JP7020277B2 - 成形体及びそれを用いた表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、成形体及びそれを用いた表示装置に関する。
自動車のインストルメントパネル、時計、ショーケース等では、視覚対象物(例えば、インストルメントパネルでは、スピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計及び距離計等の計器;アナログ時計では文字盤、長針、短針及び秒針等;ショーケースでは各種の商品)を保護すること等を目的として、視覚対象物の前面に曲面あるいは平面状に成形された透明板が配置される場合が多い。
自動車のインストルメントパネルは、計器の情報を読み取りやすくするため、運転者に反射光を視認させにくくすることが求められる。また、時計及びショーケースにおいても、視覚対象物を見やすくするために、視認者に反射光を視認させにくくすることが求められる。
例えば、自動車のインストルメントパネルにおいて、運転者に反射光を視認させにくくする技術として、特許文献1~2の技術が提案されている。
特開2008-261725号公報(請求項7) 特開2005-186784号公報(請求項1)
特許文献1には、計器を配設する支持体に反射防止部を設けた車両用表示装置が開示されている。
しかし、特許文献1では、計器の前方に配置される透明板での反射に関して何ら検討されておらず、外光の反射の抑制は不十分であり、計器の情報が読み取りにくいものであった。
特許文献2には、曲面状のスクリーンの視認者側に距離を隔ててカバーを配置し、該カバーの視認者側の表面に、防眩膜及び反射防止膜の少なくとも一方を設けた車両用表示装置が開示されている。
特許文献2の手段は、計器の情報を表示するスクリーンの前方に配置する透明板の視認者側に反射防止膜を形成しているため、計器の情報の読み取り性が若干改善されている。しかし、特許文献2の手段では、透明板の視認者側に形成する反射防止膜の視感反射率を限界レベルまで低下させても、計器の情報の読み取り性を十分に改善することはできなかった。
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、反射を抑制し、視覚対象物の視認性を良好にし得る成形体、及び該成形体を用いた表示装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決すべく、本発明は、以下の[1]~[3]を提供する。
[1]成形体であって、前記成形体は、被着体と、前記被着体の一方の面に形成された樹脂層Aと、前記被着体の他方の面に形成された樹脂層Bとを有し、前記成形体の少なくとも一部は光透過性を有し、下記の手法で算出した前記成形体の前記光透過性を有する箇所の視感反射率Y値が2.00%未満である、成形体。
<成形体の視感反射率Y値の算出手法>
JIS K7361-1:1997に準拠して前記成形体の全光線透過率T(%)を測定する。
黒色板上に、空気層を介して前記成形体を設置したサンプルを作製する。前記サンプルの成形体の表面に対する垂直方向を0度とした際に、5度の方向からサンプルに光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定する。
前記黒色板の表面に対して垂直方向を0度とした際に、5度の方向から前記黒色板に光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定する。
「前記視感反射率Y値(%)-前記視感反射率Y値(%)×全光線透過率T(%)÷100」で得られる値を前記成形体の視感反射率Y値(%)とする。
[2]被着体と、前記被着体の一方の面に形成された樹脂層Aと、前記被着体の他方の面に形成された樹脂層Bとを有し、前記樹脂層Aが、前記被着体側からハードコート層A及び低屈折率層Aをこの順に有し、前記樹脂層Bが、前記被着体側からハードコート層B及び低屈折率層Bをこの順に有し、前記成形体の少なくとも一部が光透過性を有する、成形体。
[3]表示素子上に、空気層を介して上記[1]又は[2]に記載の成形体を有する表示装置。
本発明によれば、反射を抑制し、視覚対象物の視認性を良好にし得る成形体及び表示装置を提供することができる。
本発明の成形体の一実施形態を示す断面図である。 本発明の成形体の他の実施形態を示す断面図である。 本発明の成形体の視感反射率Y値の算出手法を説明する図である。 被着体上に中空粒子を含有する低屈折率層を有する樹脂層を転写により形成した成形体の垂直断面をSTEMにより撮像した写真である。 基材上に中空粒子を含有する低屈折率層を有する樹脂層を塗布、形成した積層体の垂直断面をSTEMにより撮像した写真である。 実施例の映り込みの評価手法を説明する図である。
[成形体(1)]
本発明の成形体(1)は、成形体であって、被着体と、前記被着体の一方の面に形成された樹脂層Aと、前記被着体の他方の面に形成された樹脂層Bとを有し、前記成形体の少なくとも一部は光透過性を有し、下記の手法で算出した前記成形体の前記光透過性を有する箇所の視感反射率Y値が2.00%未満であるものである。
<成形体の視感反射率Y値の算出手法>
JIS K7361-1:1997に準拠して前記成形体の全光線透過率T(%)を測定する。
黒色板上に、空気層を介して前記成形体を設置したサンプルを作製する。前記成形体の表面に対して垂直方向を0度とした際に、5度の方向からサンプルに光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定する。
前記黒色板の表面に対する垂直方向を0度とした際に、5度の方向から前記黒色板に光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定する。
「前記視感反射率Y値(%)-前記視感反射率Y値(%)×全光線透過率T(%)÷100」で得られる値を前記成形体の視感反射率Y値(%)とする。
図1及び図2は、本発明の成形体(1)及び後述する本発明の成形体(2)の一実施形態を示す断面図である。
図1及び図2の成形体100は、被着体10の一方の面に形成された樹脂層A(80A)と、被着体10の他方の面に形成された樹脂層B(80B)とを有している。また、図1の成形体100は、樹脂層A(80A)が、被着体10側から接着剤層A(20A)、ハードコート層A(40A)及び低屈折率層A(60A)をこの順に有し、樹脂層B(80B)が、被着体10側から接着剤層B(20B)、ハードコート層B(40B)及び低屈折率層B(60B)をこの順に有している。また、図2の成形体100は、樹脂層A(80A)が、被着体10側から接着剤層A(20A)、アンカーコート層A(30A)、ハードコート層A(40A)、高屈折率層A(50A)及び低屈折率層A(60A)をこの順に有し、樹脂層B(80B)が、被着体10側から接着剤層B(20B)、アンカーコート層B(30B)、ハードコート層B(40B)、高屈折率層B(50B)及び低屈折率層B(60B)をこの順に有している。
本発明の成形体(1)は、少なくとも一部が光透過性を有し、上記の手法で算出した成形体の光透過性を有する箇所の視感反射率Y値が2.00%未満であることを要する。
本明細書において、視感反射率Y値とは、CIE1931標準表色系の視感反射率Y値のことをいう。
まず、図3を用いて、成形体の反射率Y値の算出手法を説明する。
図3(a)は、黒色板200上に、空気層300を介して成形体100を設置したサンプルの樹脂層A(80A)側に光が入射した際の反射光のイメージである。また、図3(a)において、成形体100の光入射側の面は空気層300と接している。また、図3(a)において、実線の矢印が入射光、破線の矢印が反射光を示す。このように、図3(a)のサンプルでは、主として、樹脂層A(80A)の表面、樹脂層B(80B)と空気層300との界面、空気層300と黒色板200との界面で反射が生じる。なお、被着体と、樹脂層A及び樹脂層Bとの屈折率が異なる場合には、これらの界面でも微量の反射が生じる。
一方、図3(b)は、黒色板200上の表面に光が入射した際の反射光のイメージである。また、図3(b)において、黒色板200の光入射側の面は空気層300と接している。また、図3(b)において、実線の矢印が入射光、破線の矢印が反射光を示す。ここで、図3(b)の黒色板の反射率と成形体の透過率との積は、図3(a)の黒色板の反射率と略同一であると擬制できる。したがって、成形体の視感反射率Y値(%)は、下記式(i)に示すように、図3(a)で測定される視感反射率Y値(%)から、図3(b)で測定される視感反射率Y値(%)と成形体の透過率(%)との積を減ずることにより算出できる。
視感反射率Y値(%)-視感反射率Y値(%)×全光線透過率T(%)÷100 (i)
式(i)において、成形体の全光線透過率T(%)を測定する際の光入射面は、反射率Y値(%)を測定する際の光入射面と同一とする。
ここで、下記式(ii)のように、単に、図3(a)で測定される視感反射率Y値(%)から、図3(b)で測定される視感反射率Y値(%)を減じた場合、成形体に入射した光のうち、反射等で減衰する光が考慮されないため、成形体の正確な反射率とはならない。成形体の正確な反射率(入射光100%に対して成形体で反射する光の割合)を得るためには、式(i)のように成形体の透過率を考慮することが必要である。
視感反射率Y値(%)-視感反射率Y値(%) (ii)
なお、実際の視感反射率Y値の測定は、サンプル及び黒色板への光入射角を5度とするが、図3(a)及び図3(b)では、入射光と反射光とを区別しやすくするために、光入射角を5度以上としている。また、実際の測定では光源は1箇所であるが、図3(a)では、各界面の反射を区別しやすくするために、光源が3箇所あるように図示している。
また、図3(a)で視感反射率Y値を測定する際に、黒色板200上と成形体100との間に空気層300を確実に介するようにするため、黒色板200上と成形体100との間に厚み0.1~2mm程度のスペーサーを配置することが好ましい。
図3(a)及び図3(b)において、黒色板200の材質等は特に限定されないが、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が1%以下のものが好ましく、0.1%以下のものがより好ましく、0%のものがさらに好ましい。
視感反射率Y値は、一般的には、成形体の裏面に粘着剤層を介して黒色板を貼り合わせたサンプルを作製し、該サンプルの黒色板とは反対側の面に光を入射し、その反射光を測定することにより得られる。しかし、両面に反射防止処理が施されている成形体に前述した一般的な視感反射率Y値の測定方法を適用すると、屈折率の低い粘着剤層が存在しないため、黒色板のバインダー樹脂、粘着剤層及び反射防止処理層の屈折率を合わせることができず、視感反射率Y値を正確に測定することができない。
一方、上述した視感反射率Y値の測定方法であれば、両面に反射防止処理が施されている成形体の視感反射率Y値を正確に測定できる点で有用である。
成形体の光透過性を有する箇所の視感反射率Y値を2.00%未満とすることにより、視覚対象物の視認性を良好にすることができる。成形体の視感反射率Y値は、1.00%以下であることが好ましく、0.80%以下であることがより好ましく、0.65%以下であることがさらに好ましい。
成形体の光透過性を有する箇所の視感反射率Y値を2.00%未満とするためには、樹脂層Aの表面(被着体とは反対側の面)に低屈折率層Aを有し、かつ、樹脂層Bの表面(被着体とは反対側の面)に低屈折率層Bを有することが好ましい。
なお、本発明の成形体(1)は、成形体の光透過性を有する全箇所のうちの任意の箇所において視感反射率Y値が2.00%未満であればよく、光透過性を有する全箇所の視感反射率Y値が2.00%未満である必要はない。成形体の光透過性を有する全箇所のうちの任意の箇所において視感反射率Y値が2.00%未満であれば、当該任意の箇所と視覚対象物の位置関係とを対応させることにより、視覚対象物の視認性を良好にすることができる。
成形体の光透過性を有する全箇所における視感反射率Y値が2.00%未満を満たす箇所の割合は特に限定されないが、面積割合で50%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、90%以上であることがさらに好ましい。
本明細書において、成形体の光透過性を有する箇所とは、JIS K7361-1:1997の全光線透過率が50.0%以上であることを意味する。成形体の光透過性を有する箇所は、視覚対象物の視認性を良好にする観点から、JISK7361-1:1997の全光線透過率が75.0%以上であることが好ましく、90.0%以上であることがより好ましく、95.0%以上であることがさらに好ましい。
成形体の光透過性を有する箇所の視感反射率Y値は、光入射面が樹脂層A及び樹脂層Bの何れの面であっても上記範囲であることを要する。なお、理論上、光入射面が樹脂層A側の面である場合の視感反射率Y値と、光入射面が樹脂層B側の面である場合の視感反射率Y値は実質的に同一である。
また、全光線透過率は、光入射面を何れの面とした場合でも上記範囲であることが好ましい。後述するヘイズも、光入射面を何れの面とした場合でも後述の範囲であることが好ましい。
本明細書において、視感反射率Y値、全光線透過率及びヘイズは、成形体の光透過性を有する箇所から10箇所測定した際の平均値とする。
成形体の光透過性を有する箇所は、視覚対象物の視認性を良好にする観点から、JISK7136:2000のヘイズが2.0%未満であることが好ましく、1.5%以下であることがより好ましく、1.0%以下であることがさらに好ましい。
<被着体>
被着体は光透過性を有するものであれば特に限定されることなく、樹脂、ガラス等からなる成形物が挙げられる。これらの中でも、成形の容易性、多様性の観点から、樹脂からなる成形物が好ましい。
なお、被着体は、あらかじめ成形物の形状に成形されたものを用いてもよいし、インサート成形及びインモールド成形等の成形時に成形物の形状としてもよい。成形物の形状は、平板状のものであってもよいし、三次元形状及び曲面形状等であってもよい。すなわち、本発明の成形体は、あらかじめ成形物の形状に成形された被着体に樹脂層A及び樹脂層Bを形成したものであってもよいし、成形されていない被着体に樹脂層A及び樹脂層Bを形成し、その後、成形物の形状に成形したものであってもよい。
被着体が樹脂の場合、該樹脂は成形の容易性の観点から熱可塑性樹脂が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂から選ばれる1種または混合物等が挙げられる。これらの中でもアクリル系樹脂が好ましい。
被着体の厚みは特に限定されないが、通常、1mm以上であり、1~10mmであることが好ましい。被着体の厚みを上記範囲とすることにより、成型の容易性、多様性を維持しつつ、強度に優れる成型体を提供することができる。
本明細書において、成形体を構成する各部材の厚みは、成形体の垂直断面を電子顕微鏡等で観察することにより測定できる。
<樹脂層>
上記被着体の一方の面には樹脂層Aが形成され、他方の面には樹脂層Bが形成される。樹脂層A及び樹脂層Bの構成は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
なお、以下、特に断らない限り、「樹脂層」と表記した場合、樹脂層A及び樹脂層Bの両方を指すものとする。
樹脂層は、例えば、以下の(m-1)、(m-2)のようにして、被着体上に形成することができる。
(m-1)光透過性を有する基材上に樹脂層を有する積層体を作製する。次いで、該積層体の基材側の面と、被着体とを密着させる。
(m-2)離型性を有する基材上に樹脂層を有する転写シートを作製する。次いで、該転写シートを用いて、被着体に樹脂層を転写する。
樹脂層A及び樹脂層Bの少なくとも一方は、(m-2)の転写により形成したものであることが好ましい。すなわち、樹脂層A及び樹脂層Bの少なくとも一方は転写層であることが好ましく、樹脂層A及び樹脂層Bの両方が転写層であることがより好ましい。
転写により形成した樹脂層は、表面(被着体とは反対側の面)を平滑にしやすく、耐擦傷性を良好にしやすい点で好適である。また、転写より形成した樹脂層は、基材レスとなるため成形体を薄膜化できる点で好適である。
樹脂層Aは、反射抑制の観点から、少なくとも低屈折率層Aを有することが好ましい。同様に、樹脂層Bは、反射抑制の観点から、少なくとも低屈折率層Bを有することが好ましい。
樹脂層Aは、耐擦傷性及び反射抑制の観点から、被着体側からハードコート層A及び低屈折率層Aをこの順に有することがより好ましい。同様に、樹脂層Bも、耐擦傷性及び反射抑制の観点から、被着体側からハードコート層B及び低屈折率層Bをこの順に有することがより好ましい。
樹脂層Aは、耐擦傷性及び反射抑制の観点から、被着体側からハードコート層A、高屈折率層A及び低屈折率層Aをこの順に有することがさらに好ましい。同様に、樹脂層Bも、耐擦傷性及び反射抑制の観点から、被着体側からハードコート層B、高屈折率層B及び低屈折率層Bをこの順に有することがさらに好ましい。
上述の好適な実施形態において、低屈折率層Aは、樹脂層Aの表面(被着体とは反対側の面)に形成されていることが好ましい。同様に、低屈折率層Bは、樹脂層Bの表面(被着体とは反対側の面)に形成されていることが好ましい。
<<ハードコート層>>
ハードコート層A及びハードコート層Bは、熱硬化性樹脂組成物又は電離放射線硬化性樹脂組成物等の硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましく、耐擦傷性をより良くする観点から、電離放射線硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことがより好ましい。
なお、以下、特に断らない限り、「ハードコート層」と表記した場合、ハードコート層A及びハードコート層Bの両方を指すものとする。
熱硬化性樹脂組成物は、少なくとも熱硬化性樹脂を含む組成物であり、加熱により、硬化する樹脂組成物である。
熱硬化性樹脂としては、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、尿素メラミン樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、シリコーン樹脂等が挙げられる。熱硬化性樹脂組成物には、これら硬化性樹脂に、必要に応じて硬化剤が添加される。
電離放射線硬化性樹脂組成物は、電離放射線硬化性官能基を有する化合物(以下、「電離放射線硬化性化合物」ともいう)を含む組成物である。電離放射線硬化性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合基、及びエポキシ基、オキセタニル基等が挙げられる。電離放射線硬化性化合物としては、エチレン性不飽和結合基を有する化合物が好ましく、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する化合物がより好ましく、中でも、エチレン性不飽和結合基を2つ以上有する、多官能性(メタ)アクリレート系化合物が更に好ましい。多官能性(メタ)アクリレート系化合物としては、モノマー及びオリゴマーのいずれも用いることができる。
なお、電離放射線とは、電磁波又は荷電粒子線のうち、分子を重合あるいは架橋し得るエネルギー量子を有するものを意味し、通常、紫外線(UV)又は電子線(EB)が用いられるが、その他、X線、γ線などの電磁波、α線、イオン線などの荷電粒子線も使用可能である。
本明細書において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味し、(メタ)アクリル酸とは、アクリル酸又はメタクリル酸を意味し、(メタ)アクリロイル基とは、アクリロイル基又はメタクリロイル基を意味する。
多官能性(メタ)アクリレート系化合物のうち、2官能(メタ)アクリレート系モノマーとしては、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエトキシジアクリレート、ビスフェノールAテトラプロポキシジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート等が挙げられる。
3官能以上の(メタ)アクリレート系モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、イソシアヌル酸変性トリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、上記(メタ)アクリレート系モノマーは、分子骨格の一部を変性しているものでもよく、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、カプロラクトン、イソシアヌル酸、アルキル、環状アルキル、芳香族、ビスフェノール等による変性がなされたものも使用することができる。
また、多官能性(メタ)アクリレート系オリゴマーとしては、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ポリエーテル(メタ)アクリレート等のアクリレート系重合体等が挙げられる。
ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、多価アルコール及び有機ジイソシアネートとヒドロキシ(メタ)アクリレートとの反応によって得られる。
また、好ましいエポキシ(メタ)アクリレートは、3官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等と多塩基酸と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレート、及び2官能以上の芳香族エポキシ樹脂、脂環族エポキシ樹脂、脂肪族エポキシ樹脂等とフェノール類と(メタ)アクリル酸とを反応させて得られる(メタ)アクリレートである。
上記電離放射線硬化性化合物は1種を単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
電離放射線硬化性化合物が紫外線硬化性化合物である場合には、電離放射線硬化性組成物は、光重合開始剤や光重合促進剤等の添加剤を含むことが好ましい。
光重合開始剤としては、アセトフェノン、ベンゾフェノン、α-ヒドロキシアルキルフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾイン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾイルベンゾエート、α-アシルオキシムエステル、チオキサントン類等から選ばれる1種以上が挙げられる。
また、光重合促進剤は、硬化時の空気による重合阻害を軽減させ硬化速度を速めることができるものであり、例えば、p-ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、p-ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等から選ばれる1種以上が挙げられる。
ハードコート層の厚みは、0.1~100μmであることが好ましく、0.5~50μmであることがより好ましく、1~30μmであることがさらに好ましい。ハードコート層の厚みを上記範囲とすることにより、耐擦傷性を良好にしつつ、成形時のクラックの発生を抑制しやすくできる。なお、ガラス代替のような高硬度が必要な場合には、ハードコート層の厚みは、10~30μmが好ましい。
ハードコート層の屈折率は、1.45~1.70の範囲で調整することが好ましい。
また、樹脂層が、後述する高屈折率層を有する場合、ハードコート層の屈折率は高屈折率層の屈折率より低くすることが好ましく、1.50~1.65とすることがより好ましく、1.51~1.60とすることがさらに好ましい。ハードコート層の屈折率がこのような範囲にあれば、ハードコート層が中屈折率層としての役割を有し、ハードコート層(中屈折率層)、高屈折率層及び低屈折率層の3層による干渉作用が可能となることから、視感反射率Y値をより低くすることができる。
また、ハードコート層と被着体との間に他の層(光透過性基材、あるいは、樹脂層を構成する他の層)を有する場合、干渉縞を抑制する観点から、該他の層の屈折率とハードコート層の屈折率との差を小さくすることが好ましい。
本明細書において、屈折率は、例えば、反射光度計により測定した反射スペクトルと、フレネル係数を用いた多層薄膜の光学モデルから算出した反射スペクトルとのフィッティングにより算出することができる。
ハードコート層に中屈折率層としての役割を付与する手段としては、ハードコート層塗布液に屈折率の高い樹脂を配合する手段と、屈折率の高い粒子を配合する手段が挙げられる。
屈折率の高い樹脂としては、上述した熱硬化性樹脂又は電離放射線硬化性化合物に硫黄、リン、臭素を含有する基や芳香環等を導入したものが挙げられる。屈折率の高い粒子としては、後述する高屈折率層に用いる高屈折率粒子と同様のものが挙げられる。
<<低屈折率層>>
低屈折率層A及び低屈折率層Bは、ウェット法で形成したものと、ドライ法で形成したものとに大別できる。
なお、以下、特に断らない限り、「低屈折率層」と表記した場合、低屈折率層A及び低屈折率層Bの両方を指すものとする。
ウェット法としては、金属アルコキシド等を用いてゾルゲル法により形成する手法、フッ素樹脂のような低屈折率の樹脂を塗布して形成する手法、バインダー樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液を塗布して形成する手法が挙げられる。ドライ法としては、後述する低屈折率粒子の中から所望の屈折率を有する材料を選び、該材料を用いて、物理気相成長法又は化学気相成長法により形成する手法が挙げられる。
ウェット法は生産効率の点で優れている。また、ドライ法により形成した低屈折率層は、離型性基材から剥離しにくく転写法に適用しにくい一方で、ウェット法により形成した低屈折率層は、転写法に適用しやすい点で好適である。転写の詳細は後述する。
また、ウェット法の中でも、バインダー樹脂組成物に低屈折率粒子を含有させた低屈折率層形成用塗布液を用いて形成する手法が好ましい。すなわち、低屈折率層Aは、バインダー樹脂A及び低屈折率粒子Aを含むことが好ましい。また、低屈折率層Bは、バインダー樹脂B及び低屈折率粒子Bを含むことが好ましい。
なお、以下、特に断らない限り、「低屈折率粒子」と表記した場合、低屈折率粒子A及び低屈折率粒子Bの両方を指し、「バインダー樹脂」と表記した場合、バインダー樹脂A及びバインダー樹脂Bの両方を指すものとする。
低屈折率粒子の平均粒子径は、5~200nmが好ましく、10~150nmがより好ましい。また、低屈折率粒子が中空粒子の場合、平均粒子径は、5~200nmが好ましく、30~150nmがより好ましく、50~110nmであることがさらに好ましい。平均粒子径が前記範囲であれば、低屈折率層の厚みを均一にしやすくできる。また、平均粒子径を5nm以上とすることにより、粒子の凝集を抑制しやすくできるとともに、中空粒子の場合において、低屈折率層の屈折率を十分に下げやすくできる。また、平均粒子径を200nm以下とすることにより、粒子の拡散による白化で視認性が低下することを抑制しやすくできる。
低屈折率粒子及び後述する高屈折率粒子の平均粒子径は、以下の(1)~(3)の作業により算出できる。
(1)成形体の断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
(2)観察画像から任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の粒子径を算出する。粒子径は、粒子の断面を任意の平行な2本の直線で挟んだとき、該2本の直線間距離が最大となるような2本の直線の組み合わせにおける直線間距離として測定される。
(3)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の数平均から得られる値を粒子の平均粒子径とする。
低屈折率粒子としては、シリカやフッ化マグネシウムなどの無機系、又は有機系のいずれであっても制限なく用いることができるが、成形体の視感反射率Y値を低下させる観点から、空隙を有する粒子が好ましい。空隙を有する粒子は、微細な空隙を内部に有し、空隙の中に空気を含むため、屈折率が低いものとなっている。空隙を有する粒子としては、多孔質粒子及び中空粒子が挙げられ、なかでも中空粒子が好ましい。
すなわち、低屈折率粒子Aとして中空粒子Aを含むことが好ましい。また、低屈折率粒子Bとして中空粒子Bを含むことが好ましい。
なお、以下、特に断らない限り、「中空粒子」と表記した場合、中空粒子A及び中空粒子Bの両方を指すものとする。
中空粒子とは、外殻層を有し、当該外殻層に囲まれた粒子内部が空洞であり、粒子内部に空気を含む粒子をいう。
中空粒子の外殻層は、無機物であっても有機物であってもよく、例えば、金属、金属酸化物、樹脂、シリカ等からなるものが挙げられる。なかでも外殻層がシリカである中空シリカ粒子であることが好ましい。すなわち、中空粒子Aは中空シリカ粒子Aであることが好ましい。また、中空粒子Bは中空シリカ粒子Bであることが好ましい。
外殻層がシリカである場合、当該シリカは結晶性、ゾル状、ゲル状のいずれの状態であってもよい。
中空粒子の形状は、真球状、回転楕円体状及び球体に近似できる多面体形状等の略球状、鎖状、針状、板状、片状、棒状、繊維状等のいずれであってもよい。なかでも、真球状及び略球状であることが好ましく、回転楕円体状又は真球状であることがより好ましい。
中空粒子は、屈折率を低くできる一方で、その他の低屈折率粒子に比べて耐擦傷性に劣る傾向がある。特に、空気の比率を高めた粒子径の大きい中空粒子を用いた場合、低屈折率層の耐擦傷性を低下させやすい。
このため、中空粒子を用いる場合、下記(n-1)~(n-3)の何れかの構成を採用することが好ましい。
(n-1)一方の低屈折率層のみに中空粒子を含有させる。すなわち、2つの低屈折率層のうち、耐擦傷性がより要求される層は、視認者側(視覚対象物とは反対側)に配置する低屈折率層である。したがって、一方の低屈折率層に中空粒子を含有させ、他方の低屈折率層にはその他の低屈折率粒子を含有させ、かつ、その他の低屈折率粒子を含有させた低屈折率層を視認者側に配置することにより、低反射と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。
例えば、低屈折率層Bが中空粒子Bを含み、低屈折率層Aが中空粒子以外の低屈折率粒子を含み、かつ、低屈折率層Aを視認者側(視覚対象物とは反対側)に配置することにより、低反射と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。
(n-2)2つの低屈折率層に中空粒子を含有させ、かつ、各低屈折率層の中空粒子の平均粒子径を異なるものとする。2つの低屈折率層を前述のように構成し、かつ、平均粒子径が小さい中空粒子を含む低屈折率層を視認者側(視覚対象物とは反対側)に配置することにより、低反射と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。
例えば、低屈折率層Aが中空粒子Aを含み、低屈折率層Bが中空粒子Bを含み、中空粒子Aの平均粒子径Dと、中空粒子Bの平均粒子径Dとが、D<Dの関係を満たすようにして、かつ、低屈折率層Aを視認者側(視覚対象物とは反対側)に配置することにより、低反射と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。n-2の場合、中空粒子Aの平均粒子径を85nm以下として、中空粒子Bの平均粒子径を85nm超とすることが好ましい。また、中空粒子Aの平均粒子径を50~85nmとして、中空粒子Bの平均粒子径を85nm超~110nmとすることがより好ましい。
(n-3)2つの低屈折率層に中空粒子を含有させ、かつ、各低屈折率層の中空粒子の平均粒子径を85nm以下とする。低屈折率層A及び低屈折率層Bの両方に中空粒子を含有する場合でも、中空粒子の平均粒子径を過度に大きくしないことにより、低反射と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。n-3の場合、中空粒子の粒子径は、30~85nmであることが好ましく、50~80nmであることがより好ましい。また、n-3の場合、平均粒子径Dと、中空粒子Bの平均粒子径Dとは、同一であっても良いし、異なっていてもよい。
低屈折率粒子は表面処理されたものが好ましい。低屈折率粒子の表面処理としては、シランカップリング剤を用いた表面処理がより好ましく、この中で、(メタ)アクリロイル基を有するシランカップリング剤を用いた表面処理を行うことが好ましい。低屈折率粒子に表面処理を施すことにより、バインダー樹脂との親和性が向上し、粒子の分散が均一となり、粒子同士の凝集が生じにくくなるので、凝集由来の大粒子化による低屈折率層の透明化の低下や、低屈折率層形成用組成物の塗布性、該組成物の塗膜強度の低下が抑制される。
低屈折率粒子の表面処理において好ましく用いられるシランカップリング剤としては、3-メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3-アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N-2-(アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチル-ブチリデン)プロピルアミン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、トリス-(トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌレート、3-メルカプトプロピルメチルジメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、n-プロピルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、1,6-ビス(トリメトキシシリル)ヘキサン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン及びビニルトリエトキシシラン等が挙げられる。
低屈折率粒子の含有量は、低屈折率層のバインダー樹脂100質量部に対して20~250質量部が好ましく、30~230質量部がより好ましく、40~200質量部がさらに好ましい。低屈折率粒子の含有量が上記範囲内にあれば、反射防止性と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。
また、低屈折率層に含まれる低屈折率粒子の全量に対する中空粒子の割合は、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。中空粒子の割合を40質量%以上とすることで、低屈折率層の屈折率を十分に下げることができ、反射防止性が良好となる。
低屈折率層のバインダー樹脂としては硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、ハードコート層で例示したものと同様のものを用いることができ、電離放射線硬化性樹脂組成物が好適である。
また、低屈折率層のバインダー樹脂を形成する硬化性樹脂組成物中には、電離放射線硬化性官能基を有する含フッ素オリゴマー及び/又はモノマー等の含フッ素化合物を含むことが好ましい。該フッ素化合物を含むことにより、低屈折率層の屈折率を低くしやすくできるとともに、低屈折率層に防汚性及び滑り性を付与できる。
また、被着体上に転写によって樹脂層を形成する場合には、含フッ素化合物は、分子の主鎖の両末端に電離放射線硬化性官能基を有し、両末端に電離放射線硬化性官能基の間であって、かつ主鎖にフッ化アルキル基等の含フッ素基を有する化合物が好ましい。より具体的には、分子の両末端に(メタ)アクリロイル基を有し、両末端の(メタ)アクリロイル基の間であって、かつ主鎖にフッ化アルキル基を有する化合物が好ましい。
一般的に、含フッ素化合物は、表面張力の影響により低屈折率層の塗布時に塗膜の表面付近に浮かび上がる性質を有する。また、含フッ素化合物は、含フッ素基を分子の末端や側鎖に有することが多く、塗膜の表面付近に浮かび上がった含フッ素化合物は、末端や側鎖である含フッ素基を塗膜の表面側に向ける性質を有する。このため、離型性を有する基材上に含フッ素化合物を含む低屈折率層を形成し、該低屈折率層上に他の層(ハードコート層、高屈折率層等)を塗布、形成する場合には、含フッ素化合物の影響によって該他の層の塗布適性が低下しやすく、さらには、低屈折率層と該他の層との密着性が低下しやすい。また、密着性の低下は、転写時の転写層の欠落等を招く場合がある。
一方、分子の主鎖の両末端に電離放射線硬化性官能基を有し、両末端に電離放射線硬化性官能基の間であって、かつ主鎖にフッ化アルキル基等の含フッ素基を有する化合物の場合、該化合物が表面に集まったとしても、表面付近の含フッ素基の割合を減らすことができ、塗布適性及び密着性の低下を抑制できる。また、密着性に優れるため、転写時に樹脂層の欠落等を生じることを抑制できる。
低屈折率層の屈折率は1.10~1.45であることが好ましく、1.10~1.40であることがより好ましい。低屈折率層の屈折率を1.45以下とすることで、反射防止性が良好となり、下限は、1.10以上が実際的である。
また、低屈折率層の厚みは、可視光線の波長域の1/4程度(100nm前後)であることが好ましいため、80~120nmであることが好ましく、85~110nmであることがより好ましく、90~105nmであることがさらに好ましい。
低屈折率層の表面(低屈折率層の被着体とは反対側の面)には、実質的に低屈折率粒子が存在しない領域を有することが好ましい。言い換えると、低屈折率層の表面(低屈折率層の被着体とは反対側の面)には、実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域を有することが好ましい。
図4は、被着体上に低屈折率層(中空粒子を含有する低屈折率層)を有する樹脂層を転写により形成した成形体の垂直断面をSTEMにより撮像した写真である。一方、図5は、基材上に低屈折率層(中空粒子を含有する低屈折率層)を有する樹脂層を塗布、形成した成形体の垂直断面をSTEMにより撮像した写真である。図4及び図5ともに、上側の層が低屈折率層である。
図4及び図5の比較から、図4の低屈折率層は、実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域を表面側に有することが確認できる。これは、中空粒子は比重が軽いため、離型性を有する基材上に中空粒子を含有する低屈折率層を形成した場合、塗膜の表面に中屈折率粒子が浮かび上がり、基材側には中空粒子が疎になる結果、転写後には、実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域が低屈折率層の表面側に形成されることになるためである。
低屈折率層の表面(低屈折率層の被着体とは反対側の面)に、実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域を有することにより、低屈折率層の耐擦傷性を良好にすることができる。また、低屈折率層の表面(低屈折率層の被着体とは反対側の面)に、実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域を有することにより、低屈折率層の表面の凹凸が減少し、表面擦過時に凹凸に引っかかり難くなることによっても、低屈折率層の耐擦傷性が良好になると考えられる。また、低屈折率層の表面の凹凸が減少することで、凹凸内に汚れが入り込みに難くなるため、防汚性も良好にし得ると考えられる。
低屈折層の表面に実質的にバインダーのみが存在する領域は、以下の(I)~(III)の作業により算出できる。
(I)成形体の断面をTEM又はSTEMで撮像する。TEM又はSTEMの加速電圧は10kv~30kV、倍率は5万~30万倍とすることが好ましい。
(II)観察画像から、最表面側に近い任意の10個の粒子を抽出し、個々の粒子の最も再表面に近い点から、最表面樹脂層までの直線距離を算出する。
(III)同じサンプルの別画面の観察画像において同様の作業を5回行って、合計50個分の数平均から得られる値を低屈折層の表面に実質的にバインダーのみが存在する領域とする。
低屈折率層の表面の実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域は、低屈折率層の表面から1nm以上であることが好ましく、2nm以上であることがより好ましい。該領域は反射防止性の維持の観点から、20nm以下であることが好ましく、15nm以下であることがより好ましい。
なお、実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域とは、成形体の垂直断面をSTEMにより撮像した写真の低屈折率層の幅方向の500nmにおいて、低屈折率層の表面にバインダー樹脂のみが存在する領域をいうものとする。
また、低屈折率層の全表面のうち、実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域は60%以上であることが好ましく、70%以上であることがより好ましく、80%以上であることがさらに好ましく、90%以上であることがよりさらに好ましい。実質的にバインダー樹脂のみが存在する領域を60%以上とすることで、耐擦傷性、防汚性が良好となる。
<<高屈折率層>>
高屈折率層A及び高屈折率層Bは、例えば、高屈折率粒子及びバインダー樹脂組成物を含む高屈折率層塗布液から形成することができる。
なお、以下、特に断らない限り、「高屈折率層」と表記した場合、高屈折率層A及び高屈折率層Bの両方を指すものとする。
高屈折率粒子としては、五酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム、スズドープ酸化インジウム、アンチモンドープ酸化スズ、酸化イットリウム及び酸化ジルコニウム等が挙げられる。
高屈折率粒子の平均粒子径は、5~200nmが好ましく、5~100nmがより好ましく、10~80nmがさらに好ましい。平均粒子径を5nm以上とすることにより、粒子の凝集を抑制しやすくでき、粒子径を200nm以下とすることにより、粒子の拡散による白化で視認性が低下することを抑制しやすくできる。
高屈折率粒子の含有量は、塗膜の高屈折率化及び塗膜強度のバランスの観点から、バインダー樹脂100質量部に対して、50~500質量部であることが好ましく、100~450質量部であることがより好ましく、200~430質量部であることがさらに好ましい。
高屈折率層のバインダー樹脂としては硬化性樹脂組成物の硬化物が挙げられる。硬化性樹脂組成物としては、ハードコート層で例示したものと同様のものを用いることができ、電離放射線硬化性樹脂組成物が好適である。
高屈折率層の屈折率は1.55~1.85であることが好ましく、1.56~1.70であることがより好ましい。高屈折率層の屈折率を1.55以上とすることで、反射防止性が良好となり、上限は1.85以下が実際的である。
また、高屈折率層の厚みは、200nm以下であることが好ましく、50~180nmであることがより好まく、90~160nmがさらに好ましい。
高屈折率層の厚みを上記範囲とすることで、可視光領域(380~780nm)の内、広い波長域で低反射性を示すことができる。
<<接着剤層>>
樹脂層Aの被着体と接する側の面には、被着体との密着性を向上するために、接着剤層Aを有していてもよい。同様の観点から、樹脂層Bの被着体と接する側の面には接着剤層Bを有していてもよい。
なお、以下、特に断らない限り、「接着剤層」と表記した場合、接着剤層A及び接着剤層Bの両方を指すものとする。
接着剤層は、被着体の素材に適した感熱性又は感圧性の樹脂を使用することが好ましい。例えば、被着体の材質がアクリル系樹脂の場合は、アクリル系樹脂を用いることが好ましい。また、被着体の材質がポリフェニレンオキサイド・ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、スチレン系樹脂の場合は、これらの樹脂と親和性のあるアクリル系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリアミド系樹脂などを使用することが好ましい。さらに、被着体の材質がポリプロピレン樹脂の場合は、塩素化ポリオレフィン樹脂、塩素化エチレン-酢酸ビニル共重合体樹脂、環化ゴム、クマロンインデン樹脂を使用することが好ましい。
また、接着剤層は、いわゆる透明光学粘着層(OCA)であってもよい。
透明光学粘着層は、光学特性、耐光性、耐候性、耐熱性及び透明性の観点からアクリル系樹脂が用いられる。アクリル系樹脂を構成するモノマーとしては、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、アクリル酸アミル、アクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸オクチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸ベンジル等のアクリル酸アルキルエステルや、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル等のメタクリル酸アルキルエステル等が挙げられる。また、アクリル系樹脂を構成するモノマーは、前述したモノマーに加え、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ビニルエーテル、スチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等のビニル基含有化合物を共重合モノマーとして用いても良い。
更に、密着耐久性能を良好にし、アウトガスの発生を抑制するためには、光学用粘着剤主剤がアクリル系樹脂で重量平均分子量が50万以上、かつ多分散度(Mw/Mn)が5以下であることが好ましい。 また、透明光学粘着層中には、被着体との屈折率差を小さくするために、屈折率調整剤を添加してもよい。また、透明光学粘着層中には、必要に応じて、架橋剤、触媒、UV吸収剤、酸化防止剤、着色顔料、ガラスビーズ、フィラー、難燃剤、抗菌剤、光安定剤、着色剤、流動性改良剤、滑剤、ブロッキング防止剤、帯電防止剤、架橋助剤等を配合することができる。
接着剤層の厚みは、0.1~50μmであることが好ましく、0.5~30μmであることがより好ましく、1~5μmであることがさらに好ましい。透明光学粘着層(OCA)の場合は、1~50μmであることが好ましく、5~30μmであることがさらに好ましい。
接着剤層の厚みを0.1μm以上とすることにより、接着性を良好にしやすくできる。また、接着剤層の厚みを50μm以下とすることにより、成形体表面の硬度が低下することを抑制しやすくできると共に、異物及び樹脂凝集物等による欠点が発生することによる視認性の低下を抑制することができる。透明光学粘着層(OCA)の厚みの下限及び上限の理由も同様である。
接着剤層の屈折率は、1.45~1.70の範囲で調整することが好ましく、1.50~1.65とすることがより好ましく、1.51~1.60とすることがさらに好ましい。また、干渉縞を抑制する観点から、接着剤層と、接着剤層に接する層(例えば、被着体、光透過性基材、樹脂層を構成する被着体側の層)との屈折率差を小さくすることが好ましい。
<<アンカー層>>
樹脂層Aは耐熱性を向上するためのアンカー層Aを有していてもよい。同様の観点から、樹脂層Bはアンカー層Bを有していてもよい。
なお、以下、特に断らない限り、「アンカー層」と表記した場合、アンカー層A及びアンカー層Bの両方を指すものとする。
被着体上に転写により樹脂層を形成する場合において、後述のインモールド成形を採用する場合、被着体を構成する射出樹脂によって樹脂層が高温に晒される。このため、樹脂層の被着体と接する側の面にはアンカー層を有することが好ましい。なお、樹脂層が上述した接着剤層を有する場合には、接着剤層の被着体とは反対側であって接着剤層と接する箇所にアンカー層を有することが好ましい。
アンカー層は、硬化性樹脂組成物の硬化物を含むことが好ましい。
硬化性樹脂組成物としては、熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物が挙げられる。
アンカー層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態は、ハードコート層の熱硬化性樹脂組成物、電離放射線硬化性樹脂組成物の実施の形態と同様である。
アンカー層の厚みは、0.1~50μmであることが好ましく、0.5~30μmであることがより好ましく、1~5μmであることがさらに好ましい。
アンカー層の厚みが0.1μm以上とすることにより、インモールド成形時において、樹脂層が高温に晒されることを抑制しやすくでき、5μm以下とすることにより、クラックが発生することを抑制すると共に、異物及び樹脂凝集物等による欠点が発生することによる視認性の低下を抑制することができる。
アンカー層の屈折率は、1.45~1.70の範囲で調整することが好ましい。1.50~1.65とすることがより好ましく、1.51~1.60とすることがさらに好ましい。また、干渉縞を抑制する観点から、アンカー層と、アンカー層に接する層(例えば、ハードコート層、接着剤層)との屈折率差を小さくすることが好ましい。
上述した樹脂層を構成する各層は、各層の組成物を含む塗布液を塗布し、必要に応じて、乾燥及び硬化することにより形成できる。
<<基材>>
被着体と樹脂層との間には基材を有していてもよい。例えば、後述のインサート成形によって被着体上に樹脂層を形成する場合、被着体と樹脂層との間には基材が配置されることになる。
基材は光透過性を有するものであれば特に限定されることなく使用できる。
例えば、基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・ビニルアルコール共重合体などのビニル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂、ポリスチレン等のスチレン系樹脂、ナイロン6又はナイロン66などで代表されるポリアミド系樹脂、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネートなどの樹脂、ポリイミド系樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられる。
基材の成形前の厚みは特に限定されないが、取り扱い性及び成形性の観点から、30~500μmであることが好ましく、40~400μmであることがより好ましく、50~300μmであることがさらに好ましい。
また、基材は、リタデーション値が3,000nm以上であることが好ましく、さらに、5,000nm以上30,000nm以下であることが好ましく、さらに、6,000nm以上15,000nm以下のものが好ましく、さらに、6,500nm以上13,000nm以下のものが好ましく、さらに、7,000nm以上12,000nm以下のものが好ましい。
後述のインサート成形やインモールド成形によって成形体を製造する場合、被着体を形成する射出樹脂の流れによって被着体に複屈折が生じ、複屈折に起因する虹状の干渉模様を生じる場合がある。かかる場合において、基材のリタデーション値を3,000nm以上とすることにより、被着体の複屈折に起因する虹状の干渉模様を抑制できる。また、基材のリタデーション値を30,000nm以下とすることにより、基材の厚みが過度になることを抑制し、成形体の総厚みが増加することを抑制するとともに、被着体上に基材等を積層する際の作業性を良好にすることができる。
なお、被着体が複屈折を有さない場合、基材としてリタデーション値が低いものを用いることにより、虹状の干渉模様を抑制することが可能である。この場合の基材のリタデーション値は200nm未満であることが好ましく、100nm以下であることが好ましく、50nm以下であることがさらに好ましい。
なお、本明細書でいうリタデーション値とは、基材の面内において屈折率が最も大きい方向である遅相軸方向の屈折率nと、基材の面内において前記遅相軸方向と直交する方向である進相軸方向の屈折率nと、基材の厚みd(nm)とにより、下記式(A)によって表わされるものであり、いわゆる「面内リタデーション値」と呼ばれるものである。下記式(A)で算出されるリタデーションの単位は「nm」である。
リタデーション値(Re)=(n-n)×d(nm) (A)
上記リタデーション値は、例えば、王子計測機器社製の商品名「PAM-UHR100」、大塚電子社製「RETS-100」などにより測定できる。
また、リタデーション値が低いものを測定する場合には、王子計測機器社製の商品名「KOBRA-WR」などにより測定できる。
<表面形状>
従来の反射防止フィルムは、表示画面側の最表面(例えば、低屈折率層)を指等で擦過した際に、皮脂や埃が残留することで防汚性能が不充分となり、また、表面に傷が生じて耐擦傷性が不充分となるケースが散見された。この原因は、従来の反射防止フィルムの表面は、図5に示すように、低屈折粒子に基づく微細凹凸が形成されており、該凹凸に爪等が引っかかりやすく、また、該凹凸内に皮脂等が入り込みやすいためと考えられる。防汚性及び耐擦傷性が不充分な場合、反射防止性能も経時的に損なわれやすい。このため、本発明の成形体は、防汚性及び耐擦傷性を良好にし得る表面形状を有することが好ましい。
防汚性及び耐擦傷性を良好にする観点から、樹脂層Aの表面(樹脂層Aの被着体とは反対側の面)は、算術平均粗さRa、最大高さRz及び粗さ曲線の最大高さRpから選ばれる一以上が下記範囲を満たすことが好ましく、二以上が下記範囲を満たすことがより好ましく、三つ全てが下記範囲を満たすことがさらに好ましい。Ra、Rz及びRpが下記範囲を満たしやすくするためには、図4に示すように、樹脂層Aの表面に実質的に粒子が存在しない領域を有することが好ましい。
同様に、樹脂層Bの表面(樹脂層Bの被着体とは反対側の面)も、耐擦傷性及び防汚性の観点から、Ra、Rz及びRpから選ばれる一以上が下記範囲を満たすことが好ましく、二以上が下記範囲を満たすことがより好ましく、三つ全てが下記範囲を満たすことがさらに好ましい。
Ra:2.5nm以下
Rz:25nm以下
Rp:12nm以下
Raは2.0nm以下であることがより好ましく、1.5nm以下であることがさらに好ましく、1.2nm以下であることがよりさらに好ましい。なお、Raの下限は0.3nm程度である。
Rzは20nm以下であることがより好ましく、15nm以下であることがさらに好ましく、10nm以下であることがよりさらに好ましい。なお、Rzの下限は3nm程度である。
Rpは10nm以下であることがより好ましく、8nm以下であることがさらに好ましく、6m以下であることがよりさらに好ましい。なお、Rpの下限は2nm程度である。
Ra、RzおよびRpの定義はJIS B0601:2001に従うものとする。Ra、Rz及びRpは、原子間力顕微鏡(商品名「WET-9100」、島津製作所製)を用いて、以下のように算出するものとする。具体的には、まず、平坦な円形の金属板を複数用意し、それぞれの金属板に、日新EM株式会社製のカーボン両面テープを貼り付け、該テープを介して、金属板と成形体の非測定面側とを貼り合わせた測定用サンプルを作製する。そして、金属板、テープ及び成形体の接着を確実なものとするために、測定用サンプルをデシケーターの中で一晩放置する。一晩放置後、測定用サンプルを原子間力顕微鏡(商品名「WET-9400」、島津製作所製)の測定台の上に磁石で固定し、タッピングモードにて、測定エリア5μm角で、原子間力顕微鏡により表面形状を観察する。そして、観察したデータから原子間力顕微鏡に内蔵されている面解析ソフトを用いて、Ra、Rz、Rpを算出する。なお、面解析時における縦のスケールは20nmとする。観察時の雰囲気は温度23℃±5℃、湿度40~65%で行い、カンチレバーとしてはNanoWorld社製のNCHR-20を使用する。また、観察に際しては、1つのサンプルに対して、異物や傷のない箇所からランダムに10箇所を選び、10箇所の表面形状を観察する。そして、得られた10点のデータ全てにおいて、原子間力顕微鏡に内蔵の面解析ソフトを用いてRa、Rz、Rpを算出し、10点の算術平均値をそれぞれのサンプルのRa、Rz、Rpとする。
また、Ra、Rz、Rpを用いて樹脂層の表面形状を規定したのは、以下の理由からである。
Raは、樹脂層の表面に存在する山と谷の高さの平均値を見るために用いられており、Rzは、樹脂層の表面の山高さの最大値と谷深さの最大値の和を見るために用いられており、Rpは、樹脂層の表面の山高さの最大値を見るために用いられている。ここで、Raは樹脂層の表面に存在する山と谷の高さの平均値を見ているため、大まかな樹脂層の表面形状は分かるものの、大きな山や谷があったとしても平均化されてしまい、その存在を見落としてしまう可能性がある。また、Rpは、樹脂層の表面の山高さの最大値を見ているため、RaとRpの2つのパラメータを用いた場合には、大きな谷があったとしても、その存在を見落としてしまう可能性があり、さらにRzは、樹脂層の表面の山高さの最大値と谷深さの最大値の和を見ていため、RaとRzの2つのパラメータを用いた場合には、山が高いのか谷が深いのか把握できない可能性がある。このため、均一かつ平坦な面形状を有するか否かをより正確に判断するためには、Raの1つのパラメータ、RaとRpの2つのパラメータ、またはRaとRzの2つのパラメータでは足らず、Ra、RzおよびRpの3つのパラメータが必要とする。このため、本発明においては、樹脂層の表面形状をRa、RzおよびRpの3つのパラメータを用いて規定している。
<干渉縞対策>
被着体の一方の側に、基材、接着剤層、アンカー層及びハードコート層から選ばれる二以上の層を有する場合、界面反射を原因とする干渉縞が生じやすくなる。干渉縞を抑制するため、基材、接着剤層、アンカー層及びハードコート層から選ばれる二以上の層に関して、下記(A)~(D)から選ばれる一以上の構成を採用することが好ましい。(A)~(D)の中では、透明性の観点から(A)~(C)が好ましい。
(A)互いに接する層の屈折率差を0.02未満とする。
(B)互いに接する層間の界面を荒らす。
(C)互いに接する層間の屈折率が徐々に変化するグラデーション構造とする。
(D)少なくとも何れかの層に散乱粒子を添加する。
(B)の「互いに接する層間の界面を荒らす」手段としては、例えば、平均粒子径が0.1~10μmの粒子を層中に添加する手段、エンボスロール等で層の表面を賦形する手段等が挙げられる。
(C)の「互いに接する層間の屈折率が徐々に変化するグラデーション構造とする」手段としては、下層に上層を形成する際に、下層を溶解又は膨潤させる溶媒を含む上層用塗布液を用いて上層を形成する手段が挙げられる。
(D)の「少なくとも何れかの層に散乱粒子を添加する」手段の場合、散乱粒子を添加する層の樹脂の屈折率nと、散乱粒子の屈折率nとが、1.01<n/n又はn/n<0.99の関係を満たすことが好ましい。屈折率を前記の関係とすることで、粒子と樹脂間の散乱による白化を抑制しつつ、干渉縞を良化させることができる。
<印刷層>
成形体は印刷層を有していてもよい。具体的には、成形体の光透過性を有さない箇所に印刷層を有していてもよい。
成形体における印刷層の厚み方向の位置は任意であるが、成形体の外観の均一性及び印刷層の保護の観点から、成形体の表面に露出しない位置であることが好ましい。
印刷層のパターンは任意であり、例えば、木目、石目、布目、砂目、円、四角形、多角形、幾何学模様、文字、ベタ印刷等が挙げられる。
印刷層は、ポリビニル系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリビニルアセタール系樹脂、セルロース系樹脂等のバインダー樹脂と、顔料及び/又は染料とを含むことが好ましい。
<成形体の製造方法>
上述したように、例えば、下記(m-1)、(m-2)の手段により、被着体上に樹脂層を形成することができる。
(m-1)光透過性を有する基材上に樹脂層を有する積層体を作製する。次いで、該積層体の基材側の面と、被着体とを密着させる。
(m-2)離型性を有する基材上に樹脂層を有する転写シートを作製する。次いで、該転写シートを用いて、被着体に樹脂層を転写する。
上記(m-1)及び(m-2)の手段は、単独あるいは組み合わせることが可能である。例えば、樹脂層A及び樹脂層Bの一方を(m-1)の手段で形成して、他方を(m-2)の手段で形成することができる。あるいは、樹脂層A及び樹脂層Bの両方を(m-1)及び(m-2)の何れか手段で形成することができる。
本実施形態では、樹脂層A及び樹脂層Bの少なくとも一方は、(m-2)の転写により形成したものであることが好ましい。すなわち、樹脂層A及び樹脂層Bの少なくとも一方は転写層であることが好ましく、樹脂層A及び樹脂層Bの両方が転写層であることがより好ましい。
転写により形成した樹脂層は、表面を平滑にしやすく、耐擦傷性を良好にしやすい点で好適である。また、転写より形成した樹脂層は、基材レスとなるため成形体を薄膜化できる点で好適である。
上記(m-1)の手段では、予め成形された被着体と、積層体の基材側の面とを密着させる手段を採用してもよいが、下記(y1)~(y3)工程を経るインサート成形を採用することが好ましい。
(y1)光透過性を有する基材上に樹脂層を有する積層体をインサート成形用型内に配置する。この際、積層体の基材側の面が、インサート成形用型を構成する一対の型(雄型及び雌型)により形成される空隙側を向くようにして、積層体を型に当接させる。
(y2)インサート成形用型内に樹脂を射出注入し、被着体である樹脂成形物を成形するとともに、被着体と積層体とを密着させる。
(y3)型から成形体を取り出す。
上記(y1)において、積層体は、一対の型の一方のみに当接してもよいし、両方に当接してもよい。両方の型に積層体を当接した場合、樹脂層A及び樹脂層Bを被着体の両面に同時に形成することができる。
上記(m-2)の手段では、予め成形された被着体に転写シートを貼着し、該転写シートの樹脂層を転写した後、該転写シートの離型シートを剥離する手段を採用してもよいが、下記(z1)~(z3)工程を経るインモールド成形を採用することが好ましい。なお、インモールド成形は、成形時に被着体と樹脂層との界面を荒らしたり、被着体と樹脂層とを混在させてグラデーション領域を形成したりすることにより、干渉縞を抑制しやすい点で好適である。
(z1)転写シートをインモールド成形用型内に配置する。この際、転写シートの樹脂層側の面が、インモールド成形用型を構成する一対の型(雄型及び雌型)により形成される空隙側を向くようにして、転写シートを型に当接させる。
(z2)インモールド成形用型内に樹脂を射出注入し、被着体である樹脂成形物を成形するとともに、被着体の表面に転写シートの転写層を密着させる。
(z3)成形体を金型から取り出した後、転写シートの離型シートを剥離する。
上記(z1)において、転写シートは、一対の型の一方のみに当接してもよいし、両方に当接してもよい。両方の型に転写シートを当接した場合、樹脂層A及び樹脂層Bを被着体の両面に同時に形成(転写)することができる。
インサート成形及びインモールド成形の型内に射出する樹脂は熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。このような熱可塑性樹脂としては、ポリスチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂(耐熱ABS樹脂を含む)、AS樹脂、AN樹脂、ポリフェニレンオキサイド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアセタール系樹脂、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート系樹脂、ポリブチレンテフタレート系樹脂、ポリスルホン系樹脂、およびポリフェニレンサルファイド系樹脂から選ばれる1種または混合物等が挙げられる。
インサート成形及びインモールド成形の型内に樹脂を射出する際は、射出樹脂と直接接する層(例えば、インサート成形では基材、インモールド成形では接着剤層)の材質を考慮して、密着性が良好となるように、射出樹脂の温度、圧力、速度を調整することが好ましい。
なお、インモールド成形の場合、離型シートを剥離する際の転写層の箔切れや転写不良を抑制するために、被着体の素材及び樹脂層の素材の組み合わせを選定したり、樹脂層の厚みを調整したりすることが好ましい。
<転写シート>
上記(m-2)で用いる転写シートは、離型性を有する基材上に樹脂層を有するものである。
該転写シートの樹脂層は少なくとも低屈折率層を有することが好ましい。また、低屈折率層は、離型性を有する基材に接して形成されていることが好ましい。
転写シートの低屈折率層は、バインダー樹脂として、分子の主鎖の両末端に電離放射線硬化性官能基を有し、両末端の電離放射線硬化性官能基の間であって、かつ主鎖にフッ化アルキル基等の含フッ素基を有する化合物の硬化物を含むことが好ましい。該硬化物を含むことにより、低屈折率化、防汚性及び滑り性を実現できるとともに、汎用的なフッ素化合物に比べて塗膜表面の含フッ素基の割合を減らすことができるため、塗布適性及び密着性の低下を抑制できる。また、密着性に優れるため、転写時に樹脂層の欠落等を生じることを抑制できる。
転写シートの低屈折率層の全バインダー樹脂における該硬化物の割合は20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。20質量%以上とすることで、屈折率が十分に低下し、反射防止性が良好となる。
転写シートの低屈折率層は、離型性を有する基材と低屈折率層との剥離性を良好にする観点から、バインダー樹脂として、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート系化合物の硬化物を含むことが好ましい。
アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート系化合物は、エチレンオキサイド(EO)変性(メタ)アクリレート系化合物及び/又はプロピレンオキサイド(PO)変性(メタ)アクリレート系化合物であることが好ましく、PO変性(メタ)アクリレート系化合物であることがより好ましい。
また、離型性を有する基材と低屈折率層との剥離性を良好にする観点から、アルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート系化合物の官能基数は6以下であることが好ましい。
同様に、離型性を有する基材と低屈折率層との剥離性を良好にする観点から、転写シートの低屈折率層の全バインダー樹脂におけるアルキレンオキサイド変性(メタ)アクリレート系化合物の硬化物の割合は20質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。
離型性を有する基材としては、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリ(メタ)アクリル酸メチル、ポリ(メタ)アクリル酸エチルなどのアクリル系樹脂などの樹脂からなるプラスチックフィルムが挙げられ、これらプラスチックフィルムをシリコーン系離型剤等で離型処理したものが好適である。
離型性を有する基材の厚みは、10~200μmであることが好ましく、20~150μmであることがより好ましい。離型性を有する基材の厚みを10μm以上とすることにより、転写時に破れたり皺が生じたりすることを抑制でき、200μm以下とすることにより、被着体の形状への追従性を良好にしやすくできるとともに、接着剤層が感熱性接着剤の場合に、加熱転写時に接着剤層への熱伝導が損なわれることを抑制しやすくできる。
[成形体(2)]
本発明の成形体(2)は、被着体と、前記被着体の一方の面に形成された樹脂層Aと、前記被着体の他方の面に形成された樹脂層Bとを有し、前記樹脂層Aが、前記被着体側からハードコート層A及び低屈折率層Aをこの順に有し、前記樹脂層Bが、前記被着体側からハードコート層B及び低屈折率層Bをこの順に有し、前記成形体の少なくとも一部が光透過性を有するものである。
本発明の成形体(2)は、樹脂層A及び樹脂層Bの表面(被着体とは反対側の面)に低屈折率層を有するため、成形体の光透過性を有する箇所の視感反射率Y値を低くすることができる。
本発明の成形体(2)において、被着体、樹脂層A、樹脂層B、ハードコート層A、低屈折率層A、ハードコート層B及び低屈折率層B等の成形体を構成する各層の好適な実施形態、並びに、成形体(2)の物性及び成形体(2)の製造方法の好適な実施形態は、上述した本発明の成形体(1)の被着体、樹脂層A、樹脂層B、ハードコート層A、低屈折率層A、ハードコート層B及び低屈折率層B等の成形体(1)を構成する各層の好適な実施形態、並びに、成形体(1)の物性及び成形体(1)の製造方法の好適な実施形態と同様である。
例えば、本発明の成形体(2)の低屈折率層Aはバインダー樹脂A及び低屈折粒子Aを含むことが好ましい。また、本発明の成形体(2)の低屈折率層Bはバインダー樹脂B及び低屈折粒子Bを含むことが好ましい。
また、本発明の成形体(2)は、低屈折率粒子Aとして中空粒子Aを含むことが好ましく、低屈折率粒子Bとして中空粒子Bを含むことが好ましい。また、本発明の成形体(2)は、中空粒子Aの平均粒子径Dと、中空粒子Bの平均粒子径Dとが、D<Dの関係を満たすことが好ましい。
また、本発明の成形体(2)は、中空粒子A及び中空粒子Bが中空シリカ粒子であることが好ましい。
また、本発明の成形体(2)は、樹脂層Aが、被着体側から、接着剤層A、ハードコート層A及び低屈折率層Aをこの順に有することが好ましい。また、本発明の成形体(2)は、樹脂層Bが、被着体側から、接着剤層B、ハードコート層B及び低屈折率層Bをこの順に有することが好ましい。
<用途>
上述した本発明の成形体(1)及び本発明の成形体(2)は、例えば、表示装置、インストルメントパネル、時計、ショーケース等において、視覚対象物(例えば、表示装置では表示素子;インストルメントパネルでは、スピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計及び距離計等の計器;アナログ時計では文字盤、長針、短針及び秒針等;ショーケースでは各種の商品)の前面に配置することにより、視覚対象物を保護しつつ、反射を抑制して視覚対象物の視認性を良好にすることができる。
樹脂層Aが低屈折率層Aを有し、かつ、樹脂層Bが低屈折率層Bを有する場合、2つの低屈折率層の構成、及び、2つの低屈折率層と視覚対象物との配置を上述したn-1又はn-2のようにすることにより、低反射性(視認性)と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。
[表示装置]
本発明の表示装置は、表示素子上に、空気層を介して、上述した本発明の成形体(1)又は本発明の成形体(2)を有するものである。
表示装置を構成する表示素子としては、液晶表示素子、EL(無機EL、有機EL)表示素子、プラズマ表示素子、電子ペーパー表示素子、LED表示素子(マイクロLEDなど)、量子ドットを用いた表示素子等が挙げられる。すなわち、表示装置としては、液晶表示装置、EL(無機EL、有機EL)表示装置、プラズマ表示装置、電子ペーパー表示装置、LED表示装置(マイクロLEDなど)、量子ドットを用いた表示装置等が挙げられる。
なお、液晶表示装置の場合、表示素子の成形体とは反対側にバックライトを配置することを要する。バックライトとしては、エッジライト型バックライト、直下型バックライトの何れも用いることができる。また、バックライトの光源としては、LED、CCFL等が挙げられるが、光源として量子ドットを用いたバックライトは色再現性を高めやすい点で好ましい。
本発明の表示装置において、樹脂層Aが低屈折率層Aを有し、かつ、樹脂層Bが低屈折率層Bを有する場合、2つの低屈折率層の構成、及び、2つの低屈折率層と視覚対象物(表示素子)との配置を上述したn-1又はn-2のようにすることにより、低反射性(視認性)と耐擦傷性とのバランスを良好にすることができる。
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、本発明は、実施例に記載の形態に限定されるものではない。
1.評価、測定
実施例及び比較例で得られた成形体について以下の測定及び評価を行った。結果を表1に示す。なお、以下の測定及び評価で使用した成形体及びサンプル等の大きさは一例であり、これに何ら限定されない。例えば、下記1-1の視感反射率Y値の測定では、黒色板及び成型体は10cm角のものを使用しているが、これよりサイズを小さくしてもよい。
1-1.視感反射率Y値
黒色板(クラレ社製、商品名:コモグラス K(カラー1) 502K(黒)、10cm角、厚み2mm)上に、空気層を介して、10cm角の成形体を設置したサンプルを作製した。なお、上記黒色板をJIS K7361-1:1997に準拠して測定したところ、全箇所において、全光線透過率は0%であった。黒色板と成形体との間には厚さ1mmのスライドガラスからなるスペーサーに基づいた、高さ1mmの空気層が形成されているものとする。サンプルは、成形体の低屈折率層B側の面が黒色板側を向くように配置した。
成形体の表面に対して垂直方向を0度とした際に、5度の方向からサンプルに光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定した。
また、黒色板の表面に対して垂直方向を0度とした際に、5度の方向から黒色板に光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定した。黒色板の反射率Y値は3.9%であった。
次いで、「前記視感反射率Y値(%)-前記視感反射率Y値(%)×全光線透過率T(%)÷100」で得られる値を成形体の視感反射率Y値(%)として算出した。なお、サンプルの傷や欠陥のない箇所からランダムで10箇所選び、10箇所の算術平均値を、各実施例及び比較例の成形体の視感反射率Y値(%)とした。
視感反射率Y値(%)は、分光反射率測定器(島津製作所株式会社製、商品名:UV-3600plus)と、付属する大型試料室(島津製作所株式会社製、商品名:MPC-603)を用いて、5°正反射率を380~780nmまでの波長範囲で測定し、その後、人間が目で感じる明度として換算するソフト(UV-3600plusに内蔵されたソフト)で算出される、視感反射率を示す値を視感反射率Y値(%)として求めた。
なお、表1への記載は省略するが、成形体の低屈折率層A側の面が黒色板側を向くように配置したサンプルについて上記と同様の測定を行ったところ、視感反射率Y値(%)は同一であった。
1-2.全光線透過率
JIS K7361-1:1997に準拠して、成形体の全光線透過率(%)を測定した。成型体は10cm角のものを使用し、光入射面は樹脂層B側とした。サンプルの傷や欠陥のない箇所からランダムで10箇所選び、10箇所の算術平均値を、各実施例及び比較例の成形体の全光線透過率(%)とした。
1-3.ヘイズ
JIS K7136:2000に準拠して、成形体のヘイズ(%)を測定した。成型体は10cm角のものを使用し、光入射面は樹脂層B側とした。サンプルの傷や欠陥のない箇所からランダムで10箇所選び、10箇所の算術平均値を、各実施例及び比較例の成形体のヘイズ(%)とした。
なお、表1への記載は省略するが、光入射面を樹脂層A側として上記と同様に全光線透過率(%)及びヘイズ(%)を測定したところ、測定値は同一であった。
1-4.バインダー樹脂の占有領域
<STEM観察条件>
まず、試料を5mm角片に切断し、樹脂包埋した。次に、図4及び図5に示す断面が得られるように、ガラスナイフでトリミング加工した。この際、ミクロトーム(例えばライカマイクロシステムズ社製のウルトラミクロトーム)を使用した。次に、トリミング加工を行った切断面をダイヤモンドナイフ用いて、設定膜厚80nmで削ることにより、観察用の超薄切片を作製した。その後、得られた試料の切断面の測定を実施した。この際、走査型電子顕微鏡(例えば、日立ハイテクノロジーズ社製S‐4800 TypeI)を使用して、加速電圧30kV、エミッション電流10μA、W.D8mm、検出器TE、観察倍率を20万倍に設定し、切断面を撮影した。なお、撮影時の観察倍率基準は、Polaroid545とした。
明細書本文の(I)~(III)の手順に従い、撮影した画像をモニタで観察し、低屈折率層の幅方向の500nmにおいて、低屈折率層の表面から2nm以上の領域にバインダー樹脂のみが存在するか否かを判定した。傷や欠陥が視認されない10箇所で撮像した写真に基づいて前記判定を行い、低屈折率層の表面から2nm以上の領域にバインダー樹脂のみが存在する写真が8箇所未満のものを「C」、該写真が8箇所のものを「B」、該写真が9箇所又は10箇所のものを「A」とした。
C評価のような表面状態(図5のような表面状態)である場合、表示画面側の低屈折率層の表面における凹凸に指で触れたときの皮脂や埃が残留することで防汚性能が不充分となり、また、上記凹凸に引っ掛かることで耐擦傷性にも劣ることがあった。一方、A評価のような表面状態(図4のような表面状態)である場合、極めて高精度に制御された凹凸形状が低屈折率層の表面に形成されているため、極めて優れた防汚性と耐擦傷性とを有し、指で触れた後の反射防止性能も良好なものであった。
1-5.映り込み
図6に示すように、10cm角の成型体を、机の平面方向に対して垂直になるようにして、スタンドを用いて成形体を垂直に立たせた状態で固定した。明室下の蛍光灯の照明下で、成形体の樹脂層A側から、成形体の表面に観察者もしくは背景A(観察者の背後の背景)が映り込むか否かに関して、あらゆる方向から目視で観察した。机上の成形体の中央部から観察者の左右の目の中心を結ぶ直線上における照度は1000~2000Luxであった。
「成形体の表面に観察者もしくは背景Aが全く映り込まず、成形体越しに透過して見える背景Bが極めて明りょうに視認されるものを3点」、「成形体の表面に観察者もしくは背景Aが若干映り込むものの、成形体越しに透過して見える背景Bの視認性が許容できるものを2点」、「成形体の表面に観察者もしくは背景Aの輪郭まで激しく映り込み、成形体越しに透過して見える背景Bが視認しにくいものを1点」として、20人が評価を行い、平均点を算出した。
その結果、平均点が2.8点以上のものをAA、平均点が2.5点以上2.8点未満のものをA、平均点が2.0点以上2.5点未満のものをB、平均点が1.5点以上2.0点未満のものをC、平均点が1.5点未満のものをDとした。
1-6.鉛筆硬度
成形体の樹脂層Aの表面にJIS S6006が規定する試験用鉛筆45±1度の角度で押し当て、試験用鉛筆を鈍角側に動かし、JIS K5600-5-4:1999に規定する鉛筆硬度試験(4.9N荷重)を行った。樹脂層Aの表面に傷がつかない最も高い鉛筆硬度を、各成形体の鉛筆硬度として評価した。
1-7.樹脂層の塗膜の状態
離型シートを剥離する際の転写層の箔切れや転写不良が無いかを確認するため、明室下の蛍光灯の照明下で、成形体を片手の親指と中指とで支えた状態で、成形体の両面の樹脂層の塗膜の状態を目視で注意深く観察した。その結果、樹脂層に欠落が生じていないものを「A」、樹脂層に欠落が生じているものを「C」とした。なお、成形体の樹脂層の表面から観察者までの直線距離は30cmとした。また、観察時の成形体の中央部から観察者の左右の目の中心を結ぶ直線上における照度は1000~2000Luxであった。
2.塗布液の調製
下記の塗布液を調製した。
<低屈折率層用塗布液1>
・プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名「ATM-4P」、新中村化学工業社製、固形分100%) 75質量部
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 25質量部
・中空状シリカ微粒子含有分散液(固形分20%、平均粒子径60nm) 800質量部
・反応性シリカ微粒子含有分散液(商品名「MIBK-SD」、日産化学工業社製、固形分30%、平均粒子径10nm) 83質量部
・光重合開始剤(商品名「イルガキュア127」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 7質量部
・メチルイソブチルケトン 9300質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1100質量部
<低屈折率層用塗布液2>
・ペンタエリスリトールトリアクリレート 20質量部
・分子の両末端に(メタ)アクリロイル基を有し、両末端の(メタ)アクリロイル基の間であって、かつ主鎖にフッ化アルキル基を有する化合物(商品名「LINC-202UA」、共栄社化学工業社製、固形分50%) 160質量部
・中空状シリカ微粒子含有分散液(固形分20%、平均粒子径75nm) 700質量部
・反応性シリカ微粒子含有分散液(商品名「MIBK-SD」、日産化学工業社製、固形分30%、平均粒子径10nm) 83質量部
・シリコーン系レベリング剤(商品名「BYK3576」、ビックケミー・ジャパン社製、固形分40%) 33質量部
・光重合開始剤(商品名「イルガキュア127」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 7質量部
・メチルイソブチルケトン 11000質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 1300質量部
<高屈折率層用塗布液1>
・プロピレンオキサイド変性ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商品名「ATM-4P」、新中村化学工業社製、固形分100%) 100質量部
・五酸化アンチモン含有分散液(商品名「V-4564」、日揮触媒化成社製、固形分40.5%、平均粒子径20nm) 988質量部
・フッソ系レベリング剤(商品名「メガファックF568」、DIC社製、固形分5%) 300質量部
・光重合開始剤(商品名「イルガキュア127」、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製) 8質量部
・メチルイソブチルケトン 6800質量部
・プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 6500質量部
<ハードコート層用塗布液1>
・紫外線硬化型アクリルアクリレート、シリカ粒子及び光重合開始剤を含有する組成物(DNPファインケミカル社製、商品名:KYKコート剤(82L)) 100質量部
・ヘキサンメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネート2203) 2質量部
・希釈溶剤(メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン) 適量
<アンカーコート層用塗布液1>
・アクリルポリオール(大成ファインケミカル(株)製、商品名:アクリット6RH084T) 100質量部
・ヘキサンメチレンジイソシアネート(日本ポリウレタン工業社製、商品名:コロネート2203) 10質量部
・希釈溶剤(メチルエチルケトン、トルエン) 適量
<接着剤層用塗布液1>
・塩化ビニル酢酸ビニル共重合体(商品名「ST-P Aワニス」、DNPファインケミカル社製、固形分30%) 100質量部
・希釈溶剤(メチルエチルケトン、トルエン) 適量
3.成形体の作製
3-1.転写シートの作製
[転写シート1]
離型シートとして、厚さ50μmの片面に易接着処理が施された、A4サイズのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)を準備した。ポリエチレンテレフタレートフィルムの易接着処理がされていない側の面に、低屈折率層用塗布液1を乾燥後の厚みが100nmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射(照射量20mJ/cm)して、低屈折率層を形成した。
次いで、低屈折率層上に、高屈折率層用塗布液1を乾燥後の厚みが100nmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射(照射量30mJ/cm)して、高屈折率層を形成した。次いで、高屈折率層上に、ハードコート用塗布液1を乾燥後の厚みが5μmとなるように、塗布、乾燥、紫外線照射(照射量50mJ/cm)して、ハードコート層を形成した。次いで、ハードコート層上に、アンカーコート層用塗布液1を乾燥後の厚みが2μmとなるように、塗布、乾燥して、アンカーコート層を形成した。次いで、アンカーコート層上に、接着剤層用塗布液1を乾燥後の厚みが2μmとなるように、塗布、乾燥して、感熱性を有する接着剤層を形成し、転写シート1を得た。
[転写シート2]
離型シートとして、厚さ50μmの片面に易接着処理が施された、A4サイズのポリエチレンテレフタレートフィルム(商品名「コスモシャインA4100」、東洋紡社製)を準備した。ポリエチレンテレフタレートフィルムの易接着処理がされていない側の面に、低屈折率層用塗布液2を乾燥後の厚みが100nmとなるように塗布、乾燥、紫外線照射(照射量20mJ/cm)して、低屈折率層を形成した。
次いで、低屈折率層上に、ハードコート用塗布液1を乾燥後の厚みが5μmとなるように、塗布、乾燥、紫外線照射(照射量50mJ/cm)して、ハードコート層を形成した。次いで、ハードコート層上に、アンカーコート層用塗布液1を乾燥後の厚みが2μmとなるように、塗布、乾燥して、アンカーコート層を形成した。次いで、アンカーコート層上に、接着剤層用塗布液1を乾燥後の厚みが2μmとなるように、塗布、乾燥して、感熱性を有する接着剤層を形成し、転写シート2を得た。
[転写シート3]
低屈折率層上に高屈折率層を形成せず、低屈折率層上に直接ハードコート層を形成した以外は、転写シート1と同様にして、転写シート3を得た。
3-2.被着体への樹脂層の転写(成形体の完成)
[実施例1]
被着体として、透明アクリル板(クラレ社製、商品名「パラグラスP 001 クリア」、10cm角、厚み2mm)を準備した。
被着体上に、感熱性を有する接着剤層側が被着体側を向くようにして転写シート1を、15cm角程度にカットして、前記透明アクリル板の全面が覆われるように配置し、転写シート1のロール転写開始側の片側1片をテープで固定した後、ロール式ホットスタンプ機(ナビタス社製、商品名「RH-300」)を用いて、ロール温度220~240℃、ロール速度20mm/sの条件で被着体と樹脂層とを密着させた。次いで、離型シートを剥離し、被着体上に樹脂層Aを形成した。
次いで、被着体の樹脂層Aを転写した面とは反対側の面上に、感熱性を有する接着剤層側が被着体側を向くようにして転写シート1を、15cm角程度にカットして、前記透明アクリル板の全面が覆われるように配置し、転写シート1のロール転写開始側の片側1片をテープで固定した後、熱ロール転写機(ナビタス社製、商品名「RH-300」)を用いて、ロール温度220~240℃、ロール速度20mm/sの条件で被着体と樹脂層とを密着させた。次いで、離型シートを剥離し、被着体の樹脂層Aを転写した面とは反対側の面上に樹脂層Bを形成した。
次いで、紫外線照射(照射量800mJ/cm)して、ハードコート層等の硬化を促進させ、実施例1の成形体を得た。
[実施例2]
実施例1で使用する2枚の転写シート1を、何れも転写シート2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の成形体を得た。
[実施例3]
実施例1で使用する2枚の転写シート1のうち、樹脂層B側の転写シート1を転写シート2に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の成形体を得た。
[実施例4]
実施例1で使用する2枚の転写シート1を、何れも転写シート3に変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例4の成形体を得た。
[比較例1]
被着体の樹脂層Aとは反対側に樹脂層Bを形成しなかった以外は、実施例1と同様にして、比較例1の成形体を得た。
[比較例2]
透明アクリル板(クラレ社製、商品名「パラグラスP 001 クリア」、10cm角、厚み2mm)そのものを比較例2の成形体とした。
Figure 0007020277000001
表1から明らかなように、実施例1~4の成形体は、反射を抑制し、視覚対象物の視認性を良好にし得るものであった。
本発明の本発明の成形体(1)及び本発明の成形体(2)は、例えば、表示装置、インストルメントパネル、時計、ショーケース等において、視覚対象物(例えば、表示装置では表示素子;インストルメントパネルでは、スピードメーター、タコメーター、燃料計、水温計及び距離計等の計器;アナログ時計では文字盤、長針、短針及び秒針等;ショーケースでは各種の商品)の前面に配置することにより、視覚対象物を保護しつつ、反射を抑制して視覚対象物の視認性を良好にすることができる点で有用である。
10:被着体
20A:接着剤層A
20B:接着剤層B
30A:アンカー層A
30B:アンカー層B
40A:ハードコート層A
40B:ハードコート層B
50A:高屈折率層A
50B:高屈折率層B
60A:低屈折率層A
60B:低屈折率層B
80A:樹脂層A
80B:樹脂層B
100:成形体
200:黒色板
300:空気層
400:スタンド
500:机
600:観察者

Claims (7)

  1. 成形体であって、
    前記成形体は、被着体と、前記被着体の一方の面に形成された樹脂層Aと、前記被着体の他方の面に形成された樹脂層Bとを有し、
    前記樹脂層Aが、前記被着体側からハードコート層A及び低屈折率層Aをこの順に有し、前記樹脂層Bが、前記被着体側からハードコート層B及び低屈折率層Bをこの順に有し、
    前記低屈折率層Aがバインダー樹脂A及び低屈折粒子Aを含み、前記低屈折率層Bがバインダー樹脂B及び低屈折粒子Bを含み、
    前記低屈折率粒子Aとして中空粒子A、前記低屈折率粒子Bとして中空粒子Bを含み、前記中空粒子Aの平均粒子径D と、前記中空粒子Bの平均粒子径D とが、D <D の関係を満たし、
    前記成形体の少なくとも一部は光透過性を有し、
    下記の手法で算出した前記成形体の前記光透過性を有する箇所の視感反射率Y値が2.00%未満である、成形体。
    <成形体の視感反射率Y値の算出手法>
    JIS K7361-1:1997に準拠して前記成形体の全光線透過率T(%)を測定する。
    黒色板上に、空気層を介して前記成形体を設置したサンプルを作製する。前記サンプルの成形体の表面に対する垂直方向を0度とした際に、5度の方向からサンプルに光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定する。
    前記黒色板の表面に対して垂直方向を0度とした際に、5度の方向から前記黒色板に光を入射し、該入射光の正反射光に基づいてサンプルの視感反射率Y値(%)を測定する。
    「前記視感反射率Y値(%)-前記視感反射率Y値(%)×全光線透過率T(%)÷100」で得られる値を前記成形体の視感反射率Y値(%)とする。
  2. 前記中空粒子A及び前記中空粒子Bが中空シリカ粒子である、請求項に記載の成形体。
  3. 前記樹脂層Aが、前記被着体側から、接着剤層A、前記ハードコート層A及び前記低屈折率層Aをこの順に有し、前記樹脂層Bが、前記被着体側から、接着剤層B、前記ハードコート層B及び前記低屈折率層Bをこの順に有する、請求項1又は2に記載の成形体。
  4. 被着体と、前記被着体の一方の面に形成された樹脂層Aと、前記被着体の他方の面に形成された樹脂層Bとを有し、
    前記樹脂層Aが、前記被着体側からハードコート層A及び低屈折率層Aをこの順に有し、前記樹脂層Bが、前記被着体側からハードコート層B及び低屈折率層Bをこの順に有し、
    前記低屈折率層Aがバインダー樹脂A及び低屈折粒子Aを含み、前記低屈折率層Bがバインダー樹脂B及び低屈折粒子Bを含み、
    前記低屈折率粒子Aとして中空粒子A、前記低屈折率粒子Bとして中空粒子Bを含み、前記中空粒子Aの平均粒子径D と、前記中空粒子Bの平均粒子径D とが、D <D の関係を満たし、
    前記成形体の少なくとも一部が光透過性を有する、成形体。
  5. 前記中空粒子A及び前記中空粒子Bが中空シリカ粒子である、請求項に記載の成形体。
  6. 前記樹脂層Aが、前記被着体側から、接着剤層A、前記ハードコート層A及び前記低屈折率層Aをこの順に有し、前記樹脂層Bが、前記被着体側から、接着剤層B、前記ハードコート層B及び前記低屈折率層Bをこの順に有する、請求項4又は5に記載の成形体。
  7. 表示素子上に、空気層を介して請求項1~の何れか1項に記載の成形体を有する表示装置。
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