JP4073076B2 - スカム破砕装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、下水処理場の沈殿池に原水を分配する導水渠等に発生するスカムを破砕するスカム破砕装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
下水処理場の沈殿池に原水を分配する導水渠においては、原水に含まれている浮上性物質(スカム)により水面にスカム層が形成される。このスカム層は、除去せずに放置すると、処理水質の低下を招くので、導水渠内で可能な限り除去する必要がある。
【0003】
導水渠内のスカムの除去は、従来は、作業員が定期的に柄杓で汲取ったり、作業員がバキュームカーのホースを用いて吸引したりして行っていた。
【0004】
本出願人は、作業員の手作業によるスカム除去に代えて、自動的にスカムを除去できるスカム吸引装置を先に提案した。
【0005】
この提案に係るスカム吸引装置は、水面の変動に追従して吸引パイプが上下動し、さらに、寄せ板及び分離板により原水とスカムとを効果的に分離することができるので、スカムを高濃度で吸引除去できるという特長を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述のように、先の提案に係るスカム吸引装置を用いると、スカムの吸引除去が自動化されるので、作業員の負担を軽減することができ、また、導水渠が暗渠化されている場合でもスカム除去が可能となる。
【0007】
しかし、スカム吸引除去が行われるためには、スカムが原水の水流に乗って吸引パイプの位置まで移動しなければならない。
【0008】
ところが、導水渠に形成されるスカムは、所定の厚さを有するスカム層を形成し、そのスカム層が沈殿池の流入扉のスピンドルに引っ掛かったりして、導水渠内で厚みが大きくなってブリッジ現象を起こし、スカム層が水流によって移動しなくる。このため、スカム層が吸引パイプに到達せず、吸引パイプによるスカム吸引除去ができなくなるという問題がある。
【0009】
このような問題を解決するために、スカム層に水を噴射(散布)してスカム層の移動を促すことも考えられるが、噴射箇所の一部でしかスカム層を破砕できず、スカム層の全体を破砕し移動することができないという問題が発生してしまう。
【0010】
また、スカムを吸引パイプ側に移動させる手段として、無端チェーンコンベアにブレードを設けた機械式のスクレーパを設けることも考えられるが、導水渠内には沈殿池の流入扉が設けられるとともに、その操作用スピンドルが水面上に突出しているので、これらを避けて新たな装置を実装することは極めて困難である。特に、導水渠が暗渠式のときは、機械式のスクレーパの実装がさらに困難となる。
【0011】
そこで、本発明は、導水渠内の原水に形成されたスカムがブリッジ現象を起こさないように、仮にブリッジ現象を起こしても、それを破砕し、スカム除去機構まで水流に乗せて送ることができるスカム破砕装置を提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明に係るスカム破砕装置は、上記目的を達成するために、(a)導水渠内又は導水渠と沈殿池内に設けられた複数の造波機構とスカム除去機構とからなること、(b)前記造波機構は、原水の水流方向に所定の間隔を持って設けられ、上下方向の移動により接触している水面に水流方向に波を発生させる傾斜面を有する立体物と、その立体物を所定速度で水面に対して昇降させる昇降手段とからなること、(c)前記スカム除去機構は、前記造波機構の最下流側に設けられ、前記造波機構により発生された波により破砕され、流れるスカムを受け入れるものであることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るスカム破砕装置を沈殿池に原水を分配する導水渠に適用したときのカバーを除去して示した平面図、図2は、図1のA−A線断面図である。
【0014】
導水渠1は、複数(図示の例では3個)の沈殿池2a〜2cに原水を供給できるように、各沈殿池の上流側に設けられた細長い水路状に形成されていて、導水渠1内の原水が流入扉3a〜3cを介して各沈殿池2a〜2cにそれぞれ供給されるように構成されている。
【0015】
図中、10a〜10cは、導水渠1内に設けられた造波機構であって、導水渠1の水流(導水渠1内の矢印丸1参照)に沿って所定の間隔を保って設けられている。各造波機構10a〜10cの設置間隔は、後述する立体物の容積の大小、その立体物の上下動の周期、導水渠1の幅、導水渠1内の水流の速さ、原水の水質(スカムの性質)等により一様でないが、数mの間隔、例えば、5〜10mの間隔に設けられる。
【0016】
各造波機構10a〜10cは同一構成であるので、以下、造波機構10aを例に説明する。
【0017】
造波機構10aは、図3に示されるように、導水渠1の水面に対して垂直方向に上下動して出入れする立体物11と、その立体物11を上下動させる図示しないモータによって駆動されるクランク機構からなる駆動部12とから構成されている。
【0018】
立体物11の形状は、図2に示されるように、導水渠1内の水流方向に効果的に波を発生できるように傾斜しており、その容積は一例として3リットル以上に設定することが望ましい。導水渠1内で水流方向の波を発生させることにより、破砕たスカムを破たまま、後述されるスカム除去機構の方向に流ことができる。
【0019】
本発明者らは、水面に堆積したスカム層を全面にわたって確実に破砕させるために最適な波を研究した。先ず、下水処理施設において、スカム層が発生する場所は、スペース的確保が困難等の理由からスカム掻寄装置が設置できない場所であって、導水渠や、沈殿池に設けられたチェーンフライト式汚泥掻寄装置の中間軸とスカム除去装置(スカムスキマ)の間等であることが調査の結果判った。そこで、これらのスカム発生域(水面表面積)を算出すると、導水渠では18〜22.5m2 、沈殿池においては10〜15m2 である。そして、実験の結果、5cmの厚さまで成長したスカム層を10メートル離れた位置から破砕させるためには、5リットル以上の容積の立体物を水中で1分間に10回以上移動させて波を発生させればよいことがわかった。ただし、必要以上に容積が大きく、また、必要以上に移動の回数を多くすることは、その分だけ消費電力がかさむため得策ではない。
【0020】
図中、20は、導水渠1の下流側端部に設けられたスカム除去機構である。このスカム除去機構20は、流れてくるスカムを寄せ板21で吸引パイプ22側に集めるとともに、分離板23で水とスカムとを分離できるように構成されている。また、これらは、変動する水位に追従させることができるように構成されている。したがって、水流に乗って流れてくるスカムは、吸引パイプ22の原水流入側に設けられた切欠24を介して吸引することができる。この吸引の際、図示されていないが、切欠24中に水位が位置しているので、スカムを高濃度の状態で効率よく吸引除去することができる。
【0021】
なお、スカム除去機構20としては、上述の吸引パイプ式によらず、パイプスキマ等の周知のスカム除去機構を採用することもできる。ただし、導水渠等の水位変動が大きな下水処理施設では、越流堰等の固定式トラフでは処理水までも飲込んでしまうため、可動堰を有するパイプスキマのようなスカム除去部(開口部)が水位に追従可能なスカム除去装置であることが好ましい。
【0022】
また、上述の例では、造波機構として立体物を水中に出入れする機構としたが、水面に水流方向の波を発生できる機構であれば、他の機構、例えば、水車により水面に水流方向の波を与えるようにしてもよいし、水中下での機構であってもよい。
【0023】
さらに、スカム破砕装置を適用する装置としては、上述の導水渠に限らず、沈殿池等であってもよいことはもちろんである。特に、無端チェーンコンベアにブレードを設けた機械式のスクレーパ等のスカム掻寄装置が設置できない下水処理施設に本スカム破砕装置は最適である。
【0024】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、上下方向の移動により接触している水面に水流方向に波を発生させる傾斜面を有する立体物と、その立体物を所定速度で水面に対して昇降させる昇降手段とからなる複数の造波機構を原水の水流方向に所定の間隔を持って設け、前記造波機構の最下流側に、前記造波機構により発生された波により破砕され、流れるスカムを受け入れるスカム除去機構を設けてあるから、スカム層を波により確実に破砕するとともに、破砕したスカムを水流に乗せてスカム除去機構の方向に流すことができるので、スカムの除去が確実に行われる。そして、造波機構を、上下方向の移動により接触している水面に水流方向に波を発生させる傾斜面を有する立体物と、その立体物を所定速度で水面に対して昇降させる昇降手段とから構成したので、構造簡単で安価な手段を用いて、スカムの破砕実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係るスカム破砕装置を沈殿池の導水渠に適用したときの平面図である。
【図2】 図1のA−A線断面図である。
【図3】 造波機構の斜視図である。
【符号の説明】
1 導水渠
2a〜2c 沈殿池(最初沈殿池)
3a〜3c 流入扉
10a〜10c 造波機構
11 立体物
12 駆動部
20 スカム除去機構

Claims (1)

  1. (a)導水渠内又は導水渠と沈殿池内に設けられた複数の造波機構とスカム除去機構とからなること、
    (b)前記造波機構は、原水の水流方向に所定の間隔を持って設けられ、上下方向の移動により接触している水面に水流方向に波を発生させる傾斜面を有する立体物と、その立体物を所定速度で水面に対して昇降させる昇降手段とからなること、
    (c)前記スカム除去機構は、前記造波機構の最下流側に設けられ、前記造波機構により発生された波により破砕され、流れるスカムを受け入れるものであること、
    を特徴とするスカム破砕装置。
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