JP4064724B2 - ステント及びステントグラフト - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、大動脈瘤ステント及びステントグラフトに関するものであり、患者の治療部位におけるステント及びステントグラフトの安全性と追従性を向上させることができるステントの形態の改良に関するものである。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
従来のステント及びステントグラフトは、
(1)シースに挿入しない状態では、基本的には直線型の金属骨格で形成し、金属骨格を工夫することにより、患部へ挿入後の追随性を向上させることを企図して設計されているため、大動脈屈曲部への追従性に乏しく、経時的なステントの変形や血管の損傷を起こしやすい。
(2)屈曲性の向上を目的に作られたステントグラフトの金属メッシュタイプの場合には、柔軟性に富むため、追従性は向上しているものの、径を収縮させた際にはステントの全長が伸びてしまうので留置の際の位置決めが困難であることや、術後遠隔期に位置が移動することや、瘤側へステントが膨らむことによるステントの変形等の経時的変化を受けやすいことなどが課題となっていた。
(3)同一径かつ同一ジグザグパターン数のユニットを連結する場合、直線状の場合は問題無いが、直線状から屈曲形状に折り曲げる場合には、ステントの屈曲ラインR内側は全ての中央屈曲部がほぼ向き合うか交互に中央屈曲部と屈曲部内側スペースに向き合うかのいずれかになってしまう。中央屈曲部同士が向き合った場合は屈曲させた時、ステントの屈曲ラインR内側の中央屈曲部が重なってしまうので、ステント及びグラフトの屈曲性や耐久性に無理が生じる。
中央屈曲部と屈曲部内側スペースとが向き合ったユニットの場合のステントは屈曲させた時、連結部と略直線部とが略一直線状にならないので、屈曲形状に連結したものを縮小、開放する際にねじれを生じやすく、経時的なステントの変形を起こしやすい。
屈曲形状には向いていない。
(4)環状ユニット間の連結部を略直線部の長さ以上に長くするなどによりジグザグパターン同士が重ならないようにする構成は可能であるが、遠隔期に連結部にねじれが生じる可能性があることや連結部の箇所が患部に対し、拡張力不足につながる結果になる。
そこで本発明者らは以上の課題を解決するステントを提供するために鋭意検討を重ねた結果、次の発明に到達した。
【0003】
【課題を解決するための手段】
[1]本発明は、略環状体に形成され、その径が環状体の中心軸(C)方向へ縮小可能なバネ作用を有し、かつ縮小後は再び基の径に拡張可能なステント(1)であって、
(A)シースに挿入しない状態では、ステント(1)の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持し、
(B)シースに挿入する際には、ステント(1)の中心軸(C)方向へ縮小かつステント(1)の長さ方向に沿って略直線状に伸張することにより、シース内に略直線状に格納され、
(C)シースとともに患部に挿入し、シースより放出した後は、ステント(1)の外部半径方向に拡張しかつステント(1)の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持することができるステント(1)であり、当該ステント(1)は、
金属性ワイヤにより金属骨格を形成し、少なくとも一つ以上の中央屈曲部[8(8A、8B)]と該中央屈曲部[8(8A、8B)]の両側に実質的に同じ長さの略直線部[6(61、62、63、64)]を有する略V字状のジグザグパターン(7)を形成し、前記ジグザグパターン(7)をステント(1)の中心軸Cを取り囲むように複数配列することにより環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を構成し、複数の前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]がステント(1)の長さ方向に延設され、
複数の前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]同士の間は少なくとも2箇所が実質的に同じ長さ(L)または異なる長さ(L)の連結部[5(5A、5B)]より連結し、
前記(A)と前記(C)の屈曲した形態を、前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の前記連結部[5(5A、5B)]の接続位置をずらして、当該連結部[5(5A、5B)]の間に配置される中央屈曲部[8(8A、8B)]の数を調整することにより得ることができ、
前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]同士のステントの半径方向に引いた線(LR)同士が交差する角度(θ)は、前記連結部[5(5A、5B)]の間に配置される前記中央屈曲部[8(8A、8B)]の数が、多いほど大きくなるように形成したステント(1)を提供する。
[2]本発明は、ステント(1)の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持している状態で、ステント(1)の最も外側の屈曲ラインR側から見て、相互に隣接する2つの環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の二つの連結部[5(5A、5B)]の間に、相互のジグザグパターン(7)を構成するそれぞれの中央屈曲部[8(8A、8B)]が少なくとも1〜4個実質的に対向して配置され、ステント(1)の最も内側の屈曲ラインR´側から見て、相互に隣接する2つの環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を構成する相互のジグザグパターン(7)のそれぞれの中央屈曲部(8、8A、8B)とジグザグパターン(7)の内側スペース(9)が実質的に対向して配置されている[1]に記載のステント(1)を提供する。
[3]本発明は、ジグザグパターン(7)を奇数個有する少なくとも一つ以上の環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とジグザグパターン(7)を偶数個有する少なくとも一つ以上の環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を有する[1]または[2]に記載のステント(1)を提供する。
[4]本発明は、ジグザグパターン(7)を奇数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とジグザグパターン(7)を偶数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を相互に隣接させ、ステント(1)の長さ方向に沿って交互に配置した[1]から[3]のいずれか1項に記載のステント(1)を提供する。
[5]本発明は、前記連結部[5(5A、5B)]に対して前記略直線部[6(61、62、63、64)]は0°ないし±30°の連結角度(θ)で連結されている[1]から[4]のいずれか1項に記載のステント(1)を提供する。
[6]本発明は、前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]は、金属製ワイヤの途中を折り曲げ、前記金属製ワイヤの少なくとも1箇所を接合することにより形成した[1]から[5]のいずれか1項に記載のステント(1)を提供する。
[7]本発明は、連結部[5(5A、5B)]が直線ないし曲線である[1]から[6]のいずれかの1項に記載のステント(1)を提供する。
[8]本発明は、連結部[5(5A、5B)]の長さと略直線部[6(61、62、63、64)]の長さの比(L)が0.1ないし2.0である[1]から[7]のいずれか1項に記載のステント(1)を提供する。
[9]本発明は、中央屈曲部[8(8A、8B)]が略R状もしくはリング状である[1]から[8]のいずれか1項に記載のステントを提供する。
[10]本発明は、無負荷時の略管状体の直径から患部へ装填される際の直径の縮小率が20%から90%である[1]から[9]のいずれか1項に記載のステント(1)を提供する。
[11]本発明は、[1]から[10]のいずれか1項に記載のステント(1)に合成樹脂製管状部材(12)を被覆したステントグラフトを提供する。
【0004】
【発明の実施の形態】
図1(A)は本発明のステント1の概念を示す概略図(平面図)で無負荷の状態の形状を示している。(B)はジグザグパターン7の一部拡大図である。
図2は図1のX方向から見た平面図で、ステント1の最も外側の屈曲ラインR側から見て、相互に隣接する二つの環状ユニット4A、4Bの連結部5A、5Bの間に、相互のジグザグパターン7を構成するそれぞれの中央屈曲部8A、8Bが2個ずつ、すなわち中央屈曲部8Aと8Bが実質的に対向した状態で連結部5A、5Bの間に配置されている一例である。
図3は図1のY方向から見た平面図で、ステント(1)の最も内側の屈曲ラインR´側から見て、相互に隣接する二つの環状ユニット4A、4Bの相互のジグザグパターン7の中央屈曲部8A、8Bとジグザグパターン7の内側スペース9が実質的に対向し状態で(隣接した距離で向き合って)配置されている一例である。
図4は本発明のステントグラフト11の概略図で、図1のステント1が患部に挿入されたサイズに縮小され、合成樹脂製管状部材12(破線で示した)をステント1の外周に被覆した状態を示している。
図5、図6はそれぞれ先端がカーブ状のシース10と直線状のシース20内にステント1が格納された状態を示す概略図である。なお合成樹脂製管状部材12(グラフトともいう)はステント1の外側に携合しステント1の形状に合せて縮径するが図5、図6では省略している。)
図7はステント1の連結部5と略直線部6の連結状態の実施例を示す一部拡大図である。
【0005】
本発明のステント1の基本的な設計思想は、略管状体に形成され、その径が管状体の中心軸C方向へ縮小可能なバネ作用を有しかつ縮小後は再び基の径に拡張可能であり、(A)シースに挿入しない状態では、ステント1の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持し、(B)シースに挿入する際には、ステント1の中心軸C方向へ縮小かつステント1の長さ方向に沿って伸張することにより、シース先端内にシースの形状に従い略直線状やカーブ状に格納され、(C)シースとともに患部に挿入し、シースより放出した後は、ステント1の外部半径方向に拡張し、かつステント1の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持することができるステント1である。
【0006】
本発明のステント1を構成する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]は、金属製ワイヤの途中を折り曲げることにより、少なくとも一つ以上の中央屈曲部[8(8A、8B)]と該中央屈曲部[8(8A、8B)]の両側に実質的に同じ長さの略直線部[6(61、62、63、64)]有するように略V字状のジグザグパタンーン7を形成し、該ジグザグパターン7を円周状に配置し、これらをステント1の中心軸Cを取り囲むように複数配列し、さらに前記金属製ワイヤの少なくとも1箇所を溶接、蝋止め、かしめ等の公知の手段によって接合することにより形成される。
本発明のステント1は複数の前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]がステント1の長さ方向に延設され、前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]同士は少なくとも二箇所が実質的に同じ長さLの連結部[5(5A、5B)]により連結することにより構成されている。
本発明のステント1は、さらに血管の形状に合せ各環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の前記連結部[5(5A、5B)]の位置をずらすことにより三次元状の屈曲状態を得ることができる。
さらに本発明のステント1は前記連結部[5(5A、5B)]に対して前記略直線部[6(61、62、63、64)]は、0°ないし±30°の連結角度θで連結されている。
例えば図1、図2で例示するように、連結部[5(5A、5B)]の左右に隣接する略直線部[6(61、62、63、64)]はほぼ一直線状(連結角度θが0°)に連結されているが、図7に例示するように連結の際に連結部5を中心にして略直線部6がほぼ対称となるような連結角度θ(±20°)で連結すると連結部5において、より自由な屈曲角度の調整ができ、遠隔期のねじれに対しても、より効果的である。図7では連結部5と略直線部6を連結角度θ8°で連結した例を示した。
なお図1、図2で例示した連結部[5(5A、5B)]は直線で表しているが、曲線であっても良い。曲線とは少なくとも一箇所以上の屈曲部を有するものを意味し、略S字状のものも含む。連結部[5(5A、5B)]と略直線部[6(61、62、63、64)]は溶接、蝋止め等の公知の接合手段により接合することができる。
【0007】
本発明のステント1で、中央屈曲部[8(8A、8B)]は図1に例示するように、略R状に形成されているが、リング状等に形成することができる。
また本発明のステント1は、少なくとも二つの前記連結部[5(5A、5B)]の間には、図1ないし図2で例示するように前記ジグザグパターン7を構成する中央屈曲部[8(8A、8B)]少なくとも1個以上分(例えば1個ないし4個)をあけて配置されている。図2は環状ユニット4A、4Bを連結部5A、5Bで連結したものであるが、連結部5A、5Bの間に中央屈曲部8A、8Bがそれぞれ2個配置されているのが分かる。
ここで、図1に例示したように本発明のステント1では、5つの環状ユニット4Aから4E相互に連結部5A、5Bで連結しているが、環状ユニット4Bと4C間の連結は連結部5A、5Bの間に中央屈曲部8A、8Bがそれぞれ3個配置され、環状ユニット4Cと4D間の連結は中央屈曲部8A、8Bがそれぞれ2個配置され、環状ユニット4Dと4E間の連結は中央屈曲部8A、8Bがそれぞれ1個配置したものである。
図1に例示するように、各環状ユニット同士のステントの半径方向に引いた線LR同士が交差する角度θnは連結部5A、5Bの間に配置される中央屈曲部8A、8Bの数の多いほど大きくなり、θ1<θ2<θ3の関係が成り立っている。
このように各環状ユニット同士のステントの半径方向に引いた線同士が交差する角度と連結部5A、5Bの間に配置される中央屈曲部8A、8Bの数を調整することにより、隣接する前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]同士のステント1の長さ方向の屈曲角度(程度)を調整することができる。
また図1の連結部[5(5A、5B)]は全て同一の長さとしているが、連結部[5(5A、5B)]の長さを変化させることにより、隣接する前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]同士のステント1の長さ方向の屈曲角度(程度)を調整することができる。連結部[5(5A、5B)の長さと略直線部[6(61、62、63、64)]の長さの比Lは、図1では約0.4に形成されているが、連結部[5(5A、5B)]の長さを1.0とすると、0.1〜2.0の範囲に形成するのが好ましい。長さの比Lが0.1未満では、環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の角度の調整が困難となり、長さの比Lが2.0を超えると遠隔期にねじれが生じる可能性があることや連結部[5(5A、5B)]の拡張力が弱くなるので好ましくない。
【0008】
本発明のステント1はジグザグパターン7を奇数個有する少なくとも一つ以上の環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とジグザグパターン7を偶数個有する少なくとも一つ以上の環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を有する。
本発明のステント1では、ジグザグパターン7を奇数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とジグザグパターン7を偶数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を相互に隣接させ、ステント1の長さ方向に沿って交互に配置するのが好ましい。
例えば、前記相互に隣接する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]のうちの一方は、奇数個(例えば7、9、11個等)のジグザグパターン7より構成され、他方は偶数個(例えば、8、10、12個)のジグザグパターン7より構成される。さらにステント1の長さ方向に沿って、奇数個のジグザグパターン7より構成される環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]と、偶数個のジグザグパターン7より構成される環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とが交互に配置されている。
【0009】
本発明のステント1は、図1から図3に例示するように、ステント(1)の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持している状態で、ステント1の最も外側の屈曲ラインR側から見て、相互に隣接する2つの環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の二つの連結部[5(5A、5B)]の間に、相互のジグザグパターン7を構成するそれぞれの中央屈曲部[8(8A、8B)]少なくとも1ないし4個実質的に対向して配置され、他方、ステント1の最も内側の屈曲ラインR´側から見て相互に隣接する2つの環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を構成する相互のジグザグパターン7のそれぞれの中央屈曲部[ 8(8A、8B) ]とジグザグパターン7の内側スペース9が実質的に対向して配置されているため、拡張時に隣接するジグザグパターン7同士が、接触することなく、重なり合うことが可能となり、屈曲ラインR、R´の形状をより急峻に調整することができる。
図1に例示したステント1はジグザグパターン7を9・10・9・10・9個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]の順に連結されたものである。
以上のように本発明のステント1は患部の屈曲部に対応可能な構造としたため、ジグザグパターン7を奇数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とジグザグパターン7を偶数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を相互に隣接させ、ステント1の長さ方向に沿って交互に配置する例、すなわち奇数・偶数・奇数・偶数・・の配置パターン図1から図3に例示したが、例えば患部(血管)に、直線状ないし略直線状の患部(血管)が含まれる場合には、その箇所については奇数・奇数・・・及び/または偶数・偶数・・・・等の配置パターンにすることができる。
本発明のステント1は無負荷時の略管状体の直径から患部へ装填される際の直径の縮小率が20%から90%の間になるように形成される。縮小することで患部に対してラジアルフォースが働くので、処置直後を含めた初期のリーク封止を確実に行うことができる。なお縮小率があまり大きすぎたり(20%未満)、小さすぎる(90%を超える)と前記効果が得られないので好ましくない。
【0010】
本発明のステント1はSUS316L等のステンレス鋼、Ti−Ni合金等の超弾性合金、チタン合金、タンタル等からなる金属ワイヤにより形成される。またこれらの金属より形成されたステントにウレタン等の高分子材料やヘパリン、ウロキナーゼ等の生理活性物質、アルガトロバン等の抗血栓薬剤を被覆させるのも良い。
【0011】
またステントグラフト11は、前記ステント1に例えば、ダクロン(登録商標、ポリエチレンテレフタレート)繊維、フッ素樹脂(PTFE:ポリテトラフルオロエチレン)製フィルム等からなる合成樹脂製管状部材12を被覆することにより作製することができる。
例えば、一実施例として無負荷時に直径が40mmであったステントを30mm(75%)に縮径し、直径が31mmのダクロン製管状部材の端部及び任意の箇所を縫合糸で縫い固定して、ステントグラフト11を作製することができる。ステント1は、それ自体のばね作用及び合成樹脂製管状部材12で被覆していることから、血管の3次元的な屈曲に対し追随できる。
【0012】
図1から図3で例示したステント1の各環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]の径サイズは全て同一であるが、患部によっては両端の径サイズが異なる場合もある。その場合は、患部(血管)の形状に合せて径サイズの異なる環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を組み合わせ、その形状に合せてステントグラフト11を作製するのが望ましい。例えば患部の両端の径が異なる場合には、両端の環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]の径を患部(血管)の形状に合せることで、対応が可能である。
【0013】
【発明の作用効果】
本発明のステント1は当初から病変部の屈曲した血管に対応できるように屈曲した状態に設計されるので、各患者の大動脈屈曲部に対応した追従性の良いステント1を提供することができる。
また本発明のステント1は環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の連結部[5(5A、5B)]を長くせずに屈曲形状を得ることができ、ねじれや変形が生じにくいため遠隔期に移動することがない。
また本発明のステント1はあらかじめ各環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]の径とジグザグパターン7の組み合わせを準備しておけば、患部に合せて各環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]と連結部[5(5A、5B)]の位置を選定したステント1を作製することにより急性ないし亜急性の症例に対しても迅速に目的とするステント1を供給することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)本発明のステントの概略図(平面図)、(B)ジグザグパターン7の一部拡大図
【図2】図1のX方向からみた平面図
【図3】図1のY方向からみた平面図
【図4】図1のステントを患部に収縮させて置いた状態を示す概略図
【図5】本発明のステントグラフトを先端がカーブ状のシースに挿入した状態を示す概略図
【図6】本発明のステントグラフトを先端が直線状のシースに挿入した状態を示す概略図
【図7】連結部5と略直線部6の連結状態の実施例を示す一部拡大図
【符号の説明】
1、11 ステント
3 接合部
4、4A、4B、4C、4D、4E 環状ユニット
5、5A、5B 連結部
6、61、62、63、64 略直線部
7 ジグザグパターン
8、8A、8B 中央屈曲部
9 内側スペース
10、20 シース
11 ステントグラフト
12 合成樹脂製管状部材
R ステントの外側の屈曲ライン
R´ ステントの内側の屈曲ライン
θ (略直線部と連結部の)連結角度
LR 各環状ユニット同士のステントの半径方向に引いた線
θ1、θ2、θ3 環状ユニット間の角度(LR同士が交差する角度)

Claims (11)

  1. 略環状体に形成され、その径が環状体の中心軸(C)方向へ縮小可能なバネ作用を有し、かつ縮小後は再び基の径に拡張可能なステント(1)であって、
    (A)シースに挿入しない状態では、ステント(1)の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持し、
    (B)シースに挿入する際には、ステント(1)の中心軸(C)方向へ縮小かつステント(1)の長さ方向に沿って略直線状に伸張することにより、シース内に略直線状に格納され、
    (C)シースとともに患部に挿入し、シースより放出した後は、ステント(1)の外部半径方向に拡張しかつステント(1)の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持することができるステント(1)であり、当該ステント(1)は、
    金属性ワイヤにより金属骨格を形成し、少なくとも一つ以上の中央屈曲部[8(8A、8B)]と該中央屈曲部[8(8A、8B)]の両側に実質的に同じ長さの略直線部[6(61、62、63、64)]を有する略V字状のジグザグパターン(7)を形成し、前記ジグザグパターン(7)をステント(1)の中心軸Cを取り囲むように複数配列することにより環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を構成し、複数の前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]がステント(1)の長さ方向に延設され、
    複数の前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]同士の間は少なくとも2箇所が実質的に同じ長さ(L)または異なる長さ(L)の連結部[5(5A、5B)]より連結し、
    前記(A)と前記(C)の屈曲した形態を、前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の前記連結部[5(5A、5B)]の接続位置をずらして、当該連結部[5(5A、5B)]の間に配置される中央屈曲部[8(8A、8B)]の数を調整することにより得ることができ、
    前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]同士のステントの半径方向に引いた線(LR)同士が交差する角度(θ)は、前記連結部[5(5A、5B)]の間に配置される前記中央屈曲部[8(8A、8B)]の数が、多いほど大きくなるように形成した、ことを特徴とするステント(1)。
  2. ステント(1)の長さ方向に沿って屈曲した形態を保持している状態で、ステント(1)の最も外側の屈曲ラインR側から見て、相互に隣接する2つの環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]間の二つの連結部[5(5A、5B)]の間に、相互のジグザグパターン(7)を構成するそれぞれの中央屈曲部[8(8A、8B)]が少なくとも1〜4個実質的に対向して配置され、ステント(1)の最も内側の屈曲ラインR´側から見て、相互に隣接する2つの環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を構成する相互のジグザグパターン(7)のそれぞれの中央屈曲部(8、8A、8B)とジグザグパターン(7)の内側スペース(9)が実質的に対向して配置されていることを特徴とする請求項1に記載のステント(1)。
  3. ジグザグパターン(7)を奇数個有する少なくとも一つ以上の環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とジグザグパターン(7)を偶数個有する少なくとも一つ以上の環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を有する請求項1または請求項2に記載のステント(1)。
  4. ジグザグパターン(7)を奇数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]とジグザグパターン(7)を偶数個有する環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]を相互に隣接させ、ステント(1)の長さ方向に沿って交互に配置したことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1の請求項に記載のステント(1)。
  5. 前記連結部[5(5A、5B)]に対して前記略直線部[6(61、62、63、64)]は0°ないし±30°の連結角度(θ)で連結されている請求項1から請 求項4のいずれか1の請求項に記載のステント(1)。
  6. 前記環状ユニット[4(4A、4B、4C、4D、4E)]は、金属製ワイヤの途中を折り曲げ、前記金属製ワイヤの少なくとも1箇所を接合することにより形成した請求項1から請求項5のいずれかの1の請求項に記載のステント(1)。
  7. 連結部[5(5A、5B)]が直線ないし曲線であることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかの1の請求項に記載のステント(1)。
  8. 連結部[5(5A、5B)]の長さと略直線部[6(61、62、63、64)]の長さの比(L)が0.1ないし2.0であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかの1の請求項に記載のステント(1)。
  9. 中央屈曲部[8(8A、8B)]が略R状もしくはリング状であることを特徴とする請求項1から請求項8のいずれかの1の請求項に記載のステント。
  10. 無負荷時の略管状体の直径から患部へ装填される際の直径の縮小率が20%から90%であることを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかの1の請求項に記載のステント(1)。
  11. 請求項1から請求項10のいずれかの1の請求項に記載のステント(1)に合成樹脂製管状部材(12)を被覆したことを特徴とするステントグラフト。
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