JP4073317B2 - 粒状無機繊維綿およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、断熱材、充填材、吸音材などの建築・産業資材用として好適で、特に住宅の天井裏および壁等のブローイング工法に好適な軽量で保形性のよい撥水性粒状無機繊維綿の製造方法および撥水性粒状無機繊維綿に関する。
【0002】
【従来の技術】
住宅用軽量断熱材施工方法として、ブローイング工法により、小片化した無機繊維綿を天井裏に堆積させるか、壁に充填する軽量断熱施工が行われている。小片化した無機繊維綿をブローイングマシンで吹込み施工すれば、従来のロックウールマットの施工による隙間などの問題を回避することができる。
上記のようなブローイング工法用の小片化無機繊維綿として、ロックウールマットを裁断・粉砕等により小片化して使用することができるが、ロックウールマットはロックウールに熱硬化性樹脂を吹き付け、加熱炉で熱硬化させ、板状、マット状に成形したものであり、特に熱硬化のための加熱工程を必要とするなどして製造コストがかかる。
【0003】
これに対し、高炉スラグや天然岩石などの無機溶融物を遠心力と気流の作用で繊維化し、集綿した後、小片化し、さらに粒状化成形して得られる粒状無機繊維綿(ロックウール、グラスウールなどの粒状綿)が知られている(特許文献1、2など参照)。ブローイング工法では、断熱性能、材料コストおよび建築物への重量負荷などのバランスから20〜40kg/m3 程度の嵩密度の低い小片化無機繊維綿が求められるが、上記のように製造される粒状無機繊維綿であれば、このような低嵩密度のものを製造することも可能である。
【0004】
ところで粒状無機繊維綿を施工する天井裏あるいは壁などには、染込み雨水あるいは結露等の水分が存在する。ところが繊維系の断熱・吸音材は、吸水するとその断熱性能や吸音性能が低下することが知られており、また特に粒状綿形状の無機繊維は、吸収した水の重量により、施工時より沈下して高さあるいは厚みが減少したり、ずり落ちて隙間ができてしまう可能性がある。このため水に接触する可能性がある場所に施工する粒状無機繊維綿には撥水性が望まれ、また水と接触する可能性が低い部分であっても、繊維系断熱材は、一旦吸水してしまうと施工し直さなくてはいけない場合が多いため、撥水性がある方が望ましい。
【0005】
無機繊維の撥水剤としては、耐久性、コスト、基材との相性等の理由から一般的にシリコーン(オルガノポリシロキサン)系撥水剤が使用される。シリコーン系撥水剤が高い撥水性を発揮するためには、その硬化反応を充分に進行させる必要があり、低温での硬化反応速度は極めて遅いため、加熱により硬化皮膜を形成する。バインダーとして、通常フェノール樹脂等の熱硬化性樹脂が使用される前記マット状(板状)の無機繊維成形品(たとえば上記ロックウールマット)の場合には、バインダーを硬化させる加熱炉で、シリコーン系撥水剤を同時に硬化させることが可能であり、撥水性に優れたマット状の無機繊維成形品が提案されてている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら撥水性の粒状無機繊維綿は知られていない。
また粒状無機繊維綿は、保管あるいは輸送のため200kg/m3 程度に圧縮梱包されるが、従来公知の粒状無機繊維綿は、梱包を解いても圧縮状態から復元せず、嵩密度は60〜200kg/m3 程度に高密度化されたままである。このような圧縮梱包による高密度化を防止するためには、接着剤により繊維間を保型する方法が有効と考えられる。
【0007】
たとえば上記特許文献1には、高温の無機質溶融体を繊維化する際に、繊維が冷却される前に少量の接着剤を吹き付けることにより、加熱、圧縮を加えることなく繊維の保有する熱により接着剤を硬化または脱溶剤させ、繊維同士を部分的に接着して粒状またはマット状にする方法が開示されている。接着剤としては、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂あるいは水溶性ではない熱可塑性樹脂を0.1〜1%付着させることが開示されている。しかしながら本発明者らが、上記方法を追試したところ、一旦圧縮梱包した後に元の嵩密度に戻る粒状無機繊維綿を得ることは困難であった。200kg/m3 程度に圧縮梱包した後の嵩密度は40kg/m3 を超え、80kg/m3 程度の高い嵩密度のままのものもあった。またフェノール樹脂の硬化膜形成は加熱を必要する。
【0008】
【特許文献1】
特公平6−47479号公報
【特許文献2】
特開2002−138356号公報
【特許文献3】
特開2000−53460号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ブローイング工法に好適な、軽量(嵩密度が小さい)で撥水性の粒状無機繊維綿、好ましくは復元力があって圧縮梱包して搬送可能な粒状無機繊維綿、およびこのような粒状無機繊維綿を生産性よく安価に製造することができる製造方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記のような情況に鑑みてブローイング工法に好適な軽量で、安価な撥水性粒状無機繊維綿を得るべく検討し、粒状無機繊維綿の製造過程で繊維化された無機溶融物が余熱をもつ間にシリコーン系撥水剤を付着させることを着想した。それによって高い撥水性を持つ粒状無機繊維を得ることができる可能性について検討を続けたところ、マット状無機繊維成形品の製造では撥水性が得られたオルガノポリシロキサンを用いても、特に低温硬化性の高いSi結合水素をもつオルガノハイドロジェンポリシロキサンを用いた場合であっても、上記無機繊維の余熱のみでは撥水性を発現するシリコーン硬化皮膜が得られないという知見を得た。
【0011】
そしてさらに検討したところ、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとともに硬化触媒を併用すれば、余熱のみでも撥水性を発現するシリコーン硬化皮膜を得ることができること、さらには高温の無機繊維にこれらを付着させるためには水系で使用することが望まれるが、水系処理液を用いて余熱のみで充分に硬化させ、製造直後から撥水性を発現する製品を得るためには、無機繊維に付着させる固形分量だけでなく、無機繊維に付着させる水分量を調整する必要があり、具体的に水分量が7質量%を超えないようにすることが望ましく、これによってオルガノポリシロキサンの硬化反応のための加熱工程を加えることなく高い撥水性を持つ粒状無機繊維を得ることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
さらに上記シリコーン硬化皮膜形成のための成分に加えて、特定の樹脂エマルションを用いることによって、より一層嵩密度が低く、しかも圧縮を加えた後の復元力のある好ましい態様の軽量化粒状無機繊維綿を得ることができることを見出して本発明を完成するに至った。
【0013】
すなわち本発明では、溶融した無機物を繊維化し、集綿して粒状化するに際して、繊維化された無機繊維のもつ余熱が常温まで降下する前に、液状オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび液状シリコーン硬化触媒を付着させ、前記無機繊維の余熱によりシリコーン硬化皮膜を形成する撥水性粒状無機繊維綿の製造方法を提供する。
【0014】
上記液状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、その不揮発分換算で無機繊維に対し0.1〜3質量%の量で付着させることが望ましい。
上記において、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびシリコーン硬化触媒からなる水系処理液を調製し、水系処理液中の水分量が上記無機繊維に対し、7質量%以下となる量で、水系処理液を吹付けることが望ましい。
本発明では、シリコーン硬化皮膜を有し、嵩密度が45kg/m3 以下である撥水性粒状無機繊維綿を提供することができる。
【0015】
本発明に係る撥水性粒状無機繊維綿の製造方法の好ましい態様例では、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびシリコーン硬化触媒に加え、樹脂エマルションを付着させる。この樹脂エマルションは、接着剤(集綿剤)として使用され、具体的には、最低造膜温度が50℃以下であり、ガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションが使用される。このように最低造膜温度(MFT)が低いと、無機繊維自体のもつ余熱あるいは集綿工程の温度で造膜しうる。樹脂エマルションの固形分が無機繊維への付着量が1質量%超となる量で使用される。これにより、軽量化施工に好適な40kg/m3 以下の嵩密度の撥水性粒状無機繊維綿を得ることができる。
【0016】
したがって本発明では、最低造膜温度が50℃以下であり、かつガラス転移点が10℃以上の樹脂膜を形成する樹脂エマルションの固形分が1質量%超で付着してなる撥水性粒状無機繊維綿も提供される。その嵩密度は40kg/m3 以下であることが望ましい。また撥水性粒状無機繊維綿は、嵩密度60kg/m3 以上、好ましくは200kg/m3 程度に圧縮可能であるだけでなく、圧縮解放時にはほぼ元の嵩密度に復元して、上記元の軽量化された40kg/m3 以下の嵩密度を確保することができる。
【0017】
上記において、無機繊維は好ましくは原料無機物の溶融温度の高いロックウールである。
上記のように集綿時の無機繊維に、本発明で特定されるシリコーン硬化皮膜成分、場合によってはさらに樹脂エマルションが付着していれば、集綿工程において、無機繊維自体のもつ余熱あるいは集綿工程の温度により、充分に硬化、造膜、乾燥することができ、またこれにより、特に硬化、造膜、乾燥のための加熱工程を別途に加える必要もなくなり、低コストで軽量化された撥水性粒状無機繊維綿を製造することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図1に示すプロセスフローを参照しながら本発明を説明する。なお図1は、粒状無機繊維綿プロセスフローの一例を模式的に示すものであり、本発明の粒状無機繊維綿の製造プロセスは、この図に記載された工程に限定されるものではない。
図1に示すように、炉1で溶融された無機物をスピナー2で繊維化し、集綿室3で集綿(綿状化)し、続いてビッカー4で小片化した後、グラニュレータ5で小片をある程度粒状にまとめた後、トロンメル6でさらに粒状化して、粒状無機繊維綿(粒状化無機繊維集合体)7とする。
【0019】
炉1で溶融される原料の無機物としては、製鉄所から発生する高炉スラグ、安山岩、玄武岩などの天然岩石、シリカ、アルミナ、ガラス、珪砂などが用いられる。これらを適宜混合して用いることもできる。
炉1で溶融された無機物は、たとえばスピナー2により、遠心力、エアあるいは水蒸気などの気流でブローされることにより繊維化される。
このような無機繊維としては、たとえばロックウール、ガラスウール、セラミックファイバーなどがある。
【0020】
これらのうちでも、溶融温度の高い無機物から得られる無機繊維が好ましく、ロックウールが特に好ましい。ロックウールは、玄武岩などの天然岩石、高炉スラグを主成分とし、必要に応じて珪砂等で成分を調整した約1400〜1500℃の溶融無機物から得られる。このように約1400℃以上の溶融無機物は、充分な余熱を有することにより、これに付着させたシリコーンエマルション、樹脂エマルションからの造膜が可能となり、さらには乾燥も容易となるためである。
無機繊維の直径は、1〜10μm程度が好ましい。
【0021】
本発明では、上記において繊維化された無機繊維が余熱を持つ間に、加熱することなく、後述する特定の処理液を無機繊維に付着させる。無機繊維が余熱をもつ間とは、溶融後、繊維化された無機繊維の温度が作業工程の常温(環境温度)まで降下する前までである。具体的にはスピナー2に導入された溶融無機物は、繊維化工程(スピナー2)から無機繊維の粒状化工程(トロンメル6)を経る間に熱を失い、特に繊維化時には急激に冷却されるが、集綿室3に導入された無機繊維は余熱を持っている。集綿室3の室温は、通常100〜50℃程度である。余熱をもって集綿室3内に導入された無機繊維は、集綿される間に、集綿室3の室温とほぼ同等になると考えられる。
【0022】
この集綿時の無機繊維に本発明に係る処理液が付着していれば、集綿工程において、無機繊維自体のもつ余熱あるいは集綿工程の温度により、造膜・乾燥することができる。このように熱源として無機繊維自体の余熱を利用するため、上記工程のうちでも、余熱を効率よく利用できる工程で無機繊維に処理液を付着させることが好ましく、溶融無機物をスピナー2で繊維化した直後に付着させることが好ましい。
付着方法は特に限定されないが、通常、吹付けであり、具体的には溶融無機物を繊維化しているスピナー2の外周から3m以内、好ましくは約50cm以内に配置されたノズルで処理液を吹付けるような状態で行なわれる。
【0023】
ここで本発明で使用される処理液を説明する。本発明において、上記余熱をもつ無機繊維に付着させる処理液として、液状オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび液状シリコーン硬化触媒が用いられる。
本発明で使用するオルガノハイドロジェンポリシロキサン(別称オルガノ水素ポリシロキサン)は、複数の連続したシロキサン(−Si−O−)結合からなる主鎖をもつオルガノポリシロキサン(別称シリコーン)の一種であって、主鎖構成単位が、下記式(1)で示されるオルガノシロキサン単位(以下、主鎖単位(1)と記す。)からなり、かつ複数の主鎖単位(1)のうちの少なくとも1つは下記式(2)で示されるオルガノ水素シロキサン単位(以下Si−H単位(2)と記す。)である。
【0024】
【化1】
上記式中、R1 およびR2 は互いに独立に、アルキル基、芳香族基などの疎水基および水素からなる群より選ばれ、ただしR1 およびR2 が同時に水素であることはなく、上記アルキル基は、メチル基、エチル基などであり、特にメチル基が好ましい。芳香族基としては、フェニル基が好ましい。
【0025】
【化2】
(式中、R1 は、上記疎水基のうちから選ばれる。)
【0026】
分子末端は、上記疎水基または水素である。
本発明では、沸点が低すぎることがないように、上記主鎖単位(1)を6以上含む化合物が好ましく使用される。オルガノハイドロジェンポリシロキサン1分子中に含まれる複数の主鎖単位(1)は、すべて同一種である必要はなく、同一種であっても互いに異なっていてもよい。
【0027】
上記Si−H単位(2)中のSi−Hは、触媒の存在下、無機繊維の余熱により容易に加水分解してシラノール基となり、さらにこのシラノール基同士または無機繊維さらには他の分子との縮合反応により架橋して硬化し、撥水性のシリコーン硬化皮膜を形成する。
本発明では、Si−H単位(2)の上記のような架橋(硬化)反応を介して、連続した膜を形成すれば良いので、オルガノハイドロジェンポリシロキサンのすべてのシロキサン結合がSi−Hを含む必要はなく、1分子中に最低2つのSi−H結合すなわちSi−H単位(2)を2つ含めばよい。
【0028】
本発明で使用されるオルガノハイドロジェンポリシロキサンは、1種類の分子からなるものであってもよく、複数種の分子からなるものであってもよい。
また本発明の目的を損なわない範囲であれば、オルガノハイドロジェンポリシロキサンとともに、Si−H単位(2)を含まないオルガノポリシロキサンを併用することもできる。
しかしながら強固な3次元網目構造を持った硬化膜形成のためには、1分子中に4以上のSi−H単位(2)(Si−H結合)を含むオルガノハイドロジェンポリシロキサンが好ましい。Si−H結合を1分子中に4以上含むもの、4未満のもの、および場合によっては含まないものを混合して使用する場合であれば、4以上含むものを混合物全量中に15%以上含むことが好ましい。以下、オルガノハイドロジェンポリシロキサンの語は、便宜上このような混合物も含む意味で使用される。
【0029】
またこのオルガノハイドロジェンポリシロキサンは液状で使用されるため、本明細書では、これを液状シリコーンとも称する。液状形態としては、具体的にオイル状、水系エマルションなどが挙げられるが、樹脂エマルション等の他の成分と混合して用いる場合は水系エマルションが好ましい。液状シリコーンとして、市販品を使用することもできる。
本発明において、液状シリコーンの無機繊維に対する吹付け量は、その不揮発分(固形分)量で通常0.1〜3質量%程度であるが、撥水性能とコストを考慮すれば0.2〜1質量%程度が好ましい。
【0030】
本発明における液状シリコーンの硬化反応には、硬化触媒を必要とする。硬化触媒の非存在下では、硬化反応が十分に進行せず、特に製造直後に撥水性を発現することが困難である。
硬化触媒としては、一般的にオルガノハイドロジェンポリシロキサンの硬化触媒とされるものを広く使用することができ、具体的に亜鉛、すず、鉛、コバルト、マンガン、クロム、ジルコニウム、チタンなどの金属の塩が使用可能である。
硬化触媒は、液状シリコーンに対し、通常、10〜50質量%程度使用する。硬化触媒は液状で使用されるが、液状硬化触媒の形態としては、上記シリコーンの水系エマルションと同様に触媒化合物の水系分散液が好ましい。
【0031】
本発明の好ましい態様では、上記オルガノハイドロジェンポリシロキサンと硬化触媒とから予め処理液を調製して使用する。処理液は、吹付け可能な形態であることが好ましく、オイル状、水系または有機溶媒系の溶媒に分散または溶解した液状物などであればよいが、高温の無機繊維への吹付けを考慮すれば、溶媒としては、可燃性の有機溶媒よりも水系が好ましい。
【0032】
上記のようなオルガノハイドロジェンポリシロキサンの硬化反応を充分進行させると撥水性のシリコーン硬化皮膜を形成するが、硬化反応が不充分なシリコーン硬化皮膜は、撥水性を充分に発現しない。一般に、室温におけるシリコーンの硬化反応はゆっくりと進行するため、硬化反応が不充分なまま製造されたシリコーン硬化皮膜は、製造から数日ないし一年経た後、撥水性を発現し始めることが多い。このように撥水性を発現するための熟成期間を要するシリコーン硬化皮膜は、撥水性を保証する時期が不明となる。本発明では、液状シリコーンを付着させた無機繊維は、製造直後から撥水性を発現することが望ましい。
【0033】
本発明の好ましい態様では、このように液状シリコーンを無機繊維に付着させて撥水性を付与する際に、製造直後から撥水性を発現する粒状無機繊維綿を得るためには、無機繊維に付着させる水分量を調整する。具体的には、無機繊維に水系処理液を吹付けるに際し、該処理液中に含まれる水分量が無機繊維に対し7質量%を越えない範囲とすれば、製造直後であっても充分な撥水性が得られる。具体的には、無機繊維に対する水分量が7%を越えないように製造された粒状無機繊維綿は、製造後(トロンメル6から排出後)24時間以内に高い撥水性を発現することができる。
【0034】
すなわち本発明では、上記水系処理液は、無機繊維に対する液状シリコーンの不揮発分量が0.3〜1質量%、水分量が7質量%以下となる量で、無機繊維に吹付けることが望まれる。
なお上記水分量が7%を越えると、製造直後には充分な撥水性を発現しない傾向がある。これは無機繊維のもつ余熱が水分の蒸発に奪われ、加熱なしではシリコーンの硬化反応に寄与する熱量が少なすぎて、硬化反応が充分に進行しないためと推測される。
【0035】
本発明の好ましい態様では、上記必須の液状シリコーンおよび硬化触媒、特には上記水系処理剤に加え、無機繊維に樹脂を付着させる態様も好ましい。この樹脂として、以下に説明する特定の樹脂エマルションが好ましく使用される。樹脂エマルションは、液状シリコーンおよび/または液状硬化触媒との混合物として付着してもかまわないし、これらとは別々に付着させてもかまわないが、付着させた樹脂エマルションを加熱・乾燥工程を別途加えずに充分乾燥させるために、液状シリコーンと同様、繊維化された無機繊維の余熱が常温まで降下する前に吹付ける必要がある。
【0036】
このため上記水系処理液がオルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび触媒とともに樹脂エマルションを含む態様は本発明の特に好ましい態様である。樹脂エマルションを含む水系処理液は、オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび触媒を含む水系シリコーン処理液中に、樹脂分(固形)を分散させて調製してもよいが、通常、水系シリコーン処理液と、樹脂エマルションとの混合により調製される。
【0037】
本発明で用いられる樹脂エマルションは、接着剤樹脂のエマルションであって無機繊維表面に好ましくは部分的に付着して繊維間接着剤として機能して、軽量で復元力のある無機繊維の粒状綿構造を形成するものであり、上記液状シリコーンおよび触媒に加えて、この樹脂エマルションを用いることにより、撥水性粒状無機繊維綿のうちでも嵩密度がより小さく、かつ圧縮後に復元力があり、ブローイング工法に適したものを得ることができる。
【0038】
ここで接着剤の最低造膜温度(MFT)が集綿室温度よりも高いと軽量化構造を形成するための接着剤として充分に機能することができず、嵩密度の低い粒状無機繊維綿を得ることが困難となる。このため接着剤の造膜性により無機繊維の軽量化粒状綿構造を形成し、これを保持するためには、樹脂エマルションの最低造膜温度は、無機繊維の余熱以下であることが好ましく、具体的には50℃以下である。この最低造膜温度(50℃以下)は、実質的に集綿室温度以下であることを意味する。
【0039】
なお上記最低造膜温度は、JIS K6828で規定される造膜性に基づいて、エマルションから水分が蒸発して粒子が互いに融着して連続した皮膜ができる温度として測定される。具体的には、エマルションをスライドガラスの上に塗布し、所定の温湿度に保って乾燥し、厚さ0.1〜0.3mmの均一な皮膜を作り、一様な連続皮膜であるか、白濁しているかどうかを肉眼で観察して測定される。温度勾配熱板形最低造膜温度測定器など市販の装置を用いて測定することができる。
【0040】
また上記のような粒状無機繊維綿の軽量化構造を形成し、なおかつ圧縮から解放した際にもこの構造を復元させるために、樹脂エマルションから得られる樹脂膜は、ある程度の硬さを有する必要がある。樹脂は、ガラス転移点(Tg)以下の温度では硬いガラス状態で繊維間を接着し、かつ保型する効果が大きいが、ガラス転移点以上の温度では樹脂はゴム状となる。本発明では、樹脂が常温でガラス状態に近く、接着性・保型性をもつために、10℃以上のガラス転移点を有する樹脂膜を形成する必要がある。ここで、このガラス転移点は、本質的に多くの分子の平均値として求められる測定値である。したがって実際には、樹脂膜のガラス転移点測定値より20℃程度高い温度でも、接着性・保型性を維持することができ、ガラス転移点測定値が最低10℃であれば、通常使用される温度条件下では接着性・保型性を維持することができる。
【0041】
上記のように本発明の目的を達成するために、ガラス転移点は10℃以上であればよく、必ずしも室温以上でなくてもよいが、ガラス転移点が10℃よりも低いと、常温でも接着剤(樹脂膜)が軟化しやすく、接着性・保型性を維持することが困難となる。このため、製造直後には低嵩密度が可能であっても、接着剤が軟化した状態で長い間保存することにより、特に圧縮梱包して保存すると、梱包を解いた後に軽量構造を復元しにくく、低嵩密度に戻すことが困難となる。樹脂皮膜のガラス転移点は、主として熱機械測定(TMA)、示差熱分析(DTA)、示差走査熱量計(DSC)などで測定することができる。
【0042】
本発明での樹脂エマルションは、最低造膜温度が50℃以下で、ガラス転移点が10℃以上であれば特にエマルション樹脂は特に限定されない。一般的に熱硬化性樹脂のエマルションの場合、熱硬化により造膜するため、最低造膜温度は50℃よりも高く、上記条件を満たすものは極めて少ない。このため、通常は熱可塑性樹脂のエマルションが用いられる。
【0043】
熱可塑性樹脂は、上記条件を満たし、水溶性でなければ特に制限なく使用することができる。一般的に乳化重合により得られる樹脂エマルションを使用することができ、たとえばポリ酢酸ビニル、エチレン/酢酸ビニル共重合体(EVA)、バーサチック酸ビニル(VEOVA TM)の重合体、酢酸ビニル/バーサチック酸ビニル(VEOVA TM)共重合体などの酢酸ビニル系共重合体、アクリル樹脂、アクリル/スチレン共重合体、アクリル/バーサチック酸ビニル(VEOVA TM)共重合体などのアクリル系共重合体などのエマルションを挙げることができる。さらに分散による樹脂エマルションを使用することもでき、たとえばポリエステルエマルションなどを挙げることができる。
上記各エマルションを併用してもよい。
【0044】
また本発明で用いられる樹脂エマルションは、最低造膜温度およびガラス転移点が上記条件を満たせばよく、主成分樹脂の化学的種類で規定されるのではない。したがってたとえば自身の最低造膜温度は50℃を超えるものである熱可塑性樹脂であっても、他成分の添加あるいは他のエマルションとの混合により最低造膜温度を低下させることもできる。また一般的にエマルションに含まれる乳化剤、可塑剤など種々の添加剤を適宜に含むことができる。エマルションに含まれる樹脂の分子量なども特に限定されない。
エマルションは、上記処理液と同様、有機溶媒系の樹脂溶液は、溶融無機物との接触により発火の危険性があり、通常水溶媒であるが、必要に応じて水と相溶性の溶媒を少量含んでいても構わない。
【0045】
本発明では、上記のような樹脂エマルションを、無機繊維に対し、固形分換算で1質量%を超える量で付着させることが望ましい。このように無機繊維の接着剤として、上記のような最低造膜温度とガラス転移点で特定される樹脂エマルションを選択し、これを従来の樹脂使用量よりも多量に無機繊維に付着させることにより、集綿時に過度の接着による不具合を生じにくく、軽量構造を形成して嵩密度の小さい粒状無機繊維綿を得ることができる。
【0046】
樹脂エマルションを用いて軽量化を図る場合、この付着量が1質量%以下であると、綿構造を保型しにくく、特に圧縮梱包すると解放した後も復元せず、嵩密度が高くなったままで軽量化が困難となる。なお過度に接着剤を付着してもそれによる軽量化は望めず、コスト高をまねき、さらには綿状化が困難になりかえって嵩密度が高くなることもある。熱可塑性樹脂のエマルションの場合には、付着量は、通常、1.5〜2.0質量%程度である。
【0047】
なお上記接着剤として、メチロールフェノール水溶液などの熱硬化性樹脂を形成するモノマーの水溶液を用いた場合には、硬化に充分な熱を得ることができないため、繊維間が接着できず、粒状無機繊維綿の低嵩密度化は望めない。
またポリエチレングリコール、ポリアクリルアマイドなどの親水性が強い水溶性樹脂では撥水性が得られにくく、また水溶性樹脂は製品を水と接触することにより接着能力が低下するので適しているといえない。
【0048】
エマルション濃度は、樹脂の種類によっても異なることがあり、特に限定されないが、エマルションの水分が繊維の余熱で蒸発し、乾燥することが望ましい。このためエマルション吹付け量が多いと梱包時に水分が残存し、保型効果が得られず、粒状無機繊維綿の嵩密度を小さくできなくなるおそれがある。樹脂エマルションを、固形分換算で1質量%超の量で付着させ、かつ水分の残存しない製品を得るために、樹脂エマルションは、固形分濃度20〜40質量%程度で用いることが好ましい。固形分濃度は、一般に水で希釈して調整する。
【0049】
また上記各処理液を使用する方法によれば、嵩密度が小さく、ブローイング工法用断熱材として有用な撥水性粒状無機繊維綿を得ることができる。たとえば樹脂エマルションを含まない態様で得られる撥水性粒状無機繊維綿の具体例として、シリコーン硬化皮膜を有し、嵩密度が45kg/m3 以下の撥水性ロックウール粒状綿を提供することができる。
【0050】
また樹脂エマルションを併用して得られる撥水性粒状無機繊維綿の具体例として、嵩密度が40kg/m3 以下、特に20〜40kg/m3 に軽量化された撥水性ロックウール粒状綿を提供することができる。このように軽量化された撥水性粒状無機繊維綿は、特に住宅の天井裏等に施されるブローイング工法用断熱材などとしての価値が高い。このような用途に使用される撥水性粒状無機繊維綿の寸法は、通常1〜5cm程度である。
【0051】
上記のような本発明の粒状無機繊維綿は、嵩密度60kg/m3 以上、好ましくは200kg/m3 程度に圧縮することができる。特に樹脂エマルションを併用して得られる撥水性粒状無機繊維綿は、圧縮後に復元性があり、圧縮を解放した際には元の保型構造を復元して圧縮前の嵩密度に戻ることができる。このような復元構造を有していると、圧縮梱包して搬送を省力化することができ、施工現場では上記軽量化ブローイング工法による低嵩密度を達成することができる。
【0052】
【実施例】
次に本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。なお以下に示す成分量%は、特にことわりのない限り質量単位である。
(実施例1)
<水系処理液の調製>
オルガノハイドロジェンポリシロキサン含有液(信越化学工業社製Polon MF-49 、不揮発分22%)8質量部と、スズ系触媒(信越化学工業社製CAT-PM-4PS-2、不揮発分30%)2質量部とを混合した後、水10質量部で希釈して水系処理液を調製した。
【0053】
<粒状無機繊維綿の製造>
図1に示す工程で粒状無機繊維綿を製造した。
高炉スラグ(85質量%)および珪砂(15質量%)を電気炉(1520℃)1で溶融した。溶融物を4連の高速回転(6000rpm)ホイールからなるスピナー2のホイール側面に連続的に供給するとともにホイールの背面から、風速100m/秒(吹き出し口速度)でエアを送り込み繊維化すると同時に、スピナー2の外周から10cm離れて配置されたノズルから、上記水系処理液を、処理液中に含まれるオルガノハイドロジェンポリシロキサンの不揮発分(以下「ポリシロキサン不揮発分」と略記する)が無機繊維に対し0.2質量%となる量で吹付けた。このときの無機繊維に対する水系処理液中の吹付け水分量(質量%)は2.0%である。その後、特に加熱せずに、集綿室3(68℃)内に導入して集綿した。次いで集綿体をビッカー4で小分けし、グラニュレータ5とトロンメル6を用いて粒状化した。
【0054】
得られた粒状無機繊維綿の撥水性の指標として、製造後24時間および1週間経過後の吸水率を以下のように求めた。この結果を、無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量および水分量、粒状無機繊維綿の嵩密度とともに表1中に示す。
【0055】
<吸水率測定法>
無機繊維約10gをポリエチレンネットで、200mm×50mm、厚さ30mm程度の春巻状に包み、両端を固定する。この包みを金網で押え水中に浸漬する。この際、水面は上面を押さえている金網の面と同じ高さにする。24時間水中浸漬した後、包みを解き、中の無機繊維を取り出して、表面に付着した水滴を拭き取って、重量を測定しW1 とする。
その後、無機繊維を110℃の乾燥機に入れ、重量変化が無くなったときの重量をW0 とした。下式に基づいて、吸収率(質量%)を算出した。
吸収率(質量%)={(W1 −W0 )/W0 }×100
製造から一週間後の吸収率が10質量%以下であれば、合格と判断した。
【0056】
(実施例2)
上記水系処理液を、ポリシロキサン不揮発分が無機繊維に対し0.6%となる量で吹付け、これにより吹付け水分量が6.0%に増加した以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0057】
(実施例3)
<水系処理液の調製>
実施例1の3倍量の水で希釈した以外は、実施例1と同様にして水系処理液を調製した。すなわちオルガノハイドロジェンポリシロキサン含有液(信越化学工業社製Polon MF-49 、不揮発分22%)8質量部と、スズ系触媒(信越化学工業社製CAT-PM-4PS-2、不揮発分30%)2質量部との混合物を、水30質量部で希釈した。
【0058】
<粒状無機繊維綿の製造>
上記で得られた水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が実施例1と同率の0.2%、吹付け水分量が4.3%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0059】
(実施例4)
実施例3で調製した水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が0.6%、吹付け水分量が12.8%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0060】
(比較例1)
<水系処理液の調製>
実施例1と同じオルガノハイドロジェンポリシロキサン含有液8質量部を、水12質量部で希釈して、触媒を含まない水系処理液を調製した。
【0061】
<粒状無機繊維綿の製造>
無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が実施例1と同率の0.2%、吹付け水分量が2.1%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0062】
(比較例2)
比較例1で調製した水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が0.6%、吹付け水分量が6.2%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0063】
(実施例5)
<水系処理液の調製>
オルガノハイドロジェンポリシロキサン含有液(信越化学工業社製Polon MF-49 、不揮発分22%)8質量部、スズ系触媒(信越化学工業社製CAT-PM-4PS-2、不揮発分30%)2質量部およびアクリル系エマルション(クラリアントポリマー社製、モビニール742N、不揮発分45%、最低造膜温度50℃、Tg48℃)30質量部を混合した後、水15質量部で希釈して処理液を調製した。
【0064】
<粒状無機繊維綿の製造>
上記で得られた水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が0.2%、吹付け水分量が4.4%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0065】
(実施例6)
実施例5で調製した水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が0.3%、吹付け水分量が6.7%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0066】
(実施例7)
実施例5で調製した水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が0.4%、吹付け水分量が8.9%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0067】
(比較例3)
<水系処理液の調製>
実施例5と同じオルガノハイドロジェンポリシロキサン含有液8質量部および実施例5と同じアクリル系エマルション30質量部を混合した後、水17質量部で希釈して触媒を含まない水系処理液を調製した。
【0068】
<粒状無機繊維綿の製造>
上記で得られた水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が実施例5と同率の0.2%、吹付け水分量が4.5%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0069】
(比較例4)
比較例3で調製した水系処理液を、無機繊維に対するポリシロキサン不揮発分量が0.3%、付着け水分量が6.8%となる量で吹付けた以外は、実施例1と同様にして粒状無機繊維綿を製造した。無機繊維に吹付けたポリシロキサン不揮発分量、吹付け水分量、嵩密度および実施例1と同様に測定した吸水率を表1中に示す。
【0070】
【表1】
【0071】
【発明の効果】
本発明によれば、硬化反応の充分進行したシリコーン硬化皮膜をもち、製造直後から撥水性を発現しうる撥水性粒状無機繊維綿を、特に硬化反応のための加熱工程を加えずに製造することができる。
このような本発明で提供される撥水性粒状無機繊維綿は、水に触れても吸水しにくいため、吸水に伴う断熱性の低下を防止することができ、あるいは吸水による沈下を生じにくいため、施工時の高さまたは厚みを保持することができ、ブローイング工法による施工品質を長期間保証することができる。
【0072】
また特に樹脂エマルションを併用して得られる嵩密度20〜40kg/m3 の軽量化された撥水性粒状無機繊維綿は、圧縮梱包して搬送することができ、しかも圧縮解放後には、ほぼもとの嵩密度に復元することもでき、特にブローイング工法に有用であり、嵩密度が小さく重量負担を軽減することができることから住宅の天井裏、壁等に施工される軽量化断熱材などとしての価値が高い。
【0073】
なお耐熱性能、均質性・施工性、吸音・防音性能、断熱・保温性能などに優れることから、防火区画貫通部・スキ間の充填材として、吸音板、外装材、不燃紙などの産業資材などの広範な用途に用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 粒状無機繊維綿のプロセス例を模式的に示す図である。
【符号の説明】
1 炉
2 スピナー
3 集綿機
4 ビッカー
5 グラニュレータ
6 トロンメル
7 粒状無機繊維綿
Claims (6)
- 溶融した無機物を繊維化し、集綿して粒状化するに際して、繊維化された無機繊維を集綿する工程において、該無機繊維のもつ余熱が常温まで降下する前に、液状オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよび液状シリコーン硬化触媒を付着させ、加熱することなく前記無機繊維の余熱により、最低造膜温度が50℃を超える接着剤樹脂を含まないシリコーン硬化皮膜を形成する撥水性粒状無機繊維綿の製造方法。
- 前記液状オルガノハイドロジェンポリシロキサンを、その不揮発分換算で無機繊維に対し0.1〜3質量%の量で付着させる請求項1に記載の撥水性粒状無機繊維綿の製造方法。
- 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびシリコーン硬化触媒からなる水系処理液を調製し、該水系処理液中の水分量が前記無機繊維に対し、7質量%以下となる量で、該水系処理液を吹付ける請求項1または2に記載の撥水性粒状無機繊維綿の製造方法。
- 前記オルガノハイドロジェンポリシロキサンおよびシリコーン硬化触媒に加え、最低造膜温度50℃以下の樹脂のエマルションを付着させる請求項1ないし3のいずれかに記載の撥水性粒状無機繊維綿の製造方法。
- 前記無機繊維がロックウールである請求項1ないし4のいずれかに記載の撥水性粒状無機繊維綿の製造方法。
- シリコーン硬化皮膜を有し、最低造膜温度が50℃を超える接着剤樹脂を含まない、嵩密度が45kg/m3 以下である撥水性粒状無機繊維綿。
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