JP2004207150A - 除電装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】除電時間を安定して短縮することができるようにする。
【解決手段】正極性側に除電対象物Aが帯電している場合、マイナスイオン生成量が多く検出されると、制御回路2はデューティ比を略60%にする回数を距離情報を加味して設定し、スイッチ4を開閉制御することで、マイナス極性と同一極性に対応する負の電圧レベルの絶対値をその反対極性に対応する正の電圧レベルの絶対値に対して所定の期間だけ高く調整することができるため、放電針6および除電対象物A間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、放電針6および除電対象物A間の距離を加味して速やかに安定して除電することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】正極性側に除電対象物Aが帯電している場合、マイナスイオン生成量が多く検出されると、制御回路2はデューティ比を略60%にする回数を距離情報を加味して設定し、スイッチ4を開閉制御することで、マイナス極性と同一極性に対応する負の電圧レベルの絶対値をその反対極性に対応する正の電圧レベルの絶対値に対して所定の期間だけ高く調整することができるため、放電針6および除電対象物A間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、放電針6および除電対象物A間の距離を加味して速やかに安定して除電することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極性および負極性の高電圧を放電針に印加することで放電針でイオンを生成し、生成されたイオンを除電対象物に吹き付けることにより除電を行うようにした除電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
物体に静電気が帯電すると周囲に浮遊する塵芥を吸着したり、例えばその物体が電気機器である場合にはその部品を電気的に破壊する原因となるなど様々な不具合を生じる。そのような不具合を防止するため除電装置が開発されている。除電装置には、高電圧発生手段が発生した高電圧を装置内に設けられた放電針に印加し、針先から正極性および負極性のイオンを同時もしくは交互に放出するタイプのものや、軟X線等の照射により空気分子の励起を用いるものなど種々のものがある。この場合、後者の放射線を用いるタイプのものでは、人体への悪影響を防止するための遮蔽等,安全上の対策が必要となるため、一般には高電圧を印加するタイプのものが広く使用されている。
【0003】
例えば高電圧印加タイプの除電装置では、一般に、除電対象物が正極性もしくは負極性の何れに帯電していたとしても除電できるように構成するため、プラスイオンおよびマイナスイオンを略同一量生成し、イオンバランスの均整のとれたイオンを除電対象物に吹き付けることで除電を行っている。プラスイオンおよびマイナスイオンを同一量生成するためには、イオン生成量の差を検出しその検出値をフィードバック制御する必要がある。イオンはグランドラインの電位を基準として生成されるので、除電装置本体とグランドラインとの間に抵抗等を接続し、当該抵抗等により構成される検出部にかかる電位差等を検出することによりイオン生成量の差を検出しフィードバック制御するようにしている除電装置が普及している。
【0004】
このような除電装置においては、例えば除電対象物が正極性に帯電しているときには、除電装置で生成されたプラスイオンは除電対象物の表面で反発しやすく、マイナスイオンは除電対象物の表面に吸着されやすいため、装置内部ではこの影響を受けてマイナスイオンが多く生成されやすい。したがって、装置内部では、プラスイオンの生成量をマイナスイオンの生成量に合致させる制御が行われる。しかし除電対象物が正極性に帯電しているにもかかわらず、プラスイオンの生成量を多くしたりもしくはマイナスイオンの生成量を少なくする制御が行われるため、除電に要する時間が長くなるという問題を生じていた。
【0005】
そこで近年、除電を高速に行うために例えば特許文献1に開示される除電装置がある。この特許文献1の除電装置は、生成されたプラスとマイナスのイオン量の差に相当する電流のピーク値を保持し電流の時間的な変化を考慮して高電圧発生手段の駆動継続時間を制御し、確実に対象物の除電を図ろうとするものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−135293号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1による構成を適用したとしても帯電している極性に対して逆側に帯電されてしまうことがあった。このとき、逆側に帯電された後、さらにその逆側極性のイオンの作用により再度除電されるが、最悪の場合この作用が繰り返し行われることもあり、この作用により除電に必要な時間を短縮できないという不具合を生じていた。また、逆側に帯電されないにもかかわらず極端に除電に要する時間がかかってしまう場合もあった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、除電時間を安定して短縮することができる除電装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の除電装置は、正および負の高電圧を発生する高電圧発生手段と、この高電圧発生手段により正および負の高電圧が印加されるとプラスイオンおよびマイナスイオンを生成する放電針と、除電装置本体とグランドラインとの間に接続された抵抗の両端に生じる正もしくは負の電位差を検出する検出手段と、この検出手段により検出された電位差に基づいて前記高電圧発生手段が生成する正および負の電圧レベルを調整する調整手段と、前記放電針と除電対象物との間の距離情報を入力する距離情報入力手段とを備え、前記調整手段は、前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と前記距離情報入力手段により入力された距離情報とに基づいて、前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と同一極性に対応する前記高電圧発生手段の正もしくは負の電圧レベルをその反対極性に対応する電圧レベルに対して高く調整するように構成されているところに特徴を有している。
【0010】
本願発明に係る技術思想を創作するにあたり発明者らは、上述した特許文献1による構成を適用する場合に課題欄で説明した不具合を生じる要因を実験を繰り返すことにより次のように突きとめた。すなわち、放電針および除電対象物間の距離が変化すると、除電対象物の帯電電荷が放電針に与える影響度も変化することが確認され、放電針により生成されるプラスイオンおよびマイナスイオンの量も変化することがあることが見出され、特許文献1に開示されるように、接地線等に流れる電流の時間的な変化やピーク値等に対応して除電対象物の帯電電荷の帯電量を想定して制御する構成の場合、放電針からある所定距離だけ離間した基準位置に除電対象物が位置しているときには正確な帯電量を想定できるが、除電対象物の位置がその基準位置からずれてしまうと正確な帯電量を想定することができないことが判明した。
【0011】
つまり、除電対象物の正確な帯電量を想定できなければ、除電装置が生成するイオンの量もバラツキを生じる。例えば、除電対象物が正極性側に帯電している場合を考える。何らかの影響により本来位置すべき基準位置から放電針の近傍側に除電対象物が位置していたと仮定すると、除電対象物の帯電電荷が放電針の生成するイオン量に与える影響度が大きくなることから、負の高電圧を発生することでマイナスイオンを生成する高電圧発生手段が本来駆動すべき時間に比較して長時間駆動することになり、さらに、除電対象物が放電針に物理的に接近するため除電対象物側に放出されるマイナスイオンの量も多くなる。
【0012】
したがって、正極性に帯電した除電対象物を除電するために行った除電動作が、逆に負極性に帯電するように制御してしまい除電動作に悪影響を及ぼしてしまっていた。その後、除電対象物が負極性側に帯電したことを電流等により検出後、プラスイオンを生成するための高電圧発生手段の作用により除電が行われるが、課題欄で述べたようにこの正負の高電圧発生手段による除電動作が繰り返されるようになってしまい除電に必要な時間が長くなってしまうという不具合を生じることが判明した。
【0013】
また逆に、何らかの影響により本来位置すべき基準位置から放電針の遠方側に除電対象物が位置したとすると、除電対象物が放電針に与える影響度が小さくなることから、負極性側の高電圧発生手段が駆動する時間が本来駆動すべき時間に比較して短くなり、正極性の帯電を除去するのに時間がかかる。しかも、放電針により生成されるイオンが除電対象物に対して物理的に到達し難くなるため、本来通常に比較してより多くマイナスイオンを生成し除電対象物側に放出しなければ除電時間を短縮することはできないが、逆にマイナスイオンの生成量が通常に比較して少なくなるように制御してしまうため、除電時間がさらに長くなってしまうという問題を生じることが判明した。
【0014】
また除電装置側から考えると、除電対象物が基準位置から放電針の近傍側に位置し帯電量が少ない場合と、除電対象物が基準位置から放電針の遠方側に位置して帯電量が多い場合とを区別することができず、この場合には同一量のプラスイオンおよびマイナスイオンを生成し放出してしまうということが判明した。
【0015】
本願発明者らは、このような不具合発生の原因を突き止めた上で請求項1記載の発明に係る技術を開発した。すなわち、請求項1記載の発明によれば、検出手段により検出された電位差に基づいてイオン生成量の多い極性と同一極性に対応する電圧レベルに対して高く調整しイオン生成量の多い極性をさらに多く生成する場合、すなわち例えば、マイナスイオン生成量が多くなることを検出しマイナスイオン生成量をさらに多くするように調整する場合には、距離情報を加味してマイナスイオン生成量を制御するのに対応する電圧レベルを調整するようにしているので、放電針および除電対象物間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、除電時間を安定して短縮することができる。
【0016】
請求項2記載の除電装置は、請求項1記載の発明において、距離情報入力手段に入力される距離情報および検出手段により検出される電位差に応じた調整レベルが予め記憶される記憶手段を備え、調整手段は、検出手段により検出された正もしくは負の電位差と距離情報入力手段により入力された距離情報に対応する調整レベルを記憶手段から読み出し、当該調整レベルに応じて前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と同一極性に対応する高電圧発生手段の電圧レベルをその反対極性に対応する電圧レベルに対して高く調整するように構成されているところに特徴を有している。
【0017】
このような手段によれば、距離情報に対応する調整レベルを記憶する記憶手段を設けているので、別途距離情報に対応する調整レベルを逐次計算する構成に比較して処理時間を短縮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図1ないし図2を参照しながら説明する。
図1は、パルスACタイプの除電装置1の電気的構成を概略的に示している。この図1において、除電装置1は、調整手段および検出手段として機能する制御回路2および昇圧整流回路3を主体として構成されるもので、コロナ放電を利用して放電する。スイッチ4を開閉制御することで交流電源5から供される電源電圧を昇圧整流回路3に通電制御し、昇圧整流回路3により高電圧のパルス電圧を生成し放電針6に印加することでプラスイオンおよびマイナスイオンを生成,放出し、図示しないファンにより除電対象物Aに吹き付けて除電するようになっている。
【0019】
以下、この除電装置1の個々の構成を具体的に説明する。制御回路2は、CPUを主体として構成されるもので、メモリ2aに記憶されたプログラムに基づいて除電装置(除電装置本体)1全体を制御する。この制御回路2には距離情報入力手段としてのコンソール7が接続されている。コンソール7は、作業者が除電対象物Aの除電作業前等に各種設定,除電開始指示等を行うために設けられるもので、除電対象物Aおよび放電針6間の距離情報を入力可能に構成されている。
また、制御回路2は、スイッチ4を開閉制御可能に構成されている。
【0020】
スイッチ4の閉状態においては、交流電源5の電圧が昇圧整流回路3に入力されるようになっている。昇圧整流回路3は、昇圧用トランス8およびコンデンサ9a〜9d,ダイオード9e〜9hからなるコッククロフト型の倍電圧整流回路9からなっており、このうち昇圧用トランス8は一次側に入力された電圧を昇圧し二次側に出力し、倍電圧整流回路9はこの電圧を2倍にして整流し後段に出力する。図1に示すように、昇圧整流回路3の出力端子3aおよび出力端子3bの後段には、抵抗10が並列に接続されると共に、コンデンサ11が直列に接続され、さらに抵抗12が並列に接続され、さらにその後段に放電針6が開放接続されている。
【0021】
放電針6は、電気的に抵抗と等価としてみなされ、コンデンサ11および抵抗12等と共に、微分回路(時定数は大)を形成するように各素子値が設定されている。この回路では直流分がカットされるため、放電針6には、正および負の高電圧が与えられ、正電圧が印加された場合にはプラスイオンを生成し、負電圧が印加された場合にはマイナスイオンを生成する。このようにして、昇圧整流回路3,抵抗10及び12およびコンデンサ11により電圧発生回路が構成されており、本発明における高電圧発生手段13として機能するようになっている。
【0022】
そして、昇圧整流回路3の出力端子3bのノードとグランドライン(大地)GNDとの間には、抵抗(検出用抵抗)14が接続されている。放電針6によりプラスイオンもしくはマイナスイオンが生成されると、放電針6とグランドラインGNDと昇圧整流回路3等を介して電流が流れるため、制御回路2はこのとき抵抗14に流れる電流を抵抗14の両端電圧により検出することで、プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量やその差を信号として検出することができる。
【0023】
上記構成の動作について図2をも参照しながら説明する。まず、イオン生成量の増減制御に伴う作用を概略的に説明する。図2は、スイッチ4開閉制御時の放電針6に印加される電圧(定常状態)を概略的に示している。尚、イオン生成量制御を行う場合には、制御回路2は交流電源5の周波数よりも大幅に低い周波数でスイッチ4を開閉制御する。
【0024】
(a)プラスイオンおよびマイナスイオン生成量を同一量に制御する場合(通常バランス時)
プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量を略同一量に制御する場合には、制御回路2がデューティ比50%のパルス電圧Va(Va=数千V〜数万V)を出力端子3a及び3b間に出力させる(図2(a)参照)。すると、放電針6には定常状態において、このパルス電圧の低周波数領域がカットされた電圧(ピーク値プラスマイナスVa/2)が与えられる。
【0025】
(b)プラスイオン生成量をマイナスイオンに比較して増加制御する場合
また、プラスイオン生成量をマイナスイオン生成量に比較して多く生成する場合には、図2(b)のように制御する。すなわち、制御回路2はスイッチ4を開状態とする時間に比較して閉状態とする時間を長くするようにデューティ比を設定し、設定されたデューティ比(50%未満,例えば40%)のパルス電圧Vaを出力端子3a及び3b間に出力させる。すると、放電針6には定常状態においてパルス電圧の低周波数領域がカットされた電圧が与えられ、図2(b)に示すように、定常状態において一周期あたりの正の電圧レベルの積分値が負の電圧レベルの積分値と同一となり、正電圧のピーク値(絶対値)Vbが負電圧のピーク値(絶対値)Vcに対して上回る。
【0026】
(c)マイナスイオン生成量をプラスイオンに比較して増加制御する場合
また、マイナスイオン生成量をプラスイオンに比較して多く生成する場合には、制御回路2が図2(c)に示すようにデューティ比を制御するが、この場合は図2(b)に示す制御とは逆にスイッチ4を開状態とする時間に比較して閉状態とする時間を短くするようにデューティ比(50%超,例えば60%)を設定しパルス電圧Vaを出力させる。すると、図2(c)に示すように、定常状態においては一周期あたりの正の電圧レベルの積分値が負の電圧レベルの積分値と同一となり、正電圧のピーク値(絶対値)Vcが負電圧のピーク値(絶対値)Vbに比較して下回る。
【0027】
さてこのとき、デューティ比を極端に大きな値もしくは小さな値に設定しない限り、プラスイオンおよびマイナスイオン生成量は正および負の電圧レベルのピーク値に対応して変化することが確認されているため、マイナスイオン生成量およびプラスイオン生成量を制御することができる。すなわち、制御回路2がデューティ比を設定しスイッチ4を開閉制御することで正および負の電圧ピークレベルを調整することができるので、プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量を調整することができる。
【0028】
さて本実施形態においては、除電対象物Aが正極性側に帯電しているときの除電動作について説明する。除電を開始する場合には、ユーザにより放電針6および除電対象物A間の距離がコンソール7に入力され、除電開始指示がなされる。すると制御回路2は、放電開始に伴うパルス電圧の初期出力回数を設定する。この回数はメモリ2aに予め記憶されるものである。放電を開始する場合にはコロナ放電を開始するための必要限度電圧(所定レベル)があり、この限度電圧以上の電圧が放電針6に印加されない場合には放電することができない。したがって制御回路2は、この限度電圧を超えるパルス電圧が放電針6に初期出力回数だけ印加されるように制御する。
【0029】
このとき、制御回路2はスイッチ4制御のデューティ比を50%に設定し、図2(a)に示すように作用させることでプラスイオン及びマイナスイオンの生成,放出量を同一量とするように制御する。
【0030】
初期状態では、放出されるプラスイオンおよびマイナスイオン量は略同一量となるが、放電針6により生成されるプラスイオンおよびマイナスイオン量は、除電対象物Aの帯電電荷の影響を受ける。すなわち、除電対象物Aが正極性側に帯電していれば、マイナスイオンが生成,放出されやすい。したがって、制御回路2は、抵抗14の両端にかかる電位差の極性を検出することでマイナスイオンの生成量が多いことを判断する。このとき制御回路2は、抵抗14の両端に生じる電位差を検出することで、プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量を算出し、さらにイオン生成量の差を算出する。
【0031】
ところでメモリ2aには、コンソール7に入力される距離情報および抵抗14の両端に生じる電位差に応じた調整レベルが予め記憶されている。ここで放電針6および除電対象物A間の距離情報がコンソール7に入力されれば、制御回路2は、この距離情報および抵抗14の両端に生じる電位差に応じた調整レベルをメモリ2aから読み出し設定する。この調整レベルは、マイナスイオンの生成量を増加させる期間や逆にプラスイオンの生成量を増加させる期間を表わすもので、例えばマイナスイオンの生成量を増加させる場合には、デューティ比を例えば略60%に維持した状態(図2(c)参照)でスイッチ4を開閉制御する回数を示している。
【0032】
調整レベルは、例えば放電針6および除電対象物A間の距離が長くなればなるほど大きな値となるように設定されており、また、抵抗14の両端に生じる電位差により算出されるイオン生成量の差が少なければ少ないほど小さな値となり反対にイオン生成量の差が多ければ多いほど大きな値となるように設定されている。尚、制御回路2が調整レベルを逐次算出するように構成しても良いが、演算処理の負担が大きいため読み出して設定するほうが望ましい。
【0033】
制御回路2は、この調整レベルに応じてデューティ比60%のパルス電圧を出力する回数を設定しスイッチ4を開閉制御する。具体的には、除電対象物Aが正極性に帯電している場合、制御回路2は、除電対象物Aとの距離が長く設定されていればいるほど、デューティ比を略60%として出力する回数を多く設定しスイッチ4の開閉制御を行い、その回数に相当する期間は負の電圧レベル(絶対値)Vbを正の電圧レベル(絶対値)Vcよりも高くする(図2(c)参照)ように調整することでマイナスイオンの生成量をその期間のみ多くする。したがって、マイナスイオンの生成量を距離情報を加味して調整することができる。その後、制御回路2は、その所定期間だけマイナスイオンの生成量を多くした後、デューティ比50%に切替え通常バランス制御(図2(a)参照)を行うことにより除電を行う。
【0034】
このような実施形態によれば、正極性に除電対象物Aが帯電している際にマイナスイオン生成量が多く検出されると、制御回路2はデューティ比を略60%にする回数を距離情報を加味して設定し、スイッチ4を開閉制御することで、マイナス極性と同一極性に対応する負の電圧レベルの絶対値Vbをその反対極性に対応する正の電圧レベルの絶対値Vcに対して所定の期間だけ高く調整することができるため、放電針6および除電対象物A間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、放電針6および除電対象物Aの距離を加味して素早く除電を行うことができ、これにより除電時間を安定して短縮することができる。
【0035】
距離情報に対応する調整レベルを記憶するメモリ2aを設けているので、別途計算する構成に比較して処理時間を短縮することができる。
【0036】
尚、放電針6の劣化等によってもイオン生成量は変化するが、劣化によりイオン生成量が減少する場合には、正および負のイオン生成量が共に減少するため、抵抗14の両端にかかる電位差(イオン生成量に対応)の絶対レベルを所定のしきい値と比較することにより劣化しているか否かを判断することができる。
【0037】
(他の実施形態)
本発明は、上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、例えば次のような変形または拡張が可能である。
1つの放電針6によりイオンを放電する実施形態を示したが、図3に示すように、プラスイオンおよびマイナスイオンを生成する放電針6を別々に設けて構成しても良い。
また、図3に示すように、放電針6に対して電圧印加するときには、プラス側電圧発生回路(高電圧発生手段)13およびマイナス側電圧発生回路(高電圧発生手段)15を別に設け、コンデンサ11を用いることなく構成しても良い。
コンソール7から放電針6および除電対象物Aの距離を入力する実施形態を示したが、別途距離センサを設け距離情報を入力する手段として機能するようにしても良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、検出手段により検出された電位差に基づいてイオン生成量の多い電圧極性と同一極性に対応する電圧レベルに対して高く調整しイオン生成量の多い極性をさらに多く生成する場合に、距離情報を加味して電圧レベルを調整しているので、放電針および除電対象物間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、除電時間を安定して短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す除電装置の電気的構成図
【図2】(a)〜(c)放電針に印加される電圧を概略的に示す図
【図3】変形例を示す図1相当図
【符号の説明】
1は除電装置(除電装置本体)、2は制御回路(調整手段,検出手段)、2aはメモリ(記憶手段)、3は昇圧整流回路、6は放電針、7はコンソール(距離情報入力手段)、13は高電圧発生手段、Aは除電対象物である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、正極性および負極性の高電圧を放電針に印加することで放電針でイオンを生成し、生成されたイオンを除電対象物に吹き付けることにより除電を行うようにした除電装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
物体に静電気が帯電すると周囲に浮遊する塵芥を吸着したり、例えばその物体が電気機器である場合にはその部品を電気的に破壊する原因となるなど様々な不具合を生じる。そのような不具合を防止するため除電装置が開発されている。除電装置には、高電圧発生手段が発生した高電圧を装置内に設けられた放電針に印加し、針先から正極性および負極性のイオンを同時もしくは交互に放出するタイプのものや、軟X線等の照射により空気分子の励起を用いるものなど種々のものがある。この場合、後者の放射線を用いるタイプのものでは、人体への悪影響を防止するための遮蔽等,安全上の対策が必要となるため、一般には高電圧を印加するタイプのものが広く使用されている。
【0003】
例えば高電圧印加タイプの除電装置では、一般に、除電対象物が正極性もしくは負極性の何れに帯電していたとしても除電できるように構成するため、プラスイオンおよびマイナスイオンを略同一量生成し、イオンバランスの均整のとれたイオンを除電対象物に吹き付けることで除電を行っている。プラスイオンおよびマイナスイオンを同一量生成するためには、イオン生成量の差を検出しその検出値をフィードバック制御する必要がある。イオンはグランドラインの電位を基準として生成されるので、除電装置本体とグランドラインとの間に抵抗等を接続し、当該抵抗等により構成される検出部にかかる電位差等を検出することによりイオン生成量の差を検出しフィードバック制御するようにしている除電装置が普及している。
【0004】
このような除電装置においては、例えば除電対象物が正極性に帯電しているときには、除電装置で生成されたプラスイオンは除電対象物の表面で反発しやすく、マイナスイオンは除電対象物の表面に吸着されやすいため、装置内部ではこの影響を受けてマイナスイオンが多く生成されやすい。したがって、装置内部では、プラスイオンの生成量をマイナスイオンの生成量に合致させる制御が行われる。しかし除電対象物が正極性に帯電しているにもかかわらず、プラスイオンの生成量を多くしたりもしくはマイナスイオンの生成量を少なくする制御が行われるため、除電に要する時間が長くなるという問題を生じていた。
【0005】
そこで近年、除電を高速に行うために例えば特許文献1に開示される除電装置がある。この特許文献1の除電装置は、生成されたプラスとマイナスのイオン量の差に相当する電流のピーク値を保持し電流の時間的な変化を考慮して高電圧発生手段の駆動継続時間を制御し、確実に対象物の除電を図ろうとするものである。
【0006】
【特許文献1】
特開平11−135293号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1による構成を適用したとしても帯電している極性に対して逆側に帯電されてしまうことがあった。このとき、逆側に帯電された後、さらにその逆側極性のイオンの作用により再度除電されるが、最悪の場合この作用が繰り返し行われることもあり、この作用により除電に必要な時間を短縮できないという不具合を生じていた。また、逆側に帯電されないにもかかわらず極端に除電に要する時間がかかってしまう場合もあった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、除電時間を安定して短縮することができる除電装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の除電装置は、正および負の高電圧を発生する高電圧発生手段と、この高電圧発生手段により正および負の高電圧が印加されるとプラスイオンおよびマイナスイオンを生成する放電針と、除電装置本体とグランドラインとの間に接続された抵抗の両端に生じる正もしくは負の電位差を検出する検出手段と、この検出手段により検出された電位差に基づいて前記高電圧発生手段が生成する正および負の電圧レベルを調整する調整手段と、前記放電針と除電対象物との間の距離情報を入力する距離情報入力手段とを備え、前記調整手段は、前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と前記距離情報入力手段により入力された距離情報とに基づいて、前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と同一極性に対応する前記高電圧発生手段の正もしくは負の電圧レベルをその反対極性に対応する電圧レベルに対して高く調整するように構成されているところに特徴を有している。
【0010】
本願発明に係る技術思想を創作するにあたり発明者らは、上述した特許文献1による構成を適用する場合に課題欄で説明した不具合を生じる要因を実験を繰り返すことにより次のように突きとめた。すなわち、放電針および除電対象物間の距離が変化すると、除電対象物の帯電電荷が放電針に与える影響度も変化することが確認され、放電針により生成されるプラスイオンおよびマイナスイオンの量も変化することがあることが見出され、特許文献1に開示されるように、接地線等に流れる電流の時間的な変化やピーク値等に対応して除電対象物の帯電電荷の帯電量を想定して制御する構成の場合、放電針からある所定距離だけ離間した基準位置に除電対象物が位置しているときには正確な帯電量を想定できるが、除電対象物の位置がその基準位置からずれてしまうと正確な帯電量を想定することができないことが判明した。
【0011】
つまり、除電対象物の正確な帯電量を想定できなければ、除電装置が生成するイオンの量もバラツキを生じる。例えば、除電対象物が正極性側に帯電している場合を考える。何らかの影響により本来位置すべき基準位置から放電針の近傍側に除電対象物が位置していたと仮定すると、除電対象物の帯電電荷が放電針の生成するイオン量に与える影響度が大きくなることから、負の高電圧を発生することでマイナスイオンを生成する高電圧発生手段が本来駆動すべき時間に比較して長時間駆動することになり、さらに、除電対象物が放電針に物理的に接近するため除電対象物側に放出されるマイナスイオンの量も多くなる。
【0012】
したがって、正極性に帯電した除電対象物を除電するために行った除電動作が、逆に負極性に帯電するように制御してしまい除電動作に悪影響を及ぼしてしまっていた。その後、除電対象物が負極性側に帯電したことを電流等により検出後、プラスイオンを生成するための高電圧発生手段の作用により除電が行われるが、課題欄で述べたようにこの正負の高電圧発生手段による除電動作が繰り返されるようになってしまい除電に必要な時間が長くなってしまうという不具合を生じることが判明した。
【0013】
また逆に、何らかの影響により本来位置すべき基準位置から放電針の遠方側に除電対象物が位置したとすると、除電対象物が放電針に与える影響度が小さくなることから、負極性側の高電圧発生手段が駆動する時間が本来駆動すべき時間に比較して短くなり、正極性の帯電を除去するのに時間がかかる。しかも、放電針により生成されるイオンが除電対象物に対して物理的に到達し難くなるため、本来通常に比較してより多くマイナスイオンを生成し除電対象物側に放出しなければ除電時間を短縮することはできないが、逆にマイナスイオンの生成量が通常に比較して少なくなるように制御してしまうため、除電時間がさらに長くなってしまうという問題を生じることが判明した。
【0014】
また除電装置側から考えると、除電対象物が基準位置から放電針の近傍側に位置し帯電量が少ない場合と、除電対象物が基準位置から放電針の遠方側に位置して帯電量が多い場合とを区別することができず、この場合には同一量のプラスイオンおよびマイナスイオンを生成し放出してしまうということが判明した。
【0015】
本願発明者らは、このような不具合発生の原因を突き止めた上で請求項1記載の発明に係る技術を開発した。すなわち、請求項1記載の発明によれば、検出手段により検出された電位差に基づいてイオン生成量の多い極性と同一極性に対応する電圧レベルに対して高く調整しイオン生成量の多い極性をさらに多く生成する場合、すなわち例えば、マイナスイオン生成量が多くなることを検出しマイナスイオン生成量をさらに多くするように調整する場合には、距離情報を加味してマイナスイオン生成量を制御するのに対応する電圧レベルを調整するようにしているので、放電針および除電対象物間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、除電時間を安定して短縮することができる。
【0016】
請求項2記載の除電装置は、請求項1記載の発明において、距離情報入力手段に入力される距離情報および検出手段により検出される電位差に応じた調整レベルが予め記憶される記憶手段を備え、調整手段は、検出手段により検出された正もしくは負の電位差と距離情報入力手段により入力された距離情報に対応する調整レベルを記憶手段から読み出し、当該調整レベルに応じて前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と同一極性に対応する高電圧発生手段の電圧レベルをその反対極性に対応する電圧レベルに対して高く調整するように構成されているところに特徴を有している。
【0017】
このような手段によれば、距離情報に対応する調整レベルを記憶する記憶手段を設けているので、別途距離情報に対応する調整レベルを逐次計算する構成に比較して処理時間を短縮することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態について、図1ないし図2を参照しながら説明する。
図1は、パルスACタイプの除電装置1の電気的構成を概略的に示している。この図1において、除電装置1は、調整手段および検出手段として機能する制御回路2および昇圧整流回路3を主体として構成されるもので、コロナ放電を利用して放電する。スイッチ4を開閉制御することで交流電源5から供される電源電圧を昇圧整流回路3に通電制御し、昇圧整流回路3により高電圧のパルス電圧を生成し放電針6に印加することでプラスイオンおよびマイナスイオンを生成,放出し、図示しないファンにより除電対象物Aに吹き付けて除電するようになっている。
【0019】
以下、この除電装置1の個々の構成を具体的に説明する。制御回路2は、CPUを主体として構成されるもので、メモリ2aに記憶されたプログラムに基づいて除電装置(除電装置本体)1全体を制御する。この制御回路2には距離情報入力手段としてのコンソール7が接続されている。コンソール7は、作業者が除電対象物Aの除電作業前等に各種設定,除電開始指示等を行うために設けられるもので、除電対象物Aおよび放電針6間の距離情報を入力可能に構成されている。
また、制御回路2は、スイッチ4を開閉制御可能に構成されている。
【0020】
スイッチ4の閉状態においては、交流電源5の電圧が昇圧整流回路3に入力されるようになっている。昇圧整流回路3は、昇圧用トランス8およびコンデンサ9a〜9d,ダイオード9e〜9hからなるコッククロフト型の倍電圧整流回路9からなっており、このうち昇圧用トランス8は一次側に入力された電圧を昇圧し二次側に出力し、倍電圧整流回路9はこの電圧を2倍にして整流し後段に出力する。図1に示すように、昇圧整流回路3の出力端子3aおよび出力端子3bの後段には、抵抗10が並列に接続されると共に、コンデンサ11が直列に接続され、さらに抵抗12が並列に接続され、さらにその後段に放電針6が開放接続されている。
【0021】
放電針6は、電気的に抵抗と等価としてみなされ、コンデンサ11および抵抗12等と共に、微分回路(時定数は大)を形成するように各素子値が設定されている。この回路では直流分がカットされるため、放電針6には、正および負の高電圧が与えられ、正電圧が印加された場合にはプラスイオンを生成し、負電圧が印加された場合にはマイナスイオンを生成する。このようにして、昇圧整流回路3,抵抗10及び12およびコンデンサ11により電圧発生回路が構成されており、本発明における高電圧発生手段13として機能するようになっている。
【0022】
そして、昇圧整流回路3の出力端子3bのノードとグランドライン(大地)GNDとの間には、抵抗(検出用抵抗)14が接続されている。放電針6によりプラスイオンもしくはマイナスイオンが生成されると、放電針6とグランドラインGNDと昇圧整流回路3等を介して電流が流れるため、制御回路2はこのとき抵抗14に流れる電流を抵抗14の両端電圧により検出することで、プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量やその差を信号として検出することができる。
【0023】
上記構成の動作について図2をも参照しながら説明する。まず、イオン生成量の増減制御に伴う作用を概略的に説明する。図2は、スイッチ4開閉制御時の放電針6に印加される電圧(定常状態)を概略的に示している。尚、イオン生成量制御を行う場合には、制御回路2は交流電源5の周波数よりも大幅に低い周波数でスイッチ4を開閉制御する。
【0024】
(a)プラスイオンおよびマイナスイオン生成量を同一量に制御する場合(通常バランス時)
プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量を略同一量に制御する場合には、制御回路2がデューティ比50%のパルス電圧Va(Va=数千V〜数万V)を出力端子3a及び3b間に出力させる(図2(a)参照)。すると、放電針6には定常状態において、このパルス電圧の低周波数領域がカットされた電圧(ピーク値プラスマイナスVa/2)が与えられる。
【0025】
(b)プラスイオン生成量をマイナスイオンに比較して増加制御する場合
また、プラスイオン生成量をマイナスイオン生成量に比較して多く生成する場合には、図2(b)のように制御する。すなわち、制御回路2はスイッチ4を開状態とする時間に比較して閉状態とする時間を長くするようにデューティ比を設定し、設定されたデューティ比(50%未満,例えば40%)のパルス電圧Vaを出力端子3a及び3b間に出力させる。すると、放電針6には定常状態においてパルス電圧の低周波数領域がカットされた電圧が与えられ、図2(b)に示すように、定常状態において一周期あたりの正の電圧レベルの積分値が負の電圧レベルの積分値と同一となり、正電圧のピーク値(絶対値)Vbが負電圧のピーク値(絶対値)Vcに対して上回る。
【0026】
(c)マイナスイオン生成量をプラスイオンに比較して増加制御する場合
また、マイナスイオン生成量をプラスイオンに比較して多く生成する場合には、制御回路2が図2(c)に示すようにデューティ比を制御するが、この場合は図2(b)に示す制御とは逆にスイッチ4を開状態とする時間に比較して閉状態とする時間を短くするようにデューティ比(50%超,例えば60%)を設定しパルス電圧Vaを出力させる。すると、図2(c)に示すように、定常状態においては一周期あたりの正の電圧レベルの積分値が負の電圧レベルの積分値と同一となり、正電圧のピーク値(絶対値)Vcが負電圧のピーク値(絶対値)Vbに比較して下回る。
【0027】
さてこのとき、デューティ比を極端に大きな値もしくは小さな値に設定しない限り、プラスイオンおよびマイナスイオン生成量は正および負の電圧レベルのピーク値に対応して変化することが確認されているため、マイナスイオン生成量およびプラスイオン生成量を制御することができる。すなわち、制御回路2がデューティ比を設定しスイッチ4を開閉制御することで正および負の電圧ピークレベルを調整することができるので、プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量を調整することができる。
【0028】
さて本実施形態においては、除電対象物Aが正極性側に帯電しているときの除電動作について説明する。除電を開始する場合には、ユーザにより放電針6および除電対象物A間の距離がコンソール7に入力され、除電開始指示がなされる。すると制御回路2は、放電開始に伴うパルス電圧の初期出力回数を設定する。この回数はメモリ2aに予め記憶されるものである。放電を開始する場合にはコロナ放電を開始するための必要限度電圧(所定レベル)があり、この限度電圧以上の電圧が放電針6に印加されない場合には放電することができない。したがって制御回路2は、この限度電圧を超えるパルス電圧が放電針6に初期出力回数だけ印加されるように制御する。
【0029】
このとき、制御回路2はスイッチ4制御のデューティ比を50%に設定し、図2(a)に示すように作用させることでプラスイオン及びマイナスイオンの生成,放出量を同一量とするように制御する。
【0030】
初期状態では、放出されるプラスイオンおよびマイナスイオン量は略同一量となるが、放電針6により生成されるプラスイオンおよびマイナスイオン量は、除電対象物Aの帯電電荷の影響を受ける。すなわち、除電対象物Aが正極性側に帯電していれば、マイナスイオンが生成,放出されやすい。したがって、制御回路2は、抵抗14の両端にかかる電位差の極性を検出することでマイナスイオンの生成量が多いことを判断する。このとき制御回路2は、抵抗14の両端に生じる電位差を検出することで、プラスイオンおよびマイナスイオンの生成量を算出し、さらにイオン生成量の差を算出する。
【0031】
ところでメモリ2aには、コンソール7に入力される距離情報および抵抗14の両端に生じる電位差に応じた調整レベルが予め記憶されている。ここで放電針6および除電対象物A間の距離情報がコンソール7に入力されれば、制御回路2は、この距離情報および抵抗14の両端に生じる電位差に応じた調整レベルをメモリ2aから読み出し設定する。この調整レベルは、マイナスイオンの生成量を増加させる期間や逆にプラスイオンの生成量を増加させる期間を表わすもので、例えばマイナスイオンの生成量を増加させる場合には、デューティ比を例えば略60%に維持した状態(図2(c)参照)でスイッチ4を開閉制御する回数を示している。
【0032】
調整レベルは、例えば放電針6および除電対象物A間の距離が長くなればなるほど大きな値となるように設定されており、また、抵抗14の両端に生じる電位差により算出されるイオン生成量の差が少なければ少ないほど小さな値となり反対にイオン生成量の差が多ければ多いほど大きな値となるように設定されている。尚、制御回路2が調整レベルを逐次算出するように構成しても良いが、演算処理の負担が大きいため読み出して設定するほうが望ましい。
【0033】
制御回路2は、この調整レベルに応じてデューティ比60%のパルス電圧を出力する回数を設定しスイッチ4を開閉制御する。具体的には、除電対象物Aが正極性に帯電している場合、制御回路2は、除電対象物Aとの距離が長く設定されていればいるほど、デューティ比を略60%として出力する回数を多く設定しスイッチ4の開閉制御を行い、その回数に相当する期間は負の電圧レベル(絶対値)Vbを正の電圧レベル(絶対値)Vcよりも高くする(図2(c)参照)ように調整することでマイナスイオンの生成量をその期間のみ多くする。したがって、マイナスイオンの生成量を距離情報を加味して調整することができる。その後、制御回路2は、その所定期間だけマイナスイオンの生成量を多くした後、デューティ比50%に切替え通常バランス制御(図2(a)参照)を行うことにより除電を行う。
【0034】
このような実施形態によれば、正極性に除電対象物Aが帯電している際にマイナスイオン生成量が多く検出されると、制御回路2はデューティ比を略60%にする回数を距離情報を加味して設定し、スイッチ4を開閉制御することで、マイナス極性と同一極性に対応する負の電圧レベルの絶対値Vbをその反対極性に対応する正の電圧レベルの絶対値Vcに対して所定の期間だけ高く調整することができるため、放電針6および除電対象物A間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、放電針6および除電対象物Aの距離を加味して素早く除電を行うことができ、これにより除電時間を安定して短縮することができる。
【0035】
距離情報に対応する調整レベルを記憶するメモリ2aを設けているので、別途計算する構成に比較して処理時間を短縮することができる。
【0036】
尚、放電針6の劣化等によってもイオン生成量は変化するが、劣化によりイオン生成量が減少する場合には、正および負のイオン生成量が共に減少するため、抵抗14の両端にかかる電位差(イオン生成量に対応)の絶対レベルを所定のしきい値と比較することにより劣化しているか否かを判断することができる。
【0037】
(他の実施形態)
本発明は、上記し且つ図面に記載した実施例にのみ限定されるものではなく、例えば次のような変形または拡張が可能である。
1つの放電針6によりイオンを放電する実施形態を示したが、図3に示すように、プラスイオンおよびマイナスイオンを生成する放電針6を別々に設けて構成しても良い。
また、図3に示すように、放電針6に対して電圧印加するときには、プラス側電圧発生回路(高電圧発生手段)13およびマイナス側電圧発生回路(高電圧発生手段)15を別に設け、コンデンサ11を用いることなく構成しても良い。
コンソール7から放電針6および除電対象物Aの距離を入力する実施形態を示したが、別途距離センサを設け距離情報を入力する手段として機能するようにしても良い。
【0038】
【発明の効果】
本発明は以上の説明から明らかなように、検出手段により検出された電位差に基づいてイオン生成量の多い電圧極性と同一極性に対応する電圧レベルに対して高く調整しイオン生成量の多い極性をさらに多く生成する場合に、距離情報を加味して電圧レベルを調整しているので、放電針および除電対象物間の距離に関わらず適切なイオン生成量を設定することができ、除電時間を安定して短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す除電装置の電気的構成図
【図2】(a)〜(c)放電針に印加される電圧を概略的に示す図
【図3】変形例を示す図1相当図
【符号の説明】
1は除電装置(除電装置本体)、2は制御回路(調整手段,検出手段)、2aはメモリ(記憶手段)、3は昇圧整流回路、6は放電針、7はコンソール(距離情報入力手段)、13は高電圧発生手段、Aは除電対象物である。
Claims (2)
- 正および負の高電圧を発生する高電圧発生手段と、
この高電圧発生手段により正および負の高電圧が印加されるとプラスイオンおよびマイナスイオンを生成する放電針と、
除電装置本体とグランドラインとの間に接続された抵抗の両端に生じる正もしくは負の電位差を検出する検出手段と、
この検出手段により検出された電位差に基づいて前記高電圧発生手段が生成する正および負の電圧レベルを調整する調整手段と、
前記放電針と除電対象物との間の距離情報を入力する距離情報入力手段とを備え、
前記調整手段は、前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と前記距離情報入力手段により入力された距離情報とに基づいて、前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と同一極性に対応する前記高電圧発生手段の正もしくは負の電圧レベルをその反対極性に対応する電圧レベルに対して高く調整するように構成されていることを特徴とする除電装置。 - 請求項1記載の除電装置において、
前記距離情報入力手段に入力される距離情報および前記検出手段により検出される電位差に応じた調整レベルが予め記憶される記憶手段を備え、
前記調整手段は、前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と前記距離情報入力手段により入力された距離情報に対応する調整レベルを前記記憶手段から読み出し、当該調整レベルに応じて前記検出手段により検出された正もしくは負の電位差と同一極性に対応する前記高電圧発生手段の電圧レベルをその反対極性に対応する電圧レベルに対して高く調整するように構成されていることを特徴とする除電装置。
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