JP4063319B2 - 組換えウイルスベクター系 - Google Patents

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Description

1.
本発明は、目的とする異種遺伝子を標的宿主細胞に導入しかつ/または発現するのに使用することができる新規な組換え発現ベクターに係る。本発明の組換え発現ベクターは、組換えDNA断片の部位特異的組込みおよび/または複製およびアデノウイルス随伴ウイルス(AAV)キャプシドタンパク質からなるウイルス粒子へのキャプシド包み込み(encapsidation)のためにシス位置で(in cis)必要とされるすべての情報をもっている。本発明の新規な組換え発現ベクターにより、遺伝情報を伝達するための手段、あるいは、遺伝病に罹患した患者を治療するのに使用できる組換えウイルスストック(材料)を得るための手段が提供される。
2.発明の背景
目下のところほとんどの遺伝病の治療ではその遺伝病に伴なう症状がほとんど軽減されておらず、現在、新しくて安全で有効な治療法を開発するべく多大な努力が払われている。分子生物学および遺伝子工学における最近の進歩により遺伝病に関連する遺伝子が単離・特性決定されている。このため、遺伝子治療の概念、すなわち、欠陥のある遺伝情報を正常な機能を有する遺伝子で置換または補充することが発展し、遺伝病の治療に対して使用することが可能になって来た。
最もよく研究されている遺伝子治療のモデルでは、病気の表現型を補正するために、新たな遺伝情報を発現する組換え病原性ウイルスを使用して遺伝子導入をする。最近まで遺伝子治療で使用するために最も広く研究されていたウイルスベクターはレトロウイルスであった(Miller, A.D., 1990, Human Gene Ther., 1:5-14)。レトロウイルスを用いる際に付随するひとつの問題はレトロウイルスが宿主ゲノム中にランダムに組み込まれることであり、これによって挿入性突然変異誘発が起こり得ることである。また、レトロウイルスゲノムの末端に位置する長い末端反復配列(LTR)構造は、組み込まれたウイルスDNAに隣接して位置する遺伝子座を活性化し得るプロモーター/エンハンサー活性をもっている。たとえば、原癌遺伝子の近くにレトロウイルスDNAが組み込まれると原癌遺伝子の活性化が起こる可能性があり、その結果形質転換および腫瘍発生に至ることがある。これは、たとえば、ヒト以外の霊長類でレトロウイルスベクターがT細胞リンパ腫を起こすことを示している最近の証拠によって例証されている。遺伝子治療の分野におけるより最近の研究は、レトロウイルスの有害な特徴を欠くウイルスベクターの開発に向けられている。
これらレトロウイルスに加えて、アデノ随伴ウイルスはまた、安定な遺伝情報を細胞中に導入するための代替系としても研究されて来ている。AAVゲノムは、Rep(複製)タンパク質およびCap(キャプシド)タンパク質をコードしている主要なオープンリーディングフレームを含有する4680ヌクレオチドの線状の一本鎖DNA分子で構成されている。AAVコード領域の両側にはパリンドローム配列を含有する145ヌクレオチドの逆方向末端(ITR)反復配列が2つあり、このパリンドローム配列は折り畳まれて、DNA複製の開始に際してプライマーとして機能するヘアピン構造(図1)を形成することができるものである。また、これらITR配列は、ウイルス組み込み、宿主ゲノムからのレスキュー(rescue)および成熟ビリオンへのウイルスゲノムDNAのキャプシド包み込みに、シス位置で必要である(Muzyczka, N. 1992, Current Topics in Microbiology & Immunology. 158, 97-129)。
AAVは宿主細胞中への感染の際の2つの経路のうちのひとつであると仮定することができる。ヘルパーウイルスが存在するとAAVは溶解サイクルに入り、そのためウイルスゲノムが転写・複製され、新たに形成されるウイルス粒子へとキャプシド包み込まれる。ヘルパーウイルス機能がないと、AAVゲノムはAAV末端配列と宿主細胞配列との間の組換えにより宿主細胞ゲノム中にプロウイルスとして組み込まれる(Cheung, A. ら, 1980, J. Virol. 33:739-748; Berns, K. I. et al., 1982, in Virus Persistence, Mahye. B.W.J. ら編(Cambridge Univ. Press, Cambridge), pp. 249-265)。
プロウイルス組み込み部位の特性決定およびフランキング細胞配列の分析によって、AAVウイルスDNAがヒト第19染色体の長腕中に特異的に組み込まれることが示されている(Kotin, R.M.ら, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 87:2211-2215; Samulski, R.J. ら, 1991, EMBO J. 10:3941-3950)。AAVのこの特性により、ウイルスベクターDNAが宿主遺伝子のコード領域中にランダムに組み込まれることになる挿入性突然変異誘発の可能性が減少する。さらに、レトロウイルスLTR配列と対照的に、AAVのITR(逆方向末端反復)配列は、転写調節要素を欠いており原癌遺伝子の挿入性活性化の危険性が低減すると思われる。
AAVに関する最近の研究は、原核細胞性ベクターにクローン化されたAAV配列が感染性であるという発見(Samulskiら, 1982, Proc. Nat. Acad. Sci. U.S.A. 79:2077-2081)によって促進された。たとえば、完全なAAVゲノムを含有するプラスミドをヘルパーウイルスの存在下で細胞中にトランスフェクトすると、AAVはプラスミドベクターからレスキューされて、成熟ビリオンの生産に至る溶解経路に入ることができる。ヘルパーウイルスが存在しないと、組換えAAVベクターは宿主細胞ゲノムに組み込まれ、その細胞が次にヘルパーウイルスに感染するまでプロウイルスとして残存する。
完全なAAVゲノムを含有するベクターを使用することに伴なうひとつの問題は、DNA断片の成熟ウイルス粒子へのパッケージングによってベクターに課せられるサイズの制限である。本発明以前には、DNAの複製およびそのウイルス粒子へのキャプシド包み込みに、あるいは、ベクターDNAの宿主ゲノム中への組み込みにどのようなウイルス配列が必要であるか知られていなかった。本発明は、DNAの複製およびそのDNAのウイルス粒子へのキャプシド包み込みおよび/またはベクターDNAの標的宿主ゲノム中への組み込みを指令するように機能することができるAAVに由来する新規な165bp配列を規定する。
3.発明の概要
本発明は、AAV ITR配列を含有し、かつin vitroで合成して発現ベクターおよび/または遺伝子治療に有用なベクターを作製するのに使用することができる新規な165塩基対のDNA断片のin vitro合成に係る。この165bpのDNA配列(以下、「二重D配列」と称する)は、野生型AAVに存在することが知られていない新規な立体構造をしている。
本発明は、部分的に、前記二重D配列が、環状二重鎖DNA分子を、共有結合した閉鎖端を有する線状の複製する分子に変換するための充分な情報をシス位置で提供することができるという能力に基づいている。この複製するDNA分子は成熟AAVビリオンへとキャプシド包み込みすることもできるし、あるいは宿主ゲノム中に組み込むこともできる。環状二重鎖DNA分子の特に重要な特徴は、線状分子への変換プロセスならびに複製および宿主ゲノム中への組み込みが二重D配列を介して完全に行なわれて、目的とする異種遺伝子配列が確実に完全なまま維持されるということである。
AAVゲノムの大部分が複製、パッケージングおよび/または組み込みにシス位置で必要でないという発見により、より大きいDNA断片を組換えベクター中に挿入することが可能になる。加えて、165二重D配列がベクターDNAをして第19染色体を標的として向かわしめるのに充分であるという発見により、あらゆるサイズのDNA断片を組換えベクター中に組み込むことが可能になり、それによりサイズの制限が取り除かれる。
本発明に従って使用できるヌクレオチド配列には、本明細書に開示した二重D配列の誘導体または類似体であって、組換えDNAの複製、キャプシド包み込み、組み込みおよびレスキューのためのシス位置での情報を提供するという能力を保持するという意味で機能的に等価なものが包含される。特に、二重D誘導体は、その生物学的機能を保持していれば二重Dヌクレオチド配列の付加、置換または欠失をもっていてもよい。
本発明は、組換えDNAの複製および成熟ビリオンへのパッケージングのためのin vivo系を提供する。成熟ビリオンへとキャプシド包み込みされる組換えDNAを含有するウイルスストックは、ヘルパー機能を発現する宿主細胞中へ発現ベクターをトランスフェクションすることによって得ることができる。得られる組換えウイルスストックは選択した任意の細胞または組織中に遺伝情報を伝達するための便利で効率的な手段を提供する。
あるいはまた、二重D構築物は、エレクトロポレーション、DEAE-デキストラン、DNAガン、リポソームなどのような各種DNA移入法を使用して宿主細胞中に導入することができる。これらの導入法に伴なうひとつの特別な利点は、組換えベクターのサイズに関するサイズ制限がないことである。
ウイルスストックまたは組換え構築物のトランスフェクションを用いて遺伝情報を宿主細胞中に移入することは、欠陥遺伝子の正常な補完体の発現によって所与の遺伝子異常を補正することが望ましいゴールである遺伝子治療に応用できる。
また本発明は、組換えウイルスベクターおよび/または遺伝子治療に有用なベクターをトランスフェクションに先立って細菌性γδリゾルベースでin vitro処理することにも係る。リゾルベース認識配列を組換えベクター中に遺伝子工学的操作により導入すると、線状の、複製された、そしてキャプシド包み込みされたDNA分子の一部として通常は含まれる細菌性のプラスミド配列を除くことが可能になる。複製およびキャプシド包み込みに先立ってこれらの細菌性配列を除去すると、目的とする外来DNA配列を発現ベクター中に挿入する際に最大量のスペースが可能になる。
AAV二重D断片をポリメラーゼ連鎖反応(PCR)で増幅しプラスミドベクター中に挿入する例によって本発明を説明する。これらの二重D組換えベクターのトラトンスフェクションおよび宿主ゲノム中への部位特異的組み込みは、ウイルス性REPタンパク質の存在下で二重D配列がベクターDNAの部位特異的組み込みを指令するのに充分であることを示している。また、二重D配列を含有するプラスミドベクターは複製能があり、ウイルス粒子へと組み立てることができた。したがって、本発明は、遺伝子治療に使用できるウイルス粒子へと組換えDNAをキャプシド包み込みする方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1. AAVのレスキューと複製のメカニズム。(A)逆方向末端反復(ITR)配列はA、A′配列、B、B′配列、C、C′配列の塩基対合によって折り畳み返されてT字型構造を形成することができる。(B)ITR部位での感染性プラスミドの切り出しによって2つの線状DNA断片、すなわちAAVとプラスミドベクターが生じる。(C)プラスミド環状型から共有結合した閉鎖端を有する線状型へのレスキュー後の、二重Dプラスミドから生成すると予測される断片。
図2. 環状の二重Dプラスミドからのレスキュー中間体。
図3. 二重D逆方向末端反復配列を含有するプラスミドに対する複製アッセイ。プラスミドpDD-2をAd5感染293細胞にトランスフェクトした。ただし、一方はヘルパープラスミドpAAV/Adで同時にトランスフェクトした。感染の48時間後低分子量DNAを抽出し、1%アガロースゲルで分離した(ただし、一方はDpnI消化を行った)。(A)ゲルのエチジウムブロミド染色。(B)32P標識プラスミドpGEM 3Zプローブによるサザンブロット。
図4. pDD-2とpsub201およびpSM620との複製の比較。プラスミドpDD-2を、等量のpAAV/Ad(レーン1)、psub201(レーン2)またはpSM620(レーン3)と共にAd5感染293細胞中に同時にトランスフェクトした。低分子量DNAを抽出し、DpnIで消化して1%アガロースゲルで分析した。(A)エチジウムブロミド染色。(B)ITRオリゴヌクレオチドプローブによるサザンブロット。
図5. いろいろなサイズの二重Dプラスミドに対する複製アッセイ。pDD-2またはpDD-neoを、ヘルパーpAAV/Adと共にAd5感染293細胞中に同時にトランスフェクトした。低分子量DNAを抽出し、DpnIで消化して1%アガロースゲルで分析した。(A)エチジウムブロミド染色。(B)32P標識プラスミドpGEM 3Zプローブによるサザンブロット。
図6. pDD-2のレスキューおよび複製の制限分析。プラスミドpDD-2をAd5に感染しているかまたはしていない293細胞中にトランスフェクトした。ただし、一方はヘルパーpAAV/Adと共に同時にトランスフェクトした。低分子量DNAをSspIまたはScaIで消化して1%アガロースゲルで分離した。サザンブロットは32P標識ITRプローブを用いて行なった。
図7. PCRで増幅しEcoRIで切断した二重Dの、プラスミドpGEM 3ZのEcoRI部位へのクローニング。
図8. リゾルベース配列を含有する親プラスミドのin vitro複製。
図9. 二重D配列(配列番号1)。
図10. 細菌性γδリゾルベース認識配列(配列番号2)。
図11. DD−細胞結合のPCR増幅。CMV-nLacZ、DD-nLacZおよびHIV-Repプラスミドのいろいろな組合せでトランスフェクトしてあるプールされたFACS選別293細胞からゲノムDNAを単離した。第一回目のPCRはJUS3AとRI-Leftを用いて行ない、二回目のPCR反応はCR2とRI-leftプライマーを用いて行なった。サザンブロットでは、第19染色体領域に相当する32P標識BamHI断片をプローブとした。
図12. FACS選別293ゲノムDNAに組み込まれたプラスミドのサザンブロット解析。各レーンは、Scal、PstIおよびKpnIで消化したDNAを10μg含む。DNAは7%ゲルで分画し、プローブはDD-nLacZプラスミドから作成した。レーン1〜6は、DD-nLacZプラスミド、DD-nLacZプラスミド+Rep、DD-nLacZプラスミド+HIV-Rep、CMV-nLacZプラスミド、CMV-nLacZプラスミド+REP、CMV-nLacZプラスミド+HIV-Repでトランスフェクトされた293細胞である。
5.発明の詳細な説明
本発明は新規な修飾AAV ITR ヌクレオチド配列(本明細書中では二重D配列という)のin vitro構築に係る。本発明の部分的な基礎は、PCR技術を用いて二重D DNA断片を合成すること、および、この断片が、組換えDNA断片の複製と成熟AAVビリオンへのキャプシド包み込み、または、組換えDNAの宿主ゲノム中への特異的な組み込みに関してシス作用的に充分な情報を提供することを立証したことにある。この組換えDNA断片はウイルスタンパク質をコードしている必要がなく、したがって遺伝情報を宿主ゲノムに移入するための安全な方法を提供する。
本発明の基礎となった発見は、トランス作用性のAAV REPタンパク質と組合せたシス作用性の二重D配列が、組換えDNA断片の、宿主ゲノムの第19染色体への部位特異的組み込みに充分であるということである。本発明は、二重D配列を組換えベクターに使用すること、およびこれらのベクターを遺伝子置換療法に使用することに係る。
二重D配列は、目的とする異種遺伝子を導入および/または発現するように設計されたベクター中に遺伝子工学的に処理して導入することができる。遺伝子治療に使用するために、目的とする異種遺伝子は、所与の遺伝病に関連する欠陥遺伝子または突然変異遺伝子の正常または野生型とすることができる。組換えベクターは、目的とする遺伝子のコード領域および二重D配列を含有することに加えて、宿主中で遺伝子産物の発現を駆動するプロモーター/エンハンサー要素のような必要な他の調節要素ならびに翻訳およびポリアデニル化シグナルを含有し得る。プロモーター領域とエンハンサー領域の選択は、目的とする遺伝子の所望の発現レベルおよび組織特異的発現に依存する。
二重D配列を含有する遺伝子工学的に作製されたベクターは、DNAを哺乳動物細胞に導入する際に当業者がよく使用する技術のいずれかを利用して宿主細胞中にトランスフェクトすることができる。たとえば、限定するわけではないがエレクトロポレーション、DEAE-デキストラン媒介DNA移入、DNAガン、リポソーム、直接注入などを始めとする方法を利用して組換えベクターを宿主細胞中に移入することができる。あるいはまた、通常細胞の内側を標的とするタンパク質との結合によって細胞中にDNAを移入することができる。たとえば、通常ウイルス粒子を標的宿主細胞へ向かわせるウイルスタンパク質にDNAを結合することができる。
宿主細胞はin vivoまたはin vitroでトランスフェクトすることができる。たとえば、骨髄細胞のような細胞を宿主から取り出し、組換え二重Dベクターでトランスフェクトし、宿主に戻してもよい。あるいはまた、組換え二重Dベクターをリポソームに封入して、遺伝情報を宿主細胞中にin vivo伝達することができる。
二重Dベクターを宿主細胞にトランスフェクトすることに伴なうひとつの重大な利点は、組換えベクターのサイズに関する制限がないことである。これは、成熟ウイルス粒子へDNA断片をパッケージングする際に課されるサイズの制限と対照的である。別の利点は、治療した個体が後にヘルパーウイルスおよびAAVに感染しても感染性のウイルス粒子を生成する危険性がないということである。
また、組換えベクターは、ヘルパーウイルス機能を提供しかつREPタンパク質とCAPタンパク質をトランス位置で供給する宿主細胞系中にトランスフェクトすることもでき、こうすると組換えウイルスストックを得ることが可能である(Muzyczka, N. 1992, Current Topics in Microbiology and Immunology 158:97-129)。こうして得られたウイルスストックはその後、選択した標的細胞または組織中に新たな遺伝情報を導入・伝達するための高度に効率的な手段として使用することができる。
5.1. 二重D配列
AAVゲノムは、REP(複製)及びCAP(キャプシド)タンパク質をコードする2つのオープンリーディングフレームを含む4680ヌクレオチドからなる。145 bpの逆方向末端反復(ITR)配列がこのゲノムの両末端に位置し、これらは互いに塩基対を形成することのみならず、一本鎖の場合にA、A'、B、B'、C、C'配列の塩基対形成によりそれ自体上で個々に折り戻されてDNA複製のためのT形状の構造を形成することにおいてもユニークである(図1A)。
無傷のAAVゲノムを含むプラスミドをヘルパーウイルス感染細胞にトランスフェクトすると、AAVはプラスミドベクターからレスキューまたは複製され、ウイルスの溶解サイクルに入り、成熟ビリオンの生成を導く。AAVコード領域が欠失し、異種DNA配列により置き換えられている場合、ITRが無傷で、REP及びCAPタンパク質あるいはその機能的な等価物がトランス位置で供給されるならば、やはり組換えAAVはウイルスの溶解サイクルを完成させることができる。しかし、2つのITR配列のいずれかが欠失しているとウイルスDNA複製は観察されず、AAVの生存には両方のITRが必要であることを示している。
本発明は、部分的には、ウイルス複製に必要なITR配列Iに存在する以下の20塩基対のD配列(AGGAACCCCTAGTGATGGAG)(配列番号5)の発見に基づくものである。これはD配列が欠失したウイルス変異体がそのDNAを複製できないことにより最初に示された。さらに、末端分割部位変異体(terminal resolution site mutant)の複製の間に、ITRのA配列に対してのみ天然の欠失が起こり、D末端に対しては起こらないことが見出され、D配列の維持のための選択過程が示唆された。
D配列の機能をさらに解明するため、さらに20 bp D'配列を有する単一の145 bp ITR配列を含む新規な修飾末端反復構造を構築した(図9)(配列番号1)(下記の6.13の項を参照)。得られた165 bp配列はどのような天然のウイルスにも見られないものであった。AAV DNAを鋳型として使用するとともに、AAV ITR配列のD配列から得た単一プライマーの5'末端に6 bp EcoRI認識部位を付加したものを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応を行い、いずれかの側にDまたはD'配列並びにEcoRI部位が隣接するITRからなるDNA断片を得た。PCRにより生成されたDNA断片をEcoRIにより切断し、その後pGEM3ZのEcoRI部位にクローン化した(図7)。
二重Dが組換えDNAの複製、キャプシド包み込み、組込み及びレスキューにおいて機能できるかどうかを調べるため、二重D構造を含む組換えプラスミドを細胞中にトランスフェクトした。これらの実験の結果は、新規な二重D配列が、溶解AAVウイルス感染の間に通常必要とされる2つの野生型ITRを機能させるのに十分であることを示している。
さらに、二重D配列を含む組換えDNA及びAAV REPタンパク質をコードするDNAを同時にコトランスフェクトすることにより、二重D配列及びREPタンパク質が宿主ゲノムへの部位特異的組込みに必要にして十分なものであることが示されている(下記6.2.3.及び6.2.4.の項を参照)。ウイルス組込み部位の分析により、組込みはITR配列を介して起こることが示されており、従ってベクター配列、即ち対象の異種配列を含む配列はそのまま残存することが確保される。
図9の二重D配列(配列番号1)に加えて、高度にストリンジェントなあるいはそれほど高度ではないストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で二重D配列(配列番号1)にハイブリダイズすることができるヌクレオチド配列は本発明の範囲内にあるものである。高度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件とは、65℃で0.5 M NaHPO4、7%ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、1 mM EDTA中でフィルターに結合したDNAにハイブリダイズさせ、その後68℃で0.1 x SSC/0.1% SDS中で洗浄することと定義し得る(Ausubel F.M.ら、eds, 1989, Current Protocols in Molecular Biology, Vol. I, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., New York, p 2.10.3)。中程度にストリンジェントな条件のようなそれほど高度ではないストリンジェントな条件は、上記のようにハイブリダイゼーションを行い、その後42℃で0.2 x SSC/0.1% SDS中で洗浄することと定義し得る(Ausubelら、1989、上出)。
本発明の別の態様においては、ヘアピン構造を形成する別のアデノウイルス関連ウイルスサブタイプからの二重D配列を二重D DNA断片を単離するのに使用できる。あるいは、本発明に従って使用できる改変したヌクレオチド配列としては、組換えDNAの複製、キャプシド包み込み、組込み及びレスキューにシスに情報を提供する能力を保持することにおいて機能的に等価な二重D配列の誘導体あるいは類似体が挙げられる。特に、二重D誘導体は、ヌクレオチド配列の付加、置換、あるいは欠失を含み得るが、なお生物学的機能を維持する。
本発明は、二重Dの機能を保持する二重D配列の付加、置換あるいは欠失を同定する方法を包含する。二重D配列における変更は当業者によく知られた種々の化学的あるいは酵素的方法を使用して生成することができる。例えばオリゴヌクレオチド特異的突然変異誘発を使用して、決められたように二重DDNA配列を変更し、及び/または二重D配列内の特異的領域に制限部位を導入することができる。あるいは、例えばBal 31あるいはExo III及びS1ヌクレアーゼのようなDNAヌクレアーゼを使用して欠失変異体を生成することができる。二重D配列をヌクレアーゼとインキュベートする時間を延長していくことにより該DNAにおいて漸進的に大きくなる欠失を生成することができる(突然変異誘発の技術については、Ausubelら、1989、Current Protocols for Molecular Biologyを参照)。
改変された二重D配列は、例えば本明細書中に記載された任意の方法を使用して、組換えDNAの複製、キャプシド包み込み、組込み及びレスキューにシスに情報を提供するその能力を評価することができる(上記6の項を参照)。組換えDNAの複製、キャプシド包み込み、組込み及びレスキューにシスに情報を提供する能力を保持する任意の改変された二重D配列を組換え発現ベクターに組込み、それを宿主細胞中に遺伝子情報を導入するのに使用し得ることは本発明の範囲内にあるものである。
二重D配列を含む組換えベクターを使用すると、いくつかの利点が得られる。一つの利点は、二重D配列がこれらのベクターを環状二重分子から共有結合で閉鎖されたヘアピン末端を有する線状複製分子に変換できることである(図6参照)。組換えDNAが宿主ゲノムにうまく組み込まれるためには線状の分子が形成されることが主要な要請であるので、これは必須の事項であると考えられる。何らのウイルスタンパク質なしに自発的に線状分子が形成されることは、宿主細胞へのトランスフェクションにより導入する前に直線化することを必要とするその他のAAVに基づくベクターを使用することに較べて有意な利点を有する。
さらに、二重D配列を介する線状複製分子の形成及び複製分子の組込みは、そのDNA配列が対象の遺伝子をコードするDNA配列を無傷で維持することを確保する。
5.2. 二重D配列及び異種結合配列からなる組換えベクターの構築
本発明の二重D配列(配列番号1)は、組換えDNAの複製と成熟ビリオンへのカプシド包み込みを起こすのに必要とされる全ての情報を与える。二重Dヌクレオチド配列を含むDNA断片は、当該分野において通常に使用されている任意のいくつかの方法により得ることができる。本明細書において記載する特定の態様においては、AAV DNAを鋳型として使用するとともに、AAV ITR配列のD配列から得たプライマーを使用して、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)により二重D DNA断片を得た。この方法の原理は、天然のITR配列の予測される二次構造に基づくものである。
PCR反応の最初のサイクルにおいて、AAVウイルスITRはヘアピン構造を形成し、延長過程を自己プライムしてステム(stem)にD及びD'を含む長いT形状ヘアピン構造を生成する。変性すると、このDNAは単一プライムPCR反応の鋳型として働く。二重DDNA断片を単離する別の方法としては、このDNA配列を化学的に合成することが挙げられるが、これに限定されるものではない。
標準的な組換えDNA法を用いて、例えばプラスミド及びコスミドベクター等の組換えベクター中に新規な二重D配列を挿入することができる。このような方法としては、in vitro組換えDNA法、合成法、及びin vivo組換え/遺伝子組換えが挙げられる。例えば、適当な制限エンドヌクレアーゼ認識部位を増幅されたDNA断片の各末端に付加するオリゴヌクレオチドプライマーを使用したPCR反応により二重DDNA配列を増幅することができる(6.1.3の項を参照)。あるいは、制限エンドヌクレアーゼ認識配列をコードする化学的に合成された特異的なオリゴヌクレオチドを含むヌクレオチド配列(リンカー)を、増幅された二重D断片上で、相補的な接着末端を有する発現ベクター中に結合することにより、任意の所望の制限部位を生成することができる。
種々の宿主組換えベクター系がいずれも当業者により同等に十分使用され得る。組換えベクターは大腸菌中での複製に必要な細菌プラスミド配列を含み得、あるいはシス作用二重D配列を対象の遺伝子に直接結合できる。さらに、プラスミドは適当な転写/翻訳調節配列及びポリアデニル化シグナルの間に挿入された対象の異種遺伝子をコードするDNA配列を含む。所望のレベル及び組織特異性発現に応じて種々のプロモーター/エンハンサーを使用できる。組換えDNAあるいは合成法により製造されたプロモーターを使用して、対象の挿入遺伝子の転写を行うことができる。挿入されたタンパク質コード配列の効率的な翻訳のためには特異的な開始シグナルも必要である。そのような配列としては、ATG開始コドン及び隣接配列が挙げられる。さらに、ポリアデニル化シグナルを含ませて転写mRNAの安定性を高めることができる。
AAVウイルスベクター系の可能性のある欠点は、5 kbより大きいDNA断片が成熟ウイルス粒子中にパッケージされることができないことによるサイズ的制限である。任意の所与の発現ベクターにおいて、大腸菌中におけるプラスミドの増殖に必要な細菌プラスミド配列からDNA配列の2〜3 kbを得る。このようなDNA配列は、複製開始点(ori)配列及び例えばアンピシリン及びテトラサイクリンのような抗生物質に対する耐性を与える遺伝子を含む。実際にはこれにより対象の異種遺伝子の挿入のために2 kbのスペースが残されるのみである。
以下の本発明の特定の非制限的な態様は、このサイズの制限の問題に取り組むものである。対象の配列のクローニングのために利用できるスペースの量を増加させるためには、細菌組換え系(γδ)を使用して、in vitroでの任意の所与の組換えプラスミド構築物から細菌プラスミドDNA配列の大部分が組換えられるようにプラスミドを分割し、これにより外来遺伝子の挿入のためのスペースを最大にすることができる。γδリゾルベース配列は、外来遺伝子の挿入のためのスペースを増加させる一般的な方法として、AAV系に限定されず種々のウイルスベクター系において使用できる。
親二重D発現ベクタープラスミドは、二重D配列に加えて、正しい方向のγδ分割部位の2つのコピー(図10)(配列番号2)(120塩基対)を含むように作製し、in vitroにおいてγδリゾルベース酵素により分割されたときに組換えを促進するようにすることができる。γδリゾルベースの存在下においては、組換えプラスミドは2つの環状DNA分子に変換されなければならない(図8)。一方のプラスミド分子はγδ分割部位のコピーとともに主要な細菌プラスミド配列を含んでいなければならない。他方の分割されたプラスミド分子は、二重Dシス作用配列、γδ分割部位の一つのコピー、及び対象の遺伝子のコード領域を含むものと予想される。ヘルパーウイルス及びウイルスREP及びCAPタンパク質の存在下に、その後キャプシドに包み込まれて成熟ウイルス粒子となる線状複製分子に変換されるのはこのプラスミド分子である。
一般に、環状プラスミド分子を複製線状DNA断片に変換するのに必要なCAP及びREPタンパク質を与えるのに第2のプラスミドを必要とする。本発明の別の特定の態様においては、必要とされるウイルスREP及びCAP機能のコード領域も含むようにγδ変形部位を含むプラスミドを作製することができる。通常はREP及びCAPコード配列は発現ベクターから除外されるが、これは挿入物のサイズをさらに限定してしまうからである。in vitro組換え系を使用してこれらのコード領域がプラスミド構築物中に含まれるようにすることができ、これはそれらがリゾルベース酵素による2つのγδ分割部位による分割の間に組換えられることによるものである(図8)。生成物は2つの連鎖状DNA分子である。
in vitroγδ反応は線状反応であるため、in vitro分割反応において分割分子の量を制御し、親プラスミドの分割環状物に対する比率を所望のものとすることができる。次いでプラスミドの混合物を宿主細胞中にトランスフェクトすることができる。これにより、生産的複製にトランス位置で必要なAAV REP及びCAP遺伝子を含む一方の環状分子が導入され、他方の環状分子は二重D配列及び対象の遺伝子を含む。二重D環状分子は線状DNA分子に複製され得、これは次いでREP/CAP環状プラスミド上に導入されたトランス因子によりキャプシドに包み込まれてウイルス粒子となり得る。
本発明はさらに上記したγδリゾルベース系の類似した使用を提供するものであり、これは最初に、(i)対象の遺伝子を含む組換えウイルスベクター配列、(ii)ヘルパー機能を与えるウイルス遺伝子、及び(iii)ウイルスベクター配列に隣接する2つのγδリゾルベース認識配列(配列番号2)を含むプラスミドを増殖させ、二番目にリゾルベース酵素を使用して対象の遺伝子を含む組換えウイルスベクター配列を残りのプラスミド配列から単離するものである。これらの方法によれば、ベクター及びヘルパー機能の由来するウイルスは、これらに限定されるものではないが、AAV、レトロウイルス、アデノウイルスあるいはヘルペスウイルス等の任意の適当なウイルスとすることができる。好ましい態様においては、プラスミドのウイルスベクター部分は二重D配列あるいは両方のAAV ITRを含む。一般には、ウイルスベクタータンパク質は、対象の遺伝子のキャプシド包み込み及び転写に必要な配列を含む。
5.3. 組換えウイルスストックの製造
本発明は、組換えDNA分子を複製し、AAV粒子にキャプシド包み込みする方法に関し、該方法はヘルパーウイルス、AAV REP及びCAPタンパク質をコードする組換えDNA、及び対象のDNA配列を含む組換え核酸及び165塩基対二重D配列を含む真核細胞を培養することを含む。
組換えウイルスストックを作製するためには、二重D組換え発現ベクタープラスミドを、ヘルパーウイルス機能を与え、トランス位置でAAV REP及びCAPタンパク質を供給することができる宿主細胞系にトランスフェクトすることができる。REP及びCAPタンパク質は線形組換えDNAの複製と成熟ウイルス粒子へのキャプシド包み込みに必要である。
REP及びCAPタンパク質は、これらのタンパク質のそれぞれをコードすることができる組換えプラスミドにより宿主細胞系をトランスフェクトすることによってトランス位置で供給できる。DNAトランスフェクションは当業者によく知られた方法により行うことができる。そのような方法としては、リポフェクション、エレクトロポレーション又はリン酸カルシウム沈降によるDNAトランスフェクションが挙げられる(Ausubelら、1989, Current Protocols for Molecular Biology, Green Publishing Associates, Inc., and John Wiley & Sons, Inc., New York)。プラスミドは、一時的にあるいは安定にREP及びCAPタンパク質を発現する目的で宿主細胞系にトランスフェクトすることができる。第6.1.節に記載した特定の態様においては、REP及びCAPタンパク質を発現する目的で、AAVコード領域を含むプラスミドpAAV/ADを宿主細胞にトランスフェクトした。
別の態様においては、REP及びCAPタンパク質を直接発現するように二重D発現ベクターを遺伝子操作することができる。この場合、プラスミドベクター中にγδリゾルベース配列を含ませて、in vitroリゾルベース反応の間にREP及びCAPタンパク質コード領域を選択的に組換え、外来DNAの挿入にサイズ的な制限を与えないようにすることも重要である。
ウイルスREP及びCAPタンパク質を発現することに加えて、宿主細胞系はヘルパーウイルス機能を与えることができなければならない。アデノウイルス及び単純ヘルペスウイルスはいずれも、二重D配列を含むDNA断片の複製のためのヘルパーウイルスとして機能する。これらの2種のウイルス又はAAVについてヘルパーウイルスとして働く任意のウイルスのいずれかにより感染させることが可能な任意の宿主細胞を本発明の実施に使用することができる。感染多重度(MOI)及び感染時間の長さは使用するウイルスの種類及び使用する細胞系に依る。
本明細書で記載する特定の態様においては、組換え二重D発現ベクターにより前もってトランスフェクトされた293細胞に10のMOIでAd5を感染させた。48時間後、細胞の冷凍及び解凍を3回繰り返し、56℃で1時間インキュベートしてアデノウイルスを失活させた。得られた細胞ライゼートには、選択された細胞又は組織を感染させるのに使用し得る組換えウイルス粒子が含まれる。
あるいは、当業者によく知られた任意の方法を使用して、DNAトランスフェクションに使用するために組換え二重DDNAベクターを増殖させ精製することができる(組換えベクターDNAを増殖させるのに使用できる方法の記載についてはSambrookら、1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.を参照)。
5.4. 組換えベクターの使用
本明細書に記載した、対象の異種遺伝子を含む二重D発現ベクターは遺伝障害の治療処置に有用であり得る。対象の遺伝子は、任意の変異あるいは欠陥遺伝子の野性型補足物とすることができ、二重D組換えベクターに挿入してその天然のプロモーターにより(例えば、発現を正常に調節するように)又は異種プロモーターによりその発現を制御することができる。
核酸を宿主細胞に効率的に移入するために当業者により日常的に使用されている方法の任意のものを使用して、二重D発現ベクターを宿主細胞中にトランスフェクトすることができる。宿主細胞はin vivo又はin vitroのいずれにおいてもトランスフェクトされ得る。例えば、細胞を宿主から取り出し、組換えベクターでトランスフェクトすることができる。トランスフェクトされた細胞は、宿主の第19染色体に組換えDNAが適切に組込まれたかどうかアッセイすることができる。対象の遺伝子産物が適切に発現されているかどうかについても細胞を試験することができる。組換えDNAが適切に組込まれ、発現されていることを確認した後、トランスフェクトされた細胞を移植し、又は宿主に戻すことができる。
あるいは、組換えDNAの移入をin vivoで行うことができる。本発明の好ましい態様においては、組換え二重Dベクターをリポソーム中に封入し、宿主細胞中に送達することができる。リポソームは、水性の内容物を含む球状の脂質二重層である。リポソームの形成時に水性溶液中に存在する全ての分子(この場合、組換えベクター及び/またはREPタンパク質である)はこの水性内容物中に取り込まれる。リポソームの内容物は外部の微環境から保護され、またリポソームは細胞膜と融合するので、細胞原形質中に効率的に送達される。本発明の二重DベクターはウイルスREPタンパク質、REPタンパク質をコードするRNA分子、又はREPタンパク質をコードするウイルスDNA配列とともにリポソーム中に封入して宿主染色体へのウイルスベクター配列の部位特異的な組込みを得ることができる。
さらに、最初に環状二重分子を共有結合で両端が閉鎖した線形DNA分子に変換することが可能な適当な宿主細胞系中に二重Dプラスミドをトランスフェクトすることにより、組換えウイルスストックを作製することができる。これはその後組換えDNAの複製と成熟ウイルス粒子へのキャプシド包み込みを可能とする。得られたウイルスストックはその後、遺伝的欠陥を有する組織又は細胞に感染させるのに使用できる。
6. 実施例:新規な165塩基対末端反復はアデノ随伴ウイルス
ライフサイクルに必要とされる唯一のシスエレメントである
以下の項は、二重D配列の合成及び機能についての特徴付けを記載するものである。
6.1. 材料及び方法
6.1.1. DNAトランスフェクション
ヒト細胞系293を10% FCS(胎児ウシ血清、HyClone)を含むDMEM(ダルベッコ改変イーグル培地GIBCO)中に維持した。プラスミドDNAのトランスフェクションはリポフェクション(BRL)法により製造者により記載されたように行った。簡単に説明すると、6cmディッシュ中の細胞をDMEMで2回洗浄し、アデノウイルス5を10 moi(感染多重度)で1 m1 0pti-MEM(GIBCO)中において1時間感染させた。その後5μgのプラスミドDNAを50μlのリポフェクチン(BRL)と室温で10分間インキュベートし、2 mlのOpti-MEMと混合し、アデノウイルス感染細胞に加えた。12時間インキュベートした後、4% FCSを含むDMEM3 mlを細胞に加え、さらに36時間インキュベートした。
6.1.2. サザンハイブリダイゼーション
Hirt(Hirt, B. 1967, J. Mol. Biol. 26:365-369)により記載されたようにして、トランスフェクトされた細胞から低分子量DNAを抽出した。該DNAを制限酵素(New England BioLab)で消化し、アガロースゲル上で分離し、その後ジーンスクリーンプラスナイロンメンブラン(DuPont)上に移した。32P標識プラスミドDNAとのハイブリダイゼーションは製造者が推奨するように行った。r-32P-ATP末端標識ITRオリゴヌクレオチドプローブA-1(5'TTGGCCACTCCCTCTCTGCG3'(配列番号4)、ITRのA領域から得たもの、N. Muzyczkaの好意により提供された)とのハイブリダイゼーションは以下のように行った。5 x SSC、10 x Denhardt溶液、10%硫酸デキストラン及び5% SDSを含む10 mlの溶液中で60℃において少なくとも1時間、メンブランをプレハイブリダイズした。0.5 mlのH2O中の25 ngの32P末端標識オリゴプローブ及び200μgの熱変性サケ精子DNAを加えた。ハイブリダイゼーションを60℃で一晩継続した。メンブランを3 x SSC及び5% SDS中で60℃において30分間2回洗浄し、0.2 x SSC中で室温において10分間1回洗浄した。lacZ発現細胞クローンのサザンブロット分析には32P標識第19染色体特異的プローブを使用した(Samulski, R.J.ら、1991, EMBO J. 10:3941-3950)。
CMV/lacZDNA断片が第19染色体に特異的に組み込まれたかどうかを判定するため、Sambrookらに記載されたようにして(1989, Molecular Cloning: A Laboratory Manual, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N.Y.)トランスフェクトされた細胞から高分子量ゲノムDNAを抽出した。接合点断片を増幅するように設計したPCR反応に該ゲノムDNAを鋳型として使用した。下記のPCRプライマーをPCR反応において使用した。
5'-GTGAATTGTAATACGACTCACTATAGGGCG-3'
6.1.3. PCRおよびITRプラスミドの構築
AAVおよびAd5感染細胞からの低分子量DNAを、AAVのD配列から誘導された単一プライマーを用いたPCR反応の鋳型として用いた。20mM Tris-HCl(pH8.8), 1.5mM MgCl2, 50mM KCl, 2.5%ホルムアミド,100μM dATP, dCTPおよびdTTP, 75μM 7-デアゾ-dGTP, 25μM dGTP, 1.5U AmpliTaq(Perkin Elmer Cetus), 1ng AAV DNAおよび100pmoleのプライマーTR-1(5'-GGAATTCAGGAACCCCTAGTGATGG3-3')(配列番号3)を含有する反応溶液50μl中で94℃で1分、45℃で30秒、72℃で1分のPCRを35サイクル行った。アガロースゲル電気泳動でPCR産物を精製し、これをEcoRIで切断し、EcoRIで切断し脱リン酸化したpGEM 3Zプラスミド(Promega)とライゲートした。ライゲートしたプラスミドを大腸菌Sure株(Stratagene)に形質転換した。pDDと命名した陽性クローンを、二重D末端反復配列の存在に関してスクリーニングし、dGTPの代わりに7-デアゾ-dGTPを用いたジデオキシ配列決定により確認した(Sanger, F.ら,1977, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 74: 5463-5467)。その後、pDD-2のSalI部位にneo遺伝子をクローニングしてプラスミドpDD-neoを得た。
6.1.4. neo耐性細胞系のクローニング
Ad5感染293細胞への同時トランスフェクションを、pDD-neoとpAAV/Ad(Samulskiら,1989, J. Virol., 63:3822-3828)を用いて48時間行った。この細胞の凍結および融解を3回繰り返し、56℃で1時間インキュベートしてAd5ウイルスを不活性化した。ヒト細胞系Detroit6に感染させるために、DD-neo組換えAAVウイルスを含有する細胞溶解物を用いた。細胞に24時間接種した後、400μg/mlのG418を用いて選別してneo耐性クローンを得た。野生型のAAVおよびAd5をMOI(感染多重度)10で種々のクローンに重感染させて潜伏neo-AAVをレスキューした。
6.2. 結果
6.2.1. 二重D配列を有するITRの構築
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を用いて、他端にD'配列が付加された逆方向末端反復配列を構築した。この論理的根拠はITRのT字型構造に基づいている。1回目のPCR反応では、AAVウイルスのITRが伸長反応を自己開始させて(self-prime)、ステム上にDおよびD'を含む長いT字型ヘアピン構造をもたらすだろう。変性後、このDNAを単一プライマーPCRの鋳型として用いることができる。
ITR領域における高いGC含量および強いパリンドローム構造のため、7-デアゾ-dGTP、2.5%ホルムアミド、高濃度のプライマーといった、いくつかの戦略を利用してPCRの諸問題に取り組み、十分量の目的PCR産物を得た。クローニングの便宜上、このプライマーの5'側にEcoRI認識配列を結合させて、PCR産物をEcoRIで切断してpGEM 3Zのポリリンカーに容易にクローニングできるようにした。細菌宿主内でのITRの不安定性のため、この組換えプラスミドを大腸菌SURE株(Stratagene)に形質転換したところ、この大腸菌内でITRはむしろ安定していた。上記の戦略を採用することにより、多数の陽性クローンが得られた。制限酵素消化と配列決定により、いくつかのクローンの特性付けを行った。これらのクローンのうちの一つを図2に示してあるが、このクローンはpGEM 3ZのEcoRI部位にD'ABB'CC'A'Dのインサートを担持していた。このプラスミドをpDD-2と命名し、次のトランスフェクション実験に用いた。
6.2.2. pDD-2の複製はREP依存性である
複製能をアッセイするために、ヘルパープラスミドpAAV/Adの同時トランスフェクションを行ってまたは行わないで、プラスミドpDD-2をAd5感染293細胞にトランスフェクトした。ヘルパープラスミドpAAV/Adは機能性のREP遺伝子とCAP遺伝子を含むがITRを含まず、それゆえ複製不能である。機能性の起点をもたないため、この分子はトランスでREPおよびCAPタンパク質を供給できるにすぎない。48時間のトランスフェクション後、プラスミドDNAを抽出し、DpnI消化を行ってまたは行わないで1%アガロースゲル上で分離した。DpnIは投入メチル化プラスミドDNAを消化するだけで、複製(脱メチル化)DNAを無傷のままで残す。これらの結果から、ヘルパープラスミドの不在下では、pDD-2プラスミドは複製できないため、そのDNAは完全にDpnI感受性であることが実証された(図3、レーン1および2)。しかし、ヘルパープラスミドの存在下では、DpnI消化に対する抵抗性およびモノマー分子とダイマー分子の存在により証明されるように、pDD-2は非常に効率よく複製した: 典型的なAAV複製パターン(図3、レーン3および4)。pDD-2の複製は2つの要因、すなわちシス位置の二重Dおよびトランス位置のREP遺伝子産物、に依存している。というのは、クローニングベクターpGEM-3Zは同一条件下で複製しなかったし、さらに、REP遺伝子のみを含みCAP遺伝子を含まないプラスミドは、トランス位置でヘルパー機能をpDD-2に供与できるからである(データは示さず)。
修飾ITRを一つ含むpDD-2はその複製効率が高かったので、pDD-2と、野生型REPおよびCAP遺伝子のみならず2つのITRをもっている2種の他の感染性AAVプラスミドpsub201[Samulskiら, 1987, J. Virol., 61:3096-3101]およびpSM620[Samulskiら, 1982, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 79:2077-2081]と、の比較を行った。pDD-2を等量のpAAV/Adヘルパー(ITRをもたない)、psub201またはpSM620とともにAd5感染細胞に同時トランスフェクトした。トランスフェクションの2日後、プラスミドDNAを抽出し、DpnIで消化し、1%アガロースゲル上で分離した。ITRを含有する複製DNAをすべて検出できるようにITRのA配列由来のオリゴヌクレオチドプローブを用いて、サザンブロットを行った。図4に示すように、AAVコード遺伝子を含有する3種のプラスミドはすべて、pDD-2の複製を同様によく補助することができる。しかし、psub201は、それ自体がかなりの低レベルで複製したが、pDD-2の複製を効率よく補助することができる。pSM201はpDD-2と同様のレベルで複製した。
pDD-2複製の有効性が特定の二重Dによるのか、それともこのプラスミドの比較的小さいサイズ(2.9kb)によるのかを調べるために、1.2kbのneo遺伝子断片をpDD-2のポリリンカーのSalI部位に挿入した。この新プラスミドpDD-neoは大きさが4.1kbで、野生型AAVのサイズ(4.68kb)に近似している。このプラスミドを二重らせん環状分子から線状分子に変換したところ、親プラスミドpDD-2と同程度に効率よく複製した(図5)。大きさが7.5kbまでの二重Dプラスミド類を構築した。これらの分子も効率よく複製する(データは示さず)。上記の結果から、二重DはRep依存性複製のための優れた基質であることが示唆される。
6.2.3. 複製およびレスキューはAAVの作用機構による
AAVの逆方向末端反復配列はウイルスの複製起点であることがわかった。in vitroで、これらの配列は部位および鎖特異的ニッカーゼおよびヘリカーゼであるREPタンパク質により基質として認識される。また、ITRはAAVレスキューのための基質と見なされている[Muzyczka, N., 1992, Current Topics in Microbiology & Immunology, 158, 97-129]。二重Dプラスミドは独特のITRを一つ含み、我々はこの配列がREPタンパク質の存在下でのみ複製することを実証したので、このレスキューおよび複製が、類似したAAVレスキューおよび複製機構によるものであると推測するに至った(図1、AおよびB)。
上記の推測を試験するため、pDD-2 DNAをヘルパープラスミドを用いてまたは用いないでAd5感染293細胞にトランスフェクトするか、あるいは未感染293細胞にトランスフェクトした。その後、プラスミドDNAを2種類の単一切断酵素SspIおよびScaIのそれぞれによる制限酵素分析にかけた(地図に関しては図2参照)。ITR含有断片のみが検出されるように、このDNAをITRオリゴヌクレオチドで釣り上げた。これらの結果を図6に示してある。SspIまたはScaI消化後、線状の全長プラスミドバンドがすべてのレーン(Pから6)を通して観察された。このバンドは分割されていない投入環状プラスミドに由来するものであった。一方、レーン1および4(Ad5+ヘルパープラスミド)には、予測された分子量をもつ4本の追加のバンドも見られた。これらのうち2本は消化されたダイマー分子の内部頭−頭断片と内部尾−尾断片から生じたものである。他の2本のバンドは消化されたモノマーおよびダイマーの外部断片により誘導されたもので、おそらくpDD-2は独特の二重D部位で分割され、AAV複製スキームにより複製することが大いに示唆される。Ad5感染細胞(レーン2および5)と未感染細胞(レーン3および6)では、分割されたモノマーからの2本のかすかなバンドも見えることに注目すべきである。このことは、他のあらゆるAAV配列またはAAV遺伝子産物の不在下でも、幾つかの細胞機構が二重D部位においてレスキュープロセスを開始することができることを示唆する。そのようなレスキューされたDNAはRepタンパク質の不在下では複製できなかったが(図3、レーン2参照)、このことは、2つの野生型ITRを含有する従来のAAVプラスミドには見られないAAV認識の第一段階に係わりのある特異な性質を二重D基質が付与しうることを示唆する。
6.2.4. 一つのシス位置の二重DはAAV生存能にとって十分である
第6.1.4節に記載したように、プラスミドpDD-neoを用いてDD-neoウイルス調製物を得た。その後、組換えウイルス粒子を含有する細胞溶解物をヒトDetroit6細胞に感染させた。感染の2週間後、細胞をG418に対して選択した。多数のneo耐性クローンが単離されたが、このことは組換えウイルスが作られ、形質導入の目的が達成されたことを示す。DD-neo耐性細胞系に野生型AAV−2およびAd5を重感染させ、導入DNAのレスキューおよび複製についてアッセイした。次に、ウイルスDNAを抽出してneo遺伝子断片で釣り上げた。DD-neor細胞系の例から、レスキューされたDD-neoウイルスDNAがモノマーおよびダイマーとして複製されたことがわかった(データは示さず)。これらの結果から、単一の165bpの二重DはAAV生活環の全段階を実現するのに必要とされる唯一のシス配列であることが実証された。かくして、プラスミドからのレスキュー、DNAの複製、ウイルスの包膜、細胞への感染、染色体への組込み、そして再度のレスキューといったプロセスはすべてがこの独特な二重D逆方向末端反復配列により媒介されるものであった。
6.2.5. 二重D組換えベクターのトランスフェクション
二重D ITR CMV/LacZ構築物または二重D配列をもたないCMV/LacZ構築物のいずれかを用いてヒト293細胞をトランスフェクトした。これら特定の構築物は、CMV(サイトメガロウイルス)構成プロモーターの転写制御下に、大腸菌のβガラクトシダーゼリポータータンパク質をコードするlacZ遺伝子を含有する。さらに、CMV/LacZプラスミドを、HIVプロモーターの転写制御下にAAVのREPタンパク質をコードする遺伝子を含有する組換えプラスミドであるpHIV-REPとともに同時トランスフェクトした(Antoni, B.A.ら, 1991, J. Virology 65:396-404)。
トランスフェクションの6週間後に細胞を染色して、細胞の何パーセントがβガラクトシダーゼ活性を発現しているかを調べた。細胞抽出物中にβガラクトシダーゼ活性が検出されることは、染色体に組み込まれたlacZ構築物の存在を示す。REPタンパク質を発現し得るベクターとともに同時トランスフェクトされた二重D CMV/LacZ構築物だけがβガラクトシダーゼ活性を発現していると判明した。
トランスフェクトした細胞のサザンブロット分析により、βガラクトシダーゼ活性を発現する細胞が二重D CMV/LacZ構築物をそのゲノムに取り込んでいたことを確認した(図11および12)。さらに、PCR分析から、CMV/LacZプラスミドは野生型AAVが通常取り込まれる第19染色体の特定の領域に組み込まれていたことが示された(表I)。
Figure 0004063319
これらのデータは次のことを示している。すなわち、(i)AAVによる標的化組込みに必要とされる唯一のシス作用配列は二重D配列であり、(ii)AAVのREPタンパク質は組換えベクターDNAのゲノム宿主DNAへの標的部位特異的組込みに対しトランスで作用するのに十分である。
本発明はここに開示した具体例によって範囲が限定されるものではない。具体例は本発明の一面を示すもので、機能的に均等などのようなクローン、DNAまたはアミノ酸配列も本発明の範囲に含まれる。実際、当業者であれば、ここに開示したものに加えて、本発明のさまざまな改変が前記の説明および添付の図面から明らかになろう。こうした改変も請求の範囲に含まれるものとする。
また、ヌクレオチドおよびペプチドに関して示された全ての塩基対およびアミノ酸残基の数とサイズはおよその数字であって、説明のために用いられることを理解すべきである。各種の刊行物がここに引用されているが、それらはそのまま参考としてここに組み入れられる。

Claims (17)

  1. 野生型AAVが通常取り込まれる第19染色体の領域にin vitroでウイルスベクターを部位特異的に宿主ゲノムに組み込む方法であって、
    (a) リポソームに、単一のアデノ随伴ウイルスの逆方向末端反復(ITR)配列を含有しかつ20塩基対のD配列(配列番号5)と直接結合する第1核酸分子と、AAVのREPタンパク質をコードする第2核酸分子とを封入するステップであって、第1核酸分子が、
    (i) 高度にまたは中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で図9に示した165塩基対の逆方向末端反復配列(配列番号1)にハイブリダイズし、かつ
    (ii) 該核酸分子を含有する組換えDNAの複製とアデノ随伴ウイルス粒子への組立て、および/または宿主ゲノムへの組み込みを指令する
    ものである上記ステップ、
    (b) 上記リポソーム調製物を単離された宿主細胞に投与するステップ
    を含み、二重D配列を含むウイルスベクターの宿主染色体への部位特異的組み込みに有効である、上記方法。
  2. 単一のAAV逆方向末端反復配列および20塩基対のD配列(配列番号5)を有する精製および単離された第1核酸分子、ならびにAAVのREPタンパク質をコードする第2核酸分子を含む組成物であって、第1核酸分子において、
    (a) 該20塩基のD配列は高度にまたは中程度にストリンジェントなハイブリダイゼーション条件下で図9に示した配列(配列番号1)にハイブリダイズし、かつ
    (b) 該核酸分子は、該核酸分子を含有する組換えDNAの複製、およびこの組換えDNAのAAVビリオンへの組立ておよび/または宿主ゲノムへの組込みを指令することができる、
    上記組成物
  3. 目的のタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配列および請求項2に記載の組成物を含んでなる、組換えDNAベクター。
  4. AAVのREPおよびCAPタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配列をさらに含んでなる、請求項3に記載の組換えDNAベクター。
  5. 細菌のγδリゾルベースにより認識される図10に示したDNAヌクレオチド配列(配列番号2)をさらに含んでなる、請求項3または4に記載の組換えDNAベクター。
  6. 組換えDNA分子を複製し、そのDNA分子をキャプシドで包み込んでAAVビリオンとする方法であって、
    (a)(i)真核細胞中で複製するヘルパーウイルス、(ii)AAVのREPおよびCAPタンパク質をコードする組換え核酸、および(iii)目的のDNA配列および請求項2に記載の組成物を含む組換え核酸、を含有する真核細胞を培養し、それにより目的のDNA配列および請求項2に記載の組成物を含む前記組換え核酸を複製させ、かつAAVビリオンへと組み立て、そして
    (b) 産生されたビリオンを集める、
    ことを含んでなる方法。
  7. ヘルパーウイルスがアデノウイルスである、請求項6に記載の方法。
  8. ヘルパーウイルスが単純ヘルペスウイルスである、請求項6に記載の方法。
  9. AAVのREPおよびCAPタンパク質をコードする組換え核酸が、
    (a) AAVのREPおよびCAP RNAの発現を制御するプロモーター、
    (b) REPおよびCAPのmRNAの翻訳開始シグナル、
    (c) REPおよびCAPタンパク質をコードするDNA配列、および
    (d) 転写終結シグナル、
    を含有するプラスミドベクターである、請求項6〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 目的のDNA配列および請求項2に記載の組成物を含む組換え核酸が、
    (a) プロモーター、
    (b) このプロモーターの制御下で転写される目的のDNA配列、および
    (c) 請求項2に記載の組成物
    を含有するプラスミドベクターである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の方法。
  11. 組換えDNA分子を複製し、そのDNA分子をキャプシドで包み込んでAAV粒子とする方法であって、
    (a) 請求項2に記載の組成物および図10に示した少なくとも2つの細菌のγδリゾルベース認識配列(配列番号2)を含有する組換え核酸を、細菌のγδリゾルベース酵素で処理し、そして
    (b) ヘルパーウイルスおよび前記のリゾルベース処理した組換え核酸を含有する真核細胞を培養し、それにより分割された組換え核酸を複製させ、キャプシドで包み込んでAAV粒子とする
    ことを含んでなる方法。
  12. 細菌のγδリゾルベース認識配列を含有する組換え核酸が、
    (a) 少なくとも2つの細菌のγδリゾルベース認識配列、
    (b) プロモーター、
    (c) プロモーターの制御下で転写される目的のDNA配列、および
    (d) 請求項2に記載の組成物
    を含有するプラスミドベクターである、請求項11に記載の方法。
  13. 細菌のγδリゾルベース認識配列を含有する組換え核酸が、
    (a) 少なくとも2つの細菌のγδリゾルベース認識配列、
    (b) プロモーター、
    (c) プロモーターの制御下で転写される目的のDNA配列、
    (d) 請求項2に記載の組成物、および
    (e) AAVのREPおよびCAPタンパク質をコードするDNAヌクレオチド配列、
    を含有するプラスミドベクターである、請求項11に記載の方法。
  14. 請求項2に記載の組成物を含有する組換えDNA分子を用いて真核細胞をトランスフェクションすることを含んでなる、真核細胞に核酸分子を移入する方法。
  15. ヒトではない宿主核酸分子を移入する方法であって、
    (a) 請求項2に記載の組成物を含有する組換えDNA分子をリポソーム内に封入し、そして
    (b) そのリポソーム調製物を上記ヒトではない宿主に投与する、
    ことを含んでなる方法。
  16. 請求項2に記載の組成物を含有するパッケージングされた組換えDNA分子を含む組換えアデノ随伴ウイルスのストック。
  17. ヘルパーウイルスを複製し、かつ組換えアデノ随伴ウイルスのストックを産生する宿主細胞であって、該細胞が、
    (i)ヘルパーウイルス、(ii)AAVのREPおよびCAPタンパク質をコードする組換え核酸、および(iii)目的のDNA配列および請求項2に記載の組成物を含む組換え核酸、を含有し、それにより目的のDNA配列および請求項2に記載の組成物を含む前記核酸複製さ、かつAAVビリオンへと組み立てられ
    ものである上記宿主細胞。
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