類してもばらついてしまい、これらのパラメータと寿命との相関はよくわからない。
【0030】
もう一つの問題は、ウエハ自身の問題である。前記の自動洗浄の技術によって研磨直後のGaAsウエハの腐食の問題は回避できたが、もう一つの問題があることがわかってきた。それは研磨後のGaAsウエハにスクラッチが発生することがあるという事である。Siウエハに比べて硬度が低いのでGaAsの表面は傷付きやすいのである。スクラッチが発生したウエハはそのままでは出荷できない。だからスクラッチが生じないようにしなければならない。
【0031】
しかし何故研磨後GaAsにスクラッチが発生するのかという因果関係がよく分からない。研磨布のどのような特性がスクラッチ発生に影響するのか?まだ明確でない。研磨布は多孔質であり複雑な構造物であるからスクラッチ発生と関係あるのか、あるとすれば何が影響するのか?ということは簡単にはわからない。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明のGaAsウエハの研磨方法は、ウエハ研磨布として、開口部密度が40%〜60%であり、加工時密度比が61%〜80%であるものを用い、研磨プレートにアズカットGaAsを取り付け研磨定盤の研磨布に押し付け、研磨液を供給しながら研磨プレートと研磨定盤を回転させながらウエハを研磨し、さらに研磨定盤の回転、研磨プレートの回転を維持したまま研磨プレートを研磨定盤から離隔しその離反速度を15mm/s以上とする。
【0033】
研磨布の表面は多孔質であるが、微細な空洞壁が分岐せず底まで単一の空間が連続するというものが適している。そのような非分岐単一空洞の研磨布を用いてGaAs研磨するとスクラッチの発生を抑制することができる、ということを本発明者が見出した。それは簡単には表現できない特性である。
【0034】
そこで本発明者は、加工時密度比sと開口部密度qという新規なパラメータを用いて本発明の研磨布を定義することにした。図6に加工時密度比sの定義を示す。Tが無負荷(荷重がない自由状態)での研磨布の厚みとし、Tが荷重を掛けたときの厚みとする。加工時密度比sというのは、無荷重でのパッド(研磨布)の厚みTで加工荷重でのパッド(研磨布)厚みTを割った値として定義する。
【0035】
【数1】
Figure 0004075403
【0036】
これは1以下の値をとる。加工荷重によっても変わる値であるが、これをバフ(研磨布)の性質の表現として採用する。同じ加工荷重Wであれば空隙率が高い方がsは小さくなるはずである。しかし空隙率(多孔率)というのはどの方向の空隙でも同じものとして表現するからバフ(研磨布)先端部の急激な立ち上がりを表する値として必ずしも適切でない、ということに本発明者は気付いた。
【0037】
それで、これまで存在しなかったパラメータである加工時密度比sというものを考えた。これがスクラッチ発生、非発生を決める好適な値の一つであるということが分かって来た。これが61%〜80%であるような研磨布を選ぶ。後に述べるが、研磨布としては分岐がなくて上から底まで連続するノッペリした空洞(図3のY型)を持つものが良いようである。そのような非分岐の空洞を表現するのは難しいが、非分岐の空孔がたくさんあれば荷重によって歪み易いからsがかなり小さくなる。分岐の多い空孔(図2のX型)をたくさんもつ場合は研磨布が圧縮されにくいからsがかなり大きいものとなる。
【0038】
研磨布(バフ)は、ナップ層、マイクロレア層、ベース層からなる。このうち研磨液を含むことのできる空孔を備えるのはナップ層である。ここが最も柔軟である。加工時に圧縮されて歪むのもナップ層である。だから加工時密度比sというのはナップ層の研磨布全体厚みに占める厚みをも含む概念だということになる。単純に空孔率(気孔率)の逆数と同一視することはできない。より複雑で直感的には理解しにくい概念である。しかし測定が容易なパラメータであり研磨布の評価には実践的に有用である。
【0039】
もう一つ本発明が初めて研磨布を定義するために採用するパラメータは開口部密度qというものである。これも分かりにくい概念であるが、測定可能な値である。図4、図5によって説明する。図4はバフの一部平面に正方形EFGHを取った図である。正方形の寸法は幾らでも良いが測定時には一定の大きさに決めておく。正方形の対角線FH(長さをhとする)を想定する。対角線FH上にいくつもの空孔K、K、K、…、Kが存在する。それらの空孔の表面での対角線FHにそった直径をk、k、k、…、kとする。つまり対角線FHに沿った縦断面図(図5)においてn個の空孔の表面で開口部幅をk、k、k、…、kとする。そしてそれぞれの空孔の面積がπk 、πk 、πk 、…、πk だと考える。全空孔の面積はΣπk となる。平均の幅はΣk/nによって与えられる。対角線上に想定した帯状の領域(h×Σk/n)に面積Σπk の空孔があるのだから開口部密度qを
【0040】
【数2】
Figure 0004075403
【0041】
として定義する。これは開口部密度というが開口部がある表面(ナップ層表面)での樹脂(不織布)密度ということである。開口部面積が広いとqは小さくなり開口部面積が狭いとqは大きくなる。複雑な語義をもつので混同してはならない。これはナップ層の空孔が上から下まで単一であって分岐を持たない(図3のY型)ということと同一ではない。分岐をもつ空洞(図2のX型)が多いと個々の空孔の開口部の直径が狭くなり開口部密度qが大きくなる。本発明は好適なqの範囲を40%〜60%とするのである。
【0042】
GaAsウエハの研磨プレートへの固定方法は、ワックスによる接着方法であってもよい。これは余分な装置を必要としないし接着状態は安定している。しかしワックスを取ってからウエハを洗浄しなければならない。小さい口径のGaAsウエハに向いた方法である。また真空チャックによってGaAsウエハを吸引するようにしてもよい。その場合研磨プレートには真空吸引の溝や穴を設け真空装置が必要になる。真空チャックは平坦性に優れるし残渣を残さないから大きい口径のGaAsウエハに向いている。
【0043】
【発明の実施の形態】
GaAsウエハを研磨した後、ゆっくりと引き上げると柔らかいGaAsウエハの表面にスクラッチが発生する。だから手作業の場合は研磨終了後研磨プレートを手動作でできるだけ速く引き上げるようにしていた。それは回転を止めると研磨布の繊維が立ち上がって繊維の先端がウエハ面に接触してそれを叩くからである、ということにやっと気付いた。圧力を取り除いたとき研磨布の立ち上がりは意外速いものである。
【0044】
研磨中において研磨布の微細繊維は回転する定盤や研磨プレートによって流動する研磨液の圧力によって押されて寝ているのであるから、回転を止めウエハを持ち上げる時ウエハの離反速度よりも速いはずはないと思われるがそうでもないようである。研磨定盤と研磨ヘッドが回転している間は研磨布の繊維は研磨液の中に浮いており繊維とウエハ面の間には必ず研磨液が介在している。だから研磨中には研磨布の繊維先端がウエハ面に接触しない。研磨を終えてウエハを持ち上げると研磨布繊維の先端が研磨液から持ち上がり加速されてウエハの表面を殴打する。それによって柔らかいGaAsウエハの表面にスクラッチが発生するのである。
【0045】
定性的にはそのようであるが、同じ速さでウエハを引き上げているのに、研磨布によってスクラッチが入るものと入らないものがある。研磨布によってもスクラッチ発生の様子が大きく異なる。だからスクラッチ発生を防ぐにはできるだけ迅速にウエハを引き上げるということだけでなく研磨布の選択も重要であるということに気付いた。
【0046】
先述のように研磨布の種類によっては寿命が0時間というものもある。それはは研磨布が瞬時に劣化するということでは必ずしもない。ウエハにスクラッチが発生するようになると研磨布の寿命が尽きたというように定義しているから、もともとGaAsウエハを研磨するに不適であって初めからスクラッチを発生させるような研磨布は寿命が0時間だということになる。
【0047】
研磨布(研磨パッド)は発泡ポリウレタン樹脂や、不織布、不織布にウレタン樹脂を発泡させたもの、不織布にウレタン樹脂を含浸させたものなどがある。
【0048】
研磨布は、上から順に、多孔質のナップ層、マイクロレア層、ベース層からなる3層構造をもつ。ベース層は研磨定盤に接着される部分で一様で稠密な構造をもち500μm〜1000μm程度の厚い層である。マイクロレア層は稠密一様な層で開口部をもたない100μm〜200μm程度の薄い層である。ナップ層は複雑な形状の気孔をもつ部分で100μm〜400μm程度の厚みをもつ。ナップ層は研磨液を充分に含み研磨液の上にウエハが浮かぶようになるからバフ(研磨布の材料)が直接にウエハ面に接触しない。
【0049】
ナップ層とウエハスクラッチ、研磨布寿命の関係を詳しく調べてみると、最上層であるナップ層が研磨状況に強い影響を持ち研磨終了後のスクラッチの発生にも関連があるということがわかって来た。スクラッチを発生させないため、どのような材料、性質の研磨布が適しているのか、ということが少しづつ分かってきた。
【0050】
しかし、それを表現する適当なパラメータがない。樹脂だから比重、多孔率(空孔率)、曲げ弾性率、硬度、圧縮率などの定義しやすい既存の特性変数がある。しかしそれでは本発明でいう好適の研磨布を定義できない。
【0051】
図2、図3は研磨布の一部の拡大断面図である。最上部の気孔部分を持つのがナップ層Aである。その下の気孔部が無い部分をマイクロレア層Bという。これらは同じ材料である。ベース層Cは上層とは異なる材料、或いは同じ材料であり下地となる部分である。図2の研磨布のナップ層A(気孔部)は、分岐が多くて浅い空洞や深い空洞がある。空洞アは極浅く小さいものである。空洞イは深くて大きい容量をもつ。ウも浅い空洞である。エは中程度の深さを持つ。オ、キは浅く小さい空洞である。カ、クは深く大きい空洞である。途中で壁面が分岐するような構造になっており断面の顕微鏡写真ではナップ層が二段になっているようにも見える。
【0052】
このように分岐を多く含み浅い空洞をもつナップ層をもつ研磨布は寿命が短いし、スクラッチが発生しやすいということが経験的に分かってきた。これを仮にX型と呼ぶことにする。
【0053】
それに反して図3のような深い空洞がそろっているナップ層をもつ研磨布は寿命が長くてウエハスクラッチ発生も少ないようであった。図3において空洞サやセは広く深い空洞である。シ、ス、ソ、ナも深くて底部がマイクロレア層Bのごく近くにある。分岐のようなものが殆どないので空洞の底が深いのである。このような空洞は多くの研磨液を含むことができる。そのような研磨布をここではY型と呼ぶことにしよう。Y型の空洞が多い研磨布(パッド)はGaAsウエハにスクラッチを発生させる確率が低くて研磨布の寿命が長くなる傾向のあることが分かった。
【0054】
本発明はX型の研磨布を否定し、Y型の研磨布を採用する。顕微鏡によって断面を観察し時間を掛けてつぶさに比較すれば違いはだんだんと分かるのであるが、それはなかなか実行できないことである。研磨布を選ぶ基準としてはもっと分かりやすいものが欲しいものである。そこで前記の加工時密度比sと開口部密度qという二つのパラメータを考案した。二つのパラメータの組み合わせによって、Y型とX型を選別しようとするものである。
【0055】
しかしそれは1対1に対応するものではない。X型、Y型といっても空洞の配向形状寸法がまちまちであり空洞の分布も無秩序である。だから定量的なものを顕微鏡観察そのものから導き出すのは難しい。本発明者は上記の加工時密度比sと開口部密度qの二つの新規なパラメータを使って無秩序な混沌を比較的分かりやすく測定可能なものにしている。
【0056】
どうして図3のような非分岐型(Y型)の研磨布が良くて、図2のような分岐型(X型)が悪いのかというと、それは次のような事だろうと推測される。
【0057】
Y型のものは空孔率が同一でもたくさんの研磨液を空孔の中に含むことができる。より柔軟で変形の度合いが大きいから研磨定盤、研磨プレートを回転している時は研磨液の中に深く沈み込む。研磨終了時に研磨プレートを持ち上げると圧力がなくなり研磨液から研磨布の繊維(バフ)が水面上へ飛び出すが、より深く沈みこんでいるから浮かび上がるのに時間が余計にかかり、どうしても遅れがちになる。それでウエハの離隔速度に間に合わずウエハに追いつかずウエハを叩かないのであろう。そのためにウエハはスクラッチから免れる。
【0058】
X型のものは空孔率が同一でも研磨液を空孔の中に大量に含むことができない。より骨格が複雑で曲がりにくく形状的に硬くて変形の度合いが小さいから研磨定盤、研磨プレートを回転している時の研磨液の中への沈み込みが浅い。バフの先端繊維は水面のすぐ下にある。研磨終了時に研磨プレートを持ち上げると圧力がなくなり研磨布の繊維(バフ)が水面上へ飛び出すが浅く沈んでいたので、すぐにウエハに追いついてウエハを叩き擦りしてウエハ面にスクラッチを付けてしまう。
【0059】
【実施例】
種々の異なる研磨布(パッド)を研磨定盤に張り付けたものを用いて、GaAsウエハを研磨し、急速にヘッドを研磨定盤から離隔させウエハを水洗した。ウエハの表面を観察してウエハ表面にスクラッチが発生したかどうかを検査した。プレートの研磨定盤からの離反速度(離隔速度)v(mm/s)と研磨布の開口部密度(q)、加工時の密度比(s)を測定し、それとスクラッチ発生の相関を調べた。試料番号は1〜11まであり、その測定の結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
Figure 0004075403
【0061】
一つの研磨プレートに3枚〜4枚のGaAsウエハを張り付けて研磨する。1つの試料番号について、そのようなプレート十枚について試験をした。だからそれぞれの試料番号の試験ウエハの数は30枚〜40枚程度のサンプルを含む。スクラッチ発生率というのは複数の試験ウエハでの平均値である。
【0062】
離反速度vというのは定盤からウエハを離すときの線速度である。定盤法線に対して斜めに引き上げるときはその方向の速度vということである。急速に定盤からウエハを切り放す必要がある。そのため定盤の回転を止める事なく、研磨プレートの自転も止める事なくそのまま研磨プレートを定盤から持ち上げるようにする。つまり相対運動をそのまま維持しながら研磨プレートを持ち上げるのである。それは研磨布の微細な構造物が立ち上がってウエハの表面に傷を付けないようにするための工夫である。
【0063】
スクラッチ発生の%というのは1枚のウエハの内部で全面積のうちどの程度の面積にスクラッチが発生したか?ということを%で示したものである。5%というのは全面積の内の5%にスクラッチが見られるということである。そのような値をその試料番号の全サンプルについて平均した値が表1の結果となる。
【0064】
研磨布をパッドと表現することがある。この表でパッドとあるのは研磨布のことである。研磨布はウエハの研磨に重要な影響をもつ。ここでは開口部密度を共通のパラメータとして用いている。開口部密度というのは研磨布の上に正方形を想定しその対角線上の断面において、空洞部(開口部)と中実部の長さを計測し、空洞部が円形であるとして面積を計算し、中実部の面積を、中実部と空洞部の全面積で割った比の値として定義したものである。これについては既に説明した。個々の空洞部の形状は必ずしも真円でないが円と仮定するのである。開口部密度が高いと空洞が狭く少ないということで、開口部密度が低いと空洞が広く多いということである。
【0065】
加工時密度比というのは、無荷重でのパッド(研磨布)の厚みTによって加工荷重がかかったときのパッド厚みTを割った値を%で表示したものである。荷重に対して厚み減少量が多い場合この値が低くなるし、減少量が少ない場合はこの値が高くなる。つまり研磨布の空隙が小さいもの程密度比が高いということである。加工時密度比が低いものは反対に柔軟だということである。柔軟であるし研磨液をより多く含む事ができる。
【0066】
[試料1] 研磨したウエハはGaAsウエハである。以後も全て同じ寸法のGaAsウエハを研磨したものである。研磨布は一様な不織布である。開口部密度は上記の測定法では100%である。加工時密度比は95%である。これは空隙が少なくて研磨液をあまり含む事ができない研磨布を意味する。離反速度は20mm/sであった。これはかなり速い離隔速度である。研磨後のGaAsウエハの全面にスクラッチが発生した。これは研磨方法として不適であるということである。
【0067】
[試料2] 研磨布は開口部密度が60%のものである。加工時密度比は90%である。つまりウエハを押し付けたときに研磨布の厚みは10%にすぎず空隙部が少なく比較的硬い研磨布である。定盤やヘッドを回転させたままプレートごとウエハを持ち上げて研磨布から離反させた。離反速度vは20mm/sであった。ウエハ面内の全面積の80%にスクラッチが現れた。これも研磨方法としては不適だということである。試料1、2の結果から開口部密度は60%より少ない方が良いものだと推測される。
【0068】
[試料3] 開口部密度50%の研磨布を用いた。つまり表面に於ける空洞部が全体の約半分というものである。加工時密度比は60%である。空洞部が多いとプレートを置いて圧力をかけると研磨布はよけいに撓むが、空洞部の割合と加工部密度比の減少が必ずしも比例するわけではない。多孔質の研磨布であるが、ここの空洞の寸法や形状によって空洞部割合が同一でも加工時密度比が異なってくるからである。やはり回転定盤を回転させヘッドを回転させたままプレートを定盤の研磨布から引き上げた。その場合も離反速度は20mm/sとした。ウエハ面内の10%の面積にスクラッチが出現した。10%となると僅かなものであるが、それでもやはり研磨方法としては不可と言わざるをえない。
【0069】
[試料4] 開口部密度が50%で、加工時密度比が70%の研磨布を用いて研磨した。空洞部の容積が大きいのは試料3と同様である。加工時密度比が試料3よりも大きい。開口部密度と加工時密度比が一義的な関係にないから、そのようなことは可能である。この場合もGaAsウエハを研磨した後、回転定盤、プレートをそのまま回転させながら離反速度20mm/sでウエハを持ち上げた。そのウエハ面のスクラッチ発生率は0%であった。1枚のGaAsウエハの表面にスクラッチは一つもなかったということである。これは良好な研磨方法だということができる。
【0070】
[試料5] 開口部密度が50%で、加工時密度比が80%の研磨布をもつ回転定盤を使ってGaAsウエハの研磨をした。空洞部の容積は大きいが、加工時にあまり撓まないというような研磨布である。それによってGaAsウエハを研磨して、研磨後回転定盤を回転させたまま20mm/sの速度でウエハを研磨布から離した。そのGaAsウエハの表面のスクラッチ発生率は0%であった。1枚のウエハの全面に一つのスクラッチも存在しなかったということである。これも良好な研磨方法である。
【0071】
[試料6] 開口部密度が40%で、加工時密度比が50%の研磨布をもつ定盤を用いてGaAsウエハを研磨した。加工時密度比が低いので研磨プレートで抑えた時の沈み込みが深いということである。研磨終了後定盤を回転させたまま20mm/sの速度でウエハを研磨布から引き上げた。そのウエハには5%の面積にスクラッチが発生した。5%ものスクラッチがあるので、この研磨方法は不可である。
【0072】
[試料7] 開口部密度が40%で、加工時密度比が60%の研磨布を持つ定盤を用いてGaAsウエハを研磨した。加工時密度比が高いということはプレートで定盤を抑えた時の研磨布の沈み込みが小さいということである。そのような回転定盤に研磨プレートに張り付けたGaAsウエハを押し付けて研磨した。研磨終了後定盤、研磨プレートを回転させたままウエハを研磨布から離隔させた。離反速度は20mm/sである。そのウエハには1%の割合でスクラッチが入っていた。1%でもスクラッチが発生するようではその研磨方法はやはり不可である。加工時密度比がもっと高い方が良いのかもしれない。
【0073】
[試料8] 開口部密度が40%で、加工時密度比が70%の研磨布を張った回転定盤を用いてGaAsウエハを研磨した。前例より加工時密度比が10%高いものを使っている。つまり研磨時の沈み込みがより少ない研磨布だということである。この場合も研磨終了後プレートや定盤を回転させたまま20mm/sの相対運動でウエハを離反させた。このウエハはスクラッチの発生率が0%であった。平滑平坦なミラーウエハが得られた。良好な研磨方法だということである。
【0074】
[試料9] 開口部密度が50%で、加工時密度比が70%の研磨布を有する回転定盤によってGaAsウエハを研磨した。試料8と加工時密度比は同じであるが、開口部密度が10%高い。この回転定盤によってGaAsウエハを研磨して、定盤やプレートを回転させたまま10mm/sの速度でウエハを回転定盤から離反させた。つまり離反速度が他の試料の約半分であり、遅く引き離したということである。そのGaAsウエハはスクラッチの発生率が5%であった。スクラッチがあるので、そのような研磨方法はやはり不可である。その結果は離反速度が速くないといけないということを意味する。
【0075】
[試料10] 開口部密度が50%で、加工時密度比が70%の研磨布を張った回転定盤によってGaAsウエハを研磨した。開口部密度と加工時密度比は試料9と同一である。この回転定盤によってGaAsウエハを研磨した。定盤とウエハの回転を持続したままウエハを15mm/sの速度で離反させた。試料9と違うのは離反速度が5mm/sだけ速いということだけである。そのウエハの表面は平坦平滑なミラーウエハでありスクラッチは0%であった。良好な研磨方法である。
【0076】
[試料11] 開口部密度が50%で加工時密度比が70%の研磨布を持った回転定盤によってGaAsウエハを研磨した。開口部密度や加工時密度比は試料9、10と同一である。研磨終了後、定盤とヘッドの回転を持続したままウエハを20mm/sの速度で回転定盤から離反させた。そのウエハの表面にはスクラッチは全くなかった。良好な研磨方法である。試料9〜11を比較すると、離反速度が10mm/s以上速くないといけないということがわかる。さらに15mm/s以上であるのが望ましい。
【0077】
【発明の効果】
GaAsウエハの研磨は難しく従来の研磨布を使って研磨するとウエハの研磨面にスクラッチが入る事が多かった。ウエハにスクラッチが入るようでは研磨布として不適である。研磨布の寿命をスクラッチが入るかどうかによっても決めるとすると研磨布の寿命は短い(0分〜30分)ものであった。なかなか実用的に利用できる研磨布が見つからないし製造できないでいた。
【0078】
本発明は、研磨布として加工時密度比sが61〜80%、開口部密度qが40〜60%のものを使用し、研磨終了後GaAsウエハを15mm/s以上の高速で引き上げるので、研磨終了直後のバフ繊維の立ち上がりによってウエハの裏面を叩くということがない。そのためウエハの表面にスクラッチが入らない。本発明によって数時間の寿命を持つ研磨布が初めて得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 研磨定盤と研磨ヘッドとからなる研磨装置の概略正面図。図1(a)はウエハを研磨プレートに固着し研磨定盤の研磨布に当てているところを示し、図1(b)はウエハを研磨布から離隔させているところを示す。
【図2】 上面から底まで多様な分岐があって空間が入り組んでおり複雑な空間分布をもつ分岐空洞を多く含むX型のナップ層をもつ研磨布の一部拡大断面図。
【図3】 上面から底まで単一の空間が伸びている非分岐の空洞を多く含むY型のナップ層をもつ研磨布の一部拡大断面図。
【図4】 研磨布の上面の一部に正方形をとり対角線HFにそって空洞の数と直径を測定して、それを円だとみなして面積を求め非空洞部と全面積の比を開口部密度qとして定義するということを説明するための研磨布の一部平面図。
【図5】 研磨布の上面の一部に正方形をとり対角線HFにそって空洞の数と直径を測定して、それを円だとみなして面積を求め非空洞部と全面積の比を開口部密度qとして定義するということを説明するための研磨布の一部縦断面図。
【図6】 無負荷時の研磨布の厚みTによって、荷重負荷時の研磨布の厚みTを割る事によって加工時密度比sを定義するということを説明するための図。
【符号の説明】
1 研磨定盤
2 回転軸
3 研磨布(研磨パッド)
4 研磨ヘッド
5 研磨プレート
6 ヘッド軸
7 GaAsウエハ
A ナップ層
B マイクロレア層
C ベース層
ア〜ク 分岐型空孔(X型)
サ〜ナ 非分岐型空孔(Y型)

Claims (5)

  1. 表面に想定された線分が切る空孔の幅を直径とする円とみなして空孔面積を決め、線分に沿う部分での非空孔面積をその幅の面積で割った値として定義される開口部密度qと、無負荷での研磨布厚みTで荷重時での研磨布厚みTを割った値として定義される加工時密度比sを用いて、開口部密度が40%〜60%で加工時密度比が61%〜80%である研磨布(パッド)を張り付けた研磨定盤を用い、GaAsウエハを研磨プレートによって保持して研磨定盤の研磨パッドに押し付け、研磨用薬液を研磨パッド面に供給しながら、研磨プレートと研磨定盤を回転させてGaAsウエハの表面を研磨加工し、加工終了時に研磨定盤と研磨プレートの回転運動を維持したままウエハを研磨パッド面から15mm/s以上の速度で離反させる事を特徴とするGaAsウエハの研磨方法。
  2. 研磨パッドがウレタン発泡樹脂、不織布、不織布にウレタン樹脂を発泡させたもの、不織布にウレタン樹脂を含浸させたものの何れかであり、500μm〜1000μm厚みで研磨定盤に張り付けられる高密度のベース層と、その上にあり厚み100μm〜200μmの稠密で高密度のマイクロレア層と、その上にあって100μm〜400μm厚みで複数の空孔を含むナップ層からなり、ナップ層の空孔は上方開口から下底にいたるまで単一の空洞で途中で分岐を持たないものである事を特徴とする請求項1に記載のGaAsウエハの研磨方法。
  3. ウエハの研磨プレートへの保持方法がワックスによる貼り付けであることを特徴とする請求項1又は2に記載のGaAsウエハの研磨方法。
  4. ウエハの研磨プレートへの保持方法が真空吸着であることを特徴とする請求項1又は2に記載のGaAsウエハの研磨方法。
  5. 表面に想定された線分が切る空孔の幅を直径とする円とみなして空孔面積を決め、線分に沿う部分での非空孔面積をその幅の面積で割った値として定義される開口部密度qと、無負荷での研磨布厚みTで荷重時での研磨布厚みTを割った値として定義される加工時密度比sを用いて、開口部密度が40%〜60%で加工時密度比が61%〜80%である研磨布(パッド)を張り付けた回転する研磨定盤と、研磨定盤を支持し回転させる回転軸と、GaAsウエハを保持するために研磨定盤の上に設けられ回転する研磨プレートと、研磨プレートの上面に付けられ研磨プレートを回転させるヘッド軸と、ヘッド軸を昇降させるヘッド軸昇降装置と、研磨用薬液を研磨定盤に供給する研磨液供給装置とよりなり、研磨プレートに固着されたGaAsウエハを研磨定盤の研磨パッドに押し付け、研磨用薬液を研磨パッド面に供給しながら、研磨プレートと研磨定盤を回転させてGaAsウエハの表面を研磨加工し、ヘッド軸昇降装置は加工終了時に研磨定盤と研磨プレートの回転運動を維持したままウエハを研磨パッド面から15mm/s以上の速度で離反させるようにした事を特徴とするGaAsウエハの研磨装置。
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