JP7173181B2 - 樹脂成形体、並びにそれを用いた積層体及び画像表示装置 - Google Patents
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Description
樹脂成形体は、重量が軽い点、破損時の危険性が低い点などでガラスに比べて優れている。樹脂成形体の保護板としては、例えば、特許文献1の保護板が提案されている。
しかし、特許文献1の保護板を用いても、偏光サングラスを通して画像表示装置を斜めから視認した際に、画面に干渉色が視認されることが頻発した。
[1]樹脂成形体であって、
前記樹脂成形体は、少なくとも、樹脂を主成分とする樹脂層を有し、
前記樹脂成形体は、厚みが0.5mm以上、面内位相差が50nm以上250nm以下、厚み方向の位相差が300nm以上750nm以下である、樹脂成形体。
[2]前記樹脂層は、厚みが0.5mm以上、面内位相差が50nm以上250nm以下、厚み方向の位相差が300nm以上750nm以下である、[1]に記載の樹脂成形体。
[3]前記樹脂層は、面内の遅相軸の角度の標準偏差が5度以上20度以下である、[1]又は[2]に記載の樹脂成形体。
[4]前記樹脂層は、ポリカーボネート系樹脂を含む、[1]~[3]の何れかに記載の樹脂成形体。
[5]さらに機能層を有する、[1]~[4]の何れかに記載の樹脂成形体。
[6]前記樹脂成形体は曲面を含む、[1]~[5]の何れかに記載の樹脂成形体。
[8]前記樹脂層の面内の遅相軸と、前記偏光子の透過軸とが成す角が、0度以上25度以下、又は、65度以上90度以下である、[7]に記載の画像表示装置用の積層体。
[9]表示素子上に、偏光子及び[1]~[6]の何れかに記載の樹脂成形体をこの順に有する、画像表示装置。
[10]前記樹脂層の面内の遅相軸と、前記偏光子の透過軸とが成す角が、0度以上25度以下、又は、65度以上90度以下である、[9]に記載の画像表示装置。
本開示の樹脂成形体は、少なくとも、樹脂を主成分とする樹脂層を有し、前記樹脂成形体は、厚みが0.5mm以上、面内位相差が50nm以上250nm以下、厚み方向の位相差が300nm以上750nm以下であるものである。
図1及び図2の樹脂成形体100は、樹脂を主成分とする樹脂層10を有している。また、図2の樹脂成形体100は、樹脂層10の一方の側に第1の機能層21を有し、樹脂層10の他方の側に第2の機能層22を有している。
樹脂成形体は、厚みが0.5mm以上であることを要する。
樹脂成形体の厚みが0.5mm未満の場合、樹脂成形体としての強度が不十分となる。樹脂成形体の厚みは1.0mm以上が好ましく、1.5mm以上がより好ましい。
樹脂成形体の厚みが厚すぎると、画像表示装置の薄型化が難しくなったり、樹脂成形体の面内位相差及び厚み方向の位相差が大きくなり過ぎたりする場合がある。このため、樹脂成形体の厚みは、5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましく、3.5mm以下がさらに好ましい。
樹脂成形体の面内位相差が50nm未満であることは、樹脂成形体を構成する樹脂層の厚みが極端に薄い構成、及び、樹脂成形体を構成する樹脂層内の樹脂の配向が極端に不十分な構成、の少なくとも何れかの構成を意味する。このため、樹脂成形体の面内位相差が50nm未満の場合、樹脂層の強度が不十分となり、さらには樹脂成形体の強度が不十分となる。樹脂成形体の面内位相差が250nmを超える場合、画像表示装置を正面から視認した際の干渉色を抑制することができない。
樹脂成形体の面内位相差は、70nm以上220nm以下が好ましく、100nm以上200nm以下がより好ましい。
樹脂成形体の厚み方向の位相差は、350nm以上600nm以下が好ましく、380nm以上550nm以下がより好ましい。
樹脂層は樹脂を主成分とするものである。主成分とは、樹脂層を構成する全固形分の50質量%以上を意味し、好ましくは70質量%以上、より好ましくは90質量%以上、さらに好ましくは95質量%以上、よりさらに好ましくは99質量%以上である。
樹脂層の形状は、図1及び図2に示すように平板状でもよいし、曲面を含んでいてもよい。より具体的には、樹脂層の第1主面及び第2主面の少なくとも何れかが曲面を含むことが好ましい。
前記曲面の曲率半径は、500mm以上2500mm以下であることが好ましく、700mm以上2000mm以下であることがより好ましい。曲率半径を2500mm以下とすることにより、曲面に基づく意匠性を良好にしやすくできる。曲率半径を500mm以上とすることにより、斜め方向から視認した際の干渉色を抑制しやすくできる。
ポリカーボネート系樹脂の市販品としては、帝人社製のパンライト(登録商標)、三菱ケミカル社製のユーピロン(登録商標)、三菱ケミカル社製のユーピロン(登録商標)Kシリーズ、三菱ケミカル社製のバイオポリカーボネートであるデュラビオ(登録商標)等が挙げられる。
樹脂層の厚みを0.5mm以上とすることにより、樹脂成形体としての強度を良好にしやすくできる。樹脂層の厚みは1.0mm以上がより好ましく、1.5mm以上がさらに好ましい。
樹脂層の厚みが厚すぎると、面内位相差及び厚み方向の位相差が大きくなり過ぎる場合がある。このため、樹脂層の厚みは、5.0mm以下が好ましく、4.0mm以下がより好ましく、3.5mm以下がさらに好ましい。
樹脂層の面内位相差が50nm以上であることは、樹脂層の厚みが極端に薄い構成、及び、樹脂層内の樹脂の配向が極端に不十分な構成、の何れにも該当しないことを意味する。このため、樹脂層の面内位相差が50nm以上の場合、樹脂成形体の強度を良好にしやすくできる。樹脂層の面内位相差を250nm以下とすることにより、画像表示装置を正面から視認した際の干渉色を抑制しやすくできる。
樹脂層の面内位相差は、70nm以上220nm以下がより好ましく、100nm以上200nm以下がさらに好ましい。
樹脂層の厚み方向の位相差は、350nm以上600nm以下がより好ましく、380nm以上550nm以下がさらに好ましい。
樹脂層の面内の遅相軸の角度が均一であると、熱等を原因として樹脂層に反りが生じることにより、樹脂成形体の平面性が悪化して視認性が低下する場合がある。また、樹脂成形体が曲面を含む場合、樹脂層に反りが生じることにより、樹脂成形体の曲面性が乱れて意匠性が低下する場合がある。樹脂層の面内の遅相軸の角度の標準偏差を5度以上とすることにより、前述した不具合を抑制することができる点で好ましい。
一方、樹脂層の面内の遅相軸の角度の標準偏差が大き過ぎると、面内位相差が上記範囲であっても、画像表示装置を正面から視認した際に、局所的な領域で干渉色が視認される場合がある。樹脂層の面内の遅相軸の角度の標準偏差を20度以下とすることにより、前述した不具合を抑制することができる点で好ましい。
前記25の測定箇所は、測定サンプルの外縁から0.5cmの領域を余白として、前記余白よりも内側の領域に関して、縦方向及び横方向を6等分する線を引いた際の、交点の25箇所を測定の中心とすることが好ましい。例えば、測定サンプルが四角形の場合、四角形の外縁から0.5cmの領域を余白として、前記余白よりも内側の領域を縦方向及び横方向に6等分した点線の交点の25箇所を中心として測定を行い、その平均値でパラメータを算出することが好ましい。なお、測定サンプルが円形、楕円形、三角形、五角形等の四角形以外の形状の場合、これら形状に内接する四角形を描き、前記四角形に関して、上記手法により25箇所の測定を行うことが好ましい。
遅相軸の角度は、25の測定箇所で基準となる方向を特定の方向に固定して測定すればよい。25の測定箇所において、遅相軸の角度の基準となる方向を特定の方向に固定すれば、前記特定の方向がどの方向であったとしても、算出される標準偏差は同じ値になるためである。
Re=(nx-ny)×T[nm] (1)
Rth=((nx+ny)/2-nz)×T[nm] (2)
本明細書において、面内位相差、厚み方向の位相差、遅相軸の角度、全光線透過率及びヘイズ等の各種パラメータの測定雰囲気は、特に断りのない限り、温度23℃±5℃、相対湿度40%以上65%以下とする。また、測定の前に、前記雰囲気にサンプルを30分以上晒すものとする。
図5(a)は、フィルムゲートを用いた際の樹脂の流れのイメージ図であり、 図5(b)は、ファンゲートを用いた際の樹脂の流れのイメージ図である。図5(a)及び(b)において、X1はゲート部、X2は成形部、矢印の向きは樹脂の流れ方向を意味している。図5(a)のフィルムゲートは、図5(b)のファンゲートに比べて、成形部X2内の樹脂の流れ方向のバラツキが少ないため、遅相軸の角度の標準偏差が大きくなり過ぎることを抑制できる。また、図5(a)のフィルムゲートは、樹脂の流れ方向が完全に揃うことはなく、樹脂の流れ方向には所定のバラツキがあるため、遅相軸の角度の標準偏差を5度以上にしやすくできる。
樹脂層は、視認性を良好にするため、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が30%以上であることが好ましい。
本開示の樹脂成形体は、樹脂層の単層でもよいが、さらに機能層を有していてもよい。機能層は、樹脂層の一方の面のみに有していてもよいし、樹脂層の両面に有していてもよい。機能層は、光学的等方性であることが好ましい。
機能層は、例えば、コーティング、転写、インサート成形、インモールド成形等により形成することができる。
(1)接着層/ハードコート層
(2)接着層/アンカー層/ハードコート層
(3)接着層/ハードコート層/反射防止層
(4)接着層/アンカー層/ハードコート層/反射防止層
(5)ハードコート層
(6)ハードコート層/反射防止層
(7)意匠層
(8)接着層/意匠層
(9)意匠層/ハードコート層
(10)意匠層/アンカー層/ハードコート層
(11)意匠層/アンカー層/ハードコート層/反射防止層
(12)接着層/意匠層/ハードコート層
(13)接着層/意匠層/アンカー層/ハードコート層
(14)接着層/意匠層/アンカー層/ハードコート層/反射防止層
樹脂層と機能層との密着性を向上するために、機能層として接着層を有していてもよい。接着層は、機能層の樹脂層と接する側の面に位置することが好ましい。
また、後述のフィルム層の樹脂層と接する側の面には、樹脂層との密着性を向上するために、接着層を有していてもよい。
樹脂成形体の耐擦傷性を良好にするため、機能層としてハードコート層を有していてもよい。
ハードコート層は、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、耐擦傷性をより良くする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましい。電離放射線硬化性樹脂組成物の代表例としては、紫外線硬化性樹脂組成物及び電子線硬化性樹脂組成物が挙げられる。電子線硬化性樹脂組成物は、開始剤が不要であること、瞬時に硬化して緻密で硬い膜を形成しやすいこと、などの特徴を有する。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
機能層は耐熱性を良好にするためのアンカー層を有していてもよい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
アンカー層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態は、ハードコート層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
アンカー層の厚みは、0.1μm以上6μm以下であることが好ましく、0.5μm以上5μm以下であることがより好ましい。
機能層は、反射防止層を有していてもよい。機能層が多層構成の場合、反射防止層の位置は、機能層のうち樹脂層から最も離れた位置とすることが好ましい。反射防止層は、樹脂層の視認者側に位置する場合には表面反射を抑制させることができ、樹脂層の視認者とは反対側に位置する場合には樹脂成形体の透過率を向上させることができる。
高屈折率層及び低屈折率層の屈折率及び厚みは、汎用の範囲で調整すればよい。また、高屈折率層及び低屈折率層の組成は、汎用の材料を用いることができる。
機能層は、意匠層を有していてもよい。
意匠層は、樹脂成形体の面内の全部に形成してもよいし、樹脂成形体の面内の一部に形成してもよい。
意匠層の一実施形態として、樹脂成形体の面内の縁部のみに隠蔽性を有する意匠層を形成することにより、意匠層がベゼルカバーの機能を発揮し、ベゼルカバーを省略することができる。
樹脂成形体が後述するフィルム層を有する場合、意匠層は、フィルム層の機能層と反対側に有していてもよい。
本開示の樹脂成形体は、本開示の樹脂成形体の効果を損なわない範囲で、樹脂層と機能層との間にフィルム層を有していてもよい。樹脂層と機能層との間にフィルム層を有することによって、樹脂成形体の表面の鉛筆硬度を高くしやすくでき、樹脂成形体の耐擦傷性を向上しやすくできる。
樹脂成形体は、視認性を良好にするため、JIS K7136:2000のヘイズが30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、15%以下であることがさらに好ましく、10%以下であることがよりさらに好ましい。
樹脂成形体は、視認性を良好にするため、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が30%以上であることが好ましく、50%以上であることがより好ましく、70%以上であることがさらに好ましい。
樹脂成形体が、面内の一部に隠蔽性を有する意匠層を有する場合、上記ヘイズ及び全光線透過率は、隠蔽性を有する意匠層以外の箇所の値を意味する。
樹脂成形体の形状は、図1及び図2に示すように平板状でもよいし、曲面を含んでいてもよい。より具体的には、樹脂成形体の第1主面及び第2主面の少なくとも何れかが曲面を含むことが好ましい。
前記曲面の曲率半径は、500mm以上2500mm以下であることが好ましく、700mm以上2000mm以下であることがより好ましい。曲率半径を2500mm以下とすることにより、曲面に基づく意匠性を良好にしやすくできる。曲率半径を500mm以上とすることにより、斜め方向から視認した際の干渉色を抑制しやすくできる。
本開示の樹脂成形体は、例えば、画像表示装置の保護板として用いることができる。画像表示装置の中でも、車載の画像表示装置は、偏光サングラスをかけて画面を斜め方向から視認する場合が多いため、本開示の樹脂成形体の効果を発揮しやすい。
本開示の樹脂成形体は、樹脂成形体が樹脂層の単層の場合、例えば、溶融押出成形及び射出成形等の成形により製造することができる。
(y2)シート状の樹脂層と、機能層を有する積層体A1とを貼り合わせた積層体yを得る工程。
(z2)前記金型を締め、前記金型内に射出樹脂を注入し、前記積層体B1と、前記射出樹脂を含む樹脂層とを密着させた積層体zを得る工程。
転写シートは、離型シート上に機能層を有する構成である。転写シートは、離型シート上に機能層を構成する各層を順次形成することにより得ることができる。積層体A1、積層体B1及びB2が転写シートの場合、工程y1及びz1において、転写シートの離型シートとは反対側の面が樹脂層側を向くように配置すればよい。転写シートの離型シートは、工程y2及びz2の後に剥離すればよい。
フィルム層を有する積層体は、フィルム層上に機能層を構成する各層を順次形成することにより得ることができる。フィルム層を有する積層体は、工程y1及びz1において、フィルム層側の面が樹脂層側を向くように配置することが好ましい。
本開示の画像表示装置用の積層体は、上述した本開示の樹脂成形体と、偏光子とを積層してなるものである。
画像表示装置用の積層体を構成する樹脂成形体の実施形態は、上述した本開示の樹脂成形体の実施形態と同様である。
偏光子としては、例えば、ヨウ素等により染色したフィルムを延伸してなるシート型偏光子(ポリビニルアルコールフィルム、ポリビニルホルマールフィルム、ポリビニルアセタールフィルム、エチレン-酢酸ビニル共重合体系ケン化フィルム等)、平行に並べられた多数の金属ワイヤからなるワイヤーグリッド型偏光子、リオトロピック液晶及び二色性ゲスト-ホスト材料を塗布した塗布型偏光子、多層薄膜型偏光子等が挙げられる。これらの偏光子は、透過しない偏光成分を反射する機能を備えた反射型偏光子であってもよい。
第1の透明保護板及び第2の透明保護板は、光学的等方性であることが好ましい。光学的等方性の透明保護板としては、アクリルフィルム、トリアセチルセルロース(TAC)フィルムが好ましい。
第1の透明保護板及び第2の透明保護板と、偏光子とは、直接密着していてもよいし、接着剤層を介して密着していてもよい。
樹脂層の面内位相差及び厚み方向の位相差を上記範囲として、かつ、樹脂層の面内の遅相軸と偏光子の透過軸とが成す角を上記範囲とすることにより、正面方向及び斜め方向から視認した際の干渉色を抑制することができる。
樹脂層の面内の遅相軸と偏光子の透過軸とが成す角は、0度以上20度以下、又は、70度以上90度以下であることがより好ましく、0度以上15度以下、又は、75度以上90度以下であることがさらに好ましい。
本開示の画像表示装置は、表示素子上に、偏光子及び上述した本開示の樹脂成形体を有するものである。
図4の画像表示装置700は、表示素子500上に、偏光子30及び本開示の樹脂成形体100を有している。
表示素子が液晶表示素子の場合、画像表示装置は、液晶表示素子の背面にバックライトが配置される。バックライトとしては、エッジライト型バックライト、直下型バックライトの何れも用いることができる。
画像表示装置を構成する偏光子の実施形態は、上述した本開示の画像表示装置用の積層体における偏光子の実施形態と同様である。
樹脂層の面内位相差及び厚み方向の位相差を上記範囲として、かつ、樹脂層の面内の遅相軸と偏光子の透過軸とが成す角を上記範囲とすることにより、正面方向及び斜め方向から視認した際の干渉色を抑制することができる。
実施例及び比較例の樹脂成形体、並びに、実施例、比較例及び参考例の画像表示装置について以下の測定及び評価を行った。以下の測定及び評価は、特に断りのない限り、温度23℃±5℃、相対湿度40%以上65%以下の雰囲気で実施した。また、測定及び評価の前に、前記雰囲気にサンプルを30分以上晒した。結果を表1に示す。
王子計測機器株式会社の商品名「KOBRA-WR」を用いて、実施例及び比較例の樹脂成形体の面内位相差、厚み方向の位相差、遅相軸の角度の標準偏差を算出した。
実施例、比較例及び参考例の疑似画像表示装置のライトテーブルの電源を入れた後、偏光サングラスをかけた状態で、暗室環境下において、約500mmの距離から正面方向、及び、偏光子の吸収軸に沿った斜め30度の方向から視認し、下記の基準で評価した。評価者は30歳台の健康な人とした。
<正面方向の評価>
A:疑似画像表示装置の全領域で干渉色が視認されない。
B:疑似画像表示装置の1/4未満の領域で干渉色が視認される。
C:疑似画像表示装置の1/4以上の領域で干渉色が視認される。
<斜め30度の評価>
A:疑似画像表示装置の全領域で干渉色が視認されない。
B:疑似画像表示装置の1/4未満の領域で干渉色が視認される。
C:疑似画像表示装置の1/4以上の領域で干渉色が視認される。
実施例及び比較例の樹脂成形体の外観を下記の基準で目視で評価した。評価者は30歳台の健康な人とした。
A:樹脂成形体の平面性に乱れがない。
C:樹脂成形体の少なくとも一部に平面性の乱れが確認される。
[実施例1]
上下一組の成形用金型の金型を締め、金型内に、射出樹脂としてのポリカーボネート樹脂(三菱ケミカル社、商品名「デュラビオT7430R」)を注入した。次いで、型を開け樹脂層の単層からなる平板状の樹脂成形体を取り出した。成形条件は下記の通りとした。次いで、樹脂成形体を110℃で1時間アニール処理し、実施例1の樹脂成形体を得た。実施例1の樹脂成形体のサイズは、幅300mm、奥行き140mm、厚み2.8mmであった。
<成形条件>
・シリンダー温度:240℃
・金型温度:70℃
・ゲートの種類:フィルムゲート
偏光板は、偏光子の透過軸がライトテーブルの奥行方向と平行になるように配置した。偏光板は、偏光子の両面に光学的等方性のトリアセチルセルロースフィルムを有するものを用いた。偏光子の透過軸と樹脂成形体の遅相軸とが成す角度は8度とした。
射出樹脂としてのポリカーボネート樹脂を、三菱ケミカル社の商品名「デュラビオD6350R」に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の樹脂成形体を得た。
実施例1の樹脂成形体を実施例2の樹脂成形体に変更し、偏光子の透過軸と樹脂成形体の遅相軸とが成す角度を表1に記載の角度に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の擬似画像表示装置を得た。
射出樹脂としてのポリカーボネート樹脂を、三菱エンジニアリングプラスチックス社の商品名「ユーピロンKS3330UR」に変更し、シリンダー温度を265℃に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の樹脂成形体を得た。
実施例1の樹脂成形体を実施例3の樹脂成形体に変更し、偏光子の透過軸と樹脂成形体の遅相軸とが成す角度を表1に記載の角度に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の擬似画像表示装置を得た。
射出樹脂としてのポリカーボネート樹脂を、帝人社の商品名「パンライトL1225ZL100M」に変更し、シリンダー温度を295℃に変更し、金型温度を100℃に変更し、アニール処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の樹脂成形体を得た。
実施例1の樹脂成形体を比較例1の樹脂成形体に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例1の擬似画像表示装置を得た。
射出樹脂としてのポリカーボネート樹脂を、三菱エンジニアリングプラスチックス社の商品名「ユーピロンKS3330UR」に変更し、シリンダー温度を265℃に変更し、アニール処理を実施しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例2の樹脂成形体を得た。
実施例1の樹脂成形体を比較例2の樹脂成形体に変更し、偏光子の透過軸と樹脂成形体の遅相軸とが成す角度を表1に記載の角度に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例2の擬似画像表示装置を得た。
射出樹脂としてのポリカーボネート樹脂を、帝人社の商品名「パンライトL1225Z100M」に変更し、シリンダー温度を295℃に変更し、アニール処理の条件を120℃1時間に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の樹脂成形体を得た。
実施例1の樹脂成形体を比較例3の樹脂成形体に変更し、偏光子の透過軸と樹脂成形体の遅相軸とが成す角度を表1に記載の角度に変更した以外は、実施例1と同様にして、比較例3の擬似画像表示装置を得た。
偏光子の透過軸と樹脂成形体の遅相軸とが成す角度を表1に記載の角度に変更した以外は、実施例3と同様にして、参考例1の擬似画像表示装置を得た。
21:第1の機能層
22:第2の機能層
30:偏光子
31:第1の保護フィルム
32:第2の保護フィルム
100:樹脂成形体
300:偏光板
400:画像表示装置用の積層体
500:表示素子
700:画像表示装置
Claims (10)
- 樹脂成形体であって、
前記樹脂成形体は、少なくとも、樹脂を主成分とする樹脂層を有し、
前記樹脂層は、面内の遅相軸の角度の標準偏差が5度以上20度以下であり、
前記樹脂成形体は、厚みが0.5mm以上、面内位相差が100nm以上250nm以下、厚み方向の位相差が300nm以上750nm以下である、樹脂成形体。 - 前記樹脂層は、厚みが0.5mm以上、面内位相差が100nm以上250nm以下、厚み方向の位相差が300nm以上750nm以下である、請求項1に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂層は、ポリカーボネート系樹脂を含む、請求項1又は2に記載の樹脂成形体。
- さらに機能層を有する、請求項1~3の何れかに記載の樹脂成形体。
- 前記機能層として意匠層を有する、請求項4に記載の樹脂成形体。
- 前記樹脂成形体は曲面を含む、請求項1~5の何れかに記載の樹脂成形体。
- 請求項1~6の何れかに記載の樹脂成形体と、偏光子とを積層してなる、画像表示装置用の積層体。
- 前記樹脂層の面内の遅相軸と、前記偏光子の透過軸とが成す角が、0度以上25度以下、又は、65度以上90度以下である、請求項7に記載の画像表示装置用の積層体。
- 表示素子上に、偏光子及び請求項1~6の何れかに記載の樹脂成形体をこの順に有する、画像表示装置。
- 前記樹脂層の面内の遅相軸と、前記偏光子の透過軸とが成す角が、0度以上25度以下、又は、65度以上90度以下である、請求項9に記載の画像表示装置。
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