JP4070162B2 - 単結晶保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、CZ法による半導体単結晶の製造に用いられ、特に大重量の単結晶の引き上げに好適な単結晶保持装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
単結晶シリコンは一般にCZ法を用いて製造されている。CZ法では、単結晶製造装置内に設置した石英るつぼに多結晶シリコンを充填し、石英るつぼの周囲に設けたヒータによって前記多結晶シリコンを加熱溶解して融液とする。そして、シードホルダに取り付けた種結晶を融液に浸漬し、シードホルダおよび石英るつぼを互いに同方向または逆方向に回転させながらシードホルダを引き上げて単結晶シリコンを所定の直径および長さに成長させる。
【0003】
種結晶には、融液に浸漬したときの熱衝撃で転位が発生する。この転位を除去するため、ダッシュネック法を用いて直径3〜4mm程度のネック部を種結晶の下方に形成し、転位をネック部の表面に逃がす。そして、無転位化が確認された後、肩部を形成して単結晶を所定の直径まで拡大させ、次いで直胴部形成に移行する。
【0004】
近年、半導体デバイス生産の効率化、歩留り向上等を目的とした単結晶の大径化あるいは軸方向長さの増大に伴ってその重量が増大し、ネック部の強度が限界に近づいている。そのため、従来の結晶引き上げ方法ではネック部が破断するおそれがあり、安全な単結晶育成ができない。この対策として、単結晶育成中にその荷重をネック部から保持具へ移し換える装置や方法が提案されている。このような装置、方法によれば単結晶重量の大部分を保持具で支えるため、ネック部の破断が防止され、ネック部が破断した場合でも保持具により単結晶の落下を防止することができる。
【0005】
上記単結晶保持具を用いる各種の単結晶引上装置のうち、特公平5−65477で開示された単結晶成長装置は、単結晶に形成した係合段部を着脱自在に保持する複数のクランプアームを備えている。また、特公平7−103000で開示された結晶引上装置は、単結晶のくびれ部に掛止する爪を有し、ワイヤの巻き取りまたは巻き戻しにより開閉する複数の把持レバーと、把持レバーを閉じたときに下方にスライドして把持レバーの開きを防止するリングとを用いて前記単結晶を保持する構成としている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記単結晶引上装置には、それぞれ次のような問題点がある。
(1)特公平5−65477による単結晶成長装置は、単結晶の重量が増大するとクランプアームが開いて単結晶が落下する危険性がある。
(2)特公平7−103000による単結晶引上装置は、把持レバーの開きを防止するリングの下方へのスライドがその自重のみに依存しているため、スライド機構として不確実であり、リングが把持レバーに引っ掛かってスライドしない可能性がある。また、リングがスライドしたときの衝撃により単結晶を有転位化させる恐れがある。
【0007】
本発明は上記従来の問題点に着目してなされたもので、単結晶に形成したくびれ部に単結晶保持装置の爪を掛止して単結晶を保持し、単結晶保持装置で単結晶重量の大部分を支えて単結晶を引き上げる過程で、爪の開きを確実に防止することが可能な単結晶保持装置を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明に係る単結晶保持装置の第1は、単結晶にくびれ部を形成し、リンク機構により開閉する保持アームを前記くびれ部に掛止して単結晶を保持しつつ引き上げる単結晶保持装置において、リンク機構のリンクと保持アームとが連結した連結点が、リンクと外筒とが連結した連結点の上方に位置し、かつ、保持アームに設けたストッパがリンクの回動を阻止することにより保持アームの開きを防止することを特徴とする。上記構成によれば、保持アームが開状態から閉状態に移行する際に、リンク機構のリンクと保持アームとが連結した連結点が、リンクと外筒とが連結した連結点の上方に位置し、更にリンクの回動がストッパにより阻止されるため、単結晶の育成進捗に伴ってその重量が増大しても保持アームが開くことはなく、単結晶を確実に保持し続けることができる。
【0009】
本発明に係る単結晶保持装置の第2は、上記第1構成の単結晶保持装置が、外筒と、内筒と、内筒の下端に回動自在に取着した複数の保持アームと、外筒の下端と保持アームとを連結する複数のリンクとを有し、外筒または内筒のいずれか一方を上昇または下降させることにより保持アームの下端を開閉し、保持アームの下端が閉じたとき保持アームに設けたストッパがリンク下面に当接して保持アームの開きを阻止することを特徴とする。
上記構成の単結晶保持装置はリンク機構を用いているため、外筒または内筒のいずれか一方を相対的に上昇または下降させるだけで保持アームの下端を閉じて単結晶のくびれ部を保持することができる。また、保持アームの下端が閉じたときストッパがリンク下面に当接してリンクの回動を阻止するので、保持アームの開きが確実に阻止される。
【0010】
また、本発明に係る単結晶保持装置の第3は、上記第2構成において、
外筒または内筒のいずれか一方を昇降させる手段として、ワイヤ巻取装置、ボールねじによる昇降装置、流体圧アクチュエータのいずれかを用いることを特徴とする。
上記構成によれば、保持アームで単結晶のくびれ部を保持するに当たり、外筒または内筒のいずれか一方を昇降させるために各種の装置のいずれかを任意に選択して使用することができる。
【0011】
【発明の実施の形態および実施例】
次に、本発明に係る単結晶保持装置の実施例について図面を参照して説明する。
図1に単結晶保持装置の第1実施例を示す。図示しない単結晶製造装置のプルチャンバ上方に設けられた真空容器1内に、結晶引上ワイヤ巻取装置2と単結晶保持装置10を昇降させる複数のワイヤ巻取装置11とが設置されている。結晶引上ワイヤ巻取装置2から垂下する結晶引上ワイヤ3の下端にはシードホルダ4が繋着され、複数のワイヤ巻取装置11から垂下する保持装置引上ワイヤ12の下端には単結晶保持装置10が繋着されている。また、図示しないメインチャンバ内に融液5を貯留するるつぼ6が回転ならびに昇降可能に設置され、るつぼ6の周囲には図示しないヒータ、断熱筒が設置されている。シードホルダ4に装着した種結晶7を融液5に浸漬した後、結晶引き上げワイヤ3を巻き取ることにより単結晶8が育成される。
【0012】
単結晶保持装置10は図2に示すように、外筒13、リンク14、内筒15と保持アーム16とを備えている。外筒13は上端にフランジ13aを有する円筒で、その下端に設けた複数の突出部にリンク14の一端が回動自在に取着されている。内筒15は前記保持装置引上ワイヤ12の下端に繋着された円筒で、その下端に設けた複数の突出部に保持アーム16の上端が回動自在に取着されている。リンク14の他端は保持アーム16に回動自在に取着されている。保持アーム16には、リンク14との連結部の下方において外側に突出するストッパ16aが設けられ、下端には内側に突出する爪16bが設けられている。また、メインチャンバ内には、単結晶保持装置10を担持する環状の支持台17が取着され、この支持台17に取着されたスラストベアリング18を介して外筒13のフランジ13aを載置することができるようになっている。
【0013】
上記構成の単結晶保持装置10の動作について、図1〜図3を参照して説明する。
結晶引上ワイヤ3のみが巻き戻されてシードホルダ4に装着した種結晶7が融液5に浸漬される。そして、ダッシュネック法によって無転位化した後、ネック部9と単結晶8の肩部8aとの間に拡径部8bとくびれ部8cとが形成され、次いで肩部8aと所定の直径の直胴部8dとが育成される。この間、保持装置引上ワイヤ12は内筒15を最も下方の位置に釣支した状態で保持し、真空容器1の回転により単結晶保持装置10を支持台17上で回転させている。内筒15が最も低い位置にあるため、図1に示すように保持アーム16は開いた状態になっている。または、単結晶保持装置10は、保持アーム16を閉じた後に、真空容器1と等速の回転をするようにしても良い。この場合は、図1に示す最も低い位置において、内筒15は回転せず、保持アーム16を開いている。
【0014】
単結晶8の育成が進み、くびれ部8cが図2に示す高さに到達したときワイヤ巻取装置11か駆動され、保持装置引上ワイヤ12が結晶引上ワイヤ3の巻き取り速度より速い速度で巻き取られる。これにより内筒15及び保持アーム16が引き上げられ、保持アーム16の外側に設けられたストッパ16aがリンク14の下面に当接すると、リンク14の上方への回動が停止し、保持アーム16は閉じた状態となる。そして、保持装置引上ワイヤ12の巻き取り速度が結晶引上ワイヤ3の巻き取り速度より速いため、図3に示すように保持アーム16下端の爪16bは拡径部8bの下側円錐面に当接する。保持装置引上ワイヤ12の巻き取り速度は、爪16bが拡径部8bの下側円錐面に当接する前から徐々に結晶引上速度に近づくように減速され、拡径部8bの下側円錐面に当接した時点で結晶引上ワイヤ3の巻き取り速度と一致するように制御される。爪16bが拡径部8bの下側円錐面に当接した後は、結晶引上ワイヤ3による単結晶引き上げから保持装置引上ワイヤ12による単結晶引き上げに移行する。
【0015】
保持アーム16が開状態から閉状態に移行するとき、リンク14と保持アーム16との連結点は、外筒13とリンク14が連結した連結点と同じ高さとなる位置を越えて上方に移動する。そして、リンク14の下方への動きはストッパ16aによって阻止されるため、閉状態となった保持アーム16に単結晶重量が作用しても保持アーム16が開くことはない。
【0016】
上記第1実施例において、支持台17をメインチャンバに固定せず、メインチャンバの上部からワイヤまたはロッドで吊り下げてもよい。
【0017】
図4に単結晶保持装置の第2実施例を示す。真空容器1内には結晶引上ワイヤ巻取装置2のみが設置され、ボールねじ21の回転により昇降する支持板22にベアリング23を介して単結晶保持装置10の内筒24が取着されている。この内筒24は結晶引上ワイヤ3を包囲するように設けられ、図示しない駆動装置により真空容器1と等速で同一方向に回転する。内筒24の下端には保持アーム16が連結されている。第1実施例と同様に、外筒13は図示しないメインチャンバに取着された環状の支持台17上にスラストベアリング18を介して載置されている。
【0018】
上記構成の単結晶保持装置10の動作について説明する。
単結晶保持装置10で単結晶8を保持するまでの間は、内筒24が最も低い位置にあって保持アーム16は開いた状態になっている。単結晶8の育成が進み、くびれ部8cが図2に示す高さに到達したとき、ボールねじ21が回転して支持板22とともに内筒24が結晶引上速度より速い速度で上昇する。これにより保持アーム16が引き上げられ、第1実施例の場合と同様に保持アーム16が閉じた状態となって拡径部8bの下側円錐面に当接する。支持板22及び内筒24の上昇速度は結晶引上速度と一致するように制御され、結晶引上ワイヤ3による単結晶引き上げから結晶保持装置10による単結晶引き上げに移行する。
【0019】
図5に単結晶保持装置の第3実施例を示す。ボールねじ21の回転によって昇降する支持板22にベアリング23を介して単結晶保持装置30の支持筒31が取着されている。支持筒31は図2に示した内筒15に相当するもので、図示しない駆動装置により真空容器1と等速で同一方向に回転する。支持筒31の中心に結晶引上ワイヤ3が通り、その周囲に複数の保持アーム32が取着されている。保持アーム32は上端を支点として回動可能であり、下端には内側に突出する爪32aが形成されている。また、前記支持板22には複数の空圧シリンダ33が下向きに取着され、各ピストンロッド33aの先端は保持アーム32を取り巻くように設けられた環状の円板34をスラストベアリング37で保持し回転自在に支持している。円板34の下面には、支持部材35を介してリンク36の一端が回動可能に取着され、リンク36の他端は保持アーム32に回動可能に取着されている。前記支持部材35は、図2に示した外筒13に相当するものである。なお、保持アーム32にはリンク36との連結部下方にストッパ32bが突出している。
【0020】
上記構成の単結晶保持装置30の動作は次の通りである。
保持アーム32で単結晶8を保持するまでの間は、空圧シリンダ33のピストンロッド33aが引き込まれた状態で静止し、リンク36が垂直に近い姿勢を保っているため、保持アーム32の下端は開いている。この状態で結晶引上ワイヤ3のみが巻き戻されてシードホルダ4が下降し、単結晶8の育成が開始される。この間、保持アーム32、円板34、支持部材35、リンク36は支持筒31とともに真空容器1と等速で同一方向に回転している。または、保持アーム32、円板34、支持部材35、リンク36、支持筒31は回転させずに待機させておくこともできる。リンク体は回転していない状態で保持アーム32を閉じた後、真空容器1と等速で同一方向に回転させる。このあとは、図5に示す、円板34の下のスラストベアリング37は不要となる。
【0021】
単結晶8の育成が進み、くびれ部8cが爪32aの高さに到達すると、空圧シリンダ33が作動してピストンロッド33aが押し出され、円板34が下降する。これに伴ってリンク36の一端が押し下げられ、他端が上方に移動してストッパ32bに当接する。これにより保持アーム32の下端が閉じて、爪32aはくびれ部8cに近接する。更に、ボールねじ21の回転により保持アーム32が結晶引上速度より速い速度で上昇するので、爪32aが拡径部8bの下側円錐面に当接する。その後、単結晶保持装置30の上昇速度は結晶引上速度と一致するように制御され、結晶引上ワイヤ3による単結晶引き上げから単結晶保持装置30による単結晶引き上げに移行する。
【0022】
上記の各実施例では種結晶の下端に形成するネック部と単結晶の肩部との間に形成したくびれ部を爪で掛止する単結晶保持装置について説明したが、これに限るものではなく、単結晶の直胴部上端に形成した突出部に爪を掛止する構造の単結晶保持装置に対しても本発明を適用することができる。
【0023】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、次の効果が得られる。
(1)単結晶保持装置のリンク機構そのものに爪の開きを防止する機構を設けたので、他の駆動装置による独立した開き防止機構が不要となる。また、単結晶の重量が増大しても爪が開いて単結晶が落下する危険性が皆無となる。
(2)本発明の単結晶保持装置は、リンク機構を動かすだけで単結晶のくびれ部に掛止す爪を確実に閉じることができ、しかも単結晶を有転位化させるような衝撃を発生させることがない。従って、大径、大重量の単結晶の生産性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】単結晶保持装置の第1実施例を示す説明図である。
【図2】単結晶保持装置の爪が閉じた状態を示す説明図である。
【図3】単結晶保持装置で単結晶を保持した状態を示す説明図である。
【図4】単結晶保持装置の第2実施例を示す説明図である。
【図5】単結晶保持装置の第3実施例を示す説明図である。
【符号の説明】
3…結晶引上ワイヤ、8…単結晶、8b…拡径部、8c…くびれ部、10,30…単結晶保持装置、11…ワイヤ巻取装置、12…保持装置引上ワイヤ、13…外筒、14,36…リンク、15,24…内筒、16,32…保持アーム、16a,32b…ストッパ、16b,32a…爪、17…支持台、21…ボールねじ、22…支持板、31…支持筒、33…空圧シリンダ、35…支持部材。
Claims (3)
- 単結晶(8) にくびれ部(8c)を形成し、リンク機構により開閉する保持アーム(16)を前記くびれ部(8c)に掛止して単結晶(8) を保持しつつ引き上げる単結晶保持装置(10)において、
リンク機構のリンク(14) と保持アーム (16) とが連結した連結点が、リンク (14) と外筒 (13) とが連結した連結点の上方に位置し、かつ、保持アーム(16)に設けたストッパ(16a) がリンク(14)の回動を阻止することにより保持アーム(16)の開きを防止する
ことを特徴とする単結晶保持装置。 - 外筒(13)と、内筒(15)と、内筒(15)の下端に回動自在に取着した複数の保持アーム(16)と、外筒(13)の下端と保持アーム(16)とを連結する複数のリンク(14)とを有し、
外筒(13)または内筒(15)のいずれか一方を上昇または下降させることにより保持アーム(16)の下端を開閉し、保持アーム(16)の下端が閉じたとき保持アーム(16)に設けたストッパ(16a) がリンク(14)下面に当接して保持アーム(16)の開きを阻止する
ことを特徴とする請求項1記載の単結晶保持装置。 - 外筒(13)または内筒(15)のいずれか一方を昇降させる手段として、ワイヤ巻取装置(11)、ボールねじ(21)による昇降装置、流体圧アクチュエータ(33)のいずれかを用いることを特徴とする請求項2記載の単結晶保持装置。
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1998
- 1998-02-10 JP JP04629198A patent/JP4070162B2/ja not_active Expired - Lifetime
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