JP4063173B2 - ヘッドスライダならびにそれを用いたヘッド支持装置およびディスク装置 - Google Patents

ヘッドスライダならびにそれを用いたヘッド支持装置およびディスク装置 Download PDF

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Description

本発明は、浮上型のヘッドスライダを用いた磁気ディスク装置等のディスク装置に関する。
従来から、磁気ディスク装置等のディスク装置に用いられる浮上型のヘッドスライダに関する様々な技術が提案されてきた。特に、近年、搭載される機器の小型化およびディスク状記録媒体の密度の向上にしたがって、磁気ヘッドをディスク状記録媒体に近接させる必要があるので、浮上型のヘッドスライダに要求されるディスク状記録媒体からの浮上量は、約数十nmと、かなり小さいものになってきている。
このため、磁気ディスク装置等に外部からの衝撃が加わったような場合においては、ヘッドスライダがディスク状記録媒体に衝突し、ディスク状記録媒体を磁気的および機械的に傷つけてしまって記録再生が不可能になるという課題があった。さらに、近年の情報装置のモバイル化に伴い、搭載される磁気ディスク装置等にも可搬性が要求され、落下等のおそれも生じてきた。
これらの課題に鑑みて、耐衝撃特性に優れた浮上型ヘッドスライダの、ディスク状記録媒体に対向すべき面(以下、空気潤滑面と記す)の形状について、様々な検討がなされてきた。
例えば、従来から記録媒体面から引き離す方向の慣性力がヘッドスライダに対して印加された場合に、ヘッドスライダが記録媒体面から大きく離間して、ヘッドスライダを保持するサスペンションのバネの弾力(曲げられた状態から元に戻ろうとする力)によって、ヘッドスライダに記録媒体面方向への作用力が印加され、ついにはディスク状記録媒体と衝突し、ディスク状記録媒体を磁気的および機械的に破損してしまう可能性が高くなる、という課題があり、このような課題に対して、浮上型のヘッドスライダの空気潤滑面に負圧発生部を備え、その負圧発生部が、ヘッドスライダの幾何中心の近傍であって、幾何中心よりも空気流入面側に位置する構成とすることにより、ヘッドスライダのディスク状記録媒体への衝突が起こらない例が報告されている(例えば、非特許文献1を参照。)。
Ni Sheng他,"SLIDER AND HGA DESIGNS FOR BOTH SMOOTH LOAD/UNLOAD OPERATION AND HIGH SHOCK RESISTANCE",The 2002 IEEE International Magnetics Conference予稿集、Netherland,RAI Congress Center,April28−May2,AD11.
しかしながら、前述したような浮上型のヘッドスライダにおいては、ヘッドスライダの耐衝撃特性Gは、約80(g)程度(ここで1(g)=9.8(m/s2)である)と低く、あまり実用的であるとはいえない。磁気ディスク装置が搭載された情報装置を持ち歩く場合等、近年の磁気ディスク装置に要求される耐衝撃特性は、数百Gである。このような高い耐衝撃特性を実現した浮上型のヘッドスライダの具体的な構成については、これまで何ら検討されてこなかった。
本発明はこのような課題に鑑み、数百Gという大きな加速度の、ディスク状記録媒体から引き離す方向の慣性力がヘッドスライダに印加された場合においても、ディスク状記録媒体に衝突せずに、ディスク状記録媒体上を安定して浮上することのできる浮上型のヘッドスライダを用いた磁気ディスク装置等のディスク装置を提供することを目的とする。
本発明のディスク装置は、ディスク状記録媒体と、
前記ディスク状記録媒体を回転駆動させる駆動手段と、
浮上型ヘッドスライダと、
前記浮上型ヘッドスライダに対し、前記ベース面の前記第1の空気軸受部および前記第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から、所定の付勢力を付与するサスペンションを備えたことを特徴とするヘッド支持装置と、
前記ヘッド支持装置の前記サスペンションを前記ディスク状記録媒体の半径方向に回動させる回動手段と、
前記駆動手段の回転駆動および前記回動手段の回動を制御する制御手段と、
を備えたディスク装置であって、
前記浮上型停ヘッドスライダは、
ベース面上の空気流入端側に設けられた、複数の段差面を有する第1の空気軸受部と、
前記ベース面上の空気流出端側に設けられた、ヘッド素子を有する第2の空気軸
受部とを備えており、
前記第2の空気軸受部の最表面の高さが、前記第1の空気軸受部の最表面の高さ
よりも低く、
さらには、前記第1の空気軸受部は、前記複数の段差面として、空気流入端側か
ら、第1の段差面、前記第1の段差面よりも高く構成された第2の段差面、および、前記第2の段差面よりも高く構成された最表面を有する構成によって、前記第1の空気軸受部と前記第2の空気軸受部との間に負圧発生部が設けられ、前記負圧発生部から発生する負圧の発生中心位置が、前記浮上型ヘッドスライダの重心よりも空気流入端側にあることを特徴とし、
前記ヘッド支持装置は、
前記浮上型ヘッドスライダに対し、前記ベース面の前記第1の空気軸受部および前記第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から、所定の付勢力を付与するピボット部を有するサスペンションとを備え、
前記ヘッド支持装置の前記ピボット部と前記浮上型ヘッドスライダとが接する位置をピボット位置としたとき、前記浮上型ヘッドスライダの重心位置と前記ピボット位置とを前記ディスク状記録媒体面に対して投影した位置が一致することを特徴としている。
このような構成により、第1の空気軸受部と第2の空気軸受部との間の領域において負圧が発生して、ヘッドスライダをディスク状記録媒体から離間させる方向の慣性力が印加された場合においても、ヘッドスライダをディスク状記録媒体上に安定して浮上させることができる。さらに、第2の空気軸受部の最表面の高さが第1の空気軸受部の高さよりも低いことにより、第1の空気軸受部の空気流入端側とディスク状記録媒体とが接触する可能性を低くすることができる。さらにまた、第1の空気軸受部に段差面を設けることにより、段差面の設計によって、第1の空気軸受部において発生する圧力の大きさと分布を制御しやすい構成を実現できる。
また、第1の空気軸受部は、複数の段差面として、空気流入端側から、第1の段差面、第1の段差面よりも高く構成された第2の段差面、および、第2の段差面よりも高く構成された最表面を有する構成であってもよい。
また、第1の空気軸受部の複数の段差面は、空気流入端側から、第1の段差面、第1の段差面よりも高く構成された第2の段差面、および、第2の段差面よりも高く構成された最表面の3つの面からなる構成であってもよい。このような構成により、簡易で、より生産性に優れた浮上型ヘッドスライダを実現できる。
また、第1の空気軸受部の、浮上型スライダの短手方向の両端部から、空気流出端方向へ伸びるサイドレールが形成された構成であることにより、さらに負圧を効率よく発生させることが可能である。
さらに、第1の空気軸受部と第2の空気軸受部との間に負圧発生部が設けられ、負圧発生部から発生する負圧の発生中心位置が、浮上型ヘッドスライダの重心よりも空気流入端側にある構成であることにより、ヘッドスライダにディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力が作用したときにも、安定して浮上できるヘッドスライダを提供することができる。
さらに、第1の空気軸受部の最表面とベース面との高さの差LAが、浮上型スライダの長手方向の長さをLとしたとき、
3.2×10-4L≦LA≦3.6×10-4
で表わされる範囲にある構成であることにより、ヘッドスライダにディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力が作用した場合の耐衝撃特性に優れた構成を実現できる。
また、第1の空気軸受部の最表面と第2の段差面との高さの差L2が、第1の空気軸受部の最表面とベース面との高さの差をLAとしたとき、
2.9×10-2LA≦L2≦3.3×10-2LA
で表わされる範囲にある構成であることにより、小型化、高密度化(30GB/in2)されたディスク状記録媒体に記録再生可能なヘッドスライダを実現できる。
さらに、第1の空気軸受部の第1の段差面と第2の段差面との高さの差L1が、第1の空気軸受部の最表面とベース面との高さの差をLAとしたとき、
13.4×10-2LA≦L1≦14.5×10-2LA
で表わされる構成により、小型化、高密度化(30GB/in2)されたディスク状記録媒体に記録再生可能なヘッドスライダを実現できる。
また、第2の空気軸受部が、複数の段差面を有する構成であってもよい。
このような構成によれば、段差面の設計によって、第2の空気軸受部において発生する圧力の大きさと分布を制御しやすい構成を実現できる。
また、第2の空気軸受部は、複数の段差面として、空気流入端側から、ベース面よりも高く形成された段差面と、段差面よりも高く形成された最表面とを有する構成であってもよい。
さらに、第2の空気軸受部の複数の段差面が、空気流入端側から、ベース面よりも高く形成された段差面と、段差面よりも高く構成された最表面の2つの面からなる構成により、簡易で、より生産性に優れた浮上型ヘッドスライダを実現できる。
また、第1の空気軸受部の第1の段差面と、第2の空気軸受部の段差面とが同じ高さである構成によれば、最も生産性および耐衝撃特性に優れた浮上型ヘッドスライダを実現できる。
次に、本発明のヘッド支持装置は、前述の浮上型ヘッドスライダと、浮上型ヘッドスライダに対し、ベース面の第1の空気軸受部および第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から、所定の付勢力を付与するサスペンションとを備えたことを特徴としている。
このような構成により、本発明の浮上型ヘッドスライダを用いた、耐衝撃特性に優れたヘッド支持装置を実現できる。
また、サスペンションは、浮上型ヘッドスライダに対して所定の付勢力を付与するピボット部を有する構成であってもよい。
このような構成によれば、浮上型ヘッドスライダをピッチ方向およびロール方向に回動可能に保持することができるので、より耐衝撃特性、特にディスク状記録媒体と離反する方向の耐衝撃特性の高いヘッド支持装置を実現できる。
次に、本発明のディスク装置は、前述のヘッド支持装置と、ディスク状記録媒体と、ディスク状記録媒体を回転駆動させる駆動手段と、ヘッド支持装置のサスペンションをディスク状記録媒体の半径方向に回動させる回動手段と、駆動手段の回転駆動および回動手段の回動を制御する制御手段とを備えたことを特徴としている。
このような構成により、本発明の浮上型ヘッドスライダおよびヘッド支持装置を搭載した、耐衝撃特性、特にディスク状記録媒体と離反する方向の耐衝撃特性に優れたディスク装置を実現できる。
また、ヘッド支持装置のピボット部と浮上型ヘッドスライダとが接する位置をピボット位置としたとき、浮上型ヘッドスライダの重心位置とピボット位置とを記録媒体面に対して投影した位置が一致する構成とすれば、最も耐衝撃特性に優れたディスク装置を実現できる。
本発明のヘッドスライダを用いれば、約700(g)という大きな加速度の、ディスク状記録媒体から引き離す方向の慣性力がヘッドスライダに印加された場合においても、ヘッドスライダが、ディスク状記録媒体に衝突せず、ディスク状記録媒体上を安定して浮上することのできる浮上型のヘッドスライダを実現できる。
以下、本発明の実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態として、本発明の浮上型ヘッドスライダの構造について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態における浮上型ヘッドスライダ(以下、浮上型を省略して、単にヘッドスライダと記す)の空気潤滑面の形状を示した図であり、図1(a)は、その平面図であり、図1(b)はそのA−A’線に沿った断面矢視図である。共に、紙面に向かって左側から空気が流入する構成であり、以下、図1における、ヘッドスライダの紙面に向かって左側を空気流入端側、紙面に向かって右側を空気流出端側と記す。
さらに、図2(a)には本実施の形態におけるヘッドスライダの斜視図を示し、図2(b)にはその空気潤滑面と対向すべきディスク状記録媒体との間に生じる圧力分布図を示す。なお、図2(a)においては、ヘッドスライダの空気潤滑面の形状を明確にするために、ベース面部分については記載を省略したものを示す。
図1および図2において、本実施の形態のヘッドスライダ10は、そのベース面3上に、空気流入端側から順に、第1の空気軸受部1および第2の空気軸受部2を備えた構成である。ここで、空気軸受部とは、図2(b)に示した圧力分布図からみても分かるように、対向すべきディスク状記録媒体との間の空間に正圧を発生する部分のことをいう。正圧を発生する領域P1が第1の空気軸受部1に対応した正圧発生部分であり、領域P2が第2の空気軸受部2に対応した正圧発生部分である。
また、第1の空気軸受部1と第2の空気軸受部2との間の領域は、負圧が発生する負圧発生部19である。図2(b)においては、領域N1に対応している。また、本実施の形態のヘッドスライダ10は、第1の空気軸受部1に、図1および図2に示したように、2つのサイドレール9をヘッドスライダ10の長手方向に設けることにより、空気流を制御して、より効果的にディスク状記録媒体との間に高い負圧を発生させた構成である。この前述した正圧と負圧とのバランスにより、ヘッドスライダ10は、ディスク状記録媒体に対して定常的に浮上することが可能である。
さらに、本実施の形態のヘッドスライダ10は、図1(b)に示したように、第1の空気軸受部1の最表面6が第2の空気軸受部2の最表面8よりも高い構成である。ヘッドスライダ10の寸法は、図1において、長手方向(空気流入方向)長さ×短手方向(空気流入方向に垂直方向)長さ=1.235mm×1.000mmの大きさ(いわゆる30%スライダまたはPICOスライダ)である。
第1の空気軸受部1は、空気流入端側から順に、第1の段差面4、第2の段差面5および最表面6を備えており、第1の段差面4の高さよりも第2の段差面5の方が高く、第2の段差面5よりも最表面6が高くなるように構成されている。サイドレール9は、第2の段差面5と同じ高さになるように構成されている。
第2の空気軸受部2は、空気流入端側から順に、段差面7および最表面8を備えた構成である。
本実施の形態のヘッドスライダ10においては、製造時の利便性等に鑑みて、第1の空気軸受部1の第1の段差面4の高さと、第2の空気軸受部2の段差面7の高さとが同じになるように構成されている。また、第1の空気軸受部1の第2の段差面5の高さと、第2の空気軸受部2の最表面8の高さとが同じになるように構成されている。
第2の空気軸受部2の空気流出端側には、磁気ヘッド11が搭載されている。
本実施の形態のヘッドスライダ10の構成をさらに詳細に説明する。図3(a)は、本実施の形態における各記号の定義を示す図であり、図3(b)は、本実施の形態のヘッドスライダと後述する比較例との各記号の具体的な数値を示す図である。
本発明の実施の形態においては、図3(a)に示したように、ベース面3と第1の空気軸受部1の最表面6との間の距離をLA、第1の空気軸受部1の第1の段差面4と第2の段差面5との距離をL1、第2の段差面5と最表面6との距離をL2、さらに、ヘッドスライダ10の長手方向の長さをLとする。
本実施の形態のヘッドスライダ10は、図3(b)に示したように、LA=600nm、L1=60nm、L2=15nmである。
このようなヘッドスライダ10に対して、外部からの衝撃等によって、記録媒体面から離間する方向に印加される慣性力に対する挙動を説明する。図4は本実施の形態のヘッドスライダ10に対して、外部から記録媒体面から離間する方向の慣性力Fが印加された場合の、衝撃加速度Gに対する挙動を示す図である。なお、本実施の形態において、ヘッドスライダの挙動については、シミュレーションを行うことにより算出した。シミュレーションの条件としては、荷重:1gf、半径:10mm、回転数:3000r/m、スキュー角:0度として演算を行った。
図4において、横軸はヘッドスライダ10に対してディスク状記録媒体から離れる方向の(慣性力の)衝撃加速度Gの大きさ、縦軸には最小すきま(ここで最小すきまとは、ヘッドスライダが記録媒体面に対し、最も接近する部分とディスク状記録媒体との距離をいう)FHminおよびピッチ角度(ヘッドスライダがディスク状記録媒体となす角度をいう。空気流入方向に対してヘッドスライダが仰角になる角度を正の値とする。)Pitchを示す。
図4に示したように、まず、定常状態(慣性力Fが印加されない、すなわちG=0(g))においては、本実施の形態のヘッドスライダ10の最小すきまFHminは約20nm、ピッチ角度Pitchは約100μradである。ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加され衝撃加速度Gが増大すると、ピッチ角度Pitchもそれにつれて大きくなるが、G=200(g)程度でピッチ角度Pitchは極大となり、G=200(g)を超えるとピッチ角度Pitchは減少して、G=300(g)より大きな衝撃加速度Gの領域では、ピッチ角度Pitchは負の値となる(ここで、1(g)=9.8(m/s2)である)。さらに衝撃加速度Gが増大して、ピッチ角度Pitchが負の値となったときにも、G=720(g)程度まで、最小すきまFHminは常に正の値を保っている。すなわちヘッドスライダ10はG=720(g)程度までの衝撃加速度Gの領域においては、安定して浮上していることが分かる。
このように、本実施の形態のヘッドスライダ10は、図4に示すようにG=720(g)という大きな加速度の、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力を印加しても、安定して浮上している、すなわちディスク状記録媒体とは衝突しないことが分かる。
検討によれば、本実施の形態のヘッドスライダ10は、第1の空気軸受部1の第2の段差面5を備えており、この第2の段差面5の有無が、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加された場合のヘッドスライダの挙動に非常に大きな影響を与えていることが分かった。次にこの内容について詳細に説明する。
図5に比較例として、この第2の段差面5を備えていないヘッドスライダ20の構成を示した。図5(a)はヘッドスライダ20の平面図であり、図5(b)はそのB−B’面に沿った断面矢視図である。比較例のヘッドスライダ20は、本実施の形態のヘッドスライダ10と比較して、第2の段差面5を構成に含まない点が異なり、その他の構成要素は同じであるので、同一の構成要素については同一の符号を付し、説明は省略する。
各面の距離条件については、図3(b)に示した通りである。最表面6から第1の段差面4までの距離は75nmである。他の大きさは本実施の形態のヘッドスライダ10と同じである。
このような比較例のヘッドスライダ20に対して、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加された場合の挙動を図6に示す。図6に示したように、ヘッドスライダ20は、慣性力Fが印加されない場合には、最小すきまFHminが約20nm、ピッチ角度Pitchが約80μradで定常浮上している。ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加されると、最小すきまFHmin、ピッチ角度Pitch共に増大する。しかし、約250(g)以上の衝撃加速度Gが印加されると、ヘッドスライダ20とディスク状記録媒体との間に空気潤滑膜が形成されないので定常浮上できず、ピッチ角度Pitch、最小すきまFHmin共に結果を表わすことができない。すなわち、衝撃加速度Gが約250gを超える慣性力Fがディスク状記録媒体から離間する方向に印加されると、ヘッドスライダ20は記録媒体面から大きく離間してしまう。一般に、ヘッドスライダ20はバネ弾性を有するサスペンションによって保持されている。ヘッドスライダ20が記録媒体面から大きく離間すると、サスペンションのバネの弾力(曲げられた状態から元に戻ろうとする力)によって、ヘッドスライダ20は記録媒体面方向への作用力が印加されて、ついにはディスク状記録媒体と衝突し、ディスク状記録媒体を磁気的および機械的に破損してしまう可能性が高くなる。なお、ヘッドスライダ20が記録媒体面から大きく離間すればするほど、大きな弾力がヘッドスライダ20に印加されるので、ディスク状記録媒体と衝突する可能性が極めて高くなる。
この現象をさらに図面を用いて詳細に説明する。図7は、本実施の形態におけるヘッドスライダ10と比較例のヘッドスライダ20との、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加された場合の挙動を示す図である。図7(a)に本実施の形態のヘッドスライダ10の挙動を示し、図7(b)に比較例のヘッドスライダ20の挙動を示す。
図7(a)において示したように、本実施の形態のヘッドスライダ10は図2(b)に示した圧力分布図から算出した、負圧の発生中心位置NPが、重心GPよりも空気流入端側に位置している。このため、上向きの慣性力Fがヘッドスライダ10に対して印加された場合には、図7(a)の紙面に向かって右側に示したように、ヘッドスライダ10には反時計周り方向のモーメントが発生し、ヘッドスライダ10のピッチ角度Pitchは負(俯角)となるものの、空気流とのバランスによって空気潤滑膜は保持されるので、安定して浮上する。
一方、比較例のヘッドスライダ20においては、第2の段差面5が形成されていないので、空気流がヘッドスライダ20とディスク状記録媒体との間に流入しにくい。このため、第1の空気軸受部1の正圧は、ヘッドスライダ10と比較して小さいものとなる。これとバランスをとるために、第1の空気軸受部1と第2の空気軸受部2との間の負圧発生部19における負圧の発生中心位置NPは、ヘッドスライダ10と比較して、空気流出端側に移動する。ヘッドスライダ20の負圧の発生中心位置NPは、重心GPよりも空気流出端側に位置している。
このため、比較例のヘッドスライダ20においては、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加されたとき、図7(b)に示したように、時計周り方向のモーメントが発生する。このため、ヘッドスライダ20のピッチ角度Pitchは急激に大きくなり、空気流の影響もあって、ヘッドスライダ20とディスク状記録媒体との間の空気潤滑膜は保持されず、その結果、ヘッドスライダ20はディスク状記録媒体から大きく離間してしまい、その後、ディスク状記録媒体に衝突して、ディスク状記録媒体を磁気的および機械的に傷つける可能性が高い。
以上述べたように、負圧の発生中心位置NPを重心GPよりも空気流入端側に位置させるようにヘッドスライダの空気潤滑面形状を設計することにより、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加されても安定した浮上が可能なヘッドスライダを得ることが可能となる。
また、本実施の形態で説明したようなヘッドスライダにおいては、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加されたときに、ピッチ角度Pitchが負の状態で浮上する構成である。よって、第1の空気軸受部1の空気流入端側が記録媒体面と衝突する可能性が比較的高くなるようにも考えられる。しかしながら、本実施の形態のヘッドスライダ10のように、第2の空気軸受部2の高さを第1の空気軸受部1の高さよりも低くなるように設計を行うことにより、第2の空気軸受部2において発生する正圧が低くなり、定常浮上状態でのピッチ角度Pitchを、第2の空気軸受部2の高さを第1の空気軸受部1の高さと同じにした構成と比較して、より大きくすることができる。これにより、第1の空気軸受部1の空気流入端側とディスク状記録媒体とが接触するために必要な、図7(a)に示した反時計周り方向のモーメントをより大きくすることができるので、接触の可能性を低くすることができる。
なお、製造時のコスト等に鑑みて、第2の空気軸受部2の最表面8の高さを、第1の空気軸受部1の第1の段差面4または第2の段差面5と同じになるように設計することが望ましい。
なお、本実施の形態のヘッドスライダ10においては、図1および図2に示したように、第1の空気軸受部1の最表面6の形状がヘッドスライダ10の短手方向の周辺部で空気流出端側方向に折れ曲がった形状である場合を示したが、本発明のヘッドスライダは最表面6の形状を何ら限定するものではない。例えば、図8に示したヘッドスライダ30のように、最表面6の形状が矩形のものについても本発明のヘッドスライダに含まれることはいうまでもない。
さらに本実施の形態においては、ヘッドスライダ10の第1の空気軸受部1が第1の段差面4および第2の段差面5の2つの段差面からなる場合を示したが、本発明のヘッドスライダはこれに限定されない。例えば、第1の空気軸受部1に3つ以上の段差面を有する構成であっても同様の効果が得られることはいうまでもない。但し、製造時のコストや工程の簡略化等に鑑みて、実用的には2つの段差面を有する構成が望ましい。
なお、本実施の形態においては、第2の空気軸受部2が段差面7を有する構成を示したが、本発明のヘッドスライダはこれに限定されず、段差面7を有さない構成であってもよい。
次に、前述した図1および図2に示したヘッドスライダ10の構成において、最も高い耐衝撃特性を有する構成について検討する。条件の定義は、図3(a)に示したものを用いる。
まず、検討によれば、ヘッドスライダ10の第1の空気軸受部1の最表面6とベース面3との距離LAが、耐衝撃特性の制御に大きな影響を与えることが分かった。これは、この距離LAによって、第1の空気軸受部1と第2の空気軸受部2との間の負圧発生部19が発生する負圧の大きさが制御されるからである。
図9に、距離LAと、衝撃加速度Gおよび浮上量FHの関係を示す。ここでの衝撃加速度Gの値は、ヘッドスライダとディスク状記録媒体との間に空気潤滑膜が形成されうる最大の衝撃加速度である。また、L1=60nm、L2=15nmに固定して演算を行った。
図9によれば、距離LAを大きくすることによって、ヘッドスライダ10の対衝撃加速度Gは小さくなる。逆に、距離LAを小さくすることによって、ヘッドスライダ10の対衝撃加速度Gは大きくなる。
しかしながら、逆に距離LAの大きさを変化させることによって、浮上量FHも変化する。ここでの浮上量FHは、ヘッドスライダ10に搭載された磁気ヘッド11とディスク状記録媒体との間の距離であり、ディスク状記録媒体から離間する方向の慣性力Fが印加されていない定常状態での値を示している。距離LAを大きくすることによって、浮上量FHは小さくなり、逆に距離LAを小さくすることによって、浮上量FHは大きくなる。
よって、図9に示した関係を用いて、要求される耐衝撃特性およびディスク状記録媒体の記録密度等の仕様に応じて、ヘッドスライダ10の最表面6とベース面3との距離LAを設計を行えばよい。
例えば、要求する浮上量を20nm(記録密度:30GB/in2)で、許容誤差を±5%とすると、最適な距離LAは、
400nm≦LA≦430nm
である。このとき、衝撃加速度Gの値は、
778(g)≦G≦788(g)
となる。約780(g)程度の衝撃加速度Gに耐えうるヘッドスライダ10を得ることができる。
また、浮上量FHが20nmのときには、LA=420nm、G=782(g)となる。
次に、LA=420nmに固定して、最適な距離L2の値について検討を行った。図10は距離L2と、浮上量FHとの関係を示した図である。検討によれば、距離L2と浮上量FHとは相関しており、距離L2を小さくするほど浮上量FHは大きくなり、距離L2を大きくすれば、浮上量FHは小さくなる。また、図示しないが、距離L2の値と、衝撃加速度Gの値は相関せず、ほぼ一定である。
よって、距離L2の値については、所望する浮上量FHに照らして、図10から決定すればよい。例えば、本実施の形態で望ましい浮上量FH=20nm±5%とすると、図10より、
13.0nm≦L2≦13.4nm
となる。
また、浮上量FHが20nmのときには、L2=13.2nmとなる。
次に、LA=420nm、L2=13.2nmに固定して、最適な距離L1の値について検討を行った。図11は距離L1と、浮上量FHとの関係を示した図である。検討によれば、距離L1と浮上量FHとは相関しており、距離L1を小さくするほど浮上量FHは小さくなり、距離L1を大きくすれば、浮上量FHは大きくなる。また、図示しないが、距離L1の値と、衝撃加速度Gの値は相関せず、ほぼ一定である。
よって、距離L1の値についても、所望する浮上量FHに照らして、図11から決定すればよい。例えば、本実施の形態で望ましい浮上量FH=20nm±5%とすると、図11より、
58.0nm≦L1≦61.0nm
となる。
また、浮上量FHが20nmのときには、L1=59.9nmとなる。
以上の検討により、浮上量FH=20nmを実現し、最も高い耐衝撃特性を実現するためには、
LA=420nm
L1=59.9nm
L2=13.2nm
となるように設計を行うことにより、所望のヘッドスライダ10を得ることが可能となる。
なお、要求する浮上量を20nm(記録密度:30GB/in2)で、許容誤差を±5%とすると、
58.0nm≦L1≦61.0nm
13.0nm≦L2≦13.4nm
400nm≦LA≦430nm
の範囲となるようにヘッドスライダの空気潤滑面を設計すれば、浮上量FH=20nmを実現し、最も高い耐衝撃特性を実現するヘッドスライダ10を得ることができる。
また、このとき、ヘッドスライダ10の長手方向の長さL=1.235mmを用いて距離L1,L2およびLAを正規化すると、
3.2×10-4L≦LA≦3.6×10-4
2.9×10-2LA≦L2≦3.3×10-2LA
13.4×10-2LA≦L1≦14.5×10-2LA
の範囲を満たすヘッドスライダ10は耐衝撃特性に優れているといえる。
また、この構成においての耐衝撃特性を示す衝撃加速度Gは、
778(g)<G<788(g)
となる。
なお、本実施の形態においては、磁気ディスク装置用のヘッドスライダについての説明を行ったが、本発明のヘッドスライダは磁気ディスク装置用に限定されず、例えば、光磁気ディスク装置や光ディスク装置等に用いる浮上型ヘッドスライダをも含むことはいうまでもない。
また、本実施の形態においては、回転数:3000r/m等の所定の条件におけるシミュレーション結果にもとづいて説明したが、本発明の浮上型ヘッドスライダは、その使用の際の回転数、荷重、ヘッドスライダの大きさ等に限定されるものではない。
例えば、実用的に磁気ディスク装置に用いられる回転数においては、良好な耐衝撃特性を示すことはいうまでもない。また、本発明の浮上型ヘッドスライダは、小型磁気ディスク装置において一般的に用いられる、2000〜5000r/m程度の比較的低い回転数においても、上述したような良好な耐衝撃特性を示すことが可能である。
また、本実施の形態においては、長手方向(空気流入方向)長さ×短手方向(空気流入方向に垂直方向)長さ=1.235mm×1.000mmの大きさ(いわゆる30%スライダまたはPICOスライダ)を用いて説明を行ったが、本発明のヘッドスライダはその大きさに限定されない。一例として、長手方向長さ×短手方向長さ=0.85mm×0.7mmの大きさ(いわゆる20%スライダまたはFEMTOスライダ)を用いても同様の効果を得ることが可能である。
さらに、本発明のヘッドスライダは、使用時の荷重に限定されるものではない。一例としては、前述のPICOスライダまたはFEMTOスライダを用いた場合、0.5gから2.5gまでの荷重において使用することが可能である。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態として、本発明のヘッドスライダを用いたヘッド支持装置およびディスク装置について、図面を用いて詳細に説明する。
図12は、本発明の第2の実施の形態におけるディスク装置の要部斜視図である。ここでは、ディスク装置の例として、磁気ディスク装置を用いて示す。また、図13は、本発明の第2の実施の形態におけるヘッド支持装置の要部斜視図である。
図12に示すディスク装置49おいて、ディスク(ディスク状記録媒体)32は、主軸31に回転自在に支持され、駆動手段33により回転駆動される。この駆動手段33としては、例えばスピンドルモータを用いることができる。
ディスク32に対して記録再生を行うヘッド素子(図示せず)を備えた本発明のヘッドスライダ50が、サスペンション35に固定されてヘッド支持装置40が構成され、このヘッド支持装置40はアクチュエータアーム36に固定され、さらに、アクチュエータアーム36はアクチュエータ軸37に回動自在に取り付けられている。
なお、本実施の形態のヘッドスライダ50とは、本発明の第1の実施の形態で述べた、ベース面上の空気流入端側に、第1の空気軸受部と、空気流出端側に、ヘッド素子を備えた第2の空気軸受部とを備え、第1の空気軸受部が複数の段差面を備え、第2の空気軸受部の最表面の高さが、第1の空気軸受部の最表面よりも低いヘッドスライダであり、さらに望ましくは、ヘッドスライダ50の長手方向の長さLを用いて図3(a)に示したような距離L1,L2およびLAを正規化すると、
3.2×10-4L≦LA≦3.6×10-4
2.9×10-2LA≦L2≦3.3×10-2LA
13.4×10-2LA≦L1≦14.5×10-2LA
の関係を満たすヘッドスライダである。
なお、それぞれの定数、変数の定義は、第1の実施の形態に示したものと同じであるので省略する。
回動手段38としては、例えばボイスコイルモータを用いることができ、アクチュエータアーム36を回動させて、ヘッドスライダ50をディスク32面上の任意のトラック位置に移動させる。筐体39は、これらの構成要素を所定の位置関係に保って保持している。
図13は、サスペンション35とヘッドスライダ50とからなるヘッド支持装置40の要部斜視図である。ヘッドスライダ50は、スライダ保持部41の先端側の一端に設けられた舌状部42に固定されている。また、スライダ保持部41の他端はビーム43に固着されている。
スライダ保持部41としては、例えばジンバルスプリングが用いられ、ヘッドスライダ50のピッチ動作およびロール動作を許容する。ヘッドスライダ50のスライダ保持部41への固定は、例えば接着剤で接着することで行われ、スライダ保持部41のビーム43への固着は、例えば溶着により行うことができる。ビーム43の先端部にはヘッドスライダ50に対して荷重を付勢するピボット44があり、このピボット44を介してヘッドスライダ50に所定の荷重が付勢される。このピボット44がヘッドスライダ50と当接する点、すなわちピボット位置が、第1の実施の形態で述べたような、荷重作用点、つまり、外乱等による衝撃等の慣性力が印加された場合に、慣性力が作用する作用点となる。
このとき、ヘッドスライダ50の重心位置とピボット位置とをディスク32面に対して投影した位置が一致するようにヘッド支持装置40を構成することにより、最も耐衝撃特性に優れたヘッド支持装置40を得ることが可能である。
さらに、ヘッド支持装置40は、ピボット44を有するビーム43と、舌状部42を有するスライダ保持部41とを備えたサスペンション35、および、ヘッドスライダ50を備える。
このようなヘッド支持装置40を用いて、回転するディスク32上で記録再生を行う場合、ヘッドスライダ50にはピボット44から加わる荷重、ならびにヘッドスライダ50の空気潤滑面の設計により、空気流によりヘッドスライダ50をディスク32から浮上させる方向に作用する正圧力およびディスク32に接近させる方向に作用する負圧力の3つの力が作用し、これらの力の釣り合いによりヘッドスライダ50は安定に浮上し、この浮上量を一定に保った状態で回動手段38を駆動して所望のトラック位置に位置決めしながらヘッド素子(図示せず)による記録再生を行うことが可能である。
このような構成の本発明のヘッドスライダ50を搭載したヘッド支持装置40およびディスク装置49を用いることにより、耐衝撃特性に優れたヘッド支持装置およびディスク装置を得ることができる。
なお、本発明は、例として示した磁気ディスク装置に何ら限定されるものではなく、光磁気ディスク装置や、光ディスク装置等の浮上型のヘッドスライダを用いたディスク装置に適用可能であることはいうまでもない。
また、本発明は、ディスク形状の媒体を用いたディスク装置に限定されるものではなく、他のいかなる形状の媒体を用いた記録再生装置にも適用可能であることは、いうまでもない。
以上述べたように、本発明のヘッドスライダを用いれば、約700(g)という大きな加速度の、ディスク状記録媒体から引き離す方向の慣性力がヘッドスライダに印加された場合においても、ヘッドスライダが、ディスク状記録媒体に衝突せず、ディスク状記録媒体上を安定して浮上することのできる浮上型のヘッドスライダを実現できる。
また、本発明のヘッドスライダを用いてヘッド支持装置およびディスク装置を構成することにより、ヘッドスライダがディスク上を浮上しているときに大きな外部からの衝撃による慣性力が作用しても、ヘッドスライダのディスク表面への衝突を防止できる、信頼性の高い、ヘッド支持装置ならびにディスク装置を提供することができる。
本発明にかかるヘッドスライダならびにそれを用いたヘッド支持装置およびディスク装置を用いれば、約700(g)という大きな加速度の、ディスク状記録媒体から引き離す方向の慣性力がヘッドスライダに印加された場合においても、ヘッドスライダが、ディスク状記録媒体に衝突せず、ディスク状記録媒体上を安定して浮上することができるという効果を有し、浮上型のヘッドスライダならびにそれを用いたヘッド支持装置および磁気ディスク装置等のディスク装置等として有用である。
(a)は本発明の第1の実施の形態におけるヘッドスライダの空気潤滑面の形状を示した平面図(b)は本発明の第1の実施の形態におけるヘッドスライダの空気潤滑面の形状を示した断面矢視図 (a)は本発明の第1の実施の形態におけるヘッドスライダの斜視図(b)は本発明の第1の実施の形態におけるヘッドスライダの空気潤滑面と対向すべきディスク状記録媒体との間に生じる圧力分布図 (a)は本発明の第1の実施の形態における各記号の定義を示す図(b)は本発明の第1の実施の形態のヘッドスライダと比較例との各記号の具体的な数値を示す図 本発明の第1の実施の形態のヘッドスライダに対して外部から慣性力Fが印加された場合の挙動を示す図 (a)は本発明の第1の実施の形態における比較例のヘッドスライダの平面図(b)は本発明の第1の実施の形態における比較例のヘッドスライダの断面矢視図 本発明の第1の実施の形態における比較例のヘッドスライダに対して慣性力Fが印加された場合の挙動を示す図 (a)は本発明の第1の実施の形態におけるヘッドスライダの挙動を示す図(b)は本発明の第1の実施の形態における比較例のヘッドスライダの挙動を示す図 本発明の第1の実施の形態におけるヘッドスライダの他の一例の構成を示す図 本発明の第1の実施の形態における距離LAと衝撃加速度Gおよび浮上量FHの関係を示す図 本発明の第1の実施の形態における距離L2と浮上量FHの関係を示す図 本発明の第1の実施の形態における距離L1と浮上量FHの関係を示す図 本発明の第2の実施の形態におけるヘッドスライダおよびヘッド支持装置を用いたディスク装置の要部斜視図 本発明の第2の実施の形態におけるヘッドスライダを用いたヘッド支持装置の要部斜視図
符号の説明
1 第1の空気軸受部
2 第2の空気軸受部
3 ベース面
4 第1の段差面
5 第2の段差面
6,8 最表面
7 段差面
9 サイドレール
10,20,30,50 ヘッドスライダ
11 磁気ヘッド
19 負圧発生部
31 主軸
32 ディスク
33 駆動手段
35 サスペンション
36 アクチュエータアーム
37 アクチュエータ軸
38 回動手段
39 筐体
40 ヘッド支持装置
41 スライダ保持部
42 舌状部
43 ビーム
44 ピボット
49 ディスク装置

Claims (10)

  1. ディスク状記録媒体と、
    前記ディスク状記録媒体を回転駆動させる駆動手段と、
    浮上型ヘッドスライダと、
    前記浮上型ヘッドスライダに対し、前記ベース面の前記第1の空気軸受部および前記第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から、所定の付勢力を付与するサスペンションを備えたことを特徴とするヘッド支持装置と、
    前記ヘッド支持装置の前記サスペンションを前記ディスク状記録媒体の半径方向に回動させる回動手段と、
    前記駆動手段の回転駆動および前記回動手段の回動を制御する制御手段と、
    を備えたディスク装置であって、
    前記浮上型停ヘッドスライダは、
    ベース面上の空気流入端側に設けられた、複数の段差面を有する第1の空気軸受部と、
    前記ベース面上の空気流出端側に設けられた、ヘッド素子を有する第2の空気軸
    受部とを備えており、
    前記第2の空気軸受部の最表面の高さが、前記第1の空気軸受部の最表面の高さ
    よりも低く、
    さらには、前記第1の空気軸受部は、前記複数の段差面として、空気流入端側か
    ら、第1の段差面、前記第1の段差面よりも高く構成された第2の段差面、および、前記第2の段差面よりも高く構成された最表面を有する構成によって、前記第1の空気軸受部と前記第2の空気軸受部との間に負圧発生部が設けられ、前記負圧発生部から発生する負圧の発生中心位置が、前記浮上型ヘッドスライダの重心よりも空気流入端側にあることを特徴とし、
    前記ヘッド支持装置は、
    前記浮上型ヘッドスライダに対し、前記ベース面の前記第1の空気軸受部および前記第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から、所定の付勢力を付与するピボット部を有するサスペンションとを備え、
    前記ヘッド支持装置の前記ピボット部と前記浮上型ヘッドスライダとが接する位置をピボット位置としたとき、前記浮上型ヘッドスライダの重心位置と前記ピボット位置とを前
    記ディスク状記録媒体面に対して投影した位置が一致することを特徴とするディスク装置。
  2. 前記第1の空気軸受部の空気流入方向に対する幅が、前記負圧発生部の幅よりも大きいことを特徴とする請求項1記載のディスク装置。
  3. 前記第1の空気軸受部の、前記浮上型ヘッドスライダの短手方向の両端部から、空気流出端方向へ伸びるサイドレールが形成されたことを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のディスク装置。
  4. 前記第1の空気軸受部の前記最表面と前記ベース面との高さの差LAが、前記浮上型スライダの長手方向の長さをLとしたとき、
    3.2×10-4L≦LA≦3.6×10-4
    で表わされる範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のディスク装置。
  5. 前記第1の空気軸受部の前記最表面と前記第2の段差面との高さの差L2が、前記第1の空気軸受部の前記最表面と前記ベース面との高さの差をLAとしたとき、
    2.9×10-2LA≦L2≦3.3×10-2LA
    で表わされる範囲にあることを特徴とする請求項から請求項までのいずれか1項に記載のディスク装置。
  6. 前記第1の空気軸受部の前記第1の段差面と前記第2の段差面との高さの差L1が、前記第1の空気軸受部の前記最表面と前記ベース面との高さの差をLAとしたとき、
    13.4×10-2LA≦L1≦14.5×10-2LA
    で表わされる範囲にあることを特徴とする請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のディスク装置。
  7. 前記第2の空気軸受部が、複数の段差面を有することを特徴とする請求項1から請求項でのいずれか1項に記載のディスク装置。
  8. 前記第2の空気軸受部は、前記複数の段差面として、空気流入端側から、前記ベース面よりも高く形成された段差面と、前記段差面よりも高く形成された最表面とを有することを特徴とする請求項に記載のディスク装置。
  9. 前記第2の空気軸受部の前記複数の段差面が、空気流入端側から、前記ベース面よりも高く形成された段差面と、前記段差面よりも高く形成された最表面の2つの面からなることを特徴とする請求項7に記載のディスク装置。
  10. 前記第1の空気軸受部の前記第1の段差面と、前記第2の空気軸受部の前記段差面とが同じ高さであることを特徴とする請求項または請求項に記載のディスク装置。
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