JP4070062B2 - 配線基板の製造方法と電気接続箱 - Google Patents

配線基板の製造方法と電気接続箱 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、配線基板の製造方法とこの方法によって製造された配線基板を用いた電気接続箱に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
電気接続箱は、従来、例えば、銅条を所望の回路形状に打ち抜いた種々のバスバーを使用し、これらのバスバーを絶縁板に取り付けたり、複数の絶縁板間に配置して積層したりして配線基板とし、この配線基板をケース内に収納して製造していた。
【0003】
このため、バスバーを用いた従来の電気接続箱は、全種類のバスバーに対応したそれぞれの金型を多数必要とし、製造コストが高いうえ、設計変更に伴う回路変更があった場合には、全ての金型を再度作らなければならなず、回路変更が難しいという問題があった。
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、金型を必要とするバスバーを使用せず、安価で、回路変更にも容易に対応することが可能な配線基板の製造方法と電気接続箱を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため本発明の請求項1の発明にかかる配線基板の製造方法においては、平板状の絶縁板の表面に、電線を、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて複数回巻き付ける第1の巻き付け工程と、前記絶縁板の表面に、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて、前記第1の巻き付け工程により巻き付けた前記電線と交差する方向に、電線を複数回巻き付ける第2の巻き付け工程と、前記第1及び第2の巻き付け工程で巻き付けた前記電線の一部を所望の位置で切断する工程と、前記第1の工程で巻き付けた前記電線と前記第2の巻き付け工程で巻き付けた前記電線を、所望の交差位置で圧接端子を用いて電気的に接続する工程と、前記電線の所望の位置に電気接続端子を取り付ける工程を備える構成とした。
また、請求項2の発明にかかる配線基板は、平板状の絶縁板の表面に、電線を、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて複数回巻き付けてあり、前記絶縁板の表面に、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて、前記電線と交差する方向に、電線を複数回巻き付けてあり、前記電線の一部が所望の位置で切断されており、交差した前記電線同士が所望の交差位置で圧接端子を用いて電気的に接続されており、 前記電線の所望の位置に電気接続端子が取り付けられていることを特徴とする。この配線基板は、請求項1の発明により製造することができるものである。
請求項3に記載の配線基板は、請求項2に記載の配線基板の前記絶縁板の周縁に収納溝が複数形成され、前記電線が該収納溝を利用して巻き付けられていることを特徴とする請求項2記載の配線基板である。このように構成することで、隣接する電線が重ならないようにすることができる。よって請求項2で得られる配線基板の発明の効果をより確実にすることができる。
請求項4に記載の配線基板は、請求項3の配線基板の前記収納溝には前記端子溝が設けられており、前記端子溝に前記電気接続端子が取り付けられていることを特徴とする。このような構成とすることで、電線の位置が収納溝に固定された部分の電線に確実に電気接続端子を固定することができる。よって請求項2で得られる発明の効果をより確実にすることができる。
請求項5の発明にかかる電気接続箱は、前記請求項2〜4記載のいずれかの配線基板と、前記電気接続端子に取り付けられるコネクタカバーと、前記配線基板を収納するケースと、該ケースに取り付けられた電子部品とを備えたことを特徴とする電気接続箱である。このような構成とすることで、配線基板を確実に保護し、回路変更が容易で、安価な電気接続箱を提供することが可能となる。
請求項6の発明にかかる電気接続箱は、請求項5に記載の電気接続箱に、複数のバスバーと、他の絶縁板とを有するバスバー配線体をさらに有し、前記配線基板を該バスバー配線体に搭載して所望のバスバー相互間を所望の電線で接続したことを特徴とする請求項5記載の電気接続箱である。このような構成によれば、バスバーの形状により回路を所望のパターンに変えることもできるようになる。よってさらに回路変更が容易で安価な電気接続箱を提供することが可能となる。
【0005】
また、上記目的を達成するため本発明の電気接続箱においては、前記製造方法によって製造された配線基板をケース内に収納して製造される構成としたのである。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の配線基板の製造方法と電気接続箱に係る一実施形態を図1乃至図13に基づいて詳細に説明する。
本発明の配線基板の製造方法においては、ポリプロピレン(PP)やポリブチレンテレフタレート(PBT)等から成形された図1に示す電気絶縁性を有する絶縁板1を用いる。
【0007】
絶縁板1は、四角形状に成形され、3辺の周縁に、図1及び図2に示すように、電線2を収納する多数の収納溝1aが所定ピッチで形成され、各収納溝1aには圧接端子2を取り付ける端子溝1b(図2,図7参照)が設けられている。
そして、配線基板の製造に際しては、先ず、長辺側の多数の収納溝1aを利用し、図1に示すように、絶縁板1の幅方向に電線2を巻き付ける。
【0008】
次に、短辺側の多数の収納溝1aを利用し、図3に示すように、先に巻き付けた電線2と直交する絶縁板1の長手方向に電線2を重ねて巻き付ける。絶縁板1への電線2の巻き付けに際し、絶縁板1の長辺や短辺の中央を図示しない回転装置の把持部材で順次把持し、絶縁板1を回転させる。
次いで、図4に示すように、巻き付けた電線2を所望の回路が形成されるように適宜の位置で切断する。
【0009】
しかる後、図5に示すように、ジョイント型の圧接端子3を電線2が交差している所望の位置に組み付ける。これにより、交差している電線2が、圧接端子3によって相互に電気的に接続される。
そして、図6及び図7に示すように、各端子溝1bにオス型の圧接端子4を組み付け、配線基板5が製造される。
【0010】
このように、本発明方法は、金型を必要とするバスバーを使用しないので、金型製作に伴うコストを削減して安価に配線基板を製造することができる。また、配線基板5は、電線2を適宜の位置で切断すると共に、ジョイント型の圧接端子3を電線2が交差している所望の位置に組み付けるので、回路変更にも容易に対応することが可能である。
【0011】
このようにして製造された配線基板5は、図9に示すように、互いに嵌合されるアッパケース12とロアケース13とを有するケース11内に収納して電気接続箱10とされる。このとき、電気接続箱10は、図示のように、アッパケース12とロアケース13の外周にコネクタカバー14〜16が取り付けられる。
アッパケース12及びロアケース13は、扁平な矩形の箱状に成形され、周囲にコネクタカバー14〜16を取り付ける溝12a,13aが設けられ、内側にはリブ12b,13bが形成されている。
【0012】
コネクタカバー14〜16は、ベース板14a〜16aに四角筒状のコネクタハウジング14b〜16bが複数形成され、ベース板14a〜16aには、配線基板5の多数の圧接端子4を挿通する複数の端子孔14c〜16cが形成されている。
ここで、図9は斜視図で、アッパケース12の溝12a,リブ12b並びにコネクタカバー14,15の端子孔14c,15cは見えないので、図示されていない。
【0013】
以上のように構成される電気接続箱10は以下のようにして製造される。
先ず、ロアケース13の溝13aにベース板14a〜16aの下縁を差し込むと共に、配線基板5の多数の圧接端子4をベース板14a〜16aに形成された対応する端子孔14c〜16cに挿通し、配線基板5をロアケース13の内側に搭載する。
【0014】
次に、アッパケース12を上方から配線基板5を搭載したロアケース13に被せ、溝12aにベース板14a〜16aの上縁を差し込み、アッパケース12とロアケース13とを嵌合させると、図8に示す電気接続箱10の製造が完了する。
このとき、電気接続箱10は、バスバーを使用しない扁平な配線基板5を用いているので、安価に製造できる。また、配線基板5は、電線2を適宜の位置で切断すると共に、ジョイント型の圧接端子3を電線2が交差している所望の位置に組み付けるので、回路変更にも容易に対応することが可能である。
【0015】
一方、配線基板は、図10に示す配線基板20のように、絶縁板1と同様に構成される絶縁板21に電線22を幅方向及び長手方向に巻き付ける。そして、電線22を所望位置で切断すると共に、電線22が交差する所望位置にジョイント型の圧接端子23を組み付ける。そして、交差している電線22を圧接端子23により相互に電気的に接続し、板面から上方向あるいは下方向に突出する圧接端子24を絶縁板21に取り付けても、配線基板5と同様の効果を発揮することができる。
【0016】
そして、配線基板20は、図11に示す、複数のバスバー26と絶縁板27とを有するバスバー配線体25に搭載すると、所望のバスバー相互間を所望の電線22で接続することができる。
このとき、各バスバー26は、回路形状を考慮して所望形状に成型され、複数の圧接端子26aとタブ端子26bを有し、それぞれ絶縁板27から上下方向に突出している。
【0017】
従って、配線基板20は、バスバー配線体25に搭載した状態で、図示しないアッパケースとロアケースとを有するケース内に収納すると、電気接続箱10と同様の効果を発揮する電気接続箱を簡単に製造することができる。
また、本発明の電気接続箱は、図12に示す電気接続箱30のように、アッパケース32とロアケース33を有するケース31内に配線基板35を収納しても電気接続箱10と同様の効果を発揮することができる。
【0018】
アッパケース32及びロアケース33は、扁平な矩形の箱状に成形されている。アッパケース32は、図示のように、上部にコネクタハウジング32aと接続ハウジング32bが設けられている。コネクタハウジング32aは、所望のコネクタが接続される。接続ハウジング32bは、リレー,ヒューズ,コンデンサ,ダイオード,電子制御装置(ECU)等の電子部品34が接続される。ロアケース33は、内側にリブ33aが複数形成されている。
【0019】
配線基板35は、配線基板5と同様に、所定ピッチで形成される多数の収納溝1aと、端子溝1b(図2,図7参照)とを有する絶縁板1に電線2を巻き付けて製造される。このとき絶縁板1は、長辺や短辺の中央を図示しない回転装置の把持部材で順次把持し、長手方向と幅方向にそれぞれ回転させることで電線2が巻き付けられる。巻き付けられた電線2は、所望の回路が形成されるように適宜の位置で切断される。
【0020】
そして、配線基板35は、図示のように、電線2が交差する適宜位置にジョイント型の圧接端子3が、コネクタハウジング32aと対応する位置に圧接端子36,37が、接続ハウジング32bと対応する位置に圧接端子38が、それぞれ組み付けられる。従って、圧接端子36,37はコネクタハウジング32aに接続したコネクタと、圧接端子38は接続ハウジング32bを介して電子部品34と、それぞれ接続される。
【0021】
尚、上記実施形態の配線基板5,20においては、四角形状の絶縁板1,21を使用したが、絶縁板の形状はこれに限定されるものではなく、使用目的に応じて角部や一部を切除したり、四角形以外の種々の形状とすることができる。
例えば、図13に示す配線基板40のように、四角形状の絶縁板の角部を切除し、形成される斜辺部40eにも配線基板5と同様に構成される収納溝と端子溝(共に図示せず)を設ける。そして、配線基板40は、この端子溝に圧接端子4を取り付け、斜め外方から図示しないコネクタを接続する構造としても、上記実施形態で説明した配線基板5,20と同じ効果を発揮することができる。
【0022】
ここで、配線基板40は、周縁に電線2を収納する多数の収納溝40aが所定ピッチで形成され、各収納溝40aには圧接端子2を取り付ける端子溝(図示せず)が設けられている。また、配線基板40は、電線2が交差する適宜位置に、図示のようにジョイント型の圧接端子3が組み付けられている。
尚、本発明の配線基板の製造方法においては、絶縁板1,21や配線基板40を固定し、電線側を移動させることによって、電線を巻き付けて布線してもよい。
【0023】
【発明の効果】
請求項1,2の発明によれば、金型を必要とするバスバーを使用せず、安価で、回路変更にも容易に対応することが可能な配線基板の製造方法と電気接続箱を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の配線基板の製造方法で使用する絶縁板に第1の方向に電線を巻き付けた状態の斜視図である。
【図2】図1の絶縁板のA部を拡大した斜視図である。
【図3】図1の絶縁板に第2の方向に電線を巻き付けた状態の斜視図である。
【図4】巻き付けた電線を所望の位置で切断した絶縁板の斜視図である。
【図5】交差している位置に圧接端子を取り付け、電線を互いに接続する状態を示す図4の絶縁板の斜視図である。
【図6】図5の絶縁板の端子溝に圧接端子を取り付けて配線基板とする状態を示す斜視図である。
【図7】図6の絶縁板のB部を拡大した斜視図である。
【図8】本発明方法によって製造された図6の配線基板を用いた電気接続箱の斜視図である。
【図9】図6の配線基板を用いて電気接続箱を組み立てる状態を示す分解斜視図である。
【図10】本発明の配線基板に係る他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】図10の配線基板を組み付けるバスバー積層体の斜視図である。
【図12】本発明の電気接続箱の他の実施形態を示すもので、電気接続箱の分解斜視図である。
【図13】本発明の配線基板に係る更に他の実施形態を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 絶縁板
1a 収納溝
1b 端子溝
2 電線
4 圧接端子
5 配線基板
10 電気接続箱
11 ケース
12 アッパケース
13 ロアケース
14〜16 コネクタカバー
20 配線基板
21 絶縁板
22 電線
24 圧接端子
25 バスバー配線体
26 バスバー
27 絶縁板
30 電気接続箱
31 ケース
32 アッパケース
33 ロアケース
34 電子部品
35 配線基板
36〜38 圧接端子
40 配線基板
40a 収納溝
40e 斜辺部

Claims (6)

  1. 平板状の絶縁板の表面に、電線を、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて複数回巻き付ける第1の巻き付け工程と、
    前記絶縁板の表面に、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて、前記第1の巻き付け工程により巻き付けた前記電線と交差する方向に、電線を複数回巻き付ける第2の巻き付け工程と、
    前記第1及び第2の巻き付け工程で巻き付けた前記電線の一部を所望の位置で切断する工程と、
    前記第1の工程で巻き付けた前記電線と前記第2の巻き付け工程で巻き付けた前記電線を、所望の交差位置で圧接端子を用いて電気的に接続する工程と、
    前記電線の所望の位置に電気接続端子を取り付ける工程と、
    を備えることを特徴とする配線基板の製造方法。
  2. 平板状の絶縁板の表面に、電線を、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて複数回巻き付けてあり、
    前記絶縁板の表面に、隣接する電線が重ならないように間隔をあけて、前記電線と交差する方向に、電線を複数回巻き付けてあり、
    前記電線の一部が所望の位置で切断されており、
    交差した前記電線同士が所望の交差位置で圧接端子を用いて電気的に接続されており、
    前記電線の所望の位置に電気接続端子が取り付けられていることを特徴とする配線基板。
  3. 前記絶縁板には周縁に収納溝が複数形成され、前記電線が該収納溝を利用して巻き付けられていることを特徴とする請求項2記載の配線基板。
  4. 前記収納溝には前記端子溝が設けられており、前記端子溝に前記電気接続端子が取り付けられていることを特徴とする請求項3記載の配線基板。
  5. 前記請求項2〜4記載のいずれかの配線基板と、
    前記電気接続端子に取り付けられるコネクタカバーと、
    前記配線基板を収納するケースと、
    該ケースに取り付けられた電子部品と
    を備えたことを特徴とする電気接続箱。
  6. 複数のバスバーと、他の絶縁板とを有するバスバー配線体をさらに有し、
    前記配線基板を該バスバー配線体に搭載して所望のバスバー相互間を所望の電線で接続したことを特徴とする請求項5記載の電気接続箱。
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