JP4068759B2 - 空気浄化剤 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気浄化剤に関する技術分野に属し、特には、たばこ臭気の主要成分であるアセトアルデヒド等の低級脂肪族アルデヒド、アンモニア、酢酸のうちの低級脂肪族アルデヒドを高効率(除去率)で除去し得る空気浄化剤に関する技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
近年、室内や車内の快適性の向上を目的として、生活空間で発生する不快臭を除去する要求が強く、その中でも特にたばこ臭気の除去に対する要求が高まっている。
【0003】
たばこ臭気の主要成分はアセトアルデヒド、アンモニア及び酢酸であるが、この中でもアセトアルデヒドは臭気が最も強く、又、他の成分と比較して除去が難しい成分である。このようにアセトアルデヒドの除去が難しい理由としては、アセトアルデヒド等の低級脂肪族アルデヒドは、その蒸気圧が高く、代表的な脱臭剤である活性炭等への吸着性が低いことが挙げられ、又、中性成分であるため、酸やアルカリを添着した吸着剤で化学吸着することが難しいことも挙げられる。
【0004】
かかる事情に鑑みて、従来よりアセトアルデヒド等の低級脂肪族アルデヒドの除去性能を高めた脱臭剤あるいは空気浄化剤が種々提案されている。例えば、特公昭60-54095号公報や特開平5-23588 号公報では、活性炭にアニリンやリン酸アニリンを添着したものが提案されている。又、特開平7-136502号公報や特開平10-99418号公報では、活性炭100 重量部に対してアミノベンゼンスルフォン酸(スルファニル酸)を3〜50重量部添着したものが提案されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記公報に記載の如き空気浄化剤によりアセトアルデヒドを除去しようとすると、下記の如き問題点がある。
【0006】
即ち、アニリンやリン酸アニリンを添着したものでは、低級脂肪族アルデヒドの除去性能は高いものの、アニリンやリン酸アニリン自体に臭気があり、一般向けの脱臭剤や空気浄化剤としては使用し難い。
【0007】
アミノベンゼンスルフォン酸を添着したものでは、アミノベンゼンスルフォン酸自体が臭気を発することはないものの、低級脂肪族アルデヒドとの反応性に劣るため、アセトアルデヒドの除去性能が低く、実用上充分ではない。
【0008】
本発明はこの様な事情に着目してなされたものであって、その目的は、たばこ臭気の主要成分であるアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸の中、特に臭気が強く、従来の空気浄化剤や脱臭剤では除去し難かったアセトアルデヒドを高除去率で除去し得るアセトアルデヒド除去性能に優れた空気浄化剤を提供しようとするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る空気浄化剤は請求項1〜3記載の空気浄化剤としており、それは次のような構成としたものである。
【0010】
すなわち、請求項1記載の空気浄化剤は、多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸とを添着させた空気浄化剤であって、前記リン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合が前記アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.2 〜6モルであることを特徴とする空気浄化剤である(第1発明)。
【0011】
請求項2記載の空気浄化剤は、前記多孔質体が活性炭である請求項1記載の空気浄化剤である(第2発明)。
【0012】
請求項3記載の空気浄化剤は、活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸二水素塩とを添着させた空気浄化剤であって、前記アミノベンゼンスルフォン酸の添着割合が前記多孔質体100 重量部に対して15〜40重量部であると共に、前記リン酸二水素塩の添着割合が前記アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.8 〜1.2 モルであることを特徴とする空気浄化剤である(第3発明)。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は例えば次のようにして実施する。
やし殻活性炭等の多孔質体を、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素カルシウム等のリン酸水素塩および/又はリン酸とを含む水溶液に浸漬する方法等により、多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸とを添着させた空気浄化剤を得る。このとき、前記リン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合が前記アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.2 〜6モルとなるようにする。そうすると、本発明に係る空気浄化剤が得られる。
【0014】
このような形態で本発明に係る空気浄化剤が得られ、そして喫煙室等の空気浄化機用の空気浄化剤として使用される。
【0015】
以下、本発明について主にその作用効果を説明する。
【0016】
本発明者らは、前述の目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸を添着した空気浄化剤では、アセトアルデヒドとの反応性に劣るため、アセトアルデヒドの除去性能が低く実用上充分ではないが、これに対し、多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸を添着するだけでなく、リン酸水素塩および/又はリン酸をも添着させた空気浄化剤であって、しかも、このときのリン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合が前記アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.2 〜6モルとなるようにした空気浄化剤は、リン酸水素塩および/又はリン酸の触媒的作用と考えられる作用によってアミノベンゼンスルフォン酸とアセトアルデヒドとの反応性が高められ、そのためアセトアルデヒドを高除去率で除去し得てアセトアルデヒド除去性能に優れており、更にアンモニアの除去性能も優れていることを見出した。
【0017】
本発明は、かかる知見に基づき完成されたものである。即ち、かかる知見に基づいて、本発明に係る空気浄化剤は、多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸とを添着させた空気浄化剤であって、前記リン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合が前記アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.2 〜6モルであることを特徴とする空気浄化剤であることとしている(第1発明)。
【0018】
従って、本発明に係る空気浄化剤は、たばこ臭気の主要成分であるアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸の中、特に臭気が強く、従来の空気浄化剤や脱臭剤では除去し難かったアセトアルデヒドを高除去率で除去し得、アセトアルデヒド除去性能に優れており、更にアンモニアの除去性能も優れている。
【0019】
本発明に係る空気浄化剤において、リン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合がアミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.2 〜6モルであることとしているのは、6モル超であると、アミノベンゼンスルフォン酸とアセトアルデヒドとの反応速度が低下し、そのためアセトアルデヒドの除去率が低下してアセトアルデヒド除去性能が不充分となり、0.2 モル未満であると、アミノベンゼンスルフォン酸とアセトアルデヒドとの反応速度の向上が不充分となり、そのためアセトアルデヒドの除去率が低下してアセトアルデヒド除去性能が不充分となるからである。
【0020】
上記リン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合に関し、これをアミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.2 〜6モルとする必要があるが、更には0.8 〜1.2 モルとすると確実にアセトアルデヒドをより高い除去率で除去し得るようになる。かかる点から、リン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合は、アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.8 〜1.2 モルとすることが望ましい。
【0021】
前記多孔質体としては、特には限定されるものではないが、たばこ臭気成分の吸着能の高いものの方が好適に使用することができ、例えば、活性炭、活性炭素繊維、ゼオライト、シリカゲル、活性アルミナ、活性白土、セピオライト等の無機系吸着材、イオン交換樹脂、スチレン樹脂吸着材等の有機系吸着材を使用することができる。
【0022】
これらの吸着材の中でも、活性炭はその比表面積が約1000m2/g であり、他の吸着材に比較して大きいため、吸着性能が高く、又、たばこ臭気の様々な臭気成分を吸着するのに最も適している。かかる点から、前記多孔質体としては活性炭を用いることが望ましい(第2発明)。
【0023】
アミノベンゼンスルフォン酸の多孔質体への添着量としては、特には限定されないが、多孔質体100 重量部に対して3〜50重量部とすることが実用的であり、そうすることが望ましい。即ち、3重量部未満とすると、空気浄化剤の容積当たりのアセトアルデヒド除去可能な量が小さく、アセトアルデヒド除去効果の持続時間が短く、アセトアルデヒド除去効果を長時間持続させるには多数個の空気浄化剤が必要となり、ひいては全体として大容積の空気浄化剤が必要となるので、実用的ではない。一方、50重量部超とすると、アセトアルデヒドの除去剤としては充分に使用し得るが、多孔質体に吸着され除去されるたばこ臭気の様々な臭気成分に対する除去効果が減少するので、空気浄化剤としては実用的ではない。従って、アミノベンゼンスルフォン酸の多孔質体への添着量は多孔質体100 重量部に対して3〜50重量部とすることが実用的であり、そうすることが望ましい。かかる実用的な点から、更には15〜40重量部とすることが望ましく、18〜30重量部とすることがさらに好ましい。
【0024】
多孔質体に添着させるリン酸水素塩および/又はリン酸とは、リン酸水素塩、リン酸、リン酸水素塩およびリン酸のいずれかのことである。この中、リン酸水素塩としては、リン酸の一水素塩もリン酸の二水素塩も使用することができる。リン酸水素塩のアルカリとしては、様々なアルカリを使用することができ、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、アンモニウム塩等の形で用いることができる。又、水素を含んでいないリン酸塩でも、水を加えることにより容易に加水分解し、これにより水素を含むリン酸塩(即ち、リン酸水素塩)を生成するリン酸の縮合塩、例えばポリリン酸ナトリウム等を添着剤として用いることもできる。即ち、多孔質体に添着された状態でリン酸水素塩となるリン酸塩も使用することができる。
【0025】
一方、上記リン酸に関しては、リン酸そのものを使用することができる他、水を加えることにより容易に加水分解してリン酸を生成する物質、例えばポリリン酸等のリン酸の縮合物も添着剤として用いることもできる。即ち、多孔質体に添着された状態でリン酸となる物質も使用することができる。
【0026】
本発明に係る空気浄化剤は、前述の如くアセトアルデヒドの除去性能に優れているだけでなく、アンモニアの除去性能も優れている。かかるアンモニアの除去性能をより向上させるには、前記リン酸水素塩および/又はリン酸としてはリン酸二水素塩および/又はリン酸を添着させるとよく、特にリン酸二水素塩を添着させるとアセトアルデヒド除去性能及びアンモニア除去性能がより向上する。
【0027】
かかる点から、前記リン酸水素塩および/又はリン酸としてはリン酸二水素塩を添着させることが望ましい。即ち、多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸二水素塩とを添着させた空気浄化剤とすることが望ましい。
【0028】
このとき、リン酸二水素塩の添着割合としてはアミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.8 〜1.2 モルになるようにすることが望ましい。そうすると、特にアセトアルデヒドをより高い除去率で除去し得るようになるからである。
【0029】
また、アミノベンゼンスルフォン酸の多孔質体への添着量としては、多孔質体100 重量部に対して15〜40重量部とすることが望ましい。そうすると、特に、空気浄化剤の容積当たりのアセトアルデヒド除去可能な量が大きく、アセトアルデヒド除去効果を長時間持続させることができ、又、多孔質体に吸着除去されるたばこ臭気の様々な臭気成分に対する除去効果も大きく、実用性に優れたものとなるからである。
【0030】
更に、多孔質体としては活性炭を用いることが望ましい。それは、前述のように、活性炭は吸着性能が高く、又、たばこ臭気の様々な臭気成分を吸着するのに最も適しているからである。
【0031】
これらの点から、活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸二水素塩とを添着させた空気浄化剤とすることが望ましく、このときアミノベンゼンスルフォン酸の添着割合が多孔質体100 重量部に対して15〜40重量部となるようにすると共に、リン酸二水素塩の添着割合がアミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.8 〜1.2 モルとなるようにすることが望ましい(第3発明)。
【0032】
本発明において、多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸とを添着させる添着方法については、特には限定されるものではなく、種々の添着方法を採用することができ、例えば、多孔質体をアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸とを含む水溶液に浸漬することによって添着させる方法や、多孔質体とアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸を含む混合体に有機バインダー又は無機バインダーを加えて成形することによって添着させる方法等を採用することができる。かかるバインダーを加えて成形することによって添着させる方法を採用した場合、空気浄化剤としてペレットやハニカムあるいはシート状のフィルター等の所望の形状のものを得ることができ、ひいては室内や車内の空気清浄機等に適宜簡便に配置することができる。
【0033】
多孔質体へのアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸の添着は同時に行う方法の他に、先にどちらかの添着剤を添着した後にもう一方の添着剤を添着する方法等の如く別々に添着する方法も採用することができる。
【0034】
なお、前記リン酸水素塩および/又はリン酸に代えて、リン酸水素塩およびリン酸以外のリン酸塩、例えばリン酸三ナトリウムを添着させた場合、アセトアルデヒド除去性能の向上効果もアンモニア除去性能の向上効果もないが、酢酸の除去性能の向上効果があるので、酢酸臭気を除去するための空気浄化剤として好適に用いることができる。
【0035】
【実施例】
(実施例A)
種々の空気浄化剤を作製し、それらのアセトアルデヒド除去性能(除去率)を調べた。作製した空気浄化剤での添着剤及びアセトアルデヒドの除去率を表1に示す。この空気浄化剤の作製方法、添着剤の種類、アセトアルデヒドの除去率の測定方法及びその測定結果等の詳細について、以下説明する。
【0036】
やし殻活性炭の粉末を多孔質体として用い、この活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩とをバインダーと共に加え、さらに水を加えて混練した後、ペレット形状に成形することにより、活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩とを添着させた空気浄化剤(No.2〜6 )を得た。このとき、アミノベンゼンスルフォン酸の添着割合が活性炭100 重量部に対して20重量部となるようにすると共に、リン酸水素塩またはリン酸の添着割合がアミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して1モルとなるようにした。
【0037】
また、上記リン酸水素塩に代えてリン酸を用い、上記空気浄化剤の場合と同様の方法により活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸とを添着させた空気浄化剤(No.7)を得た。又、上記リン酸水素塩に代えてリン酸三ナトリウムを用い、上記空気浄化剤の場合と同様の方法により活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸三ナトリウムとを添着させた空気浄化剤(No.1)を得た。
【0038】
更に、上記アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩に代えてアミノベンゼンスルフォン酸を用い、上記空気浄化剤の場合と同様の方法によりアミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)を得た。
【0039】
このようにして得られた空気浄化剤(No.1〜8 )について、次のような方法によりアセトアルデヒド除去性能を調べた。
【0040】
サンプルホルダーに空気浄化剤0.5gを入れて仕込み、このサンプルホルダー内にアセトアルデヒドを混合した空気(アセトアルデヒドの濃度:20ppm )を空間速度(SV):20,000h-1(:1/h)の条件で流し、サンプルホルダーの空気入口側でのアセトアルデヒド濃度:Ci および空気出口側のアセトアルデヒド濃度:Co を測定し、下記式を用いてアセトアルデヒド除去率を算出して求めた。
【0041】
アセトアルデヒド除去率(%)=〔(Ci −Co )/Ci 〕×100
【0042】
このようにして調べられた空気浄化剤(No.1〜8 )のアセトアルデヒド除去率を表1に示す。尚、この表1でのアセトアルデヒド除去率は、前記空気のサンプルホルダー内への流通の開始時点から2時間経過した時点におけるアセトアルデヒド除去率である。表1の評価の欄には、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アセトアルデヒド除去率が20%以上高いものを◎、これよりはアセトアルデヒド除去率が低いものの、アセトアルデヒド除去率の向上が認められたものを○、アセトアルデヒド除去率の向上が認められなかったものを△で示した。
【0043】
表1からわかる如く、添着剤としてアミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩(リン酸水素二カリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、又は、リン酸二水素アンモニウム)とを添着させた空気浄化剤(No.2〜6 )、及び、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸とを添着させた空気浄化剤(No.7)は、明らかにアセトアルデヒド除去率が高く、アセトアルデヒド除去性能に優れている。
【0044】
上記アミノベンゼンスルフォン酸およびリン酸水素塩とを添着させた空気浄化剤(No.2〜6 )の中でも、リン酸水素塩としてリン酸二水素塩(リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、又は、リン酸二水素アンモニウム)を添着させた空気浄化剤(No.4〜6 )は、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アセトアルデヒド除去率が20%以上高く、アセトアルデヒド除去性能に特に優れている。
【0045】
アミノベンゼンスルフォン酸と水素を含まないリン酸塩であるリン酸三ナトリウムとを添着させた空気浄化剤(No.1)は、アセトアルデヒド除去率が52%であり、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合の54%との差は小さかった。
【0046】
(実施例B)
前記実施例Aにおいてはリン酸水素塩またはリン酸の添着割合をアミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して1モルとしたが、実施例Bにおいてはリン酸水素塩またはリン酸の添着割合をアミノベンゼンスルフォン酸に対してモル比で0.1 〜10(即ち、アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.1 〜10モル)に変化させた。この点を除き、実施例Aの場合と同様の方法により、活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩またはリン酸を添着させた空気浄化剤(No.9〜16)を得た。そして、これらの空気浄化剤について、実施例Aの場合と同様の方法により、アセトアルデヒド除去性能(除去率)を調べた。この結果を表2に示す。
【0047】
表2からわかる如く、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸二水素カリウムとを添着させた空気浄化剤(No.9〜12、4)において、リン酸二水素カリウムの添着割合がモル比で0.1 である場合(No.9)は、添着剤としてアミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合とアセトアルデヒド除去率が同等であり、アセトアルデヒド除去性能の向上は殆ど認められないが、リン酸二水素カリウムの添着割合がモル比で0.2 、1、5である場合(No.10 〜11、4)は、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、明らかにアセトアルデヒド除去率が高く、アセトアルデヒド除去性能に優れている。特に、リン酸二水素カリウムの添着割合がモル比で1である場合(No.4)は、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アセトアルデヒド除去率が20%以上高く、アセトアルデヒド除去性能に特に優れている。尚、リン酸二水素カリウムの添着割合がモル比で10である場合(No.12)は、アセトアルデヒド除去性能の向上が認められなかった。
【0048】
アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素カルシウムまたはリン酸とを添着させた空気浄化剤(No.13 〜14、3 、No.15 〜16、7 )は、リン酸水素カルシウムまたはリン酸の添着割合がモル比で0.2 、1、5であり、いずれの場合も、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アセトアルデヒド除去率が高く、アセトアルデヒド除去性能に優れている。
【0049】
(実施例C)
前記実施例Aにおいてはアミノベンゼンスルフォン酸の添着割合を活性炭100 重量部に対して20重量部としたが、実施例Cにおいてはアミノベンゼンスルフォン酸(スルファニル酸)の添着割合を活性炭100 重量部に対して10、20、30、40、60重量部に変化させた。この点を除き、実施例Aの場合と同様の方法により、活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩を添着させた空気浄化剤を得た。尚、リン酸水素塩の添着割合はアミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して1モルである。リン酸の添着は行わなかった。
【0050】
このようにして得られた空気浄化剤について、実施例Aの場合と同様の方法により、アセトアルデヒド除去性能(除去率)を調べた。この結果を図1に示す。
【0051】
図1から、アミノベンゼンスルフォン酸(スルファニル酸)の添着割合を活性炭100 重量部に対して15〜40重量部にすると、アセトアルデヒド除去率が高く、アセトアルデヒド除去性能に優れており、特に、18〜30重量部とすると、アセトアルデヒド除去率がより高くなることがわかる。
【0052】
(実施例D)
実施例Aの場合と同様の種々の空気浄化剤(No.1〜8 )について、次のような方法によりアンモニアの除去性能(除去率)を調べた。
【0053】
サンプルホルダーに空気浄化剤0.5gを入れて仕込み、このサンプルホルダー内にアンモニアを混合した空気(アンモニアの濃度:20ppm )を空間速度(SV):20,000h-1の条件で流し、サンプルホルダーの空気入口側でのアンモニア濃度:Ci および空気出口側のアンモニア濃度:Co を測定し、下記式を用いてアンモニア除去率を算出して求めた。
【0054】
アンモニア除去率(%)=〔(Ci −Co )/Ci 〕×100
【0055】
このようにして調べられた空気浄化剤(No.1〜8 )のアンモニア除去率を表3に示す。尚、表3でのアンモニア除去率は、前記空気のサンプルホルダー内への流通の開始時点から2時間経過した時点でのアンモニア除去率である。表3の評価の欄には、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アンモニア除去率が20%以上高いものを◎、これよりはアンモニア除去率が低いが、アンモニア除去率の向上が認められたものを○、アンモニア除去率の向上が認められなかったものを△で示した。
【0056】
表3からわかる如く、添着剤としてアミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素二カリウムとを添着させた空気浄化剤(No.2)の場合は、アンモニア除去率の向上が認められなかったが、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素二カリウム以外のリン酸水素塩(リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、又は、リン酸二水素アンモニウム)とを添着させた空気浄化剤(No.3〜6 )、及び、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸とを添着させた空気浄化剤(No.7)は、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、明らかにアンモニア除去率が高く、アンモニア除去性能に優れている。
【0057】
これら(No.3〜7 )の中でも、リン酸水素塩としてリン酸二水素塩(リン酸二水素カリウム、リン酸二水素カルシウム、又は、リン酸二水素アンモニウム)を添着させた空気浄化剤(No.4〜6 )、及び、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸とを添着させた空気浄化剤(No.7)は、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、アンモニア除去率が20%以上高く、アンモニア除去性能に特に優れている。
【0058】
尚、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸三ナトリウムとを添着させた空気浄化剤(No.1)については、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合よりも、アンモニア除去率が低かった。
【0059】
(実施例E)
実施例Aの場合と同様の種々の空気浄化剤(No.1〜8 )について、次のような方法により酢酸の除去性能(除去率)を調べた。
【0060】
サンプルホルダーに空気浄化剤0.5gを入れて仕込み、このサンプルホルダー内に酢酸を混合した空気(酢酸の濃度:20ppm )を空間速度(SV):20,000h-1の条件で流し、サンプルホルダーの空気入口側での酢酸濃度:Ci および空気出口側の酢酸濃度:Co を測定し、下記式を用いて酢酸除去率を算出して求めた。
【0061】
酢酸除去率(%)=〔(Ci −Co )/Ci 〕×100
【0062】
このようにして調べられた空気浄化剤(No.1〜8 )の酢酸除去率を、表4に示す。尚、表4での酢酸除去率は、前記空気のサンプルホルダー内への流通の開始時点から2時間経過した時点での酢酸除去率である。
【0063】
表4からわかる如く、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸二水素カルシウムとを添着させた空気浄化剤(No.5)の場合、及び、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸とを添着させた空気浄化剤(No.7)は、添着剤としてアミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合とほぼ同等の酢酸除去率であり、酢酸除去率の向上が認められなかったが、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸二水素カルシウム以外のリン酸水素塩(リン酸水素二カリウム、リン酸水素カルシウム、リン酸二水素カリウム、又は、リン酸二水素アンモニウム)とを添着させた空気浄化剤(No.2〜4 、6 )、及び、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸三ナトリウムとを添着させた空気浄化剤(No.1)は、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、明らかに酢酸除去率が高く、酢酸除去性能に優れている。
【0064】
これら(No.2〜4 、6 、1 )の中でも、アミノベンゼンスルフォン酸とリン酸三ナトリウムとを添着させた空気浄化剤(No.1)は、アミノベンゼンスルフォン酸だけを添着させた空気浄化剤(No.8)の場合に比較して、酢酸除去率が20%以上高く、酢酸除去性能に特に優れている。
【0065】
【表1】
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
【表4】
【0069】
【発明の効果】
本発明に係る空気浄化剤によれば、たばこ臭気の主要成分であるアセトアルデヒド、アンモニア、酢酸の中、特に臭気が強く、従来の空気浄化剤や脱臭剤では除去し難かったアセトアルデヒドを高除去率で除去し得るようになり、更に、アンモニアについても除去し得るようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例に係る活性炭にスルファニル酸とリン酸水素塩とを添着させた空気浄化剤についてのスルファニル酸の重量部とアセトアルデヒドの除去率との関係を示す図である。
Claims (3)
- 多孔質体にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸水素塩および/又はリン酸とを添着させた空気浄化剤であって、前記リン酸水素塩および/又はリン酸の添着割合が前記アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.2 〜6モルであることを特徴とする空気浄化剤。
- 前記多孔質体が活性炭である請求項1記載の空気浄化剤。
- 活性炭にアミノベンゼンスルフォン酸とリン酸二水素塩とを添着させた空気浄化剤であって、前記アミノベンゼンスルフォン酸の添着割合が前記多孔質体100 重量部に対して15〜40重量部であると共に、前記リン酸二水素塩の添着割合が前記アミノベンゼンスルフォン酸1モルに対して0.8 〜1.2 モルであることを特徴とする空気浄化剤。
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