JP2003243343A - GaAsウエハの研磨方法と研磨装置 - Google Patents

GaAsウエハの研磨方法と研磨装置

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JP2003243343A JP2002045582A JP2002045582A JP2003243343A JP 2003243343 A JP2003243343 A JP 2003243343A JP 2002045582 A JP2002045582 A JP 2002045582A JP 2002045582 A JP2002045582 A JP 2002045582A JP 2003243343 A JP2003243343 A JP 2003243343A
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  • Finish Polishing, Edge Sharpening, And Grinding By Specific Grinding Devices (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 GaAsウエハの研磨において、ウエハ面上
にスクラッチを発生させることなく研磨布寿命を長くす
る研磨方法及び研磨装置を提供すること。 【解決手段】 GaAsウエハ研磨布として、開口部密
度が40%〜60%であり、加工時密度比が61%〜8
0%である研磨布を用い、研磨プレートにアズカットG
aAsウエハを取り付け研磨定盤の研磨布に押し付け、
研磨液を供給しながら研磨プレートと研磨定盤を回転さ
せてGaAsウエハを研磨し、さらに研磨定盤の回転、
研磨プレートの回転を維持したまま研磨プレートを研磨
定盤からすばやく離隔し、その離反速度を15mm/s
以上とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、GaAsウエハ
の研磨方法と研磨装置に関する。半導体の単結晶インゴ
ットを成長させこれを内周刃スライサーなどで薄い薄片
に切断したものが半導体ウエハである。スライサーで切
断したものはアズカットウエハと呼び切断刃の跡や変質
層、加工歪みを伴う。そこでエッチングして変質層や歪
みを除去する。さらにラッピングして厚さを整える。こ
れは回転する上下定盤の間に幾つかのウエハ分の穴を有
するプレートを置き、穴にウエハを入れて上下の定盤を
相対運動させてウエハの表裏面を同時に削り、厚さを整
えるものである。研磨とは違う。
【0002】ウエハの縁が鋭利なままであると欠けたり
割れたりする恐れがあるのでウエハの縁を丸く面取りす
る場合もある。それをチャンファとかベベリングと呼
ぶ。凹面を有する回転砥石にウエハの周面を当てて周辺
部を削って所望の形状に面取りする。また方位を示すオ
リエンテーションフラット(OF)をウエハの周囲に付
けることもある。これは劈開面に付けることが多い。S
iの場合はOFは一つで良いがGaAsの場合はOFは
二つ必要である。
【0003】
【従来の技術】ここでウエハの研磨というのはアズカッ
トウエハの片面か両面かを研磨するということである。
研磨したウエハは表面が平滑平坦で鏡のようであるから
ミラーウエハと呼ぶ。
【0004】研磨には大きく分けて物理研磨と化学研磨
がある。物理研磨というのは微小な粒子を含む研磨液を
用いてウエハ表面を物理的に削るものである。化学研磨
というのは化学薬品を用いて化学反応によってウエハ表
面を腐食して平坦平滑にするものである。もちろん両者
を併用する場合もある。
【0005】半導体ウエハとして現在広く一般に用いら
れているのはSiウエハである。メモリ素子など大型の
デバイスにすることが多いし生産性を上げる必要性が高
いので10インチや12インチの大口径のSiウエハが
用いられる。チョクラルスキー法などによって大口径の
インゴットを製造できるから、これをスライスして薄片
とし(アズカットウエハ)、上記の工程を経てミラーウ
エハとする。
【0006】Siウエハの場合は堅牢であり剛性も充分
高いのでコロイダルシリカなどの粒子を含む研磨液を用
いて物理研磨することが多い。
【0007】特開2001−150332「研磨パッ
ドおよび研磨方法」は研磨パッドに六角形の溝を設けて
研磨液が流動し易い構造にしている。これは研磨布に溝
のような開口部を設けているので挙げた。
【0008】特開平9−57608号「研磨パッド及
びこれを用いた被表面処理加工物の研磨方法」は研磨液
の流通を盛んにするため多数の貫通穴を穿った研磨布を
多孔質シートに張り付けた研磨パッドによってウエハを
研磨し研磨終了後は研磨布上に研磨液を供給しウエハを
離した時に研磨布が膨れ研磨液を充分に吸い込むように
している。これは研磨布に大きい開口部を設けて研磨液
を充分に保有できるようにしているので挙げたものであ
る。研磨終了後ウエハを持ち上げたとき研磨布が自由に
なって膨張する時に新しい研磨液を吸引するように工夫
している。
【0009】ウエハの研磨には段階の異なる二種類の研
磨がある。一つは先程から説明しているようなアズカッ
トウエハを平滑にしてミラーウエハとするものである。
これは均一な単結晶を研磨するだけの初期段階の研磨で
ある。
【0010】もう一つはSiウエハだけのものである
が、Siウエハの上にデバイスを作製したあと凹凸を落
とすために研磨するものである。平坦化技術の一環であ
る。Siデバイスの場合、多層配線技術が用いられてお
り上下方向に3層、4層というようにデバイスを積み上
げる構造が取られる。その場合、下地のデバイスに凹凸
があり、その上にさらにデバイスの配線やFETを載せ
るのは難しいので、下地のデバイスの絶縁膜などを薄く
研磨して平坦化する。平坦化の為の研磨はCMP法(Ch
emical Mechanical Polishing)と呼ばれる。研磨の対
象はSiではなく、Siの上に形成された層間絶縁膜や
金属配線である。
【0011】研磨布は発泡ポリウレタンで研磨液にはシ
リカ、アルミナなどの粒子が含まれる。絶縁膜が対象の
場合、シリカ(SiO)を研磨粒子としKOHやNH
OHを添加した研磨液が用いられる。金属配線が対象
の場合アルミナを研磨粒子として過酸化水素を添加した
研磨液が用いられる。
【0012】物理作用と化学作用を併せて絶縁膜(Si
)や金属(Al配線など)を除去するからCMPと
いうのである。これは1990年代になって始められた
方法であり新しい技術である。だから平坦化のための研
磨技術の改良は現在でも数多く提案されている。研磨に
関する発明と言えば殆どがSiウエハの多層配線のため
の平坦化CMPに関するものである。
【0013】特開2000−190232「半導体ウ
エハ研磨用樹脂砥石、その製造方法、半導体ウエハの研
磨方法、半導体素子および半導体装置」はCMPの研磨
定盤の研磨布の構造について新規のものを提案してい
る。その研磨布は、最大粒径が2μmである砥粒を18
〜33容積%含み、気孔率が45〜55容積%で、曲げ
弾性率が1000〜35000kgf/cmであり平
均粒径が50μm以下の樹脂材料を18〜33容積%含
むものである。CMPは本発明とは直接の関係はないが
研磨条件を定義する参考になるので挙げておく。ここで
は研磨布を定義するために気孔率、砥粒の比率、樹脂の
比率、曲げ弾性率などで研磨布の特性を定義している。
良好な研磨を行うため研磨布の選択は重要であるが研磨
布のどのような特性が研磨の条件を決めるのかハッキリ
しない場合が多い。ここでは分かりやすいパラメータを
用いて研磨布を定義している。
【0014】本発明の研磨はSiのミラーウエハの為の
研磨でない。またSiデバイスを多層配線構造とする平
坦化技術としての研磨でもない。
【0015】本発明はSiではなくてGaAsウエハの
研磨技術に関する。それも平坦化の研磨でなく、アズカ
ットウエハをミラーウエハにする初期的な研磨である。
GaAsウエハの場合は多層配線、平坦化というところ
まで技術が進歩しておらず平坦化のための研磨という概
念はいまだにない。
【0016】Siウエハについで生産量の多いのはGa
Asウエハである。CD読み取り用AlGaAsレーザ
の基板として用いられることが多い。直接遷移型の半導
体であるから光関係では有用である。しかも単結晶基板
を製造することができるので重要な半導体である。電子
移動度の高速性を生かして電界効果トランジスタ(ME
S−FET)や、バイポーラトランジスタ(HBT)な
どを含むデバイスの基板とすることもある。
【0017】GaAsはSiウエハに比べると、まだ需
要は少ないが将来性のある魅力的な半導体である。単一
の発光素子(LEDやLD)とする場合はチップサイズ
が小さいのでウエハも小さくて良い(2インチでもよ
い)が、集積回路の基板ということになればチップサイ
ズも大きいものが要求される可能性がある。ウエハの直
径も2インチ径から始まり、3インチ径のものが作ら
れ、現在は4インチGaAsウエハ(10cm直径)が
生産され始めている。
【0018】同じように半導体といっても物理的化学的
な物性が異なり、Siと同じような技術が使える場合は
少なく、GaAs独自の技術が要求される事が多い。G
aAsはSiよりも脆弱であって硬度が低く剛性も低
い。そのような違いのため、GaAsウエハの研磨にお
いて、シリカ粒子を用いる物理研磨はふさわしくない。
次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)を用いた化学研磨
が行われる事が多い。研磨布は例えばポリウレタン系の
発泡した研磨布を用いる。研磨液は化学的にウエハ面を
除去する作用と、ウエハと研磨布の接触を和らげる緩衝
作用がある。
【0019】そのように半導体ウエハ研磨にはいろいろ
な種類があるが研磨装置は似たような構成をもってい
る。半導体ウエハの研磨装置は、研磨布を張った大きい
回転する研磨定盤と、研磨定盤に研磨液を供給する研磨
液供給装置と、ウエハを保持する研磨ヘッドと、研磨ヘ
ッドを回転自在に保持して研磨定盤へ押し付けるアーム
と、アームから回転力を与え研磨ヘッドを回転させる回
転機構などよりなる。
【0020】図1に研磨装置の概略を示す。図1(a)
はウエハを研磨プレートに固着し研磨定盤の研磨布に当
てているところを示し、図1(b)はウエハを研磨布か
ら離隔させているところを示す。大きい水平の円板状の
研磨定盤1は回転軸2に支持され回転軸2とともに回転
する。研磨定盤1の上面には研磨布3が張り付けられて
いる。研磨定盤1の上に研磨プレート5が設けられる。
これは円板状の研磨プレート5とこれの上面中心に付い
ているヘッド軸6よりなる。研磨プレート5の下面にG
aAsウエハ7が固定されている。GaAsウエハの固
定はワックスによって研磨プレートに固着する方法と、
真空チャックによって吸引し仮固定する方法がある。研
磨定盤1は大きく公転し、研磨ヘッド4は偏心位置で自
転する。自転と公転を併せてウエハの下面(表面)を研
磨する。ウエハサイズが小さい場合はヘッドに複数枚
(3枚〜4枚)のウエハを取り付けることもある。
【0021】しかしウエハサイズが大きくなると一つの
ヘッドのプレートに1枚のウエハだけを貼り付けること
もある。また研磨定盤の中心に、1枚ウエハを付けた研
磨ヘッドを接触させることもある。その場合はヘッドを
研磨定盤の中心に当て研磨定盤とヘッドの回転方向を反
対向きにして研磨する。軸中心が常に一致しているとウ
エハの中心と周辺で研磨量が異なってくるのでヘッドを
研磨定盤の直径方向に往復運動させ研磨量を均一にす
る。
【0022】GaAs研磨には、反応力の旺盛な化学薬
品を研磨液に用いるのでSiウエハの場合とは違った様
々の問題が生ずる。研磨されたGaAsウエハ自体につ
いていうと、研磨が終わるとすぐにウエハを研磨布から
引き上げてウエハの下面(表面)に純水を吹き付けて研
磨液を完全に除去する。研磨液の排除は早急にしなけれ
ばならず、これが遅れると残留研磨液のためにウエハが
腐食される。そのために折角綺麗に研磨した面にエッチ
ピットが発生する。
【0023】手動でヘッドを交換していた時分は、作業
者が手早くヘッドを研磨定盤から引上げて水洗装置に漬
けるということが行われている。どれほど速くヘッドを
引き上げることができるか?ということでウエハの品質
が左右されたものである。だから作業者は研磨ヘッドの
引き上げの速さを競ったものである。手練の早業がウエ
ハ研磨の仕上がりを決定したものである。しかし、それ
はあまりに作業者の熟練に依存するものであり老練な作
業者でなければできない。作業者の手技に依存する研磨
は大量生産の場合は向かないという欠点がある。
【0024】特開平7−201786号「化合物半導
体基板の研磨方法と研磨装置」はGaAsウエハを張り
付けた研磨ヘッドを研磨定盤から引き上げると同時に側
方の水洗装置から水をウエハ面に噴射するような装置を
提案している。これは本出願人になる発明である。手作
業でなく自動的に研磨ヘッドを引き上げ、すぐに水を吹
き付けるものである。すばやい水洗によって残留次亜塩
素酸などの化学薬品を速やかに除去することができミラ
ー面を得ることができるという。これは研磨布のことに
ついては述べていない。
【0025】しかしGaAsにおいて化学研磨をしたの
ち瞬時迅速に引き上げるというのは本出願人の固有の方
法である。一般にそうだということではないようであ
る。GaAsウエハを製造する会社は世界でも僅かしか
ないが、研磨後定盤やプレートの運動を停止してからプ
レートをゆっくりと持ち上げるようにしている会社もあ
るようである。それは研磨液自体が本出願人の場合と異
なるのであろう。腐食性の少ない研磨液を用いる場合は
そのような早業は必要としないわけである。
【0026】
【発明が解決しようとする課題】GaAsウエハについ
てはそのような急速洗浄によって腐食進行を防ぐことが
できるようになった。しかしまだいくつかの問題があ
る。
【0027】一つは研磨布の寿命が短いということであ
る。ウエハが2インチ径の場合はまだよかったのである
が、3インチ、4インチと口径が大きくなるに従って研
磨布の寿命が短くなってきた。もちろん研磨布の種類に
よって寿命が大きく異なる。2インチGaAsウエハの
場合、研磨布の寿命は最も良いもので1.5時間〜2.
5時間程度であった。3インチウエハとなると研磨布寿
命が1〜2時間程度に短縮された。4インチウエハであ
ると寿命は最も良いものでも1時間未満というような有
り様であった。
【0028】GaAsウエハ1枚あたりの研磨時間は1
〜2分程度であるが1時間未満というのでは困る。頻繁
に研磨布を交換しなければならない。それに研磨布の種
類によっては寿命が0時間というような信じられないも
のもある。たとえば一度研磨すると再び使えない。また
1枚も研磨できないという情けない研磨布もある。これ
は研磨布が劣化したということではなくてウエハにスク
ラッチが出たら研磨布の寿命が来たと判断しているので
初めからスクラッチが出れば寿命が0時間ということに
なる。研磨布の寿命の違いはどこに起因するのか未だ不
明であった。
【0029】曲げ弾性率や圧縮率などで研磨布を分類し
てもばらついてしまい、これらのパラメータと寿命との
相関はよくわからない。
【0030】もう一つの問題は、ウエハ自身の問題であ
る。前記の自動洗浄の技術によって研磨直後のGaAs
ウエハの腐食の問題は回避できたが、もう一つの問題が
あることがわかってきた。それは研磨後のGaAsウエ
ハにスクラッチが発生することがあるという事である。
Siウエハに比べて硬度が低いのでGaAsの表面は傷
付きやすいのである。スクラッチが発生したウエハはそ
のままでは出荷できない。だからスクラッチが生じない
ようにしなければならない。
【0031】しかし何故研磨後GaAsにスクラッチが
発生するのかという因果関係がよく分からない。研磨布
のどのような特性がスクラッチ発生に影響するのか?ま
だ明確でない。研磨布は多孔質であり複雑な構造物であ
るからスクラッチ発生と関係あるのか、あるとすれば何
が影響するのか?ということは簡単にはわからない。
【0032】
【課題を解決するための手段】本発明のGaAsウエハ
の研磨方法は、ウエハ研磨布として、開口部密度が40
%〜60%であり、加工時密度比が61%〜80%であ
るものを用い、研磨プレートにアズカットGaAsを取
り付け研磨定盤の研磨布に押し付け、研磨液を供給しな
がら研磨プレートと研磨定盤を回転させながらウエハを
研磨し、さらに研磨定盤の回転、研磨プレートの回転を
維持したまま研磨プレートを研磨定盤から離隔しその離
反速度を15mm/s以上とする。
【0033】研磨布の表面は多孔質であるが、微細な空
洞壁が分岐せず底まで単一の空間が連続するというもの
が適している。そのような非分岐単一空洞の研磨布を用
いてGaAs研磨するとスクラッチの発生を抑制するこ
とができる、ということを本発明者が見出した。それは
簡単には表現できない特性である。
【0034】そこで本発明者は、加工時密度比sと開口
部密度qという新規なパラメータを用いて本発明の研磨
布を定義することにした。図6に加工時密度比sの定義
を示す。Tが無負荷(荷重がない自由状態)での研磨
布の厚みとし、Tが荷重を掛けたときの厚みとする。
加工時密度比sというのは、無荷重でのパッド(研磨
布)の厚みTで加工荷重でのパッド(研磨布)厚みT
を割った値として定義する。
【0035】
【数1】
【0036】これは1以下の値をとる。加工荷重によっ
ても変わる値であるが、これをバフ(研磨布)の性質の
表現として採用する。同じ加工荷重Wであれば空隙率が
高い方がsは小さくなるはずである。しかし空隙率(多
孔率)というのはどの方向の空隙でも同じものとして表
現するからバフ(研磨布)先端部の急激な立ち上がりを
表する値として必ずしも適切でない、ということに本発
明者は気付いた。
【0037】それで、これまで存在しなかったパラメー
タである加工時密度比sというものを考えた。これがス
クラッチ発生、非発生を決める好適な値の一つであると
いうことが分かって来た。これが61%〜80%である
ような研磨布を選ぶ。後に述べるが、研磨布としては分
岐がなくて上から底まで連続するノッペリした空洞(図
3のY型)を持つものが良いようである。そのような非
分岐の空洞を表現するのは難しいが、非分岐の空孔がた
くさんあれば荷重によって歪み易いからsがかなり小さ
くなる。分岐の多い空孔(図2のX型)をたくさんもつ
場合は研磨布が圧縮されにくいからsがかなり大きいも
のとなる。
【0038】研磨布(バフ)は、ナップ層、マイクロレ
ア層、ベース層からなる。このうち研磨液を含むことの
できる空孔を備えるのはナップ層である。ここが最も柔
軟である。加工時に圧縮されて歪むのもナップ層であ
る。だから加工時密度比sというのはナップ層の研磨布
全体厚みに占める厚みをも含む概念だということにな
る。単純に空孔率(気孔率)の逆数と同一視することは
できない。より複雑で直感的には理解しにくい概念であ
る。しかし測定が容易なパラメータであり研磨布の評価
には実践的に有用である。
【0039】もう一つ本発明が初めて研磨布を定義する
ために採用するパラメータは開口部密度qというもので
ある。これも分かりにくい概念であるが、測定可能な値
である。図4、図5によって説明する。図4はバフの一
部平面に正方形EFGHを取った図である。正方形の寸
法は幾らでも良いが測定時には一定の大きさに決めてお
く。正方形の対角線FH(長さをhとする)を想定す
る。対角線FH上にいくつもの空孔K、K、K
…、Kが存在する。それらの空孔の表面での対角線F
Hにそった直径をk、k、k、…、kとする。
つまり対角線FHに沿った縦断面図(図5)においてn
個の空孔の表面で開口部幅をk、k、k、…、k
とする。そしてそれぞれの空孔の面積がπk 、π
、πk 、…、πk だと考える。全空孔の
面積はΣπk となる。平均の幅はΣk/nによっ
て与えられる。対角線上に想定した帯状の領域(h×Σ
/n)に面積Σπk の空孔があるのだから開口
部密度qを
【0040】
【数2】
【0041】として定義する。これは開口部密度という
が開口部がある表面(ナップ層表面)での樹脂(不織
布)密度ということである。開口部面積が広いとqは小
さくなり開口部面積が狭いとqは大きくなる。複雑な語
義をもつので混同してはならない。これはナップ層の空
孔が上から下まで単一であって分岐を持たない(図3の
Y型)ということと同一ではない。分岐をもつ空洞(図
2のX型)が多いと個々の空孔の開口部の直径が狭くな
り開口部密度qが大きくなる。本発明は好適なqの範囲
を40%〜60%とするのである。
【0042】GaAsウエハの研磨プレートへの固定方
法は、ワックスによる接着方法であってもよい。これは
余分な装置を必要としないし接着状態は安定している。
しかしワックスを取ってからウエハを洗浄しなければな
らない。小さい口径のGaAsウエハに向いた方法であ
る。また真空チャックによってGaAsウエハを吸引す
るようにしてもよい。その場合研磨プレートには真空吸
引の溝や穴を設け真空装置が必要になる。真空チャック
は平坦性に優れるし残渣を残さないから大きい口径のG
aAsウエハに向いている。
【0043】
【発明の実施の形態】GaAsウエハを研磨した後、ゆ
っくりと引き上げると柔らかいGaAsウエハの表面に
スクラッチが発生する。だから手作業の場合は研磨終了
後研磨プレートを手動作でできるだけ速く引き上げるよ
うにしていた。それは回転を止めると研磨布の繊維が立
ち上がって繊維の先端がウエハ面に接触してそれを叩く
からである、ということにやっと気付いた。圧力を取り
除いたとき研磨布の立ち上がりは意外速いものである。
【0044】研磨中において研磨布の微細繊維は回転す
る定盤や研磨プレートによって流動する研磨液の圧力に
よって押されて寝ているのであるから、回転を止めウエ
ハを持ち上げる時ウエハの離反速度よりも速いはずはな
いと思われるがそうでもないようである。研磨定盤と研
磨ヘッドが回転している間は研磨布の繊維は研磨液の中
に浮いており繊維とウエハ面の間には必ず研磨液が介在
している。だから研磨中には研磨布の繊維先端がウエハ
面に接触しない。研磨を終えてウエハを持ち上げると研
磨布繊維の先端が研磨液から持ち上がり加速されてウエ
ハの表面を殴打する。それによって柔らかいGaAsウ
エハの表面にスクラッチが発生するのである。
【0045】定性的にはそのようであるが、同じ速さで
ウエハを引き上げているのに、研磨布によってスクラッ
チが入るものと入らないものがある。研磨布によっても
スクラッチ発生の様子が大きく異なる。だからスクラッ
チ発生を防ぐにはできるだけ迅速にウエハを引き上げる
ということだけでなく研磨布の選択も重要であるという
ことに気付いた。
【0046】先述のように研磨布の種類によっては寿命
が0時間というものもある。それはは研磨布が瞬時に劣
化するということでは必ずしもない。ウエハにスクラッ
チが発生するようになると研磨布の寿命が尽きたという
ように定義しているから、もともとGaAsウエハを研
磨するに不適であって初めからスクラッチを発生させる
ような研磨布は寿命が0時間だということになる。
【0047】研磨布(研磨パッド)は発泡ポリウレタン
樹脂や、不織布、不織布にウレタン樹脂を発泡させたも
の、不織布にウレタン樹脂を含浸させたものなどがあ
る。
【0048】研磨布は、上から順に、多孔質のナップ
層、マイクロレア層、ベース層からなる3層構造をも
つ。ベース層は研磨定盤に接着される部分で一様で稠密
な構造をもち500μm〜1000μm程度の厚い層で
ある。マイクロレア層は稠密一様な層で開口部をもたな
い100μm〜200μm程度の薄い層である。ナップ
層は複雑な形状の気孔をもつ部分で100μm〜400
μm程度の厚みをもつ。ナップ層は研磨液を充分に含み
研磨液の上にウエハが浮かぶようになるからバフ(研磨
布の材料)が直接にウエハ面に接触しない。
【0049】ナップ層とウエハスクラッチ、研磨布寿命
の関係を詳しく調べてみると、最上層であるナップ層が
研磨状況に強い影響を持ち研磨終了後のスクラッチの発
生にも関連があるということがわかって来た。スクラッ
チを発生させないため、どのような材料、性質の研磨布
が適しているのか、ということが少しづつ分かってき
た。
【0050】しかし、それを表現する適当なパラメータ
がない。樹脂だから比重、多孔率(空孔率)、曲げ弾性
率、硬度、圧縮率などの定義しやすい既存の特性変数が
ある。しかしそれでは本発明でいう好適の研磨布を定義
できない。
【0051】図2、図3は研磨布の一部の拡大断面図で
ある。最上部の気孔部分を持つのがナップ層Aである。
その下の気孔部が無い部分をマイクロレア層Bという。
これらは同じ材料である。ベース層Cは上層とは異なる
材料、或いは同じ材料であり下地となる部分である。図
2の研磨布のナップ層A(気孔部)は、分岐が多くて浅
い空洞や深い空洞がある。空洞アは極浅く小さいもので
ある。空洞イは深くて大きい容量をもつ。ウも浅い空洞
である。エは中程度の深さを持つ。オ、キは浅く小さい
空洞である。カ、クは深く大きい空洞である。途中で壁
面が分岐するような構造になっており断面の顕微鏡写真
ではナップ層が二段になっているようにも見える。
【0052】このように分岐を多く含み浅い空洞をもつ
ナップ層をもつ研磨布は寿命が短いし、スクラッチが発
生しやすいということが経験的に分かってきた。これを
仮にX型と呼ぶことにする。
【0053】それに反して図3のような深い空洞がそろ
っているナップ層をもつ研磨布は寿命が長くてウエハス
クラッチ発生も少ないようであった。図3において空洞
サやセは広く深い空洞である。シ、ス、ソ、ナも深くて
底部がマイクロレア層Bのごく近くにある。分岐のよう
なものが殆どないので空洞の底が深いのである。このよ
うな空洞は多くの研磨液を含むことができる。そのよう
な研磨布をここではY型と呼ぶことにしよう。Y型の空
洞が多い研磨布(パッド)はGaAsウエハにスクラッ
チを発生させる確率が低くて研磨布の寿命が長くなる傾
向のあることが分かった。
【0054】本発明はX型の研磨布を否定し、Y型の研
磨布を採用する。顕微鏡によって断面を観察し時間を掛
けてつぶさに比較すれば違いはだんだんと分かるのであ
るが、それはなかなか実行できないことである。研磨布
を選ぶ基準としてはもっと分かりやすいものが欲しいも
のである。そこで前記の加工時密度比sと開口部密度q
という二つのパラメータを考案した。二つのパラメータ
の組み合わせによって、Y型とX型を選別しようとする
ものである。
【0055】しかしそれは1対1に対応するものではな
い。X型、Y型といっても空洞の配向形状寸法がまちま
ちであり空洞の分布も無秩序である。だから定量的なも
のを顕微鏡観察そのものから導き出すのは難しい。本発
明者は上記の加工時密度比sと開口部密度qの二つの新
規なパラメータを使って無秩序な混沌を比較的分かりや
すく測定可能なものにしている。
【0056】どうして図3のような非分岐型(Y型)の
研磨布が良くて、図2のような分岐型(X型)が悪いの
かというと、それは次のような事だろうと推測される。
【0057】Y型のものは空孔率が同一でもたくさんの
研磨液を空孔の中に含むことができる。より柔軟で変形
の度合いが大きいから研磨定盤、研磨プレートを回転し
ている時は研磨液の中に深く沈み込む。研磨終了時に研
磨プレートを持ち上げると圧力がなくなり研磨液から研
磨布の繊維(バフ)が水面上へ飛び出すが、より深く沈
みこんでいるから浮かび上がるのに時間が余計にかか
り、どうしても遅れがちになる。それでウエハの離隔速
度に間に合わずウエハに追いつかずウエハを叩かないの
であろう。そのためにウエハはスクラッチから免れる。
【0058】X型のものは空孔率が同一でも研磨液を空
孔の中に大量に含むことができない。より骨格が複雑で
曲がりにくく形状的に硬くて変形の度合いが小さいから
研磨定盤、研磨プレートを回転している時の研磨液の中
への沈み込みが浅い。バフの先端繊維は水面のすぐ下に
ある。研磨終了時に研磨プレートを持ち上げると圧力が
なくなり研磨布の繊維(バフ)が水面上へ飛び出すが浅
く沈んでいたので、すぐにウエハに追いついてウエハを
叩き擦りしてウエハ面にスクラッチを付けてしまう。
【0059】
【実施例】種々の異なる研磨布(パッド)を研磨定盤に
張り付けたものを用いて、GaAsウエハを研磨し、急
速にヘッドを研磨定盤から離隔させウエハを水洗した。
ウエハの表面を観察してウエハ表面にスクラッチが発生
したかどうかを検査した。プレートの研磨定盤からの離
反速度(離隔速度)v(mm/s)と研磨布の開口部密
度(q)、加工時の密度比(s)を測定し、それとスク
ラッチ発生の相関を調べた。試料番号は1〜11まであ
り、その測定の結果を表1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】一つの研磨プレートに3枚〜4枚のGaA
sウエハを張り付けて研磨する。1つの試料番号につい
て、そのようなプレート十枚について試験をした。だか
らそれぞれの試料番号の試験ウエハの数は30枚〜40
枚程度のサンプルを含む。スクラッチ発生率というのは
複数の試験ウエハでの平均値である。
【0062】離反速度vというのは定盤からウエハを離
すときの線速度である。定盤法線に対して斜めに引き上
げるときはその方向の速度vということである。急速に
定盤からウエハを切り放す必要がある。そのため定盤の
回転を止める事なく、研磨プレートの自転も止める事な
くそのまま研磨プレートを定盤から持ち上げるようにす
る。つまり相対運動をそのまま維持しながら研磨プレー
トを持ち上げるのである。それは研磨布の微細な構造物
が立ち上がってウエハの表面に傷を付けないようにする
ための工夫である。
【0063】スクラッチ発生の%というのは1枚のウエ
ハの内部で全面積のうちどの程度の面積にスクラッチが
発生したか?ということを%で示したものである。5%
というのは全面積の内の5%にスクラッチが見られると
いうことである。そのような値をその試料番号の全サン
プルについて平均した値が表1の結果となる。
【0064】研磨布をパッドと表現することがある。こ
の表でパッドとあるのは研磨布のことである。研磨布は
ウエハの研磨に重要な影響をもつ。ここでは開口部密度
を共通のパラメータとして用いている。開口部密度とい
うのは研磨布の上に正方形を想定しその対角線上の断面
において、空洞部(開口部)と中実部の長さを計測し、
空洞部が円形であるとして面積を計算し、中実部の面積
を、中実部と空洞部の全面積で割った比の値として定義
したものである。これについては既に説明した。個々の
空洞部の形状は必ずしも真円でないが円と仮定するので
ある。開口部密度が高いと空洞が狭く少ないということ
で、開口部密度が低いと空洞が広く多いということであ
る。
【0065】加工時密度比というのは、無荷重でのパッ
ド(研磨布)の厚みTによって加工荷重がかかったと
きのパッド厚みTを割った値を%で表示したものであ
る。荷重に対して厚み減少量が多い場合この値が低くな
るし、減少量が少ない場合はこの値が高くなる。つまり
研磨布の空隙が小さいもの程密度比が高いということで
ある。加工時密度比が低いものは反対に柔軟だというこ
とである。柔軟であるし研磨液をより多く含む事ができ
る。
【0066】[試料1] 研磨したウエハはGaAsウ
エハである。以後も全て同じ寸法のGaAsウエハを研
磨したものである。研磨布は一様な不織布である。開口
部密度は上記の測定法では100%である。加工時密度
比は95%である。これは空隙が少なくて研磨液をあま
り含む事ができない研磨布を意味する。離反速度は20
mm/sであった。これはかなり速い離隔速度である。
研磨後のGaAsウエハの全面にスクラッチが発生し
た。これは研磨方法として不適であるということであ
る。
【0067】[試料2] 研磨布は開口部密度が60%
のものである。加工時密度比は90%である。つまりウ
エハを押し付けたときに研磨布の厚みは10%にすぎず
空隙部が少なく比較的硬い研磨布である。定盤やヘッド
を回転させたままプレートごとウエハを持ち上げて研磨
布から離反させた。離反速度vは20mm/sであっ
た。ウエハ面内の全面積の80%にスクラッチが現れ
た。これも研磨方法としては不適だということである。
試料1、2の結果から開口部密度は60%より少ない方
が良いものだと推測される。
【0068】[試料3] 開口部密度50%の研磨布を
用いた。つまり表面に於ける空洞部が全体の約半分とい
うものである。加工時密度比は60%である。空洞部が
多いとプレートを置いて圧力をかけると研磨布はよけい
に撓むが、空洞部の割合と加工部密度比の減少が必ずし
も比例するわけではない。多孔質の研磨布であるが、こ
この空洞の寸法や形状によって空洞部割合が同一でも加
工時密度比が異なってくるからである。やはり回転定盤
を回転させヘッドを回転させたままプレートを定盤の研
磨布から引き上げた。その場合も離反速度は20mm/
sとした。ウエハ面内の10%の面積にスクラッチが出
現した。10%となると僅かなものであるが、それでも
やはり研磨方法としては不可と言わざるをえない。
【0069】[試料4] 開口部密度が50%で、加工
時密度比が70%の研磨布を用いて研磨した。空洞部の
容積が大きいのは試料3と同様である。加工時密度比が
試料3よりも大きい。開口部密度と加工時密度比が一義
的な関係にないから、そのようなことは可能である。こ
の場合もGaAsウエハを研磨した後、回転定盤、プレ
ートをそのまま回転させながら離反速度20mm/sで
ウエハを持ち上げた。そのウエハ面のスクラッチ発生率
は0%であった。1枚のGaAsウエハの表面にスクラ
ッチは一つもなかったということである。これは良好な
研磨方法だということができる。
【0070】[試料5] 開口部密度が50%で、加工
時密度比が80%の研磨布をもつ回転定盤を使ってGa
Asウエハの研磨をした。空洞部の容積は大きいが、加
工時にあまり撓まないというような研磨布である。それ
によってGaAsウエハを研磨して、研磨後回転定盤を
回転させたまま20mm/sの速度でウエハを研磨布か
ら離した。そのGaAsウエハの表面のスクラッチ発生
率は0%であった。1枚のウエハの全面に一つのスクラ
ッチも存在しなかったということである。これも良好な
研磨方法である。
【0071】[試料6] 開口部密度が40%で、加工
時密度比が50%の研磨布をもつ定盤を用いてGaAs
ウエハを研磨した。加工時密度比が低いので研磨プレー
トで抑えた時の沈み込みが深いということである。研磨
終了後定盤を回転させたまま20mm/sの速度でウエ
ハを研磨布から引き上げた。そのウエハには5%の面積
にスクラッチが発生した。5%ものスクラッチがあるの
で、この研磨方法は不可である。
【0072】[試料7] 開口部密度が40%で、加工
時密度比が60%の研磨布を持つ定盤を用いてGaAs
ウエハを研磨した。加工時密度比が高いということはプ
レートで定盤を抑えた時の研磨布の沈み込みが小さいと
いうことである。そのような回転定盤に研磨プレートに
張り付けたGaAsウエハを押し付けて研磨した。研磨
終了後定盤、研磨プレートを回転させたままウエハを研
磨布から離隔させた。離反速度は20mm/sである。
そのウエハには1%の割合でスクラッチが入っていた。
1%でもスクラッチが発生するようではその研磨方法は
やはり不可である。加工時密度比がもっと高い方が良い
のかもしれない。
【0073】[試料8] 開口部密度が40%で、加工
時密度比が70%の研磨布を張った回転定盤を用いてG
aAsウエハを研磨した。前例より加工時密度比が10
%高いものを使っている。つまり研磨時の沈み込みがよ
り少ない研磨布だということである。この場合も研磨終
了後プレートや定盤を回転させたまま20mm/sの相
対運動でウエハを離反させた。このウエハはスクラッチ
の発生率が0%であった。平滑平坦なミラーウエハが得
られた。良好な研磨方法だということである。
【0074】[試料9] 開口部密度が50%で、加工
時密度比が70%の研磨布を有する回転定盤によってG
aAsウエハを研磨した。試料8と加工時密度比は同じ
であるが、開口部密度が10%高い。この回転定盤によ
ってGaAsウエハを研磨して、定盤やプレートを回転
させたまま10mm/sの速度でウエハを回転定盤から
離反させた。つまり離反速度が他の試料の約半分であ
り、遅く引き離したということである。そのGaAsウ
エハはスクラッチの発生率が5%であった。スクラッチ
があるので、そのような研磨方法はやはり不可である。
その結果は離反速度が速くないといけないということを
意味する。
【0075】[試料10] 開口部密度が50%で、加
工時密度比が70%の研磨布を張った回転定盤によって
GaAsウエハを研磨した。開口部密度と加工時密度比
は試料9と同一である。この回転定盤によってGaAs
ウエハを研磨した。定盤とウエハの回転を持続したまま
ウエハを15mm/sの速度で離反させた。試料9と違
うのは離反速度が5mm/sだけ速いということだけで
ある。そのウエハの表面は平坦平滑なミラーウエハであ
りスクラッチは0%であった。良好な研磨方法である。
【0076】[試料11] 開口部密度が50%で加工
時密度比が70%の研磨布を持った回転定盤によってG
aAsウエハを研磨した。開口部密度や加工時密度比は
試料9、10と同一である。研磨終了後、定盤とヘッド
の回転を持続したままウエハを20mm/sの速度で回
転定盤から離反させた。そのウエハの表面にはスクラッ
チは全くなかった。良好な研磨方法である。試料9〜1
1を比較すると、離反速度が10mm/s以上速くない
といけないということがわかる。さらに15mm/s以
上であるのが望ましい。
【0077】
【発明の効果】GaAsウエハの研磨は難しく従来の研
磨布を使って研磨するとウエハの研磨面にスクラッチが
入る事が多かった。ウエハにスクラッチが入るようでは
研磨布として不適である。研磨布の寿命をスクラッチが
入るかどうかによっても決めるとすると研磨布の寿命は
短い(0分〜30分)ものであった。なかなか実用的に
利用できる研磨布が見つからないし製造できないでい
た。
【0078】本発明は、研磨布として加工時密度比sが
61〜80%、開口部密度qが40〜60%のものを使
用し、研磨終了後GaAsウエハを15mm/s以上の
高速で引き上げるので、研磨終了直後のバフ繊維の立ち
上がりによってウエハの裏面を叩くということがない。
そのためウエハの表面にスクラッチが入らない。本発明
によって数時間の寿命を持つ研磨布が初めて得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】研磨定盤と研磨ヘッドとからなる研磨装置の概
略正面図。図1(a)はウエハを研磨プレートに固着し
研磨定盤の研磨布に当てているところを示し、図1
(b)はウエハを研磨布から離隔させているところを示
す。
【図2】上面から底まで多様な分岐があって空間が入り
組んでおり複雑な空間分布をもつ分岐空洞を多く含むX
型のナップ層をもつ研磨布の一部拡大断面図。
【図3】上面から底まで単一の空間が伸びている非分岐
の空洞を多く含むY型のナップ層をもつ研磨布の一部拡
大断面図。
【図4】研磨布の上面の一部に正方形をとり対角線HF
にそって空洞の数と直径を測定して、それを円だとみな
して面積を求め非空洞部と全面積の比を開口部密度qと
して定義するということを説明するための研磨布の一部
平面図。
【図5】研磨布の上面の一部に正方形をとり対角線HF
にそって空洞の数と直径を測定して、それを円だとみな
して面積を求め非空洞部と全面積の比を開口部密度qと
して定義するということを説明するための研磨布の一部
縦断面図。
【図6】無負荷時の研磨布の厚みTによって、荷重負
荷時の研磨布の厚みTを割る事によって加工時密度比
sを定義するということを説明するための図。
【符号の説明】
1 研磨定盤 2 回転軸 3 研磨布(研磨パッド) 4 研磨ヘッド 5 研磨プレート 6 ヘッド軸 7 GaAsウエハ A ナップ層 B マイクロレア層 C ベース層 ア〜ク 分岐型空孔(X型) サ〜ナ 非分岐型空孔(Y型)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B24B 37/04 B24B 37/04 H J

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 表面に想定された線分が切る空孔の幅を
    直径とする円とみなして空孔面積を決め、線分に沿う部
    分での非空孔面積をその幅の面積で割った値として定義
    される開口部密度qと、無負荷での研磨布厚みTで荷
    重時での研磨布厚みTを割った値として定義される加
    工時密度比sを用いて、開口部密度が40%〜60%で
    加工時密度比が61%〜80%である研磨布(パッド)
    を張り付けた研磨定盤を用い、GaAsウエハを研磨プ
    レートによって保持して研磨定盤の研磨パッドに押し付
    け、研磨用薬液を研磨パッド面に供給しながら、研磨プ
    レートと研磨定盤を回転させてGaAsウエハの表面を
    研磨加工し、加工終了時に研磨定盤と研磨プレートの回
    転運動を維持したままウエハを研磨パッド面から15m
    m/s以上の速度で離反させる事を特徴とするGaAs
    ウエハの研磨方法。
  2. 【請求項2】 研磨パッドがウレタン発泡樹脂、不織
    布、不織布にウレタン樹脂を発泡させたもの、不織布に
    ウレタン樹脂を含浸させたものの何れかであり、500
    μm〜1000μm厚みで研磨定盤に張り付けられる高
    密度のベース層と、その上にあり厚み100μm〜20
    0μmの稠密で高密度のマイクロレア層と、その上にあ
    って100μm〜400μm厚みで空孔を含むナップ層
    からなり、ナップ層の空孔は上方開口から下底にいたる
    まで単一の空洞で途中で分岐を持たないものである事を
    特徴とする請求項1に記載のGaAsウエハの研磨方
    法。
  3. 【請求項3】 ウエハの研磨プレートへの保持方法がワ
    ックスによる貼り付けであることを特徴とする請求項1
    又は2に記載のGaAsウエハの研磨方法。
  4. 【請求項4】 ウエハの研磨プレートへの保持方法が真
    空吸着であることを特徴とする請求項1又は2に記載の
    GaAsウエハの研磨方法。
  5. 【請求項5】 表面に想定された線分が切る空孔の幅を
    直径とする円とみなして空孔面積を決め、線分に沿う部
    分での非空孔面積をその幅の面積で割った値として定義
    される開口部密度qと、無負荷での研磨布厚みTで荷
    重時での研磨布厚みTを割った値として定義される加
    工時密度比sを用いて、開口部密度が40%〜60%で
    加工時密度比が61%〜80%である研磨布(パッド)
    を張り付けた回転する研磨定盤と、研磨定盤を支持し回
    転させる回転軸と、GaAsウエハを保持するために研
    磨定盤の上に設けられ回転する研磨プレートと、研磨プ
    レートの上面に付けられ研磨プレートを回転させるヘッ
    ド軸と、ヘッド軸を昇降させるヘッド軸昇降装置と、研
    磨用薬液を研磨定盤に供給する研磨液供給装置とよりな
    り、研磨プレートに固着されたGaAsウエハを研磨定
    盤の研磨パッドに押し付け、研磨用薬液を研磨パッド面
    に供給しながら、研磨プレートと研磨定盤を回転させて
    GaAsウエハの表面を研磨加工し、ヘッド軸昇降装置
    は加工終了時に研磨定盤と研磨プレートの回転運動を維
    持したままウエハを研磨パッド面から15mm/s以上
    の速度で離反させるようにした事を特徴とするGaAs
    ウエハの研磨装置。
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