JP4068864B2 - 積層体およびそれを含む表示体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、表面に各種表示内容が印刷された透明または半透明の樹脂成形体(I)とその少なくとも印刷面側に接着一体化した透明または半透明の樹脂成形体(II)とを含む積層体およびそれを含む表示体に関する。
【0002】
【従来の技術】
透明樹脂の内部に、文字、模様、絵、写真等の各種表示を内在させた物品が知られている。
透明樹脂としては、アクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂等種々の透明樹脂が使用されているが、優れた耐候性、透明性、美麗性からアクリル系樹脂が多用されている。
【0003】
これらの物品は、(1)各種表示を印刷した透明フィルムを少なくとも一方が透明である2枚の透明樹脂板の間に挟み込み、これらの積層体を固定具等で押さえ込んだ積層体、(2) 各種表示を印刷した透明フィルムを、少なくとも一方が透明である2枚の樹脂板の間に挟み込み、フィルムとそのフィルムの両側に位置する樹脂板とを接着した積層体が知られている。
また、類似の物品として、(3)透明樹脂板の裏面に各種表示を印刷し表面側を有意面として使用する物品、(4) 透明樹脂板の裏面に各種表示を印刷した透明フィルムを粘着剤で貼り付けた物品も知られている。
【0004】
しかしながら、(1)の積層体では透明樹脂板とフィルムが接着されていないため両者の間に隙間が生じ、その隙間に異物、ごみが入りやすく、さらには液状の汚れが入り込んだ場合にはそれが毛細管現象で積層体の内部にまで到達しやすく、経時的に表示内容が見難くなったり美観を損ねることになりやすいという問題があった。さらにこの透明樹脂板とフィルムの間の隙間により、視覚演出効果が損なわれやすいという問題があった。
またこの積層体ではフィルムを挟みこんだ樹脂成形体を固定具で押さえつけて各層が脱落することを防ぐことが不可欠であり積層体表面の一体感を損ねやすく、またデザイン上の制約を受けやすいという問題があった。
【0005】
(2)の積層体では、液状の接着剤を使用するため接着する過程で2枚の樹脂板に挟まれたフィルムがずれたり、皺が発生することが多く、また接着剤の硬化にともなう収縮に追随できずにフィルムに皺が発生しやすく、さらにはこれらの皺の部分に気泡が残留しやすい等の問題があり、小サイズのものしか実用化できないという問題があった。
【0006】
(3)の物品では、透明樹脂板の表面側より裏面に印刷された表示内容を見ることになり、視覚演出効果は一部あるものの、表示の下側に樹脂が無いため、表示内容が物品の裏面にも映り込んだり反射等して、表面側での反射、レンズ効果等の光学的効果とあいまって視覚効果を演出する効果が期待できないという問題があった。また印刷面は保護されていない状態であり、印刷面である裏面からの汚染に対して耐久性は改善されず、また裏面から見ても視覚演出効果がないことから表面側からだけ見る用途に限定されることが多く、物品の両面を有意面として使用しにくいという問題があった。
【0007】
(4)の物品では、(3)と同様に透明樹脂板の表面側より裏面に配された表示内容を見ることになり、視覚演出効果は一部あるものの、表示の下側に樹脂が無いため、表示内容が物品の裏面にも映り込んだり反射等して、表面側での反射、レンズ効果等の光学的効果とあいまって視覚効果を演出する効果が期待できないという問題があった。またフィルムがはがれることがあったり、フィルムと樹脂板との間隙に異物、ごみが入りやすく、さらには液状の汚れが入り込んだ場合にはそれが毛細管現象で積層体の内部にまで到達しやすく、経時的に表示内容が見難くなったり美観を損ねることになりやすいという問題があった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、上述の問題点を改善し、樹脂内部に配された表示内容部分の耐久性に優れ、優れた視覚演出効果を発現して美麗性に優れ、しかもサイズを大きくすることも可能な樹脂積層体を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討した結果、各種表示内容を特定の厚みの樹脂成形体に印刷し、少なくとも印刷面側にさらに透明樹脂成形体を接着一体化することにより上記課題を解決することを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、表面に印刷してなる透明または半透明のアクリル系樹脂からなる樹脂成形体(I)と、該樹脂成形体(I)の印刷面側に重合接着により接着一体化してなる透明または半透明のアクリル系樹脂からなる樹脂成形体(II)とを含む積層体であって、樹脂成形体(I)の厚みが0.5mm以上、樹脂成形体(II)の厚みが5mm以上であり、該印刷にアクリル系樹脂を配合した印刷インキを用いたことを特徴とする、前記積層体に関する。
【0010】
さらに、本発明は、全体の厚みが15mm以上であり、最大部分の寸法が、縦方向で25cm以上、横方向で25cm以上である、前記積層体に関する。また、本発明は、樹脂成形体(I)の印刷が辺縁から10mm以上内側になされている、前記積層体に関する。さらに、本発明は、積層体の表面から印刷面までの深さが5mm以上である、前記積層体に関する。また、本発明は、前記積層体を含む、表示体に関する。
【0011】
本発明の積層体は、接着一体化されており、積層体を構成する樹脂成形体同士の重ね合わせ部分に間隙がないため、積層体端面からの異物、ごみ等による汚染の心配はなく、また液状の汚染物質が内部に浸透する恐れが無いものである。また、印刷による表示部分は厚い樹脂層に覆われて外部環境に直接晒されることもないため、表示部分の耐久性が優れたものとなる。
【0012】
本発明の積層体は、その強度が樹脂積層体全体の厚みに対応する強度となり、接着一体化されているため、単に構成する樹脂成形体同士を重ね固定具で押し付けただけに比べて高い強度が得られる。また、強度保持を目的とした固定具の使用を避けることができるため、積層体表面に樹脂以外の異種材料を用いることなく一体感が得られ、極めて意匠性の高い外観が得られるともにデザインの自由度が向上する。
【0013】
また本発明の樹脂積層体は、表示部分の上側および下側に厚みを有する樹脂成形体層があるので、表示部分を見る角度により、その表示内容が、樹脂積層体の上側面および/または下側面、場合によっては端面に映り、さらには表示部分の上側樹脂層の反射、レンズ効果等の光学的効果があいまって優れた視覚効果を演出する。
本発明の樹脂積層体は、一定の厚みを有する樹脂成形体(I)に各種表示を印刷し、樹脂成形体を積層するので表示部分に皺の発生も無く、また実用上問題となる気泡の残留も抑制されるので視覚効果は顕著となる。
また、最大部分の寸法が、縦方向で25cm以上、横方向で25cm以上である大きな積層体であっても、上述の効果が十分に得られるものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の樹脂積層体は、表面上に文字、模様、絵、写真等の各種表示を印刷してなる透明または半透明の樹脂成形体(I)の少なくとも印刷面側に、透明または半透明の樹脂成形体(II)が接着一体化されており、表示部分の上側および下側に厚い樹脂層が形成される。
【0015】
樹脂成形体(I)の厚みが薄く表示部分下側の樹脂層が薄い場合には、樹脂成形体(I)の反印刷面側にさらに樹脂成形体(III)を接着一体化してもよい。
また本発明の積層体は、上記樹脂成形体(I)、(II)よりなる樹脂積層体に樹脂成形体(I)、(II)、さらに(III)をそれぞれ複数層用いて積層させてもよく、表示体として使用することが可能である。
例えば、
(1) 樹脂成形体(I)、(II)よりなる樹脂積層体の樹脂成形体(II) の上に、前記樹脂成形体(I)と同じまたは異なる表示内容を印刷した樹脂成形体(I)の印刷面側を接着した樹脂積層体、
【0016】
(2) 樹脂成形体(I)、(II)よりなる樹脂積層体の樹脂成形体(II) の上に、前記樹脂成形体(I)と同じまたは異なる表示内容を印刷した樹脂成形体(I)の印刷面側(または反印刷面側)を接着一体化し、さらにその上に樹脂成形体(III)(または前記樹脂成形体(II)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(II))を接着した樹脂積層体、
(3)樹脂成形体(I)、(II)よりなる樹脂積層体の樹脂成形体(I) の下に、前記樹脂成形体(I)と同じまたは異なる表示内容を印刷した樹脂成形体(I)の印刷面側を接着一体化した樹脂積層体、
【0017】
(4)樹脂成形体(I)、(II)よりなる樹脂積層体の樹脂成形体(I) の下に、前記樹脂成形体(I)と同じまたは異なる表示内容を印刷した樹脂成形体(I)の印刷面側(または反印刷面側)を接着一体化し、さらにその下に樹脂成形体(III)(または前記樹脂成形体(II)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(II))を接着した樹脂積層体、
(5) 樹脂成形体(I)、(II)よりなる積層体の樹脂成形体(I)の下に樹脂成形体(III)を接着してなる樹脂積層体の樹脂成形体(II)の上に、前記樹脂成形体(I)と同じまたは異なる表示内容を印刷した樹脂成形体(I)の印刷面側(または反印刷面側)を接着一体化し、さらにその上に前記樹脂成形体(III)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(III)(または前記樹脂成形体(II)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(II))を接着した樹脂積層体、
【0018】
(6) 樹脂成形体(I)、(II)よりなる積層体の樹脂成形体(I)の下に樹脂成形体(III)を接着してなる樹脂積層体の樹脂成形体(III) の下に、前記樹脂成形体(I)と同じまたは異なる表示内容を印刷した樹脂成形体(I)の印刷面側を接着した樹脂積層体、
(7)樹脂成形体(I)、(II)よりなる積層体の樹脂成形体(I)の下に樹脂成形体(III)を接着してなる樹脂積層体の樹脂成形体(III) の下に、前記樹脂成形体(I)と同じまたは異なる表示内容を印刷した樹脂成形体(I)の印刷面側(または反印刷面側)を接着一体化し、さらにその下に前記樹脂成形体(III)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(III)(または前記樹脂成形体(II)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(II))を接着した樹脂積層体、
(8)前記(1)〜(7)の操作をそれぞれ数回繰り返してなる樹脂積層体、
【0019】
(9) 樹脂成形体(I)、(II)よりなる樹脂積層体の樹脂成形体(II)の上に前記樹脂成形体(II)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(II)を接着一体化した樹脂成形体、
(10) 樹脂成形体(I)、(II)よりなる積層体の樹脂成形体(I)の下に樹脂成形体(III)を接着してなる樹脂積層体の樹脂成形体(III) の下に前記樹脂成形体(III)と同じ若しくは異なる組成の樹脂成形体(III)を接着一体化した樹脂成形体、
(11)上記(1)〜(10)を組み合わせた樹脂積層体、
等を例示することができるがこれに限定されるものではない。
【0020】
樹脂成形体(I)は、透明または半透明で樹脂成形体(II)と接着可能な樹脂であり、アクリル系樹脂、塩化ビニール系樹脂、ポリエステル系樹脂等を例示することができるが、透明性、耐候性、美麗性の点から本発明ではアクリル系樹脂を用いる。
樹脂成形体(I)には、紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を配合することも可能である。
【0021】
本発明の積層体では、積層体の上側表面および/または下側表面、さらには端面への表示内容の映りこみ、反射、レンズ効果等の光学的効果を視覚演出効果に利用するものであるから、視認者から見て裏面側も透けて見えることが必要であるため、樹脂成形体(I)は透明または半透明であることが必要である。
【0022】
樹脂成形体(I)は、その表面に文字、模様、絵、写真等の各種表示が印刷される。印刷は通常の方法で実施することが可能であり、例えばインクジェット印刷、凸版印刷、スクリーン印刷、グラビア印刷等を例示することが可能であるがこれらに制限されるものではない。
印刷に使用される印刷インクはその印刷方法、樹脂成形体(I)との密着性の点で適合し、樹脂成形体(II)との接着を阻害せず、また接着工程で印刷された表示内容が損なわれ難いものであるのが望ましく、例えばビニル系、ポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、ポリオレフィン系、エポキシ系、アルキド系などを挙げることができる。樹脂成形体(I)がアクリル系樹脂からなる本発明の場合、アクリル系樹脂を配合した印刷インキを用いる。
【0023】
また樹脂成形体(I)は、例えば平板、曲面形状を有した成形体等種々の形状の成形体が使用可能であるが、所定の形状に成形した後に印刷を施しても、印刷した後に所定の形状に成形してもよい。
印刷の容易さ、積層の容易さから樹脂成形体(I)には平板状が好ましい態様の1つとして用いられる。また、これに伴い本発明の積層体の形状も平板状であることが好ましい。
【0024】
樹脂成形体(II)、(III)は、樹脂成形体(I)と積層するのに適合した形状であれば制限を受けない。またその材質は樹脂成形体(I)と接着可能な組成を有する樹脂であり、透明性、耐候性、美麗性の点からアクリル系樹脂が好ましい。樹脂成形体(I)がアクリル系樹脂からなる本発明の場合、接着性、屈折率差の点から樹脂成形体 ( II ) としてアクリル系樹脂を用いる。また樹脂成形体(II)、(III)は紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を配合することも可能である。
【0025】
樹脂成形体(II)はその樹脂層を通して樹脂成形体(I)に印刷された表示を見るので透明または半透明であることが必要であり、樹脂成形体(III)は、透明であっても不透明であってもよいが、積層体全体を透明にして視覚演出効果を強調する場合は、透明であることが好ましい。
【0026】
本発明に用いられるアクリル系樹脂の単量体としては、80%以上が(メタ)アクリル酸エステル系単量体であることが好ましい。(メタ)アクリル酸エステル系単量体の例としては、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルアクリレート、エチルメタクリレート、ブチルアクリレート、ブチルメタクリレート、イソアミルアクリレート、2-エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルアクリレート、ラウリルメタクリレート、トリデシルメタクリレート、ステアリルアクリレート等の炭素数1〜18のアルキル基を有するアルキル(メタ)アクリレート、ブトキシエチルアクリレート、メトキシプロピルアクリレート等の炭素数1〜4のアルコキシ基を有するアルコキシル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、エトキシジエチレングリコール等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート、フェノキシポリエチレングリコールアクリレート等の芳香族(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート等の水酸基含有(メタ)アクリレート等を挙げる事ができるがこれらに限定されるものでなく、またこれらのうちの1種または2種以上を使用することができる。
【0027】
本発明における樹脂成形体(I)の印刷面と樹脂成形体(II)との接着に用いる方法としては、接着する2つの樹脂成形体のいずれも溶解する溶剤を2つの樹脂成形体の隙間に浸透させ浸透面を一部溶解または膨潤した後、溶剤を逸散除去して接着する溶剤接着法、接着する2つの樹脂成形体を構成する単量体と組成が類似した単量体を含む重合性の接着剤を2つの樹脂成形体の隙間に配し、重合硬化して接着する重合接着法等を例示することが可能であるが、重合接着法を用いる。重合接着は接着強度の信頼性が高く、特に製造する樹脂積層体の1辺が25cmを超える場合に好ましい。
1辺が25cmを超える樹脂積層体の接着に溶剤接着法を使用した場合、接着層間の残留気泡が抜け難いとともに、浸透した溶剤の流れで印刷された表示が損なわれることが多い。
【0028】
樹脂成形体(I)または(II)とさらに(III)とを積層し接着する際も樹脂成形体(I)と(II)との接着と同様の方法を用いることができる。
本発明の好ましい実施態様の1つである樹脂成形体(I)と樹脂成形体(II)がともにアクリル系樹脂である樹脂積層体において、重合接着を行う場合、アクリル系シラップを使用して重合接着する方法が好ましい。
本発明でいうアクリル系シラップとは、(メタ)アクリル系樹脂分を(メタ)アクリル系単量体に溶解させてなる組成物、または(メタ)アクリル系単量体の部分重合体であって、シラップ状の高粘度液体をいう。
【0029】
アクリル系シラップに使用する(メタ)アクリル系単量体と(メタ)アクリル系樹脂分の製造に用いる(メタ)アクリル系単量体は、本発明の好ましい態様である樹脂成形体(I)、(II)、または(III)がいずれもアクリル系樹脂の場合にこれら樹脂成形体(I)、(II)、(III)の製造に用いる前記(メタ)アクリル系単量体と同じであり、これに他の単量体、例えば、スチレン、α-メチルスチレン等の芳香族系単量体、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル系単量体、(メタ)アクリルアミド等のアミド系単量体などを添加してもよい。また紫外線吸収剤、光安定剤、着色剤等の添加剤を使用することも可能である。
【0030】
接着剤としてのアクリル系シラップを硬化させる方法としてラジカル重合開始剤を添加し加熱する方法、ラジカル重合開始剤と促進剤よりなるいわゆるレドックス系開始剤を添加して室温または適度な加熱で硬化させる方法、紫外線等を照射して硬化させる方法等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
【0031】
樹脂成形体(I)の厚みは、樹脂成形体(II)と接着するときズレたり皺がよらず、実用上問題となる残留気泡が抑制可能で、かつ本発明の好ましい態様である重合接着を実施した際その硬化に伴う収縮で皺がよらない厚みである、0.5mm以上であり、0.8mm以上が好ましく、さらに1.5mm以上が好ましい。
【0032】
樹脂成形体(II)の厚みは、樹脂成形体(II)の側から視認した場合の視覚演出効果を有効に発現する観点から5mm以上であり、8mm以上が好ましい。
また本発明の積層体全体としての厚みは、表示体として用いる場合の視角演出効果、特に端面から入射した照明光により、印刷内容が積層体表面に反射または屈折するような視角演出効果を考慮すると、15mm以上となるのが好ましく、25mm以上であるのがより好ましい。また、上述のように、端面から照明光を入射させる場合のために、本発明の積層体は、端面が全周の長さの20%以上で光線透過率が高くなるように磨き出しされていることが好ましい。
また、本発明の積層体は、上述の視角演出効果を十分に得るために、樹脂成形体(I)の印刷が辺縁から10mm以上内側になされているのが好ましく、また、積層体の表面から印刷面までの深さが5mm以上であるのが好ましい。
このように得られた樹脂積層体の好ましい実施態様である平板状の樹脂成形体(I)を用いた平板状の樹脂積層体において、樹脂積層体製造後に所定の形状に加熱成形してもよい。
【0033】
以上のようにして得られる本発明の樹脂積層体は、表示部分の耐久性に優れ、表示部分の上面側および/または下面側に配された樹脂層により優れた視覚効果を演出し、かつ強度も優れているので、各種表示板、装飾品、建築部材等種々の用途に好適に使用できる。また照明との組合せにより本発明の積層体の視覚演出効果を一層高めることも可能である。
【0034】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
<実施例1>
(1)アクリル系シラップの調製
重合度約1000のメタクリル樹脂200質量部をメタクリル酸メチル800質量部に溶解させてなるシラップに、ジメチルパラトルイジン0.15質量部、α-メチルスチレン0.1質量部、ベンゾイルパーオキサイド0.4質量部を加えて攪拌し、脱泡して、アクリル系シラップからなる重合性接着剤を得た。
(2)樹脂成形体の積層
厚さ30mm、縦25cm、横25cmの透明メタクリル樹脂板(株式会社クラレ製)に、市販のアクリル系インキを用いて印刷し、60℃で60分乾燥して表面に印刷された樹脂成形体(I)を得た。
この樹脂成形体(I)の印刷面側と厚さ5mm、縦25cm、横25cmの透明メタクリル樹脂板(樹脂成形体(II)、株式会社クラレ製)を厚さ3mmのスペーサーを介して組合せ、前記の重合性接着剤を樹脂成形体(I)と樹脂成形体(II)との間に注入し、空気浴にて30℃で8時間保持し硬化させて樹脂積層体を得た後、端部に配されたスペーサーを切り落として研磨した。
このようにして得られた樹脂積層体は厚さ約37.5mmで、印刷部分の皺、実用上問題となる気泡の残留もなく、また一体化しており端面にすき間もなく外観は良好であった。
内部に配された印刷は樹脂積層体の表面、裏面、端面等に映りこみ、及び/または反射等し、視覚演出効果の優れたものであった。
【0036】
<実施例2>
厚さ1mm、縦100cm、横30cmの透明メタクリル樹脂板(株式会社クラレ製)に、市販のアクリル系インキを用いて印刷し、60℃で15分乾燥して樹脂成形体(I)を得た。
この樹脂成形体(I)の印刷面側と厚さ30mm、縦100cm、横30cmの透明メタクリル樹脂板(樹脂成形体(II)、株式会社クラレ製)を厚さ3mmのスペーサーを介して組合せ、実施例1で使用した重合性接着剤を樹脂成形体(I)と樹脂成形体(II)との間に注入し、空気浴にて30℃で8時間保持して硬化させて樹脂積層体(イ)を得た。
次にこの積層体(イ)を形成する樹脂成形体(I)の反印刷面側に、厚さ10mm、縦100cm、横30cmの透明メタクリル樹脂板(樹脂成形体(III)、株式会社クラレ製)を厚さ3mmのスペーサーを介して組合せ、前記の重合性接着剤を前記積層体(イ)と樹脂成形体(III)との間に注入し、空気浴にて30℃で8時間保持し硬化させて樹脂積層体(ロ)を得た後、端部に配されたスペーサーを切り落として研磨した。
このようにして得られた樹脂積層体は厚さ約46mmで、印刷部分の皺、実用上問題となる気泡の残留もなく、また一体化しており端面にすき間もなく外観は良好であった。
内部に配された印刷は樹脂積層体の表面、裏面、端面等に映りこみ、及び/または反射等し視覚演出効果の優れたものであった。
【0037】
<実施例 3>
実施例1で得られた積層体(スペーサー切り落とし前のもの)の樹脂成形体(I)側と、厚さ5mm、縦25cm、横25cmの白色メタクリル樹脂板(樹脂成形体(III)、株式会社クラレ製)を厚さ3mmのスペーサーを介して組合せ、実施例1で使用した重合性接着剤を前記積層体の樹脂成形体(I)側と樹脂成形体(III)との間に注入し、空気浴にて30℃で8時間保持し硬化させて樹脂積層体を得た後、端部に配されたスペーサーを切り落として研磨した。
このようにして得られた樹脂積層体の厚みは約45mmで、印刷部分の皺、実用上問題となる気泡の残留もなく、また一体化しており端面にすき間もなく外観は良好であった。
内部に配された印刷は樹脂積層体の表面、樹脂成形体(III)と樹脂成形体(I)の界面、端面等に映りこみ、及び/または反射等し、視覚演出効果の優れたものであった。
【0038】
<実施例 4>
樹脂成形体(I)の厚みを5mmとし、樹脂成形体(II)の厚みを8mmとすることを除き実施例1と同様の方法で樹脂積層体を得た。
このようにして得られた樹脂積層体は厚さ約15.4mmで、印刷部分の皺、実用上問題となる気泡の残留もなく、また一体化しており端面にすき間もなく外観は良好であった。
内部に配された印刷は樹脂積層体の表面、裏面、端面等に映りこみ、及び/または反射等し、視覚演出効果の優れたものであった。
【0039】
〈比較例〉
厚さ50μ、縦25cm、横25cmの透明アクリルフィルムに、市販のアクリル系インキを用いて印刷し、60℃で10分乾燥して表面に印刷されたフィルムを得た。
このフィルムを厚さ2mmのスペーサーにて両側より挟み込んだ後、厚さ30mm、縦25cm、横25cmの透明メタクリル樹脂板(樹脂成形体(II)、株式会社クラレ製)と厚さ10mm、縦25cm、横25cmの透明メタクリル樹脂板(樹脂成形体(III)、株式会社クラレ製)との間に挿入し、実施例1で使用した重合性接着剤をフィルムと前記樹脂成形体(II)、樹脂成形体(III)との間に注入し、空気浴にて30℃で8時間保持し硬化させて樹脂積層体を得た後、端部に配されたスペーサーを切り落として研磨した。
このようにして得られた樹脂積層体は、フィルムに皺が発生し、またその皺の部分に気泡が残留していた。
【0040】
【発明の効果】
本発明の積層体は、表示部分が樹脂内部に内在し、その表示内容を印刷した樹脂層に皺の発生、問題となる残留気泡および端面部分からの汚れの浸入もなく、さらに表示体および積層体としての耐久性に優れたものである。さらに表示部分の上面側および/または下面側に配された樹脂成形体層により優れた視覚効果を演出し、さらに強度も優れた積層体が得られ、サイズを大きくした場合でも上述の効果が十分に得られるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】樹脂成形体(I)および樹脂成形体(II)を接着一体化した本発明の積層体を示す図。
【図2】樹脂成形体(I)および樹脂成形体(II)を接着一体化し、さらに樹脂成形体(III)を接着一体化した本発明の積層体を示す図。
Claims (5)
- 表面に印刷してなる透明または半透明のアクリル系樹脂からなる樹脂成形体(I)と、該樹脂成形体(I)の印刷面側に重合接着により接着一体化してなる透明または半透明のアクリル系樹脂からなる樹脂成形体(II)とを含む積層体であって、樹脂成形体(I)の厚みが0.5mm以上、樹脂成形体(II)の厚みが5mm以上であり、該印刷にアクリル系樹脂を配合した印刷インキを用いたことを特徴とする、前記積層体。
- 全体の厚みが15mm以上であり、最大部分の寸法が、縦方向で25cm以上、横方向で25cm以上である、請求項1に記載の積層体。
- 樹脂成形体(I)の印刷が辺縁から10mm以上内側になされている、請求項1または2に記載の積層体。
- 積層体の表面から印刷面までの深さが5mm以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の積層体を含む、表示体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002065864A JP4068864B2 (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | 積層体およびそれを含む表示体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2002065864A JP4068864B2 (ja) | 2002-03-11 | 2002-03-11 | 積層体およびそれを含む表示体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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