JP4070388B2 - 画像形成装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置に関し、さらに詳しく言えば、装置立ち上がり時間の短縮に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の複写機、プリンタ等の画像形成装置においては、装置のメインスイッチをオンして定着器が設定温度に達してから画像形成動作を実行するようになっている。この間の待機時間は、長い装置では5分以上にも達するものがあり、操作性が良くない。
【0003】
この待機時間中には定着装置の準備のほか、定着装置以外の個所、例えば現像装置、感光体、帯電装置、転写装置、メイン制御部等の画像形成部でも同様に画像形成に備える準備(トナー濃度の確認やトナー残量チェック、転写手段、感光体の前回転、メイン制御手段による初期化や各個所の異常チェック等)が行われる。ただし、定着装置に比較して短い時間に準備が完了する。一般的に、定着装置での準備時間(常温(室温)程度の温度から定着可能な温度に到るまでの時間)は1〜5分かかり、極めて早いものでも15〜20秒程度かかる。定着装置以外の個所の準備は5〜30秒程度で完了する。
【0004】
定着装置の立ち上げ時間を短縮するために、従来より種々の提案がなされている。例えば、画像形成装置の入力電流を所定値以下に維持しつつ定着ヒータへの通電電流を制御することで立ち上がり時間を短縮するものがある。また、画像形成装置の起動時と通常時とで定着手段で消費する電力の上限を切り替えることで立ち上がり時間を短縮するものがある。具体的には、起動時に本体制御装置から、定着装置及び画像形成部での準備を行うよう指示が出されて、定着装置へ供給する電力の上限を準備期間の間だけ大きい値に設定するようにして構成される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の立ち上げ時間短縮技術では、ある程度の効果はあるものの、さらに立ち上げ時間を短縮することは、画像形成装置への入力電流の制限から対応することができないという問題があった。
【0006】
また、起動時に本体制御部に電力を供給して、定着装置の準備と同時に画像形成部で準備が行われるので、この準備が完了しても準備が完了した状態を維持するための電力が必要となり、定着装置の準備が完了するまでは全く無駄な消費電力を費やすことになる。
【0007】
また、従来は、定着装置の立ち上げ時間短縮のため、待機中も定着ヒータに通電する余熱を行っていた。これにより、必要な時に待ち時間なしで画像形成を行うことができたが、画像形成頻度が少ない場合には余熱のために無駄な電力を消費するという問題もある。
【0008】
本発明は、従来の画像形成装置における上述の問題を解決し、迅速な立ち上がりの可能な定着手段を備える画像形成装置を提供することを課題とする。
また、待機時の消費電力を極力抑えつつ立ち上がりの早い画像形成装置を提供することも本発明の課題である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記の課題は、本発明により、定着部を備えた画像形成装置において、装置本体の電源スイッチと、前記定着部および画像形成部の立上げを指示する指示手段と、前記電源スイッチを投入したときにAC電源が供給される第1の電源装置と、前記第1の電源装置から電力を供給され、前記指示手段に立上げを指示されると第一の電力で前記定着部の制御を行なう第3の制御手段に前記AC電源からの電力の供給を行なうようスイッチ手段を制御し、前記定着部が所定の温度に達すると前記第一の電力よりも小さい第二の電力に切り替えて該定着部の制御を行なうよう第3の制御手段に指示を出す第1の制御手段と、前記定着部が前記所定の温度に達すると、前記第1の制御手段によって起動される第2の電源装置と、前記第2の電源装置から電力を供給され、当該画像形成装置本体の制御を行なう第2の制御手段とを備えることにより解決される。
【0010】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記第一の電力は、当該画像形成装置の最大電力から前記第1の電源装置および前記第1制御手段で消費する電力を減算した電力であることを提案する。
【0011】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、本体装置に設けられたカバーの開閉を検出するカバー開閉検知手段を有し、該カバー開閉検知手段により検出されたカバーの開閉に対応して前記スイッチ手段をオン/オフすることを提案する。
【0012】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記カバーの閉鎖時に、前記定着手段への最大電力の制限を設定して前記スイッチ手段をオンすることを提案する。
【0013】
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記所定の温度が、前記定着部が定着可能となるリロード温度に設定されていることを提案する。
また、前記の課題を解決するため、本発明は、前記所定の温度が、前記定着部が定着可能となるリロード温度よりも低い温度に設定されていることを提案する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。この図に示すレーザプリンタ50は、装置本体のほぼ中央に像担持体としての感光体ドラム51を備えている。感光体ドラム52の周囲には、帯電チャージャ52,現像装置53,転写チャージャ54,除電チャージャ55,クリーニング装置56等が配設されている。また、装置本体内の下部位置に給紙トレイ57があり、トレイ内の用紙Pを給紙する給紙コロ58、給紙トレイから給送された用紙をタイミングを取って転写位置に送出するレジストローラ59が設けられている。そして、装置本体内の上部には光書込みユニット60が配置され、クリーニング装置56の側方には定着装置61が配置されている。
【0015】
本実施形態における画像形成手順について簡単に説明する。
帯電チャージャ52によって感光体51を一様に帯電後、光書込みユニット60で黒(BK)の画像信号をスキャニング露光し、ネガの静電潜像(画像部が露光されて感光体の表面電位が減衰した状態)を形成する。その静電潜像を現像装置53BK(黒トナーの入っているもの)で現像し、感光体51上に黒(BK)のトナー像を形成する。このとき、黒以外の現像装置53Y,53M,53Cはトナーが飛翔しない状態に調整されている。そして、除電チャージャ55で感光体51をチャージし、感光体51上の黒の静電潜像を除電する。このとき、クリーニング装置56は感光体51から離れている。次に、黒のトナー像を形成した方法と同様の方法により、帯電、露光、現像、除電のプロセスを繰り返し、感光体51上にイエロー、マゼンタ、シアンのトナー像を重畳形成する。全てのトナー像が形成された後、予め給紙コロ58によって給紙搬送されレジストローラ59で待機していた記録紙を、感光体51とタイミングを図って搬送し、転写チャージャ54によって感光体51上のトナー像を記録紙上に静電転写する。その後、記録紙上のトナー像を加熱定着装置61で加熱定着し、排紙ローラ62によって排紙部63に排紙する。一方、静電転写後、感光体51上に残留したトナーはクリーニング装置56が感光体51に圧接して除去する。以上でカラー画像形成の1サイクルが完了する。
【0016】
本実施形態の画像形成装置では、待機時の消費電力を少なくし、かつ、待機時から使用可能となるまでの立ちあがり時間を短くするため、装置電源を有効に活用して、待機時(省エネモード)、立上げ時(立上げモード)、プリント時(プリントモード)の3つのモードを設けている。具体的には、立上げモードには定着装置の立ち上げと画像形成部の立ち上げの2種があり、これを総合して立ち上げモードと称している。定着装置が定着可能な温度に至った時に定着装置の立ち上げが完了したことになり、リロード温度になったときが定着可能な状態の温度に至った時である。ただし、本実施形態では定着時の目標設定温度はこのリロード温度ではなく、連続通紙をすることにより熱が奪われることを考慮して、リロード温度より高めの温度で制御している。また、画像形成部が一連の画像形成処理を実行可能になったときに画像形成部の立ち上げが完了したことになる(この立ち上げ開始から立ち上げ完了までの状態及び完了後プリント処理前までの状態を特に「準備モード」という)。
【0017】
上記立上げモードは、この定着装置の立ち上げ及び画像形成部の立ち上げの双方が完了したときに立上げモードが完了したことになり、印刷要求が有る場合にはプリントモードに移行されるが、印刷要求が無い場合はこの立ち上げが完了した状態すなわち立上げモードが維持される。本実施形態では、リロード温度になると画像形成装置の主電源が起動される(定着装置へ通電可能な最大電力の低い値(後述する)への切り換えがなされる)ようにしてある。
【0018】
なお、念のため記載しておくが、主電源の起動時点はリロード温度になったときに限定されるものではない。主電源を起動する温度をリロード温度と同一に設定した理由は、▲1▼:温度の検知及び管理を簡易化するため、及び、▲2▼:リロード温度で切り換えることにより、画像形成部の立上げが開始され、画像形成部の立ち上げの完了までには約5〜30秒かかるが、この時間が有ればリロード温度(本実施形態では185℃)から定着設定温度(本実施形態では190℃)に至るまでには充分な時間となるので確実に定着設定温度に至っているためである。すなわち、途中で定着装置の温度が定着可能な温度を下回るような恐れがなく連続してプリントが可能になるためである。
【0019】
図2は、本実施形態の画像形成装置における電源部及び定着部付近を示すブロック図である。
図2において、画像形成装置の電源であるAC電源1がサーキットブレーカ(CB)2とノイズフィルタ(NF)3を介して入力後に分岐し、一方がメインスイッチ(SW1)4を介して直流電源(PSU)5に接続してある。直流電源5の内部でさらに分岐し、省エネ電源6(第1の電源装置)と主電源リレー7を介して主電源8(第2の電源装置)に接続してある。主電源8はアクティブフィルタ9と多出力コンバータ(DC/DC)10で構成されている。省エネ電源6の出力は省エネ制御手段11(第1の制御手段)に接続してあり、主電源8の出力が本体制御手段12(第2の制御手段)に接続してある。なお、省エネ制御手段11には省エネモード(待機モード)解除信号を生成する省エネ解除スイッチ13(解除手段)が接続してある。また、スイッチ手段であるパワーリレー17のコイル16がドアスイッチ15を介して省エネ制御手段11に接続してある。ドアスイッチ15は、図示しない画像形成装置本体のカバーの開閉に連動してオン/オフするように設けられている。さらに、主電源リレー7のコイル14も省エネ制御手段11に接続してある。そして、省エネ制御手段11と本体制御手段12は信号・データ等の授受が可能に接続されている。
【0020】
他方のAC電源は、パワーリレー17(スイッチ手段)を介して定着手段(IH.INV)20に接続してある。本実施形態では、定着手段として誘導加熱方式の定着装置を用いるとともに、複数の温度検出手段を設けることにより、安全性の確保を計っている。定着手段20は図1の定着装置61に相当するものである。
【0021】
定着手段20は大きく見ると、加熱用のコイル21を内蔵した定着ローラ22と、その他の部分である第3の電源装置(インバータ)及び定着ローラの温度検出手段で構成されている。第3の電源装置は、定着ヒータとしての誘導コイルを駆動するための構成要素である。なお、定着ローラ22に圧接される加圧ローラ等は図示を省略されている。
【0022】
定着手段20に導かれたAC電源は、まず、AC検出手段(ACS)23とダイオードブリッジ(DB)24を介して直流電源(DC/DC2)25に入力するとともに、コイル26とコンデンサ27とで構成されるフィルタを介して誘導加熱用のコイル21とコンデンサ28の共振回路に接続してあり、さらに、過電流検出手段(OCS)29を介してスイッチング素子40に接続してある。このスイッチング素子40には、IH制御手段30の出力が接続してある。
【0023】
IH制御手段30は、スイッチング素子40のオン信号を生成するタイミング回路31とPWM回路32及び駆動回路33等で構成され、直流電源25から電源が供給されている。タイミング回路31には前述のAC検出手段23の出力とスイッチング素子40の印加電圧が入力し、PWM回路32には比較器34を介して各出力制御信号が入力されている。
【0024】
比較器34には3つの比較器35〜37の出力が接続してある。各比較器の入力は、第1比較器(C1)35には定着ローラ22に付設した第2温度検出手段(インバータサーミスタ:TH2)39が接続してあり、第2比較器(C2)36には過電流検出手段29が、第3比較器(C3)37にはスイッチング素子40の温度検出手段(TS)41が接続してある。各比較器の他方の入力には基準電圧がそれぞれ接続してある。
【0025】
また、定着ローラ22に付設された第1温度検出手段(本体サーミスタ)38が本体制御手段12に接続してあり、さらに、本体制御手段12から分岐して、第4比較器(C4)43と第5比較器(C5)44を介してそれぞれ省エネ制御手段11に接続してある。
【0026】
さらに、定着ローラ22に付設した第2温度検出手段39の出力が入力される第6比較器(C6)46が設けてあり、この比較器46の出力はラッチ回路45を介してIH制御手段30のPWM回路32に入力される。
【0027】
このPWM回路32には、省エネ制御手段11からフォトカプラ42を介して入力される電力制限信号(II)と、第6比較器46からラッチ回路45を介して入力される電力制限信号(I)の二系等の電力制限信号が接続されている。これらは本発明による電力制御手段である(図中に一転鎖線で囲んで示してある)。
【0028】
このような構成において、メインスイッチ4をオンすると、直流電源5の省エネ電源6(第1の電源装置)にAC電源が入力され、省エネ電源6が起動する。そして、省エネ電源6の出力が省エネ制御手段11(第1の制御手段)に供給され、省エネ制御手段11が起動する。これにより、本実施形態の画像形成装置は待機状態である省エネモードとなる。
【0029】
省エネモードの状態で、省エネ制御手段11に接続された省エネ解除スイッチ13が押下され、省エネ解除信号が省エネ制御手段11に入力すると、省エネ制御手段11は省エネモードを解除して立上げモードに移行する。
【0030】
立上げモードでは、パワーリレー17をオンし、定着手段20にAC電源を供給する。これによりAC検出手段23を介してダイオードブリッジ24にAC電源が入力され、ダイオードブリッジ24で整流されたDC電源が直流電源25に入力する。直流電源25の出力である低圧電源がIH制御手段30(第3の制御手段)に供給され、IH制御手段30が起動して定着制御がスタートすることで、定着手段20が起動する。
【0031】
IH制御手段30では、PWM回路32に入力する比較器34の出力が所定値となるようにスイッチング素子40のオン信号を生成し、駆動回路33からスイッチング素子40に出力する。これによりスイッチング素子40がスイッチングを開始し、定着ローラ22に内蔵してある誘導加熱用のコイル21に数十kHzの駆動電流が流れる。このためコイル21には定着ローラ22に鎖交する磁束が発生し、定着ローラ22の導体部に渦電流が流れ、これによるジュール熱により定着ローラ22は発熱する。
【0032】
定着ローラ22に付設した第2温度検出手段39で温度を検出し、第1比較器35で基準電圧:Vref1と比較を行い、差分が比較器34を介してPWM回路32に入力され、PWM回路32でその差分に対応したパルス幅の駆動信号を生成してスイッチング素子40に出力することにより、定着ローラ22の温度制御を行っている。
【0033】
本実施形態では、PWM回路32で生成する駆動信号の最大パルス幅は、定着手段20で消費する電力に対応して、二段階に切り替えるようにしている。第1のパルス幅は、画像形成装置の入力電力が許容されている最大電力となるように、定着手段20に入力する電力を設定している。具体的には、装置の最大入力電力を1500Wとすると、省エネ電源6及び省エネ制御手段11で消費する電力50Wを除いた1450W(第一の電力)を定着手段20で消費するように、予め駆動信号の最大パルス幅を設定してある。また、第2のパルス幅は、定着手段の立上げが完了した後に、定着手段20で消費する電力が立上げ時よりも低い値となるように設定してある。
【0034】
そして、第1〜第3比較器のうち、第1比較器35が他の比較器に対して優先的に制御されるように基準電圧を設定してあり、第2及び第3比較器36、37は、定着手段20で異常が発生した時のみ駆動信号のパルス幅を制限するようにしている。
【0035】
前述した定着ローラの温度制御により、定着ローラ22の温度が定着可能な温度に達する(リロードする)と、第6比較器46の出力がオンしてラッチ回路45を起動し、PWM回路32に電力制限信号(I)を出力する。これにより、画像形成装置に入力する電力が第2の値以下となるように、PWM回路32で生成する駆動信号のパルス幅を制限している。具体的には、装置の最大入力電力を1500Wとすると、直流電源5と省エネ制御手段11及び本体制御手段12、並びにこれら制御手段で駆動される各部で消費される電力600Wを除いた900Wを、第2の電力値(第二の電力)として定着手段20で消費するように、予め駆動信号の最大パルス幅を設定してある。
【0036】
他の比較器36,37は、定着手段20で異常が発生したときの保護用の信号を発生させるものであり、第2比較器36ではスイッチング素子40の過電流を検出し、第3比較器37ではスイッチング素子40の温度を検出している。何れも異常時には、スイッチング素子40の駆動信号をOFFするように、基準電圧を設定してある。
【0037】
また、定着ローラ22の温度は第1温度検出手段38でも検出しており、省エネ制御手段11と本体制御手段12に入力している。省エネ制御手段11には比較器43と比較器44の二系統の温度情報が入力しているが、両者の温度検出レベルを異なる値に設定してある。まず、比較器43では異常検知を行っており、入力される定着ローラ22の温度情報が予め設定してある値を超えたときに、定着手段20の異常と判断し、パワーリレー14をオフして定着手段へのAC電源の供給を停止するようにしている。また、比較器44では定着可能な温度になったことのリロード検知を行っている。
【0038】
省エネ制御手段11で定着装置のリロードを検出すると、フォトカプラ42を介してPWM回路32に電力制限信号(II)を出力し、PWM回路32ではこの信号を受けると、前述の電力制限信号(I)と同様に、第2のパルス幅の設定をするようにしている。
【0039】
省エネ制御手段11は、次に、主電源リレー7をオンして主電源8(第2の電源装置)を起動する。主電源8から低圧電源が本体制御手段12に供給されると、本体制御手段12が起動し、立上げモードを完了してプリント可能な状態であるプリントモードに移行する。
【0040】
プリントモードでは、IH制御手段30のPWM回路32に電力制限信号が入力しているため、スイッチング素子40に出力する駆動信号のパルス幅を第2のパルス幅以下に制限しながら、第2温度検出手段39で検出した定着ローラ22の温度が所定値を保つように温度制御している。
【0041】
次に、ドアスイッチ15の動作について説明する。
図1に示すように、レーザプリンタ50の前面(操作面)側に本体カバー64が設けられている。このカバー64はジャム処理やメンテナンス等を行うためのもので、カバー64の開閉を検知するドアスイッチ15(図1には図示せず、図2に示してある)が設けてある。このドアスイッチ15は、本体カバー64を開けた時に定着手段20への通電を遮断し、オペレータの感電等の危険を防止するためのものである。このため、本体カバー64を開けるとドアスイッチ15がオフし、パワーリレー17のコイル16への通電を遮断する。これによりパワーリレー17がオフして定着手段20へのAC電源の供給が遮断され、定着ローラ22の加熱も停止される。
【0042】
画像形成装置のカバー64が閉じられると、パワーリレー17のコイル16への通電が再開され、定着手段20が再起動する。この時、リロード状態であればフォトカプラ42を介してPWM回路32に電力制限信号(II)が入力されるので、スイッチング素子40に出力する駆動信号の最大パルス幅が第2のパルス幅に制限された状態で定着ローラ22の加熱を再開する。また、立上げ時であれば(リロードしていなければ)第1のパルス幅で定着ローラ22の加熱を再開する。
【0043】
上記した動作をフローチャートで説明する。
図3は、本実施形態の画像形成装置における全体的動作を示すフローチャートである。このフローチャートに示すように、メインスイッチ4をオンすると待機状態である省エネモードに移行する。この状態で省エネ解除スイッチ13が押されると立上げモードに移行し、定着手段20の加熱立ち上げを行う。定着手段の立ち上げが完了するとプリントモードに移行してプリント処理を実行する。プリントが終了して、予め設定してある条件(例えば、プリント終了から所定時間の間に次のプリント処理の操作が行われない場合など)に達したときに、省エネモードに戻って待機状態となる。
【0044】
図4は、省エネモードのフローチャートである。
このフローチャートに示すように、メインスイッチ4をオンすると省エネ電源6が起動し、この出力により省エネ制御手段11が起動する。これにより、コピー又はプリント処理を行うために操作者または信号(ホストマシーンよりの信号、FAX着信による信号等)により省エネ解除スイッチ13が押下(オン)されるまで待機状態となる。省エネ解除スイッチ13がオンになると、省エネモードが解除されて次の立上げモードに移行する。定着手段の立ち上げが完了するとプリントモードに移行する。
【0045】
図5は、立上げモードのフローチャートである。
このフローチャートに示すように、省エネモードから立上げモードに移行すると、省エネ制御手段11は割込み処理である温度検出処理(図6)を起動する。この処理は、起動後はメインスイッチ4がオフされるまで動作している。温度検出処理を起動後、定着ローラ22の温度が正常であればパワーリレー14をオンして定着手段20が起動する。これにより定着ローラ22の加熱を行う。次に、定着ローラ22の温度が所定の温度(例えば185℃)まで立ち上がりリロードしたことを定着手段の内部で検出すると、電力制限信号(I)を出力して定着手段20で消費する電力を制限する。次に、省エネ制御手段11がリロードを検出したことにより電力制限信号(II)を出力し、主電源を起動する。これにより本体制御手段12が起動する。定着手段20は立上げ時よりも制限された電力で温度制御され、プリントモードに移行する。
【0046】
図6は、立上げモードから省エネモードに移行した時に起動される温度検出処理のフローチャートである。
このフローチャートに示すように、この処理では定着ローラ22の温度の異常を監視(検出)しており、異常の場合(例えば、温度が220℃以上の時)は割込み処理でパワーリレー17をオフして定着手段20への通電を遮断する。その後、省エネ制御手段11から本体制御手段12に異常検知信号を送信し、本体制御手段12では異常処理(例えば、異常状態の表示など)を行っている。
【0047】
図7は、プリントモードのフローチャートである。
このフローチャートに示すように、省エネモードから立上げモードに移行し、立上げモードが終了してプリントが可能な状態になると、コピー又はプリントを行うプリント処理を実行する。プリント処理が終了し、設定してある条件を満たすと省エネモードに移行する。
【0048】
図3〜7で説明した動作を図8にタイミングチャートとして示す。
図8からも判るように、メインスイッチ4投入後省エネモードになり、省エネ解除スイッチ13のONにより立上げモード(定着装置の立上げ及び画像形成部の立上げ)に移行する。上述したように、立上げモードの当初は第1の電力(1450W)で定着手段の立上げが行われ、リロードすると第2の電力(900W)を定着手段に供給しながら画像形成部の立上げが行われる。立上げが完了するとプリントモードとなり、所定のプリント処理が終了する(設定した条件が満たされる)と省エネモードとなる。
【0049】
図9は、本体カバー開閉時の処理を示すフローチャートである。
このフローチャートに示すように、画像形成装置のカバー64があけられるとドアスイッチ15がオフし、パワーリレー17がオフすることにより定着手段20への通電が停止する。その後、カバー64が閉じられると、ドアスイッチ15がオンしてパワーリレー17がオンする。ここで省エネ制御手段11から電力制限信号が出力されている場合は、スイッチング素子40の駆動信号の最大パルス幅が制限され、定着手段20は立上げ時よりも低い電力で定着ローラ22の加熱を再開する。一方、電力制限信号が出ていない場合は、画像形成装置での消費電力が最大になる電力を定着手段20に通電して定着ローラ22の加熱を再開する。
【0050】
このように、省エネモードから立上げモードを経てプリントモードに移行するようにしているので、画像形成装置に入力する限られた電力を有効に活用して、待機時からプリント可能になるまでの立ち上がり時間の短い、省エネ方式の画像形成装置を提供することができる。
【0051】
具体的には、定着電力を切り替える電力制限信号を定着手段の内部で生成することにより、立上げモードにおいて定着手段以外の装置での電力消費を少なくすることにより定着手段への投入電力の配分を増やすことができ、立ち上げを短縮することができる。
【0052】
また、定着手段20の内部と省エネ制御手段11の両方で定着ローラ22の温度を監視し、定着ローラのリロードを検知したら定着手段の内部では電力制限信号(I)を生成し、省エネ制御手段11では電力制限信号(II)を生成し、定着手段で消費する電力を制限するようにしたので、電力制限信号の生成を2系統とすることによってリロード時の処理を簡単にし、待機時からプリント(コピー)可能な状態になるまでの時間を短縮することができる。
【0053】
さらに、ドアスイッチ15のオン/オフに対応して定着手段20へのパワーリレー17をオン/オフすることにより、カバー開放時に定着手段への通電を完全に遮断することができ、感電事故等の危険を回避することができる。
【0054】
また、カバー閉鎖時には電力制限信号の有無を判定して、立上げ時よりも低い電力または最大電力での通電を切り替えることにより、カバー開閉があった場合でもそれまでの通電状態を継続して定着ローラの加熱を再開することができる。
【0055】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。この実施形態は機械的な構成は上記第1実施形態と同様であり、異なる制御の部分についてのみ説明する。
第2の実施形態が上記第1の実施形態と異なる点は、主電源8の起動、すなわち定着手段20で消費する電力の切り換えの起点となる温度をリロード温度よりも低い温度に設定したことである。また、着眼点としては、画像形成部の準備にかかる時間と定着装置への電力を如何に効率よく利用するかという点である。
【0056】
画像形成部の準備期間は、電源投入時に初めて行うときと、一度プリント動作を実行して省エネモードに移行した後に行うときではその時間(画像形成部の立上げ時間)が異なる。具体的には、電源投入時における準備は画像形成部での現在状態確認、異常チェック、環境設定が行われ、一方、一旦プリント処理を実行した後での準備は異常チェックのみ又はそれぞれの準備が簡略化されたもののみ行われるので、後者のほうが立ち上げにかかる時間は短い。本実施形態では前者が20秒程度、後者が5秒程度である。
【0057】
定着装置の消費する電力の切り換えの起点となる温度は、電源投入時に初めて行う(初めて定着手段20を立ち上げる)場合は100℃、一旦プリント処理を実行した後で省エネモードから準備を開始する(定着手段20を立ち上げる)場合を160℃としている。この温度は実験によって得られた温度勾配を利用して計算されており、具体的には100℃から185℃に至るまでの時間が20秒程度、160℃から185℃に至るまでが5秒程度になるという計算による値である。このように構成することにより、画像形成部での準備が完了する時刻が定着可能になる時刻とほぼ同一になるので、定着装置の立ち上げと画像形成部の立ち上げがほぼ同時に完了することになり、総合的な立上げモードの時間が短くなる。なお、起点の温度をこれ以上高い温度にすると、画像形成部が準備完了となる前に定着装置が定着可能温度になるため、せっかく定着装置が準備できても画像形成部の準備ができていない状態となってしまい、画像形成装置全体としての動作開始が遅くなってしまう。また、起点の温度をこれ以下にした場合は、定着手段20に第1の電力が供給される時間が短くなってしまう。
【0058】
以上、本発明を各実施形態により説明したが、本発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば、定着手段としては誘導加熱方式に限らず、ハロゲンヒータを用いるもの、あるいは、抵抗(サーフェイス)発熱方式等の定着装置を用いるものにも本発明を適用することができる。
【0059】
なお、上記した実施形態では定着装置として誘導加熱ローラを使用した定着装置で説明を行った。誘導加熱定着装置自体は例えばUSP5832354に記載されているように公知の技術である。
【0060】
上記実施形態においてはインバータを電源装置として利用しているため電力の切り替えが容易に(すなわち、加熱源を別途設けることなく)達成できる。このインバータを利用する定着装置としては上記実施形態のような誘導加熱式定着装置が一般的であるが、本願出願人が過去に提案している(特開平9−21870号)ようにハロゲンヒータをインバータを利用して定着を行うハロゲン式定着装置にも応用することが可能である。また、誘導加熱式定着装置に比較して構成は複雑になるが、例えば、ハロゲンヒータを2本(例えばヒータaとヒータb)備えて、第1の電力の時にはヒータAとヒータBの双方に通電し、第2の電力の時にはヒータBのみ用いて制御を行うようにしてもよい。
【0061】
また、電源スイッチ(メインスイッチ)を入れた時には省エネスイッチがON状態となるように初期設定しておけば、電源スイッチを入れたとほぼ同時に、定着装置への電力投入が開始されるので、電源投入動作と省エネモード解除動作を一つにまとめることができる。この場合
(構成)でも、プリント処理が終了(プリント自体の終了時でもよいが、プリント自体の終了後の所定時間、次のプリント動作がない場合も含んでいる)した場合や、立ち上げが完了してから所定の時間印刷動作の要求が無い場合には自動的に省エネモード(解除スイッチがOFF)に移行させるのがよい。
【0062】
また、第1及び第2パルス幅で設定される1450W(第一の電力)、900W(第二の電力)の値も一例であり、装置に応じた適宜の値に設定することができる。
【0063】
【発明の効果】
上述の如く、本発明の画像形成装置によれば、立上げ時に定着手段以外の装置での電力消費を少なくすることにより定着手段への投入電力の配分を増やして立ち上げ時間を短縮することができる。
【0064】
請求項2の構成により、電力制限信号の生成を2系統とすることによってリロード時の処理を簡単にし、待機時からプリント(コピー)可能な状態になるまでの時間を短縮することができる。
【0065】
請求項3の構成により、カバーの開閉に対応して定着手段への通電/遮断を行うスイッチ手段をオン/オフすることにより、カバー開放時に定着手段への通電を完全に遮断することができ、感電事故等の危険を回避することができる。
【0066】
請求項4の構成により、カバー閉鎖時には定着手段への最大電力の制限を設定して通電を行う(実施例では、電力制限信号の有無を判定して、立上げ時よりも低い電力または最大電力での通電を切り替える)ので、カバー開閉があった場合でもそれまでの通電状態を継続して定着ローラの加熱を再開することができる。
【0067】
請求項5の構成により、画像形成部での準備が完了する時刻が定着可能になる時刻とほぼ同一になるので、定着装置の立ち上げと画像形成部の立ち上げがほぼ同時に完了することになり、総体的な立上げモードの時間が短くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る画像形成装置の一例を示す概略構成図である。
【図2】その画像形成装置における電源部及び定着部付近を示すブロック図である。
【図3】本実施形態における全体的動作を示すフローチャートである。
【図4】本実施形態における省エネモードのフローチャートである。
【図5】本実施形態における立上げモードのフローチャートである。
【図6】本実施形態における立上げモードから省エネモードに移行した時に起動される温度検出処理のフローチャートである。
【図7】本実施形態におけるプリントモードのフローチャートである。
【図8】本実施形態における動作のタイミングチャートである。
【図9】本実施形態における本体カバー開閉時の処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 AC電源
4 メインスイッチ
6 省エネ電源(第1の電源装置)
8 主電源(第2の電源装置)
11 省エネ制御手段(第1の制御手段)
12 本体制御手段(第2の制御手段)
13 省エネ解除スイッチ(解除手段)
15 ドアスイッチ(カバー開閉検知手段)
17 パワーリレー(スイッチ手段)
20 定着手段
21 誘導コイル
22 定着ローラ
30 IH制御手段
38 本体サーミスタ(第1温度検出手段)
39 インバータサーミスタ(第2温度検出手段)
45 ラッチ回路
46 第6比較器
50 レーザプリンタ
64 本体カバー
Claims (6)
- 定着部を備えた画像形成装置において、
装置本体の電源スイッチと、
前記定着部および画像形成部の立上げを指示する指示手段と、
前記電源スイッチを投入したときにAC電源が供給される第1の電源装置と、
前記第1の電源装置から電力を供給され、前記指示手段に立上げを指示されると第一の電力で前記定着部の制御を行なう第3の制御手段に前記AC電源からの電力の供給を行なうようスイッチ手段を制御し、前記定着部が所定の温度に達すると前記第一の電力よりも小さい第二の電力に切り替えて該定着部の制御を行なうよう第3の制御手段に指示を出す第1の制御手段と、
前記定着部が前記所定の温度に達すると、前記第1の制御手段によって起動される第2の電源装置と、
前記第2の電源装置から電力を供給され、当該画像形成装置本体の制御を行なう第2の制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。 - 前記第一の電力は、当該画像形成装置の最大電力から前記第1の電源装置および前記第1制御手段で消費する電力を減算した電力であることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 本体装置に設けられたカバーの開閉を検出するカバー開閉検知手段を有し、
該カバー開閉検知手段により検出されたカバーの開閉に対応して前記スイッチ手段をオン/オフすることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。 - 前記カバーの閉鎖時に、前記定着手段への最大電力の制限を設定して前記スイッチ手段をオンすることを特徴とする、請求項3に記載の画像形成装置。
- 前記所定の温度が、前記定着部が定着可能となるリロード温度に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
- 前記所定の温度が、前記定着部が定着可能となるリロード温度よりも低い温度に設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の画像形成装置。
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