JP4067389B2 - タイヤロック判定方法 - Google Patents

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  • Power Steering Mechanism (AREA)

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電動パワーステアリング制御装置におけるタイヤロック判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
電動パワーステアリング制御装置は、トルク検出器によって操舵トルクを検出し、モータからこのトルク検出器の出力に略比例した補助トルクをステアリングシャフトに供給して、操舵のアシストを行うことにより、ハンドル操作力を軽減するものである。
【0003】
電動パワーステアリング装置は、従来油圧で行なわれていたハンドル操舵のアシストをモータを使用して行う装置である。このアシスト量の決定は、ハンドル軸の捩れ量を検出し、この捩れ量が一定の値以下になるようにモータを制御している。また、油圧と同等の出力をモータで発生させるため、モータは大電力を必要とし、モータへの電力供給装置であるバッテリーも大電力に対応した容量を備えている。
【0004】
電動パワーステアリング制御装置において、電磁クラッチを高精度に制御処理してハンドルがロック又は極めて重い状態に陥るのを防止し、電磁クラッチの無駄な滑りや騒音及び衝撃の発生を防止することができる電動パワーステアリング制御装置が知られている(例えば、特許文献1)。
また、操舵系が最大舵角位置へ操舵された際に電動機に過大な電流が供給されるのを防止する電動パワーステアリング制御装置が知られている(例えば、特許文献2)。
【0005】
【特許文献1】
特開平7−257415号公報
【特許文献2】
特開平11−49014号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
電動パワーステアリング制御装置は、従来の油圧制御装置に対してコストアップが許されないため、各部品の低価格化を図っている。従って、モータの駆動回路も価格を低減するため電力容量を限界まで下げている。そのため、タイヤがロックされている状態で長時間出力を継続すると、モータ駆動回路の能力を超えてしまう。電動パワーステアリング装置はハンドルの操舵を補助することであるため、タイヤがロックされている状態やハンドルを目いっぱい切った状態においてはアシストする必要がない。
【0007】
一方、正常な状態においてはモータに通電されればアシストされるため、ハンドルの捩れは小さくなるはずである。この捩れが減少しないのはタイヤがロックされているか、又はハンドルを目いっぱい切られた状態となっている場合であり、アシストする必要はない。しかし、急にアシストを中止すると操作者がハンドルを重く感じ、違和感が生じる。
【0008】
そこで本発明は、タイヤがロックされているかどうかを判定する方法を提供するものである。また、タイヤがロックされていると判定された場合に適切な処置をとる方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、操舵トルクを検出する操舵トルクセンサの出力値が所定の閾値以上であるかどうか判断し、所定の閾値以上である場合に一定時間以上継続して所定の閾値以上であるかどうか判断し、前記操舵トルクセンサの出力値が一定時間以上継続して所定の閾値以上であると判断された場合、タイヤがロックされていると判定する。
そして、電動パワーステアリング制御装置のモータへの通電がされている場合のみ、タイヤがロックされているかどうか判定し、前記モータの電流値に応じて前記所定の閾値の値を変える。また、前記モータの電流値が所定の値より大きい場合に、前記所定の閾値をより高い値とする
また、今回検出されたトルクセンサの出力値が前回検出されたトルクセンサの出力値より大きいかどうかを判断し、一定時間以上継続して前記大きい状態であるかどうか判断し、一定時間以上継続して今回検出されたトルクセンサの出力値が前回検出されたトルクセンサの出力値より大きいと判断された場合、タイヤがロックされていると判定する。
【0010】
そして、タイヤロックであると判定された場合にモータ電流をオフにする。また、モータ電流値を徐々に減少させる。また、タイヤロックであると判定された場合にモータ電流の通電を禁止し、タイヤロックであると判定されなかった場合はモータ電流の通電を許可する。また、タイヤロックであると判定された場合にモータ電流値を徐々に減少させ、タイヤロックでない判定された場合にモータ電流値を徐々に増加させる。
【0011】
さらに本発明によれば、今回検出されたトルクセンサの出力値が前回検出されたトルクセンサの出力値より大きく、かつその差が所定の差の閾値より大きいかどうかを判断し、一定時間以上継続して前記大きい状態であるかどうか判断し、一定時間以上継続して今回検出されたトルクセンサの出力値が前回検出されたトルクセンサの出力値より大きく、かつその差が所定の差の閾値より大きいと判断された場合、タイヤがロックされていると判定する。
そして、モータの電流値に応じて前記所定の差の閾値の値を変える。また、前記モータの電流値が所定の値より大きい場合に、所定の差の閾値をより高い値とする
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は本発明のタイヤロック判定方法に用いる公知のパワーステアリング制御装置の一例を示す図である。ハンドル1の回転力はユニバーサルジョイント3によって連結された複数のステアリングシャフト2によって伝達される。ステアリングシャフト2の下部にはピニオン軸4が取り付けられ、端部でピニオン軸4と噛みあうラック5のスライドによってステアリングシャフト2全体が回転する。ラック5の他端にはウオームホイール7に固着されたピニオン軸6がかみ合っており、ウオームホイール7にはウオーム軸8が噛みあっている。ウオーム軸8は電磁クラッチ21を介してモータ20に連結されており、モータ20を回転させるとウオーム軸8が回転し、ウオームホイール7が左右に移動してピニオン軸6が回転し、ラック5が左右に移動してピニオン軸4が回転する。このように補助トルクとしてのモータ10の回転力をステアリングシャフト2に伝えることによってハンドルの操作を容易にしている。
【0013】
補助トルクをステアリングシャフト2に与えるモータ10の制御は、制御ユニット30によって行われる。制御ユニット30には、ハンドルの回転角を検出する回転角センサ22からの信号、操舵トルクを検出するトルクセンサ23からの信号、及び車速を検出する車速センサ24からの信号が入力する。
【0014】
本発明では操舵トルクを検出するトルクセンサ23からの信号に基づいてモータ20を制御する。トルクセンサはハンドルとタイヤの「捩れ」を検出するものであり、ハンドルの回転量よりタイヤの回転量が少ない場合に「捩れ」が生じる。
【0015】
図2は制御ユニット30のブロック図である。制御ユニット30はモータ電流演算器31、モータ駆動回路32、モータ電流検出回路33を備えている。制御ユニット30は回転角センサ22、トルクセンサ23及び車速センサ24からの信号を受け、モータ電流演算器31でモータ20に流す電流を演算し、演算されたモータ電流に基づいてモータ駆動回路が制御される。モータ電流検出回路33はモータ20からの電流を検出してモータ電流演算器31にフィードバックし、フィードバック値に基づいてモータ電流駆動回路を制御する。
【0016】
図3は本発明によるトルクセンサ23の出力とモータ電流の関係の一例を示したグラフである。横軸はトルクセンサ23からの出力であり(V)、縦軸はトルクセンサの出力に対するモータ20の電流値(I)を表している。Toはトルクセンサ出力の中点の値である。
【0017】
トルクセンサ出力の中点の値Toは任意の値に設定できるが、0Vに設定すると、例えば、ハンドルを右に回転して捩れが生じた場合にはトルクセンサの出力は+1Vあるいは+2Vとなり、ハンドルを左に回転して捩れが生じた場合にはトルクセンサの出力は−1Vあるいは−2Vとなる。
また、トルクセンサ出力の中点の値Toを2.5Vに設定すると、例えば、ハンドルを右に回転して捩れが生じた場合にはトルクセンサの出力は+3Vあるいは+3.5Vとなり、ハンドルを左に回転して捩れが生じた場合にはトルクセンサの出力は2Vあるいは1.5Vとなる。
以下に記載する実施例の説明では、トルクセンサ出力の中点の値Toを0Vに設定した場合について説明する。
【0018】
図3に示したグラフにおいて、ハンドルを右に回転して捩れが生じた場合、トルクセンサから捩れの量に相当する信号(この場合は電圧V)が出力されるが、出力がT1となるまではモータに電流は流れない。これは遊びを持たせるためである。トルクセンサからの出力がT1を超えて増加すると、出力に比例してモータの電流値は増え、トルクセンサの出力がT2となると電流はiTとなる。しかし、出力がT2を超えてもモータ電流はiTを超えない。
【0019】
同様に、ハンドルを左に回転して捩れが生じた場合、トルクセンサから捩れの量に相当する信号が出力されるが、出力が−T1となるまではモータに電流は流れない。ここで、−T1は捩れの向きが反対であることを表している。トルクセンサからの出力が−T1を超えて絶対値が増加すると、出力に比例してモータ電流の絶対値は増え、トルクセンサの出力が−T2となると電流は−iTとなる。ここで、−はモータに流れる電流の向きが反対であることを表している。しかし、トルクセンサの出力が−T2を超えてもモータ電流は−iTを超えない。
【0020】
〔実施例1〕
図4は本発明方法の実施例を示すフローチャートである。このフローチャートに示された動作の制御は、図1の制御ユニット30で行う。以下の実施例においても同様である。図4に示された実施例では、一定時間以上ハンドルの捩れ状態が継続した場合、タイヤがロックされていると判断し、タイヤロックを検出するものである。
【0021】
図4において、まず定期ルーチンに入る(S1)。定期ルーチンとは決められた時間毎に所定の処理を行うことである。なお、フロ−チャートの途中に二重波線が挿入されているが、これは適宜他の処理を挿入することを意味している。その他の実施例においても同様である。
次に、トルクセンサからの出力の絶対値が所定の閾値TA以上であるかどうか判断する(S2)。本実施例では、トルクセンサ出力の中点の値Toを0Vに設定してあるので、トルクセンサの出力の絶対値はハンドルの捩れの量に相当する。Yesであれば、即ち、トルクセンサからの出力の絶対値がTA以上であれば、ハンドルの捩れが生じているので前回までのカウンタのカウント数xn−1に1を加え、x=xn−1+1とする(S3)。
【0022】
一方、トルクセンサの出力の絶対値が閾値TAより小であれば(No)、カウント数を0にリセットする(S4)。次に、カウント数xが所定の閾値m以上であるかどうか判断する(S5)。カウント数xが閾値m以上であれば(Yes)、一定時間以上ハンドルの捩れ状態が継続していると判断され、タイヤロックと判定される(S6)。Noであれば、タイヤロックとは判定されない。
閾値TAは図3のグラフに示されているように、T1とT2の間、及び−T1と−T2の間の任意の値に設定することができる。
【0023】
〔実施例2〕
図5に示した実施例は、図4に示したフローチャートにS2oを追加したものである。S2oではモータが通電中かどうか判断し、通電中であった場合のみトルクセンサからの出力が所定の閾値TA以上であるかどうか判断する(S2)。以下のフローは図4に示されたものと同じである。図5に示した実施例においては、モータに通電されていない場合にはハンドルの捩れは減少するとは限らないため、タイヤがロックされているかどうか判定しないようにしたものである。図5に示すフローチャートでは、S2oでNoの場合にはカウント数xを0にリセットしている(S4)。
【0024】
〔実施例3〕
図6はタイヤがロックされているかどうか判断するとき、モータの電流値によってトルクセンサ出力の閾値を変化させるようにした場合の実施例を示したフローチャートである。
【0025】
まず定期ルーチンに入り(S1)、モータが通電中かどうか判断する(S2)。通電中であれば(Yes)、モータの電流値が所定の閾値IA以下であるかどうか判断する(S3)。S3でYesの場合、即ち、モータの電流値が閾値IA以下の場合、トルクセンサからの出力の絶対値が所定の閾値TA以上であるかどうか判断する(S4)。Yesであれば、即ち、トルクセンサからの出力が閾値TA以上であれば、ハンドルの捩れが生じているので前回までのカウンタのカウント数xn−1に1を加え、x=xn−1+1とする(S5)。一方、トルクセンサの出力の閾値が閾値TAより小であれば(No)、カウント数xを0にリセットする(S10)。
【0026】
一方、S3においてNoであれば、即ち、モータ電流値がIAより大であれば、トルクセンサの出力の絶対値がTB以上かどうか判断する(S8)。ここでTB>TAに設定されている。即ち、モータ電流が小さい場合には閾値を小さくし、モータ電流が大きい場合には閾値を大きく設定している。これはモータ電流が小さいときにはトルクセンサの出力の絶対値は小さいはずであり、トルクセンサの出力が小さくても所定の値以上の出力がトルクセンサから継続して出力していることはタイヤがロックされていることを意味しているからである。
S8でYesの場合、ハンドルの捩れが生じているので前回までのカウンタのカウント数xn−1に1を加え、x=xn−1+1とする(S5)。一方、トルクセンサの出力の絶対値が閾値TBより小であれば(No)、カウント数xを0にリセットする(S9)。
【0027】
次に、カウント数xが所定の閾値m以上であるかどうか判断する(S6)。カウント数が閾値m以上であれば(Yes)、一定時間以上ハンドルの捩れ状態が継続していると判断され、タイヤロックと判定される(S7)。Noであれば、タイヤロックとは判定されない。
【0028】
〔実施例4〕
図7は、モータへの通電がされているにもかかわらず、トルクセンサの出力が減少しなかった場合、タイヤがロックされていると判断する実施例を示したフローチャートである。
【0029】
図7において、まず定期ルーチンに入る(S1)。次に、モータが通電中かどうか判断する(S2)。通電中であれば(Yes)、今回検出されたトルクセンサの出力値の絶対値Xを算出し(S3)、Y−X<0であるかどうか、即ちY<Xであるかどうかを判断する(S4)。Yは前回検出されたトルクセンサの出力値の絶対値である。Yesであれば前回のルーチン時よりトルクセンサの出力が増え、ハンドルの捩れの量が増えているためタイヤがロックされている可能性がある。従って、前回までのカウンタのカウント数Zn−1に1を加え、Z=Zn−1+1とする(S5)。
【0030】
一方、Y−X<0でなければ(No)、前回のルーチン時よりトルクセンサの出力が減っている。従って、ハンドルの捩れの量が減少しているのでタイヤがロックされている可能性がないため、カウント数Zを0にリセットし(S8)、YをXに置き換える(S9)。
【0031】
次に、カウント数Zが所定の閾値m以上であるかどうか判断する(S6)。カウント数がZが閾値m以上であれば(Yes)、一定時間以上ハンドルの捩れ状態が継続していると判断され、タイヤロックと判定される(S7)。Noであれば、タイヤロックとは判定されない。
なお、S2でNoであれば、タイヤがロックされている可能性がないため、カウント数Zを0にリセットし(S8)、YをXに置き換える(S9)。
〔実施例5〕
【0032】
図8は図7に示したフローチャートの変形例である。図7に示されたフローチャートとは、S2においてモータ電流がaより大きいかどうかを判断している点で異なる。
ハンドルの捩れが生じていない場合にはモータに電流はながれない。従って、図7に示されたフローチャートでは、モータに通電されている場合にのみタイヤがロックされているかどうかの判断を行っている。しかし、モータに通電されていても電流値が小さい場合にはハンドルの捩れは小さい。従って、モータ電流値が所定の値より大きい場合にタイヤロックかどうかを判定すればよい。
【0033】
図8に示されたフローチャートでは、まず定期ルーチンに入る(S1)。次に、モータが通電電流がaより大きいかどうか判断する(S2)。Yesであれば、トルクセンサの出力値の絶対値Xを算出する(S3)。Noであれば、タイヤがロックされている可能性がないため、カウント数Zを0にリセットし(S8)、YをXに置き換える(S9)。
【0034】
〔実施例6〕
図9に示されたフローチャートは、図8に示されたフローチャートにおいて、タイヤロックと判断された場合にモータの通電をOFFにしたものである。
図9において、S1−S9までのフローは図8と同じであるので説明を省略する。図9のフローチャートでは、S10においてタイヤがロックされているかどうか判断される。S7でタイヤロックであると判定されていれば、S10でタイヤロックと判断され(Yes)、モータの通電はOFFされる(S11)。一方、S8でZ=0とされれば、タイヤはロックされておらず(No)、モータの通電はOFFされない。
【0035】
〔実施例7〕
図10に示されたフローチャートは、図8に示されたフローチャートにおいて、タイヤロックと判断された場合にモータ電流を徐々に減少させるようにしたものである。
図10において、S1−S9までのフローは図8と同じであるので説明を省略する。S10においてタイヤがロックされているかどうか判断され、S7においてタイヤロックであると判定されていれば、S10でYesとなる。次に、モータに電流が流れれているかどうか判断される(S11)。S11でYesであれば、前回のモータ通電電流値から所定の電流値bを減じた値を今回のモータ通電電流値とする(S12)。なお、所定の電流値bは、必要に応じて適宜設定する。
【0036】
このようにモータへの通電電流値を減じることによって、ハンドル操舵へのアシストの量を減じる。従って、図10に示されたルーチンが繰り返される毎に同じ状態が生じれば、モータに流れる電流値は徐々に減少し、ハンドル操舵へのアシストの量は徐々に減じる。このようにアシストの量を徐々に減じることによってハンドルは徐々に重くなるため、急に重くなることはない。
なお、S10とS11でNoと判断されればモータに流れる電流値は減少しない。
【0037】
〔実施例8〕
図11に示されたフローチャートは、図8に示されたフローチャートにおいて、、タイヤロックと判断された場合にタイヤロックフラッグをONし、そうでない場合にはタイヤロックフラッグをOFFし、フラグのON−OFFに応じてモータへの通電を禁止又は許可するようにしたものである。
図11において、S1−S6までのフローは図8と同じであるので説明を省略する。S6においてYesの場合、即ち、タイヤロックと判定された場合、タイヤロックフラッグがONされる(S7)。一方、S8、S9は図8のフローチャートと同じであるが、S8でZ=0とされるためタイヤロックと判定されない。そのため、S10においてタイヤロックフラッグがOFFされる。
次に、S11でタイヤロックフラッグがONであるかどうか判断される。Yesであればモータの通電が禁止され(S12)、Noであればモータの通電は許可される(S13)。
【0038】
〔実施例9〕
図12に示されたフローチャートは、図8に示されたフローチャートにおいて、タイヤロックと判断された場合にタイヤロックフラッグをONし、そうでない場合にはタイヤロックフラッグがONかどうかを判断し、それに応じてモータの電流値を増減させるものである。
図12において、S1−S6までのフローは図8と同じであるので説明を省略する。S6においてYesの場合、図12のフローチャートにおいてはタイヤロックフラッグがONされる(S7)。S6でNoであればタイヤロックフラッグはONされない。
【0039】
一方、S8、S9は図8のフローチャートと同じであるが、S9の後にタイヤロックフラッグがONかどうかが判断される。S10でNoであれば、そのままタイヤロックフラグをOFFにする(S11)。一方、前回までのルーチンでタイヤロックフラグがONされていればS10でYesとなる。しかし、S2でNo、即ち、モータ通電電流がa以下であると判断されているためモータ電流は減少している。従って、タイヤロックが解除され正常に復帰したものと判断し、モータ通電許可フラグをONにし(S12)、モータ電流を正常状態に復帰させるようにする。そして、タイヤロックフラグをOFFにする(S11)。
【0040】
次に、タイヤロックフラグがONであるかどうか判断する(S13)。S13においてYesであれば、前回のモータ電流値から所定の電流値bを減じた値を今回のモータ電流値とする(S14)。このようにモータへの通電電流値を減じることによって、ハンドル操舵へのアシストの量を減じる。従って、図12に示されたルーチンが繰り返される毎に同じ状態が生じれば、モータに流れる電流値は次第に減少し、ハンドル操舵へのアシストの量は徐々に減じる。このようにアシストの量を徐々に減じることによってハンドルは徐々に重くなるため、急に重くなることはない。
【0041】
S13でNoであれば、モータ通電許可フラグがONかどうか判断する(S15)にする。S15でYesであれば、モータ電流は正常状態に復帰させる状態になるので、モータ通電許可フラグをOFFにする(S16)。これはモータ電流が急激に増加しないようにするためである。そして、前回のモータ電流値から所定の電流値bを加えた値を今回のモータ電流値とする(S17)。従って、ルーチンが繰り返される毎に同じ状態が生じれば、モータに流れる電流値は徐々に増加してゆく。
【0042】
〔実施例10〕
図13は図7に示したフローチャートの変形例である。図7に示されたフローチャートとは、S4においてY−X<βであるかどうか判断している点で異なる。これは今回算出された絶対値Xが単に前回算出された絶対値Yより小さいだけでなく、YとXの差が所定の閾値β(以下、「差の閾値」と記す。)より小さいかどうか判断している。
S4でY−X<βである場合(Yes)、即ち、YとXの差が、差の閾値βより小さい場合、ハンドルの捩れ量が確実に減少しているとは言えない。従って、前回までのカウンタのカウント数Zn−1に1を加え、Z=Zn−1+1とする(S5)。次に、カウント数Zが所定の閾値m以上であるかどうか判断する(S6)。カウント数がZが閾値m以上であれば(Yes)、一定時間以上ハンドルの捩れ状態が継続していると判断され、タイヤロックと判定される(S7)。Noであれば、タイヤロックとは判定されない。
【0043】
一方、Y−X<βでなければ(No)、ハンドルの捩れ量が確実に減少しているので、カウント数Zを0にリセットし(S8)、YをXに置き換える(S9)。
このように単にXが前回の値Yより減少しているだけでなく、減少した値が閾値βより大きいかどうか判断することにより、ハンドルの捩れ量が確実に減少しているかどうか判断することができる。
【0044】
〔実施例11〕
図14に示されたフローチャートは、モータ電流値によって上記差の閾値を変化させている点で図13に示したフローチャートと異なる。
図14において、まず定期ルーチンに入る(S1)。次に、モータが通電中かどうか判断する(S2)。通電中であれば(Yes)、トルクセンサの出力の絶対値Xを算出する(S3)。
【0045】
次に、モータ電流が所定の閾値IB以下かどうか判断する(S4)。S4でYesであれば、Y−X<βであるかどうか判断する(S5)。S5でY−X<βである場合(Yes)、即ち、YとXの差が差の閾値βより小さい場合、ハンドルの捩れ量が確実に減少しているとは言えない。従って、前回までのカウンタのカウント数Zn−1に1を加え、Z=Zn−1+1とする(S6)。次に、カウント数Zが所定の閾値m以上であるかどうか判断する(S7)。カウント数がZが閾値m以上であれば(Yes)、一定時間以上ハンドルの捩れ状態が継続していると判断され、タイヤロックと判定される(S8)。Noであれば、タイヤロックとは判定されない。
S5でY−X<βでない場合(No)、即ち、XがYより小さく、その差が差の閾値βより大きい場合、ハンドルの捩れ量が確実に減少しているので、カウント数Zを0にリセットし(S10)、YをXに置き換える(S11)。
【0046】
一方、S4でモータ電流値がIBより大きい場合(No)、Y−X<γであるかどうか判断する(S9)。γは差の閾値でβ<γに設定されている。S9でY−X<γである場合(Yes)、即ち、YとXの差が差の閾値γより大きくない場合、ハンドルの捩れ量がモータの電流値に対して確実に減少しているとは言えない。従って、前回までのカウンタのカウント数Zn−1に1を加え、Z=Zn−1+1とする(S6)。一方、Y−X<γでなければ(No)、即ち、XがYより小さく、その差が差の閾値γより大きい場合、ハンドルの捩れ量が確実に減少しているので、カウント数Zを0にリセットし(S10)、YをXに置き換える(S11)。
【0047】
上記実施例の説明では、トルクセンサ出力の中点の値Toを0Vに設定した場合について説明したが、中点の値Toを、例えば2.5Vに設定することもできる。トルクセンサ出力の中点の値Toを2.5Vに設定すると、例えば、ハンドルを右に回転して捩れが生じ、トルクセンサの出力が+3V、又は+3.5Vとなった場合、
3V(トルクセンサの出力)−2.5V(中点の値To)=0.5V、 又は
3.5V(トルクセンサの出力)−2.5V(中点の値To)=1.0V
となる。
【0048】
また、ハンドルを左に回転して捩れが生じ、トルクセンサの出力が+2Vあるいは+1.5Vとなった場合、
2V(トルクセンサの出力)−2.5V(中点の値To)=−0.5V、又は
1.5V(トルクセンサの出力)−2.5V(中点の値To)=−1.0V
となる。従って、中点の値Toが0でない場合には、トルクセンサの出力から中点の値Toを減じた値の絶対値をトルクセンサの出力値としてタイヤロックの判定に用いる。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、何等入力を追加することなくタイヤロックかどうかを正確に判定することができ、制御性能を向上させることができるとともに、モータ駆動回路等の制御装置を保護することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタイヤロック判定方法に用いるパワーステアリング制御装置の一例を示す図である。
【図2】本発明のタイヤロック判定方法に用いる制御ユニットのブロック図である。
【図3】本発明によるトルクセンサの出力とモータ電流の関係を示した図である。
【図4】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図5】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図6】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図7】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図8】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図9】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図10】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図11】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図12】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図13】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【図14】本発明方法に実施例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1…ハンドル
2…ステアリングシャフト
3…ユニバーサルジョイント
4…ピニオン軸
5…ラック
6…ピニオン軸
7…ウオームホイル
8…ウオーム軸
20…モータ
21…電磁クラッチ
22…回転角センサ
23…トルクセンサ
24…車速センサ
30…制御ユニット
31…モータ電流演算器
32…モータ駆動回路
33…モータ電流検出回路

Claims (4)

  1. 操舵トルクを検出する操舵トルクセンサの出力値が所定の閾値以上であるかどうか判断し、所定の閾値以上である場合に一定時間以上継続して該所定の閾値以上であるかどうか判断し、前記操舵トルクセンサの出力値が一定時間以上継続して該所定の閾値以上であると判断された場合、タイヤがロックされていると判定する電動パワーステアリング制御装置のタイヤロック判定方法であって、前記電動パワーステアリング制御装置のモータへの通電がされている場合のみ、タイヤがロックされているかどうか判定し、前記モータの電流値に応じて前記所定の閾値の値を変える、タイヤロック判定方法。
  2. 前記モータの電流値が所定の値より大きい場合に、前記所定の閾値をより高い値とする、請求項1に記載のタイヤロック判定方法。
  3. 電動パワーステアリング制御装置のモータへの通電がされている場合、今回検出されたトルクセンサの出力値が前回検出されたトルクセンサの出力値より大きく、かつその差が所定の差の閾値より大きいかどうかを判断し、一定時間以上継続して前記大きい状態であるかどうか判断し、一定時間以上継続して今回検出されたトルクセンサの出力値が前回検出されたトルクセンサの出力値より大きく、かつその差が所定の差の閾値より大きいと判断された場合、タイヤがロックされている、と判定する電動パワーステアリング制御装置のタイヤロック判定方法であって、前記モータの電流値に応じて前記所定の差の閾値の値を変える、タイヤロック判定方法。
  4. 前記モータの電流値が所定の値より大きい場合に、前記所定の差の閾値をより高い値とする、請求項3に記載のタイヤロック判定方法。
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