以下、本発明の第1の実施形態であるオゾン発生装置1の運転方法について、図面に基づいて説明する。図1は、本発明の第1の実施形態のオゾン発生装置1のブロック図である。なお、第1の実施形態であるオゾン発生装置1の運転方法は、長期間不使用後(休止後)に運転させた場合、所定時間は酸素濃縮装置2のみを運転させて、吸湿したオゾン発生電極4を乾燥させることにより、オゾン発生電極4全体の静電容量を正常に戻すものである。
はじめに、オゾン発生装置1の概略構成について説明する。まず、図1に示すように、オゾン発生装置1は、空気を原料にして濃縮酸素を生成する酸素濃縮装置2と、当該酸素濃縮装置2の下流側に接続され、オゾン発生電極4を内部に備え、酸素濃縮装置2で生成された濃縮酸素を原料としてオゾンを発生するオゾン発生器3と、当該オゾン発生器3に接続され、交流高電圧をオゾン発生電極4に印加する高電圧回路9と、当該高電圧回路9に保護ヒューズ7を介して接続された交流電源5と、酸素濃縮装置2および高電圧回路9に接続されたコントローラ10と、当該コントローラ10に接続され、オゾン発生装置1のオン/オフを指示する運転スイッチ12とから構成されている。
次に、酸素濃縮装置2について説明する。図1に示す酸素濃縮装置2は、PSA方式(圧力変動吸着方式)の一般的な酸素濃縮装置である。このPSA方式の酸素濃縮装置は、吸着筒に充填された吸着剤に窒素ガスを吸着させ、吸着筒内の圧力を変動させることにより、吸着された窒素ガスを脱着して濃縮酸素を繰り返し生成することができる。そして、オゾン発生装置1に組み込まれた酸素濃縮装置2は、このようなPSA方式の特性を利用することにより、94〜96%濃度の濃縮酸素を生成することができる。さらに、図1に示すように、酸素濃縮装置2は、生成した濃縮酸素を、図示外の配管によって接続されたオゾン発生器3に供給する。なお、図1に示す酸素濃縮装置2が、「原料気体供給手段」に相当する。
次に、オゾン発生器3について、図1および図2を参照して説明する。図2は、オゾン発生器3の内部に設けられたオゾン発生電極4の断面図である。図1に示すオゾン発生器3は、外枠を構成する筐体(図示外)と、当該筐体の一側面に設けられ、酸素濃縮装置2から濃縮酸素を受け入れる濃縮酸素流入口(図示外)と、濃縮酸素を原料にしてオゾンを発生する略直方体状のオゾン発生電極4と、当該オゾン発生電極4で生成され、筐体の、濃縮酸素流入口が設けられた一側面とは反対の他側面に設けられたオゾンを外部に放出するためのオゾン放出口(図示外)とから主に構成されている。なお、後述するが、第1の実施形態のオゾン発生器3のオゾン発生電極4は、沿面放電型のオゾン発生電極である。
次に、オゾン発生電極4の構造について説明する。図2に示すように、オゾン発生電極4は、所定の厚みを有する板状の第1誘電体基板20、当該第1誘電体基板20の上面に形成された誘導電極21、当該誘導電極21を埋設するように、第1誘電体基板20の上面に貼り合わされ、第1誘電体基板20よりも薄く形成された板状の第2誘電体基板22、当該第2誘電体基板22の上面に形成された放電電極23、当該放電電極23の表面を保護するために、ペースト状に覆設された絶縁性保護層24などから構成され、各部材が順に積層された形となっている。さらに、図2に示すように、放電電極23および誘導電極21には交流高圧電源を印加するための電線25,25が各々引き出されている。そして、第1誘電体基板20,第2誘電体基板22および絶縁性保護層24は、セラミックで形成されている。また、このように構成されたオゾン発生電極4は、全体を焼成され、一体化して形成されている。
次に、オゾン発生器3におけるオゾン生成原理について、図1および図2を参照して説明する。まず、図1に示すように、オゾン発生器3には、酸素濃縮装置2によって生成された濃縮酸素が、図示外の配管を通じて供給される。次いで、オゾン発生器3の内部に設けられたオゾン発生電極4に濃縮酸素が供給される。そして、高電圧回路9によって、図2に示すオゾン発生電極4に設けられた放電電極23と、誘導電極21とに、電線25,25を介して交流高電圧が印加される。すると、放電電極23の周囲に沿って沿面放電が発生する。さらに、放電電極23の周囲に沿面放電が発生することにより、オゾン発生電極4の周囲の空間に存在する濃縮酸素中に電子が放出される。そして、濃縮酸素中に存在する安定した酸素分子(O2)に、放出された電子が衝突することにより、1つの酸素分子(O2)が2つの酸素原子(O)に各々解離する。そして、解離して生成された各酸素原子(O)が、酸素雰囲気中の他の酸素分子(O2)と結合することによりオゾン(O3)が生成する。なお、この沿面放電を利用したオゾン発生器3は、比較的簡単な構造で安定した無声放電を得ることができるので、安定したオゾンを常時生成することができる。
次に、高電圧回路9について、図1および図3を参照して説明する。図3は、オゾン発生装置1の電気的構成を示した電気回路図である。図1および図3に示すように、高電圧回路9は、交流電源5に、保護ヒューズ7を介して接続されている。そして、交流電源5からは、AC100Vの交流が供給されるが、オゾン発生器3のオゾン発生電極4にオゾンを発生させるのに必要な交流電圧は、例えば6kVp−pである。そのため、高電圧回路9は、交流電源5から供給される交流電圧100Vを、6kVp−pまでに昇圧させている。なお、後述するが、図3に示すように、この高電圧回路9は、PWM変換回路25、FET駆動回路11、整流用シリコンダイオードブリッジ15、電解コンデンサ16、トランス18およびスイッチング用FET(電界効果トランジスタ)19から構成されている(図3参照)。これらの各部品間の詳細な構成については後述する。なお、図1に示す交流電源5および高電圧回路9が、「高電圧印加手段」に相当する。
次に、コントローラ10について説明する。図1に示すように、このコントローラ10には、中央演算処理装置としてのCPU10aを中心に相互に接続されたROM10b、RAM10cおよび揮発性メモリ10eを備えている。RAM10cは実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データなどを記憶する読み出し・書き込み可能なメモリであり、ROM10bは内蔵されている各種プログラムなどを記憶する読み出し専用のメモリである。さらに、揮発性メモリ10eは、制御用データを記憶するメモリであり、バックアップ用コンデンサ13に接続されている。このバックアップ用コンデンサ13は、電源断時に揮発性メモリ10eにバックアップ電源を供給している。また、CPU10aは高電圧印加の制御信号を高電圧回路9に与えている。なお、図1に示すCPU10aが、「オゾン発生制御手段」に相当する。
次に、オゾン発生装置1の電気的構成について、図3を参照して説明する。このオゾン発生装置1は、PWM(パルス幅変調)制御を用いた電気回路で構成され、内部にオゾン発生器3に印加する交流高電圧を発生させる高電圧回路9を備えている。この高電圧回路9は、上述したように、交流電源5から供給される交流電圧を、オゾン発生器3でオゾンを生成するのに必要な電圧まで昇圧させる。その時、PWM制御を用いることにより、昇圧の度合を調整し、発生する高電圧の電圧値を調整するため、オゾン発生器3から生成されるオゾン発生量を調節することができる。
図3に示すように、交流電源5(例えば、100V)には、保護ヒューズ7を介して整流用シリコンダイオードブリッジ15が接続され、そのプラス出力側にはアースに接続された電解コンデンサ16と、トランス18とが接続されている。したがって、平滑化された電圧がトランス18に印加されるようになっている。また、そのトランス18にはスイッチング用FET(電界効果トランジスタ)19のドレイン側が接続され、そのソース側はアースに接続され、ゲート側には、FET駆動回路11の出力側が接続されている。またFET駆動回路11にはPWM変換回路25が接続され、PWM変換回路25には、コントローラ10内に設けられたCPU10aが接続され、このCPU10aからの制御信号がPWM変換回路25に送られるようになっている。よってPWM変換回路25から出力されるPWM制御信号に基づいて、FET駆動回路11からスイッチング用FET19に電流が供給される。そして、スイッチング用FET(電界効果トランジスタ)19のスイッチング作用によってトランス18の一次側に断続的に電流が流れ、トランス18の2次側に接続されたオゾン発生器3のオゾン発生電極4に交流高電圧(例えば、6kVp−p)が印加される構造になっている。
次に、オゾン発生器3のPWM制御について説明する。コントローラ10において、CPU10aから出力される制御信号に基づいて、PWM変換回路25から出力されるPWM制御信号のDuty比を制御する。そして、Duty比を制御することにより、オゾン発生器3に印加する駆動電圧および運転周波数を変化させ、酸素からオゾンへの変換効率を制御する。例えば、Duty比が30%の場合、オゾン発生器3に印加される交流波形の振幅は小さくなり、逆にDuty比が50%の場合は、交流波形の振幅は大きくなる。このように、Duty比の割合を調整することによって、オゾン発生器3のオゾン発生電極4に印加される交流高電圧を変化させ、オゾン発生量を制御することができる。
次に、上記の構成を有するオゾン発生装置1の運転方法について、図4のタイミングチャートおよび図5のフローチャートを参照して説明する。図4は、オゾン発生装置1の運転方法について示すタイミングチャートであり、図5は、オゾン発生装置1の運転方法について示すフローチャートである。まず、図5に示すように、運転スイッチ12がオフとされた状態では、オフ時間を計測するためのオフ時間タイマカウンタtが、オゾン発生装置1のオフ時間をカウントし、オゾン発生装置1が運転を開始するまで、tの値をインクリメントする(S1)。
そして、CPU10aは、運転スイッチ12がオンとされたか否かを判断し(S2)、運転スイッチ12がオフのままで、オゾン発生装置1が運転されない場合には、(S2:NO)、オゾン発生装置1のオフ時間を引き続きカウントする(S1)。次いで、図4に示すt1タイミングで運転スイッチ12がオンとされた場合(S2:YES)、オゾン発生装置1は運転を開始する。そして、オゾン発生装置1のオン時間を計測するためのオン時間タイマカウンタkをスタートさせる(S3)。
さらに、CPU10aは、オゾン発生装置1のt1タイミング直前までのオフ時間が、4日以上であるか否かを判断する(S4)。そして、オゾン発生装置1のオフ時間が4日未満であった場合、即ち、オフ時間タイマカウンタtの値が、4日未満に相当する値であれば(S4:NO)、図4に示すt1タイミング時に、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3を同時に運転させる(S5)。即ち、オゾン発生器3に交流高電圧を印加するように高電圧回路9に制御信号を出力する。次いで、運転スイッチ12がオフされたか否かを判断する(S6)。そして、運転スイッチ12がオフされるまでは(S6:NO)、S5に戻りオゾンを発生し続ける。また、図4に示すt3タイミングで、運転スイッチ12がオフされた場合(S6:YES)は、高電圧回路9にオフ信号を出力してオゾン発生器3の運転を停止させる(S12)。さらに、酸素濃縮装置2にもオフ信号を出力し、酸素濃縮装置2を停止させることにより(S13)、オゾン発生装置1が停止する。そして、オフ時間タイマカウンタtおよびオン時間タイマカウンタkを各々リセットする(S14)。そして、オフ時間タイマカウンタtのカウントを再度インクリメントさせ(S1)、処理を繰り返す。
一方、オゾン発生装置1が、4日以上もの長期間使用されていなかった場合には(S4:YES)、図2に示すオゾン発生器3の内部に水分を含んだ外気が侵入する可能性が高い。そして、オゾン発生器3の内部に設けられたオゾン発生電極4の第1誘電体基板20、第2誘電体基板22および絶縁性保護層24(図2参照)は、セラミックで形成され、多孔質を有するために吸湿していると判断される。したがって、オゾン発生電極4の静電容量が著しく増大するため、この状態で放電させると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断し、オゾン発生装置1が停止してしまう。
そこで、CPU10aは、図4に示すt1タイミングで酸素濃縮装置2だけを運転させ(S7)、オゾン発生器3は運転させない。そして、酸素濃縮装置2は、空気を吸引して乾燥した濃縮酸素を生成し、生成された濃縮酸素は図示外の配管を通じてオゾン発生器3に流入する。さらに、オゾン発生器3に流入する濃縮酸素は、交流高電圧が印加されていないオゾン発生電極4に直接吹き込まれる。すると、吸湿していたオゾン発生電極4が、乾燥した濃縮酸素にさらされることにより、水分が蒸発して乾燥する。そして、ここでも、運転スイッチ12がオフとされたか否かを判断し(S8)、運転スイッチ12がオフとされた場合は(S8:YES)、酸素濃縮装置2の運転を停止させ(S13)、オフ時間タイマカウンタtおよびオン時間タイマカウンタkを各々リセットする(S14)。そして、オフ時間タイマカウンタtのカウントを再度インクリメントさせ(S1)、処理を繰り返す。
一方、運転スイッチ12がオフとされず、オンの場合は(S8:NO)、引き続き酸素濃縮装置2だけが運転し、オゾン発生器3のオゾン発生電極4を乾燥させる。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達したか否かを判断する(S9)。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達していない場合は(S9:NO)、S8に戻り、運転スイッチ12のオン・オフの監視を行い、引き続きカウントを続行する。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達した場合には(S9:YES)、酸素濃縮装置2から送気される濃縮酸素により、吸湿していたオゾン発生電極4は乾燥した状態であると判断される。そこで、CPU10aは、図4に示すt2タイミングにおいて、オゾン発生器3のオゾン発生電極4に交流高電圧を印加するように、高電圧回路9に制御信号を出力する(S10)。そして、オゾン発生器3に設けられたオゾン発生電極4全体の静電容量は正常に戻っているため、高電圧回路9に過大な電流が流れず、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加され、安定したオゾンを発生することができる。そして、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3の何れもが運転状態となり、安定したオゾンを発生する。次いで、CPU10aは、運転スイッチ12がオフとされたか否かを監視し(S11)、運転スイッチ12がオフとされるまでは(S11:NO)、オゾン発生器3に交流高電圧が印加され(S10)、オゾンを発生し続ける。なお、運転スイッチ12がオンとされてから、オゾン発生電極4に交流高電圧を印加させるまでの遅延時間は、オゾン発生電極4を乾燥させるのに十分な時間、例えば10秒として設定されている。
次いで、運転中であるオゾン発生装置1において、図4に示すt3タイミングで運転スイッチ12がオフとされた場合は(S11:YES)、CPU10aは、高電圧回路9にも停止信号を出力して、オゾン発生器3のオゾン発生電極4に印加されていた交流高電圧を停止させ、オゾンの発生を停止させる(S12)。さらに、酸素濃縮装置2に停止信号を出力して、酸素濃縮装置2を停止させる(S13)。したがって、オゾン発生装置1は停止状態となるため、オフ時間タイマカウンタtおよびオン時間タイマカウンタkを共にリセットする(S14)。そして、S1に戻り、再びオフ時間タイマカウンタtをインクリメントさせ、オゾン発生装置1の停止時間を計測する。なお、図5に示すフローチャートのS4の判断処理を実行するCPU10aが、「不使用時間判断手段」に相当し、同じフローチャートのS9の判断処理を実行するCPU10aが、「経過時間判断手段」に相当する。
以上、説明したように、第1の実施形態のオゾン発生装置1の運転方法によれば、オゾン発生装置1が長期間不使用であった場合、オゾン発生電極4が吸湿し、オゾン発生電極4全体の静電容量が著しく大きくなる。このまま、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加されると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断されてしまう。そこで、コントローラ10のCPU10aは、運転スイッチ12がオンとされてから所定時間(例えば10秒間)は、酸素濃縮装置2だけを運転させる。そして、吸湿したオゾン発生電極4に乾燥した濃縮酸素を吹き込むことより、オゾン発生電極4を乾燥させることができる。そして、運転スイッチ12がオンとされてから、所定時間乾燥させたオゾン発生電極4に、交流高電圧を印加させると、オゾン発生電極4全体の静電容量が正常に戻り、高電圧回路9に過大な電流が流れることがなく、保護ヒューズ7が溶断することがない。したがって、オゾン発生装置1を長期間使用せず放置した場合でも、オゾン発生装置1が作動停止してしまうのを防止できる。また、吸湿したオゾン発生電極4を乾燥させるのに、ヒータなどの部材を組み付ける必要もなく、CPU10aの制御だけで解決できるため、コストアップする必要もない。
次に、本発明の第2の実施形態であるオゾン発生装置100の運転方法について、図6を参照して説明する。図6は、本発明の第2の実施形態のオゾン発生装置100のブロック図である。この第2の実施形態のオゾン発生装置100の運転方法によれば、第1の実施形態のオゾン発生装置1の運転方法と同様にオフ時間を計測し、長期間不使用であった場合は、作動時より所定時間だけはオゾン発生電極4に印加する電圧を、通常よりも低く設定するものである。そのため、オゾン発生電極4が吸湿してオゾン発生電極4全体の静電容量が大きくなっていても、高電圧回路9には過大な電流が流れず、また通常よりも弱い放電が生じ、その放電による発熱を利用してオゾン発生電極4を乾燥させ、オゾン発生電極4全体の静電容量を正常に戻すことができ、保護ヒューズ7の溶断によるオゾン発生装置1の作動停止を防止できる。
はじめに、第2の実施形態のオゾン発生装置100の構造について、図6を参照して説明する。図6は、第2の実施形態であるオゾン発生装置100のブロック図である。図6に示すように、オゾン発生装置100は、第1の実施形態であるオゾン発生装置1とほぼ同じ構成となっており、内部にコントローラ10とは運転方法の異なるコントローラ50を備えている。したがって、オゾン発生装置100の構造の説明は第1の実施形態のオゾン発生装置1の構造の説明を援用し、コントローラ50のみ説明する。
次に、コントローラ50について説明する。図6に示すように、このコントローラ50には、中央演算処理装置としてのCPU50aを中心に相互に接続されたROM50b、RAM50cおよび揮発性メモリ50eを備えている。RAM50cは実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データなどを記憶する読み出し・書き込み可能なメモリであり、ROM50bは内蔵されている各種プログラムなどを記憶する読み出し専用のメモリである。さらに、揮発性メモリ50eは、制御用データを記憶するメモリであり、バックアップ用コンデンサ53に接続されている。このバックアップ用コンデンサ53は、電源断時に揮発性メモリ50eにバックアップ電源を供給している。また、CPU50aは高電圧印加の制御信号を高電圧回路9に与えている。なお、図6に示すCPU50aが、「オゾン発生制御手段」に相当する。
次に、上記の構成を有するオゾン発生装置100の運転方法について、図7のタイミングチャートおよび図8のフローチャートを参照して説明する。図7は、オゾン発生装置100の運転方法について示すタイミングチャートであり、図8は、オゾン発生装置100の運転方法について示すフローチャートである。まず、図8に示すように、運転スイッチ12がオフとされた状態では、オフ時間を計測するためのオフ時間タイマカウンタtが、オゾン発生装置100のオフ時間をカウントし、オゾン発生装置100が運転を開始するまで、tの値をインクリメントする(S21)。
そして、CPU50aは、運転スイッチ12がオンとされたか否かを判断し(S22)、運転スイッチ12がオフのままで、オゾン発生装置100が運転されない場合には、(S22:NO)、オゾン発生装置100のオフ時間を引き続きカウントする(S21)。次いで、図7に示すt1タイミングで運転スイッチ12がオンとされた場合(S22:YES)、オゾン発生装置100は、t1タイミングで運転を開始する。まず、オゾン発生装置100のオン時間を計測するためのオン時間タイマカウンタkをスタートさせる(S23)。
さらに、CPU50aは、オゾン発生装置100の図7に示すt1タイミング直前までのオフ時間が、4日以上であるか否かを判断する(S24)。そして、オゾン発生装置100のオフ時間が4日未満であった場合、即ち、オフ時間タイマカウンタtの値が、4日未満に相当する値であれば(S24:NO)、図4に示すt1タイミング時に、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3を同時に運転させる(S25)。即ち、オゾン発生器3に通常の交流高電圧(例えば、6kVp−p)を印加するように高電圧回路9に制御信号を出力する。次いで、運転スイッチ12がオフされたか否かを判断する(S26)。そして、運転スイッチ12がオフされるまでは(S26:NO)、S25に戻りオゾンを発生し続ける。また、運転スイッチ12がオフされた場合(S26:YES)は、高電圧回路9にオフ信号を出力してオゾン発生器3の運転を停止する(S33)。さらに、酸素濃縮装置2にもオフ信号を出力し、酸素濃縮装置2を停止させることにより(S34)、オゾン発生装置100が停止する。オフ時間タイマカウンタtおよびオン時間タイマカウンタkを共にリセットする(S35)。そして、S21に戻り、再びオフ時間タイマカウンタtをスタートさせ、オゾン発生装置100の停止時間を計測する。
一方、オゾン発生装置100が、4日以上もの長期間使用されていなかった場合には(S24:YES)、図6に示すオゾン発生器3の内部に水分を含んだ外気が侵入する可能性が高い。そして、オゾン発生器3の内部に設けられたオゾン発生電極4の第1誘電体基板20、第2誘電体基板22および絶縁性保護層24(図2参照)は、セラミックで形成され、多孔質を有するために吸湿していると判断される。したがって、オゾン発生電極4の静電容量が著しく増大するため、この状態で放電させると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断し、オゾン発生装置100が停止してしまう。
そこで、CPU50aは、酸素濃縮装置2を運転させる(S27)。そして、図7に示すように、オゾン発生電極4に印加する電圧値を通常(例えば、6kVp−p)よりも低い電圧値(例えば、3kVp−p)に設定する(S28)。したがって、オゾン発生電極4全体の静電容量が増大していても、高電圧回路9には過大な電流が流れない。そして、ここでも、運転スイッチ12がオフとされたか否かを判断し(S29)、運転スイッチ12がオフとされた場合は(S29:YES)、高電圧回路9に停止信号を出力し、オゾン発生器3の運転を停止させる(S33)。そして、酸素濃縮装置2の運転を停止し(S34)、オフ時間タイマカウンタtおよびオン時間タイマカウンタkを各々リセットする(S35)。そして、オフ時間タイマカウンタtのカウントを再度インクリメントさせ(S21)、処理を繰り返す。
一方、運転スイッチ12がオフとされず、オンの場合は(S29:NO)、引き続きオゾン発生器3のオゾン発生電極4には、通常よりも低い電圧(例えば、3kVp−p)が印加される。また、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加されている間は、オゾン発生電極4は発熱するため、吸湿したオゾン発生電極4の水分は蒸発する。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達したか否かを判断する(S30)。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達していない場合は(S30:NO)、S29に戻り、運転スイッチ12のオン・オフの監視を行い、引き続きカウントを続行する。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達した場合には(S30:YES)、吸湿していたオゾン発生電極4は乾燥した状態であると判断される。そこで、CPU50aは、図7に示すt2タイミングにおいて、オゾン発生器3のオゾン発生電極4に、通常の交流高電圧(例えば、6kVp−p)を印加するように、高電圧回路9に制御信号を出力する(S31)。そして、オゾン発生器3に設けられたオゾン発生電極4全体の静電容量は正常に戻るため、高電圧回路9に過大な電流が流れず、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加され、安定したオゾンを発生することができる。そして、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3の何れもが運転状態となり、安定したオゾン量を発生することができる。次いで、CPU50aは、運転スイッチ12がオフとされたか否かを監視し(S32)、運転スイッチ12がオフとされるまでは(S32:NO)、オゾン発生器3には通常の交流高電圧が印加され(S31)、オゾンを発生し続ける。
次いで、運転中であるオゾン発生装置100において、図7に示すt3タイミングで運転スイッチ12がオフとされた場合は(S32:YES)、高電圧回路9に停止信号を出力して、オゾン発生器3に印加させる交流高電圧を停止させ、オゾン発生を停止させる(S33)。さらに、酸素濃縮装置2に停止信号を出力して、酸素濃縮装置2を停止させる(S34)。したがって、オゾン発生装置100は停止状態となるため、オフ時間タイマカウンタtおよびオン時間タイマカウンタkを共にリセットする(S35)。そして、S21に戻り、再びオフ時間タイマカウンタtをスタートさせ、オゾン発生装置100の停止時間を計測する。なお、図8に示すフローチャートのS24の判断処理を実行するCPU50aが、「不使用時間判断手段」に相当し、同じフローチャートのS30の判断処理を実行するCPU50aが、「経過時間判断手段」に相当する。
以上、説明したように、第2の実施形態のオゾン発生装置100の運転方法によれば、オゾン発生装置100が長期間にわたって不使用であった場合、オゾン発生電極4が吸湿し、オゾン発生電極4全体の静電容量が大きくなる。このまま、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加されると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断されてしまうため、運転スイッチ12がオンとされてから、所定時間(例えば10秒間)は、酸素濃縮装置2を運転させるとともに、オゾン発生電極4には通常(例えば、6kVp−p)よりも低い電圧(例えば、3kVp−p)を印加する。したがって、高電圧回路9には、過大な電流が流れないので、保護ヒューズ7が溶断するのを防止できる。そして、オゾン発生電極4に、交流高電圧が印加されている間は、オゾン発生電極4は発熱するため、吸湿したオゾン発生電極4の水分は蒸発する。したがって、オゾン発生電極4全体の静電容量は正常に戻るため、オンから10秒経過後に、通常の交流高電圧がオゾン発生電極4に印加されても、高電圧回路9に過大な電流が流れず、安定した状態でオゾンを発生させることができる。このように、オゾン発生装置100が長期間使用せず放置された後でも、オゾン発生装置100が作動停止するのを防止することができる。また、吸湿したオゾン発生電極4を乾燥させるのに、ヒータなどの部材を組み付ける必要もなく、CPU50aの制御だけで解決できるため、コストアップする必要もない。
次に、本発明の第3の実施形態であるオゾン発生装置200の運転方法について、図9および図10を参照して説明する。図9は、本発明の第3の実施形態のオゾン発生装置200のブロック図であり、図10は、オゾン発生装置200の運転方法について示すフローチャートである。この第3の実施形態のオゾン発生装置200の運転方法によれば、運転スイッチ12がオンとされた時に、バックアップ用コンデンサ63からバックアップ電源が供給されている揮発性メモリ60eにおいて、記憶されている制御用データの有無を検出して、記憶されていたデータが消失している場合は、長期間使用されていなかったと判断し、第1の実施形態のオゾン発生装置1と同様の運転方法を行うものである。
はじめに、第3の実施形態のオゾン発生装置200の構造について、図9を参照して説明する。図9に示すように、オゾン発生装置200は、第1の実施形態のオゾン発生装置1とほぼ同じ構成となっており、内部に第1の実施形態のコントローラ10とは運転方法の異なるコントローラ60を備えている。したがって、オゾン発生装置200の構造の説明は第1の実施形態であるオゾン発生装置1の構造の説明を援用し、コントローラ60のみ説明する。
次に、コントローラ60について説明する。図9に示すように、このコントローラ60には、中央演算処理装置としてのCPU60aを中心に相互に接続されたROM60b、RAM60cおよび揮発性メモリ60eを備えている。RAM60cは実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データなどを記憶する読み出し・書き込み可能なメモリであり、ROM60bは内蔵されている各種プログラムなどを記憶する読み出し専用のメモリである。さらに、揮発性メモリ60eは、制御用データを記憶するメモリであり、バックアップ用コンデンサ63に接続されている。このバックアップ用コンデンサ63は、電源断時に揮発性メモリ60eにバックアップ電源を供給している。また、CPU60aは高電圧印加の制御信号を高電圧回路9に与えている。なお、図9に示すCPU60aが、「オゾン発生制御手段」に相当し、揮発性メモリ60eが、「記憶手段」に相当する。
次に、上記の構成を有するオゾン発生装置200の運転方法について、図10のフローチャートを参照して説明する。まず、図10に示すように、オゾン発生装置100が停止状態において、CPU60aは、まず、運転スイッチ12がオンとされたか否かを判断する(S41)。そして、運転スイッチ12がオンにされた場合(S41:YES)、オゾン発生装置200は運転を開始する。そして、CPU60aは、オゾン発生装置200のオン時間を計測するためのオン時間タイマカウンタkをリセットし(S42)、続いてオン時間タイマカウンタkをスタートさせる(S43)。なお、運転スイッチ12がオフの場合には、(S41:NO)、S41に戻り、再度運転スイッチ12がオンとされたか否かを監視する。
さらに、CPU60aは、揮発性メモリ60eに記憶されていた制御用データの有無を検出する(S44)。そして、揮発性メモリ60eに記憶されていた制御用データが依然記憶されていると判断した場合には(S44:YES)、揮発性メモリ60eにバックアップ電源を供給しているバックアップ用コンデンサ63のチャージが保持されていると考えられ、不使用期間はそれほど長くなかったと考えられる。したがって、運転スイッチ12がオンとされた時に、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3を同時に運転させる(S45)。即ち、オゾン発生器3に交流高電圧を印加するように高電圧回路9に制御信号を出力する。次いで、運転スイッチ12がオフされたか否かを判断する(S46)。そして、運転スイッチ12がオフされるまでは(S46:NO)、S45に戻りオゾンを発生し続ける。また、運転スイッチ12がオフされた場合(S46:YES)は、高電圧回路9にオフ信号を出力してオゾン発生器3の運転を停止させる(S52)。さらに、酸素濃縮装置2にもオフ信号を出力し、酸素濃縮装置2を停止させることにより(S53)、オゾン発生装置200が停止する。
一方、CPU60aが揮発性メモリ60eに記憶されていた制御用データが消失していると判断した場合には(S44:NO)、揮発性メモリ60eにバックアップ電源を供給しているバックアップ用コンデンサ63のチャージ切れと考えられ、不使用期間は長期間であったと判断される。オゾン発生装置200が、長期間使用されていなかった場合には、図9に示すオゾン発生器3の内部に水分を含んだ外気が侵入する可能性が高い。そして、オゾン発生器3の内部に設けられたオゾン発生電極4の第1誘電体基板20、第2誘電体基板22および絶縁性保護層24(図2参照)は、セラミックで形成され、多孔質を有するために吸湿していると判断される。したがって、オゾン発生電極4の静電容量が著しく増大するため、この状態で放電させると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断し、オゾン発生装置200が停止してしまう。
そこで、第3の実施形態のオゾン発生装置200の運転方法では、CPU60aは、まず、酸素濃縮装置2だけを運転させ(S47)、オゾン発生器3は運転させない。そして、酸素濃縮装置2は、空気を吸引して濃縮酸素を生成し、生成された濃縮酸素は図示外の配管を通じてオゾン発生器3に流入する。さらに、オゾン発生器3に流入する濃縮酸素は、交流高電圧が印加されていないオゾン発生電極4に直接吹き込まれる。すると、吸湿していたオゾン発生電極4が、濃縮酸素にさらされることにより、水分が蒸発して乾燥する。そして、ここでも、運転スイッチ12がオフとされたか否かを判断し(S48)、運転スイッチ12がオフとされた場合は(S48:YES)、酸素濃縮装置2の運転を停止させる(S53)。そして、S41に戻り、再び、運転スイッチ12がオンとされたか否かの監視を続ける。
一方、運転スイッチ12がオフとされず、オンの場合は(S48:NO)、引き続き酸素濃縮装置2だけが運転し、オゾン発生器3のオゾン発生電極4を乾燥させる。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達したか否かを判断する(S49)。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達していない場合は(S49:NO)、S48に戻り、運転スイッチ12のオン・オフの監視を行い、引き続きカウントを続行する。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達した場合には(S49:YES)、酸素濃縮装置2から送気される濃縮酸素により、吸湿していたオゾン発生電極4は乾燥した状態であると判断される。そこで、CPU60aは、オゾン発生器3のオゾン発生電極4に交流高電圧を印加するように、高電圧回路9に制御信号を出力する(S50)。そして、オゾン発生器3に設けられたオゾン発生電極4全体の静電容量は正常に戻るため、高電圧回路9に過大な電流が流れず、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加され、安定したオゾンを発生することができる。そして、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3の何れもが運転状態となり、安定したオゾンを発生する。次いで、CPU60aは、運転スイッチ12がオフとされたか否かを監視し(S51)、運転スイッチ12がオフとされるまでは(S51:NO)、オゾン発生器3に交流高電圧が印加され(S50)、オゾンを発生し続ける。
次いで、運転中であるオゾン発生装置200において、運転スイッチ12がオフとされた場合は(S51:YES)、高電圧回路9に停止信号を出力して、オゾン発生器3に印加させる交流高電圧を停止させ、オゾン発生を停止させる(S52)。さらに、酸素濃縮装置2に停止信号を出力して、酸素濃縮装置2を停止させる(S53)。したがって、オゾン発生装置200は停止状態となる。そして、S41に戻り、再び、運転スイッチ12がオンとされたか否かの監視を続ける。なお、図10に示すフローチャートのS44の判断処理を実行するCPU60aが、「データ判別手段」に相当する。
以上、説明したように、第3の実施形態のオゾン発生装置200の運転方法によれば、オゾン発生装置200が長期間にわたって不使用であった場合、オゾン発生電極4が吸湿し、オゾン発生電極4全体の静電容量が大きくなる。このまま、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加されると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断されてしまう。そこで、CPU60aは、揮発性メモリ60eに記憶されている制御用データの有無を検出し、記憶されていた制御用データが消失されている場合は、揮発性メモリ60eにバックアップ電源を供給しているバックアップ用コンデンサ63のチャージ切れと判断する。そして、バックアップ用コンデンサ63のチャージ切れの場合、オゾン発生装置200が長期間不使用であったと考えられる。この場合、所定時間(例えば10秒間)は、酸素濃縮装置2だけ運転させる。そして、吸湿したオゾン発生電極4に濃縮酸素を吹き込むことより、オゾン発生電極4を乾燥させることができる。そして、運転スイッチ12がオンとされてから、所定時間乾燥させたオゾン発生電極4に、交流高電圧を印加させることにより、オゾン発生電極4全体の静電容量が正常に戻り、高電圧回路9に過大な電流が流れることがなく、保護ヒューズ7が溶断することがない。したがって、長期間使用せず放置した後でも、オゾン発生装置200が作動停止するのを防止することができる。また、吸湿したオゾン発生電極4を乾燥させるのに、ヒータなどの部材を組み付ける必要もなく、CPU60aの制御だけで解決できるため、コストアップする必要もない。
次に、本発明の第4の実施形態であるオゾン発生装置300の運転方法について、図11および図12を参照して説明する。図11は、本発明の第4の実施形態のオゾン発生装置300のブロック図であり、図12は、オゾン発生装置300の運転方法について示すフローチャートである。この第4の実施形態のオゾン発生装置200の運転方法によれば、運転スイッチ12がオンとされた時に、バックアップ用コンデンサ73からバックアップ電源が供給されている揮発性メモリ70eにおいて、記憶されている制御用データの有無を検出して、記憶されていたデータが消失している場合は、長期間使用されていなかったと判断し、第2の実施形態のオゾン発生装置100と同様の運転方法を行うものである。
はじめに、第4の実施形態のオゾン発生装置300の構造について、図11を参照して説明する。図11に示すように、オゾン発生装置300は、第1の実施形態のオゾン発生装置1とほぼ同じ構成となっており、内部に第1の実施形態のコントローラ10とは運転方法の異なるコントローラ70を備えている。したがって、オゾン発生装置300の構造の説明は第1の実施形態であるオゾン発生装置1の構造の説明を援用し、コントローラ70のみ説明する。
次に、コントローラ70について説明する。図11に示すように、このコントローラ70には、中央演算処理装置としてのCPU70aを中心に相互に接続されたROM70b、RAM70cおよび揮発性メモリ70eを備えている。RAM70cは実行中のプログラムを一時的に記憶したり、各種データなどを記憶する読み出し・書き込み可能なメモリであり、ROM70bは内蔵されている各種プログラムなどを記憶する読み出し専用のメモリである。さらに、揮発性メモリ70eは、制御用データを記憶するメモリであり、バックアップ用コンデンサ73に接続されている。このバックアップ用コンデンサ73は、電源断時に揮発性メモリ70eにバックアップ電源を供給している。また、CPU70aは、高電圧印加の制御信号を高電圧回路9に与えている。なお、図11に示すCPU70aが「オゾン発生制御手段」に相当し、揮発性メモリ70eが、「記憶手段」に相当する。
次に、上記の構成を有するオゾン発生装置300の運転方法について、図12のフローチャートを参照して説明する。まず、図12に示すように、オゾン発生装置300が停止状態において、CPU70aは、まず、運転スイッチ12がオンとされたか否かを判断する(S61)。そして、運転スイッチ12がオフの場合には、(S61:NO)、S61に戻り、再度運転スイッチ12がオンとされたか否かを監視する。そして、運転スイッチ12がオンにされた場合(S61:YES)、オゾン発生装置300は運転を開始する。そして、オゾン発生装置300のオン時間を計測するためのオン時間タイマカウンタkをリセットし(S62)、続いてオン時間タイマカウンタkをスタートさせる(S63)。
さらに、CPU70aは、揮発性メモリ70eに記憶されていた制御用データの有無を検出する(S64)。そして、揮発性メモリ70eに記憶されていた制御用データが依然記憶されている場合には(S64:YES)、揮発性メモリ70eにバックアップ電源を供給しているバックアップ用コンデンサ73のチャージが保持されていると考えられ、不使用期間はそれほど長くなかったと考えられる。したがって、運転スイッチ12がオンとされた時に、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3を同時に運転させる(S65)。即ち、オゾン発生器3に交流高電圧を印加するように高電圧回路9に制御信号を出力する。次いで、運転スイッチ12がオフされたか否かを判断する(S66)。そして、運転スイッチ12がオフされるまでは(S66:NO)、S65に戻りオゾンを発生し続ける。また、運転スイッチ12がオフされた場合(S66:YES)は、高電圧回路9にオフ信号を出力してオゾン発生器3の運転を停止する(S73)。さらに、酸素濃縮装置2にもオフ信号を出力し、酸素濃縮装置2を停止させることにより(S74)、オゾン発生装置300が停止する。そして、S61に戻り、運転スイッチ12がオンされたか否かを監視し続ける。
一方、揮発性メモリ70eに記憶されていた制御用データが消失していると判断された場合には(S64:NO)、揮発性メモリ70eにバックアップ電源を供給しているバックアップ用コンデンサ73のチャージ切れと考えられ、不使用期間は長期間であったと判断される。オゾン発生装置300が、長期間使用されていなかった場合には、図11に示すオゾン発生器3の内部に水分を含んだ外気が侵入する可能性が高い。そして、オゾン発生器3の内部に設けられたオゾン発生電極4の第1誘電体基板20、第2誘電体基板22および絶縁性保護層24(図2参照)は、セラミックで形成され、多孔質を有するために吸湿していると判断される。したがって、オゾン発生電極4の静電容量が著しく増大するため、この状態で放電させると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断し、オゾン発生装置300が停止してしまう。
そこで、第4の実施形態のオゾン発生装置300の運転方法では、CPU70aは、まず、酸素濃縮装置2を運転させる(S67)。そして、オゾン発生電極4に印加する電圧を通常(例えば、6kVp−p)よりも低い電圧値(例えば、3kVp−p)を印加する(S68)。したがって、オゾン発生電極4全体の静電容量が増大していても、高電圧回路9には過大な電流が流れない。そして、ここでも、運転スイッチ12がオフとされたか否かを判断し(S69)、運転スイッチ12がオフとされた場合は(S69:YES)、高電圧回路9に停止信号を出力し、オゾン発生器3の運転を停止させる(S73)。そして、酸素濃縮装置2の運転を停止する(S74)。そして、S61に戻り、運転スイッチ12がオンされたか否かを監視し続ける。
一方、運転スイッチ12がオフとされず、オンの場合は(S69:NO)、引き続きオゾン発生器3のオゾン発生電極4には、通常よりも低い電圧(例えば、3kVp−p)が印加される。また、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加されている間は、オゾン発生電極4は発熱するため、吸湿したオゾン発生電極4の水分は蒸発する。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達したか否かを判断する(S70)。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達していない場合は(S70:NO)、S69に戻り、運転スイッチ12のオン・オフの監視を行い、引き続きカウントを続行する。そして、オン時間タイマカウンタkの値が、10秒に相当する値に到達した場合には(S70:YES)、吸湿していたオゾン発生電極4は乾燥した状態であると判断される。そこで、CPU70aは、オゾン発生器3のオゾン発生電極4に、通常の交流高電圧(例えば、6kVp−p)を印加するように、高電圧回路9に制御信号を出力する(S71)。そして、オゾン発生器3に設けられたオゾン発生電極4全体の静電容量は正常に戻るため、高電圧回路9に過大な電流が流れず、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加され、安定したオゾンを発生することができる。そして、酸素濃縮装置2およびオゾン発生器3の何れもが運転状態となり、安定したオゾンを発生する。次いで、CPU70aは、運転スイッチ12がオフとされたか否かを監視し(S72)、運転スイッチ12がオフとされるまでは(S72:NO)、オゾン発生器3には通常の交流高電圧が印加され(S71)、オゾンを発生し続ける。
次いで、運転中であるオゾン発生装置300において、運転スイッチ12がオフとされた場合は(S72:YES)、高電圧回路9にも停止信号を出力して、オゾン発生器3に印加させる交流高電圧を停止させ、オゾン発生を停止させる(S73)。さらに、酸素濃縮装置2に停止信号を出力して、酸素濃縮装置2を停止させる(S74)。したがって、オゾン発生装置300は停止状態となる。そして、S61に戻り、運転スイッチ12がオンされたか否かを監視し続ける。なお、図12に示すフローチャートのS64の判断処理を実行するCPU70aが、「データ判別手段」に相当する。
以上、説明したように、第4の実施形態のオゾン発生装置300の運転方法によれば、オゾン発生装置300が長期間にわたって不使用であった場合、オゾン発生電極4が吸湿し、オゾン発生電極4全体の静電容量が大きくなる。このまま、オゾン発生電極4に交流高電圧が印加されると、高電圧回路9に過大な電流が流れ、保護ヒューズ7が溶断されてしまう。そこで、CPU70aは、揮発性メモリ70eに記憶されている制御用データの有無を検出し、記憶されていた制御用データが消失されている場合は、揮発性メモリ70eにバックアップ電源を供給しているバックアップ用コンデンサ73のチャージ切れと判断する。そして、バックアップ用コンデンサ73のチャージ切れの場合、オゾン発生装置300が長期間不使用であったと考えられる。この場合は、運転スイッチ12がオンとされてから、所定時間(例えば10秒間)は、酸素濃縮装置2を運転させ、オゾン発生電極4には通常(例えば、6kVp−p)よりも低い電圧(例えば、3kVp−p)を印加する。したがって、高電圧回路9には、過大な電流が流れないので、保護ヒューズ7が溶断するのを防止できる。そして、オゾン発生電極4に、交流高電圧が印加されている間は、オゾン発生電極4は発熱するため、吸湿したオゾン発生電極4の水分は蒸発する。したがって、オゾン発生電極4全体の静電容量は正常に戻るため、オンから10秒経過後に、通常の交流高電圧がオゾン発生電極4に印加されても、高電圧回路9に過大な電流が流れず、安定した状態でオゾン発生させることができる。このように、長期間使用せず放置した後でも、オゾン発生装置300が作動停止するのを防止することができる。また、吸湿したオゾン発生電極4を乾燥させるのに、ヒータなどの部材を組み付ける必要もなく、CPU70aの制御だけで解決できるため、コストアップする必要もない。
なお、本発明は、上記の各実施形態に限定されることなく、各種の変形が可能である。
例えば、オゾン発生電極4に供給する原料としての濃縮酸素を生成するために酸素濃縮装置2を設けたが、濃縮酸素の代わりに乾燥空気をオゾン発生電極4に供給してもよく、その際には酸素濃縮装置2の代わりにエアドライヤなどを設けてもよい。また、上記実施形態の酸素濃縮装置2はPSA酸素濃縮装置であるが、PSA方式以外の酸素濃縮装置でもよい。
また、上記実施形態のオゾン発生器3のオゾン発生電極4は、無声放電型のオゾン発生電極であるが、コロナ放電型のオゾン発生電極を用いたオゾン発生器を用いてもよい。