JP4071129B2 - 同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機 - Google Patents

同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリプラ式射出成形機に関し、詳細には、樹脂原料の様々な可塑化容量(射出容量)に的確に対応できる複数個の可塑化装置と複数個の射出装置とを備えた同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機に関する。
【0002】
【従来の技術】
射出成形機には、大きく分けてインラインスクリュ式射出成形機とプリプラ式射出成形機がある。プリプラ式射出成形機は、可塑化装置と射出装置とが各々独立して設けられるもので、従来より種々の提案がある(特許文献1、特許文献2参照)。必要な型締力に比べて可塑化容量が大きくなる大量生産用の飲料用ペットボトルのプリフォームは、成形時間を短縮化し、生産効率を高めるべくプリプラ式射出成形機を用いて製造されている。
【0003】
ところで、従来、飲料用ペットボトルは、1.5Lや2Lの大容量容器が主流であったが、小容量の500mL容器が解禁されてからは生産効率の向上のため、1台の金型のキャビティ数も増加傾向にあり、最近ではキャビティ数が144の金型が出現してきている。
キャビティ数の増加傾向は、大容量容器にも広がってきている。500mL容器は、1.5Lや2Lの大容量容器に比べ、容器1個当たりの射出容量が少ない点では大きな差があるものの、容器の口部はいずれの容量の容器でも同一の大きさであり、金型の大きさ、特に必要な型締力は容器の口部の大きさに依存することから、500mL容器でも金型のキャビティ数が同じならば大容量容器と同様の型締力が必要となる。
従って、金型のキャビティ数を増加させた場合、500mL容器用であってもプリプラ式射出成形機自体は大きくならざるを得なかった。そのため、500mL容器の射出容量は大容量容器と比べて大きな差があるものの、いっそのこと500mL容器の製造を大容量用のプリプラ式射出成形機で共用して行おうという動きが出てきている。
【0004】
【特許文献1】
特開平11−165335号公報
【特許文献2】
特開2000−263605号公報参照
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、大容量用のプリプラ式射出成形機を小容量容器の製造に共用すると、プリプラ式射出成形機内に溶融樹脂の滞留を招き易く、ひいては樹脂の劣化を招き、アセトアルデヒドなど樹脂分解物の成形品中での含有量が多くなるという大きな問題があった。他方、これらの大容量用のプリプラ式射出成形機の共用による不都合を回避するには、従来通り小容量容器と大容量容器の製造に別々のプリプラ式射出成形機を準備しなければならず、経済性が悪いという問題があった。
【0006】
本発明は、大容量用のプリプラ式射出成形機を小容量容器の製造に共用することに伴う溶融樹脂の滞留などの問題点を解決すると共に、溶融樹脂の射出容量に応じて可塑化装置と射出装置の組み合せを変えて様々な射出容量に的確に対応でき、1台で多様に運用できる同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねて本発明に想到した。
すなわち、本発明は、スクリュの回転により樹脂原料を可塑化溶融させる可塑化装置と、可塑化された溶融樹脂をプランジャにより金型に射出する射出装置とが独立して設けられる同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機であって、複数個の可塑化装置と、複数個の射出装置と、連通し合う各可塑化装置と各射出装置間に各々設けられ、可塑化された溶融樹脂の射出装置内への導出と射出装置内からノズル方向への導出が選択自在な複数個の第1分配機と、複数個の射出装置と1個のノズル間に設けられ、1個又は2個以上の射出装置から射出された溶融樹脂のノズルへの導出が選択自在な1個の第2分配機と、1個のノズルと、を備え、溶融樹脂の射出容量に応じ可塑化装置及び/又は射出装置を自在に選択し、可塑化装置内の溶融樹脂の滞留を抑制して1個のノズルから金型に樹脂を射出し、溶融樹脂の分解物の含有を抑制して容量の異なるペットボトルのプリフォームの製造を可能とすることを特徴とする同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機を要旨とする。
【0008】
上記構成の発明によれば、溶融樹脂の射出容量に的確に対応できるように可塑化装置と射出装置を選択して用いることができるので、溶融樹脂の滞留を回避させながらプリプラ式射出成形機を効率的に運用できる。
【0009】
上記発明において、可塑化装置と射出装置とを1対1で対をなすようにしても良い。また、この対をなす可塑化装置と射出装置とを、他の対をなす可塑化装置と射出装置に対して相互に別個に設置しても良い。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を飲料用ペットボトルのプリフォームを製造する同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機を例に挙げ、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本実施形態の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機100の射出側の正面図、図2は一部を横断面で示した模式的平面図、図3は一部を縦断面で示した模式的縦断面図である。本実施形態の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機100は、3個の射出装置1、2、3とこれらと各々対をなす3個の可塑化装置11、12、13とを備えている。可塑化装置11が最も小容量(500mlペットボトルに対応、20g/1プリフォーム)で、以下順に可塑化装置12(1.0Lペットボトルに対応、40g/1プリフォーム)、可塑化装置13(1.5Lペットボトルに対応、60g/1プリフォーム)と可塑化容量が大きくなるように構成されている。
【0011】
可塑化装置11、12、13は、詳細には図示しないが、加熱シリンダの内部にスクリュが挿入されており、ホッパ6から加熱シリンダ内に投入された樹脂原料をスクリュを回転させて可塑化溶融させる公知の構成のものである。また、射出装置1、2、3も詳細には図示しないが、射出シリンダの内部にプランジャが挿入されており、可塑化装置11、12、13で可塑化された溶融樹脂をプランジャにより金型に射出する公知の構成のものである。
【0012】
可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3の対は、相互に別個に設置され、対ごとに独立した支持部材7、8、9に支持されている。換言すれば、3対の可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3は、同一のバレル内に収容されない構成となっている。このように構成することにより、可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3間の互いの温度干渉を回避できる。また、同一バレル内に収容すると、使用する可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3の数量に関係なくすべてを昇温しなければならないため、使用電力の無駄を招くが、前記のように同一のバレルに収容しないことで使用電力の削減が図れることになる。尤も、3対の可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3を同一のバレルに収容する構成としても良い。なお、同一のバレル内に収容しない構成であってしかも上記と異なり共通の支持部材に支持させる構成としても良い。
【0013】
対をなす可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3は、各々第1樹脂通路41、42、43を介して連通している。可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3の間には、第1分配機21、22、23が各々設けられている。第1分配機21、22、23は、ロータリーバルブで構成され、図3で示すように可塑化装置11、12、13で可塑化された溶融樹脂を射出装置1、2、3内に導出し、射出装置1、2、3内に導出後、図3の位置から時計方向に90度回転し、射出装置1、2、3のプランジャにより押し出された溶融樹脂をノズル5方向へと導出する。このように、第1分配機21、22、23を設けたことにより、各可塑化装置11、12、13で次々と可塑化される溶融樹脂を射出装置1、2、3内で待機させることができ、後記の第2分配機4の切替により連続的に所望の射出容量の溶融樹脂をノズル5に射出させることが可能となる。
【0014】
第2分配機4は、ロータリーバルブで構成され、図2に示すように1個の射出装置1、2、3から各々射出された溶融樹脂を第2樹脂通路51、52、53を介してノズル5に導出し、溶融樹脂は図示しない金型に射出される。
【0015】
次いで、上記のように構成される本実施形態の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機の使用方法及びその作用について説明する。
可塑化装置11、12、13は、例えば、500mLペットボトルのプリフォームの場合のように溶融樹脂の射出容量が最小のときは、可塑化装置11と射出装置1を用い、1.0Lペットボトルの場合は、図2の第2分配機4を時計回りに45度回転させ、可塑化装置12と射出装置2を用いる。1.5Lペットボトルの場合のように射出容量が最大の時は、可塑化装置13と射出装置3を使い第2分配機4を切り替えてノズル5へと溶融樹脂を射出する。
【0016】
また、すべての可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3を同一容量に設定しても良く、例えばすべてを500mLペットボトルのプリフォームの製造用に設定すれば、すべての可塑化装置11、12、13とすべての射出装置1、2、3を交互に用いて500mLペットボトルを効率的に大量に製造できる。そして、1.0Lペットボトルの場合は、3個の可塑化装置11、12、13と3個の射出装置1、2、3の内、2個の可塑化装置と2個の射出装置を用い、また、1.5Lの場合は、すべての可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3を用いる。このような1.0Lあるいは1.5Lペットボトルの場合、第2分配機4は、1個の射出装置1、2、3から射出された溶融樹脂のみをノズル5に導出するのではなく、2個以上の射出装置1、2、3からの溶融樹脂を同時にノズル5へと導出する構成とすることもできる。このように、成形品の容量などが異なる場合、第2分配機4による制御が容易になる。
【0017】
本発明の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機100は、複数の可塑化装置11、12、13と射出装置1、2、3を適宜組み合わせて用いることにより、溶融樹脂の射出容量に的確に対応でき、溶融樹脂の滞留を回避して、成形品を効率的に製造できる。なお、第1分配機21、22、23と第2分配機4の切替は、手動により制御しても自動により制御しても良い。
【0018】
なお、本発明の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機は、射出側(インジェクション)にその技術的特徴があるものであり、型締め側(クランプ)は公知の構成を採用することができる。
【0019】
本発明は、以下に例示するように、その技術的範囲に属する限り種々形態を変更して具体化することができる。
(1)第1分配機は、可塑化装置で可塑化された溶融樹脂を射出装置内に導出し、更に射出装置内からノズル方向に導出できる限り、上記のロータリーバルブに限定されるものではなく、種々の構成が可能で、例えばスプールバルブを用いることもできる。同様に、第2分配機も上記のロータリーバルブに限定されるものではなく、例えばスプールバルブを用いることもできる。
(2)可塑化装置と射出装置は、上記のように1対1の対で構成することに限定されるものではなく、例えば1個の射出装置に2個以上の可塑化装置を設ける構成としても良い。
(3)本発明のプリプラ式射出成形機は、飲料用ペットボトルのプリフォームの製造以外に、様々な成形品の製造に適用できる。
【0020】
【発明の効果】
本発明は、上述のように構成されるため、以下の効果を奏する。
本発明は、1台のプリプラ式射出成形機で様々な射出容量に的確に対応できるので、プリプラ式射出成形機を効率的に運用でき、ひいては経済性に優れた同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機を提供できる。
【0021】
また、射出容量に応じた可塑化装置と射出装置を適宜選択して用いることができるので、大容量用のペットボトルのプリフォームを製造するプリプラ式射出成形機を用いて小容量のペットボトルのプリフォームを製造する必要がなく、溶融樹脂の停滞などの問題を解消しながら効率的に複数容量のペットボトルのプリフォームを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機の射出側の正面図である。
【図2】実施形態の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機の一部を横断面で示した模式的平面図である。
【図3】実施形態の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機の一部を縦断面で示した模式的縦断面図である。
【符号の説明】
1、2、3 射出装置
4 第2分配機
5 ノズル
11、12、13 可塑化装置
21、22、23 第1分配機
100 プリプラ式射出成形機

Claims (3)

  1. スクリュの回転により樹脂原料を可塑化溶融させる可塑化装置と、可塑化された溶融樹脂をプランジャにより金型に射出する射出装置とが独立して設けられる同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機であって
    複数個の可塑化装置と、
    複数個の射出装置と、
    連通し合う各可塑化装置と各射出装置間に各々設けられ、可塑化された溶融樹脂の射出装置内への導出と射出装置内からノズル方向への導出が選択自在な複数個の第1分配機と、
    複数個の射出装置と1個のノズル間に設けられ、1個又は2個以上の射出装置から射出された溶融樹脂のノズルへの導出が選択自在な1個の第2分配機と、
    1個のノズルと、
    を備え、溶融樹脂の射出容量に応じ可塑化装置及び/又は射出装置を自在に選択し、可塑化装置内の溶融樹脂の滞留を抑制して1個のノズルから金型に樹脂を射出し、溶融樹脂の分解物の含有を抑制して容量の異なるペットボトルのプリフォームの製造を可能とすることを特徴とする同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機。
  2. 可塑化装置と射出装置とが、1対1で対をなしていることを特徴とする請求項1記載の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機。
  3. 対をなす可塑化装置と射出装置とが、他の対をなす可塑化装置と射出装置に対して相互に別個に設置されてなることを特徴とする請求項2記載の同一樹脂からなる複数容量のペットボトルのプリフォームを製造するためのプリプラ式射出成形機。
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