JP4067932B2 - アナログ/デジタル変換回路 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、入力されたアナログ電圧をデジタル値に変換するアナログ/デジタル変換回路に関する。
【0002】
【関連の技術】
多数の抵抗素子を直列に並べて基準電圧を分圧し、クロック信号の周期毎に、各接続点の参照電圧と入力されたアナログ電圧とを多数のコンパレータを用いて並列して比較し、各コンパレータの出力に基づいて、デジタル値を生成する並列型のアナログ/デジタル変換回路(以下、A/Dコンバータともいう)が知られている。このような並列型のA/Dコンバータでは、例えば、8bitのA/D変換(単に変換ともいう)のためには、255(=28−1)ヶのコンパレータを用いる。
しかるに、入力されるアナログ電圧の振幅は、常にこのA/Dコンバータで変換しうる最大振幅(最大入力幅)有しているわけではない。また、入力されるアナログ電圧の周波数も、例えば、クロック信号の周波数の1/2というような高い周波数の常に有しているわけではない。一般には、アナログ電圧の振幅はA/D変換しうる最大振幅よりも小さく、周波数もクロック信号に比して十分低いのが通常である。
【0003】
このような場合には、あるクロック信号で定まる時点に入力されたアナログ電圧に対し、次のクロック信号で定まる時点までに変化しうるアナログ電圧の変化量に限界がある。つまり、あるクロック信号で決まる時点に入力されたアナログ電圧が判れば、これから、次のクロック信号で決まる時点で入力されるアナログ電圧がある幅を持って予測できる。
一方、通常のA/Dコンバータでは、すべてのコンパレータをクロック信号により一斉に動作させているが、上記のように入力されるアナログ電圧が予測できるのであれば、必要なコンパレータのみを動作させ、他のコンパレータは、休止させておくことで、A/Dコンバータの分解能や変換結果(デジタル値)は変わることなく、このA/Dコンバータを低消費電力とすることが出来る。
【0004】
特許文献1(特開2000−341124号公報)には、以下のようなアナログ/デジタル変換器が記載されている。即ち、入力されたアナログ電圧を予め前段の2つのコンパレータを用いて、低レベル、高レベル、及び中間レベルの3つレベルのいずれかに分類する。一方、その後段に並列に並ぶ多数のコンパレータを3つの群に分けておき、前段の2つのコンパレータからの第1,第2制御信号により、動作させるコンパレータの群を選択する。具体的には、アナログ電圧が中間レベルである場合には、3つの群のすべてのコンパレータを動作させる。しかし、アナログ電圧が低レベルである場合には、中間レベルと低レベルに対応する群のコンパレータのみ動作させ、高レベルに対応するコンパレータは動作させないようにする。また、アナログ電圧が高レベルである場合には、中間レベルと高レベルに対応する群のコンパレータのみ動作させ、低レベルに対応するコンパレータは動作させないようにする。かくして、一部のコンパレータを動作させないことで、A/Dコンバータの消費電力を低減するのである。
【0005】
特許文献1 特開2000−341124号公報)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この特許文献1(特開2000−341124号公報)に記載の発明では、前段の2つのコンパレータは、クロック信号を用いない差動アンプ型コンパレータであり、連続的にアナログ値を比較して分類し続け、動作させるコンパレータの群を選択し続ける。従って、後段のコンパレータの変換直前(より正確には、前段のコンパレータの特性によりこれに入力されたアナログ電圧の変化に応じて出力が変化するまでの時間遅れ分だけ過去)のアナログ値に基づいて、後段のコンパレータの群が選択されることになる。つまり、後段のコンパレータの選択をするため、前段のコンパレータがアナログ値を取り込むタイミングは前段のコンパレータの特性によって決まる。しかも、前段のコンパレータの時間遅れは、入力されるアナログ値の変化が大きい場合と小さい場合では異なる(入力の変化が大きいと、それに応じた出力の変化が終了するのに時間が掛かる)。このため、後段のコンパレータから見れば、アナログ値の変化によって、後段のコンパレータの選択が決まるタイミングが変化することになり、本来選択すべき群とは異なる群を選択してしまうなど、適切にコンパレータの群を選択することが出来ない場合がある。
また、アナログ電圧が中間レベルである場合には、3つの群のすべてのコンパレータを動作させるなど、動作させないコンパレータの数が少なく、消費電力低減の効果が限定的である。
【0007】
また、コンパレータを一旦動作させない状態にすると、次にこのコンパレータが動作出来る状態にまで戻すのに、時間が掛かる場合があり、A/Dコンバータのクロック周波数の選択や入力するアナログ信号の周波数に対する制限となる場合がある。そこで、コンパレータの動作を維持しつつも、低消費電力を達成する手法が求められる場合もある。
【0008】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであって、クロック信号を用いることで、所定時間過去に入力されたアナログ電圧に基づいて、通常通りに動作させるコンパレータと低消費電力の状態にさせるコンパレータとを適切に選択することができ、消費電力のより小さなアナログ/デジタル変換回路を提供することを目的とする。
また、クロック信号を用いることで、所定時間過去に入力されたアナログ電圧に基づいて、動作させるコンパレータと休止させるコンパレータとを適切に選択することができ、消費電力のより小さなアナログ/デジタル変換回路を提供することを目的とする。
さらには、クロック信号を用いることで、所定時間過去に入力されたアナログ電圧に基づいて、通常動作をさせるコンパレータと低電力動作をさせるコンパレータとを適切に選択することができ、消費電力のより小さなアナログ/デジタル変換回路を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
しかしてその解決手段は、複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々通常の動作状態と低消費電力状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、上記第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記通常の動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記低消費電力状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路である。
【0010】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1クロック信号あるいは第2クロック信号を用いて、所定時間過去に入力されたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、コンパレータ制御回路部は制御信号を出力する。これによって、今回の変換で通常の動作状態とする第1コンパレータを選択するとともに、残余の第1コンパレータを低消費電力状態に保持する。
アナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制するためには、すべての第1コンパレータを低消費電力状態とするのが最も好ましい。しかし、第1コンパレータを低消費電力状態とすると、この第1コンパレータを通常の動作状態としたときとは異なる挙動を示すので、すべての第1コンパレータを低消費電力状態とすると、適切なAD変換をすることができない場合がある。
【0011】
しかし、本発明では、第1コンパレータを選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、第1クロック信号あるいは第2クロック信号で決まる一定のタイミングに揃えることが出来る。従って、入力されるアナログ電圧の振幅や周波数などの性質が予め判っている場合には、第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去の時点から今回の変換までに生じうるアナログ電圧の変化範囲を適切に予想できる。そこで、これに対応して、低消費電力状態とすると適切な出力が得られない第1コンパレータについては、消費電力は相対的に大きくなるが、適切に比較動作を行える通常の動作状態を選択して今回の変換に用いる。一方、低消費電力状態としても適切な出力が得られる第1コンパレータについては、低消費電力状態とする。かくして、全体として、低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
【0012】
なお、本明細書において、低消費電力状態とは、通常の動作状態でコンパレータを作動させた場合に比して、コンパレータで消費する電力を低くできる状態を指し、このコンパレータが所要の比較動作を行いうるか否かに拘わらない。従って、低消費電力状態には、通常の動作状態よりも低消費電力でありながらコンパレータとして比較動作も行いうる状態(低電力動作状態)のみならず、通常の動作状態よりも低消費電力であるが、コンパレータとして比較動作を行えず、コンパレータとしては動作していない状態(休止状態)をも含む。
さらに、通常の動作状態としたコンパレータを選択した後の残余のコンパレータについて低消費電力状態とするに当たり、残余のコンパレータのすべてを低電力動作状態としたり、すべてを休止状態とするほか、低消費電力状態とする残余のコンパレータのうち、一部を低電力動作状態とし、残部を休止状態とすることもできる。
【0013】
第1クロック信号を用いて入力情報信号を生成するには、例えば、第1コンパレータ自身を利用する場合が挙げられる。即ち、第1コンパレータの前回の出力を入力情報信号としても用いることで、今回の変換にあたっての第1コンパレータの選択に利用するものが挙げられる。また、第1コンパレータとは別に、第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作する第2のコンパレータを設け、この第2のコンパレータの出力を今回の変換にあたって第1コンパレータの選択に利用するものも挙げられる。
また、所定時間過去としては、入力されるアナログ電圧の振幅や周波数、今回の変換で通常の動作状態とする第1コンパレータの数などを考慮して適切に定めればよいが、例えば、第1クロック信号の1クロック分(1周期分)過去が挙げられる。但し、これよりも短い時間(例えば、1/2クロック分など)としても良く、逆にこれよりも長い時間(例えば2クロック分など)としても良い。
【0014】
他の解決手段は、複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々動作状態と休止状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、上記第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記休止状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路である。
【0015】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1クロック信号あるいは第2クロック信号を用いて、第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力されたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、コンパレータ制御回路部は制御信号を出力する。これによって、今回の変換で動作状態とする第1コンパレータを選択するとともに、残余の第1コンパレータを休止状態に保持する。かくして、第1コンパレータを選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、第1クロック信号あるいは第2クロック信号で決まる一定のタイミングに揃えることが出来る。従って、入力されるアナログ電圧の振幅や周波数などの性質が予め判っている場合には、所定時間過去の時点から今回の変換までに生じうるアナログ電圧の変化範囲を的確に予測できる。そこで、この変化範囲に対応し、比較結果が予測できない第1コンパレータを選択してこれを通常の動作状態とし、比較結果が予測できる残余の第1コンパレータは休止状態として、今回の変換に用いればよいので、常に適切な第1コンパレータを選択して動作状態とすることが出来る。さらに、適切な数の第1コンパレータのみを動作状態としておけばよいので、休止状態に保持する残余の第1コンパレータの数を多くすることが出来るから、より低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
【0016】
なお、本明細書において、コンパレータを休止状態に保持するとは、コンパレータを動作させず、消費電力の小さな状態にコンパレータを維持することをさす。従って、休止状態においては、コンパレータで参照電圧とアナログ電圧との比較動作を行うことはできない。例えば、チョッパ型コンパレータでは、一般に、電圧取り込み状態と比較状態とを交互に発生させて比較を行う。この場合において、電圧取り込み状態では、インバータなどの倫理素子の入力段と出力段とを短絡させて、貫通電流を流し、この論理素子で固有電圧を発生させる。このとき多くの電力が消費される。このようなチョッパ型コンパレータを休止状態に保持する例としては、上述の電圧取り込み動作を行わないで、比較状態を維持し続ける場合が挙げられる。また、差動型コンパレータにおいて、差動回路の定電流源に流れる定電流を遮断する場合も挙げられる。
【0017】
但し、このアナログ/デジタル変換回路では、いつでも正確にデジタル値に変換することが出来るアナログ電圧の波形に制限がある。即ち、動作状態とする第1コンパレータの数や所定時間の長さなどによって、所定時間過去から今回変換するまでの時間にアナログ電圧が変化しうる最大幅が制限される。従って、アナログ電圧の有する振幅や周波数が制限される。この制限の範囲内で変化するアナログ電圧であれば、正確にデジタル値に変換することが出来る。
一方、このアナログ/デジタル変換回路では、制限を超えるような大きな振幅や大きな周波数を持つアナログ電圧を入力すると、正確にA/D変換できない。但し、そのような制限のあることを承知であれば、使用することができる用途も存在する。例えば、大きな振幅の期間と小さな振幅の期間とが交互に現れるようなアナログ信号を入力した場合には、制限の範囲を超えた大きな振幅の期間と、小さな振幅の期間のうち大きな振幅の期間に続く遷移期間には正確にA/D変換できないが、小さな振幅の期間のうち遷移期間経過後には、正確にA/D変換できるから、このような期間のデジタル値のみを用いるのであれば、本発明のアナログ/デジタル変換回路を使用しうる。
【0018】
なお、第1クロック信号を用いて入力情報信号を生成するには、前述したように、例えば、第1コンパレータ自身を利用する場合が挙げられる。また、第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作する第2のコンパレータの出力を今回の変換にあたっての第1コンパレータの選択に利用するものも挙げられる。
また、前述したように、所定時間過去としては、入力信号の振幅や周波数、今回の変換に動作状態とする第1コンパレータの数などを考慮して適切に定めればよく、例えば、第1クロック信号の1クロック分過去とすると良い。また、これよりも短い時間、あるいはこれよりも長い時間としても良い。
【0019】
なお、請求項2に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記コンパレータ制御回路部は、前記第1クロック信号に同期しつつこれと異なる位相または上記第1クロック信号の整数倍の周波数を有する第2クロック信号を用いるアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
このような第2クロック信号を用いることで、所定時間過去に入力されたアナログ電圧として、第1クロック信号の1周期分よりも短い時間分過去に入力されたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を用いることができる。すると、アナログ電圧がこの時間内に変化しうる範囲が小さくなり、動作状態とする第1コンパレータの数を少なく、休止状態とする第1コンパレータの数を多くすることができる。あるいは、入力されるアナログ電圧の周波数が高く振幅の大きい場合まで、正確にアナログ/デジタル変換できる。
【0020】
さらに、請求項2に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、q種(qは、q>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照し、前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの第2コンパレータを有し、比較結果を前記入力情報信号として出力する入力情報生成回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0021】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、入力情報生成回路部で、第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作するqヶの第2コンパレータを用いて入力情報信号を生成する。このため、第1コンパレータの動作状態あるいは休止状態選択のタイミングを、容易に、第1クロック信号あるいは第2クロック信号で決まる一定のタイミングに揃えることが出来る。従って、常に適切な第1コンパレータを選択して動作状態あるいは休止状態とすることが出来る。
【0022】
さらに上述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有するアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
このアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータと第2コンパレータと同数(qヶ)有し、同じq種の参照電圧を参照している。このため、qヶの第1コンパレータのどれを動作状態とし、どれを休止状態とするかを選択決定するに当たり、第2コンパレータによって得たqヶの比較結果を用いることができるので、選択決定が容易となる。
【0023】
あるいは、前述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有し、前記コンパレータ制御回路部は、上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示す前記入力情報信号が入力されたときには、上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧を参照する特定第1コンパレータと、所定の場合にはこの特定第1コンパレータに隣接する第1コンパレータのうち少なくともいずれか1つとを、前記動作状態とし、残余の第1コンパレータを前記休止状態に保持し、上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示す前記入力情報信号が入力されたときには、最下位の第1コンパレータを、前記動作状態とし、残余の第1コンパレータを前記休止状態に保持するアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0024】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータと第2コンパレータとが同数(qヶ)である。また、第2コンパレータの判定に応じて、1〜3ヶの第1コンパレータのみを動作状態とし、他の第1コンパレータは休止状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることが出来る。
【0025】
さらに、上述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記所定の場合が、前記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧を参照する前記第1コンパレータよりも上位の第1コンパレータが、少なくとも1つ以上存在する場合であるアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0026】
なお、この発明において、前記コンパレータ制御回路部は、前記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示す前記入力情報信号が入力されたときには、上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧を参照する特定第1コンパレータと、この特定第1コンパレータよりも1つ上位の第1コンパレータが存在する場合にはこの1つ上位の第1コンパレータとを、前記動作状態とし、残余の第1コンパレータを前記休止状態に保持すると、さらに好ましい。
所定時間過去から今回変換するまでの時間にアナログ電圧が変化しうる最大幅が、このアナログ/デジタル変換回路でA/D変換しうる最大振幅の1/(q+1)以下であるアナログ電圧を用いる場合には、所定時間過去から今回変換するまでの期間に変化しうるアナログ電圧は、最大でも、第1コンパレータの数に換算して、全第1コンパレータqヶの1/(q+1)、つまり並列に並んだqヶの第1コンパレータ1つ分以下であると予想できる。従って、上述の2ヶ(あるいは1ヶ)の第1コンパレータのみを動作状態とし他は休止状態としても、正確にA/D変換できる。しかもアナログ/デジタル変換回路の消費電力をさらに低減させることが出来る。
【0027】
なお、本明細書において、参照電圧についての上位及び下位は、参照電圧同士を比較したとき、電位が高い方を上位とし、電位の低い方を下位とする。かくして参照電圧について、上位から下位までの序列が付けられる。
一方、コンパレータについての上位及び下位は、対比される2つのコンパレータについて、各々が参照する参照電圧同士を比較したとき、電位の高い(上位の)参照電圧を参照しているコンパレータを上位とし、電位の低い(下位の)参照電圧を参照しているコンパレータを下位とする。かくして、コンパレータについても、上位から下位までの序列が付けられる。
また、1つ上位のコンパレータとは、考慮しているコンパレータよりも序列が1つだけ最上位側のコンパレータをいう。同様に、1つ下位のコンパレータとは、考慮しているコンパレータよりも序列が1つだけ最下位側のコンパレータをいう。隣接するコンパレータとは、考慮しているコンパレータに対し、序列が1つ上位または1つ下位のコンパレータをいう。
【0028】
さらに、上述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記入力情報生成回路部は、前記第2クロック信号を用い、前記入力情報信号として、前記第1クロック信号の1周期より短い時間だけ過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を生成するアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0029】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、入力情報生成回路部で第1クロックの1周期より短い時間だけ過去のアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を生成し、これをコンパレータ制御回路部で用いる。このように、第1クロックの1周期より短い時間だけ過去のアナログ電圧を基準とすると、今回の変換によってデジタル値に変換されるアナログ電圧が変化しうる範囲は、第1クロックの1周期だけ過去のアナログ電圧を基準とするよりも小さくなる。つまり、過去のアナログ電圧に基づいて、動作状態としあるいは休止状態とする第1コンパレータを選択するに当たり、より近い過去のアナログ電圧を基準にするほど、その後に変化しうるアナログ電圧の範囲が小さくなるので、動作状態とする第1コンパレータの数を少なく、休止状態とする第1コンパレータの数を多くすることが出来る。あるいは、周波数がより高い、振幅がより大きいアナログ電圧でも正確に変換することができる。
【0030】
また、請求項2に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とするn−1ヶの第2コンパレータと、を有し、前記コンパレータ制御回路部は、上記入力情報信号である上記n−1ヶの第2コンパレータの比較結果に基づき、上記第1コンパレータを上記分割群毎に前記動作状態と前記休止状態のいずれかにするアナログ/デジタル変換回路である。
【0031】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、nヶの分割群に分けたmヶの第1コンパレータとn−1ヶの第2コンパレータとを有する。また第2コンパレータは、群内最下位第1コンパレータと同じ分割群参照電圧を参照している。従って、n−1ヶの第2コンパレータとnヶの分割群とが対応した関係となる。このため、第2コンパレータの比較結果に基づき、動作状態あるいは休止状態とする第1コンパレータを分割群を容易かつ適切に選択することができる。また分割群毎に第1コンパレータの状態を選択するので、コンパレータ制御回路部の構成が簡単になる。
【0032】
なお、本明細書において、分割群についての上位及び下位は、各々の分割群に含まれるコンパレータ同士を比較したとき、上位のコンパレータが含まれる分割群を上位とし、下位のコンパレータが含まれる分割群を下位とする。かくして分割群についても、上位から下位までの序列が付けられる。
また、1つ上位の分割群とは、考慮している分割群よりも序列が1つだけ最上位側の分割群をいう。同様に、1つ下位の分割群とは、考慮している分割群よりも序列が1つだけ最下位側の分割群をいう。隣接する分割群とは、考慮している分割群に対し、序列が1つ上位または1つ下位の分割群をいう。
【0033】
また、請求項2に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とするn−1ヶの第2コンパレータと、を有し、前記コンパレータ制御回路部は、上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示すときには、上記分割群のうち、上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している上記分割群参照電圧と同じ参照電圧を参照する第1コンパレータの属する特定分割群と、この特定分割群よりも1つ上位の分割群が存在する場合にはこの1つ上位の分割群と、この特定分割群よりも1つ下位の分割群が存在する場合にはこの1つ下位の分割群と、に属する上記第1コンパレータを前記動作状態とし、残余の分割群に属する第1コンパレータを前記休止状態に保持し、上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示すときには、または最下位と最下位より1つ上位の分割群に属する第1コンパレータを前記動作状態とし、残余の分割群に属する第1コンパレータを前記休止状態に保持するアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0034】
本発明のアナログ/デジタル変換回路でも、nヶの分割群に分けたmヶの第1コンパレータとn−1ヶの第2コンパレータとを有する。また第2コンパレータは、群内最下位第1コンパレータと同じ分割群参照電圧を参照している。従って、n−1ヶの第2コンパレータとnヶの分割群との間に対応関係ができから、第2コンパレータの比較結果に基づき、動作状態あるいは休止状態とする第1コンパレータの分割群を容易かつ適切に選択することができる。
そして、本発明では、3〜2ヶの分割群に属する第1コンパレータのみを今回の変換で動作状態とし、他の分割群に属する第1コンパレータを休止状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることができる。
しかも、分割群毎にコンパレータの状態変化させるので、コンパレータ制御回路の構成が簡単になる。
【0035】
特に、所定時間過去から今回第1コンパレータで比較するまでの期間にアナログ電圧が変化しうる最大幅が、このアナログ/デジタル変換回路でA/D変換しうる最大振幅の1/n以下であるアナログ電圧を用いる場合を考える。この場合には、所定時間過去から今回比較するまでの期間に変化しうるアナログ電圧の変化幅は、最大でも、第1コンパレータの数に換算して、全第1コンパレータ(mヶ)の1/nであると予想できる。従って、第2コンパレータにおける比較結果が分かれば、次に比較を行う第1コンパレータのうち、変化幅内の値を参照電圧とする第1コンパレータについては比較結果を予測できないが、変化幅外の値を参照電圧とする第1コンパレータについては、比較結果を予測できる。
ところで、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、mヶの第1コンパレータをnヶの分割群に分けており、各分割群はそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むから、変化幅は分割群1つ分に相当する。しかも、n−1ヶの第2コンパレータは、それぞれ群内最下位第1コンパレータと同じ分割群参照電圧を参照する関係となっている。このため、nヶの分割群のうち、所定期間前において分割群参照電圧よりもアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータと同じ分割群参照電圧を参照する第1コンパレータの属する特定分割群、及びこの特定分割群より1つ上位及び1つ下位の分割群のいずれかに属する第1コンパレータは、各々の参照電圧と入力されるアナログ電圧との比較結果が予測できないこととなる。一方、これ以外の分割群に属する第1コンパレータについては、比較結果が予測できる。そこで、特定分割群とその1つ上位の分割群に属する第1コンパレータについては、入力されるアナログ電圧との比較動作を行わせるため、動作状態とする。一方、これらの分割群以外の分割群に属する第1コンパレータについては、比較結果が予測できるから実際に比較をする必要が無く、消費電力の低減のため、休止状態としておく。
かくして、適切にアナログ/デジタル変換することができる上、不要なコンパレータを休止状態とすることで、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制することが出来る。
【0036】
さらに、請求項3に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記第2コンパレータは、いずれも前記第1クロック信号または第2クロック信号によって比較結果を出力する差動型コンパレータであるアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0037】
一般に差動型コンパレータは、コンパレータとしての動作をさせるにあたって、チョッパ型コンパレータに比較して消費電力を少なくできる。本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第2コンパレータとして差動型コンパレータを用いているので、チョッパ型コンパレータを用いるよりも低消費電力にすることが出来る。
【0038】
さらに、請求項2または請求項3に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数の第1コンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、前記休止状態は、このチョッパ型コンパレータに含まれるスイッチ素子のうち、論理素子の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させるのに用いる短絡用スイッチ素子を開放状態とすることを含むアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0039】
一般に、チョッパ型コンパレータは、その動作のうち、電圧取り込み状態において、インバータ素子の入力端と出力端とをスイッチ素子で短絡させ、約VD/2の固有電圧を発生させる(VDは電源電圧)。この際にインバータに大きな貫通電流が流れるため、この際に電力消費が最大になる。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータとしてチョッパ型コンパレータを用いるが、インバータ素子についてのスイッチ素子を開放状態に保って休止状態とするので、このインバータ素子に貫通電流が流れることが無い。従って、このチョッパ型コンパレータをコンパレータとして機能させることは出来ないものの、チョッパ型コンパレータを休止状態において特に消費電力の低い状態に保つことが出来る。
【0040】
あるいは、請求項2または請求項3に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数の第1コンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、前記休止状態は、この差動型コンパレータに含まれる定電流源に流す電流を遮断した状態とすることを含むアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0041】
一般に、差動型コンパレータでは、差動回路に定電流源を有しており、このコンパレータの消費電力の多くはこの定電流源で消費される。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータとして差動型コンパレータを用いるが、そのうちの定電流源に流す電流をスイッチ素子で遮断することにより休止状態とするので、差動型コンパレータをコンパレータとして機能させることは出来ないものの、差動型コンパレータを消費電力の低い状態を保つことが出来る。
【0042】
他の解決手段は、複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々通常の動作状態と低消費電力状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記通常の動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記低消費電力状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路である。
【0043】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、前回の変換に用いたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、コンパレータ制御回路部は制御信号を出力する。この制御信号により、今回の変換に通常の動作状態とする一部のコンパレータを選択するとともに、残余のコンパレータを低消費電力状態にする。
従って、コンパレータを選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、常に前回の変換のタイミングに揃えることが出来るから、クロック信号1周期分の期間に生じうるアナログ電圧の変化範囲に対応するコンパレータを選択して今回の変換に用いればよいので、常に適切なコンパレータを通常の動作状態あるいは低消費電力状態として選択することが出来る。さらに、適切な数のコンパレータのみを通常の動作状態としておけばよいので、低消費電力状態にしておく残余のコンパレータの数を多くすることが出来るから、より低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
【0044】
また、他の解決手段は、複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々動作状態と休止状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記休止状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路である。
【0045】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、前回の変換に用いたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、コンパレータ制御回路部は制御信号を出力する。この制御信号により、今回の変換に動作状態とする一部のコンパレータを選択するとともに、残余のコンパレータを休止状態に保持する。従って、コンパレータを選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、常に前回の変換のタイミングに揃えることが出来るから、クロック信号1周期分の期間に生じうるアナログ電圧の変化範囲に対応するコンパレータを選択して今回の変換に用いればよいので、常に適切なコンパレータを動作状態あるいは休止状態として選択することが出来る。さらに、適切な数のコンパレータのみを動作状態としておけばよいので、休止状態に保持する残余のコンパレータの数を多くすることが出来るから、より低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
【0046】
さらに、請求項5に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前回の変換における前記複数のコンパレータの各出力を、前記入力情報信号としても用いるアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0047】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータの各出力を用いてデジタル信号を生成するだけでなく、前回の変換におけるコンパレータの各出力を入力情報信号として用いて、今回の変換で動作状態とするあるいは休止状態にするコンパレータを選択決定する。従って、別途入力情報信号を生成するための回路が不要であり、簡易な構成とすることができる。
【0048】
さらに、請求項5に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、p種(pは、p>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するpヶの前記コンパレータを有し、前記コンパレータ制御回路部は、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、上記判定をしたコンパレータのうち最も上位の特定コンパレータと、所定の場合にはこの特定コンパレータに隣接するコンパレータのうち少なくともいずれか1つとを、前記動作状態とし、残余のコンパレータを前記休止状態に保持し、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、最下位のコンパレータを、前記動作状態とし、残余のコンパレータを前記休止状態に保持するアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0049】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、p種の参照電圧をそれぞれ参照するpヶのコンパレータを有しており、前回の変換におけるコンパレータの出力によって、3つ〜1つのコンパレータのみを今回の変換で動作状態とし、他のコンパレータを休止状態にする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることができる。
【0050】
さらに、上述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記所定の場合が、前記最も上位のコンパレータよりも上位のコンパレータが、少なくとも1つ以上存在する場合であるアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0051】
なお、この発明において、前記コンパレータ制御回路部は、前記前回の変換において、前記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、上記判定をしたコンパレータのうち最も上位のコンパレータと、このコンパレータよりも1つ上位のコンパレータが存在する場合にはこの上位のコンパレータとを、前記動作状態とし、残余のコンパレータを前記休止状態に保持するとさらに好ましい。
クロック信号1周期分の期間にアナログ電圧が変化しうる最大幅が、このアナログ/デジタル変換回路でA/D変換しうる最大振幅の1/(p+1)以下であるアナログ電圧を用いる場合には、前回の変換から1周期の期間に変化しうるアナログ電圧は、最大でも、コンパレータの数に換算して、全コンパレータpヶの1/(p+1)、つまり並列に並んだpヶのコンパレータ1つ分以下であると予想できる。従って、上記のように2ヶ(あるいは1ヶ)のコンパレータのみを動作状態とし他は休止状態としても、正確にA/D変換できる。しかも、アナログ/デジタル変換回路の消費電力をさらに低減させることが出来る。
【0052】
さらに、請求項5に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、前記コンパレータ制御回路部は、上記コンパレータを上記分割群毎に動作状態及び休止状態のいずれかとするアナログ/デジタル変換回路である。
【0053】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータを分割群毎に動作状態及び休止状態のいずれかにする。従って、コンパレータを動作状態及び休止状態にするためのコンパレータ制御回路部の構成が簡単になる。
【0054】
あるいは、請求項5に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、前記コンパレータ制御回路部は、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、上記判定をしたコンパレータのうち最も上位のコンパレータの属する特定分割群と、この特定分割群に隣接する分割群のうち少なくともいずれか1つと、に属するコンパレータを前記動作状態とし、残余の分割群に属するコンパレータを前記休止状態に保持し、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、最下位の分割群、または最下位と最下位より1つ上位の分割群に属するコンパレータを前記動作状態とし、残余の分割群に属するコンパレータを前記休止状態に保持するアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0055】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、前回の変換で得たコンパレータの各出力を今回の変換の際のコンパレータの選択に使用する。しかも、コンパレータをnヶの分割群に分け、3〜1ヶの分割群に属するコンパレータのみを今回の変換で動作状態とし、他の分割群に属するコンパレータを休止状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることができる。しかも、分割群毎にコンパレータの状態を選択するので、コンパレータ制御回路の構成が簡単になる。
【0056】
なお、この発明において、前記コンパレータ制御回路部は、前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、この判定をしたコンパレータのうち最も上位のコンパレータの属する特定分割群と、特定分割群より1つ上位の分割群が存在する場合にはこの1つ上位の分割群と、に属するコンパレータを前記動作状態とし、残余の分割群に属するコンパレータを前記休止状態に保持するとさらに好ましい。
クロック信号1周期分の期間にアナログ電圧の変化しうる最大幅が、このアナログ/デジタル変換回路でA/D変換しうる最大振幅の1/n以下であるアナログ電圧が入力されると仮定する。この場合には、前回の変換で用いたアナログ電圧が判れば、次の変換に入力されるアナログ電圧がとりうる値は前回のアナログ電圧に比してある変化幅(最大振幅の1/n)に入ると予想できる。従って、参照電圧がアナログ電圧の取りうる変化幅内であるコンパレータについては比較結果が予測できないが、参照電圧がアナログ電圧の取りうる変化幅外であるコンパレータについては比較結果が予測できる。そして、この変化幅は、コンパレータの数に換算すると、全コンパレータmヶの1/nに相当する。
ところで本発明のアナログ/デジタル変換回路では、mヶのコンパレータをnヶの分割群に分けており、分割群毎に動作状態あるいは休止状態にする。また、nヶの分割群はそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含んでいる。このため、コンパレータを分割群単位で考えれば、nヶの分割群のうち、前回の変換において、参照入力端子に入力された参照電圧よりもアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータのうち最も上位のコンパレータの属する特定分割群、及びこの特定分割群より1つ上位の分割群のいずれかに属するコンパレータについては、今回の変換において、今回の変換において、比較結果が予測できないことになる。そこで、特定分割群とその1つ上位の分割群に属するコンパレータについては、今回の変換において入力したアナログ電圧との比較動作を行わせるため、動作状態とする。一方、これら以外の分割群に属するコンパレータ以外の分割群に属するコンパレータの判定は予め予測できるものとなるから、消費電力の低減のため、休止状態としておく。
かくして、適切にアナログ/デジタル変換することができる上、不要なコンパレータを休止状態とすることで、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制することが出来る。
【0057】
さらに、請求項5または請求項6に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数のコンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、前記休止状態は、このチョッパ型コンパレータに含まれるスイッチ素子のうち、論理素子の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させるのに用いる短絡用スイッチ素子を開放状態とすることを含むアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0058】
一般に、チョッパ型コンパレータは、その動作のうち、電圧取り込み状態において、インバータ素子の入力端と出力端とをスイッチ素子で短絡させ、約VD/2の固有電圧を発生させる(VDは電源電圧)。この際にインバータに大きな貫通電流が流れるため、この際に電力消費が最大になる。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータとしてチョッパ型コンパレータを用いるが、インバータ素子についてのスイッチ素子を開放状態に保つって休止状態とするので、このインバータ素子に貫通電流が流れることが無い。従って、このチョッパ型コンパレータをコンパレータとして機能させることは出来ないものの、チョッパ型コンパレータを休止状態において特に消費電力の低い状態に保つことが出来る。
【0059】
あるいは、請求項5または請求項6に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数のコンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、前記休止状態は、この差動型コンパレータに含まれる定電流源に流す電流を遮断した状態とすることを含むアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0060】
一般に、差動アンプ型コンパレータでは、差動回路に定電流源を有しており、このコンパレータの消費電力の多くはこの定電流源で消費される。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータとして差動型コンパレータを用いるが、そのうちの定電流源に流す電流をスイッチ素子で遮断することにより休止状態とするので、差動型コンパレータをコンパレータとして機能させることは出来ないものの、差動型コンパレータを消費電力の低い状態を保つことが出来る。
【0061】
さらに他の解決手段は、複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々通常動作状態と低電力動作状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、上記第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記通常動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記低電力動作状態にする上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路である。
【0062】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1クロック信号あるいは第2クロック信号を用いて、第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力されたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、コンパレータ制御回路部は制御信号を出力する。これによって、今回の変換で通常動作状態とする第1コンパレータを選択するとともに、残余の第1コンパレータを低電力動作状態に保持する。かくして、第1コンパレータを選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、第1クロック信号あるいは第2クロック信号で決まる一定のタイミングに揃えることが出来る。従って、所定時間過去の時点から今回の変換までに生じうるアナログ電圧の変化範囲に対応して、通常動作状態にする第1コンパレータと低電力動作状態にする第1コンパレータとを適切に選択することが出来る。また、一部の第1コンパレータを低電力動作状態とするので、全体としてアナログ/デジタル変換回路の消費電力を低減することができる。
また、前述のように、消費電力を低減するために、一旦コンパレータを休止状態にすると、再びこのコンパレータを通常通りに動作するようになるまでに、時間が掛かる場合が多い。このため、一部のコンパレータを休止状態とする場合には、アナログ/デジタル変換回路の応答速度(クロック信号の周波数)の上限が、休止状態から動作状態への復旧にかかる時間で制限される虞がある。これに対し、休止状態から動作状態に変更するのにかかる時間に比して、本発明において、低電力動作状態から通常動作状態への変更に掛かる時間は短い。このため、より早いクロック周波数でのアナログ/デジタル変換回路の駆動に有利である。
【0063】
なお、コンパレータの動作状態のうち低電力動作状態とは、コンパレータとしての比較動作が可能でありながら、対比される通常動作状態よりも動作時の消費電力を低くした状態をいう。
コンパレータを低電力動作状態とした場合には、通常動作状態とした場合に比して使用範囲に制限が生じることがある。一般に、コンパレータの応答速度は、消費電力のほか、比較する2つの電圧(参照電圧とアナログ電圧)の電圧差の大きさに依存し、電圧差が小さいほど遅くなる。そこで、アナログ/デジタル変換回路に用いる第1コンパレータは、消費電力や電圧差、応答速度を考慮して、その性能、特性を決めている。
しかるに、このコンパレータの消費電力を引き下げるために低電力動作状態にすると、実際に与えられた電圧差が大きい場合にはクロック信号で規定される所定期間内に正しい比較結果が得られても、電圧差が小さい場合には応答が遅くなるため、所定期間内に正しい比較結果が得られない虞がある。従って、アナログ/デジタル変換回路に用いるすべての第1コンパレータを低電力動作状態とすると、正しい変換結果が得られない場合がある。
そこで、入力情報信号により、アナログ/デジタル変換回路の有する複数の第1コンパレータのうち、入力されるアナログ電圧と参照電圧の電圧差が大きいと予測される第1コンパレータについては、低電力動作状態とするとよい。こうしても所定期間内に正しい比較結果が得られるからである。一方、電圧差が小さいと予測される第1コンパレータについては、消費電力は大きくなるものの通常動作状態とするとよい。電圧差が小さくても所定期間内に正しい比較結果が得られるからである。このようにすれば、アナログ/デジタル変換回路のすべての第1コンパレータについて、正しい比較結果が得られる上、全体として消費電力を低減することができる。
【0064】
また、このアナログ/デジタル変換回路では、いつでも正確にデジタル値に変換することが出来るアナログ電圧の波形に制限がある。即ち、通常動作状態とする第1コンパレータの数や所定時間の長さなどによって、所定時間過去から今回変換するまでの時間にアナログ電圧が変化しうる最大幅が制限される。従って、アナログ電圧の有する振幅や周波数が制限される。この制限の範囲内で変化するアナログ電圧であれば、正確にデジタル値に変換することが出来る。
一方、このアナログ/デジタル変換回路では、制限を超えるような大きな振幅や大きな周波数を持つアナログ電圧を入力すると、正確にA/D変換できない。但し、そのような制限のあることを承知であれば、使用することができる用途も存在する。
【0065】
第1クロック信号を用いて入力情報信号を生成するには、前述したように、例えば、第1コンパレータ自身を利用する場合が挙げられる。また、第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作する第2のコンパレータの出力を今回の変換にあたっての第1コンパレータの選択に利用するものも挙げられる。
また、前述したように、所定時間過去としては、入力されるアナログ電圧の振幅や周波数、今回の変換に通常動作状態とする第1コンパレータの数などを考慮して適切に定めればよく、例えば、第1クロック信号の1クロック分過去とすると良い。また、これよりも短い時間あるいは、逆にこれよりも長い時間としても良い。
【0066】
なお、請求項7に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記コンパレータ制御回路部は、前記第1クロック信号に同期しつつこれと異なる位相または上記第1クロック信号の整数倍の周波数を有する第2クロック信号を用いるアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
このような第2クロック信号を用いることで、所定時間過去に入力されたアナログ電圧として、第1クロック信号の1周期分よりも短い時間分過去に入力されたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を用いることができる。すると、アナログ電圧がこの時間内に変化しうる範囲が小さくなり、通常動作状態とする第1コンパレータの数を少なく、低電力動作状態とする第1コンパレータの数を多くすることができる。あるいは、入力されるアナログ電圧の周波数が高く振幅の大きい場合まで、正確にアナログ/デジタル変換できる。
【0067】
さらに、請求項7に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、q種(qは、q>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照し、前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの第2コンパレータを有し、比較結果を前記入力情報信号として出力する入力情報生成回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0068】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、入力情報生成回路部で、第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作するqヶの第2コンパレータを用いて入力情報信号を生成する。このため、第1コンパレータの選択のタイミングを、容易に、第1クロック信号あるいは第2クロック信号で決まる一定のタイミングに揃えることが出来る。従って、常に適切な第1コンパレータを選択して通常動作状態あるいは低電力動作状態とすることが出来る。
【0069】
さらに、上述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有するアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
このアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータと第2コンパレータと同数(qヶ)有し、同じq種の参照電圧を参照している。このため、qヶの第1コンパレータのどれを通常動作状態とし、どれを低電力動作状態とするかを選択決定するに当たり、第2コンパレータによって得たqヶの比較結果を用いることができるので、選択決定が容易となる。
【0070】
あるいは、前述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有し、前記コンパレータ制御回路部は、上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示す前記入力情報信号が入力されたときには、上記qヶの第1コンパレータのうち、上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧を参照する特定第1コンパレータと、この特定第1コンパレータよりも1つ上位の第1コンパレータが存在する場合にはこの1つの上位の第1コンパレータと、上記特定第1コンパレータよりも2つ上位の第1コンパレータが存在する場合にはこの2つ上位の第1コンパレータと、上記特定第1コンパレータよりも1つ下位の第1コンパレータが存在する場合にはこの1つ下位の第1コンパレータとを、前記通常動作状態とし、残余の第1コンパレータを前記低電力動作状態とし、上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示す前記入力情報信号が入力されたときには、最下位と最下位より1つ上位の第1コンパレータを、前記通常動作状態とし、残余の第1コンパレータを前記低電力動作状態とするアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0071】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータと第2コンパレータとが同数(qヶ)である。また、第2コンパレータの判定に応じて、2〜4ヶの第1コンパレータのみを通常動作状態とし、他の第1コンパレータは低電力動作状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることが出来る。
【0072】
なお、所定時間過去から今回第1コンパレータで比較するまでの期間にアナログ電圧が変化しうる最大幅が、このアナログ/デジタル変換回路でA/D変換しうる最大振幅の1/(q+1)以下であるアナログ電圧を用いると仮定する。この場合には、所定時間過去から今回比較するまでの期間に変化しうるアナログ電圧の変化幅は、最大でも、第1コンパレータの数に換算して、全第1コンパレータqヶの1/(q+1)、つまり並列に並んだqヶの第1コンパレータ1つ分以下であると予想できる。
ここで、第1コンパレータとして、低電力動作状態とした場合、入力されるアナログ電圧と参照電圧との差が最大振幅の1/(q+1)より大きいときには、第1クロック信号で決まる変換期間内に正しい比較結果が得られる応答速度が得られ、この変換期間内に正しく比較を行いうる特性を有するものを使用すると仮定する。このような特定の第1コンパレータを用いる場合には、第2コンパレータの判定結果に応じて、入力されるアナログ電圧と参照電圧との差が小さくなる可能性のある2〜4ヶの第1コンパレータを通常動作状態とすれば、残余の第1コンパレータを低電力動作状態としても、すべての第1コンパレータについて正しい比較結果が得られ、正確にA/D変換できる。しかもアナログ/デジタル変換回路の消費電力をさらに低減させることが出来る。
【0073】
さらに、上述のアナログ/デジタル変換回路であって、前記入力情報生成回路部は、前記第2クロック信号を用い、前記入力情報信号として、前記第1クロック信号の1周期より短い時間だけ過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を生成するアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0074】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、入力情報生成回路部で第1クロックの1周期より短い時間だけ過去のアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を生成し、これをコンパレータ制御回路部で用いる。このように、第1クロックの1周期より短い時間だけ過去のアナログ電圧を基準とすると、今回の変換によってデジタル値に変換されるアナログ電圧が変化しうる範囲は、第1クロックの1周期だけ過去のアナログ電圧を基準とするよりも小さくなる。つまり、過去のアナログ電圧に基づいて、通常動作状態としあるいは低電力動作状態とする第1コンパレータを選択するに当たり、より近い過去のアナログ電圧を基準にするほど、その後に変化しうるアナログ電圧の範囲が小さくなるので、通常動作状態とする第1コンパレータの数を少なく、低電力動作状態とする第1コンパレータの数を多くすることが出来る。あるいは、周波数がより高い、振幅がより大きいアナログ電圧でも正確に変換することができる。
【0075】
さらに、前述のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とするn−1ヶの第2コンパレータと、を有し、前記コンパレータ制御回路部は、上記入力情報信号である上記n−1ヶの第2コンパレータの比較結果に基づき、上記第1コンパレータを上記分割群毎に前記通常動作状態と前記低電力動作状態のいずれかにするアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0076】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、nヶの分割群に分けたmヶの第1コンパレータとn−1ヶの第2コンパレータとを有する。また第2コンパレータは、群内最下位第1コンパレータと同じ分割群参照電圧を参照している。従って、n−1ヶの第2コンパレータとnヶの分割群とが対応した関係となる。このため、第2コンパレータの比較結果に基づき、通常動作状態あるいは低電力動作状態とする分割群を容易かつ適切に選択することができる。また分割群毎に第1コンパレータの状態を選択するので、コンパレータ制御回路部の構成が簡単になる。
【0077】
あるいは、前述のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とするn−1ヶの第2コンパレータと、を有し、前記コンパレータ制御回路部は、上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示すときには、上記分割群のうち、上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している上記分割群参照電圧と同じ参照電圧を参照する第1コンパレータの属する特定分割群と、この特定分割群よりも1つ上位の分割群が存在する場合にはこの1つ上位の分割群と、この特定分割群よりも2つ上位の分割群が存在する場合にはこの2つ上位の分割群と、上記特定分割群よりも1つ下位の分割群が存在する場合にはこの1つ下位の分割群と、この特定分割群よりも2つ下位の分割群が存在する場合にはこの2つ下位の分割群と、に属する上記第1コンパレータを前記通常動作状態とし、残余の分割群に属する第1コンパレータを前記低電力動作状態にし、上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示すときには、最下位と最下位より1つ及び2つ上位の分割群に属する第1コンパレータを前記通常動作状態とし、残余の分割群に属する第1コンパレータを前記低電力動作状態とするアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0078】
本発明のアナログ/デジタル変換回路でも、nヶの分割群に分けたmヶの第1コンパレータとn−1ヶの第2コンパレータとを有する。また第2コンパレータは、群内最下位第1コンパレータと同じ分割群参照電圧を参照している。従って、n−1ヶの第2コンパレータとnヶの分割群との間に対応関係ができるから、第2コンパレータの比較結果に基づき、通常動作状態あるいは低電力動作状態とする第1コンパレータの分割群を容易かつ適切に選択することができる。
そして、本発明では、5〜3ヶの分割群に属する第1コンパレータのみを今回の変換で通常動作状態とし、他の分割群に属する第1コンパレータを低電力動作状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることができる。
しかも、分割群毎に第1コンパレータの状態変化させるので、コンパレータ制御回路の構成が簡単になる。
【0079】
特に、所定時間過去から今回第1コンパレータで比較するまでの期間にアナログ電圧が変化しうる最大幅が、このアナログ/デジタル変換回路でA/D変換しうる最大振幅の1/n以下であるアナログ電圧を用いる場合を考える。この場合には、所定時間過去から今回比較するまでの期間に変化しうるアナログ電圧の変化幅は、最大でも、第1コンパレータの数に換算して、全第1コンパレータ(mヶ)の1/nであると予想できる。従って、第2コンパレータにおける比較結果が分かれば、次に比較を行う第1コンパレータのうち、変化幅内の値を参照電圧とする第1コンパレータについては比較結果を予測できないが、変化幅外の値を参照電圧とする第1コンパレータについては、比較結果を予測できる。また、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、mヶの第1コンパレータをnヶの分割群に分けているから、変化幅は、分割群1つ分に相当する。
しかも、n−1ヶの第2コンパレータは、それぞれ群内最下位第1コンパレータと同じ分割群参照電圧を参照する関係となっている。
ここで、第1コンパレータとして、低電力動作状態とした場合、入力されるアナログ電圧と参照電圧との差が最大振幅の1/nより大きいときには、第1クロック信号で決まる変換期間内に正しい比較結果が得られる応答速度が得られ、この変換期間内に正しく比較を行いうる特性を有するものを使用するとする。
このような特性の第1コンパレータを用いる場合には、第2コンパレータにおける比較結果に応じて、入力されるアナログ電圧と参照電圧との差が小さくなる可能性のある3〜5ヶの分割群に属する第1コンパレータを通常動作状態とすれば、残余の分割群に属する第1コンパレータを低電力動作状態としても、すべての第1コンパレータについて正しい比較結果が得られ、正確にA/D変換できる。
かくして、適切にアナログ/デジタル変換することができる上、比較結果の予測できるコンパレータを低電力動作状態とすることで、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制することが出来る。
【0080】
さらに、上述のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記第2コンパレータは、いずれも前記第1クロック信号または第2クロック信号によって比較結果を出力する差動型コンパレータであるアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0081】
一般に差動型コンパレータは、コンパレータとしての動作をさせるにあたって、チョッパ型コンパレータに比較して消費電力を少なくできる。本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第2コンパレータとして差動型コンパレータを用いているので、第2コンパレータにチョッパ型コンパレータを用いるよりも低消費電力にすることが出来る。
【0082】
さらに、上述のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数の第1コンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、このチョッパ型コンパレータは、論理素子であって、自身の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させる際に比較的大きな貫通電流が流れる通常状態と、上記固有電圧を発生させる際に流れる貫通電流が上記通常状態よりも相対的に小さいために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、の少なくともいずれかを選択可能に構成されてなる論理回路を含み、前記低電力動作状態は、このチョッパ型コンパレータの論理回路について、上記低電力状態を選択することを含むアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0083】
一般に、チョッパ型コンパレータは、その動作のうち、電圧取り込み状態において、論理素子であるインバータ素子の入力端と出力端とをスイッチ素子で短絡させ、約VD/2の電圧の固有電圧を発生させる(VDは電源電圧)。この際にインバータに大きな貫通電流が流れるため、この際に電力消費が最大になる。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータにおいて、論理素子で固有電圧を発生させる際に、相対的に大きな貫通電流が流れる通常状態と、相対的に貫通電流が小さい低電力状態が選択可能に構成されている。貫通電流が小さい低電力状態を選択した場合には、チョッパ型コンパレータの応答性が若干低下するものの、コンパレータとして機能させ続けながら消費電力を低くすることが出来る。
【0084】
あるいは、前述のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数の第1コンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、この差動型コンパレータは、これに含まれる差動回路に第1定電流が流れる通常状態と、上記差動回路に上記第1定電流よりも比較的に少ない第2定電流が流れるために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、のいずれかを選択可能に構成されてなり、前記低電力動作状態は、この差動型コンパレータについて、上記低電力状態を選択することを含むアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0085】
一般に、差動型コンパレータでは、差動回路に定電流源を有しており、このコンパレータの消費電力の多くはこの定電流源で消費される。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、第1コンパレータとして差動型コンパレータを用いるが、そのうち差動回路に第1定電流が流れる通常状態と、第2電流が流れる低電力状態とを選択可能に構成されてなる。低電力状態を選択した場合には、差動型コンパレータの応答性が若干低下するものの、差動型コンパレータを機能させながら、その消費電力を低くすることが出来る。
【0086】
また、他の解決手段は、複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々通常動作状態と低電力動作状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記通常動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記低電力動作状態にする上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部を備えるアナログ/デジタル変換回路である。
【0087】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、前回の変換に用いたアナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、コンパレータ制御回路部は制御信号を出力する。この制御信号により、今回の変換において通常動作状態とする一部のコンパレータを選択するとともに、残余のコンパレータを低電力動作状態に保持する。従って、コンパレータを選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、常に前回の変換のタイミングに揃えることが出来るから、クロック信号1周期分の期間に生じうるアナログ電圧の変化範囲に対応するコンパレータを選択して今回の変換に用いればよい。従って、常に適切なコンパレータを通常動作状態あるいは低電力動作状態として選択することが出来る。このため、全体として低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
【0088】
さらに、請求項9に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前回の変換における前記複数のコンパレータの各出力を、前記入力情報信号としても用いるアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0089】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータの各出力を用いてデジタル信号を生成するだけでなく、前回の変換におけるコンパレータの各出力を入力情報信号として用いて、今回の変換で通常動作状態とするあるいは低電力動作状態にするコンパレータを選択決定する。従って、別途入力情報信号を生成するための回路が不要であり、簡易な構成とすることができる。
【0090】
さらに、請求項6または請求項7に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、p種(pは、p>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するpヶの前記コンパレータを有し、前記コンパレータ制御回路部は、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、上記判定をしたコンパレータのうち最も上位の特定コンパレータと、この特定コンパレータよりも1つ上位のコンパレータが存在する場合にはこの1つの上位のコンパレータと、上記特定コンパレータよりも2つ上位のコンパレータが存在する場合にはこの2つ上位のコンパレータと、上記特定コンパレータよりも1つ下位のコンパレータが存在する場合にはこの1つ下位のコンパレータとを、前記通常動作状態とし、残余のコンパレータを前記低電力動作状態とし、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、最下位と最下位から1つ上位のコンパレータを、前記通常動作状態とし、残余のコンパレータを前記低電力動作状態とするアナログ/デジタル変換回路である。
【0091】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、p種の参照電圧をそれぞれ参照するpヶのコンパレータを有しており、前回の変換におけるコンパレータの出力によって、4つ〜2つのコンパレータのみを今回の変換で通常動作状態とし、他のコンパレータを低電力動作状態にする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることができる。
【0092】
あるいは、請求項9に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、前記コンパレータ制御回路部は、上記コンパレータを上記分割群毎に前記通常動作状態及び前記低電力動作状態のいずれかとするアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0093】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータを分割群毎に通常動作状態及び低電力動作状態のいずれかにする。従って、コンパレータを通常動作状態及び低電力動作状態にするためのコンパレータ制御回路部の構成が簡単になる。
【0094】
あるいは、請求項9に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、前記コンパレータ制御回路部は、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、上記判定をしたコンパレータのうち最も上位のコンパレータの属する特定分割群と、この特定分割群よりも1つ上位の分割群が存在する場合にはこの1つ上位の分割群と、この特定分割群よりも2つ上位の分割群が存在する場合にはこの2つ上位の分割群と、上記特定分割群よりも1つ下位の分割群が存在するときにはこの1つ下位の分割群と、この特定分割群よりも2つ下位の分割群が存在する場合にはこの2つ下位の分割群と、に属するコンパレータを前記通常動作状態とし、残余の分割群に属するコンパレータを前記低電力動作状態に保持し、前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、最下位と最下位より1つ上位の分割群、または最下位と最下位より1つ及び2つ上位の分割群に属するコンパレータを前記通常動作状態とし、残余の分割群に属するコンパレータを前記低電力動作状態に保持するアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0095】
本発明のアナログ/デジタル変換回路では、前回の変換で得たコンパレータの各出力を今回の変換の際のコンパレータの選択に使用する。しかも、コンパレータをnヶの分割群に分け、5〜3ヶの分割群に属するコンパレータのみを今回の変換で通常動作状態とし、他の分割群に属するコンパレータを低電力動作状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることができる。しかも、分割群毎にコンパレータの状態変化させるので、コンパレータ制御回路の構成が簡単になる。
【0096】
特に、クロック信号1周期分の期間にアナログ電圧の変化しうる最大幅が、このアナログ/デジタル変換回路でA/D変換しうる最大振幅の1/n以下であるアナログ電圧を用いる場合を考える。この場合には、前回の変換で用いたアナログ電圧が判れば、次の変換に入力されるアナログ電圧がとりうる値は前回のアナログ電圧に比してある変化幅(最大振幅の1/n)に入ると予想できる。この変化幅は、コンパレータの数に換算すると、全コンパレータmヶの1/nに相当する。本発明のアナログ/デジタル変換回路では、mヶの第1コンパレータをnヶの分割群に分けているから、変化幅は、分割群1つ分に相当する。
ここで、コンパレータとして、低電力動作状態とした場合、入力されるアナログ電圧と参照電圧との差が最大振幅の1/nより大きいときには、クロック信号で決まる変換期間内に正しい比較結果が得られる応答速度が得られ、この変換期間内に正しく比較を行いうる特性を有するものを使用すると仮定する。
このような特性のコンパレータを用いる場合には、前回の比較結果に応じて、入力されるアナログ電圧と参照電圧との差が小さくなる可能性のある3〜5ヶの分割群に属するコンパレータを通常動作状態とすれば、残余の分割群に属するコンパレータを低電力動作状態としても、すべてのコンパレータについて正しい比較結果が得られ、正確にA/D変換できる。
かくして、適切にアナログ/デジタル変換することができる上、比較結果の予測できるコンパレータを低電力動作状態とすることで、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制することが出来る。
【0097】
さらに、請求項9または請求項10に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数のコンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、このチョッパ型コンパレータは、論理素子であって、自身の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させる際に比較的大きな貫通電流が流れる通常状態と、上記固有電圧を発生させる際に流れる貫通電流が上記通常状態よりも相対的に小さいために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、の少なくともいずれかを選択可能に構成されてなる論理回路を含み、前記低電力動作状態は、このチョッパ型コンパレータの論理回路について、上記低電力状態を選択することを含むアナログ/デジタル変換回路とすると良い。
【0098】
一般に、チョッパ型コンパレータは、その動作のうち、電圧取り込み状態において、論理素子であるインバータ素子に固有電圧を発生させる際に大きな貫通電流が流れるため、この際に電力消費が最大になる。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータにおいて、論理素子で固有電圧を発生させる際に、相対的に大きな貫通電流が流れる通常状態と、相対的に貫通電流が小さい低電力状態が選択可能に構成されている。貫通電流が小さい低電力状態を選択した場合には、チョッパ型コンパレータの応答性が若干低下するものの、コンパレータとして機能させ続けながら消費電力を低くすることが出来る。
【0099】
あるいは、請求項9または請求項10に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、前記複数のコンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、この差動型コンパレータは、これに含まれる差動回路に第1定電流が流れる通常状態と、上記差動回路に上記第1定電流よりも比較的に少ない第2定電流が流れるために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、のいずれかを選択可能に構成されてなり、前記低電力動作状態は、この差動型コンパレータについて、上記低電力状態を選択することを含むアナログ/デジタル変換回路とするのが好ましい。
【0100】
一般に、差動型コンパレータでは、差動回路に定電流源を有しており、このコンパレータの消費電力の多くはこの定電流源で消費される。
これに対し、本発明のアナログ/デジタル変換回路では、コンパレータとして差動型コンパレータを用いるが、そのうち差動回路に第1定電流が流れる通常状態と、第2電流が流れる低電力状態とを選択可能に構成されてなる。低電力状態を選択した場合には、差動型コンパレータの応答性が若干低下するものの、差動型コンパレータを機能させながら、その消費電力を低くすることが出来る。
【0101】
【発明の実施の形態】
(実施形態1)
本発明の第1の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路100を、図1〜図10を参照して説明する。このうち、図1はアナログ/デジタル変換回路の概要を示すブロック図、図2はこのうち比較部の概要を示す説明図、図3は入力電圧と各変換用コンパレータの出力と出力コードとの関係を示す表である。また、図4は、所定時間過去の入力電圧と各設定用コンパレータの出力と各変換用コンパレータの設定状態との関係を示す表である。図5はチョッパ型の変換用コンパレータの要部の構成を示す説明図、図6はこの要部の動作と各スイッチの関係を示す表、図7はインバータ素子の回路構成を示す回路図、図8はこのインバータ素子の入力電圧とドレイン電流の関係を示すグラフである。さらに、図9はチョッパ型の変換用コンパレータの構成を示す説明図、図10は差動型の設定用コンパレータの構成を示す説明図である。
【0102】
本実施形態1のアナログ/デジタル変換回路100は、アナログ電圧VINを所定周期毎にこの値に応じた3ビットのデジタル出力DOUTに変換する回路であり、図1に示すように、比較部110,データラッチ120,エンコーダ140,制御回路部150を有する。このうち比較部110には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。この比較部110は、後述するようにして、変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7を出力する。この変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7は、データラッチ120に入力される。データラッチ120は、変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7を、制御回路部150から与えられる第2クロック信号CLK2に基づいて一斉に保持して出力するものであり、このデータラッチ120の出力側には、エンコーダ140が接続されている。このエンコーダ140は、変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7を2進数のデジタルデータであるデジタル出力DOUTに符号化して出力するものである。データラッチ120,エンコーダ140,及び制御回路部150には、公知の回路構成を採用することが出来る。
【0103】
次いで、図2を参照して、比較部110について説明する。比較部110では、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRLとの間に直列に接続された8ヶの相等しい分圧用の抵抗R1〜R8によって、7種の参照電圧V1〜V7を得ている。また、7ヶのチョッパ型の変換用コンパレータ1〜7、7ヶの差動型の設定用コンパレータP1〜P7からなる入力情報生成回路部112、及びコンパレータ制御回路部111を有している。
このうち、入力情報生成回路部112をなす設定用コンパレータP1〜P7は、7種の参照電圧V1〜V7をそれぞれ排他的に参照して、一対一に対応している。設定用コンパレータP1〜P7は、入力されたクロック信号CLKの周期毎に、それぞれアナログ電圧VINと比較して、ハイレベル(以下単に”H”で示すことがある)またはローレベル(以下単に”L”で示すことがある)のいずれかに設定用コンパレータ出力OP1〜OP7を更新して出力する。
なお、参照電圧V1〜V7は、V1<V2<…<V6<V7の関係を有しているから、番号の大きな方が上位の参照電圧である。また、同様に、番号の大きな方が、上位の設定用コンパレータである。
【0104】
コンパレータ制御回路部111は、入力されたこの設定用コンパレータ出力OP1〜OP7に所定の論理処理を施し、第1設定信号CONT1A〜CONT7A、及び第2設定信号CONT1B〜CONT7Bを出力する。第1,第2設定信号CONT1A等は、次回の変換、つまりクロック信号CLKの次の周期における変換用コンパレータ1〜7の状態設定に用いられる。
【0105】
変換用コンパレータ1〜7は、後述する構成を有しているため、この第1,第2設定信号CONT1A等により、通常のコンパレータとして動作させる動作状態と、動作を休止させ特定の状態に保持する休止状態の2つの状態に設定される。さらに詳しくは、休止状態でかつ”H”出力状態と、休止状態でかつ”L”出力状態との3つの状態のいずれかに設定される。
具体的には、変換用コンパレータ1〜7は、7種の参照電圧V1〜V7をそれぞれ排他的に参照して一対一に対応しており、動作状態に設定されている場合には、入力されたクロック信号CLKの周期毎に、それぞれアナログ電圧VINと参照電圧V1等とを比較して、”H”または”L”のいずれかのレベルを有する変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7を更新して出力する。一方、休止状態でかつ”H”出力状態に設定されている場合には、その出力は”H”に固定される。また、休止状態でかつ”L”出力状態に設定されている場合には、その出力は”L”に固定される。
なお、変換用コンパレータ1等についても、番号の大きな方が、上位の変換用コンパレータである。
【0106】
次いで、設定用コンパレータP1〜P7の回路構成について、図10を参照して説明する。設定用コンパレータP1〜P7は、いずれも同一構成の差動型のコンパレータであり、しかも、その出力が、クロック信号CLKの周期毎に更新される。
設定用コンパレータP1〜P7は、差動回路30によって、アナログ電圧VINと参照電圧V1等とを比較する。差動回路30はCMOSから構成され、ゲートにアナログ電圧VINが与えられるNチャネル31と、ゲートに参照電圧V1〜V7のいずれかが与えられるNチャネル32を有している。Nチャネル31のドレインはPチャネル33を介して、Nチャネル32のドレインはPチャネル34を介して、それぞれ電源電位VDに接続されている。Pチャネル33,34のゲートは、いずれもNチャネル31のドレインに接続されている。また、Nチャネル31,32のソースは共通接続され、定電流回路35を介して接地されている。この差動回路30では、アナログ電圧VINと参照電圧V1等との差が、Nチャネル32のドレイン電圧として現れる。
【0107】
Nチャネル32のドレインは、スイッチSWFを介して、保持回路41に接続している。この保持回路41には、インバータ36,37が直列に接続され、インバータ36の入力端とインバータ37の出力端との間の接続をスイッチSWGで開閉する。さらに、インバータ36の出力端から分岐したインバータ38から設定用コンパレータ出力OP1〜OP7が出力される。
ここで、スイッチSWF,SWGは、具体的にはMOSトランジスタ等で構成され、制御信号が“H”のときにオンとなり、“L”のときにオフとなるアナログスイッチであり、クロック信号CLKによって開閉される。なお、インバータ39により、スイッチSWFとスイッチSWGの開閉は逆相になる。
【0108】
このような構成を有する設定用コンパレータP1〜P7では、クロック信号CLKが”H”の期間には、スイッチSWFがオンし、スイッチSWGがオフとなるので、参照電圧V1〜V7とアナログ電圧VINとの比較結果がインバータ38から出力される。一方、クロック信号CLKが”L”の期間には、スイッチSWFがオフし、スイッチSWGがオンするので、以前の出力結果が保持されてインバータ38から出力され続ける。
【0109】
従って、このアナログ/デジタル変換回路100では、アナログ電圧VINの大きさが、高位基準電圧VRH、低位基準電圧VRL及び参照電圧V1〜V7で区切られる範囲のいずれに属するかによって、設定用コンパレータP1〜P7の出力OP1〜OP7が”H”あるいは”L”になる。このため、アナログ電圧VINと各設定用コンパレータP1〜P7の変換用コンパレータ出力OP1〜OP7とは、図4に示す表の左半分に示す関係となる。
【0110】
次いで、変換用コンパレータ1〜7の回路構成及び動作について、図5〜図9を参照して説明する。変換用コンパレータ1〜7はいずれも同一構成のチョッパ型のコンパレータであり、前記したように、動作状態に設定されている場合には、その出力OUT1〜OUT7がクロック信号CLKの周期毎に更新される。まず動作状態に設定されている場合について説明する。
チョッパ型の変換用コンパレータ1〜7の要部(図5参照)の動作について説明する。変換用コンパレータ1等の要部は、アナログ電圧VINが入力されるスイッチSWAと、参照電圧V1〜V7が入力されるスイッチSWBとを有している。スイッチSWA,SWBの出力側はノードN1に接続され、このノードN1にキャパシタC1の一端が接続されている。キャパシタC1の他端は、CMOSで構成されたインバータINVの入力端に接続され、このインバータINVの出力端から比較結果のコンパレータ出力OUT1〜OUT7が出力されるようになっている。インバータINVには、スイッチSWCが並列に接続されている。
この変換用コンパレータ1等の動作状態には、図6に示すように、VIN電圧取り込み状態と、比較状態の2つがある。即ち、VIN電圧取り込み状態では、スイッチSWA,SWCがオンとされ、スイッチSWBはオフとされる。一方、比較状態では、スイッチSWA,SWCがオフとされ、スイッチSWBはオンとされる。
なお、スイッチSWA,SWB,SWCの3つとも、”H”入力でオンとなり、”L”入力でオフとなるアナログスイッチである。
【0111】
インバータ素子INVは、図7に示すように、PチャネルMOSトランジスタ21とNチャネルMOSトランジスタ22とが直列に接続された公知のCMOS回路構成を有しており、図8に示すように、その入力端TINに入力する入力電圧が電源電圧VDの半分(=0.5VD)付近になると、流れるドレイン電流Idが急増する特性を有している。上述したように、VIN電圧取り込み状態では、スイッチSWBはオフであるが、スイッチSWAがオンとなる(図5参照)。このため、ノードN1の電位はアナログ電圧VINとなる。また、スイッチSWCがオンとなってインバータINVの入力端TINと出力端TOUTとが短絡されるので、このインバータINVの入出力電圧は、いずれも電源電圧VDのほぼ半分(VD/2)の値となる。これにより、キャパシタC1の端子間電圧は、(VD/2−VIN)の値に充電される。
なお、このVIN電圧取り込み状態では、スイッチSWCをオンさせて、インバータINVの入力端TINと出力端TOUTとを短絡させるため、MOSトランジスタ21,22のいずれもがオンとなって、大きなドレイン電流(貫通電流)が流れる。つまり、このVIN電圧取り込み状態は、電力消費が大きい状態であることが判る。
【0112】
一方、比較状態では、スイッチSWCがオフとなり、インバータINVは反転増幅回路として動作する。一方、スイッチSWBがオン、SWAがオフとなるので、ノードN1には参照電圧V1〜V7が印加される。上述したように、このとき、キャパシタC1の端子間電圧は既に(VD/2−VIN)の電圧に充電されているので、インバータINVの入力端の電圧は、例えばVD/2−(VIN−V1)となる。従って、各変換用コンパレータ1〜7のインバータINVから出力される変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7は、VIN>Vi(但しi=1〜7)のとき”H”となり、VIN<Viのとき“L”となる。即ち、アナログ電圧VINを境にして、これより低い参照電圧を用いる変換用コンパレータからは“H”が出力され、高い参照電圧を用いる変換用コンパレータからは“L”が出力される。
また、この比較状態では、定常的に電流が流れることがないので、消費電力は小さい状態であることが判る。
【0113】
このようなチョッパ型の変換用コンパレータ1〜7は、クロック信号CLKに従って、VIN電圧取り込み状態と比較状態とを交互に生じさせて使用するものであるので、変換用コンパレータ1〜7を、VIN電圧取り込み状態としこれに続いて比較状態とする動作状態とすると、そのうちのVIN電圧取り込み状態の期間に大きな電力消費が生じることを避けられない。また、このときの消費電力は、一般に、差動型の設定用コンパレータP1〜P7を常時動作させたときの消費電力よりも大きい。
ところで、前記したように、一般に、アナログ/デジタル変換回路に入力されるアナログ電圧VINの振幅は、この回路でA/D変換しうる最大振幅よりも小さく、周波数もクロック信号に比して十分低いのが通常である。つまり、あるクロック信号で定まる時点に入力されたアナログ電圧に対し、次の周期のクロック信号で定まる時点までに生じうるアナログ電圧の変化量には限界がある。従って、あるクロック信号で決まる時点に入力されたアナログ電圧が判れば、これから、次の周期のクロック信号で決まる時点で入力されるアナログ電圧はある幅を持って予測できる。さすれば、常にすべての変換用コンパレータを動作状態としておく必要はなく、一部の変換用コンパレータのみ動作状態とし、他の変換用コンパレータは、消費電力の大きいVIN取り込み状態とならないように、具体的には、比較状態に保持する休止状態にしておいても良いことになる。このようにすれば、アナログ/デジタル変換回路100で消費する電力を抑制することができる。
【0114】
そこで、入力されるアナログ電圧VINの性質として、クロック信号CLKの1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路100で変換できる最大振幅の1/8(コンパレータの数に1を加えた数の逆数)以下であると仮定する。この仮定の下で、本実施形態1のアナログ/デジタル変換回路100では、コンパレータ制御回路部111において、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7を論理処理して、第1,第2設定信号CONT1A等を生成し、次回の変換における変換用コンパレータ1〜7の状態を、図4に示す表の右半分に示すように設定している。なお、図4では、動作状態を○、休止状態を△で示している。
【0115】
この表の具体的設定内容について説明する。
まず、コンパレータ制御回路部111に、自身が参照する参照電圧V1〜V7よりもクロック信号1周期分過去に入力されたアナログ電圧VINの方が大きいと判定した設定用コンパレータが存在することを示す設定用コンパレータ出力OP1〜OP7が入力されたとき、具体的には、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7のうちに”H”となったものがあったときには、以下のようにする。(1)このような判定をした設定用コンパレータのうち最も上位の(換言すれば参照電圧の電位が最も大きい)設定用コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧(つまり共通の参照電圧)を参照する特定変換用コンパレータと、この特定変換用コンパレータよりも1つ上位の変換用コンパレータとを動作状態とする(図4では○と表示)。(2)これ以外の変換用コンパレータを、休止状態にする。(3)動作状態とした変換用コンパレータよりも、上位の変換用コンパレータは”L”を出力し(図4では、△/Lと表示)、下位の変換用コンパレータは”H”を出力する(図4では、△/Hと表示)ように設定する。
【0116】
具体的に説明する。設定用コンパレータ出力OP1〜OP7の中に、ハイレベル”H”とされた出力がある場合、つまり、アナログ電圧VINが参照電圧V1より高いと判定された場合には、以下のようにする。例えば、アナログ電圧VINとして、V5〜V6の範囲の電圧が入力されたため、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7が、(H,H,H,H,H,L,L)となった場合について考える。(1)”H”を出力している設定用コンパレータP1〜P5のうちで最も上位の設定用コンパレータP5が参照している参照電圧V5と同じ参照電圧(共通の参照電圧V5)を参照している変換用コンパレータ5と、この変換用コンパレータ5よりも1つ上位の変換用コンパレータ6とを動作状態とする。
【0117】
入力されるアナログ電圧VINの性質を、上記したように仮定したから、次回の変換において変換用コンパレータで比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧V4〜V5,V5〜V6,またはV6〜V7のいずれかの範囲になると予想されからである。つまり、設定用コンパレータP1等における1周期前の比較結果から、それより1周期後に変換用コンパレータ1等で得る比較結果が予測できないのは、変換用コンパレータ5,6だけだからである。
一般化して言えば、クロック信号CLKで1周期前に設定用コンパレータP1等で得た比較結果(設定用コンパレータ出力OP1等)から、それより1周期後に変換用コンパレータ1等で得る比較結果(変換用コンパレータ出力OUT1等)を予測できないのは、”H”を出力している設定用コンパレータのうち最も上位の設定用コンパレータと同じ参照電圧を参照している特定変換用コンパレータと、及びこれより1つ上位の変換用コンパレータだけだからである。そこでこれらについては動作状態とする。
【0118】
(2)これ以外の変換用コンパレータ1〜4,7を休止状態とする。(3)動作状態とした変換用コンパレータ5,6よりも、上位の変換用コンパレータ7は”L”を出力し、下位の変換用コンパレータ1〜4は”H”を出力するように設定する。
なお、上記関係は、クロック信号CLKで1周期前に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1〜V2,V2〜V3,…,V6〜V7,V7〜VRHの範囲内のいずれであった場合でも同様に当てはまる。但し、1周期前に入力されたアナログ電圧VINがV7〜VRHの範囲であった場合には、1つ上位のコンパレータは存在しない。
【0119】
一方、コンパレータ制御回路部111に、クロック信号CLKで1周期過去に入力されたアナログ電圧VINの方が参照電圧よりも大きいと判定した設定用コンパレータが存在しないことを示す設定用コンパレータ出力OP1〜OP7が入力されたとき、具体的には、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7がすべて”L”の場合には、以下のようにする。(4)最下位の変換用コンパレータ1を、動作状態とする。1周期前に設定用コンパレータP1等で得た比較結果(設定用コンパレータ出力OP1等)から、それより1周期後に変換用コンパレータ1等で得る比較結果(コンパレータ出力OUT1等)を予測できないのは、変換用コンパレータ1だけだからである。(5)他の変換用コンパレータ2〜7を休止状態に保持する。(6)他の変換用コンパレータ2〜7は”L”を出力するように設定する。
かくして、1周期前のアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図4の表の右半分に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路100全体での消費電力を抑制することができる。
【0120】
このような設定に基づく動作をする変換用コンパレータ1〜7の回路構成を図9に示す。ここで、第1設定信号CONT1A〜CONT7Aは、変換用コンパレータ1〜7についてそれぞれ動作状態と休止状態との切換えを制御する信号であり、具体的には、”H”で変換用コンパレータ1〜7を動作状態とすることを指示し、”L”で休止状態とすることを指示する。また、第2設定信号CONT1B〜CONT7Bは、変換用コンパレータ1〜7について、休止状態とされていることを前提として、”H”と”L”のいずれを出力するかを制御する信号であり、具体的には、”H”で変換用コンパレータ1〜7が”H”を出力することを指示し、”L”で変換用コンパレータ1〜7が”L”を出力することを指示する。
【0121】
既に説明したように、変換用コンパレータ1等は、アナログ電圧VINが入力されるスイッチSWAと、参照電圧V1〜V7が入力されるスイッチSWBとを有している。スイッチSWA,SWBの出力側はノードN1に接続され、このノードN1にキャパシタC1の一端が接続されている。キャパシタC1の他端は、インバータINVの入力端に接続されている。また、インバータINVには、スイッチSWCが並列に接続されている。さらに、インバータINVの出力端はスイッチSWDを介してインバータ27に接続し、さらに、インバータ28を通じてインバータINVと同相の出力が、コンパレータ出力OUT1〜OUT7として出力される。
【0122】
さらに、クロック信号CLKとスイッチSWA,SWB,SWCとの間には、2入力のAND素子24が介在しており、AND素子24には、このクロック信号CLKと並列に、第1設定信号CONT1A〜CONT7Aをインバータ23で反転させた信号が入力される。従って、第1設定信号CONT1A等が”H”の場合には、スイッチSWA等はクロック信号CLKに従って動作する動作状態となる。なお、スイッチSWBは、インバータ25によって、スイッチSWAとは逆相に駆動される。一方、第1設定信号CONT1A等が”L”の場合には、クロック信号CLKに拘わらず、スイッチSWA,SWCはオフとされ、スイッチSWBはオンとされる。つまり、比較状態に強制的に固定され、休止状態となる(図6参照)。従って、第1設定信号CONT1A等を”L”とすることで、この変換用コンパレータの動作は停止してしまうが、消費電力の大きなVIN取り込み状態となることが防止され、電力消費を抑制することができる。
【0123】
さらに、スイッチSWDは第1設定信号CONT1A等により開閉され、第2設定信号CONT1B等がスイッチSWEを介してインバータ27の入力端に入力される。このスイッチSWEは、第1設定信号CONT1A等をインバータ26で反転させた信号で開閉される。また、スイッチSWDの開閉とスイッチSWEの開閉とは逆相となる。スイッチSWD,SWEもアナログスイッチであり、第1設定信号CONT1A等が”H”の場合には、スイッチSWDがオンとなり、スイッチSWEはオフとなる。この場合、インバータ27には、インバータINVの出力が伝えられ、これと同相の出力が、コンパレータ出力OUT1〜OUT7として出力される。一方、第1設定信号CONT1A等が”L”の場合には、スイッチSWDはオフとなり、スイッチSWEがオンとなる。このため、第2設定信号CONT1B等がインバータ27に入力されるから、第2設定信号CONT1Bが”H”であれば、コンパレータ出力OUT1等として”H”が、逆に第2設定信号CONT1Bが”L”であれば、コンパレータ出力OUT1等として”L”が出力される。
かくして、変換用コンパレータ1等は、第1設定信号CONT1A等及び第2設定信号CONT1B等を用いることで、動作状態、休止状態でかつ”H”出力状態、及び休止状態でかつ”L”出力状態の3つの状態を選択することができる。
【0124】
そして、このよう設定された変換用コンパレータ1〜7のうち、動作状態とされた変換用コンパレータ(例えば変換用コンパレータ5,6)について、アナログ電圧VINを参照電圧(例えば参照電圧V5,V6)と比較することで、これらの変換用コンパレータの変換用コンパレータ出力も、”H”または”L”となる。
かくして、このアナログ/デジタル変換回路100でも、アナログ電圧VINの大きさが、高位基準電圧VRH、低位基準電圧VRL及び参照電圧V1〜V7で区切られる範囲(例えばV5〜V6)のいずれに属するかによって、変換用コンパレータ1〜7の出力が”H”あるいは”L”になる。このため、アナログ電圧VINと各変換用コンパレータ1〜7の変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7とは、図3の表に示す関係となる。この関係は、すべての変換用コンパレータを動作させた場合に得られる結果と同じである。
従って、以降は、同様な処理によりエンコーダ140によって、変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7に従って、これに対応するデジタル出力DOUTが生成できることとなる。なお、図3の表では、デジタル出力DOUTを10進数による出力コードで表してある。
【0125】
かくして、本実施形態1に記載のアナログ/デジタル変換回路100によれば、変換用コンパレータ1〜7のうち、予測されるアナログ電圧の変化範囲に対応し、比較結果が予測できない変換用コンパレータを選択してこれを通常の動作状態とし、比較結果が予測できる残余の変換用コンパレータは休止状態として、今回の変換に用いればよいので、常に適切な変換用コンパレータを選択して動作状態とすることが出来る。さらに、適切な数の変換用コンパレータのみを動作状態としておけばよいので、休止状態に保持する残余の第1コンパレータの数を多くすることが出来るから、より低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
また、アナログ/デジタル変換回路100では、入力情報生成回路部112で、クロック信号CLKに従って動作する7ヶの設定用コンパレータを用い、入力情報信号である出力OP1〜OP7を生成する。このため、変換用コンパレータ1等の動作状態あるいは休止状態選択のタイミングを、クロック信号CLKで決まる一定のタイミング(本実施形態1では1周期分過去)に揃えることができる。従って、常に適切な変換用コンパレータを選択して動作状態あるいは休止状態とすることが出来る。
また、アナログ/デジタル変換回路100は、変換用コンパレータ1〜7と各々同じ参照電圧V1〜V7を参照する同数(7ヶ)の設定用コンパレータP1〜P7を有している。このため、7ヶの変換用コンパレータ1〜7のどれを動作状態とし、どれを休止状態とするかを選択決定するにあたり、設定用コンパレータP1〜P7によって得た7ヶの比較結果(出力OP1〜OP7)を用いることができるので、選択決定が容易となる。
さらに、アナログ/デジタル変換回路100では、設定用コンパレータP1等の判定(出力OP1等)に応じて、変換用コンパレータ1〜7のうち、1〜2ヶのみを動作状態とし、他は休止状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路100の消費電力を大きく低減させることが出来る。
さらに、このアナログ/デジタル変換回路100では、設定用コンパレータP1〜P7として差動型コンパレータを用いているので、これにチョッパ型コンパレータを用いるよりも低消費電力にすることが出来る。
【0126】
なお、本実施形態1では、設定用コンパレータP1〜P7と変換用コンパレータ1〜7を同じクロック信号CLKで駆動し、クロック信号CLKにおける1周期分過去に得た設定用コンパレータ出力OP1等を用いて、第1,第2設定信号CONT1A等を生成し、次の周期における変換用コンパレータ1〜7の状態設定に用いた例を示した。
【0127】
しかし、図2に示すように、設定用コンパレータP1〜P7(入力情報生成回路部112)をクロック信号CLKとは異なる第3クロック信号CLK3で駆動しても良い。第3クロック信号CLK3としては、クロック信号CLKと同じ周波数であるが、逆相の波形や1/4周期ずれた波形(図11(a)参照)などを持つ位相の異なる信号を用いることができる。このような第3クロック信号CLK3を用いることで、変換用コンパレータ1〜7の状態設定のために取得する設定用コンパレータ出力OP1等を、クロック信号CLKにおける1周期分よりも短い時間だけ過去(例えば、図11(a)の場合にはT/4だけ過去(但し、Tはクロック信号CLKの周期))のアナログ信号に基づいて得ることができる。すると、この時間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲は、クロック信号の1周期分の期間に変化しうる範囲よりも小さくなる。つまり、過去のアナログ電圧に基づいて、動作状態としあるいは休止状態とする変換用コンパレータを選択するに当たり、より近い過去のアナログ電圧VINを基準にするほど、その後に変化し得るアナログ電圧VINの範囲が小さくなるので、動作状態とする変換用コンパレータの数を少なく、休止状態とする変換用コンパレータの数を多くすることができ、よりアナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制することができる。あるいは、同じ数の変換用コンパレータを動作状態とするのであれば、より振幅の大きく周波数の高いアナログ電圧VINについて、正しくアナログ/デジタル変換をすることができる。
【0128】
あるいは、第3クロック信号CLK3として、クロック信号CLKの整数倍の周波数を持つ信号を用いることもできる。例えば、クロック信号CLKの2倍の周波数を持つ第3クロック信号CLK3を用いた場合について説明する。さらに、この第3クロック信号CLK3の2周期毎に1回、その立ち上がりのタイミングが、クロック信号CLKの立ち上がりタイミングと同じになるようにされているとする(図11(b)参照)。この場合、第3クロックCLK3の2周期毎の立ち上がりタイミングのうち、クロック信号CLKの立ち上がるタイミングと同じにならない方の立ち上がりタイミング(図11(b)中矢印で示すタイミング)を用いれば、設定用コンパレータP1等の比較結果(設定用コンパレータ出力OP1等)を、変換用コンパレータ1等での変換よりも1/2周期(T/2)だけ前(過去)に得ることができる。この場合にも、動作状態とする変換用コンパレータの数を少なく、休止状態とする変換用コンパレータの数を多くすることができ、よりアナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制することができる。あるいは、同じ数の変換用コンパレータを動作状態とするのであれば、より振幅の大きく周波数の高いアナログ電圧VINについて、正しくアナログ/デジタル変換をすることができる。
【0129】
(実施形態2)
次いで、第2の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路200について、図12〜図14を参照して説明する。本実施形態2のアナログ/デジタル変換回路200は、実施形態1のアナログ/デジタル変換回路100と同じく、3ビットのアナログ/デジタル変換回路である。しかし、図12と図2とを比較すると容易に理解できるように、比較部210において、設定用コンパレータP1〜P7を備えない点で異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0130】
アナログ/デジタル変換回路200も、クロック信号CLKで与えられる所定周期毎に、アナログ電圧VINを3ビットのデジタル出力DOUTに変換する回路であり、比較部210,データラッチ120,エンコーダ140,制御回路部150を有する(図1参照)。比較部210には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。
【0131】
図12に示す比較部210では、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRLとの間に直列に接続された8ヶの相等しい分圧用の抵抗R1〜R8によって、7種の参照電圧V1〜V7を得ている。また、7ヶのチョッパ型のコンパレータ1〜7、及びコンパレータ制御回路部211を有している。
コンパレータ1〜7は、実施形態1における変換用コンパレータ1〜7(図9参照)と同様の回路構成を有しており、コンパレータ制御回路部211から出力される第1,第2設定信号CONT1A等により、通常のコンパレータとして機能しうる動作状態と、休止状態でかつ”H”出力状態と、休止状態でかつ”L”出力状態との3つの状態のいずれかに設定される。
具体的には、コンパレータ1〜7は、7種の参照電圧V1〜V7をそれぞれ排他的に参照して一対一に対応しており、動作状態に設定されている場合には、入力されたクロック信号CLKの周期毎に、それぞれアナログ電圧VINと比較して、”H”または”L”のいずれかのコンパレータ出力OUT1〜OUT7を更新して出力する。一方、休止状態でかつ”H”出力状態に設定されている場合には、その出力は”H”に固定される。また、休止状態でかつ”L”出力状態に設定されている場合には、その出力は”L”に固定される。
また、コンパレータ出力OUT1〜OUT7は、出力されてデータラッチ120に入力されるほか、それぞれ分岐してコンパレータ制御回路部211に入力される。
【0132】
コンパレータ制御回路部211は、入力されたこのコンパレータ出力OUT1〜OUT7に所定の論理処理を施し、実施形態1と同様の第1設定信号CONT1A〜CONT7A、及び第2設定信号CONT1B〜CONT7Bを出力する。
【0133】
各コンパレータ1〜7は、実施形態1の変換用コンパレータ1〜7(図9参照)と同様の回路構成を有しているから、同様に、スイッチSWCをオンさせるVIN取り込み状態では大きく電力を消費するが、スイッチSWCがオフとなる比較状態では電力をあまり消費しない。また、第1設定信号CONT1A等を”L”とすることで、強制的に比較状態とすることができ、しかも、第2設定信号CONT1B等によって、そのときのコンパレータ出力OUT1〜OUT7を、”H”または”L”に固定することができる。
【0134】
そこで、コンパレータ1〜7で前回(1周期前)の変換で得たコンパレータ出力OUT1〜OUT7を用いて第1,第2設定信号CONT1A等を得る。そして、これを次(これより1周期後)の変換のためのコンパレータ1〜7の状態設定に用いる。
具体的には、図13の表に示すようにして、前回の変換に用いたアナログ電圧VINの大きさに応じて、各コンパレータ1〜7の設定状態を決定する。例えば、前回の変換に用いたアナログ電圧VINが、参照電圧V3〜V4の範囲内であった場合、この時点での各コンパレータ1〜7の出力(比較結果)は、下位のコンパレータから順に、(H,H,H,L,L,L,L)となる。ところで、入力されるアナログ電圧VINの性質を、1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路200で変換できる最大振幅の1/8(コンパレータの数に1を加えた数の逆数)以下であると仮定する。この場合には、次回の変換で比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧V2〜V3,V3〜V4,またはV4〜V5のいずれかの範囲になると予想される。つまり、このようなアナログ信号を前提とすれば、前回の変換における比較結果から、この次の変換における比較結果が予測できないコンパレータは、コンパレータ3,4だけである。一般化して言えば、”H”を出力しているコンパレータのうち、最も上位のコンパレータ、及びこれより1つ上位のコンパレータだけである。
【0135】
このように、比較結果が予測できないコンパレータが限られることから、本実施形態2では、コンパレータ3,4については、動作状態(図13では○と表示)とする。一方、これらよりも下位のコンパレータ1,2については、休止状態でかつ”H”出力状態(図13では△/Hと表示)とし、これらよりも上位のコンパレータ5,6,7については、休止状態でかつ”L”出力状態(図13では△/Lと表示)とする。このようにしても、次回の変換で比較されるアナログ電圧VINが、上記前提に適合する参照電圧V2〜V5の範囲内である限り、7ヶのコンパレータ1〜7のすべてを動作状態とした場合と同じコンパレータ出力OUT1〜OUT7が得られる。従って、このようにしても正しくアナログ/デジタル変換が可能である。
しかも、このようにすることで、7ヶのコンパレータのうち、5ヶのコンパレータ1,2,5〜7を休止状態にできるため、アナログ/デジタル変換回路200全体での消費電力を抑制することができる。
【0136】
上記関係は、前回の変換時に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1〜V2,V2〜V3,…,V6〜V7,V7〜VRHの範囲内のいずれの場合でも同様に当てはまる。但し、前回の変換時に入力されたアナログ電圧VINがV7〜VRHの範囲となった場合には、1つ上位のコンパレータは存在しない。
なお、前回の変換時に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1より低い、つまりVRL〜V1の範囲内であった場合、この時点での各コンパレータ1〜7の出力は、すべて”L”つまり(L,L,L,L,L,L,L)という出力となる。この場合には、その次の変換で比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧VRL〜V1またはV1〜V2のいずれかの範囲になると予想される。そのため、前回の変換における比較結果から、その次の変換における比較結果が予測できないコンパレータは、コンパレータ1だけである。そこで、コンパレータ1については、動作状態とする。一方、これよりも上位のコンパレータ2〜7については、休止状態でかつ”L”出力状態とする。
【0137】
このようにしても、次の変換で比較されるアナログ電圧VINが、参照電圧VRL〜V2の範囲内である限り、7ヶのコンパレータ1〜7のすべてを動作状態とした場合と同じコンパレータ出力OUT1〜OUT7が得られる。従って、このようにしても正しくアナログ/デジタル変換が可能である。しかも、このようにすることで、7ヶのコンパレータのうち、6ヶのコンパレータ2〜7が休止状態となるため、アナログ/デジタル変換回路200全体での消費電力を抑制することができる。
かくして、前回の変換に用いたアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図13の表に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路200全体での消費電力を抑制することができることが判る。さらに、本実施形態2では、実施形態1と比較すれば判るように、設定用コンパレータP1等を別途形成する必要もなく、より簡易なアナログ/デジタル変換回路となる。
【0138】
また、本実施形態2のアナログ/デジタル変換回路200では、コンパレータ1〜7を動作状態あるいは休止状態に選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、常に前回の変換のタイミングに揃えることが出来る。従って、常に適切なコンパレータを動作状態あるいは休止状態として選択することができ、休止状態に保持する残余のコンパレータの数を多くすることが出来るから、より低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
また、アナログ/デジタル変換回路200では、前回の変換におけるコンパレータ1〜7の各出力OUT1等を入力情報信号として用いて、今回の変換で動作状態とするあるいは休止状態にするコンパレータ1等を選択決定する。従って、実施形態1における設定用コンパレータP1〜P7のように、別途入力情報信号を生成するための回路が不要であり、簡易な構成とすることができる。
さらに、アナログ/デジタル変換回路200では、前回の変換におけるコンパレータ1〜7の出力OUT1等によって、今回の変換において、コンパレータ1〜7のうち、2つ〜1つのみを動作状態とし、他を休止状態にする。従って、アナログ/デジタル変換回路の消費電力を大きく低減させることができる。
【0139】
なお、本実施形態2のアナログ/デジタル変換回路200では、上記したように、入力されるアナログ電圧VINの性質に関し、クロック信号CLKの1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、最大振幅の1/8(コンパレータの数に1を加えた数の逆数)以下である場合には、いずれの場合にも正しくアナログ/デジタル変換可能である。逆に、1周期分の期間に変化しうる範囲が、最大振幅の1/8(コンパレータの数に1を加えた数の逆数)より大きいアナログ電圧VINを用いる場合には、適切にアナログ/デジタル変換できない。但し、以下のようにしてアナログ/デジタル変換回路200を用いることもできる。
【0140】
即ち、図14に示すように、アナログ電圧VINとして、大きな電圧変化と小さな電圧変化とが交互に生じる電圧波形を持つアナログ電圧VINを、アナログ/デジタル変換回路200に入力した場合には、大きな電圧変化が起こった期間、及び小さな電圧変化の期間のうちそれに続く遷移期間は、アナログ電圧VINに対し、破線で示すデジタル出力DOUTがアナログ電圧VINをA/D変換した値に一致しない不正出力期間となる。しかし、デジタル出力DOUTは、時間とともに本来得られるべき値に近づくため、ついにはアナログ電圧VINを正しくA/D変換したデジタル出力DOUTが得られ、それ以降、再び大きな電圧変化が起こるまでは適正なデジタル出力が得られる適正出力期間となる。従って、アナログ電圧VINのこのような性質を前提として、適正出力期間に得られるデジタル出力DOUTのみを用いるようにすれば、このような大きな電圧変化が起こるアナログ電圧VINについても、本実施形態2のアナログ/デジタル変換回路200を用いて、低消費電力でA/D変換をすることができる。
【0141】
(変形形態1)
次いで、実施形態2を変形した変形形態1について、図15を参照して説明する。実施形態2のアナログ/デジタル変換回路200では、コンパレータ1〜7としてチョッパ型のコンパレータ(図5,図9参照)を用いた。これに対し、本変形形態1では、差動型のコンパレータを用いた点のみが異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0142】
上述のように、本変形形態1のコンパレータ1〜7は、差動型のコンパレータである。即ち、コンパレータ1〜7は、差動回路50によって、アナログ電圧VINと参照電圧V1等とを比較する。差動回路50はCMOSで構成され、ゲートにアナログ電圧VINが与えられるNチャネル51と、ゲートに参照電圧V1〜V7のいずれかが与えられるNチャネル52を有している。Nチャネル51のドレインはPチャネル53を介して、Nチャネル52のドレインはPチャネル54を介して、それぞれ電源電位VDに接続されている。Pチャネル53,54のゲートは、いずれもNチャネル51のドレインに接続されている。また、Nチャネル51,52のソースは共通接続され、Nチャネル56を及び定電流回路55を介して接地されている。この差動回路50では、アナログ電圧VINと参照電圧V1等との差が、Nチャネル52のドレイン電圧として現れる。Nチャネル52のドレインは、スイッチSWHを介して、保持回路64に接続している。この保持回路64は、インバータ61,62が直列に接続され、インバータ61の入力端とインバータ62の出力端との間の接続をスイッチSWIで開閉する。さらに、インバータ61の出力端から分岐したインバータ63からコンパレータ出力OUT1〜OUT7が出力される。
なお、スイッチSWH,SWI,SWJの3つとも、”H”入力でオンとなり、”L”入力でオフとなるアナログスイッチである。
【0143】
ここで、スイッチSWHは、2入力のAND素子57の出力によって開閉される。このAND素子57には、クロック信号CLKと第1設定信号CONT1A等をインバータ65で反転させた信号とが入力されている。従って、第1設定信号CONT1A等が”H”の場合には、スイッチSWHはクロック信号CLKに従って動作する。一方、第1設定信号CONT1A等が”L”の場合には、クロック信号CLKに拘わらず、スイッチSWHはオフとされる。
また、スイッチSWIも、2入力のAND素子59の出力によって開閉される。このAND素子59には、クロック信号CLKをインバータ58で反転させた信号と第1設定信号CONT1A等をインバータ65で反転させた信号とが入力されている。従って、第1設定信号CONT1A等が”L”の場合には、スイッチSWIはクロック信号CLKの反転信号に従って動作する。一方、第1設定信号CONT1A等が”H”の場合には、クロック信号CLKに拘わらず、スイッチSWIはオフとされる。
【0144】
さらに、Nチャネル56は、第1設定信号CONT1A等をインバータ65で反転させた信号によって制御されており、第1設定信号CONT1A等が”H”の場合には、Nチャネル56がオンとなり、定電流源55に電流が流れるが、第1設定信号CONT1A等が”L”の場合には、Nチャネル56がオフとなり定電流源55に流れる電流が遮断され、差動回路50で比較できなくなるとともに、消費される電力が低減される。
また、スイッチSWJは、第1設定信号CONT1A等によって制御されており、第1設定信号CONT1A等が”H”の場合には、スイッチSWJはオフとなり、第1設定信号CONT1A等が”L”の場合には、スイッチSWJはオンとなる。
【0145】
従って、第1設定信号CONT1A等が”H”のときには、Nチャネル56はオンとされ、差動回路50が作動する。さらに、スイッチSWHはクロック信号CLKに従って、スイッチSWIはそれとは逆相に開閉される。一方、スイッチSWJはオフとされる。従って、このうちさらにクロック信号CLKが”H”の期間には、スイッチSWHがオンし、スイッチSWIがオフとなるので、参照電圧V1等とアナログ電圧VINとの比較結果がインバータ63からコンパレータ出力OUT1等として出力される。一方、クロック信号CLKが”L”の期間には、スイッチSWHがオフし、スイッチSWIがオンするので、以前の出力結果が保持されてインバータ63から出力され続ける。
逆に、第1設定信号CONT1A等が”L”のときには、Nチャネル56はオフとなり、定電流源55に流れる電流が遮断されるので、差動回路50での消費電力が減少する。また、スイッチSWH,SWIはオフに固定され、スイッチSWJがオンとなる。このため、第2設定信号CONT1B等がインバータ61に入力されるから、第2設定信号CONT1Bが”H”であれば、コンパレータ出力OUT1等として”H”が、逆に第2設定信号CONT1Bが”L”であれば、コンパレータ出力OUT1等として”L”が出力される。
【0146】
かくして、コンパレータ1〜7として差動型のコンパレータを用いても、第1設定信号CONT1A等及び第2設定信号CONT1B等を用いることで、動作状態、休止状態でかつ”H”出力状態、及び休止状態でかつ”L”出力状態の3つの状態を選択することができる。
従って、本変形形態1のように、差動型のコンパレータ1〜7を用いても、実施形態2と同様にして、A/D変換することができる。本変形形態では、一般にチョッパ型のコンパレータよりも消費電力の小さい差動型のコンパレータを用いながらも、さらに消費電力を低減したアナログ/デジタル変換回路200とすることができる。
【0147】
(実施形態3)
次いで、第3の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路300について、図16〜図19を参照して説明する。本実施形態3のアナログ/デジタル変換回路300は、設定用コンパレータを用いない点で実施形態2と同様であるが、4ビットのアナログ/デジタル変換回路であり、15ヶのコンパレータ1〜15を用いる点、コンパレータを2と3、4と5というように2つのコンパレータを1つのグループとして、第1,第2設定信号CONTG1A等でグループ毎にコンパレータの状態設定を行う点で異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0148】
アナログ/デジタル変換回路300も、クロック信号CLKで与えられる所定周期毎に、アナログ電圧VINをデジタル出力DOUTに変換する回路であり、比較部310,データラッチ320,エンコーダ340,制御回路部150を有する(図1参照)。比較部310には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。
【0149】
図16に示す比較部310では、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRLとの間に直列に接続された16ヶの相等しい分圧用の抵抗R1〜R16によって、15種の参照電圧V1〜V15を得ている。また、15ヶのチョッパ型のコンパレータ1〜15、及びコンパレータ制御回路部311を有している。
コンパレータ1〜15は、実施形態1における変換用コンパレータ1〜7(図9参照)、及び実施形態2におけるコンパレータ1〜7と同様の回路構成を有しており、コンパレータ制御回路部311から出力される第1,第2設定信号CONTG1A等により、通常のコンパレータとして機能しうる動作状態と、休止状態でかつ”H”出力状態と、休止状態でかつ”L”出力状態との3つの状態のいずれかに設定される。
具体的には、コンパレータ1〜15は、15種の参照電圧V1〜V15をそれぞれ排他的に参照し一対一に対応しており、動作状態に設定されている場合には、入力されたクロック信号CLKの周期毎に、それぞれアナログ電圧VINと参照電圧V1等とを比較して、”H”または”L”のいずれかのレベルを有するコンパレータ出力OUT1〜OUT15を更新して出力する。一方、休止状態でかつ”H”出力状態に設定されている場合には、その出力は”H”に固定される。また、休止状態でかつ”L”出力状態に設定されている場合には、その出力は”L”に固定される。
また、コンパレータ出力OUT1〜OUT15は、データラッチ320に入力されるほか、それぞれ分岐してコンパレータ制御回路部311に入力される。
なお、図16では、クロック信号CLKと各コンパレータとの接続配線を省略して記載したが、実施形態1(図2参照)や実施形態2(図12参照)と同様に、クロック信号CLKはコンパレータ1〜15にそれぞれ入力される。
【0150】
コンパレータ制御回路部311は、入力されたこのコンパレータ出力OUT1〜OUT15に所定の論理処理を施し、実施形態1,2と同様の第1設定信号CONTG1A〜CONTG8A、及び第2設定信号CONTG1B〜CONTG8Bを出力する。但し、実施形態1,2とは異なり、これらの第1,第2設定信号CONTG1A等は、第1設定信号CONTG1Aと第2設定信号CONTG1Bとを除き、それぞれ2ヶのコンパレータを含む1つのグループG2〜G8の状態設定をする。例えば、第1,第2設定信号CONTG8A,CONTG8Bは、グループG8に属するコンパレータ14と15の2つに入力され、これら2つのコンパレータの状態を同時に設定する。一方、第1設定信号CONTG1Aと第2設定信号CONTG1Bは、コンパレータ1に入力され、このコンパレータ1の状態を設定する。従って、グループG1は1つのコンパレータ1のみを含んでいる。このように、コンパレータ1〜15は、1または2ヶのコンパレータを含む8つグループG1〜G8に分けられている。
【0151】
ところで、各コンパレータ1〜15は、実施形態1の変換用コンパレータ1〜7(図9参照)と同様の回路構成を有しているから、同様に、スイッチSWCをオンさせるVIN取り込み状態では大きく電力を消費するが、スイッチSWCがオフとなる比較状態では電力をあまり消費しない。また、第1設定信号CONTG1A等を”L”とすることで、強制的に比較状態としてコンパレータ1等を休止状態にすることができ、しかも、第2設定信号CONTG1B等によって、そのときのコンパレータ出力OUT1〜OUT15を、”H”または”L”に固定することができる。
【0152】
そこで、コンパレータ1〜15で前回(1周期前)の変換で得たコンパレータ出力OUT1〜OUT15を用いて第1,第2設定信号CONTG1A等を得る。そして、この次(これより1周期後)の変換でのコンパレータ1〜15の状態設定に用いる。
具体的には、図17及び図18の表に示すように、前回の変換に用いたアナログ電圧VINの大きさに応じて、各コンパレータ1〜15の設定状態を決定する。例えば、前回の変換に用いたアナログ電圧が、参照電圧V6〜V7の範囲内であった場合、この時点での各コンパレータ1〜15の出力(比較結果)は、下位のコンパレータから順に、(H,H,H,H,H,H,L,L,L,L,L,L,L,L,L)という出力、つまり出力コードで表して「6」となる(図17参照)。
ところで、入力されるアナログ電圧VINの性質を、1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路300で変換しうる最大振幅の1/8(グループ数の逆数)以下であると仮定する。この場合には、次回の変換で比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧V4〜V5,V5〜V6,V6〜V7,V7〜V8,またはV8〜V9のいずれかの範囲(取りうる出力コードで「4」〜「8」)になると予想される。つまり、このようなアナログ信号を前提とすれば、1周期前の比較結果から1周期後の比較結果が予測できないコンパレータは、コンパレータ5,6,7,8だけである。
【0153】
このように、比較結果が予測できないコンパレータが限られることから、本実施形態3では、1周期前に”H”を出力しているコンパレータ1〜6のうち、最も上位のコンパレータ6が属するグループG4及びこれより1つ上位及び1つ下位のグループG3,G5については、動作状態(図18,図19では○と表示)とする。一方、グループG3〜G5よりも下位のグループG1,G2に属するコンパレータ1,2,3については、休止状態でかつ”H”出力状態(図18,図19では△/Hと表示)とし、これらよりも上位のグループG6,G7,G8に属するコンパレータ10,11,12,13,14,15については、休止状態でかつ”L”出力状態(図18,図19では△/Lと表示)とする。このようにしても、次のサイクルで比較されるアナログ電圧VINが、前提に適合する参照電圧V4〜V9の範囲内である限り、15ヶのコンパレータ1〜15のすべてを動作状態とした場合と同じコンパレータ出力OUT1〜OUT15が得られる。従って、このようにしても正しくアナログ/デジタル変換が可能である。
しかも、このようにすることで、15ヶのコンパレータのうち、9ヶのコンパレータ1〜3,10〜15を休止状態にできるため、アナログ/デジタル変換回路300全体での消費電力を抑制することができる。
上記関係は、前回の変換時に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1〜V2,V2〜V3,…,V14〜V15,V15〜VRHの範囲内のいずれの場合でも同様に当てはまる。但し、1つ上位または1つ下位のグループが存在しない場合が有りうる。
【0154】
なお、前回の変換時に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1より低い、つまりVRL〜V1の範囲内であった場合、この時点での各コンパレータ1〜15の出力は、すべて”L”つまり(L,L,L,L,L,L,L,L,L,L,L,L,L,L,L)という出力となる。この場合には、その次の変換で比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧VRL〜V1,V1〜V2またはV2〜V3のいずれかの範囲になると予想される。そのため、1周期前の比較結果と対比して、比較結果を予測できない可能性があるコンパレータは、コンパレータ1,2だけである。そこで、コンパレータ1,2の属するグループG1,G2及びこれに属するコンパレータ1,2,3については、動作状態とする。一方、これらのグループよりも上位のグループG3〜G8及びこれらに属するコンパレータ4〜15については、休止状態でかつ”L”出力状態とする。
【0155】
このようにしても、次の変換で比較されるアナログ電圧VINが、参照電圧VRL〜V3の範囲内である限り、15ヶのコンパレータ1〜15のすべてを動作状態とした場合と同様に、正しくアナログ/デジタル変換が可能である。しかも、このようにすることで、15ヶのコンパレータのうち、12ヶのコンパレータ4〜15を休止状態にできるため、アナログ/デジタル変換回路300全体での消費電力を抑制することができる。
【0156】
かくして、前回の変換に用いたアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図18及び図19の表に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路300全体での消費電力を抑制することができることが判る。
さらに、実施形態2と比較すれば判るように、本実施形態3は、グループG1〜G8毎にコンパレータの状態設定を行うようにしているので、各コンパレータ毎に状態設定を行う場合に比して簡易なコンパレータ制御回路部311で足りる。
【0157】
このように、本実施形態3のアナログ/デジタル変換回路300では、コンパレータ1〜15をグループ(分割群)G1〜G8毎に動作状態及び休止状態のいずれかにする。従って、コンパレータ1等を動作状態及び休止状態にするためのコンパレータ制御回路部311の構成が簡単になる。
また、このアナログ/デジタル変換回路300では、前回の変換で得たコンパレータ1〜15の各出力OUT1等を今回の変換の際のコンパレータ1等の選択に使用する。しかも、コンパレータ1等をn=8ヶのグループ(分割群)G1〜G8に分け、3〜2ヶのグループ(分割群)に属するコンパレータのみを今回の変換で動作状態とし、他のグループ(分割群)に属するコンパレータを休止状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路300の消費電力を大きく低減させることができる。
【0158】
(変形形態2)
上記実施形態3では、コンパレータ1〜15として、チョッパ型のコンパレータ(図9参照)を用いたが、これに代えて、前記した変形形態1と同じく、差動型のコンパレータ(図10参照)を用いるようにすることもできる。このようにすると、一般にチョッパ型のコンパレータよりも消費電力の小さい差動型のコンパレータを用いながらも、さらに消費電力を低減したアナログ/デジタル変換回路とすることができる。
【0159】
(実施形態4)
次いで、第4の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路400について、図20,図21を参照して説明する。本実施形態4のアナログ/デジタル変換回路400は、実施形態1と同様に7ヶの設定用コンパレータを用いるが、4ビットのアナログ/デジタル変換回路であり、15ヶの変換用コンパレータを用いる点で異なる。また、実施形態3と異なり設定用コンパレータをも用いるが、実施形態3と同様に、変換用コンパレータを2と3、4と5というように2つまたは1つのコンパレータを1つのグループとして、第1,第2設定信号CONTG1A等で変換用コンパレータ1〜15の状態設定を行う。従って、実施形態1及び3と異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0160】
アナログ/デジタル変換回路400も、クロック信号CLKで与えられる所定周期毎に、アナログ電圧VINをデジタル出力DOUTに変換する回路であり、比較部410,データラッチ320,エンコーダ340,制御回路部150を有する(図1参照)。比較部410には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。
【0161】
図20に示す比較部410では、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRLとの間に直列に接続された16ヶの相等しい分圧用の抵抗R1〜R16によって、15種の参照電圧V1〜V15を得ている。また、15ヶのチョッパ型の変換用コンパレータ1〜15、7ヶの差動型の設定用コンパレータP2〜P14からなる入力情報生成回路部412、及びコンパレータ制御回路部411を有している。
【0162】
このうち、入力情報生成回路部412をなす設定用コンパレータP2,P4…P14は、実施形態1における設定用コンパレータP1〜P7(図10参照)と同様の回路構成を有しており、15種の参照電圧V1〜V15のうち、1つおきのV2,V4…V14をそれぞれ参照している。この設定用コンパレータP2等は、入力されたクロック信号CLKの周期毎に、それぞれアナログ電圧VINと比較して、”H”または”L”のいずれかに設定用コンパレータ出力OP2,OP4…OP14を更新して出力する。
コンパレータ制御回路部411は、入力されたこの設定用コンパレータ出力OP2〜OP14に所定の論理処理を施し、第1設定信号CONTG1A〜CONTG8A、及び第2設定信号CONTG1B〜CONTG8Bを出力する。第1,第2設定信号CONTG1A等は、次回の変換、つまりクロック信号CLKの次の周期における変換用コンパレータ1〜15の状態設定に用いられる。
【0163】
変換用コンパレータ1〜15は、実施形態1における変換用コンパレータ1〜7(図9参照)と同様の回路構成を有しており、コンパレータ制御回路部411から出力される第1,第2設定信号CONTG1A等により、通常のコンパレータとして機能しうる動作状態と、休止状態でかつ”H”出力状態と、休止状態でかつ”L”出力状態との3つの状態のいずれかに設定される。
このアナログ/デジタル変換回路400では、アナログ電圧VINの大きさが、高位基準電圧VRH、低位基準電圧VRL及び7つの参照電圧V2,V4…V14で区切られる範囲のいずれに属するかによって、設定用コンパレータP2等の出力OP2等が”H”あるいは”L”になる。このため、アナログ電圧VINと各設定用コンパレータP2〜P14の変換用コンパレータ出力OP2〜OP14とは、図21に示す表の左半分に示す関係となる。この設定用コンパレータの出力OP2等はコンパレータ制御回路部411に入力される。
【0164】
コンパレータ制御回路部411では、入力されたこの設定用コンパレータ出力OP2〜OP14に所定の論理処理を施し、実施形態3と同様の第1設定信号CONTG1A〜CONTG8A、及び第2設定信号CONTG1B〜CONTG8Bを出力する。実施形態3と同様に、変換用コンパレータ1〜15は、8つグループG1〜G8に分けられている。グループG1はコンパレータ1のみを含んでいるが、他のグループG2〜G8は、いずれも2つの変換用コンパレータを含んでいる。従って、第1,第2設定信号CONTG1A等により、15ヶの変換用コンパレータ1〜15は、各グループに含まれる1ヶまたは2ヶ毎にその状態設定がなされる。変換用コンパレータ1〜15と設定用コンパレータP2等とは、以下のような関係になっている。即ち、最下位のグループG1を除くグループG2〜G8において、各々のグループG2等に属する変換用コンパレータのうち最下位の変換用コンパレータ(群内最下位第1コンパレータ)2,4,…,14がそれぞれ参照する参照電圧(分割群参照電圧)V2,V4、…,V14を、設定用コンパレータP2等も参照している。このようにして、7ヶの設定用コンパレータP2等と8ヶのグループG1,G2等との間に対応関係が形成されている。
【0165】
ところで、各変換用コンパレータ1〜15は、実施形態1の変換用コンパレータ1〜7(図9参照)と同じく、スイッチSWCをオンさせるVIN取り込み状態では大きく電力を消費するが、スイッチSWCがオフとなる比較状態では電力をあまり消費しない。また、第1設定信号CONTG1A等を”L”とすることで、強制的に比較状態としてコンパレータ1等を休止状態にすることができ、しかも、第2設定信号CONTG1B等によって、そのときのコンパレータ出力OUT1〜OUT15を、”H”または”L”に固定することができる。
【0166】
そこで、設定用コンパレータP2等で所定期間過去(例えば、クロック信号で1周期前)に得た設定用コンパレータ出力OP2〜OP14を用いて第1,第2設定信号CONTG1A等を得る。そして、その1周期後における変換用コンパレータ1〜15の状態設定に用いる。これにより、所定時間過去に入力され設定用コンパレータP2等で比較したアナログ電圧VINの大きさに応じて、各グループG1〜G8毎に、各変換用コンパレータ1〜15の設定状態が決定される。
【0167】
例えば、入力されるアナログ電圧VINの性質を、クロック信号CLKの1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路400で変換しうる最大振幅の1/8(グループ数の逆数)以下であると仮定する。この場合には、図21の表に示すように設定することができる。
例えば、1周期過去に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V6〜V8の範囲内であった場合、この時点での各設定用コンパレータP2等の出力(比較結果)OP2等は、図21の表の左側に示すように、下位の設定用コンパレータから順に、(H,H,H,L,L,L,L)となる。ところで、アナログ電圧VINが上述の性質を有するため、変換用コンパレータ1等でアナログ電圧VINを比較する時点で、このアナログ信号が取りうる値は、参照電圧V4〜V10の範囲に収まると予想される。つまり、変換用コンパレータ4〜9については、比較結果が予測できないこととなる。
【0168】
このように、比較結果が予測できない変換用コンパレータが限られることから、次のようにする。即ち、”H”を出力している設定用コンパレータP2等のうち、最も上位のコンパレータP6と同じ参照電圧V6を参照している変換用コンパレータ6が属する特定グループG4(特定分割群)及びこれより1つ上位及び1つ下位のグループG3,G5については、これらに属する変換用コンパレータ4〜11を動作状態(図21では○と表示)とする。比較結果が予測できないため、動作状態として比較を行うためである。一方、残余のグループG1,G2,G6,G7については、属する変換用コンパレータ1〜3、10〜15の比較結果が予め予測できる。そこで、下位のグループG1,G2に属するコンパレータ1〜3については、休止状態でかつ”H”出力状態(図21では△/Hと表示)とし、上位のグループG6,G7,G8に属するコンパレータ10〜15については、休止状態でかつ”L”出力状態(図21では△/Lと表示)とする。
【0169】
このようにしても、比較されるアナログ電圧VINの大きさが、予測通り参照電圧V4〜V10の範囲内である限り、15ヶのコンパレータ1〜15のすべてを動作状態とした場合と同じコンパレータ出力OUT1〜OUT15が得られる。従って、このようにしても正しくアナログ/デジタル変換が可能である。
しかも、このようにすることで、15ヶの変換用コンパレータ1〜15のうち、9ヶのコンパレータ1〜3,10〜15を休止状態にできるため、アナログ/デジタル変換回路400全体での消費電力を抑制することができる。
上記関係は、所定時間過去に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V2〜V4,…,V14〜VRHの範囲内のいずれの場合でも同様に当てはまる。但し、特定グループより1つ上位または1つ下位のグループが存在しない場合が有りうる。
【0170】
なお、所定時間過去に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V2より低い、つまりVRL〜V2の範囲内であった場合、この時点での各設定用コンパレータP2等の出力は、すべて”L”つまり(L,L,L,L,L,L,L)という出力となる。この場合には、その後に変換用コンパレータで比較される時点でのアナログ電圧VINは、参照電圧VRL〜V4の範囲になると予想される。そのため、変換用コンパレータ1〜3については、比較結果の予測できない。そこで、これらの属するグループG1,G2については、実際にアナログ電圧と比較するため動作状態とする。一方、これらよりも上位のグループG3〜G8及びこれらに属するコンパレータ4〜15については、休止状態でかつ”L”出力状態とする。
このようにしても、比較されるアナログ電圧VINが、予測通り参照電圧VRL〜V4の範囲内である限り、15ヶの変換用コンパレータ1〜15のすべてを動作状態とした場合と同様に、正しくアナログ/デジタル変換が可能である。しかも、このようにすることで、15ヶの変換用コンパレータのうち、12ヶのコンパレータ4〜15を休止状態にできるため、アナログ/デジタル変換回路400全体での消費電力を抑制することができる。
【0171】
かくして、設定用コンパレータP2等で比較した際(所定時間過去)のアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図21の表に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路400全体での消費電力を抑制することができることが判る。
さらに、実施形態1と比較すれば判るように、本実施形態4は、グループG1〜G8毎にコンパレータの状態設定を行うようにしているので、各コンパレータ毎に状態設定を行う場合に比して簡易なコンパレータ制御回路部411で足りる。しかも、変換用コンパレータと同数(7ヶ)の設定用コンパレータを用いた実施形態1と異なり、変換用コンパレータよりも少数の設定用コンパレータを用いいるため、比較部410の構成も簡易となる。
【0172】
このように本実施形態4のアナログ/デジタル変換回路400では、n=8ヶのグループ(分割群)に分けたm=15ヶの変換用コンパレータ1等と7ヶの設定用コンパレータP2等とを有する。また設定用コンパレータP2等は、グループ内で最下位の変換用コンパレータ2,4…、14と同じ参照電圧V2,V4、…,V14を参照している。このため、設定用コンパレータP2等とグループG1等との間に対応関係ができる。従って、設定用コンパレータP2等の比較結果に基づき、動作状態あるいは休止状態とする変換用コンパレータをグループ毎に容易かつ適切に選択することができる。またグループ毎に変換用コンパレータ1等の状態を選択するので、コンパレータ制御回路部411の構成が簡単になる。
また、一部のグループ、具体的には3〜2ヶのグループに属する変換用コンパレータのみを今回の変換で動作状態とし、他のグループに属する変換用コンパレータを休止状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路400の消費電力を大きく低減させることができる。
【0173】
なお、本実施形態4においても、実施形態1において説明したのと同様に、設定用コンパレータP2等(入力情報生成回路部412)をクロック信号CLKとは異なる第3クロック信号CLK3で駆動しても良い。第3クロック信号CLK3としては、クロック信号CLKと同じ周波数であるが、逆相の波形や1/4周期ずれた波形(図11参照)などを例示することができる。
【0174】
(実施形態5)
次いで、第5の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路500について、図22〜図27を参照して説明する。前記した実施形態1においては、変換用コンパレータを、比較動作を通常通り行いうる動作状態、及び低消費電力であるが比較動作を行い得ない休止状態のいずれかの状態に設定した。これに対し、本実施形態5では、変換用コンパレータを、比較動作を通常通り行いうる通常動作状態と、低消費電力でありしかも比較動作を行いうる低電力動作状態のいずれかの状態に設定とする点で異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0175】
アナログ/デジタル変換回路500も、クロック信号CLKで与えられる所定周期毎に、アナログ電圧VINをデジタル出力DOUTに変換する回路であり、比較部510,データラッチ120,エンコーダ140,制御回路部150を有する(図1参照)。比較部510には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。
【0176】
図22に示す比較部510は、実施形態1における比較部110(図2参照)と同じく、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRLとの間を、抵抗R1〜R8で分割して7種の参照電圧V1〜V7を得ている。また、実施形態1と同じく7ヶの差動型の設定用コンパレータP1〜P7からなる入力情報生成回路部112を有している。またこの比較部510は、コンパレータ制御回路部511と、コンパレータ制御回路部511からの設定信号CONT71〜77によって制御される変換用コンパレータ71〜77とを有する。
【0177】
入力情報生成回路部112をなす設定用コンパレータP1〜P7は、実施形態1と同じく、クロック信号CLKの周期毎に、それぞれ参照電圧V1〜V7をアナログ電圧VINと比較して、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7を出力する。コンパレータ制御回路部511は、入力された設定用コンパレータ出力OP1〜OP7に所定の論理処理を施し、設定信号CONT71〜CONT77を出力する。この設定信号CONT71等は、次回の変換、つまりクロック信号CLKの次の周期における変換用コンパレータ71〜77の状態設定に用いられる。
【0178】
変換用コンパレータ71〜77は、後述する構成を有しているため、この設定信号CONT71等により、通常のコンパレータとして比較動作をさせる通常動作状態と、通常動作状態よりも低消費電力でありながら比較動作を行いうる低電力動作状態との2つの状態に設定される。
具体的には、変換用コンパレータ71〜77は、7種の参照電圧V1〜V7をそれぞれ排他的に参照して一対一に対応しており、通常動作状態及び低電力動作状態のいずれに設定されている場合でも、入力されたクロック信号CLKの周期毎に、それぞれアナログ電圧VINと参照電圧V1等とを比較して、”H”または”L”のいずれかのレベルを有する変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7を更新して出力する。
【0179】
設定用コンパレータP1〜P7の回路構成は、実施形態1と同様である(図10参照)。従って、このアナログ/デジタル変換回路500でも、アナログ電圧VINの大きさによって、設定用コンパレータP1〜P7の出力OP1〜OP7が”H”あるいは”L”になる。具体的には、アナログ電圧VINと各設定用コンパレータP1〜P7の変換用コンパレータ出力OP1〜OP7とは、図24に示す表の左半分に示す関係となる。
【0180】
次いで、変換用コンパレータ71〜77の回路構成及び動作について、図25を参照して説明する。変換用コンパレータ71〜77はいずれも同一構成のチョッパ型のコンパレータである。従って、実施形態1において説明した、チョッパ型コンパレータの要部の構成及び動作(図5〜図9参照)は、本実施形態5においても当てはまる。但し、本実施形態5に用いる変換用コンパレータ71等では、図5に示す変換用コンパレータの要部構成のうち、インバータINVAの構成が、図7に示すインバータINVの構成と若干異なる。
【0181】
本実施形態5における変換用コンパレータ71等に用いるインバータINVAの構成を、図25に示す。図7に示すインバータINVと比較すると容易に理解できるように、本実施形態5に用いるインバータINVAは、基本インバータ部INV0と付加インバータ部INV1とが並列に形成されてなる。
このうち、基本インバータ部INV0は、PチャネルMOSトランジスタ121とNチャネルMOSトランジスタ122とが直列に接続された公知のCMOSインバータの構成を有し(図5参照)、入力端INはノードN2を通じてキャパシタC1に接続し、出力端からはコンパレータ出力OUT1〜OUT7が出力される。
一方、付加インバータ部INV1においても、PチャネルMOSトランジスタ123とNチャネルMOSトランジスタ124とが直列に接続されたCMOSインバータの構成を有しているが、各トランジスタ123,124のゲートは、アナログスイッチSWLを介して入力端INに接続している。また、トランジスタ123のドレイン及びトランジスタ124のドレインは、アナログスイッチSWMを介してコンパレータ出力OUT1〜OUT7に接続される。スイッチSWLは、設定信号CONT71等によって開閉され、具体的には、設定信号CONT71等はハイレベルとなった場合には、各トランジスタ123,124のゲートと入力端INとを接続する。逆にローレベルとなった場合には、各トランジスタ123,124のゲートを接地する。また、スイッチSWMも設定信号CONT71等によって開閉され、具体的には、設定信号CONT71等はハイレベルとなった場合にオンする。
【0182】
本実施形態5のインバータINVAは、このような構成を有するので、設定信号CONT71等がローレベルの場合には、ノードN2やキャパシタC1(図5参照)から見ると、基本インバータ部INV0のみが存在しているのと同じになる。一方、設定信号CONT71等がハイレベルの場合には、ノードN2やキャパシタC1(図5参照)からは、基本インバータ部INV0と付加インバータ部INV1とが並列に接続された状態に見えることとなる。
【0183】
従って、このインバータINVAを用いると、変換用コンパレータ71等でVIN電圧取り込み状態として、インバータINVAの固有電圧(例えばVD/2)を発生させた際に、設定信号CONT71等によって、インバータINVAに流れる貫通電流を大小2段階に制御することができることになる。即ち、設定信号CONT71等がローレベルの場合には、変換用コンパレータ71等をVIN電圧取り込み状態とする、つまり、インバータINVAの入力と出力を短絡させると、基本インバータ部INV0(トランジスタ121,122)にのみ貫通電流が流れる。一方、設定信号CONT71等がハイレベルの場合には、変換用コンパレータ71等をVIN電圧取り込み状態とすると、基本インバータ部INV0のみならず、付加インバータ部INV1(トランジスタ123,124)にも貫通電流が流れる。従って、設定信号CONT71等がハイレベルの場合を通常状態と考えると、これに比較して、ローレベルの場合の方が貫通電流が少なくなり、変換用コンパレータ71等における消費電力が小さくなる低電力状態とすることができる。
【0184】
ところで、一般にチョッパ型コンパレータを用いるアナログ/デジタル変換回路では、VIN電圧取り込み状態の期間に、インバータに流れる貫通電流を小さくなるように、インバータを構成するPチャネル及びNチャネルのトランジスタの特性を選択すると、比較状態の期間において出力をハイレベルからローレベルあるいはローレベルからハイレベルに切り換える際に、切換え時間が長くかかる。つまり、コンパレータにおける比較動作の速度、従って、アナログ/デジタル変換回路の変換時間を長くしなければならなくなる。但し、一般に、コンパレータの比較動作の速度は、アナログ入力電圧VINと参照電圧との電圧差が大きいほど早くなる。従って、たとえ貫通電流の小さいインバータを用いたコンパレータであっても、アナログ入力電圧VINと参照電圧との差が大きい場合には、十分な比較動作速度を得ることができ、正しい比較結果を得ることができる。
【0185】
本実施形態5では、変換用コンパレータ71等について、設定信号CONT71等をハイレベルとする場合を通常動作状態と呼ぶこととする。この通常動作状態は、アナログ入力電圧VINと参照電圧との電圧差が小さくても十分な比較動作速度が得られる。変換用コンパレータ71〜77のすべてをこの通常動作状態とすると、いずれの変換用コンパレータ71等についても、アナログ入力電圧VINと参照電圧との電圧差の大小に拘わらず、十分な比較動作速度が得られるので、通常通り正しくアナログ/デジタル変換ができる。但し、各変換用コンパレータ71等のインバータINVAに流れる貫通電流が相対的に大きいため、アナログ/デジタル変換回路500における消費電力が相対的に大きくなる。
【0186】
一方、変換用コンパレータ71等について、設定信号CONT71等をローレベルとする場合を低電力動作状態と呼ぶこととする。この低電力動作状態は、相対的に貫通電流が小さく、消費電力も小さくできる。但し、アナログ電圧VINと参照電圧との差が小さい場合には、十分な比較動作速度が得られない。このため、変換用コンパレータ71〜77のすべてをこの低電力動作状態とすると、一部の変換用コンパレータで十分な比較動作速度が得られないため、正しいアナログ/デジタル変換ができない場合がある。つまり、低電力動作状態とする変換用コンパレータ71等を適切に選択する必要がある。なお、実施形態1等で示したように変換用コンパレータ1等を一旦休止状態とすると、キャパシタC1の他端(ノードN2)の電位が不定になるため、休止状態から動作状態に変更するのに時間が掛かる場合がある。これに対し、本実施形態5においては、ノードN2の電位が不定となることはないので、低電力動作状態から通常動作状態への変更に掛かる時間は短くて済む。従って、より早いクロック周波数でアナログ/デジタル変換回路500は、早いクロック周波数での駆動に有利である。
【0187】
ところで、実施形態1においても説明したが、一般に、アナログ/デジタル変換回路に入力されるアナログ電圧VINの振幅は、この回路でA/D変換しうる最大振幅よりも小さく、周波数もクロック信号に比して十分低いのが通常である。つまり、あるクロック信号で定まる時点に入力されたアナログ電圧に対し、次の周期のクロック信号で定まる時点までに生じうるアナログ電圧の変化量には限界がある。従って、あるクロック信号で決まる時点に入力されたアナログ電圧が判れば、これから、次の周期のクロック信号で決まる時点で入力されるアナログ電圧はある幅を持って予測できる。
【0188】
そこで、本実施形態5では、変換用コンパレータ71〜77のうち、予測されたアナログ入力電圧を基に、アナログ電圧と参照電圧との電圧差が小さくなると予測される一部の変換用コンパレータについては、通常動作状態とする。一方、残りの変換用コンパレータは低電力動作状態とする。
【0189】
本実施形態5では、実施形態1と同じく、入力されるアナログ電圧VINの性質として、クロック信号CLKの1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路500で変換できる最大振幅の1/8(コンパレータの数に1を加えた数の逆数)以下であると仮定する。
また、アナログ電圧と参照電圧との電圧差が、最大振幅の1/8以上である場合には、変換用コンパレータ71等を低電力動作状態としても、正しく比較動作を行いうると仮定する。
これらの仮定の下で、本実施形態5のアナログ/デジタル変換回路500では、コンパレータ制御回路部511において、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7を論理処理して、設定信号CONT71等を生成し、次回の変換における変換用コンパレータ71〜77の状態を、図24に示す表の右半分に示すように設定している。なお、図24では、通常動作状態を○、低電力動作状態を△で示している。
【0190】
この表の具体的設定内容について説明する。
まず、コンパレータ制御回路部511に、自身が参照する参照電圧V1〜V7よりもクロック信号1周期分過去に入力されたアナログ電圧VINの方が大きいと判定した設定用コンパレータが存在することを示す設定用コンパレータ出力OP1〜OP7が入力されたときには、具体的には、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7のうちに”H”となったものがあったときには、以下のようにする。(1)このような判定をした設定用コンパレータのうち最も上位の(換言すれば参照電圧の電位が最も大きい)設定用コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧(つまり共通の参照電圧)を参照する特定変換用コンパレータと、この特定変換用コンパレータよりも1つ上位の変換用コンパレータと、この特定変換用コンパレータよりも2つ上位の変換用コンパレータと、この特定変換用コンパレータよりも1つ下位の変換用コンパレータと、を通常動作状態とする。(2)これ以外の変換用コンパレータを、低電力動作状態にする。
【0191】
具体的に説明する。設定用コンパレータ出力OP1〜OP7の中に、ハイレベル”H”とされた出力がある場合、つまり、アナログ電圧VINが参照電圧V1より高いと判定された場合には、以下のようにする。例えば、アナログ電圧VINとして、V4〜V5の範囲の電圧が入力されたため、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7が、(H,H,H,H,L,L,L)となった場合について考える。(1)”H”を出力している設定用コンパレータP1〜P4のうちで最も上位の設定用コンパレータP4が参照している参照電圧V4同じ参照電圧(共通の参照電圧V4)を参照している特定変換用コンパレータ74と、この変換用コンパレータ74よりも1つ上位の変換用コンパレータ75と、この変換用コンパレータ74よりも2つ上位の変換用コンパレータ76と、この変換用コンパレータ75よりも1つ下位の変換用コンパレータ73とを通常動作状態とする。
【0192】
上記したように、入力されるアナログ電圧VINの性質を、クロック信号CLKの1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路500で変換できる最大振幅の1/8以下であると仮定した。このため、次回の変換において変換用コンパレータで比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧V3〜V4,V4〜V5,またはV5〜V6のいずれかの範囲になると予想される。一方、アナログ電圧VINと参照電圧との電圧差が、最大振幅の1/8以上ある場合には、変換用コンパレータ71等を低電力動作状態としても、正しく比較動作を行いうると仮定した。これを考慮すると、アナログ電圧VINが予測される範囲(V3〜V6)内のいずれの値をとったとしても、参照電圧がV1,V2、及びV7である変換用コンパレータ71,72,77については、低電力動作状態としても正しく比較動作を行いうることが判る。逆に、変換用コンパレータ73〜76は、通常動作状態としなければ、正しく比較動作を行い得ない可能性がある。一般化して言えば、クロック信号CLKで1周期前に設定用コンパレータP1等で得た比較結果(設定用コンパレータ出力OP1等)から、”H”を出力している設定用コンパレータのうち最も上位の設定用コンパレータと同じ参照電圧を参照している特定変換用コンパレータと、これより1つ及び2つ上位の変換用コンパレータ、及び特定変換用コンパレータより1つ下位の変換用コンパレータについては、通常動作状態とする必要がある。
【0193】
(2)一方、これ以外の変換用コンパレータ71,72,77は、低電力動作状態とする。
なお、上記関係は、クロック信号CLKで1周期前に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1〜V2,V2〜V3,…,V6〜V7,V7〜VRHの範囲内のいずれであった場合でも同様に当てはまる。但し、1周期前に入力されたアナログ電圧VINがV6〜V7の範囲であった場合には、2つ上位のコンパレータは存在しないので、3つの変換用コンパレータ75,76,77のみ通常動作状態とする。また、アナログ電圧VINがV7〜VRHの範囲であった場合には、1つ及び2つ上位のコンパレータは存在しないので、2つの変換用コンパレータ76,77のみ通常動作状態とする。さらに、アナログ電圧VINがV1〜V2の範囲であった場合には、1つ下位のコンパレータは存在しないので、3つの変換用コンパレータ71,72,73のみ通常動作状態とする。
【0194】
一方、コンパレータ制御回路部511に、クロック信号CLKで1周期過去に入力されたアナログ電圧VINの方が参照電圧よりも大きいと判定した設定用コンパレータが存在しないことを示す設定用コンパレータ出力OP1〜OP7が入力されたとき、具体的には、設定用コンパレータ出力OP1〜OP7がすべて”L”の場合には、以下のようにする。(3)最下位及びこれより1つ上位(下から第2位)の変換用コンパレータ71,72を、通常動作状態とする。予測されるアナログ電圧VINの範囲(VRL〜V2)を考慮すると、参照電圧がV3〜V7である変換用コンパレータ73〜77については、低電力動作状態としても正しく比較動作を行いうる一方、変換用コンパレータ71,72は、通常動作状態としなければ、正しく比較動作を行い得ない可能性があるからである。(4)残余の変換用コンパレータ73〜77を低電力動作状態にする。
かくして、1周期前のアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図24の表の右半分に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路500全体での消費電力を抑制することができることが判る。
【0195】
そして、このよう設定された変換用コンパレータ71〜77は、通常動作状態及び低電力動作状態のいずれに設定されても、正しく比較動作を行って、適切な変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7を出力することができ、アナログ電圧VINと各変換用コンパレータ71〜77の変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7とは、図23の表に示す関係となる。この関係は、すべての変換用コンパレータを通常動作状態にした場合、つまり通常の3ビットの比較部を用いた結果と同じである。
従って、以降は、同様な処理によりエンコーダ140によって、変換用コンパレータ出力OUT1〜OUT7に従って、これに対応するデジタル出力DOUTが生成できることとなる。なお、図23の表では、デジタル出力DOUTを10進数による出力コードで表してある。
【0196】
かくして、本実施形態5に記載のアナログ/デジタル変換回路500によれば、変換用コンパレータを選択するのに用いるアナログ電圧VINのタイミングを、クロック信号CLKで決まる一定のタイミング(本実施形態5では1周期分過去)に揃えることが出来る。従って、所定時間過去の時点から今回の変換までに生じうるアナログ電圧の変化範囲に対応して、通常動作状態にする変換用コンパレータと低電力動作状態にする変換用コンパレータとを適切に選択することが出来る。また、一部の変換用コンパレータを低電力動作状態とするので、全体としてアナログ/デジタル変換回路500の消費電力を低減することができる。
また、実施形態1のように休止状態から動作状態に変更する場合に比して、低電力動作状態から通常動作状態への変更に掛かる時間は短い。このため、より早いクロック周波数でのアナログ/デジタル変換回路を駆動に有利である。
また、アナログ/デジタル変換回路500では、入力情報生成回路部512で、クロック信号CLKに従って動作する7ヶの設定用コンパレータP1等を用いて入力情報信号である出力OP1からOP7を生成する。このため、変換用コンパレータ71等の選択のタイミングを、容易に、クロック信号CLKで決まる一定のタイミング(本実施形態5では1周期分過去)に揃えることが出来る。従って、常に適切な変換用コンパレータを選択して通常動作状態あるいは低電力動作状態とすることが出来る。
【0197】
また、アナログ/デジタル変換回路500では、変換用コンパレータ71〜77と各々同じ参照電圧V1〜V7を参照する同数(7ヶ)の設定用コンパレータP1〜P7を有している。このため、7ヶの変換用コンパレータ71〜77のどれを通常動作状態とし、どれを低電力動作状態とするかを選択決定するに当たり、設定用コンパレータP1〜P7によって得た7ヶの比較結果(OP1〜OP7)を用いることができるので、選択決定が容易となる。
さらに、アナログ/デジタル変換回路500では、設定用コンパレータP1等の判定(出力OP1等)に応じて、変換用コンパレータ71〜77のうち、2〜4ヶのみを通常動作状態とし、他を低電力動作状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路500の消費電力を大きく低減させることが出来る。
さらに、このアナログ/デジタル変換回路500でも、設定用コンパレータP1〜P7として差動型コンパレータを用いているので、これにチョッパ型コンパレータを用いるよりも低消費電力にすることが出来る。
【0198】
なお、本実施形態5では、設定用コンパレータP1〜P7と変換用コンパレータ71〜77を同じクロック信号CLKで駆動し、クロック信号CLKにおける1周期分過去に得た設定用コンパレータ出力OP1等を用いて、設定信号CONT71等を生成し、次の周期における変換用コンパレータ71〜77の状態設定に用いた例を示した。
しかし、実施形態1で説明したのと同様に、クロック信号CLKとは異なる第3クロック信号CLK3で駆動しても良い(図22参照)。第3クロック信号CLK3としては、クロック信号CLKとは逆相の波形や1/4周期ずれた波形(図11(a)参照)などを持つ位相の異なる信号を用いることができる。あるいは、第3クロック信号CLK3として、クロック信号CLKの整数倍の周波数を持つ信号を用いることもできる。このような第3クロック信号CLK3を用いて、より近い過去のアナログ電圧VINを基準にするほど、その後に変化し得るアナログ電圧VINの範囲が小さくなるので、通常動作状態とする変換用コンパレータの数を少なく、低電力動作状態とする変換用コンパレータの数を多くすることができ、よりアナログ/デジタル変換回路の消費電力を抑制することができる。あるいは、同じ数の変換用コンパレータを通常動作状態とするのであれば、より振幅の大きく周波数の高いアナログ電圧VINについて、正しくアナログ/デジタル変換をすることができる。
【0199】
また、本実施形態5では、基本インバータ部INV0と付加インバータ部INV1とを有するインバータINVA(図25参照)を用いた例を示したが、インバータとしては、他の構成を採用することもできる。
【0200】
例えば、図26に示すインバータINVBは、基本インバータ部INV0のほか、PチャネルMOSトランジスタ121と並列に同じくPチャネルMOSトランジスタ123を備え、そのドレイン端子がアナログスイッチSWNを介して基本インバータ部INV0の出力OUT1等に接続されている。このスイッチSWNは、設定信号CONT71等がハイレベルとなることによってオンする。
このインバータINVBは、このような構成を有するので、設定信号CONT71等がローレベルの場合には、ノードN2やキャパシタC1(図5参照)から見ると、基本インバータ部INV0のみが存在しているのと同じになる。一方、設定信号CONT71等がハイレベルの場合には、ノードN2やキャパシタC1(図5参照)からは、基本インバータ部INV0のトランジスタ121と並列にトランジスタ123が接続された状態に見えることとなる。
従って、このインバータINVBを用いても、このインバータINVBの固有電圧を発生させる際に、設定信号CONT71等によって、流れる貫通電流を大小2段階に制御することができる。即ち、設定信号CONT71等がローレベルの場合には、インバータINVBの入力と出力とを短絡させると、基本インバータ部INV0にのみ貫通電流が流れる。一方、設定信号CONT71等がハイレベルの場合には、基本インバータ部INV0のみならず、トランジスタ121のみならずトランジスタ123を通じても貫通電流が流れるので、相対的に大きな貫通電流が流れる。従って、設定信号CONT71等がハイレベルの場合を通常状態とすると、これに比較して、ローレベルの場合の方が貫通電流が少なくなり、変換用コンパレータ71等における消費電力が小さい低電力状態とすることができる。
【0201】
これとは逆に、図27に示すように、基本インバータ部INV0のほか、トランジスタ122と並列に同じNチャネルMOSトランジスタ124を備え、そのドレイン端子がアナログスイッチSWPを介して出力OUT1等に接続されたインバータINVCを採用することもできる。このインバータINVCでも、設定信号CONT71等がハイレベルの場合に比較して、ローレベルの場合の方が貫通電流が少なくなり、変換用コンパレータ71等における消費電力を小さくできる。
【0202】
(実施形態6)
次いで、第6の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路600について、図28,図29を参照して説明する。本実施形態6のアナログ/デジタル変換回路600は、実施形態5のアナログ/デジタル変換回路500と同じく、3ビットのアナログ/デジタル変換回路である。しかし、図28と図22とを比較すると容易に理解できるように、比較部610において、設定用コンパレータP1〜P7を備えない点で異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0203】
アナログ/デジタル変換回路600も、クロック信号CLKで与えられる所定周期毎に、アナログ電圧VINを3ビットのデジタル出力DOUTに変換する回路であり、比較部610,データラッチ120,エンコーダ140,制御回路部150を有する(図1参照)。比較部610には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。
【0204】
図28に示す比較部610では、実施形態5と同様にして、7種の参照電圧V1〜V7を得ている。また、7ヶのチョッパ型のコンパレータ71〜77、及びコンパレータ制御回路部611を有している。
コンパレータ71〜77は、実施形態5における変換用コンパレータ71〜77(図5,図25参照)と同様の回路構成を有し、7種の参照電圧V1〜V7をそれぞれ排他的に参照して一対一に対応している。コンパレータ71〜77は、コンパレータ制御回路部611から出力される設定信号CONT71等により、通常のコンパレータとして比較動作をさせる通常動作状態と、通常動作状態よりも低消費電力でありながら比較動作を行いうる低電力動作状態との2つの状態のいずれかに設定される。
また、コンパレータ出力OUT1〜OUT7は、出力されてデータラッチ120に入力されるほか、それぞれ分岐してコンパレータ制御回路部611に入力される。
【0205】
コンパレータ制御回路部611は、入力されたこのコンパレータ出力OUT1〜OUT7に所定の論理処理を施し、実施形態5と同様の設定信号CONT71〜CONT77を出力する。
各コンパレータ71〜77は、実施形態5の変換用コンパレータ71〜77(図5,図25参照)と同様の回路構成を有しているから、設定信号CONT71等をハイレベルとする通常動作状態では、スイッチSWLがノードN2に接続され、スイッチSWMがオンして、VIN取り込み状態で大きな貫通電流が流れて相対的に大きな電力を消費する。一方、設定信号71等をローレベルとする低電力動作状態では、VIN取り込み状態で流れる貫通電流が相対的に少なくなり、消費電力も少なくできる。
但し、実施形態5において説明したのと同じく、コンパレータ71等を通常動作状態とすると、アナログ入力電圧VINと参照電圧との電圧差が小さくても十分な比較動作速度が得られる。一方、コンパレータ71等を低電力動作状態とすると、相対的に貫通電流を小さく消費電力も小さくできるが、アナログ電圧VINと参照電圧との差が小さい場合に、十分な比較動作速度が得られない。
【0206】
そこで、コンパレータ71〜77で前回(1周期前)の変換で得たコンパレータ出力OUT1〜OUT7を用いて設定信号CONT71等を得る。そして、これを次(これより1周期後)の変換のためのコンパレータ71〜77の状態設定に用いる。具体的には、図29の表に示すようにして、前回の変換に用いたアナログ電圧VINの大きさに応じて、各コンパレータ71〜77の設定状態を決定する。
【0207】
例えば、前回の変換に用いたアナログ電圧VINが、参照電圧V4〜V5の範囲内であった場合、この時点での各コンパレータ71〜77の出力(比較結果)は、下位のコンパレータから順に、(H,H,H,H,L,L,L)となる。
ところで、入力されるアナログ電圧VINの性質を、1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路600で変換できる最大振幅の1/8(コンパレータの数に1を加えた数の逆数)以下であると仮定する。この場合には、次回の変換で比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧V3〜V6の範囲になると予想される。
【0208】
さらに、アナログ電圧と参照電圧との電圧差が、最大振幅の1/8以上である場合には、コンパレータ71等を低電力動作状態としても、正しく比較動作を行いうると仮定する。これを考慮すると、1周期分後にアナログ電圧VINが範囲(V3〜V6)内のいずれの値をとったとしても、参照電圧がV1,V2、及びV7であるコンパレータ71,72,77については、低電力動作状態としても正しく比較動作を行いうることが判る。一方、コンパレータ73〜76は、通常動作状態としなければ、正しく比較動作を行い得ない可能性がある。一般化して言えば、クロック信号CLKで1周期前にコンパレータ71等で得た比較結果(コンパレータ出力OUT1等)から、”H”を出力しているコンパレータ71〜74のうち最も上位の特定コンパレータ74と、これより1つ及び2つ上位の変換用コンパレータ75,76、及び特定コンパレータより1つ下位の変換用コンパレータ73について、通常動作状態とする。一方、これ以外の変換用コンパレータ71,72,77は、低電力動作状態とする。
【0209】
このようにしても、次の変換で比較されるアナログ電圧VINが、予想された参照電圧VR3〜V6の範囲内である限り、7ヶのコンパレータ1〜7のすべてを通常動作状態とした場合と同じ正しいコンパレータ出力OUT1〜OUT7が得られる。
しかも、このようにすることで、7ヶのコンパレータのうち、3ヶのコンパレータ1,2,7を低電力動作状態にできるため、アナログ/デジタル変換回路600全体での消費電力を抑制することができる。
【0210】
なお、上記関係は、クロック信号CLKで1周期前に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1〜V2,V2〜V3,…,V6〜V7,V7〜VRHの範囲内のいずれであった場合でも同様に当てはまる。但し、1周期前に入力されたアナログ電圧VINがV6〜V7の範囲であった場合には、コンパレータ75,76,77のみ通常動作状態とする。また、アナログ電圧VINがV7〜VRHの範囲であった場合には、コンパレータ76,77のみ通常動作状態とする。さらに、アナログ電圧VINがV1〜V2の範囲であった場合には、コンパレータ71,72,73のみ通常動作状態とする。
【0211】
一方、コンパレータ制御回路部611に、クロック信号CLKで1周期過去に入力されたアナログ電圧VINの方が参照電圧よりも大きいと判定したコンパレータが存在しないことを示す出力OUT1〜OUT7が入力されたとき、具体的には、コンパレータ出力OUT1〜OUT7がすべて”L”の場合には、以下のようにする。即ち、最下位及びこれより1つ上位のコンパレータ71,72を、通常動作状態とし、他のコンパレータ73〜77を低電力動作状態にする。
かくして、1周期前のアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図29の表に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路600全体での消費電力を抑制することができることが判る。さらに、本実施形態6では、実施形態5と比較すれば判るように、設定用コンパレータP1等を別途形成する必要もなく、より簡易なアナログ/デジタル変換回路となる。
【0212】
本実施形態6のアナログ/デジタル変換回路600では、コンパレータ71〜77を通常動作状態あるいは低電力動作状態に選択するのに用いるアナログ電圧のタイミングを、常に前回の変換のタイミングに揃えることが出来る。従って、常に適切なコンパレータを通常動作状態あるいは低電力動作状態として選択することができ、低電力動作状態にする残余のコンパレータの数を多くすることが出来るから、より低消費電力のアナログ/デジタル変換回路となし得る。
また、アナログ/デジタル変換回路600では、前回の変換におけるコンパレータ71等の各出力OUT1等を入力情報信号として用いて、今回の変換で通常動作状態とするあるいは低電力動作状態にするコンパレータを選択決定する。従って、実施形態5入力情報信号を生成するための回路が不要であり、簡易な構成とすることができる。
アナログ/デジタル変換回路600では、前回の変換におけるコンパレータ71〜77の出力OUT1等によって、今回の変換において、コンパレータ71〜77のうち、4つ〜2つのみを通常動作状態とし、他を低電力動作状態にする。従って、アナログ/デジタル変換回路600の消費電力を大きく低減させることができる。
【0213】
(変形形態3)
次いで、実施形態6を変形した変形形態3について、図30を参照して説明する。実施形態6のアナログ/デジタル変換回路600では、コンパレータ71〜77としてチョッパ型のコンパレータ(図5,図25参照)を用いた。これに対し、本変形形態3では、差動型のコンパレータを用いた点のみが異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0214】
上述のように、本変形形態3のコンパレータ71〜77は、差動型のコンパレータである(図30参照)。即ち、コンパレータ71〜77は、差動回路160によって、アナログ電圧VINと参照電圧V1等とを比較する。差動回路160はCMOSで構成され、ゲートにアナログ電圧VINが与えられるNチャネル151と、ゲートに参照電圧V1〜V7のいずれかが与えられるNチャネル152を有している。Nチャネル151のドレインはPチャネル153を介して、Nチャネル152のドレインはPチャネル154を介して、それぞれ電源電位VDに接続されている。Pチャネル153,154のゲートは、いずれもNチャネル151のドレインに接続されている。また、Nチャネル151,152のソースは共通接続され、Nチャネル156を及び定電流回路155を介して接地されている。この差動回路160では、アナログ電圧VINと参照電圧V1等との差が、Nチャネル152のドレイン電圧として現れる。Nチャネル152のドレインは、スイッチSWQを介して、保持回路162に接続している。この保持回路162は、インバータ158,159が直列に接続され、インバータ158の入力端とインバータ159の出力端との間の接続をスイッチSWRで開閉する。さらに、インバータ158の出力端から分岐したインバータ161からコンパレータ出力OUT1〜OUT7が出力される。
なお、スイッチSWQ,SWRは、”H”入力でオンとなり、”L”入力でオフとなるアナログスイッチである。また、スイッチSWQは、クロック信号CLKにより、またスイッチSWRはインバータ163を介してクロック信号CLKによって制御されているから、クロック信号CLKが”H”の場合には、スイッチSWQとSWRとは互いに逆相に開閉される。
【0215】
クロック信号CLKが”H”のときには、スイッチSWQはオンし、スイッチSWRがオフとなるので、参照電圧V1等とアナログ電圧VINとの比較結果が差動回路160からインバータ161を通じてコンパレータ出力OUT1等として出力される。一方、クロック信号CLKが”L”の期間には、スイッチSWQがオフし、スイッチSWRがオンするので、以前の出力結果が保持されてインバータ161から出力され続ける。
【0216】
ここで、差動回路160は、定電流回路155として、2つの定電流源155A,155Bを有している。このうち、定電流源155Aは、Nチャネル151,152のソースと接地電位との間に介在している。一方、定電流源155Bは、設定信号CONT71等によって開閉可能なスイッチ、具体的にはNチャネル157を介して、Nチャネル151,152のソースと接続している。このため、この差動回路160では、設定信号CONT71等が”H”である場合には、2つの定電流源155A,155Bの両方をそれぞれ定電流Ia,Ibが流れるから、合計して、Ia+Ibの定電流(第1定電流)が流れることとなる。一方、設定信号CONT71等が”L”のときは、定電流源155Aにのみ定電流Ia(第2定電流)が流れる。従って、この場合には、差動回路160に流れる定電流を減少させることができ、低消費電力となる。但し、差動回路160に流す定電流が少なくなると、Nチャネル152のドレイン電圧の変化が緩慢になるので、アナログ電圧VINが変化を反映して正しい比較結果が得られるようになるまでの時間(比較動作に要する時間)が長くなる。一方、この比較動作に要する時間は、アナログ電圧VINと参照電圧V1等との電圧差が大きいほど短くなる。
従って、本変形形態1のように、差動型のコンパレータ1〜7を用いても、実施形態6と同様にして、A/D変換することができる。本変形形態では、一般にチョッパ型のコンパレータよりも消費電力の小さい差動型のコンパレータを用いながらも、さらに消費電力を低減したアナログ/デジタル変換回路600とすることができる。
【0217】
(実施形態7)
次いで、第7の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路700について、図31〜図34を参照して説明する。本実施形態7のアナログ/デジタル変換回路700は、設定用コンパレータを用いない点で実施形態6と同様であるが、4ビットのアナログ/デジタル変換回路であり、15ヶのコンパレータ1〜15を用いる点、コンパレータを2と3、4と5というように2つのコンパレータを1つのグループとして、設定信号CONTG71等でグループ毎にコンパレータの状態設定を行う点で異なる。従って、異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0218】
アナログ/デジタル変換回路700も、クロック信号CLKで与えられる所定周期毎に、アナログ電圧VINをデジタル出力DOUTに変換する回路であり、比較部710,データラッチ320,エンコーダ340,制御回路部150を有する(図1参照)。比較部710には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。
【0219】
図31に示す比較部710では、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRLとの間に直列に接続された16ヶの相等しい分圧用の抵抗R1〜R16によって、15種の参照電圧V1〜V15を得ている。また、15ヶのチョッパ型のコンパレータ1〜15、及びコンパレータ制御回路部711を有している。
コンパレータ1〜15は、実施形態5における変換用コンパレータ1〜7(図5,図25参照)、及び実施形態6におけるコンパレータ1〜7と同様の回路構成を有しており、15種の参照電圧V1〜V15をそれぞれ排他的に参照し一対一に対応している。このコンパレータ1〜15は、コンパレータ制御回路部711から出力される設定信号CONTG71等により、通常動作状態と低電力動作状態のいずれかに設定される。
また、コンパレータ出力OUT1〜OUT15は、データラッチ320に入力されるほか、それぞれ分岐してコンパレータ制御回路部711に入力される。
なお、図31では、クロック信号CLKと各コンパレータとの接続配線を省略して記載したが、実施形態5(図22参照)や実施形態6(図28参照)と同様に、クロック信号CLKはコンパレータ1〜15にそれぞれ入力される。
【0220】
コンパレータ制御回路部711は、入力されたこのコンパレータ出力OUT1〜OUT15に所定の論理処理を施し、実施形態5,6と同様の設定信号CONTG71〜CONTG78を出力する。但し、実施形態5,6とは異なり、この設定信号CONTG71等は、設定信号CONTG71を除き、それぞれ2ヶのコンパレータを含む1つのグループG72〜G78の状態設定をする。例えば、設定信号CONTG78は、グループG78に属する2つのコンパレータ14,15に入力され、これら2つのコンパレータ14,15の状態を同時に設定する。一方、設定信号CONTG71は、グループG71に含まれる1つのコンパレータ1に入力され、このコンパレータ1の状態を設定する。このように、コンパレータ1〜15は、8つグループG71〜G78に分けられている。
【0221】
各コンパレータ1〜15は、実施形態5の変換用コンパレータ1〜7(図5,図25参照)と同様の回路構成を有しているから、設定信号CONTG71等をハイレベルとする通常動作状態では、スイッチSWLがノードN2に接続され、スイッチSWMがオンして、VIN取り込み状態で大きな貫通電流が流れて相対的に大きな電力を消費する。一方、設定信号CONTG71等をローレベルとする低電力動作状態では、VIN取り込み状態で流れる貫通電流が相対的に少なくなり、消費電力も少なくできる。
但し、実施形態5において説明したのと同じく、コンパレータ71等を通常動作状態とすると、アナログ入力電圧VINと参照電圧との電圧差が小さくても十分な比較動作速度が得られる。一方、コンパレータ71等を低電力動作状態とすると、相対的に貫通電流を小さく消費電力も小さくできるが、アナログ電圧VINと参照電圧との差が小さい場合に、十分な比較動作速度が得られない。
【0222】
そこで、コンパレータ1〜15で前回(1周期前)の変換で得たコンパレータ出力OUT1〜OUT15を用いて設定信号CONTG71等を得る。そして、この次(これより1周期後)の変換でのコンパレータ1〜15の状態設定に用いる。
具体的には、図32及び図33の表に示すように、前回の変換に用いたアナログ電圧VINの大きさに応じて、各コンパレータ1〜15の設定状態を決定する。例えば、前回の変換に用いたアナログ電圧が、参照電圧V6〜V7の範囲内であった場合、この時点での各コンパレータ1〜15の出力(比較結果)は、下位のコンパレータから順に、(H,H,H,H,H,H,L,L,L,L,L,L,L,L,L)という出力、つまり出力コードで表して「6」となる(図32参照)。
ところで、入力されるアナログ電圧VINの性質を、1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路700で変換しうる最大振幅の1/8(グループ数の逆数)以下であると仮定する。この場合には、次回の変換で比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧V4〜V9の範囲(取りうる出力コードで「4」〜「8」)になると予想される。
【0223】
さらに、アナログ電圧と参照電圧との電圧差が、最大振幅の1/8以上である場合には、コンパレータ71等を低電力動作状態としても、正しく比較動作を行いうると仮定する。これを考慮すると、1周期分後にアナログ電圧VINが範囲(V5〜V10)内のいずれの値をとったとしても、参照電圧がV1,V2、及びV11〜V14であるコンパレータ71,72、及び81〜85については、低電力動作状態としても正しく比較動作を行いうることが判る。一方、コンパレータ73〜80は、通常動作状態としなければ、正しく比較動作を行い得ない可能性がある。ところで、上述したように、本実施形態7では、各コンパレータ71〜85を8つのグループに分け、各グループG71等毎に通常動作状態あるいは低電力動作状態に設定する。従って、グループ内に属するコンパレータのいずれかについて通常動作状態とする必要がある場合には、そのコンパレータが属するグループについて通常動作状態とする必要がある。このように考えると、グループG72〜G76に属するコンパレータ72〜81を通常動作状態とする必要があることが判る。一方グループG71,G77,G78に属するコンパレータ71,82〜85は、低電力動作状態としても良いことが判る。
【0224】
これらを一般化して言えば、クロック信号CLKで1周期前にコンパレータ71等で得た比較結果(コンパレータ出力OUT1等)から、”H”を出力しているコンパレータ71〜76のうち最も上位のコンパレータ76の属する特定グループG74と、これより1つ及び2つ上位のグループG75,G76、及び特定グループG74より1つ及び2つ下位のグループG73,G72に属するコンパレータ72〜81については、通常動作状態とする。一方、これ以外のグループG1,G77,G78に属するコンパレータ71,82〜85は、低電力動作状態とすればよいことが判る。
上記関係は、1周期前に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V1〜VRHの範囲内のいずれの場合でも同様に当てはまる。但し、特定グループより2つ上位、1つ及び2つ上位、1つ及び2つ下位、または2つ下位のグループのいずれかが存在しない場合が有りうる。
【0225】
なお、1周期前に入力されたアナログ電圧VINが、VRL〜V1の範囲内であった場合、この時点でのコンパレータ71等の出力は、すべて”L”となる。この場合には、その1周期後にコンパレータ71等で比較されるアナログ電圧VINは、参照電圧VRL〜V3の範囲になると予想される。
さらに、アナログ電圧と参照電圧との電圧差を考慮すると、アナログ電圧VINが範囲(VRL〜V3)内のいずれの値をとったとしても、参照電圧がV5〜V15であるコンパレータ75〜85については、低電力動作状態としても正しく比較動作を行いうることが判る。一方、コンパレータ71〜74は、通常動作状態としなければ、正しく比較動作を行い得ない可能性がある。さらに、グループ等毎にコンパレータ71等の状態設定をすることを考慮すると、グループG71〜G73(コンパレータ71〜75)を通常動作状態とする必要があることが判る。一方、グループG74〜G78(コンパレータ76〜85)は、低電力動作状態としても良いことが判る。
【0226】
かくして、前回の変換に用いたアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図32〜図34の表に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路700全体での消費電力を抑制することができることが判る。
さらに、実施形態6と比較すれば判るように、本実施形態7は、グループG71〜G78毎にコンパレータの状態設定を行うようにしているので、各コンパレータ毎に状態設定を行う場合に比して簡易なコンパレータ制御回路部711で足りる。
【0227】
このように、本実施形態7のアナログ/デジタル変換回路700では、コンパレータ71〜85をグループ(分割群)G71〜G78毎に通常動作状態及び低電力動作状態のいずれかにする。従って、コンパレータ71等を通常動作状態及び低電力動作状態にするためのコンパレータ制御回路部711の構成が簡単になる。
また、このアナログ/デジタル変換回路700では、前回の変換で得たコンパレータ71〜85の各出力OUT1等を今回の変換の際のコンパレータ71等の選択に使用する。しかも、コンパレータ71等をn=8ヶのグループ(分割群)に分け、5〜3ヶのグループ(分割群)に属するコンパレータのみを今回の変換で通常動作状態とし、他のグループ(分割群)に属するコンパレータを低電力動作状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路700の消費電力を大きく低減させることができる。
【0228】
(変形形態4)
上記実施形態7では、コンパレータ1〜15として、チョッパ型のコンパレータ(図5、図25参照)を用いたが、これに代えて、前記した変形形態3と同じく、差動型のコンパレータ(図30参照)を用いるようにすることもできる。このようにすると、一般にチョッパ型のコンパレータよりも消費電力の小さい差動型のコンパレータを用いながらも、さらに消費電力を低減したアナログ/デジタル変換回路とすることができる。
【0229】
(実施形態8)
次いで、第8の実施形態にかかる並列型のアナログ/デジタル変換回路800について、図35,図36を参照して説明する。本実施形態8のアナログ/デジタル変換回路800は、実施形態5と同様に変換用コンパレータのほかに7ヶの設定用コンパレータを用いるが、4ビットのアナログ/デジタル変換回路であり、15ヶの変換用コンパレータを用いる点で異なる。また、実施形態7と異なり設定用コンパレータをも用いるが、実施形態7と同様に、変換用コンパレータを2と3、4と5というように2つのコンパレータを1つのグループとして、設定信号CONTG71等で変換用コンパレータ1〜15の状態設定を行う。従って、実施形態5及び7と異なる部分を中心に説明し、同様な部分は同じ番号を付すと共に、その説明を省略あるいは簡略化する。
【0230】
アナログ/デジタル変換回路800も、クロック信号CLKで与えられる所定周期毎に、アナログ電圧VINをデジタル出力DOUTに変換する回路であり、比較部810,データラッチ320,エンコーダ340,制御回路部150を有する(図1参照)。比較部410には、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRL、アナログ電圧VINのほか、制御回路部150からクロック信号CLKが入力される。
【0231】
図35に示す比較部810では、高位基準電圧VRHと低位基準電圧VRLとの間に直列に接続された16ヶの相等しい分圧用の抵抗R1〜R16によって、15種の参照電圧V1〜V15を得ている。また、15ヶのチョッパ型の変換用コンパレータ71〜85、7ヶの差動型の設定用コンパレータP2〜P14からなる入力情報生成回路部412、及びコンパレータ制御回路部811を有している。
【0232】
このうち、入力情報生成回路部412をなす設定用コンパレータP2,P4…P14は、実施形態5における設定用コンパレータ1〜7(図10参照)と同様の回路構成を有しており、15種の参照電圧V1〜V15のうち、1つおきのV2,V4…V14をそれぞれ参照している。この設定用コンパレータP2等は、入力されたクロック信号CLKの周期毎に、それぞれアナログ電圧VINと比較して、”H”または”L”のいずれかに設定用コンパレータ出力OP2,OP4…OP14を更新して出力する。
コンパレータ制御回路部811は、入力されたこの設定用コンパレータ出力OP2〜OP14に所定の論理処理を施し、設定信号CONTG71〜CONTG78を出力する。設定信号CONTG71等は、次回の変換、つまりクロック信号CLKの次の周期における変換用コンパレータ71〜85の状態設定に用いられる。
【0233】
変換用コンパレータ71〜85は、実施形態5における変換用コンパレータ71〜77(図5,図25参照)と同様の回路構成を有しており、コンパレータ制御回路部811から出力される設定信号CONTG71等により、通常のコンパレータとして比較動作をさせる通常動作状態と、通常動作状態よりも低消費電力でありながら比較動作を行いうる低電力動作状態との2つの状態のいずれかに設定される。
このアナログ/デジタル変換回路800では、アナログ電圧VINの大きさが、高位基準電圧VRH、低位基準電圧VRL及び7つの参照電圧V2,V4…V14で区切られる範囲のいずれに属するかによって、設定用コンパレータP2等の出力OP2等が”H”あるいは”L”になる。このため、アナログ電圧VINと各設定用コンパレータP2〜P14の変換用コンパレータ出力OP2〜OP14とは、図36に示す表の左半分に示す関係となる。この設定用コンパレータの出力OP2等はコンパレータ制御回路部811に入力される。
【0234】
コンパレータ制御回路部811では、入力されたこの設定用コンパレータ出力OP2〜OP14に所定の論理処理を施し、実施形態7と同様の設定信号CONTG71〜CONTG78を出力する。実施形態7と同様に、変換用コンパレータ71〜85は、8つグループG71〜G78に分けられている。グループG71はコンパレータ1のみを含んでいるが、他のグループG72〜G78は、いずれも2つの変換用コンパレータを含んでいる。従って、設定信号CONTG71等により、15ヶの変換用コンパレータ1〜15は、各グループに含まれる1ヶまたは2ヶ毎にその状態設定がなされる。変換用コンパレータ71〜85と設定用コンパレータP2等とは、以下のような関係になっている。即ち、最下位のグループG71を除くグループG72〜G78において、各々のグループG72等に属する変換用コンパレータのうち最下位の変換用コンパレータ(群内最下位第1コンパレータ)2,4,…,14がそれぞれ参照する参照電圧(分割群参照電圧)V2,V4、…,V14を、設定用コンパレータP2等も参照している。このようにして、7ヶの設定用コンパレータP2等と8ヶのグループG1,G2等との間に対応関係が形成されている。
【0235】
ところで、各変換用コンパレータ71〜85は、実施形態5の変換用コンパレータ71〜77(図25参照)と同様の回路構成を有しているから、設定信号CONTG71等を”H”とすると通常動作状態となる。一方、設定信号CONTG71等を”L”とすると低電力動作状態となる。
そこで、設定用コンパレータP2等で所定時間過去(例えば、クロック信号で1周期前)に得た設定用コンパレータ出力OP2〜OP14を用いて設定信号CONTG71等を得る。そして、その1周期後における変換用コンパレータ71〜85の状態設定に用いる。これにより、所定時間過去に入力され設定用コンパレータP2等で比較したアナログ電圧VINの大きさに応じて、各グループG71〜G78毎に、各変換用コンパレータ71〜85の設定状態が決定される。
【0236】
例えば、入力されるアナログ電圧VINの性質を、クロック信号CLKの1周期分の期間にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が、アナログ/デジタル変換回路400で変換しうる最大振幅の1/8(グループ数の逆数)以下であると仮定する。
例えば、1周期過去に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V6〜V8の範囲内であった場合、この時点での各設定用コンパレータP2等の出力(比較結果)OP2等は、図21の表の左側に示すように、下位の設定用コンパレータから順に、(H,H,H,L,L,L,L)となる。ところで、アナログ電圧VINが上述の性質を有するため、変換用コンパレータ71等でアナログ電圧VINを比較する時点で、このアナログ信号が取りうる値は、参照電圧V4〜V10の範囲に収まると予想される。
【0237】
さらに、アナログ電圧と参照電圧との電圧差が、最大振幅の1/8(グループ数の逆数)以上である場合には、変換用コンパレータ71等を低電力動作状態としても、正しく比較動作を行いうると仮定する。これを考慮すると、アナログ電圧VINが範囲(V4〜V10)内のいずれの値をとったとしても、参照電圧がV1,V2、及びV12〜V15である変換用コンパレータ71,72,82〜85については、低電力動作状態としても正しく比較動作を行いうることが判る。一方、変換用コンパレータ73〜81は、通常動作状態としなければ、正しく比較動作を行い得ない可能性がある。ところで、上述したように、本実施形態8では、各変換用コンパレータ71〜85を8つのグループに分け、各グループG71等毎に通常動作状態あるいは低電力動作状態に設定する。従って、グループ内に属する変換用コンパレータのいずれかについて通常動作状態とする必要がある場合には、その変換用コンパレータが属するグループについて通常動作状態とする必要がある。このように考えると、グループG72〜G76(コンパレータ72〜81)を通常動作状態とする必要があることが判る。一方グループG71,G77,G78(コンパレータ71,82〜85)は、低電力動作状態としても良いことが判る。
【0238】
これを一般化して言えば、所定時間過去に設定用コンパレータP2等で得た比較結果(設定用コンパレータ出力OP2等)から、”H”を出力している設定用コンパレータP2,P4,P6のうち最も上位の設定用コンパレータP6と同じ参照電圧を参照する変換用コンパレータ76の属する特定グループG74と、これより1つ及び2つ上位のグループG75,G76、及び特定グループG74より1つ及び2つ下位のグループG73,G72に属するコンパレータ72〜81については、通常動作状態とする。一方、これ以外のグループG1,G77,G78に属する変換用コンパレータ71,82〜85は、低電力動作状態とすればよいことが判る。
上記関係は、所定時間過去に入力されたアナログ電圧VINが、参照電圧V2〜VRHの範囲内のいずれの場合でも同様に当てはまる。但し、特定グループより2つ上位、1つ及び2つ上位、1つ及び2つ下位、または2つ下位のグループのいずれかが存在しない場合が有りうる。
【0239】
なお、所定時間過去に入力されたアナログ電圧VINが、VRL〜V2の範囲内であった場合、この時点での各設定用コンパレータP2等の出力は、すべて”L”つまり(L,L,L,L,L,L,L)という出力となる。この場合には、その後に変換用コンパレータ71等で比較される時点でのアナログ電圧VINは、参照電圧VRL〜V4の範囲になると予想される。
さらに、アナログ電圧と参照電圧との電圧差を考慮すると、アナログ電圧VINが範囲(VRL〜V4)内のいずれの値をとったとしても、参照電圧がV6〜V15である変換用コンパレータ76〜85については、低電力動作状態としても正しく比較動作を行いうることが判る。一方、変換用コンパレータ71〜75は、通常動作状態としなければ、正しく比較動作を行い得ない可能性がある。なおこの場合には、グループ毎に状態設定をすることを考慮しても同じ結果となり、グループG71〜G73(変換用コンパレータ71〜75)を通常動作状態とする必要があることが判る。一方、グループG74〜G78(変換用コンパレータ76〜85)は、低電力動作状態としても良いことが判る。
【0240】
かくして、前回の変換に用いたアナログ電圧VINが、低位基準電圧VRL〜高位基準電圧VRHの範囲のいずれの値であった場合にも、図36の表に示す設定状態の関係が得られ、いずれの場合でも、アナログ/デジタル変換回路800全体での消費電力を抑制することができることが判る。
さらに、実施形態5と比較すれば判るように、本実施形態8は、グループG71〜G78毎に変換用コンパレータの状態設定を行うようにしているので、各変換用コンパレータ毎に状態設定を行う場合に比して簡易なコンパレータ制御回路部811で足りる。しかも、変換用コンパレータと同数(7ヶ)の設定用コンパレータを用いた実施形態5と異なり、変換用コンパレータよりも少数の設定用コンパレータを用いいるため、比較部810の構成も簡易となる。
【0241】
このように、本実施形態8のアナログ/デジタル変換回路800では、n=8ヶのグループ(分割群)に分けたm=15ヶの変換用コンパレータと7ヶの設定用コンパレータとを有する。また設定用コンパレータは、グループ内で最下位の変換用コンパレータ72,74,…84と同じ参照電圧V2,V4…V14を参照している。従って、設定用コンパレータP2等とグループG71等とに対応関係ができる。このため、設定用コンパレータP2等の比較結果に基づき、通常動作状態あるいは低電力動作状態とする変換用コンパレータ71等をグループ毎に容易かつ適切に選択することができる。またグループ毎に変換用コンパレータ71等の状態を選択するので、コンパレータ制御回路部811の構成が簡単になる。
また、一部のグループ、具体的には、5〜3ヶのグループに属する変換用コンパレータのみを今回の変換で通常動作状態とし、他のグループに属する変換用コンパレータを低電力動作状態とする。従って、アナログ/デジタル変換回路800の消費電力を大きく低減させることができる。
【0242】
なお、本実施形態8においても、実施形態5において説明したのと同様に、設定用コンパレータP2等(入力情報生成回路部412)をクロック信号CLKとは異なる第3クロック信号CLK3で駆動しても良い。第3クロック信号CLK3としては、クロック信号CLKと同じ周波数であるが、逆相の波形や1/4周期ずれた波形(図11参照)などを例示することができる。
【0243】
以上において、本発明を実施形態1〜8及び変形形態1〜4に即して説明したが、本発明は上記実施形態等に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で、適宜変更して適用できることはいうまでもない。
例えば、アナログ/デジタル変換回路100等では、入力されるアナログ信号VINの振幅が大きくまた周波数が高くなって、クロック信号の1周期分の期間あるいは所定期間内にアナログ電圧VINが変化しうる範囲が大きくなり過ぎると、正確にAD変換できない。これに対しては、動作状態とするコンパレータの数を増加させることで対処できるが、アナログ/デジタル変換回路の消費電力の低減効果が少なくなる。一方、すべての期間にわたってアナログ信号を正確に変換できなくても、実施形態2において説明したように、入力されるアナログ信号の性質と本発明のアナログ/デジタル変換回路の特性とを考慮することで、低消費電力であるメリットを得つつ、必要な期間だけAD変換の結果を利用することもできる。
【0244】
上記実施形態1等においては、休止状態としたコンパレータについては、第1設定信号CONT1A等と第2設定信号CONT1B等を用いて、強制的に”H”または”L”を出力するように、コンパレータの回路を構成した(図9,図10参照)。しかし、図1に破線で示すように、比較部110から、動作状態としたコンパレータあるいは休止状態としたコンパレータについての情報を設定信号CONTとして出力し、これをエンコーダ140に入力することで、エンコーダ140において休止状態としたコンパレータからの出力を無視し、エンコーダ140自身で必要データを補うなどして、デジタル出力DOUTを出力するように構成しても良い。但し、実施形態1などのように、強制的に”H”または”L”を出力するようにすると、データラッチ120以降の回路構成として、従前と同様の回路構成を採用することができる利点がある。
また、上記実施形態1等では、チョッパ型コンパレータにおいて、スイッチSWA,SWCとオフとする一方、スイッチSWBをオンとすること、つまり比較状態(図6参照)にしこれを保持することを、休止状態に対応させた。しかし、このほか、スイッチSWCをオフに保持してインバータINVに貫通電流が流れないようにし、スイッチSWA,SWBは、現在の状態を保持するようにしても良い。アナログスイッチで有るスイッチSWA,SWBのオン/オフを切り換える際にも若干の電力の消費があるから、このようにするとさらに電力消費を低減できる。
【0245】
(付記1)
複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々通常の動作状態と低消費電力状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記通常の動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記低消費電力状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
を備えるアナログ/デジタル変換回路。
(付記2)
複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々動作状態と休止状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記休止状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
を備えるアナログ/デジタル変換回路。
(付記3)
付記2に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記コンパレータ制御回路部は、
前記第1クロック信号に同期しつつこれと異なる位相または上記第1クロック信号の整数倍の周波数を有する第2クロック信号を用いる
アナログ/デジタル変換回路。
(付記4)
付記2または付記3に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、q種(qは、q>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照し、前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの第2コンパレータを有し、比較結果を前記入力情報信号として出力する入力情報生成回路部を備える
アナログ/デジタル変換回路。
(付記5)
付記4に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記6)
付記4に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有し、
前記コンパレータ制御回路部は、
上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示す前記入力情報信号が入力されたときには、
上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧を参照する特定第1コンパレータと、所定の場合にはこの特定第1コンパレータに隣接する第1コンパレータのうち少なくともいずれか1つとを、前記動作状態とし、
残余の第1コンパレータを前記休止状態に保持し、
上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示す前記入力情報信号が入力されたときには、
最下位の第1コンパレータを、前記動作状態とし、
残余の第1コンパレータを前記休止状態に保持する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記7)
付記6に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記所定の場合が、前記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧を参照する前記第1コンパレータよりも上位の第1コンパレータが、少なくとも1つ以上存在する場合であるアナログ/デジタル変換回路。
(付記8)
付記4〜付記7のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記入力情報生成回路部は、
前記第2クロック信号を用い、
前記入力情報信号として、前記第1クロック信号の1周期より短い時間だけ過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を生成する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記9)
付記2または付記3に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、
上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた
第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、
上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、
前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とする
n−1ヶの第2コンパレータと、を有し、
前記コンパレータ制御回路部は、上記入力情報信号である上記n−1ヶの第2コンパレータの比較結果に基づき、上記第1コンパレータを上記分割群毎に前記動作状態と前記休止状態のいずれかにする
アナログ/デジタル変換回路。
(付記10)
付記2または付記3に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、
上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた
第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、
上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、
前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とする
n−1ヶの第2コンパレータと、を有し、
前記コンパレータ制御回路部は、
上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示すときには、
上記分割群のうち、
上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している上記分割群参照電圧と同じ参照電圧を参照する第1コンパレータの属する特定分割群と、
この特定分割群よりも1つ上位の分割群が存在する場合にはこの1つ上位の分割群と、
この特定分割群よりも1つ下位の分割群が存在する場合にはこの1つ下位の分割群と、に属する上記第1コンパレータを前記動作状態とし、
残余の分割群に属する第1コンパレータを前記休止状態に保持し、
上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示すときには、
最下位と最下位より1つ上位の分割群に属する第1コンパレータを前記動作状態とし、
残余の分割群に属する第1コンパレータを前記休止状態に保持する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記11)
付記4〜付記10のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記第2コンパレータは、いずれも前記第1クロック信号または第2クロック信号によって比較結果を出力する差動型コンパレータである
アナログ/デジタル変換回路。
(付記12)
付記2〜付記10のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数の第1コンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、
前記休止状態は、このチョッパ型コンパレータに含まれるスイッチ素子のうち、論理素子の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させるのに用いる短絡用スイッチ素子を開放状態とすることを含む
アナログ/デジタル変換回路。
(付記13)
付記2〜付記11のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数の第1コンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、
前記休止状態は、この差動型コンパレータに含まれる定電流源に流す電流を遮断した状態とすることを含む
アナログ/デジタル変換回路。
(付記14)
複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々通常の動作状態と低消費電力状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記通常の動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記低消費電力状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
を備えるアナログ/デジタル変換回路。
(付記15)
複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々動作状態と休止状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記休止状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
を備えるアナログ/デジタル変換回路。
(付記16)
付記15に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前回の変換における前記複数のコンパレータの各出力を、前記入力情報信号としても用いる
アナログ/デジタル変換回路。
(付記17)
付記15または付記16に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
p種(pは、p>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するpヶの前記コンパレータを有し、
前記コンパレータ制御回路部は、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、
上記判定をしたコンパレータのうち最も上位の特定コンパレータと、所定の場合にはこの特定コンパレータに隣接するコンパレータのうち少なくともいずれか1つとを、前記動作状態とし、
残余のコンパレータを前記休止状態に保持し、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、
最下位のコンパレータを、前記動作状態とし、
残余のコンパレータを前記休止状態に保持する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記18)
付記17に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記所定の場合が、前記最も上位のコンパレータよりも上位のコンパレータが、少なくとも1つ以上存在する場合である
アナログ/デジタル変換回路。
(付記19)
付記15または付記16に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、
上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、
前記コンパレータ制御回路部は、上記コンパレータを上記分割群毎に動作状態及び休止状態のいずれかとする
アナログ/デジタル変換回路。
(付記20)
付記15または付記16に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、
上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、
前記コンパレータ制御回路部は、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、
上記判定をしたコンパレータのうち最も上位のコンパレータの属する特定分割群と、この特定分割群に隣接する分割群のうち少なくともいずれか1つと、に属するコンパレータを前記動作状態とし、
残余の分割群に属するコンパレータを前記休止状態に保持し、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、
最下位の分割群、または最下位と最下位より1つ上位の分割群に属するコンパレータを前記動作状態とし、
残余の分割群に属するコンパレータを前記休止状態に保持する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記21)
付記15〜付記20のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数のコンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、
前記休止状態は、このチョッパ型コンパレータに含まれるスイッチ素子のうち、論理素子の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させるのに用いる短絡用スイッチ素子を開放状態とすることを含む
アナログ/デジタル変換回路。
(付記22)
付記15〜付記20のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数のコンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、
前記休止状態は、この差動型コンパレータに含まれる定電流源に流す電流を遮断した状態とすることを含む
アナログ/デジタル変換回路。
(付記23)
複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々通常動作状態と低電力動作状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記通常動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記低電力動作状態にする上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
を備えるアナログ/デジタル変換回路。
(付記24)
付記23に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記コンパレータ制御回路部は、
前記第1クロック信号に同期しつつこれと異なる位相または上記第1クロック信号の整数倍の周波数を有する第2クロック信号を用いる
アナログ/デジタル変換回路。
(付記25)
付記23または付記24に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、q種(qは、q>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照し、前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの第2コンパレータを有し、比較結果を前記入力情報信号として出力する入力情報生成回路部を備える
アナログ/デジタル変換回路。
(付記26)
付記25に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記27)
付記25に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記q種の参照電圧のいずれか1つを参照し、現在の前記アナログ電圧と上記参照電圧とをそれぞれ比較するqヶの前記第1コンパレータを有し、
前記コンパレータ制御回路部は、
上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示す前記入力情報信号が入力されたときには、
上記qヶの第1コンパレータのうち、
上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している参照電圧と同じ参照電圧を参照する特定第1コンパレータと、
この特定第1コンパレータよりも1つ上位の第1コンパレータが存在する場合にはこの1つの上位の第1コンパレータと、
上記特定第1コンパレータよりも2つ上位の第1コンパレータが存在する場合にはこの2つ上位の第1コンパレータと、
上記特定第1コンパレータよりも1つ下位の第1コンパレータが存在する場合にはこの1つ下位の第1コンパレータとを、前記通常動作状態とし、
残余の第1コンパレータを前記低電力動作状態とし、
上記参照電圧よりも前記所定時間過去に入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示す前記入力情報信号が入力されたときには、
最下位と最下位より1つ上位の第1コンパレータを、前記通常動作状態とし、
残余の第1コンパレータを前記低電力動作状態とする
アナログ/デジタル変換回路。
(付記28)
付記25〜付記27のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記入力情報生成回路部は、
前記第2クロック信号を用い、
前記入力情報信号として、前記第1クロック信号の1周期より短い時間だけ過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号を生成する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記29)
付記23または付記24に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、
上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた
第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、
上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、
前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とする
n−1ヶの第2コンパレータと、を有し、
前記コンパレータ制御回路部は、上記入力情報信号である上記n−1ヶの第2コンパレータの比較結果に基づき、上記第1コンパレータを上記分割群毎に前記通常動作状態と前記低電力動作状態のいずれかにする
アナログ/デジタル変換回路。
(付記30)
付記23または付記24に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、
上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた
第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、
上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、
前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とする
n−1ヶの第2コンパレータと、を有し、
前記コンパレータ制御回路部は、
上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが少なくとも1つ以上存在することを示すときには、
上記分割群のうち、
上記判定をした第2コンパレータのうち最も上位の第2コンパレータが参照している上記分割群参照電圧と同じ参照電圧を参照する第1コンパレータの属する特定分割群と、
この特定分割群よりも1つ上位の分割群が存在する場合にはこの1つ上位の分割群と、
この特定分割群よりも2つ上位の分割群が存在する場合にはこの2つ上位の分割群と、
上記特定分割群よりも1つ下位の分割群が存在する場合にはこの1つ下位の分割群と、
この特定分割群よりも2つ下位の分割群が存在する場合にはこの2つ下位の分割群と、に属する上記第1コンパレータを前記通常動作状態とし、
残余の分割群に属する第1コンパレータを前記低電力動作状態にし、
上記比較結果が上記分割群参照電圧よりも上記アナログ電圧の方が大きいと判定した第2コンパレータが存在しないことを示すときには、
最下位と最下位より1つ及び2つ上位の分割群に属する第1コンパレータを前記通常動作状態とし、
残余の分割群に属する第1コンパレータを前記低電力動作状態とする
アナログ/デジタル変換回路。
(付記31)
付記25〜付記30のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記第2コンパレータは、いずれも前記第1クロック信号または第2クロック信号によって比較結果を出力する差動型コンパレータである
アナログ/デジタル変換回路。
(付記32)
付記23〜付記31のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数の第1コンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、
このチョッパ型コンパレータは、
論理素子であって、
自身の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させる際に比較的大きな貫通電流が流れる通常状態と、
上記固有電圧を発生させる際に流れる貫通電流が上記通常状態よりも相対的に小さいために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、
の少なくともいずれかを選択可能に構成されてなる論理回路を含み、
前記低電力動作状態は、このチョッパ型コンパレータの論理回路について、上記低電力状態を選択することを含む
アナログ/デジタル変換回路。
(付記33)
付記23〜付記31のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数の第1コンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、
この差動型コンパレータは、
これに含まれる差動回路に第1定電流が流れる通常状態と、
上記差動回路に上記第1定電流よりも比較的に少ない第2定電流が流れるために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、
のいずれかを選択可能に構成されてなり、
前記低電力動作状態は、この差動型コンパレータについて、上記低電力状態を選択することを含む
アナログ/デジタル変換回路。
(付記34)
複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々通常動作状態と低電力動作状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記通常動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記低電力動作状態にする上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
を備えるアナログ/デジタル変換回路。
(付記35)
付記34に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前回の変換における前記複数のコンパレータの各出力を、前記入力情報信号としても用いる
アナログ/デジタル変換回路。
(付記36)
付記34または付記35に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
p種(pは、p>3の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するpヶの前記コンパレータを有し、
前記コンパレータ制御回路部は、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、
上記判定をしたコンパレータのうち最も上位の特定コンパレータと、
この特定コンパレータよりも1つ上位のコンパレータが存在する場合にはこの1つの上位のコンパレータと、
上記特定コンパレータよりも2つ上位のコンパレータが存在する場合にはこの2つ上位のコンパレータと、
上記特定コンパレータよりも1つ下位のコンパレータが存在する場合にはこの1つ下位のコンパレータとを、前記通常動作状態とし、
残余のコンパレータを前記低電力動作状態とし、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、
最下位と最下位から1つ上位のコンパレータを、前記通常動作状態とし、
残余のコンパレータを前記低電力動作状態とする
アナログ/デジタル変換回路。
(付記37)
付記34または付記35に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、
上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、
前記コンパレータ制御回路部は、上記コンパレータを上記分割群毎に前記通常動作状態及び前記低電力動作状態のいずれかとする
アナログ/デジタル変換回路。
(付記38)
付記34または付記35に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、
上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、
前記コンパレータ制御回路部は、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが少なくとも1つ以上存在するときには、
上記判定をしたコンパレータのうち最も上位のコンパレータの属する特定分割群と、
この特定分割群よりも1つ上位の分割群が存在する場合にはこの1つ上位の分割群と、
この特定分割群よりも2つ上位の分割群が存在する場合にはこの2つ上位の分割群と、
上記特定分割群よりも1つ下位の分割群が存在するときにはこの1つ下位の分割群と、
この特定分割群よりも2つ下位の分割群が存在する場合にはこの2つ下位の分割群と、に属するコンパレータを前記通常動作状態とし、
残余の分割群に属するコンパレータを前記低電力動作状態に保持し、
前記前回の変換において、上記参照電圧よりも入力されたアナログ電圧の方が大きいと判定したコンパレータが存在しないときには、
最下位と最下位より1つ上位の分割群、または最下位と最下位より1つ及び2つ上位の分割群に属するコンパレータを前記通常動作状態とし、
残余の分割群に属するコンパレータを前記低電力動作状態に保持する
アナログ/デジタル変換回路。
(付記39)
付記34〜付記38のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数のコンパレータは、いずれもチョッパ型コンパレータであり、
このチョッパ型コンパレータは、
論理素子であって、
自身の入力端と出力端とを短絡することにより固有電圧を発生させる際に比較的大きな貫通電流が流れる通常状態と、
上記固有電圧を発生させる際に流れる貫通電流が上記通常状態よりも相対的に小さいために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、
の少なくともいずれかを選択可能に構成されてなる論理回路を含み、
前記低電力動作状態は、このチョッパ型コンパレータの論理回路について、上記低電力状態を選択することを含む
アナログ/デジタル変換回路。
(付記40)
付記34〜付記38のいずれか1項に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
前記複数のコンパレータは、いずれも差動型コンパレータであり、
この差動型コンパレータは、
これに含まれる差動回路に第1定電流が流れる通常状態と、
上記差動回路に上記第1定電流よりも比較的に少ない第2定電流が流れるために上記通常状態よりも消費電力が少ない低電力状態と、
のいずれかを選択可能に構成されてなり、
前記低電力動作状態は、この差動型コンパレータについて、上記低電力状態を選択することを含む
アナログ/デジタル変換回路。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1,2,3にかかるアナログ/デジタル変換回路の概要を示すブロック図である。
【図2】実施形態1にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図3】実施形態1,2にかかるアナログ/デジタル変換回路における、入力電圧と、各変換用コンパレータの出力と、出力コードとの関係を示す表である。
【図4】実施形態1にかかるアナログ/デジタル変換回路における、所定時間過去の入力電圧と、各設定用コンパレータの出力と、各変換用コンパレータの設定状態との関係を示す表である。
【図5】チョッパ型の変換用コンパレータの要部の構成を示す説明図である。
【図6】図5に示すチョッパ型の変換用コンパレータの要部の動作と各スイッチの関係を示す表である。
【図7】インバータ素子の回路構成を示す回路図である。
【図8】図7におけるインバータ素子の入力電圧とドレイン電流の関係を示すグラフである。
【図9】チョッパ型の変換用コンパレータの構成を示す説明図である。
【図10】差動型の設定用コンパレータの構成を示す説明図である。
【図11】設定用コンパレータをクロック信号CLKとは異なる第3クロック信号CLK3で駆動する場合の、クロック信号CLKと第3クロック信号CLK3との関係を示す説明図であり、(a)は第3クロック信号CLK3の位相が異なる場合、(b)は第3クロック信号CLK3が2倍の周波数を有する場合である。
【図12】実施形態2にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図13】実施形態2、及び変形形態1にかかるアナログ/デジタル変換回路における、前回の変換に用いた入力電圧と、各コンパレータの出力と、出力コードと、今回の変換のための各コンパレータの設定状態と、の関係を示す表である。
【図14】実施形態2のアナログ/デジタル変換回路に、大きな電圧変化と小さな電圧変化とが交互に生じる電圧波形を入力したときの動作を説明する説明図である。
【図15】変形形態1にかかるアナログ/デジタル変換回路に用いる、差動型の変換用コンパレータの構成を示す説明図である。
【図16】実施形態3にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図17】実施形態3にかかるアナログ/デジタル変換回路における、入力電圧と各コンパレータの出力及び出力コードの関係を示す表である。
【図18】実施形態3にかかるアナログ/デジタル変換回路における、前回の変換に用いた入力電圧と、各群に属するコンパレータの設定状態と、今回の変換で取りうる出力コードの範囲との関係を示す表である。
【図19】実施形態3にかかるアナログ/デジタル変換回路における、前回の変換に用いた入力電圧と、各コンパレータの設定状態と、今回の変換で取りうる出力コードの範囲との関係を示す表である。
【図20】実施形態4にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図21】実施形態4にかかるアナログ/デジタル変換回路における、所定時間過去の入力電圧と、各設定用コンパレータの出力と、各群に属するコンパレータの設定状態との関係を示す表である。
【図22】実施形態5にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図23】実施形態5,6にかかるアナログ/デジタル変換回路における、入力電圧と、各変換用コンパレータの出力と、出力コードとの関係を示す表である。
【図24】実施形態5にかかるアナログ/デジタル変換回路における、所定時間過去の入力電圧と、各設定用コンパレータの出力と、各変換用コンパレータの設定状態との関係を示す表である。
【図25】実施形態5〜8に用いる変換用コンパレータのうちインバータ部分の構成を示す説明図である。
【図26】実施形態5〜8に用いる変換用コンパレータのうちインバータ部分の他の構成を示す説明図である。
【図27】実施形態5〜8に用いる変換用コンパレータのうちインバータ部分の他の構成を示す説明図である。
【図28】実施形態6にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図29】実施形態6、及び変形形態3にかかるアナログ/デジタル変換回路における、前回の変換に用いた入力電圧と、各コンパレータの出力と、出力コードと、今回の変換のための各コンパレータの設定状態との関係を示す表である。
【図30】変形形態3,4にかかるアナログ/デジタル変換回路に用いる、差動型の変換用コンパレータの構成を示す説明図である。
【図31】実施形態7にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図32】実施形態7にかかるアナログ/デジタル変換回路における、入力電圧と、各コンパレータの出力及び出力コードの関係を示す表である。
【図33】実施形態7にかかるアナログ/デジタル変換回路における、前回の変換に用いた入力電圧と、各群に属するコンパレータの設定状態と、今回の変換で取りうる出力コードの範囲との関係を示す表である。
【図34】実施形態7にかかるアナログ/デジタル変換回路における、前回の変換に用いた入力電圧と、各コンパレータの設定状態と、今回の変換で取りうる出力コードの範囲との関係を示す表である。
【図35】実施形態8にかかるアナログ/デジタル変換回路のうち、比較部の概要を示す説明図である。
【図36】実施形態8にかかるアナログ/デジタル変換回路における、所定時間過去の入力電圧と、各設定用コンパレータの出力と、各群に属する変換用コンパレータの設定状態との関係を示す表である。
【符号の説明】
100,200,300,400,500,600,700,800 アナログ/デジタル変換回路
110,210,310,410,510,610,710,810 比較部
1〜15、71〜85 コンパレータ
1〜7 変換用コンパレータ(第1コンパレータ)
2,4,6,8,10,12,14 グループ内で最下位の変換用コンパレータ(群内最下位第1コンパレータ)
P1〜P7、P2〜P14 設定用コンパレータ(第2コンパレータ)
VIN アナログ電圧
VRH,VRL 基準電圧
V1〜V15 参照電圧
V2,V4,V6,V8,V10.V12,V14 参照電圧(分割群参照電圧)
CLK,CLK2,CLK3 クロック信号
DOUT デジタル出力(デジタル値)
111,211,311 コンパレータ制御回路部
112,412 入力情報生成回路部
CONT1A〜CONT15A 第1設定信号(制御信号)
CONT1B〜CONT15B 第2設定信号
CONT71〜CONT85 設定信号(制御信号)
V1〜V15 参照電圧
OUT1〜OUT15 コンパレータ出力
OUT1〜OUT7 変換用コンパレータ出力
OP1〜OP7、OP2〜OP14 設定用コンパレータ出力(入力情報信号)
SWA〜SWJ、SWL〜SWR スイッチ
INV,INVA,INVB,INVC 固有電圧を発生するインバータ
35,55,155 定電流原
G1〜G8、G71〜G78 コンパレータのグループ(分割群)

Claims (10)

  1. 複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
    上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々通常の動作状態と低消費電力状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
    上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、上記第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記通常の動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記低消費電力状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
    を備えるアナログ/デジタル変換回路。
  2. 複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
    上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々動作状態と休止状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
    上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、上記第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記休止状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
    を備えるアナログ/デジタル変換回路。
  3. 請求項2に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
    m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、
    上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた
    第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、
    上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、
    前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とする
    n−1ヶの第2コンパレータと、を有し、
    前記コンパレータ制御回路部は、上記入力情報信号である上記n−1ヶの第2コンパレータの比較結果に基づき、上記第1コンパレータを上記分割群毎に前記動作状態と前記休止状態のいずれかにする
    アナログ/デジタル変換回路。
  4. 複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
    上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々通常の動作状態と低消費電力状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
    前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記通常の動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記低消費電力状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
    を備えるアナログ/デジタル変換回路。
  5. 複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
    上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々動作状態と休止状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
    前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記休止状態に保持する上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
    を備えるアナログ/デジタル変換回路。
  6. 請求項5に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
    m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、
    上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、
    前記コンパレータ制御回路部は、上記コンパレータを上記分割群毎に動作状態及び休止状態のいずれかとする
    アナログ/デジタル変換回路。
  7. 複数の第1コンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧を第1クロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
    上記複数の第1コンパレータは、制御信号により、各々通常動作状態と低電力動作状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
    上記第1クロック信号またはこれと異なる第2クロック信号を用い、上記第1クロック信号による変換動作のタイミングに先立つ所定時間過去に入力された上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数の第1コンパレータのうち、一部の第1コンパレータを上記通常動作状態とすると共に、残余の第1コンパレータを上記低電力動作状態にする上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
    を備えるアナログ/デジタル変換回路。
  8. 請求項7に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
    m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記第1コンパレータであって、
    上記第1コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶの第1コンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けられた
    第1コンパレータ(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)と、
    上記m種の参照電圧のうち、最下位の分割群を除くn−1ヶの分割群に属する第1コンパレータのうち各分割群内で各々最下位に位置する群内最下位第1コンパレータがそれぞれ参照するn−1種の分割群参照電圧のいずれか1つを参照し、
    前記第1クロック信号または第2クロック信号に従って動作し、これらのクロック信号で決まるタイミングで入力されたアナログ電圧と上記分割群参照電圧とをそれぞれ比較して比較結果を前記入力情報信号とする
    n−1ヶの第2コンパレータと、を有し、
    前記コンパレータ制御回路部は、上記入力情報信号である上記n−1ヶの第2コンパレータの比較結果に基づき、上記第1コンパレータを上記分割群毎に前記通常動作状態と前記低電力動作状態のいずれかにする
    アナログ/デジタル変換回路。
  9. 複数のコンパレータを用いて、入力されたアナログ電圧をクロック信号に基づいてデジタル値に変換する並列型のアナログ/デジタル変換回路であって、
    上記複数のコンパレータは、制御信号により、各々通常動作状態と低電力動作状態のいずれかを選択可能に構成されてなり、
    前回の変換に用いた上記アナログ電圧に基づいて生成された入力情報信号により、上記複数のコンパレータのうち、一部のコンパレータを今回の変換において上記通常動作状態とすると共に、残余のコンパレータを上記低電力動作状態にする上記制御信号を出力するコンパレータ制御回路部
    を備えるアナログ/デジタル変換回路。
  10. 請求項9に記載のアナログ/デジタル変換回路であって、
    m種(mは、m>7の自然数)の参照電圧のいずれか1つを参照するmヶの前記コンパレータを有し、
    上記コンパレータを下位から上位または上位から下位に向かって序列の順にそれぞれint(m/n)ヶまたはint(m/n)+1ヶのコンパレータを含むnヶ(nは、n>3、m≧2nである自然数)の分割群に分けたとき(但し、int(a)は、実数aの整数部を取り出す関数)、
    前記コンパレータ制御回路部は、上記コンパレータを上記分割群毎に前記通常動作状態及び前記低電力動作状態のいずれかとする
    アナログ/デジタル変換回路。
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