JP4072841B2 - 超高純度ガスの製造方法及び製造装置 - Google Patents

超高純度ガスの製造方法及び製造装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、低圧側精留塔と高圧側精留塔とがリボイルコンデンサを介して上下に配置された複式精留塔を用いて、予備精製した原料流体を順次精製することにより超高純度ガスを製造する製造方法及び製造装置に関し、特に超高純度アルゴンの製造に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
精留塔を利用した各種ガスの分離・精製(深冷分離)は、空気から各種成分を低温分離する技術や各種産業設備の排出ガスから有用ガスを高純度で回収する技術などに利用されている。精留塔の基本原理は、気液平衡にある気体と液体の組成が異なる現象を利用して、塔内の精留部を下降する還流液と、精留部を上昇する蒸気とを気液接触させながら、蒸発と凝縮を繰り返すことで、精留部の下側に高沸点成分が、上側に低沸点成分が濃縮されていくと言うものである。その際、塔頂部から還流液を降下させ、また塔底部から還流蒸気を発生させるため、通常、凝縮器とリボイラが、それぞれ精留塔の塔頂部と塔底部に設けられる。
【0003】
このような精留塔を利用して、より高純度なガスを製造する場合、原料ガス等を第1精留塔で精製し、得られた高純度ガス等を第2精留塔に導いて、更に精製する方法が採られる場合が多い。従って、複数の精留塔を用いる各種形態の高純度ガスの製造方法が、これまで数多く出願されている。
【0004】
このような技術は大きく分けると、第1精留塔と第2精留塔とをそれぞれ単精留塔として別々に設けるタイプと、第1精留塔(高圧側精留塔)と第2精留塔(低圧側精留塔)とを複合・合体させた複式精留塔を使用するタイプが存在する。そして、前者のタイプとしては、例えば、特公平7−85761号公報には、第1精留塔の原料流体の供給部より塔底側のガスの一部を抜き出し、第2精留塔の塔底部に導きつつ、その塔底部から抜き出した液体を第1精留塔の塔底側に戻しながら、第2精留塔の塔頂部から超高純度ガスであるアルゴン等を回収する方法が記載されている。
【0005】
しかし、上記の如き方法では、超高純度のガスを製造することができるものの、2基の単精留塔を別々に設けるため、複式精留塔を使用するタイプに比べて、装置の複雑化、コスト上昇、設置スペースの増大等の不利な面があった。
【0006】
そのため、複式精留塔を使用するタイプも種々提案されている。かかる複式精留塔は、一般的に、低圧側精留塔と高圧側精留塔とがリボイルコンデンサを介して上下に配置され、下側に配置される高圧側精留塔から、精製ガス又は塔底液を抜き出し、圧力調整のための弁を介して、上側に配置される低圧側精留塔の精留部に導いて、更に精製を行う方法が採られる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法では、製品圧力が原料供給圧より低くなるため、通常、製品用の圧縮機を更に設ける必要があり、このため、超高純度の製品が汚染され易いという問題があった。
【0008】
そこで、本発明の目的は、複式精留塔を長所を生かしつつ、製品用圧縮機を設けなくても圧力調節が可能で、しかも超高純度のガスを製造することができる超高純度ガスの製造方法を提供することにある。
【0009】
なお、特開平8−14736号公報には、低圧精留塔の塔頂より抜き出したガスを圧縮した後、中圧精留塔に導いて精製を行う方法が記載されているが、当該圧縮は、比較的純度の低い空気をリサイクルさせるために行うものであり、本発明における加圧とは、目的や技術思想が相違するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的は、下記の如き本発明により達成できる。即ち、本発明は、低圧側精留塔と高圧側精留塔とがリボイルコンデンサを介して上下に配置された複式精留塔を用いて、予備精製した原料流体を順次精製することにより超高純度ガスを製造する工程を有する超高純度ガスの製造方法において、前記原料流体を前記低圧側精留塔の精留部に供給しつつ、前記低圧側精留塔の前記原料流体の供給部より塔底側の流体の一部を抜き出した後、昇圧機により加圧し、その加圧した加圧流体を前記高圧側精留塔の精留部又は塔底部に導入しながら、その高圧側精留塔の前記加圧流体の供給部より塔頂側から超高純度物質を回収することを特徴とする。なお、「超高純度ガス」とは、1塔の精留塔による精製ガスより、更に高純度であるガスを指すものであり、相対的な意味のみを有する。
【0011】
上記において、各種のリサイクル経路を設けることで、リボイラやコンデンサの熱源や冷却源を好適に発生させることができるが、前記高圧側精留塔の塔底液を抜き出して減圧し、前記低圧側精留塔の凝縮器の冷媒貯留部に導入し、その冷媒貯留部で気化したガスを圧縮機で圧縮した後、リボイルガスとして前記高圧側精留塔の塔底部に供給するリサイクル経路を構成すると共に、前記低圧側精留塔より抜き出した前記流体を加圧するにあたり、弁を介してその流体を前記リサイクル経路の圧縮機の上流側に供給混合することが好ましい。
【0012】
上記において、前記原料流体は、精留に支障をきたさない程度に予備精製されているものであればよいが、原料流体が、純度95容量%以上のアルゴンであって、より低沸点の物質と、より高沸点の物質とを不純物として含有するものであることが好ましい。
【0013】
一方、本発明の製造装置は、原料流体の供給部を中間に備えた精留部、及びその精留部からのガスを液化して一部還流液として供給する凝縮器を有する低圧側精留塔と、その低圧側精留塔の下方に配置され、精留部を有する高圧側精留塔と、前記低圧側精留塔と前記高圧側精留塔との間に介在し、超高純度製品を未液化ガスとして回収する回収部を有するリボイルコンデンサとを備えた複式精留塔と、前記高圧側精留塔の塔底液を抜き出して減圧し、前記低圧側精留塔の凝縮器の冷媒貯留部に導入し、その冷媒貯留部で気化したガスを圧縮機で圧縮した後、リボイルガスとして前記高圧側精留塔の塔底部に供給するリサイクル経路と、前記原料流体の供給部より塔底側の流体の一部を、弁を介して前記リサイクル経路の圧縮機の上流側に供給混合する導出経路とを備えたものである。
【0014】
[作用効果]
本発明によると、低圧側精留塔の流体の一部を抜き出した後、昇圧機により加圧して高圧側精留塔に導入し、その際の圧力が製品圧をほぼ決定するため、両塔における好ましい圧力バランスを維持しながら、主にこの昇圧機により、製品圧を調節することができる。その際、原料流体を低圧側精留塔の精留部に供給しつつ、より塔底側の流体の一部を抜き出した後、高圧側精留塔の精留部又は塔底部に導入しながら、より塔頂側から超高純度物質を回収するため、低圧側精留塔と高圧側精留塔とで、順次精留が行われるので、超高純度の製品が回収でき、しかも、上記のように製品用圧縮機が不要になるため、より高純度の製品を得ることができるようになる。
【0015】
その結果、複式精留塔を長所を生かしつつ、製品用圧縮機を設けなくても圧力調節が可能で、しかも超高純度のガスを製造することができる超高純度ガスの製造方法を提供することができた。
【0016】
また、上記の如きリサイクル経路を構成すると共に、前記低圧側精留塔より抜き出した前記流体を加圧するにあたり、弁を介してその流体を前記リサイクル経路の圧縮機の上流側に供給混合する場合、
リサイクル経路が、高圧側精留塔のリボイラの役割を有すると共に、低圧側精留塔のコンデンサの冷却源を好適に発生させることができる。その際、低圧側精留塔より抜き出した流体を加圧するにあたり、弁を介してその流体を前記リサイクル経路の圧縮機の上流側に供給混合するため、加圧のための昇圧機を圧縮機で兼用することができ、しかも弁により流量調節が可能なため、両塔における精留操作のバランスを好適に調節することができる。
【0017】
また、前記原料流体が、純度95容量%以上のアルゴンであって、より低沸点の物質と、より高沸点の物質とを不純物として含有するものである場合、
より低沸点の物質を略完全に低圧側精留塔で除去することができるため、より高沸点の物質を高圧側精留塔で除去することにより、超高純度のアルゴンを製造することができる。また、低圧側精留塔で低沸点の物質を略完全に除去してあるため、上記の如きリサイクル経路を採用しても、製品の純度が低下しにくい。
【0018】
一方、本発明の製造装置によると、上記の如き作用効果により、複式精留塔を長所を生かしつつ、製品用圧縮機を設けなくてもよく、しかも超高純度のガスを製造することができる。また、リサイクル経路が、高圧側精留塔のリボイラの役割を有すると共に、低圧側精留塔のコンデンサの冷却源を好適に発生させることができ、更に、低圧側精留塔より抜き出した流体を加圧するための昇圧機を圧縮機で兼用することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、本発明の第1実施形態〜第3実施形態、第3実施形態を利用したアルゴン回収設備の順で説明する。
【0020】
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態として、図1に示すような、最もシンプルな実施形態を例示する。
【0021】
原料流体は経路L1より低圧側精留塔10に供給されるが、これに先立って、図示してない設備により、通常、予備精製、冷却、圧縮等が行われる。予備精製では、精留塔で除去しにくい成分や、塵等の固体成分などの不純物が除去されたり、また、予め原料をかなりの高純度にするための精製操作が行われる。冷却と圧縮は、原料流体の温度と圧力を、精留塔10に供給するのに適した範囲にするために行われ、通常、低圧側精留塔10の供給部よりやや高い圧力まで圧縮され、その圧での液化温度の近傍まで冷却される。
【0022】
低圧側精留塔10の内部の原料流体の供給部より塔頂側(上側)には、精留部12が設けられており、供給部より塔底側(下側)には、精留部11が設けられている。精留部11,12の型式には、棚段式や充填式等があり、いずれの型式も採用できる。精留部11,12では、下降する還流液と上昇する蒸気とが気液接触しながら、蒸発と凝縮を繰り返すことで、精留部11,12の下側ほど製品及び高沸点不純物が、上側ほど低沸点不純物が濃縮される。
【0023】
低圧側精留塔10の塔底部、即ち、複式精留塔の低圧側精留塔10と高圧側精留塔20との境界部には、低圧側精留塔10のリボイラと高圧側精留塔20の凝縮器とを兼用するリボイルコンデンサ14が設けられている。このリボイルコンデンサ14では、高圧側精留塔20の塔頂部のガスを熱源として、低圧側精留塔10の塔底液をリボイルさせながら、同時に、低圧側精留塔10の塔底液を冷却源として、高圧側精留塔20の塔頂ガスの一部を凝縮させる。その際、低圧側精留塔10の塔底液の一部は、弁23を介して経路L2から排出される。
【0024】
一方、低圧側精留塔10の塔頂には凝縮器13が設けられており、経路L5より導入する冷媒により、塔頂ガスの一部を液化させて還流液としつつ、残部を排出ガスとして経路L7より弁15を介して排出する。凝縮器13の冷媒貯留部に貯留される冷媒は、一部が蒸発して経路L6より弁16を介して排出される。なお、凝縮器13の型式や、冷媒、冷却源等は、いずれでもよい。
【0025】
本発明では、上記のようにして原料流体を低圧側精留塔10で精製した後、得られた高純度流体を高圧側精留塔20に導いて更に精製を行う際、低圧側精留塔10の原料流体の供給部より塔底側の流体の一部を抜き出した後、昇圧機により加圧し、その加圧した加圧流体を高圧側精留塔20の塔底部(又は精留部)に導入する。導出経路L8により塔底側から抜き出す流体は、ガスでも還流液でもよいが、本実施形態では、塔底側のガスを抜き出して、昇圧機として圧縮機31を用いてガスの圧縮を行う例を示す。
【0026】
経路L9より導入された加圧流体は、低圧側精留塔10の場合と同様に、高圧側精留塔20内の精留部21をガス成分が上昇しつつ、下降する還流液と気液接触しながら、蒸発と凝縮を繰り返すことで、精留部21の上側ほど製品が、下側ほど高沸点不純物が濃縮される。このため、高圧側精留塔20の塔頂部からリボイルコンデンサ14を経由して、未液化ガスを経路L10にて抜き出すことで、超高純度の製品流体(製品ガス)を回収することができる。
【0027】
高圧側精留塔20の塔底部にはリボイラ22が設けられており、塔底部の経路L11より塔底液を抜き出して蒸発させ、リボイルガスとして経路L12より塔底部に戻している。その際、塔底液の一部は弁23を介して経路L13から排出される。なお、リボイラ22の型式や熱源は、いずれでもよい。
【0028】
次に、以上の装置における、各部の圧力の関係について説明する。低圧側精留塔10内の圧力と、高圧側精留塔20内の圧力は、概略、リボイルコンデンサ14の高温側/低温側の設計温度差に相当する圧力差が生じるような圧力に設定される。従って、昇圧機の出口側圧力を上記の圧力差とは無関係に設定できるため、当該出口側圧力により製品圧を決定することができ、製品圧は出口側圧力より若干低い圧力となる。
【0029】
(第2実施形態)
本発明の第2実施形態として、図2に示すように、第1実施形態における低圧側精留塔10に精留部18を更に付加したものを例示する。なお、他の部分については、第1実施形態と同様であるため、相違する部分についてのみ説明する。
【0030】
この精留部18は、精留部11の下方(塔底側)であって、導出経路L8との接続部よりも下側(塔底側)の位置に設けられる。従って、第1実施形態では、低圧側精留塔10の塔底液に近い組成のガスが、導出経路L8から抜き出されるのに対して、第2実施形態では、精留部18が介在する分だけ、高沸点不純物の含有量が少ないガスが、導出経路L8にて抜き出されることになる。その結果、高圧側精留塔20において高沸点不純物がより少ない製品の製造が容易となる。
【0031】
(第3実施形態)
本発明の第3実施形態として、図3に示すように、第1実施形態にリサイクル経路や熱交換器等を付加した実施形態を例示する。なお、基本的な部分については、第1実施形態と同様であるため、付加・変更した部分についてのみ説明する。
【0032】
本実施形態は、第1実施形態のリボイラ22の代わりに、凝縮器13への冷媒供給機能を有するリサイクル経路を設けて、そのリサイクル経路を利用して低圧側精留塔10から抜き出したガスの加圧と、高圧側精留塔20への導入を行うことを特徴とする。このリサイクル経路では、まず高圧側精留塔20の塔底液を経路L11より抜き出し、膨張弁36により減圧し、凝縮器13の冷媒貯留部に導入する。その際、不足する寒冷は、液体アルゴン等を経路L5より供給することで補給される。凝縮器13の冷媒貯留部で気化したガスは、経路L6を経て熱交換器32で予熱された後、圧縮機33で圧縮されると共に、少量は高沸点成分が濃縮しないように、圧縮機39の上流側より弁35を介して排出される。リサイクルガスは圧縮後、再び熱交換器32に導入され、冷却された後、リボイルガスとして経路L9から高圧側精留塔20の塔底部に供給される。
【0033】
その際、低圧側精留塔10より導出経路L8を経て抜き出したガスを、熱交換器32で常温近くまで加温してから、弁34を介して前記リサイクル経路の圧縮機33の上流側に供給混合する。これにより、リサイクル経路の圧縮機33を利用して上記ガスを加圧でき、加圧のための昇圧機を圧縮機で兼用することができる。しかも弁34により流量調節が可能なため、両塔における精留操作のバランスを好適に調節することができる。
【0034】
なお、凝縮器13の液状冷媒の貯留量及び圧力を制御することで、凝縮のための能力調節を容易に行うことができる。また、液状冷媒には高沸点不純物が濃縮し易いため、放出経路を設けて(図示省略)、液状冷媒を一部抜き出し、気化した後、放出することも可能である。
【0035】
一方、原料流体は、熱交換器32で冷却された後、経路L1より、低圧側精留塔10に供給され、第1実施形態と同様の精留操作が行われる。その後、上記のように、低圧側精留塔10から高圧側精留塔20へとリサイクル経路を経て供給された流体は、更に、高圧側精留塔20の精留部21で精製され、塔頂部のリボイルコンデンサ14を経由して、経路L10にて超高純度の製品流体(製品ガス)として回収される。回収された製品ガスは、熱交換器32で寒冷回収された後に排出される。その際、製品ガスの一部を弁37を介して原料流体の供給経路に戻して、複式精留塔の最低能力以上に原料供給量を維持することが望ましい。その場合、原料流体の供給経路に流量等を検出する手段を設けて、その検出結果に基づいて弁37の開度を調節するように制御してもよい。
【0036】
なお、以上の設備のうち、特に外気との断熱が要求されるものは、図3に示すようなコールドボックス内に収容されている。
【0037】
因みに、以上の実施形態では、純度95容量%のアルゴンを原料として、純度99.999容量%以上の製品アルゴンを圧力8.90barAで製造する場合、例えば、圧縮機33の出口側圧力は9.25barA、導出経路L8の接続部の圧力は7.44barA、経路L6の接続部の圧力は3.74barAに設定される。但し、これらの圧力は、製品圧や原料圧、精留操作の条件に応じて、適宜変更可能なものである。
【0038】
(アルゴン回収設備)
図4は、第3実施形態の製造方法を利用したアルゴン回収設備のフローシートの一例を示す。この設備は、単結晶シリコン引上装置1、予備精製ユニット6、冷却ユニット40、除炭乾燥ユニット50、低温精製部60、及び高純度アルゴンタンク90により、概ね構成されるが、低温精製部60として、図3に示す装置が採用される。
【0039】
単結晶シリコン引上装置1には、シールドガスとして高純度アルゴンガス(沸点−186℃)が配管P1より供給される。単結晶シリコン引上装置1から真空ボンプ2によって排出されたガス(以下、「アルゴン排ガス」と呼ぶ)の中には、粉じんの他、H2 、N2 、O2 、CO、CO2 、炭化水素などが不純物として含まれている。炭化水素は、50volPPM以下で主としてCH4 である。なお、図4では、簡略化のため、単結晶シリコン引上装置1及び真空ポンプ2を1台づつしか図示していないが、実際には複数の装置が並列に配置される。これらの単結晶シリコン引上装置1から排出されるアルゴン排ガスの量は、単結晶シリコン引上装置1の運転台数などに応じて変化するので、一旦、ガスホルダ3に収容される。
【0040】
ガスホルダ3に収容されたアルゴン排ガスは、サクションフィルタユニット4を介して、コンプレッサ5によって予備精製ユニット6に導入される。その際、サクションフィルタユニット4により、アルゴン排ガスから塵埃が取り除かれる。また、後続の酸化工程で要求される酸素量を補うため、サクションフィルタユニット4から出たアルゴン排ガスに、配管P31を経て微量の空気が添加される。アルゴン排ガスは、コンプレッサ5で3.5〜9.0kg/cm2 G程度の圧力に昇圧される。この圧力の値は、後続の除炭乾燥工程における最適な運転条件あるいはアルゴン製品圧力等に応じて設定される。
【0041】
コンプレッサ5を出たアルゴン排ガスは、予備精製ユニット6に導入される。予備精製ユニット6は、一酸化炭素酸化塔7及びデオキソ塔8を備え、デオキソ塔7には系外の水素ガスソースから配管P32を介して脱酸素用のH2 が供給される。アルゴン排ガスは、先ず、一酸化炭素酸化塔7に導入され、Pd触媒によってCOが酸化されてCO2 に変わる。次いで、H2 が添加された後、デオキソ塔8に導入される。デオキソ塔8では、Pd触媒によってO2 とH2 との反応が促進され、O2 がH2 Oに変わる。なお、デオキソ塔8においてO2 をほぼ完全に除去すべく添加されるH2 の流量は、理論上の所要量に対して過剰に設定される。
【0042】
予備精製設備6を出たアルゴンガス(以下、「デオキソアルゴンガス」と呼ぶ)は、冷却ユニット40に導入される。冷却ユニット40は、水冷式の熱交換器41、セパレータ43、冷凍機46を備えた熱交換器45、及び水セパレータ47から構成される。デオキソアルゴンガスは、先ず、熱交換器41に導入され約40℃まで冷却される。冷却されたデオキソアルゴンガスは、セパレータ43に導入され、凝縮した水分が分離される。次いで、デオキソアルゴンガスは、熱交換器45で約10℃まで冷却される。冷却されたデオキソアルゴンガスは、水セパレータ47に導入され、凝縮した水分が更に分離される。
【0043】
冷却ユニット40を出たデオキソアルゴンガスは、除炭乾燥ユニット50に導入される。除炭乾燥ユニット50は、交互に使用される一対の吸着塔51及び52から構成される。吸着塔5l及び52には、H2 O及びCO2 を吸着するため、アルミナ及びモレキュラーシーブ等の充填物が充填されている。なお、一対の吸着塔51及び52は、圧カスィング吸着(PSA)あるいは温度スイング吸着〈TSA)の原理を利用して運転されるため、吸着剤の再生用に窒素ガス供給用の配管P50と、排出用の配管P51が接続されている。
【0044】
除炭乾燥ユニット50を出たデオキソアルゴンガスは、温度約10℃、圧力約6.4kg/cm2 Gで、低温精製部60の熱交換器32に導入される。その時の組成は、例えばN2 :2.0vol%、CH4 :0.005vol%、H2 :0.5vol%で、残りはアルゴンである。
【0045】
低温精製部60では、前述の第3の実施形態の如き精留操作が行われ、超高純度のアルゴンガス(純度99.999%以上)が製品ガスとして回収される。その際、寒冷源として、高純度の液体アルゴンが、タンク90より供給される。製品ガスは配管P15を通って製品フィルタ設備70に導入され、単結晶シリコン引上装置1の導入に必要な清浄度のレベルまで除塵された後、再び単結晶シリコン引上装置1に供給される。なお、初期に又は不足分として単結晶シリコン引上装置1に供給される高純度アルゴンガスは、上記のタンク90から弁V8を介して蒸発器95に導入されてガス化したものが使用される。
【0046】
上記の製品ガスは、その一部を弁38を介してコンプレッサ5の出口側に戻すことにより、複式精留塔の最低能力以上に原料供給量を維持することが望ましい。その場合、図3に示す低温精製部における弁37及びその経路を設けなくてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の製造方法に用いる装置の一例を示す概略構成図
【図2】第2実施形態の製造方法に用いる装置の一例を示す概略構成図
【図3】第3実施形態の製造方法に用いる装置の一例を示す概略構成図
【図4】第3実施形態を利用したアルゴン回収設備の一例を示す概略構成図
【符号の説明】
10 低圧側精留塔
11 精留部
12 精留部
13 凝縮器
14 リボイルコンデンサ
20 高圧側精留塔
21 精留部
31 圧縮機(昇圧機)
33 圧縮機(昇圧機)
34 弁
36 膨張弁
L8 導出経路

Claims (4)

  1. 低圧側精留塔と高圧側精留塔とがリボイルコンデンサを介して上下に配置された複式精留塔を用いて、予備精製した原料流体を順次精製することにより超高純度ガスを製造する工程を有する超高純度ガスの製造方法において、
    前記原料流体を前記低圧側精留塔の精留部に供給しつつ、前記低圧側精留塔の前記原料流体の供給部より塔底側の流体の一部を抜き出した後、昇圧機により加圧し、その加圧した加圧流体を前記高圧側精留塔の精留部又は塔底部に導入しながら、その高圧側精留塔の前記加圧流体の供給部より塔頂側から超高純度物質を回収することを特徴とする超高純度ガスの製造方法。
  2. 前記高圧側精留塔の塔底液を抜き出して減圧し、前記低圧側精留塔の凝縮器の冷媒貯留部に導入し、その冷媒貯留部で気化したガスを圧縮機で圧縮した後、リボイルガスとして前記高圧側精留塔の塔底部に供給するリサイクル経路を構成すると共に、
    前記低圧側精留塔より抜き出した前記流体を加圧するにあたり、弁を介してその流体を前記リサイクル経路の圧縮機の上流側に供給混合する請求項1記載の製造方法。
  3. 前記原料流体が、純度95容量%以上のアルゴンであって、より低沸点の物質と、より高沸点の物質とを不純物として含有するものである請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 原料流体の供給部を中間に備えた精留部、及びその精留部からのガスを液化して一部還流液として供給する凝縮器を有する低圧側精留塔と、その低圧側精留塔の下方に配置され、精留部を有する高圧側精留塔と、前記低圧側精留塔と前記高圧側精留塔との間に介在し、超高純度製品を未液化ガスとして回収する回収部を有するリボイルコンデンサとを備えた複式精留塔と、
    前記高圧側精留塔の塔底液を抜き出して減圧し、前記低圧側精留塔の凝縮器の冷媒貯留部に導入し、その冷媒貯留部で気化したガスを圧縮機で圧縮した後、リボイルガスとして前記高圧側精留塔の塔底部に供給するリサイクル経路と、
    前記原料流体の供給部より塔底側の流体の一部を、弁を介して前記リサイクル経路の圧縮機の上流側に供給混合する導出経路とを備えた超高純度ガスの製造装置。
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