JP4071509B2 - トイレ装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はトイレ装置に関し、特に洗浄水を瞬間式加熱手段にて温水にしてノズル手段から局部に噴射するようにしたトイレ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の瞬間式加熱手段を用いた温水洗浄手段を有するトイレ装置として、図4に示すように、水道端末から逆止弁21、定流量弁22を介して電磁開閉弁23に給水され、洗浄時に電磁開閉弁23から真空破壊弁24、ポンプ25、流量センサ26を介して瞬間式加熱手段27に送給され、所定温度に加温された洗浄水がノズル手段28にて局部に向けて噴射するように構成されている。29はオーバーフロー通路である。以上の逆止弁21〜ポンプ25とオバーフロー通路29にて給水手段30が構成されている。瞬間式加熱手段27の入口側には、入水する水温を検出するサーミスタから成る入水温度検出手段31が、出口側にはノズル手段28に供給される温水の温度を検出するサーミスタから成る出水温度検出手段32が配設されている。
【0003】
このトイレ装置の制御装置は、図5に示すように、制御手段33に、流量センサ26、入水温度検出手段31、出水温度検出手段32及び設定手段34からの各検出信号と設定データ信号が入力され、それらのデータに基づいて給水手段30による給水量制御や瞬間式加熱手段27に対する通電制御を行って所望の温度・流量の温水をノズル手段28に供給し、またノズル手段28の切り換え制御を行うように構成されている。
【0004】
洗浄開始時には、流量センサ26にて検出した流量と、入水温度検出手段31にて検出した入水温度と、設定された湯温に基づいて瞬間式加熱手段27における加熱量を演算し、瞬間式加熱手段27に対する通電制御を行い、通常使用時には、流量センサ26にて検出した流量と、入水温度検出手段31にて検出した入水温度と、出水温度検出手段32にて検出した出水温度と、設定温度とに基づいてPID制御にて瞬間式加熱手段27に対して通電制御を行うことにより、所望の湯温に制御している。
【0005】
また、ノズル手段28から噴射する温水の流量制御については、流量センサ26にて検出した流量と設定流量に基づいて給水手段30を制御することによって行っており、また洗浄開始時及び通常使用時共に流量センサ26にて流量が検出できない場合には、断水であると判定して瞬間式加熱手段27における通電加熱を停止し、瞬間式加熱手段27の異常な温度上昇による破損や損傷を防止するようにしている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の構成では、流量センサ26を用いているため、コスト高になるという問題がある。
【0007】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、流量センサを用いない低コストの構成にて断水を検知して瞬間式加熱手段の破損を防止できるトイレ装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のトイレ装置は、洗浄水を局部に噴出するノズル手段と、ノズル手段に向けて洗浄水を供給する給水手段と、ノズル手段に供給される洗浄水を瞬間的に温水に加熱する瞬間式加熱手段と、瞬間式加熱手段から出た洗浄水の温度を検出する出水温度検出手段と、給水手段と瞬間式加熱手段の通電率を制御する制御手段とを備え、制御手段は、洗浄中に、出水温度検出手段により検出される温度に所定範囲の揺らぎを検出できない時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成したものであり、洗浄中において出水温度に揺らぎがないことによって断水を検知することができ、流量センサを用いない低コストの構成にて確実に断水を検知して瞬間式加熱手段等の破損を防止できる。
【0010】
その際に、瞬間式加熱手段における加熱制御を、交流電源の半波を1単位とした通電率制御にて行うと、位相制御に比べて出水温度の揺らぎが発生し易く、揺らぎの有無による断水の検出をより確実に行うことができる。
【0011】
また、瞬間式加熱手段の外殻温度を検出する外殻温度検出手段を設け、制御手段を、外殻温度検出手段が所定温度以上になった時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成すると、万一上記断水検知が遅れ勝ちになったり、検知できなかった場合にも外殻が所定温度以上になった時に加熱を停止して瞬間式加熱手段等の破損を防止できる。
【0012】
また、瞬間式加熱手段の外殻温度を検出する外殻温度検出手段を設け、制御手段は、外殻温度検出手段による検出温度の変化率が所定値以上になった時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成すると、断水等によって瞬間式加熱手段が急速に温度上昇し始めると、それを検知して加熱を停止することにより、瞬間式加熱手段等の破損を確実に防止することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のトイレ装置の一実施形態について、図1〜図3を参照して説明する。
【0014】
図1において、水道端末から逆止弁1、定流量弁2を介して電磁開閉弁3に給水されており、洗浄時に電磁開閉弁3から真空破壊弁4を介してモータ6にて駆動制御されるポンプ5にて瞬間式加熱手段7に給水され、この瞬間式加熱手段7にて所定温度に加温された洗浄水がノズル手段8に供給されて局部に向けて噴射するように構成されている。9はオーバーフロー通路である。以上の逆止弁1〜ポンプ5とオーバーフロー通路9にて給水手段10が構成されている。
【0015】
ポンプ5とモータ6の組み合わせは、ギヤポンプとDCサーボモータの組み合わせが一般的であり、その電圧制御には交流電源を用いた位相制御や直流電源によるPWM(パルス幅変調制御)やPFM(パルス周波数変調制御)を適用することができる。また、DCサーボモータに代えてパルスモータやシンクロナスモータ等の周波数同期型制御モータを用いると、確実に再現性のある流量調整ができるとともに微調整が可能であるため好適である。また、ポンプとモータの組み合わせに代えて電磁ポンプを用いることもできる。
【0016】
瞬間式加熱手段7は、温水ヒータとしてのセラミックヒータを蛇行状の熱交換流路に臨ませて構成されている。この瞬間式加熱手段7の入口側に、洗浄水の温度を検出するサーミスタから成る入水温度検出手段(TsI)11が、出口側に、加温された洗浄水の温度を検出するサーミスタから成る出水温度検出手段(TsO)12が配設されている。
【0017】
このトイレ装置の制御装置は、図2に示すように、制御手段13に、入水温度検出手段11、出水温度検出手段12からの検出信号、設定手段14からの設定データ信号、及び外殻温度検出手段15からの検出信号が入力され、それらのデータに基づいて給水手段10による流量制御や瞬間式加熱手段7に対する通電制御を行って所望の温度・流量の温水をノズル手段8に供給し、またノズル手段8の切り換え制御を行い、また必要に応じて作動状態を表示手段16に表示するように構成されている。
【0018】
この制御手段13による洗浄開始時の具体的な制御動作を説明すると、制御手段13から設定手段14による設定流量に応じた作動制御値が給水手段10のモータ6に出力され、給水手段10にて対応する流量の給水が行われる。また、入水温度検出手段11による検出温度と給水手段10のモータ6の作動制御値とに基づいて瞬間式加熱手段7に対する通電制御値が決定され、瞬間式加熱手段7に通電されて洗浄水の加熱が行われる。すなわち、瞬間式加熱手段7の出水温度検出が利用できない洗浄開始時に、設定手段14にて設定されている流量の設定値に応じて決定されている給水手段10のモータ6の作動制御値に基づいて流量を推定し、その流量と入水温度検出手段11にて検出した入水温度に基づいて瞬間式加熱手段7に対する通電制御を行っている。瞬間式加熱手段7における通電による加熱量Qは、Q=k(設定温度−入水温度)×流量、(kは係数)で求められる。
【0019】
また、上記給水手段10のモータ6の作動制御値の決定に際しては、制御手段13に内蔵されているROMやEEPROMなどの記憶手段に作動制御値と流量の関係を予め演算プログラムや参照テーブルとして設定しておき、その関係に基づいて作動制御値を決定するように構成するのが好適であり、そうすると作動制御値による給水手段10の制御にて精度良く流量を制御することができる。また、それに伴って瞬間式加熱手段7による加熱量を適正に制御して所定の湯温に精度良く制御された洗浄水が確実に得られる。なお、作動制御値と流量の関係を記憶手段に記憶するについて、製造段階で外部流量検出手段を接続して実際の流量を検出し、その検出結果と作動制御値を制御手段13に入力するようにすると、容易に各トイレ装置毎の特性に応じた関係を設定でき、より精度良く流量を制御できる。
【0020】
さらに、洗浄開始直後から出水温度検出手段12による検出温度をモニターし、洗浄開始直後から所定時間(例えば1〜3秒)の間に、出水温度検出手段12の検出温度に所定(例えば5℃程度)以上の温度変化が検出できない時に、断水状態で洗浄水が流れていないと判定して瞬間式加熱手段7に対する通電を停止して加熱停止するようにされている。
【0021】
このように洗浄開始直後に出水温度に変化がないことで断水を検知し、加熱を停止することにより、流量センサを用いない低コストの構成にて確実に断水を検知して瞬間式加熱手段7等の過熱による破損を防止できる。
【0022】
次に、上記のように洗浄開始時に給水手段10の作動制御値と入水温度と設定温度から瞬間式加熱手段7の通電制御を行った後に、出水温度検出手段12により瞬間式加熱手段7で加熱された洗浄水の温度が検出される通常使用状態になると、瞬間式加熱手段7における加熱量と入水温度検出手段11による検出温度と出水温度検出手段12による検出温度から給水手段10による実際の給水流量が求められる。即ち、給水流量Fは、F=加熱量/{k(出水温度−入水温度)}、(kは係数)で求めることができる。そして、この給水流量Fが所定の給水流量になるように給水手段10の作動制御値を調整することにより、所定流量に精度良く制御された洗浄水をノズル手段8から噴出させることができる。
【0023】
また、その際の瞬間式加熱手段7における加熱量は、洗浄開始時と同様に給水手段10の作動制御値又は算出した流量と検出された入水温度に基づいて決定することができ、簡単な制御によって所定の湯温に精度良く制御された洗浄水を確実に得ることができる。
【0024】
また、実際の各トイレ装置の瞬間式加熱手段7における加熱量(通電した電力量)と洗浄水の温度上昇値との関係を予め求めておいて、その関係式やテーブルを制御手段13の内部に設けられたROMやEEPROMに記憶しておき、制御手段13が瞬間式加熱手段7における加熱量と瞬間式加熱手段7の通過前後の温度差から流量を算出する際に、この関係を参照して流量を算出するように構成することにより、流量算出の精度が向上し、さらに正確な流量制御を行うことができる。さらに、上記関係を規定する変数として、流量、室温、入水温度、電源電圧など、熱交換効率を左右する条件をできるだけ網羅しておくのが好適であり、それによって算出する流量の精度を向上できる。
【0025】
なお、瞬間式加熱手段7における通電による加熱量Qは、設定温度と、検出した入水温度及び出水温度と、算出した給水流量Fと、設定流量に基づいてPID制御しても良く、そうすると所定の湯温にさらに精度良く制御された所定流量の洗浄水を確実に得ることができる。
【0026】
また、この洗浄中において、制御手段13は、出水温度検出手段12により検出される温度の揺らぎをモニターするように構成されている。即ち、瞬間式加熱手段7においては洗浄水が連続的に流れる一方で、加熱はセラミックヒータに対して断続的に通電し、その通電率を制御して加熱制御を行っているため、出水温度検出手段12による検出点における洗浄水温度には揺らぎがある。しかるに、洗浄水の流れが停止すると、検出部位の洗浄水が動かず、その検出温度の揺らぎが停止するため、洗浄水の検出温度に所定範囲の揺らぎを検出できない時に断水として検知することができる。こうして、断水を検知すると、瞬間式加熱手段7の加熱を停止するように構成されている。かくして、流量センサを用いない低コストの構成にて確実に断水を検知して瞬間式加熱手段7の破損を防止できる。
【0027】
特に、本実施形態では、瞬間式加熱手段7における通電率制御に際して位相制御ではなく、交流電源の半波を1単位とした通電率制御によって行っている。即ち、図3の(a)(2/3の通電率)、(b)(1/2の通電率)、(c)(1/3の通電率)、(d)(1/5の通電率)のように、交流の電流波形の半波単位で、通電・非通電制御を行って通電率の制御を行っており、そのため位相制御に比べて出水温度の揺らぎが発生し易く、揺らぎの有無による断水の検出をより確実に行うことができる。
【0028】
また、本実施形態では瞬間式加熱手段7の外殻温度を検出する外殻温度検出手段15が設けられてその検出信号が制御手段13に入力されており、制御手段13は、外殻温度検出手段15による検出温度が所定温度以上になった時に、瞬間式加熱手段7の加熱を停止するように構成されている。これによって、上記洗浄開始時に出水温度検出手段12の検出温度に所定以上の変化が生じなかったり、洗浄中に断水しても何らかの事由で検出温度に揺らぎを生じる等によって、万一上記断水検知ができなかった場合にも、瞬間式加熱手段7の外殻温度が所定温度以上になった時に加熱を停止することで、確実に瞬間式加熱手段7の破損を防止でき、安全性を向上できる。
【0029】
また、上記のように断水の判定によって瞬間式加熱手段7に対する通電を停止した場合には、その状態になったことを表示手段16に表示し、使用者に使用不可能になった原因を知らせるように構成されている。
【0030】
さらに、外殻温度検出手段15による温度検出を利用し、制御手段13において外殻温度検出手段15による検出温度の変化率をモニターし、その変化率が所定値以上になった時に、断水と判定して瞬間式加熱手段7の加熱を停止するように構成することもできる。すなわち、断水が生じると瞬間式加熱手段7の外殻が急速に温度上昇し始めるため、それを検知して加熱を停止することにより、瞬間式加熱手段7の破損を確実に防止することができる。なお、この断水検出と加熱停止は、先に説明した断水の検出方法に代えて単独で実施してもよいが、それらと併用し、いずれかの方法によって断水を検出するようにするのが安全上好ましい。
【0031】
上記実施形態の説明では、給水手段10としてポンプ5とそれを駆動するモータ6を備えたものを例示したが、水道端末における水圧を利用したり、別途の給水手段を利用することで、給水手段10にステッピングモータ等を内蔵した流量調整弁を備えた構成にすることもでき、このような流量調整弁の開度調整によって給水水量を可変すると、確実に再現性のある流量調整ができるとともに、微調整も可能となり、さらに所定の湯温に精度良く制御された洗浄水を確実に得ることができる。
【0032】
【発明の効果】
本発明のトイレ装置によれば、以上の説明から明らかなように、ノズル手段と給水手段と瞬間式加熱手段と入水温度検出手段と制御手段とを備えたトイレ装置において、制御手段は、洗浄中に、出水温度検出手段により検出される温度に所定範囲の揺らぎを検出できない時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成したので、洗浄中において、出水温度に揺らぎがないことによって断水を検知することができ、流量センサを用いない低コストの構成にて確実に断水を検知して瞬間式加熱手段等の破損を防止できる。その際に、瞬間式加熱手段における加熱制御を、交流電源の半波を1単位とした通電率制御にて行うと、位相制御に比べて出水温度の揺らぎが発生し易く、揺らぎの有無による断水の検出をより確実に行うことができる。
【0034】
また、瞬間式加熱手段の外殻温度を検出する外殻温度検出手段を設け、制御手段を、外殻温度検出手段が所定温度以上になった時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成すると、万一上記断水検知が遅れ勝ちになったり、できなかった場合にも所定温度以上になった時に加熱を停止して瞬間式加熱手段等の破損を防止できる。
【0035】
また、制御手段を、外殻温度検出手段による検出温度の変化率が所定値以上になった時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成すると、断水等によって瞬間式加熱手段が急速に温度上昇し始めると、それを検知して加熱を停止することにより、瞬間式加熱手段等の破損を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態のトイレ装置の概略構成図である。
【図2】同実施形態のトイレ装置の制御装置の構成図である。
【図3】同実施形態における半波単位での通電率制御を説明する波形図である。
【図4】従来例のトイレ装置の概略構成図である。
【図5】同従来例のトイレ装置の制御装置の構成図である。
【符号の説明】
7 瞬間式加熱手段
8 ノズル手段
10 給水手段
12 出水温度検出手段
13 制御手段
15 外殻温度検出手段
Claims (4)
- 洗浄水を局部に噴出するノズル手段と、ノズル手段に向けて洗浄水を供給する給水手段と、ノズル手段に供給される洗浄水を瞬間的に温水に加熱する瞬間式加熱手段と、瞬間式加熱手段から出た洗浄水の温度を検出する出水温度検出手段と、給水手段と瞬間式加熱手段の通電率を制御する制御手段とを備え、制御手段は、洗浄中に、出水温度検出手段により検出される温度に所定範囲の揺らぎを検出できない時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成したことを特徴とするトイレ装置。
- 瞬間式加熱手段における加熱制御を、交流電源の半波を1単位とした通電率制御にて行うことを特徴とする請求項1記載のトイレ装置。
- 瞬間式加熱手段の外殻温度を検出する外殻温度検出手段を設け、制御手段を、外殻温度検出手段が所定温度以上になった時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載のトイレ装置。
- 瞬間式加熱手段の外殻温度を検出する外殻温度検出手段を設け、制御手段は、外殻温度検出手段による検出温度の変化率が所定値以上になった時に、瞬間式加熱手段の加熱を停止するように構成したことを特徴とする請求項1または2記載のトイレ装置。
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