JP4063661B2 - 半導体製造装置及び半導体の製造法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体製造装置に係り、特にシリコンウエハの酸化、拡散、CVD(Chemical Vapor Deposition)等の熱処理工程を行なう真空断熱層を備えた半導体製造装置に好適なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のこの種の半導体製造装置としては、特許文献1に開示された縦型加熱装置がある。この縦型加熱装置は、加熱処理される加熱物が収納される空間を周囲から囲むように立設された円筒形のインナーチューブと、このインナーチューブを囲むように立設され、内部を気密空間に保持するアウターチューブと、これらアウターチューブとインナーチューブの内部を加熱するヒータとを有する。そして、この縦型加熱装置においては、アウターチューブの周囲を囲むように配置されると共にアウターチューブ側を外気に対して気密にシールする二重壁の真空チューブを有している。この真空チューブの内部に外部に対して気密にシールされ且つ減圧可能な真空空間が形成され、この真空空間内にヒータが収納されている。また、二重壁の真空チューブは内側の真空チューブと外側の真空チューブとが一体に形成され、内側の真空チューブは下面が開口し、外側の真空チューブは上面が開口して形成されている。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−102314号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来技術では、二重壁の真空チューブが内側の真空チューブと外側の真空チューブとが一体に形成され、内側の真空チューブが下面に開口され、外側の真空チューブが上面に開口される、という複雑な構造になっているため、製作が難しくコスト高となってしまうという問題があった。また、ヒータが真空空間内に収納されているため、内側の真空チューブを介して、アウターチューブとインナーチューブの内部を加熱することとなり、その加熱効率が低いものとならざるを得ないという問題があった。しかも、内側の真空チューブはヒータの熱をアウターチューブ側に良好に伝えるのに適した材質にする必要があり、真空維持と熱伝達との両方に優れた材質にしなければならないという課題があった。
【0005】
本発明の目的は、真空断熱構造にすることで断熱効率の向上及び断熱構造自体の熱容量の低減を図りつつ、安価に製作することができると共に反応管内の加熱効率を向上できる半導体製造装置を提供することにある。
【0006】
なお、本発明のその他の目的と有利点は以下の記述から明らかにされる。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明は、上面および側面を一体に形成し且つ下面を開口した筒状の反応管と、ウエハを装填して前記反応管内に収納されるボートと、前記反応管の内部を加熱するヒータと、前記反応管の上面および側面の周囲を覆うように形成される真空断熱層とを備え、前記真空断熱層は、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の内側真空容器と、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の外側真空容器とを下端部で密着シールして組み合わせ、その内部空間を真空状態とすることにより形成し、前記ヒータは前記真空断熱層と前記反応管との間に配置した構成とし、前記外側真空容器に対して前記内側真空容器および前記反応管を順に下方より着脱可能に取り付けたものである。
【0008】
なお、本発明のその他の手段は以下の記述から明らかにされる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の複数の実施例を、図を用いて説明する。各実施例の図における同一符号は同一物または相当物を示す。
【0010】
まず、本発明の第1実施例の縦型半導体製造装置を図1から図3を参照しながら説明する。
【0011】
縦型半導体製造装置は、上面および側面を一体に形成し且つ下面を開口した筒状の反応管20と、ウエハ41を装填して反応管20内に収納されるボート40と、反応管20の内部を加熱するヒータ2と、反応管20の上面および側面の周囲を覆うように形成される真空断熱層70とを備えて構成されている。
【0012】
半導体製造プロセスの一つとして、シリコンウエハの酸化、拡散、CVD等を行なう熱処理工程があり、この工程は係る縦型半導体製造装置1を使用して行われる。
【0013】
この縦型半導体製造装置1は、ヒータ2内に均熱管3が設けられ、均熱管3内に反応管20が設けられている。均熱管3は、熱伝導率の大きい材料(例えばSiC材)で構成され、反応管20内の温度均一性を保つために使用されている。均熱管3は、その上面および側面が一体に形成され且つ下面を開口した筒状に形成され、下端部に外方に延びるフランジが形成されている。
【0014】
ヒータ2の周囲は真空断熱層70で覆われている。ヒータ2は真空断熱層70と均熱管3との間に筒状に形成されて配置され、上下に複数に分割されている。また、ヒータ2は内側真空容器73の側面内側に取り付けられている。
【0015】
反応管20は、1本のガス導入管(ガス導入通路)5と、1本の排気管(ガス排気通路)6とが下部に備えられ、それぞれが内部空間に連通されている。そして、ガス導入管5は反応ガス供給源(図示せず)に接続され、排気管6は排気装置(図示せず)に各々接続される。
【0016】
反応管20は下端が開口して入口となっており、そこからボート40に水平姿勢で複数枚装填されたウエハ41が導入、導出されるようになっている。即ち、ボート40は、昇降機構(図示せず)で上昇させることで反応管20内に下方から導入され、また、下降させることで反応管20から取出される。
【0017】
また、反応管20の下端の周囲にはフランジ62が設けられており、フランジ62と炉口蓋61との間が炉口蓋61を閉じたときに気密シール(例えばOリング)63でシールされるようになっている。
【0018】
なお、均熱管3及び反応管20は、組立てやメンテナンス(クリーニング等)のために取り外せる構造となっている。均熱管3は真空断熱層70と気密シール(例えばOリング)65で、また反応管20は均熱管3と気密シール(例えばOリング66)で各々シールされるようになっている。
【0019】
ウエハ41のCVD処理を行なう場合、ヒータ2によりウエハ41を処理温度に加熱保持し、その状態で原料ガスをガス導入管5より反応管20に供給する。そして、原料ガスが反応して、ウエハ41の表面にCVD膜が形成される。反応後のガスは排気管6を介して排気される。
【0020】
また、ウエハ41の面内温度分布を均一にさせるため、ボート40を回転させる回転機構64が設置されている。さらに、ボート40の下部には複数枚の断熱板60(例えば石英板)が装填されている。この断熱板60は上部に配置したウエハ41の上下の温度分布の不均一化を防止するために設けられるものである。
【0021】
真空断熱層70は、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の内側真空容器74と、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の外側真空容器75とを下端部で密着シールして組み合わせ、その内部空間を真空状態とすることにより形成されている。即ち、縦型半導体製造装置1の側面及び上面は、内側真空容器73及び外側真空容器74で二重構造とした真空断熱層70で覆われている。
【0022】
真空断熱層70は、真空ポンプ71がバルブ81を介して接続されており、バルブ81を開けて真空ポンプ71で真空引きされることにより真空断熱機能を有する。
【0023】
輻射シールド72は真空断熱層70の側面部に断熱方向に隙間をあけて複数枚設けられ、真空容器73、74に支持体75で締結支持されている。また、真空断熱層70の上面部にも輻射シールド72が断熱方向に隙間をあけて複数枚設けられ、真空容器74に支持体100で締結支持されている。なお、輻射シールド72には、排気用の穴10が数箇所穿孔されている。
【0024】
支持体75、100は熱伝導率が低く、強度を有する材料が用いられている。例えばガラスファイバー繊維、もしくは炭素ファイバー繊維で作られた支持受けやネジを用いて支持体75、100が構成されている。
【0025】
内側真空容器73は下端部が外側に延びるフランジ76が形成され、外側真空容器74は下端部に外側に延びるフランジ77が形成されている。内側真空容器73と外側真空容器74とは、外側真空容器74の下方から内側真空容器73を挿入して二重構造とし、各々に設けたフランジ76、77間で気密シール(例えばOリング78)を介してシールされ、取り外し可能な構造となっている。
【0026】
また、均熱管3及び反応管20は、組立てやメンテナンス(クリーニング等)のために取り外せる構造となっており、均熱管3と真空容器73は、真空容器73のフランジ77とOリング67で、さらに反応管20と均熱管3はOリング66で各々シールされる。
【0027】
支持体75の構造について図2を参照しながら詳述する。輻射シールド72は、例えばガラスファイバー繊維材で作られた支持受け101の溝に嵌合されている。この支持受け101は、例えばガラスファイバー繊維材で作られたネジ102により、真空容器74に締結支持されている。この支持体75の構造は輻射シールド72の上下に同様な構造で適用されている。これによって輻射シールド72が外側真空容器74に断熱的に支持されている。支持受け101及びネジ102は熱伝導率が低いために断熱効果を有するが、さらに支持受け101の形状を図2に示すように、水平面の断面積を出来るだけ小さくして外側真空容器74に当接する事で、熱抵抗が大きく出来る。
【0028】
支持体100の構造について図3を参照しながら詳述する。支持体100は支持部103、ネジ102、104を備えて構成されている。支持部103は例えばガラスファイバー繊維材で作られ、ネジ102は例えばガラスファイバー繊維材で作られており、支持部103はネジ102により真空容器74に締結支持されている。そして、その支持部103を輻射シールド72の穿孔部に通し、例えば前述したガラスファイバー繊維材で作られたネジ104で外側真空容器74を受けるようになっている。こうすることで断熱効果の高い支持体100とすることが出来る。
【0029】
本実施例によれば、上面および側面を一体に形成し且つ下面を開口した筒状の反応管20と、反応管20の上面および側面の周囲を覆うように形成される真空断熱層70とを備え、真空断熱層70を、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の内側真空容器73と、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の外側真空容器74とを下端部で密着シールして組み合わせ、その内部空間を真空状態とすることにより形成しているので、反応管20、内側真空容器73および外側真空容器74を極めて簡単な構造で安価に容易に製作することができる。また、ヒータ2を真空断熱層70と反応管20との間に配置しているので、ヒータ2で反応管20内を加熱することに真空断熱層70が直接関係しないこととなり、真空断熱層70を構成する内側真空容器73の材質の制約をなくすことができる。これによって、内側真空容器73は真空断熱機能に適した材質を容易に採用することができる。
【0030】
さらには、外側真空容器74に対して内側真空容器73および反応管20を順に下方より着脱可能に取り付けているので、これらを極めて容易に製作することができる。特に、下端部に外側に延びるフランジ77を有する内側真空容器73を外側真空容器76内に下方より挿入してそのフランジ77を外側真空容器74の下端部に気密シール78を介して着脱可能に取付け、下端部に外側に延びるフランジ3aを有する均熱管3を内側真空容器73内に下方より挿入してそのフランジ3aを内側真空容器73のフランジ77に気密シール67を介して着脱可能に取付け、均熱管3に反応管20を下方より挿入して気密シール66を介して着脱可能に取り付けているので、これらを極めて容易に製作することができる。
【0031】
さらには、内側真空容器73と外側真空容器74とで形成される空間内に複数枚の輻射シールド72を断熱方向に隙間を空けて設けているので、真空断熱層70の断熱性能を大幅に向上することができる。
【0032】
次に、本発明の第2実施例を図4を用いて説明する。なお、第2実施例の説明において、第1実施例と共通する部分の重複する説明は省略する。この第2実施例のものにおいて、第1実施例と共通する構成においては同じ効果を奏するものである。
【0033】
この第2実施例は、第1実施例の構成に、急速昇降温機構を加えた実施例であり、真空断熱層70に冷却用気体を供給する装置を設けたものである。この冷却用気体の供給装置は冷却風流路80とバルブ82、83を備えている。昇温及び降温時は以下の手順で行なう。
【0034】
先ず昇温時は、バルブ82、83を閉じ、真空ポンプ71を作動させ、真空断熱層70内の空気110をバルブ81を開けて排気し、真空断熱層70を真空にする。そしてウエハ41の成膜処理が終わった後の降温時には、バルブ81を閉じ、バルブ82、83を開けて真空断熱層70及び冷却風流路80に冷却気体(例えば冷却空気)111を流して、急速に反応管20内を冷却する。そして再び温度を上げる場合は前記した手順を繰返す。こうすることで急速昇降温が効率良く出来る。
【0035】
なお、外側真空容器74に設けたバルブ82は冷却の均一化を図るために、周方向に複数個設けてもよい。また輻射シールド72に穿孔する穴10は、冷却時に冷却空気111を真空断熱層70内に均等に流すため、輻射シールド72の下部の部分の圧損を、上部の圧損と比して減らすように穿孔すれば良い(例えば輻射シールド72の下部に設ける穴10の直径を、上部と比して大きくするか、穴の数を増やす)。
【0036】
次に、本発明の第3実施例を図5を用いて説明する。なお、第3実施例の説明において、第1および第2実施例と共通する部分の重複する説明は省略する。この第3実施例のものにおいて、第1および第2実施例と共通する構成においては同じ効果を奏するものである。
【0037】
この第3実施例は、第2実施例の構成において、更なる急速の昇温及びウエハ列の温度分布均一化を図るために、炉内に天井及びキャップヒータを設けたものである。即ち、均熱管3上部と真空容器73に囲まれた部分に天井ヒータ90を設け、さらにウエハ41の列の下方と断熱板60の間にキャップヒータ91を設けている。そうすることで、ウエハ41を効率良く昇温でき、かつウエハ列の温度分布が均一となるので、膜厚均一製に優れた半導体デバイスが高効率で得られる。
【0038】
次に、本発明の第4実施例を図6を用いて説明する。なお、第4実施例の説明において、第1〜第3実施例と共通する部分の重複する説明は省略する。この第4実施例のものにおいて、第1〜第3実施例と共通する構成においては同じ効果を奏するものである。
【0039】
この第4実施例は、第3実施例の構成において、更なる断熱性能の向上を図るために、断熱板60の代りに真空断熱層キャップ79を設けたものである。真空断熱層キャップ79は例えば2重の石英ガラスの内部を真空封じして構成する。こうすることで、ウエハ列41の下方の放熱が抑えられるので、ウエハ41を効率良く昇温でき、かつウエハ列の温度分布が均一となるので、膜厚均一製に優れた半導体デバイスが高効率で得られる。
【0040】
【発明の効果】
以上の如く、本発明によれば、真空断熱構造にすることで断熱効率の向上及び断熱構造自体の熱容量の低減を図りつつ、安価に製作することができると共に反応管内の加熱効率を向上できる半導体製造装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を説明する半導体製造装置の縦断面図。
【図2】図1の半導体製造装置の側面に位置する輻射シールドの支持体を示す詳細断面図。
【図3】図1の半導体製造装置の上面に位置する輻射シールドの支持体を示す詳細断面図。
【図4】本発明の第2実施例の半導体製造装置の縦断面図。
【図5】本発明の第3実施例の半導体製造装置の縦断面図。
【図6】本発明の第3実施例の半導体製造装置の縦断面図。
【図7】従来の半導体製造装置を示す断面図。
【符号の説明】
1…縦型半導体製造装置、2…ヒータ、3…均熱管、4…断熱材、5…ガス導入管、6…排気管、7…排気管、10…穴、20…反応管、40…ボート、41…ウエハ、60…断熱板、61…炉口蓋、62…フランジ、63…Oリング、64…回転機構、65…Oリング、66…Oリング、67…Oリング、70…真空断熱層、71…真空ポンプ、72…輻射シールド、73…内側真空容器、74…外側真空容器、75…支持体、76…フランジ、77…フランジ、78…Oリング、79…真空断熱層キャップ、80…冷却風流路、81…バルブ、82…バルブ、83…バルブ、90…天井ヒータ、91…キャップヒータ、100…支持体、101…支持受け、102…ネジ、103…支持部、104…ネジ、110…空気、111…冷却空気。
Claims (7)
- 上面および側面を一体に形成し且つ下面を開口した筒状の反応管と、
ウエハを装填して前記反応管内に収納されるボートと、
前記反応管の内部を加熱するヒータと、
前記反応管の上面および側面の周囲を覆うように形成される真空断熱層とを備え、
前記真空断熱層は、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の内側真空容器と、上面および側面を一体に形成し且つ下面が開口した筒状の外側真空容器とを下端部で密着シールして組み合わせ、その内部空間を真空状態とすることにより形成し、
前記外側真空容器に対して前記内側真空容器および前記反応管を順に下方より着脱可能に取り付けたことを特徴とする半導体製造装置。 - 下端部に外側に延びるフランジを有する前記内側真空容器を前記外側真空容器内に下方より挿入してそのフランジを前記外側真空容器の下端部に気密シールを介して着脱可能に取付け、下端部に外側に延びるフランジを有する均熱管を前記内側真空容器内に下方より挿入してそのフランジを前記内側真空容器のフランジに気密シールを介して着脱可能に取付け、前記均熱管に前記反応管を下方より挿入して気密シールを介して着脱可能に取り付けたことを特徴とする請求項1に記載の半導体製造装置。
- 前記内側真空容器と前記外側真空容器とで形成される空間内に前記ウエハの搬出時に前記真空状態を解除して冷却用気体を流す装置を設けたことを特徴とする請求項1、2の何れかに記載の半導体製造装置。
- 前記内側真空容器と前記外側真空容器とで形成される空間内に複数枚の輻射シールドを断熱方向に隙間を空けて設けたことを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の半導体製造装置。
- 前記複数枚の輻射シールドに排気用の穴を形成したことを特徴とする請求項4に記載の半導体製造装置。
- 前記反応管内の下部にもヒータを設けると共に、このヒータの下側にも真空断熱層を設けたことを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の半導体製造装置。
- 請求項1の半導体製造装置を用いて処理する半導体の製造方法であって、前記真空断熱層を真空に維持しつつ前記反応管の内部をヒータにより加熱し、前記反応管内のウエハを処理する半導体の製造方法。
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