JP4432721B2 - ディスク装置、ヘッドスライダおよびヘッド支持装置 - Google Patents

ディスク装置、ヘッドスライダおよびヘッド支持装置 Download PDF

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Description

本発明は、浮上型のヘッドスライダを用いた磁気ディスク装置等のディスク装置およびそれに用いるヘッドスライダおよびヘッド支持装置に関する。
従来から、磁気ディスク装置等のディスク装置において、ヘッドスライダの浮上量を記録媒体上の内外周で安定させるという課題が検討されてきた。一般に、ディスク装置の記録媒体は一定の速度で回転しているため、その内周側と外周側とではヘッドスライダと記録媒体との間に流入する空気流の速度が異なり、この差によってヘッドスライダの浮上量が変動してしまう。このような記録媒体の内外周における浮上量の変動の大きなヘッドスライダを用いてディスク装置を構成した場合には、記録媒体上の記録された単位領域の残留磁束密度が記録媒体の内外周で異なってしまったり、隣接トラックの雑音等を再生してしまったりする等の問題が発生していた。
一方で、ディスク装置に対し、高記憶容量化およびそれに伴う記録媒体の密度の向上が求められている。これに伴い、ディスク装置に用いられる浮上型のヘッドスライダにおいては、ヘッドを記録媒体にできるだけ近接させることが重要な課題となっており、現在、磁気ディスク装置に用いられる浮上型のヘッドスライダに対しては、記録媒体からの浮上量を約10nm程度に小さくすることが要求されている。
このような低浮上量のヘッドスライダを用いた磁気ディスク装置においても、このヘッドスライダの浮上量の安定を図るために様々な検討がなされてきた。その一例として、ヘッドスライダに対して荷重を付与するサスペンションとヘッドスライダとが接触するピボット位置を適切に調節することにより、記録媒体の内外周における浮上量の差を約1nmに抑制する技術が提案されている(例えば、特許文献1を参照。)。
さらに、近年、その記憶容量の大きさや半導体メモリに対しての低コスト性等の長所を活かし、磁気ディスク装置を携帯電話、PDA、デジタルカメラおよび小型ノートパソコン等のモバイル可能な携帯情報機器に搭載したいとの要望が大きくなってきている。
磁気ディスク装置をこのような携帯情報機器に搭載するためには、磁気ディスク装置自体の小型化やヘッドスライダの低浮上量化が必要なのはもちろんのこと、ディスク装置自体も可搬性を要求されるので、落下や外部からの衝撃等に対しても安定した信号の記録または再生を行うこと、いわゆる耐衝撃性の向上が課題となっている。
この耐衝撃性の向上という課題に対し、既に出願人らは、ベース面上の空気流入端側および空気流出端側にそれぞれ空気軸受部を設け、これら2つの空気軸受部の記録媒体に対向すべき面(以下、空気潤滑面と記す)の形状を適切に設計し、それぞれの空気軸受部の発生する圧力を制御することにより、衝撃を吸収し、ヘッドスライダと記録媒体との衝突を防ぐことのできるヘッドスライダを提案してきている(例えば、特許文献2および特許文献3を参照。)。このようなヘッドスライダによれば、約750G(1G=9.8m/s2)程度の高い耐衝撃性を有するヘッドスライダを提供することができる。
特開2002−203305号公報 特開2003−30946号公報 特開2003−115178号公報
しかしながら、前述の特許文献1に記載したような磁気ディスク装置を可搬性を有する携帯情報機器に搭載するにあたっては、磁気ディスク装置における内外周での浮上量の変動は抑制や低浮上量の実現はなされているものの、耐衝撃性の向上については充分な検討が行われていないという課題があった。
本発明はこのような課題に鑑み、高い耐衝撃性および低浮上量を実現しながら、記録媒体の内外周における浮上量の変動を抑制することのできるディスク装置およびそれに用いるヘッドスライダおよびヘッド支持装置を提供することを目的とする。
本発明のディスク装置は、回転するディスク状の記録媒体と、記録媒体との間に流入する空気流によって浮上し、記録トラックに対して記録媒体の内外周で異なるスキュー角をなした状態で使用される、空気流入端側に設けられた第1の空気軸受部と空気流出端側に設けられた第2の空気軸受部とを有するヘッドスライダとを備えたディスク装置であって、ヘッドスライダの第2の空気軸受部は、最も空気流出端側に設けられた正圧発生部と、正圧発生部の両端部から空気流入端方向にそれぞれ延伸する、第1の腕状部および第1の腕状部よりも内周側に設けられた第2の腕状部を有し、ヘッドスライダを記録媒体上の外周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力よりも、ヘッドスライダを記録媒体上の内周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力が高くなるように、ヘッドスライダの第1の腕状部および第2の腕状部それぞれの延伸方向を配置したことを特徴としている。
このような構成により、空気流入端側および空気流出端側にそれぞれ空気軸受部を有するヘッドスライダを備えたので、外部から衝撃が加わった場合にも、その衝撃を吸収することができ、低浮上量でも耐衝撃性に優れたディスク装置を提供できる。また、ヘッドスライダを記録媒体上の外周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力よりも、ヘッドスライダを記録媒体上の内周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力が高くなるように、ヘッドスライダの第1の腕状部および第2の腕状部それぞれの延伸方向を配置することにより、外周側での空気流入速度増加に伴う浮上量上昇を抑制することができるので、内外周における浮上量の変動を抑制することが可能となる。
また、ヘッドスライダが記録媒体上の外周側において使用される場合に、第1の腕状部と、第1の腕状部、第2の腕状部および正圧発生部に囲まれた窪部との間で発生する圧力が、記録媒体上の内周側において使用される場合に第1の腕状部と窪部との間で発生する圧力よりも低くなるように第1の腕状部の延伸方向を配置した構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、記録媒体上の外周側において使用される場合に第1の腕状部と窪部との間で発生する圧力が、記録媒体上の内周側において使用される場合に第1の腕状部と窪部との間で発生する圧力よりも低くなるように第1の腕状部の延伸方向を配置しているので、簡易に内外周における浮上量の変動を抑制できることができる。
また、第2の腕状部は、ヘッドスライダを記録媒体上の外周側および内周側で使用する場合のそれぞれの空気流入方向よりも小さい角度方向に延伸し、第1の腕状部は、ヘッドスライダを記録媒体上の外周側で使用する場合の空気流入方向よりも小さく、かつ、ヘッドスライダを記録媒体上の内周側で使用する場合の空気流入方向よりも大きな角度方向に延伸している構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、第2の腕状部と窪部との間で、内周側および外周側の全領域で充分な正圧を発生させながら、第1の腕状部と窪部との間では、内周側で正圧を発生させながら、外周側で負圧を発生させることができるので、耐衝撃性を実現しながら、内外周における浮上量の変動を抑制することができる。
さらに、ヘッドスライダの第2の空気軸受部の最も空気流出端側の最表面に、ヘッドを備えた構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、空気膜剛性の高い第2の空気軸受部にヘッドを設けるので、耐衝撃性に優れたディスク装置を提供できる。
さらに、ヘッドスライダの第1の腕状部の延伸方向が、ヘッドスライダの長手方向に対して、−30°以上10°以下である構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、記録媒体の内外周における浮上量の変動を抑制したディスク装置を実現できる。
また、ヘッドスライダの第1の腕状部の延伸方向と直行する方向の幅をCとし、窪部の空気流入端側の、第1の腕状部の延伸方向と直行する方向の幅の半分の値をAとしたときに、0.3 ≦ A/(A+C) ≦ 0.9の関係を満たす構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、記録媒体の内外周における浮上量の変動をさらに抑制したディスク装置を実現できる。
さらに、ヘッドスライダの第1の空気軸受部に一対のサイドレール部を有する構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、ロール方向の振動等に強い構成を実現できる。
また、一対のサイドレール部、第1の腕状部、第2の腕状部および正圧発生部がベース面から同じ高さに設けられている構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、生産性に優れた実用性の高い構成を実現できる。
さらに、ヘッドスライダに対して、第1の空気軸受部および第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から所定の付勢力を付与するサスペンションを有するヘッド支持装置を備えた構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、ヘッドスライダをサスペンションで保持して高い耐衝撃性を実現できる。
また、サスペンションは、ヘッドスライダに対して所定の付勢力を付与するピボット部を有する構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、ヘッドスライダをピッチ方向およびロール方向に動作自在に保持することができるので、さらに耐衝撃性に優れたディスク装置を提供できる。
また、記録媒体を回転駆動させる駆動手段と、ヘッド支持装置を記録媒体の半径方向に回動させる回動手段と、駆動手段の回転駆動および回動手段の回動を制御する制御手段とを備えた構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、ヘッド支持装置を回動手段で回動させてヘッドスライダを所望のトラック位置に移動させることのできるディスク装置を提供することができる。
さらに、ヘッド支持装置のピボット部とヘッドスライダとが接する位置をピボット位置としたとき、ヘッドスライダの重心位置とピボット位置とを記録媒体面に対して投影した位置が実質的に一致する構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、衝撃等に対しても、ヘッドスライダに慣性モーメントが生じにくく、ヘッドスライダが動く可能性を低くすることができるので、耐衝撃性に優れたディスク装置を提供できる。
また、記録媒体が磁気記録媒体であり、ヘッドが磁気ヘッドである構成であってもよい。
このような構成によれば、さらに、耐衝撃性、低浮上量および内外周での浮上量の変動を抑制することの可能な磁気ディスク装置を提供できる。
次に、本発明のヘッドスライダは、回転するディスク状の記録媒体との間に流入する空気流によって浮上し、記録トラックに対して記録媒体の内外周で異なるスキュー角をなした状態で使用される、空気流入端側に設けられた第1の空気軸受部と空気流出端側に設けられた第2の空気軸受部とを備えたヘッドスライダであって、ヘッドスライダの第2の空気軸受部は、最も空気流出端側に設けられた正圧発生部と、正圧発生部の両端部から空気流入端方向にそれぞれ延伸する、第1の腕状部および第1の腕状部よりも内周側に設けられた第2の腕状部を有し、ヘッドスライダを記録媒体上の外周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力よりも、ヘッドスライダを記録媒体上の内周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力が高くなるように、ヘッドスライダの第1の腕状部および第2の腕状部の延伸方向を配置したことを特徴としている。
このような構成により、空気流入端側および空気流出端側にそれぞれ空気軸受部を備えたので、外部から衝撃が加わった場合にも、その衝撃を吸収することができ、低浮上量でも耐衝撃性に優れたヘッドスライダを提供できる。また、ヘッドスライダを記録媒体上の外周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力よりも、ヘッドスライダを記録媒体上の内周側で使用した場合に第2の空気軸受部が発生する圧力が高くなるように、ヘッドスライダの第1の腕状部および第2の腕状部それぞれの延伸方向を配置することにより、外周側での空気流入速度増加に伴う浮上量上昇を抑制することができるので、内外周における浮上量の変動を抑制することが可能となる。
次に、本発明のヘッド支持装置は、本発明のヘッドスライダと、ヘッドスライダに対して、第1の空気軸受部および第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から所定の付勢力を付与するサスペンションとを備えたことを特徴としている。
このような構成により、低浮上量、耐衝撃性および内外周における浮上量の変動を抑制することのできるディスク装置に適したヘッド支持装置を提供することができる。
本発明のディスク装置、ヘッドスライダおよびヘッド支持装置によれば、高い耐衝撃性および低浮上量を実現しながら、記録媒体の内外周における浮上量の変動を抑制することのできるディスク装置およびそれに適したヘッドスライダおよびヘッド支持装置を提供できる。
以下、本発明の実施の形態について図面を用いて詳細に説明する。
(実施の形態)
本発明の実施の形態におけるディスク装置の構成について、図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるディスク装置1の要部斜視図である。本発明の実施の形態においては、ディスク装置の例として磁気ディスク装置を用いて説明する。
図1において、ディスク状記録媒体(以下、単に記録媒体と記す)2は、主軸3に回転自在に支持され、駆動手段4により回転駆動される。この駆動手段4としては、例えばスピンドルモータを用いることができる。
記録媒体2に対して記録再生を行う磁気ヘッド(図示せず)を備えた、後述するヘッドスライダ5は、ヘッド支持装置7の一端側に保持されている。このヘッド支持装置7はアクチュエータアーム8に固定され、さらに、アクチュエータアーム8はアクチュエータ軸9に回動自在に取り付けられている。
アクチュエータアーム8を回動させる回動手段10としては、例えば、筐体11に設けられたマグネット(図示せず)による磁界と、アクチュエータアーム8の他端側に設けられたコイル(図示せず)に流れる電流との相互作用によるローレンツ力を利用したボイスコイルモータを用いることができる。回動手段10は、アクチュエータアーム8を回動させて、ヘッドスライダ5を記録媒体2面上の任意のトラック位置上に移動させることができる。筐体11は、これらの構成要素を所定の位置関係に保って保持している。
図2は、本発明の実施の形態におけるディスク装置1に搭載されるヘッド支持装置7の要部斜視図である。
ヘッド支持装置7は、サスペンション6とヘッドスライダ5とを有する。ヘッドスライダ5は、スライダ保持部12の先端の一端側に設けられた舌状部13に取り付けられている。また、スライダ保持部12の他端側は比較的剛性の高いビーム14に固着されている。
スライダ保持部12としては、例えばジンバルスプリングが用いられ、スライダ保持部12はヘッドスライダ5のピッチ動作およびロール動作をある程度許容する。ヘッドスライダ5の舌状部13への取り付けは、例えば接着剤による接着によって行うことができ、スライダ保持部12のビーム14への取り付けは、例えば溶着により行うことができる。
ビーム14の一端側の紙面に向かって下面には、ヘッドスライダ5に対して所定の荷重を付与するピボット15があり、このピボット15を介してビーム14からヘッドスライダ5に対して所定の荷重が付勢される。以下、このピボット15とヘッドスライダ5とが当接する点のことをピボット位置と記す。
ヘッドスライダ5の重心位置と前述のピボット位置とを記録媒体2面に対して投影した位置が一致するようにヘッド支持装置7を構成することにより、衝撃が加わった場合にも、ヘッドスライダ5にピッチ方向およびロール方向の慣性モーメントが発生しにくいので、耐衝撃性に優れたヘッド支持装置を得ることが可能となる。
上述したようなディスク装置1を用いて、回転する記録媒体2上で記録または再生を行う場合、ヘッドスライダ5には、ピボット15を介してビーム14から記録媒体2に接近する方向に印加される付勢力、および、記録媒体2の回転によってヘッドスライダ5と記録媒体2との間に流入する空気流によりヘッドスライダ5を記録媒体2から離間させる方向に作用する正圧力が印加される。これらの力の釣り合いによりヘッドスライダ5は記録媒体2から安定して浮上し、この浮上量を一定に保った状態で回動手段10を駆動してヘッドスライダ5に搭載されたヘッド素子を記録媒体2上の所望の記録トラック上に位置決めしながら記録または再生を行うことが可能となる。なお、前述のヘッドスライダ5の記録媒体2からの浮上力は、ヘッドスライダ5の記録媒体2に対向すべき空気潤滑面の形状の設計によって変化するが、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5の空気潤滑面形状については、後述する。
ここで、以降の説明を簡単にするために、スキュー角Dの定義について説明する。図3は、本発明の実施の形態におけるディスク装置1のスキュー角Dの定義を説明するための図である。図3(a)はスキュー角Dが負の状態を示し、図3(b)はスキュー角Dが正の状態を示している。
すなわち、図3(a)に示したように、記録媒体2の記録トラックの接線方向(空気流入方向に相当する)Aとし、ヘッドスライダ5の中心線をヘッド支持装置7と反対側に延長した方向Bとしたときに、方向Bと方向Aとがなす角度がスキュー角Dであり、方向Bが方向Aよりも記録媒体2の内側に向いている場合には、スキュー角Dが負の値をとるものとする。一方、図3(b)に示したように、方向Bが方向Aよりも記録媒体2の外側に向いている場合には、スキュー角Dが正の値をとるものとして以下説明する。
次に、本発明の実施の形態におけるディスク装置1に搭載されたヘッドスライダ5の空気潤滑面の構成について詳細に説明する。
図4は、本発明の実施の形態におけるディスク装置1に搭載されたヘッドスライダ5の空気潤滑面の形状を示す斜視図である。なお、図4においては、ヘッドスライダ5の空気潤滑面の形状を明確に説明するために、ベース面よりも紙面において下部の構成については記載を省略する。
また、図5は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5の空気潤滑面の形状を示す平面図である。
図5においては、ヘッドスライダ5の紙面に向かって左側を空気流入端側、紙面に向かって右側を空気流出端側とそれぞれ記す。また、ヘッドスライダ5の紙面に向かって上側が記録媒体2に対向したときの外周側に位置し、ヘッドスライダ5の紙面に向かって下側が記録媒体2に対向したときの内周側に位置するものとする。
なお、ヘッドスライダ5の大きさは、図5において、長手方向の長さ×短手方向の長さ=1.235mm×1.00mmの大きさ(いわゆる30%スライダまたはPICOスライダ)であるとして説明する。
また、ディスク装置1において、記録媒体2の大きさは0.85インチ(半径8.9mm)であり、記録媒体2上の最内周(中心から約5.2mmの位置であり、以後、内周側と記す)におけるヘッドスライダ5のスキュー角DIは−16.3°であり、最外周(中心から約8.9mmの位置であり、以後、外周側と記す)におけるスキュー角DOを4.8°であるとする。また、記録媒体2の回転速度は3600rpmであり、アクチュエータ軸9の回転中心軸からヘッドスライダ5のピボット位置までの距離は、11.6mmであるとする。さらに、ヘッドスライダ5を記録媒体2に接近させる方向にビーム14からヘッドスライダ5に付与される荷重は1gfであるとする。
ここで、本発明の実施の形態におけるディスク装置1に搭載されたヘッドスライダ5の空気潤滑面形状について、詳細に説明する。図4および図5に示したように、ヘッドスライダ5は、空気流入端側から順に、第1の空気軸受部20、および、負圧発生部(ベース面)40を挟んで空気流出端側に形成された第2の空気軸受部30を備える。
第1の空気軸受部20および第2の空気軸受部30はそれぞれ、ヘッドスライダ5と記録媒体2との間に空気が流入した場合に正圧(すなわち、記録媒体2とヘッドスライダ5とが離間する方向の圧力)が発生する部分である。このように、空気流方向に負圧発生部40を挟んで第1の空気軸受部20、第2の空気軸受部30を設けた構成とすることによりヘッドスライダ5の耐衝撃性が向上することは、前述の特許文献2および特許文献3において説明した通りである。
さらに、第1の空気軸受部20は、より大きな正圧を発生させるために設けられる第1のステップ部21、および、第1のステップ部21よりも高い位置に設けられた一対のサイドレール部22を有する。一対のサイドレール部22を有することによって、ヘッドスライダ5はロール方向の安定性を向上することができる。
なお、ベース面から第1のステップ部21までの高さは約700nm、第1のステップ部21からサイドレール部22までの高さは約100nmである。
次に、第2の空気軸受部30は、第2のステップ部31と正圧発生部32とを備えている。第2のステップ部31の高さを前述の第1のステップ部21と同じ高さとし、正圧発生部32の高さを前述のサイドレール部22の高さと同じにすることによって、生産性が向上するので、実用性が高くなる。
また、正圧発生部32からは、記録媒体2の外周側(図5における紙面に向かって上側)に形成された第1の腕状部33および内周側(図5における紙面に向かって下側)に形成された第2の腕状部34が、それぞれ空気流入端側方向に延伸している。よって、第2のステップ部31は、第1の腕状部33、第2の腕状部34および正圧発生部32に囲まれた窪部となっている。第1の腕状部33および第2の腕状部34の高さを正圧発生部32の高さと略一致させることにより、生産性を向上させることができ、実用性の高い構成を実現できる。
第1の腕状部33および第2の腕状部34は、それぞれ内周側(図5における紙面に向かって下方向)に向かって斜め方向に延伸している。第1の腕状部33は、第1の腕状部33と第2のステップ部31との境界線がヘッドスライダ5の長手方向の中心線に対して内周側方向に12°の方向に延伸し、第2の腕状部34は、第2の腕状部34と第2のステップ部31との境界線がヘッドスライダ5の長手方向の中心線に対して、内周側方向に30°の方向に延伸している。また、磁気ヘッドは、第2の空気軸受部30の最も空気流出端側の、最も記録媒体2に近接する部分の中心部に搭載されている。
このようなヘッドスライダ5を搭載したディスク装置1における、記録媒体2の内周側から外周側までのヘッドスライダ5の浮上量の変動を図6に示す。なお、ここで浮上量とは、ヘッドスライダ5に搭載された磁気ヘッドから記録媒体2の表面までの距離のことをいう。
図6に示したように、上述のヘッドスライダ5を用いれば、上述の条件の下で、記録媒体2の内外周における浮上量の変動ΔFHを、約0.5nm以下に抑制することができる(目標浮上量は12nm)。
ここで、本発明の実施の形態におけるディスク装置1のヘッドスライダ5の効果を明確に説明するために、図7および図8に比較例のヘッドスライダ50の構成を示す。比較例のヘッドスライダ50は、前述した本発明の実施の形態のディスク装置1におけるヘッドスライダ5と比較して、第2の空気軸受部60に、第1の腕状部33および第2の腕状部34を有さない点(第2のステップ部61が2つの腕状部に囲まれた窪部となっていない点)が異なる。空気潤滑面の他の部分の構成、すなわち第1の空気軸受部20の構成や、第2の空気軸受部60が第2のステップ部61および正圧発生部62を有していることは前述のヘッドスライダ5と共通している。
このような比較例のヘッドスライダ50を搭載したディスク装置における記録媒体2の内周側から外周側までのヘッドスライダ50の浮上量の変動を図9に示す。
図9に示したように、比較例のヘッドスライダ50を搭載したディスク装置においては、記録媒体2の内周側から外周側にかけて徐々に浮上量が大きくなっており、その変動ΔFHは、約6nmに達している。すなわち、本発明の実施の形態のヘッドスライダ5は、比較例のヘッドスライダ50と比較して、その空気潤滑面の第2の空気軸受部30に第1の腕状部33および第2の腕状部34を設けたことにより、浮上量の変動ΔFHを約6nmから約0.5nmに抑制することが可能となっている。
上述したような本発明の実施の形態のディスク装置1のヘッドスライダ5の浮上量変動ΔFHが抑制されている理由について圧力分布の観点から説明する。
図10(a)に比較例のヘッドスライダ50の外周側における圧力分布図を示し、図10(b)に比較例のヘッドスライダ50の内周側における圧力分布図を示す。また、図11(a)に本発明の実施の形態のヘッドスライダ5の外周側における圧力分布図を示し、図11(b)に本発明の実施の形態のヘッドスライダ5の内周側における圧力分布図を示す。
図10(a)、図10(b)、図11(a)および図11(b)はそれぞれ、ヘッドスライダの空気潤滑面において発生する圧力分布を三次元のグラフで示したものであり、紙面に向かって上側が相対圧力値が正であること(大気圧よりも高い)、下側が相対圧力値が負であること(大気圧よりも低い)を示すものである。
まず、図10(a)および図10(b)に示したように、比較例のヘッドスライダ50においては、その外周側および内周側ともに、その圧力分布に、第1の空気軸受部20によって発生する正圧領域G,Hと第2の空気軸受部60によって発生する正圧領域C,Dとが存在する。
まず、図10(a)および図10(b)を比較すると、比較例のヘッドスライダ50においては、その第1の空気軸受部20によって発生していると考えられる正圧領域Gおよび正圧領域Hそれぞれの圧力分布には大きな相違が見られない。
しかしながら、比較例のヘッドスライダ50の圧力分布において、図10(a)に示した正圧領域Cと図10(b)に示した正圧領域Dとを比較すると、図10(a)に示した正圧領域C、すなわち外周側における正圧領域Cの圧力のピーク値が図10(b)に示した内周側における正圧領域Dの圧力のピーク値よりも高いことが分かる。
これは、一般に回転する記録媒体2上でヘッドスライダ50を浮上させて記録または再生を行う場合に、ヘッドスライダ50と記録媒体2との間に空気が流入する速度(以下、周速と記す)が、記録媒体2の内周側よりも、外周側で速いことに起因すると考えられる。この周速の違いにより、ヘッドスライダ50の浮上量は、その記録媒体2上の位置によって変動するものと考えられる。つまり、比較例のヘッドスライダ50を用いた場合には、外周側での浮上量が内周側での浮上量よりも高くなってしまう可能性が高い。
一方、本発明の実施の形態のディスク装置1におけるヘッドスライダ5の圧力分布において、図11(a)に示した外周側における正圧領域Eと、図11(b)に示した内周側における正圧領域Fとを比較すると、図11(a)に示した外周側における正圧領域Eの圧力のピーク値が、図11(b)に示した内周側における正圧領域Fの圧力のピーク値よりも小さいことが分かる。
このように、本発明の実施の形態のヘッドスライダ5においては、第1の腕状部33および第2の腕状部34を設けて、外周側において第2の空気軸受部30が発生する正の圧力値よりも、内周側において第2の空気軸受部30が発生する圧力値が大きくなるように設計を行ったことによって、内外周における周速の違いによる浮上力の変動を打ち消して内外周における浮上量の変動ΔFHを小さくすることが可能となっている。
ここで、本発明の実施の形態のヘッドスライダ5の第2の空気軸受部30において、記録媒体2の外周側で発生する圧力が記録媒体2の内周側で発生する圧力よりも低くなる理由についてさらに詳細に説明する。
図12は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5の第2の空気軸受部30において発生する圧力について説明するための図であり、図12(a)は、ヘッドスライダ5の空気潤滑面の構成を示す平面図であり、図12(b)は、外周側におけるヘッドスライダ5の第2の空気軸受部30によって発生する圧力分布図であり、図12(c)は、内周側におけるヘッドスライダ5の第2の空気軸受部30によって発生する圧力分布図である。なお、図12(b)および図12(c)においては、第2の空気軸受部30において発生する圧力値の分布が等圧線によって示されている。また、図12(b)および図12(c)においては、それぞれ、圧力Pが大気圧Paと等しくなる等圧線をP=Paとして示している。図12(b)および図12(c)それぞれの図面において、P=Paで示した等圧線よりも紙面に向かって右側の圧力が高くなっており、左側の圧力が低くなっているものとする。
また、図12(a)において、本発明の実施の形態におけるディスク装置1のヘッドスライダ5が記録媒体2上の外周側に位置するときには、図中K方向(4.8°)から空気が流入し、ヘッドスライダ5が記録媒体2上の内周側に位置するときには、図中L方向(−16.3°)から空気が流入するものとする。
まず、図12(b)に示したように、ヘッドスライダ5が記録媒体2上の外周側に位置した場合には、第2の空気軸受部30上において領域Jで示した領域のように、負圧の発生する領域(以下、この領域を負圧発生領域と記す)が存在しており、第2の空気軸受部30の紙面に向かって左側において全体的に圧力が低くなっていることが分かる。一方で、図12(c)に示したように、ヘッドスライダ5が記録媒体2上の内周側に位置する場合には、第2の空気軸受部30の紙面における上下端を除くほぼ全域で正圧が発生しており、前述のような負圧発生領域は存在しない。
このような本発明の実施の形態のディスク装置1におけるヘッドスライダ5が記録媒体2上の外周側に位置する場合の負圧発生領域Jは、図12(a)において示した領域M、すなわち、第1の腕状部33と、第2のステップ部31との境界の部分Mでの負圧の発生に対応すると考えられる。すなわち、ヘッドスライダ5の長手方向の中心軸に対して、空気流入方向Kがなす角度(本実施の形態では4.8°)に対して、第1の腕状部33と第2のステップ部31との境界が前述の中心軸となす角度(本実施の形態では−12°)が小さいために、このような部分Mにおいて負圧が発生するものとなっていると考えられる。すなわち、外周側において、領域Mに着目すると、空気流は空気流入方向Kから入ってくるが、そのとき、第1の腕状部33と対向する記録媒体2との間で圧縮された空気が、より隙間の大きな第2のステップ部31と対向する記録媒体2との間に流出し、このとき、空気流は拡散するので負圧が発生する。
一方で、図12(a)において、ヘッドスライダ5が記録媒体2の内周側に位置する場合には、ヘッドスライダ5の長手方向の中心軸に対して、空気流入方向Lがなす角度(−16.3°)に対して、第1の腕状部33と第2のステップ部31との境界が前述の中心軸となす角度(−12°)よりも大きな角度になっているために、空気流に対して第1の腕状部33と第2のステップ部31との境界領域において正圧が発生するものと考えられる。すなわち、内周側において、領域Mに着目すると、空気流は空気流入方向Lから入ってくるが、そのとき、空気流は第2のステップ部31と対向する記録媒体2との隙間から、より隙間の小さな第1の腕状部33と対向する記録媒体2との間に流れ込み、このとき、空気流は圧縮されるので、正圧が発生する。
以上述べたように、本発明の実施の形態におけるディスク装置1のヘッドスライダ5においては、その外周側に配置された第1の腕状部33の延伸方向αを適宜調整して配置することで、前述の負圧の発生量をディスク装置1のスキュー角Dや回転速度等に応じて調整することが可能となり、内外周における浮上量の変動を抑制することができる。
例えば、前述の条件において、本発明の実施の形態のヘッドスライダ5の第1の腕状部33の延伸方向αを変化させた場合のディスク装置1における内外周での浮上量の変動量ΔFHを図13(a)に示し、第1の腕状部33の延伸方向αの定義を図13(b)に示す。図13(b)に示したように、第1の腕状部33と第2のステップ部31との境界線がなす角度が、第1の腕状部33の延伸方向αであり、ヘッドスライダ5の長手方向の中心線に対して上側(外周側)に向いている場合に延伸方向αが正の値をとり、下側(内周側)に向いている場合に延伸方向αの値が負となる。
図13(a)に示したように、本発明の実施の形態のディスク装置1のヘッドスライダ5においては、第1の腕状部33の延伸方向αを約−12°としたときに、最も浮上量の変動ΔFHを小さくすることができた。
実用的には、12nm程度の浮上量の場合、浮上量の変動を約1.5nm程度の変動に抑制することが望ましい。図13(a)に示した関係によれば、第1の腕状部33の延伸角度αを、−30°以上10°以下とすることによって、浮上量の変動を約1.5nm程度に抑制することが可能となる。さらに望ましくは、12nm程度の浮上量の場合、浮上量の変動ΔFHを1nm程度の変動に抑制することが望ましい。図13(a)に示した関係によれば、第1の腕状部33の延伸角度αを、−20°以上0°以下とすることによって、浮上量の変動を1nm程度に抑制することが可能となる。
検討によれば、図13(a)に示した角度定義において、第1の腕状部33の延伸方向αを、ヘッドスライダ5の記録媒体2における外周側の空気流入方向Kよりも小さく、かつ、内周側の空気流入方向Lよりも大きくなるように配置することによって、上述するような負圧を発生させることが可能となった。
すなわち、第1の腕状部33の延伸方向を、外周側の空気流入方向Kよりも大きくした(正の方向に向けた)場合には、図12(a)に示した領域Mにおける図12(b)の負圧発生領域Jが発生せず、領域Mの部分では正圧が発生してしまう。一方、第1の腕状部33の延伸方向αを、内周側の空気流入方向Lよりも小さく、すなわちさらに内周側(負の方向)に向けた場合には、内周側においてもヘッドスライダ5の領域Mにおいて前述の負圧発生領域Jが発生してしまい、ヘッドスライダ5の内周側における浮上量が低下してしまう。よって、第1の腕状部33の延伸方向を、ヘッドスライダ5の記録媒体2における外周側の空気流入方向Kよりも小さく、かつ、内周側の空気流入方向Lよりも大きくなるように配置することによって、外周側において、前述の領域Mにおける負圧を発生させることが可能となる。
例えば、本発明の実施の形態におけるディスク装置1においては、ディスク装置1の外周側のスキュー角DOが4.8°であり、内周側のスキュー角DIが−16.3°であるので、第1の腕状部33の遠心方向αを、
−16.3°<α<4.8°
の関係とすることにより、内外周におけるヘッドスライダ5の浮上量変動ΔFHを抑制できる。
また、検討によれば、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5の第1の腕状部33の幅Cを変化させることによっても、記録媒体2の内外周における浮上量の変動ΔFHを調整することが可能であることが分かった。
図14を用いて説明する。図14(a)は、本発明の実施の形態のディスク装置1のヘッドスライダ5における、第1の腕状部33の幅Cの定義を示す図であり、図14(b)は、第1の腕状部33の幅Cを変化させた場合のヘッドスライダ5の記録媒体2上の内外周における浮上量の変動ΔFHを示した図である。
図14(a)に示したように、第1の腕状部33の延伸方向αに沿った方向に直行する方向の幅Cと、同じ方向で比較した第2のステップ部31の幅を半分にした値Aとの和をBとする。また、第1の腕状部33および第2の腕状部34の延伸方向は、前述のように、それぞれ−12°、−30°であるとする。
このような条件の下で、図14(b)に示したように、A/Bの値が0.67であるときに、上述の浮上量の変動ΔFHが0.5nmとなり、最も小さい値となった。
実用的に、目標浮上量が12nmであって、その変動ΔFHが1.5nm以内という要求を鑑みると、
0.3≦A/B≦0.9
の関係にあるときに、1.5nm以内に内外周における浮上量変動を抑制することができる。
さらに、望ましくは、目標浮上量が12nmであって、その変動ΔFHが1nm以内という要求を鑑みると、
0.4≦A/B≦0.85
の関係にあるときに、1nm以内に内外周における浮上量変動を抑制することができる。
これは、第1の腕状部33の幅Cが広すぎると、第1の腕状部33と外周側の第2のステップ部31との境界の領域(領域O)で正圧が発生しすぎてしまって、前述の領域Mで発生する負圧を打ち消してしまうので、ヘッドスライダ5の外周側での浮上量が大きくなってしまい、逆に幅Cが狭すぎると領域Oにおいて正圧が充分発生しないために外周側での浮上量が小さくなりすぎてしまうためだと考えられる。
上述したように、本発明の実施の形態におけるディスク装置1のヘッドスライダ5の内周側および外周側におけるスキュー角Dの違いに応じて、適宜第1の腕状部33の延伸方向αおよびその幅Cを適切に設計することにより、最も浮上量の変動ΔFHの小さいヘッドスライダ5を得ることが可能となる。
さらに、本発明の実施の形態のディスク装置1において、最適な条件に設計されたヘッドスライダ5は、その耐衝撃性も比較例のヘッドスライダ50に対して向上することが分かった。
図15は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5と比較例のヘッドスライダ50との耐衝撃性を比較した結果を示す図である。図15は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5の使用時の耐衝撃値(何Gまでの衝撃に耐えて信号を読み出すまたは書き込むことができるか)を100%として、比較例のヘッドスライダ50の耐衝撃値を相対値(%)で示したものである。
図15に示したように、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5を用いれば、比較例のヘッドスライダ50と比較して、約25%の耐衝撃性向上を図ることが可能である。
これは、一般のヘッドスライダにおいては、図10(a)および図10(b)に示したように、内周側におけるヘッド周辺(領域D)において記録媒体2との間に生じる圧力が、流速の速い外周側におけるヘッド周辺(領域C)の圧力よりも低くなっており、ディスク装置1に落下等の外乱が加わった場合、周速の低い内周側においてヘッドスライダと記録媒体2とが衝突する可能性が高い。これに対して、本発明の実施の形態のヘッドスライダ5においては、図11(a)および図11(b)に示したように、内周側におけるヘッド周辺(領域F)の圧力を、外周側におけるヘッド周辺(領域E)の圧力よりも高くすることができるので、周速の低い内周側におけるヘッドスライダ5と記録媒体2との衝突の可能性を低くすることができるためと考えられる。
また、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダ5の第2の腕状部34の延伸方向(第2の腕状部34と第2のステップ部31との境界線の方向)を、外周側および内周側における空気流入角度K,Lそれぞれに対して小さくなるように設計しておくことにより、必要な浮上量を得るための正圧を第2の腕状部34と第2のステップ部31との境界において得ることができる。すなわち、第2の腕状部34については、内周側での空気流入方向Lに対して正圧が発生する角度、すなわち、本発明の実施の形態においては、ヘッドスライダ5の長手方向に対して−16.8°よりも小さな角度をなすように構成しておけばよい(本実施の形態においては−30°の例を示している)。このように構成することによって、第2の腕状部34と第2のステップ部31との間においては、記録媒体2上の内周側から外周側の全域にかけて正圧を発生させることができるので、高い耐衝撃性を実現することができる。
以上述べたように、本発明の実施の形態のヘッドスライダ5を用いてディスク装置1を構成すれば、12nmという低浮上量を実現しながら、記録媒体2の内外周における浮上量の変動を最小0.5nmに抑制し、かつ、高い耐衝撃性を実現することが可能となる。
なお、本実施の形態においては、ヘッドスライダの浮上特性について、回転数:3600r/m等の所定の条件における検討結果にもとづいて説明したが、本発明のヘッドスライダは、その使用の際の回転数、荷重、ヘッドスライダの大きさ等に限定されるものではない。例えば、本発明のヘッドスライダは、実用的に磁気ディスク装置に用いられる回転数領域の全域において良好な耐衝撃性を示すことはいうまでもない。また、本発明のヘッドスライダは、小型磁気ディスク装置において一般的に用いられる、2000〜5000r/m程度の比較的低い回転数においても、上述したような良好な耐衝撃性を示すことが可能である。
また、本実施の形態においては、いわゆるPICOスライダを例として説明を行ったが、本発明のヘッドスライダはその大きさに限定されない。一例として、長手方向長さ×短手方向長さ=0.85mm×0.7mmの大きさ(いわゆる20%スライダまたはFEMTOスライダ)を用いても同様の効果を得ることが可能である。
さらに、本発明のヘッドスライダは、使用時の荷重に限定されるものではない。一例としては、前述のPICOスライダまたはFEMTOスライダを用いた場合、約0.5gから2.5gまでの荷重において使用することが可能である。
なお、本発明のヘッドスライダはその第1の空気軸受部20の形状をなんら限定するものではない。例えば、本実施の形態のヘッドスライダ5においては、図4および図5に示したように、第1の空気軸受部20のサイドレール部22の形状がヘッドスライダ5の短手方向の周辺部で空気流出端側方向に折れ曲がった形状である場合を示したが、本発明のヘッドスライダはサイドレール部22の形状をなんら限定するものではない。さらに、サイドレール部22を有する構成とすれば、ロール方向の衝撃に強い構成を実現できるが、サイドレール部22が存在しないものについても本発明のヘッドスライダに含まれることはいうまでもない。
また、本実施の形態においては、磁気ディスク装置を例として説明を行ったが、本発明のディスク装置は磁気ディスク装置に限定されず、例えば、光磁気ディスク装置や光ディスク装置等の浮上型のヘッドスライダを用いるディスク装置をも含むことはいうまでもない。
本発明にかかるディスク装置、ヘッドスライダおよびヘッド支持装置を用いれば、高い耐衝撃性および低浮上量を実現しながら、記録媒体の内外周における浮上量の変動を抑制することのできるディスク装置、ヘッドスライダおよびヘッド支持装置を提供できるという効果を有し、浮上型のヘッドスライダを用いた磁気ディスク装置等のディスク装置、ヘッドスライダおよびヘッド支持装置等として有用である。
本発明の実施の形態におけるディスク装置の要部斜視図 本発明の実施の形態におけるディスク装置に搭載されるヘッド支持装置の要部斜視図 本発明の実施の形態におけるディスク装置のスキュー角の定義を説明するための図 本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの空気潤滑面の形状を示す斜視図 本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの空気潤滑面の形状を示す平面図 本発明の実施の形態のディスク装置における記録媒体の内周側から外周側までのヘッドスライダの浮上量の変動を示す図 本発明の実施の形態における比較例のヘッドスライダの空気潤滑面の形状を示す斜視図 本発明の実施の形態における比較例のヘッドスライダの空気潤滑面の形状を示す平面図 本発明の実施の形態における比較例のヘッドスライダを搭載したディスク装置における記録媒体の内周側から外周側までのヘッドスライダの浮上量の変動を示す図 (a)は、本発明の実施の形態における比較例のヘッドスライダの外周側における圧力分布図(b)は、本発明の実施の形態における比較例のヘッドスライダの内周側における圧力分布図 (a)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの外周側における圧力分布図(b)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの内周側における圧力分布図 (a)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの空気潤滑面の構成を示す平面図(b)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの外周側における第2の空気軸受部によって発生する圧力分布図(c)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの内周側における第2の空気軸受部によって発生する圧力分布図 (a)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの第1の腕状部の延伸方向を変化させた場合の内外周での浮上量の変動量を示す図(b)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの第1の腕状部の延伸方向の定義を説明する図 (a)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの第1の腕状部の幅の定義を示す図(b)は、本発明の実施の形態におけるヘッドスライダの第1の腕状部の幅を変化させた場合の記録媒体上の内外周における浮上量の変動量を示す図 本発明の実施の形態におけるヘッドスライダと比較例のヘッドスライダとの耐衝撃性を比較した結果を示す図
符号の説明
1 ディスク装置
2 記録媒体
3 主軸
4 駆動手段
5,50 ヘッドスライダ
6 サスペンション
7 ヘッド支持装置
8 アクチュエータアーム
9 アクチュエータ軸
10 回動手段
11 筐体
12 スライダ保持部
13 舌状部
14 ビーム
15 ピボット
20 第1の空気軸受部
21 第1のステップ部
22 サイドレール部
30,60 第2の空気軸受部
31,61 第2のステップ部
32,62 正圧発生部
33 第1の腕状部
34 第2の腕状部
40 負圧発生部

Claims (10)

  1. 回転するディスク状の記録媒体と、
    前記記録媒体との間に流入する空気流によって浮上し、記録トラックに対して前記記録媒体の内外周で異なるスキュー角をなした状態で使用される、空気流入端側に設けられた第1の空気軸受部と空気流出端側に設けられた第2の空気軸受部とを有するヘッドスライダとを備えたディスク装置であって、
    前記ヘッドスライダの前記第2の空気軸受部は、最も空気流出端側に設けられた正圧発生部と、前記正圧発生部の両端部から空気流入端方向にそれぞれ延伸する、第1の腕状部および前記第1の腕状部よりも内周側に設けられた第2の腕状部を有し、
    前記ヘッドスライダを前記記録媒体上の外周側で使用した場合に前記第2の空気軸受部が発生する圧力よりも、前記ヘッドスライダを前記記録媒体上の内周側で使用した場合に前記第2の空気軸受部が発生する圧力が高くなるように、前記ヘッドスライダの前記第1の腕状部および前記第2の腕状部それぞれの延伸方向を配置したことを特徴とするディスク装置。
  2. 前記ヘッドスライダが前記記録媒体上の外周側において使用される場合に、前記第1の腕状部と、前記第1の腕状部、前記第2の腕状部および前記正圧発生部に囲まれた窪部との間で発生する圧力が、前記記録媒体上の内周側において使用される場合に前記第1の腕状部と前記窪部との間で発生する圧力よりも低くなるように前記第1の腕状部の延伸方向を配置したことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
  3. 前記ヘッドスライダの前記第1の空気軸受部に一対のサイドレール部を有することを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
  4. 前記一対のサイドレール部、前記第1の腕状部、前記第2の腕状部および前記正圧発生部がベース面から同じ高さに設けられていることを特徴とする請求項3に記載のディスク装置。
  5. 前記ヘッドスライダに対して、前記第1の空気軸受部および前記第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から所定の付勢力を付与するサスペンションを有するヘッド支持装置を
    備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
  6. 前記サスペンションは、前記ヘッドスライダに対して前記所定の付勢力を付与するピボット部を有することを特徴とする請求項5に記載のディスク装置。
  7. 前記記録媒体を回転駆動させる駆動手段と、
    前記ヘッド支持装置を前記記録媒体の半径方向に回動させる回動手段と、
    前記駆動手段の回転駆動および前記回動手段の回動を制御する制御手段とを備えたことを特徴とする請求項1に記載のディスク装置。
  8. 前記ヘッド支持装置の前記ピボット部と前記ヘッドスライダとが接する位置をピボット位置としたとき、
    前記ヘッドスライダの重心位置と前記ピボット位置とを前記記録媒体面に対して投影した位置が実質的に一致することを特徴とする請求項に記載のディスク装置。
  9. 回転するディスク状の記録媒体との間に流入する空気流によって浮上し、記録トラックに対して前記記録媒体の内外周で異なるスキュー角をなした状態で使用される、空気流入端側に設けられた第1の空気軸受部と空気流出端側に設けられた第2の空気軸受部とを備えたヘッドスライダであって、
    前記ヘッドスライダの前記第2の空気軸受部は、最も空気流出端側に設けられた正圧発生部と、前記正圧発生部の両端部から空気流入端方向にそれぞれ延伸する、第1の腕状部および前記第1の腕状部よりも内周側に設けられた第2の腕状部を有し、
    前記ヘッドスライダを前記記録媒体上の外周側で使用した場合に前記第2の空気軸受部が発生する圧力よりも、前記ヘッドスライダを前記記録媒体上の内周側で使用した場合に前記第2の空気軸受部が発生する圧力が高くなるように、前記ヘッドスライダの前記第1の腕状部および前記第2の腕状部の延伸方向を配置したことを特徴とするヘッドスライダ。
  10. 請求項9に記載のヘッドスライダと、
    前記ヘッドスライダに対して、前記第1の空気軸受部および前記第2の空気軸受部が設けられた側と反対側から所定の付勢力を付与するサスペンションとを備えたことを特徴とするヘッド支持装置。
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