JP4064172B2 - 光硬化性オルガノポリシロキサン組成物 - Google Patents

光硬化性オルガノポリシロキサン組成物 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば半導体のパターン形成、パッシベーション等に用いられる半導体用感光性耐熱材料として有用な光硬化性オルガノポリシロキサン組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体用感光性耐熱材料としては、シリコーンラダーポリマー系の感光性耐熱材料(特開昭60−108839号公報、特開昭60−108840号公報、特開昭60−108841号公報、特開昭59−193925号公報、特開昭60−76739号公報、特開昭60−80851号公報等参照)が知られているが、感度が低く製造工程も複雑であり、実用的なものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、実用的で、かつ経済的に得ることができる光硬化性オルガノポリシロキサン組成物であって、すでに工業化された原料を使用し、感度、解像性及び保存安定性に優れ、塗布後未硬化の状態で粘着性が少なく、硬化後の耐熱性に優れた光硬化性オルガノポリシロキサン組成物を提供することにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1は、(A) 平均組成式(1) :
(CH 2 =CR 1 COOC 3 H 6 -)a (Ph)b R 2 c(R 3 3 SiO)d SiO (4-a-b-c-d)/2 (1)
(式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R2 は炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基を示し、Phはフェニル基を示し、R3 は炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基を示し、aは0.05<a<0.9を満足し、bは0.1<b<0.9を満足し、cは0≦c<0.2を満足し、dは0<d≦0.5を満足し、かつ0.8≦a+b+c+d≦1.5を満足する数である)
で表され、平均分子量が3,000 〜100,000 (GPCによるポリスチレン換算値)である(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサン、及び
【0005】
(B)光増感剤
を含有してなる光硬化性オルガノポリシロキサン組成物である。
本発明の第2は、前記光硬化性オルガノポリシロキサン組成物に光を照射して硬化させることからなる硬化物の製造方法である。
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0006】
(A) 成分の(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサン
本発明に用いる(A)成分の(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンは、前記一般式(1)で示され、一般に、分岐した構造を有するオルガノポリシロキサンである。式(1) において、aは組成物が感光性を示す上で重要な役割を果たす(メタ)アクリロイルオキシル基の割合を示し、0.05<a<0.9を満足し、bは得られる硬化物に耐熱性を付与するフェニル基の量を示し、0.1<b<0.9を満足し、cは0≦c<0.2を満足し、dは0<d≦0.5,好ましくは0<d≦0.1を満足し、かつ0.8≦a+b+c+d≦1.5,好ましくは1≦a+b+c+d≦1.1を満足する数である。
【0007】
該(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンは、平均分子量、例えば重量平均分子量が3,000〜100,000(GPCによるポリスチレン換算値)であり、好ましくは、5,000〜50,000(GPCによるポリスチレン換算値)である。この平均分子量が小さすぎると、本発明の組成物をコーティングした後、その末硬化状態での表面タックが残り易くなる場合がある。一方、大き過ぎると、該(A)成分が溶剤に溶けにくくなる場合がある。
この(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンは、例えば、下記一般式(2):
【0008】
CH2 =CR1 COO−C36 −Si(OR43 (2)
(式中、R1 は前記と同じであり、R4 は非置換又はアルコキシ置換アルキル基を示す)
で表される(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシランと、該シラン1モル当たり0.7 〜20モル量の、下記一般式(3):
【0009】
PhSi(OR53 (3)
(式中、Phは前記と同じであり、R5 は非置換又はアルコキシ置換アルキル基を示す)
で示されるフェニルトリアルコキシシラン及び場合によっては、さらに例えば前記一般式(2)のシラン1モル当たり0〜4モル量(組成式(1)中、R2 は多くない方が好ましい)の一般式(4):
【0010】
2 Si(OR63 (4)
(式中、R2 は前記と同じであり、R6 は非置換又はアルコキシ置換アルキル基を示す)で表されるオルガノトリアルコキシシラン、例えばアルキルトリアルコキシシラン、アルケニルトリアルコキシシランとを、共加水分解及び縮重合に供し、得られた縮重合物に含まれるシラノール基をトリアルキルシロキシ基に転換することにより得られる。
【0011】
前記一般式(1)又は(4)のR2 及び一般式(1)のR3 で表される炭素原子数1〜8のアルキル又はアルケニル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、オクチル基、α−エチルヘキシル基、ビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、ブテニル基等が挙げられる。中でも好ましいのはメチル基である。
【0012】
前記一般式(2)のR4 で表される非置換又はアルコキシ置換アルキル基は、一般に炭素原子数1〜12のもの、好ましくは炭素原子数1〜4のものであって、このような非置換又はアルコキシ置換アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ドデシル基、メトキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基等が挙げられる。中でも好ましいのは、メチル基である。
【0013】
前記一般式(3)のR5 で表される非置換又はアルコキシ置換アルキル基としては、前記R4 で表される非置換又はアルコキシ置換アルキル基と同様のものが挙げられる。また前記一般式(4)のR6 で表される非置換又はアルコキシ置換アルキル基としては、前記R4 で表される非置換又はアルコキシ置換アルキル基と同様のものが挙げられる。
【0014】
上記の製造方法では、先ず、一般式(2)の(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシランと一般式(3)のフェニルトリアルコキシシランとを、一般式(2)のシラン:一般式(3)のシランのモル比1:0.7〜20、好ましくは、1:1〜5で、好ましくは酸触媒存在下に、共加水分解反応させて、シラノール基を有する共加水分解縮合物を得る。
【0015】
前記一般式(2)で表される(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシランの具体例としては、例えば、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリプロポキシシラン、(2−メチル)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、(2−メチル)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシラン、アクリロイルオキシプロピルトリ(メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
【0016】
前記一般式(3)で表されるフェニルトリアルコキシシランの具体例としては、例えば、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、フェニルトリブトキシシラン等が挙げられる。
【0017】
前記一般式(4)で表されるオルガノトリアルコキシシランの具体例としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、エチルトリブトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、プロピルトリブトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリ(メトキシエトキシ)シラン等が挙げられる。
前記の共加水分解は、酸触媒の存在下に行うのが好ましい。酸触媒としては、公知の酸触媒である無機酸及び有機酸を用いることができ、具体的には、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸;酢酸、シュウ酸等の有機酸が挙げられる。中でも好ましいのは塩酸である。
【0018】
酸触媒の使用量は、前記一般式(2)、(3)及び(4)で示されるアルコキシシランの合計量100重量部に対し、通常0.001〜1.0重量部である。共加水分解は、通常、0〜50℃で行えばよい。
このようにして得られる共加水分解物は、次に縮重合に供される。この縮重合反応の条件は、前記一般式(1)のオルガノポリシロキサンの分子量をコントロールする上で重要である。反応温度は50〜100℃が好ましく、特に80℃〜100℃が好ましい。
【0019】
反応時間は、前記反応温度条件下で30分間以上が好ましい。特に平均分子量、例えば重量平均分子量3,000以上(GPCによるポリスチレン換算値)の該オルガノポリシロキサンを得るためには、上記の共加水分解により生じたシラノール基と、共加水分解後も残存するアルコキシ基を上記反応条件で縮重合する必要がある。
このようにして共加水分解及び縮重合を経て得られた共加水分解縮重合物中にはアルコキシ基はほぼ完全に消失しているが、一部のシラノール基は未反応のまま残存している。
【0020】
次の共加水分解縮重合物のシリル化工程では、前記共加水分解縮重合物をシリル化剤と反応させて、残存するシラノール基をシリル化する。
前記シリル化剤としては、例えば、下記一般式(5):
7 3 Si−NH−SiR7 3 (5)
(式中、R7 は独立に炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基を示す)
で表されるヘキサオルガノジシラザン、例えばヘキサアルキルジシラザン、テトラアルキルジアルケニルジシラザン、テトラアルケニルジアルキルジシラザン等が挙げられる。前記一般式(5)のR7 で示される炭素原子数1〜8のアルキル又はアルケニル基としては前記R2 及びR3 と同様のものが挙げられ、好ましくはメチル基及びビニル基である。
前記一般式(5)のヘキサオルガノジシラザンの具体例としてはヘキサメチルジシラザン、テトラメチルジブチルジシラザン、ヘキサエチルジシラザン、テトラメチルジビニルジシラザン、テトラビニルジメチルジシラザン等が挙げられる。前記一般式(5)以外のシリル化剤としては、例えばN−トリメチルシリルアセトアミド、N,O−ビス(トリメチルシリル)アセトアミド、N−トリメチルシリルイミダゾール等が挙げられる。以上のシリル化剤の中でも、ヘキサアルキルジシラザン、特にヘキサメチルジシラザンが好ましい。
【0021】
このシリル化反応は、通常有機溶媒中で行われ、このような有機溶媒としては、例えば、メチルトリブチルケトン、トルエン、キシレン等が挙げられる。
シリル化剤の使用量は、共加水分解縮重合物中に残存するシラノール基の量により一概に決定できないが、通常、前記共加水分解縮重合物に対して5重量%以上が好ましい。前記シリル化反応の温度は、80℃以上、特に80〜160℃が好ましく、反応時間は、0.5〜3時間程度でよい。
このシリル化により、共加水分解縮合物に残存するシラノール基はほぼ完全にトリアルキルシロキシ基に転化され不活性になる。
【0022】
このようにして、前記一般式(1)で表される(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンが得られる。該(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンは、シラノール基が分子中に残存していないので親水性が乏しく親油性が高いので水と混和しない有機溶剤に溶解した状態で水洗することにより容易に水溶性不純物を除去できる。したがって、高純度化が容易でしかもシラノール基を含有していないので保存安定性に優れている。更に、硬化性が優れ、塗布後、未硬化状態で粘着性が少ない。
【0023】
(B) 成分の光増感剤
本発明に用いる(B)成分の光増感剤としては、例えば、2,6−ビス(p−アジドベンザル)−4−tert−アミールシクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、4,4’−ジアジドベンザルアセトン等のビスアジド化合物;3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、6−メチルクマリン等のクマリン系色素;ベンゾフェノン及びこれらの誘導体、例えば、テトラ(tert−ブチルペロキシカルボニル)ベンゾフェノン等;ベンゾイン、及びこれらの誘導体、例えば、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインメチルエーテルなどが挙げられ、中でも好ましいのは、2,6−ビス(p−アジドベンザル)−4−tert−アミールシクロヘキサノン、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、テトラ(tert−ブチルペロキシカルボニル)ベンゾフェノン、ベンゾフェノンである。
【0024】
(B)成分の光増感剤の配合量は、前記(A)成分の(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサン100重量部に対し、0.0001〜20重量部が好ましく、さらに好ましくは0.1〜10重量部である。
【0025】
その他の成分
本発明の光硬化性オルガノポリシロキサン組成物は、前記(A)及び(B)成分のほか、必要により、溶剤や、例えば、ハイドロキノンモノメチルエーテル、2,6−ジ(tert−ブチル)−4−メチルフェノール等の重合禁止剤、通常光硬化性オルガノポリシロキサン組成物に用いるその他の添加剤などを配合することができる。
【0026】
前記溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、メチルイソブチルケトン、1−メトキシ−2−プロパノール等が挙げられる。溶剤の使用量は、組成物全体で40〜80重量%が好ましい。
【0027】
光硬化性オルガノポリシロキサン組成物
本発明の組成物は、前記(A)成分及び(B)成分、並びにその他の必要な成分を均一に混合して得ることができる。
【0028】
このようにして得られた本発明の組成物は、例えば次のように用いられる。即ち、スピンナー等の塗布装置を用いて所定の基体に塗布し、組成物に含まれる溶剤を風乾して、好ましくは、0.1〜10μm(乾燥後の厚さ)の組成物被膜を形成した後、マスクアライナー等を用い、これに直接、或いはフォトマスクで組成物被膜表面を遮蔽してから、光を照射して該組成物被膜の露光部分を硬化させる。照射する光としては、例えば、遠紫外線(波長:例193nm,253nm)、i線(波長:365nm)、g線(波長:436nm)、h線(波長:405nm)等の紫外線が挙げられる。
【0029】
前記フォトマスクで遮蔽された未硬化の組成物被膜は、例えば、メチルトリブチルケトン等の溶剤を用いて溶解、除去することにより、前記フォトマスクに応じたパターンを形成ができる。また、組成物被膜を半導体のパッシベーションに用いる場合には、好ましくは、200℃〜300℃で1〜4時間加熱することにより、硬化させた組成物被膜中に残存する溶剤等の揮発分が完全に飛散し、耐熱性、密着性に優れた被膜が得られる。
【0030】
【実施例】
以下に、実施例及び比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本例中、平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)によるポリスチレン換算値であり、また記号MW は重量平均分子量を意味する。
【0031】
実施例1
アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(▲1▼)468重量部、及びフェニルトリメトキシシラン(▲2▼)792重量部をフラスコに仕込み(▲1▼:▲2▼のモル比=1:2)、これに水534.2重量部及び酸触媒としての塩酸(36重量%)2重量部を混合した溶液を攪拌下で10分間かけて滴下し、加水分解反応を行った。次に、反応混合物を100℃に加熱し、副生したメチルアルコールを留去しながら5時間縮重合反応を行った。
【0032】
次に、得られた加水分解縮重合物をメチルトリブチルケトンに溶解した後、該加水分解縮重合物100重量部に対してヘキサメチルジシラザン25重量部を添加し、100℃で1時間加熱した。その後、メチルトリブチルケトンを100℃/5mmHgで減圧留去し、樹脂状の固形物として(A)成分の(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンを得た。なお、この(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンの平均分子量(MW )を測定した結果、7,000であった。
【0033】
次に、得られた(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサン100重量部と、(B)成分の2,6−ビス(p−アジドベンザル)−4−tert−アミールシクロヘキサノン5重量部とを、メチルイソブチルケトン233.4重量部に溶解した溶液を、孔径が0.5μmのメンブレンフィルターでろ過し、本発明の組成物を得た。
得られた組成物をシリコンウェハー上にスピンコート法により塗布し、風乾した後、膜厚が2.5μmの組成物被膜を形成した。この組成物被膜は、未硬化の状態で粘着性は無かった。
【0034】
この組成物被膜に、マスクアライナーを用い、予め半導体の回路に応じてパターンを形成したフォトマスクを密着させ、露光した後(180mJ)、キシレンを用いて現像し、シリコンウェハー上に厚さが1.8μmで、20μmL/Sの解像パターンを得た。なお、20μmL/Sの解像パターンとは、シリコーンウェーハー上に幅20μm組成物被膜と幅20μmのスペースが交互に連なる縞状パターンをいう(以下、同じ)。
【0035】
実施例2
アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(▲1▼)468重量部、及びフェニルトリメトキシシラン(▲2▼)594重量部をフラスコに仕込み(▲1▼:▲2▼のモル比=1:5)、これに水446重量部及び酸触媒としての塩酸(36重量%)1.7重量部を混合した溶液を滴下し、加水分解反応を行った。次に、これを80℃に加熱し、副生したメチルアルコールを留去しながら縮重合反応を行った。
【0036】
次に、得られた加水分解縮重合物をメチルトリブチルケトンに溶解した後、該加水分解縮重合物100重量部に対してヘキサメチルジシラザン25重量部を添加し、100℃で1時間加熱した後、メチルトリブチルケトンを100℃、5mmHgで減圧留去し、樹脂状の固形物として(A)成分の(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンを得た。なお、この(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンの平均分子量(MW )を測定した結果、12,000であった。
【0037】
次に、得られたアクリロキシ基含有オルガノポリシロキサン100重量部と、(B)成分のテトラ(tert−ブチルペロキシカルボニル)ベンゾフェノン4重量部及び3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)0.005重量部とを、メチルイソブチルケトン233.4重量部に溶解した溶液を、孔径が0.5μmのメンブレンフィルターでろ過し、本発明の組成物を得た。
【0038】
得られた組成物をシリコンウェハー上にスピンコート法により塗布し、風乾した後、膜厚が2.5μmの組成物被膜を形成した。この組成物被膜は、未硬化の状態で粘着性は無かった。
この組成物被膜に、マスクアライナーを用い、予め半導体の回路に応じてパターンを形成したフォトマスクを密着させ、露光した後(708mJ)、メチルイソブチルケトンを用いて現像し、シリコンウェハー上に厚さが1.7μmで、20μmL/Sの解像パターンを得た。
【0039】
実施例3
実施例2と同様にして、加水分解及び縮重合を行って加水分解縮重合物を得た。
【0040】
得られた加水分解縮重合物を、実施例1において行ったのと同様にしてヘキサメチルジシラザンで処理し、(A)成分の(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンを得た。なお、この(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンの平均分子量(MW )を測定した結果、12,000であった。
【0041】
次に、この(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサン100重量部を、トルエン200重量部に溶解し、これを純水600重量部で2回水洗した。この時の分離廃水の電導度を測定したところ、3μs/cmであった。
【0042】
次に、水洗した(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサンのトルエン溶液から共沸脱水及びトルエン留去を行って精製した。
次に、こうして精製した(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサン100重量部と、(B)成分のテトラ(tert−ブチルペロキシカルボニル)ベンゾフェノン4重量部と、3,3−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)0.005重量部とを、メチルイソブチルケトン233.4重量部に溶解した溶液を、孔径が0.5μmのメンブレンフィルターでろ過し、本発明の組成物を得た。
この組成物中の不純物濃度を測定した結果、Na+ が1ppm以下、K+ が1ppm以下、Cl- が1ppm以下であった。
得られた組成物をシリコンウェハー上にスピンコート法により塗布し、風乾した後、膜厚が2.5μmの組成物被膜を形成した。この組成物被膜は、未硬化の状態で粘着性は無かった。
【0043】
この組成物被膜に、マスクアライナーを用いて予め半導体の回路に応じてパターンを形成したフォトマスクを密着させ、露光した後(708mJ)、メチルイソブチルケトンを用いて、組成物被膜の未硬化部分を溶解、除去し、シリコンウェハー上に、厚さが1.7μmで、20μmL/Sの解像パターンを得た。
【0044】
比較例1
アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(▲1▼)468重量部、及びフェニルトリメトキシシラン(▲2▼)198重量部をフラスコに仕込み(▲1▼:▲2▼のモル比=1:0.5)、これに水334重量部及び酸触媒としての塩酸(36重量%)1.3重量部を混合した溶液を滴下し、加水分解反応を行った。次に反応液を80℃に加熱し、副生したメチルアルコールを留去しながら縮重合反応を行った。
【0045】
次に、得られた加水分解縮重合物をメチルイソブチルケトンに溶解した後、該加水分解縮重合物100重量部に対してヘキサメチルジシラザン25重量部を添加し、100℃で1時間加熱した後、メチルイソブチルケトンを100℃/5mmHgで減圧留去したところ、高粘度の樹脂を得た。この樹脂は、粘着性があり、フォトマスクを使用する光硬化性オルガノポリシロキサン組成物としては不適当であった。なお、この樹脂の平均分子量(MW )を測定した結果、9,000であった。
【0046】
比較例2
実施例1と同様の組成、即ち、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(▲1▼)468重量部、及びフェニルトリメトキシシラン(▲2▼)792重量部をフラスコに仕込み(▲1▼:▲2▼のモル比=1:2)、これに水534.2重量部及び酸触媒としての塩酸(36重量%)2重量部を混合した溶液を攪拌下で10分間かけて滴下し、加水分解反応を行った。次に、この反応混合物を100℃に加熱し、副生したメチルアルコールを留去しながら1時間縮重合反応を行った。
【0047】
次に、得られた加水分解縮重合物をメチルトリブチルケトンに溶解した後、該加水分解縮重合物100重量部にヘキサメチルジシラザン25重量部を添加し、100℃で1時間加熱した後、メチルトリブチルケトンを100℃/5mmHgで減圧留去したところ、高粘度で水あめ状の樹脂を得た。この樹脂は、粘着性があり、フォトマスクを使用する光硬化性オルガノポリシロキサン組成物としては不適当であった。なお、この樹脂の平均分子量(MW )を測定した結果、2,000であった。
【0048】
比較例3
実施例1と同様の組成、即ち、アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(▲1▼)468重量部、及びフェニルトリメトキシシラン(▲2▼)792重量部をフラスコに仕込み(▲1▼:▲2▼のモル比=1:2)、これに水534.2重量部及び酸触媒としての塩酸(36重量%)2重量部を混合した溶液を攪拌下で10分間かけて滴下し、加水分解反応を行った。
【0049】
次に反応混合物を100℃に加熱し、副生したメチルアルコールを留去しながらさらに昇温を続け、150℃で10時間縮重合反応を行った。次に得られた加水分解縮合物をメチルトリブチルケトンに溶解しようとしたが、該縮合物を均一に溶解するのは困難であった。該縮合物の平均分子量(MW )を測定した結果110,000であった。
【0050】
比較例4
アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン(▲1▼)468重量部、及びフェニルトリメトキシシラン(▲2▼)9900重量部をフラスコに仕込み(▲1▼:▲2▼のモル比=1:25)、これに水4450重量部及び酸触媒として塩酸(36重量%)16.6重量部を混合した溶液を攪拌下で10分間かけて滴下し、加水分解反応を行った。次に反応混合物を100℃に加熱し、副生したメチルアルコールを留去しながら5時間縮重合反応を行った。
【0051】
次に得られた加水分解縮合物をメチルトリブチルケトンに溶解した後、該加水分解縮重合物100重量部に対してヘキサメチルジシラザン25重量部を添加し、100℃で1時間加熱した。その後、メチルトリブチルケトンを100℃/5mmHgで減圧留去し、樹脂固形物を得た。なお、この樹脂固形物の平均分子量(MW )を測定した結果6,000であった。
【0052】
次に得られた樹脂固形物100重量部と2,6−ビス(p−アジドベンザル)−4−tert−アミールシクロヘキサノン5重量部とを、メチルイソブチルケトン233.4重量部に溶解した溶液を孔径0.5μmのメンブレンフィルターでろ過し、光硬化性組成物を得た。得られた光硬化性組成物をシリコンウェハー上にスピンコート法により塗布し、風乾した後、膜厚が2.5μmの組成物被膜を形成した。この組成物被膜は未硬化の状態で粘着性は無かった。
【0053】
この組成物被膜にマスクアライナーを用い、予め半導体の回路に応じてパターンを形成したフォトマスクを密着させ、露光した後(708mJ)、キシレンを用いて現像したが、該組成物被膜の光感度が低く硬化が不十分なため、該組成物被膜はキシレンに溶解し、シリコンウェハー上には、フォトマスクに対応したパターンは得られなかった。
【0054】
本発明の保存安定性試験
実施例2で得られた組成物を容器に密閉し、5℃、25℃、及び40℃で保存し、粘度(cSt)の経時変化を測定した。結果を図1に示す。なお、図1中、縦軸は、25℃における組成物の粘度(cSt)であり、横軸は保存期間(日数)である。
【0055】
耐熱性試験
実施例1及び2で得られた組成物の硬化物を熱天びんを用いて、300℃で4時間処理し、その間の重量減少を経時的に測定した。
結果を図2に示す。
【0056】
【発明の効果】
本発明の組成物は、感度、解像性、及び保存安定性に優れ、塗布後、未硬化の状態で粘着性が少なく、硬化後の耐熱性に優れる。この組成物は、半導体リソグラフィ用感光性耐熱材料や、半導体パッシベーション用感光性耐熱材料として有用である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 保存安定性試験の結果を示すグラフである。
【図2】 耐熱性試験の結果を示すグラフである。

Claims (1)

  1. (A) 下記一般式(2):
    CH2=CR1COO−C36−Si(OR43 (2)
    (式中、R1 は水素原子又はメチル基を示し、R4 は非置換又はアルコキシ置換アルキル基を示す)
    で表される(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリアルコキシシランと、該シラン1モル当たり1〜18モル量の、下記一般式(3):
    PhSi(OR53 (3)
    (式中、Phはフェニル基を示し、R5 は非置換又はアルコキシ置換アルキル基を示す)
    で表されるフェニルトリアルコキシシラン及び場合によってはさらに前記一般式(2)のシラン1モル当り0〜4モル量の下記一般式(4):
    2Si(OR63 (4)
    (式中、R2 は炭素原子数1〜8のアルキル基又は炭素原子数1〜8のアルケニル基を示し、R6 は非置換又はアルコキシ置換アルキル基を示す)
    で表されるオルガノトリアルコキシシランとを、共加水分解及び重縮合に供し、得られた縮重合物に含まれるシラノール基を、下記一般式(6):
    7 3SiO− (6)
    (式中、R7 は独立に炭素原子数1〜8のアルキル基又はアルケニル基を示す)
    で表されるシロキシ基に転換することにより得られた平均分子量3,000〜100,000(GPCによるポリスチレン換算値)の(メタ)アクリロイルオキシル基含有オルガノポリシロキサン、及び
    (B) 光増感剤
    を含有してなる光硬化性オルガノポリシロキサン組成物。
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