JP4063128B2 - 車両用制動圧制御装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は車両用制動圧制御装置、特に緊急時の自動ブレーキ及びその解除に関する。
【0002】
【従来の技術】
運転者は、衝突の可能性等を感じた場合にはブレーキペダルを踏み込み車両を減速させるが、一般にこのような緊急時には最大の制動力が必要であるにもかかわらずブレーキペダルの踏み込み量が十分でないため所望の減速度が得られない場合がある。そこで、このような場合にも緊急状態と判定して運転者のブレーキ操作量によらず最大制動力が得られるようにブレーキ液圧(制動液圧)を調整する自動ブレーキ装置が提案されている。
【0003】
例えば、特開昭60−38238号公報に開示された自動車の制動装置においては、ブレーキの操作速度が設定値以上のときには緊急時と判定して通常時より制動液圧を増大させ、最大制動力が得られるような構成を提案している。これによれば、同一のブレーキ操作で緊急時の停止距離をより短くできる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術においては、急ブレーキ操作で制動液圧が最大液圧まで増圧され、ブレーキ戻し操作により中止する、いわばフルブレーキのON/OFFの二値的制御であるので、特にブレーキ戻し操作側において車両停止直前の運転者による微妙な車速制御が不可能であり、停止距離を車両運転者の自由意志で調整できない問題がある。
【0005】
また、車両運転者のブレーキ戻し操作を検出してフルブレーキOFF制御する構成でも、アクチュエータの応答遅れがあるためブレーキペダルから完全に足を離してもなお制動液圧が残る可能性があり、停止時にショックが生じるおそれもあった。
【0006】
本発明は上記従来技術の有する課題に鑑みなされたものであり、その目的は従来と同様に緊急時のブレーキ踏み込み量が不十分であっても最大の制動力が得られて安全に停止することができるとともに、ブレーキ戻し操作においても微妙な制御が可能で停止位置等を調整可能な車両用制動圧制御装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、車両運転者のブレーキ操作を検出する操作検出手段と、検出されたブレーキ操作が緊急状態であるか否かを判定する判定手段と、緊急状態と判定された場合に制御増圧分を加えることによりブレーキ駆動用の制動液圧を運転者のブレーキ操作量に比例して最大圧力まで増圧させるとともに、ブレーキ操作量が0となる前の所定値で前記制動液圧の前記制御増圧分が0となるように、運転者のブレーキ戻し操作量に比例して制動液圧を減圧させる圧力制御手段と、を有することを特徴とする。
【0008】
また、本発明は、前記圧力制御手段は、前記制御増圧分について増圧時のブレーキ操作量に対する変化の勾配よりも減圧時のブレーキ戻し操作量に対する変化の勾配を小さく設定することを特徴とする。
【0009】
た、本発明は、前記圧力制御手段が運転者のブレーキ戻し操作を検出した時に制動液圧の減圧を開始することを特徴とする。
【0010】
さらに、本発明は、運転者のブレーキ戻し速度を検出する検出手段を備え、前記圧力制御手段はブレーキ戻し速度が大きい程、前記制御増圧分について減圧時のブレーキ戻し操作量に対する変化の勾配を大きく設定することを特徴とする。
【0011】
発明においては、従来のようにON/OFF的制御ではなく、緊急状態が検出された場合においても、制御増圧分を加えることにより、運転者のブレーキ操作量に応じて制動液圧を最大圧力まで増圧させ、かつ、ブレーキ戻し時においても最大液圧から通常のブレーキ操作の液圧まで急峻に減圧させるのではなく、運転者のブレーキ戻し操作量に応じて減圧させる。これにより、制動液圧の変化に連続性を持たせ、運転者によるブレーキ制御性を確保できる。
【0013】
また、本発明においては、ブレーキ戻し操作時の方がブレーキ踏み込み操作時に比べて運転者による制御性が重視される(逆に言えば、ブレーキ踏み込み時には制御性よりも緊急性が要求される)ことに鑑み、圧力制御手段による減圧時、すなわちブレーキ戻し操作時の制御増圧分についての減圧の勾配を増圧時に勾配に比べて小さく設定する。これにより、ブレーキ戻し時の制動液圧の変化は増圧時の変化に比べて緩やかなものとなり、運転者はブレーキ戻し量の微妙な調節により停止直前の車両の速度を調整可能となる。
【0014】
また、本発明においては、運転者のブレーキ戻し操作を検出したときに制動液圧の減圧を開始させる。この場合にも、制動液圧は運転者のブレーキ戻し操作量に応じて変化するため、より運転者のブレーキペダル操作を反映した制動液圧変化が得られることになる。
【0015】
また、本発明においては、制動液圧の減圧時の減少勾配をブレーキ戻し速度に応じて変化させ、ブレーキ戻し速度が大きいほど減圧時の減少勾配を大きく設定する。これにより、運転者のブレーキペダル操作をより反映した制動液圧制御が得られ、停止直前の車両の走行制御が容易となる。
【0016】
【実施の形態】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態(実施例)について説明する。
【0017】
第1実施例
図1には本実施例の構成ブロック図が示されている。運転者によるブレーキペダルの踏み込み量や踏み込み速度等を検出するブレーキ操作検出手段1が設けられ、その検出信号は緊急操作判定手段2に供給される。緊急操作判定手段2ではブレーキ操作検出手段1からの検出信号に基づき緊急状態か否かを判定する。この緊急状態判定については、本願出願人が先に提案した特願平6−172649号に詳述されており、例えば運転者によるブレーキの踏み込み力BFと所定のしきい値を比較し、所定のしきい値以上のときに緊急状態と判定することができる。また、踏み込み速度d(BF)/dtをしきい値と比較することによっても緊急度の判定は可能であり、運転者がアクセルペダルを離してからブレーキペダルを踏み込むまでの踏み替え時間を所定のしきい値と比較することによっても緊急状態の判定は可能である。緊急操作判定手段2による判定結果はブレーキ制御液圧演算手段3に供給される。ブレーキ制御液圧演算手段3はこの判定結果及び車速検出手段6からの検出車速に基づきブレーキ液圧(制動液圧)を決定し、制御信号を制動液圧制御手段4に供給する。制動液圧制御手段4では、この演算結果に基づいて車輪ロック防止機構(ABS)付きブレーキ5を駆動して緊急時のブレーキ操作を行う構成である。
【0018】
図2には本実施例におけるブレーキ制御液圧演算手段3及び制動液圧制御手段4の具体的な構成が示されている。ブレーキペダル10に連動して通常のブレーキ系統(ア)及び制御増圧分を用いる場合の増圧制御系統(イ)の2系統が設けられており、これらをチェンジバルブ16で適宜切り替える構成である。通常のブレーキ系統(ア)には油圧センサ12が設けられ、運転者のブレーキペダル10の操作量及び戻し操作量が検出され、コントローラ22に供給される。一方、増圧制御系統(イ)には増圧機構14が設けられ、コントローラ22からの制御信号に応じて制動液圧を調整し、緊急時のフルブレーキを行う。なお、チェンジバルブ16の後段にはアンチロックブレーキシステム(ABS)18及び車輪20が設けられる。
【0019】
なお、コントローラ22には車速センサ26及び加速度センサ24からの検出信号が供給されるが、車速センサ26は図1における車速検出手段6に相当し、一方、加速度センサ24からの検出信号は緊急度判定に用いられる。すなわち、上述したようにブレーキ踏み込み強さや踏み込み速度等によって緊急状態か否かを判定できるが、車両運転者がブレーキペダルを操作して減速が開始され、所定の減速度が得られるまでの時間によっても緊急状態か否かを判定することが可能であり、コントローラ22はこの加速度センサ24からの検出信号に基づいて緊急状態か否かを判定する。要約すると、図2においてはコントローラ22が図1における緊急操作判定手段2及びブレーキ制御液圧演算手段3に相当し、増圧機構14及びチェンジバルブ16が制動液圧制御手段4に相当する。
【0020】
3には本実施例における処理フローチャートが示されている。本実施例では、緊急操作判定手段2により緊急状態と判定されると、ブレーキ制御液圧演算手段3が制動液圧(以下制動油圧という)を演算する。本実施例においては車速検出手段6は設けられておらず、運転者のブレーキ操作量に応じて制動油圧が決定される。すなわち、まずドライバの操作を検出して緊急状態か否かを判定し、緊急状態であると判定された場合にはブレーキ制御演算に移行するが、このブレーキ制御演算においては、まず増圧制御開始時におけるブレーキ操作油圧x1を検出し、これを記憶する(S301)。そして、現在の運転者の操作油圧がどの範囲にあるかを判定する(S302)。そして、ブレーキ操作油圧xがあらかじめ設定された操作油圧値x2(x2>x1)に対しx2>x>x1の場合には、運転者のブレーキ操作量に応じて制動油圧を
(数1)
y={(Pmax −x1)/(x2−x1)}・(x−x1)+x1…(2)
により決定する(S303)。なお、Pmax は最大油圧である。この式から明らかなように、運転者のブレーキ操作油圧xがx1とx2の間にある場合には、コントローラ22はこの運転者の操作油圧xに応じて増分制御による制動油圧を増圧させ、運転者のブレーキ操作油圧がx2に達した場合に最大値Pmax となるように増圧させる。そして、運転者の操作油圧xが設定値x2以上となった場合には、コントローラ22はこの最大値Pmax を維持し(S304)、運転者がブレーキ戻し操作を開始して操作油圧xが再びx1以下となった場合には制動油圧yの増圧分を0として制動油圧y=xにする(S305)。なお、制動油圧を減圧する開始タイミングは、運転者の操作油圧が設定値x2となった時である。
【0021】
図4には本実施例における運転者の操作油圧x及び制動油圧yの時間変化が示されている。車両運転者は0→P→Q→R→S→T→Uのごとくブレーキ操作を行うが、P点において操作油圧がx1に達し、この地点からコントローラ22は増分制御により制動油圧を増大させ、運転者の操作油圧xがx2に達するQ点において制動油圧は最大値Pmax に達する。もちろん、このP→Qにおける制動油圧は、所定のゲインで急峻に増圧されるのではなく、運転者の操作油圧xに応じた勾配で増圧されることになる。Q→Rにおいては運転者はブレーキを操作し続けるが、操作油圧xはx2以上であるので、コントローラ22は制動油圧yを最大値Pmax に維持し続ける。R点において運転者はブレーキ戻し操作を開始するが、コントローラ22はこの地点では制動油圧を減圧せず、最大値Pmax を維持する。そして、車両運転者による戻し操作が継続し、操作油圧xが再びx2に達したS点でコントローラ22は制動油圧の減圧を開始し、操作油圧xがx1に達した時点で制動油圧がx1となるように運転者の操作油圧に応じて減圧する。このように、増圧時及び減圧時において運転者の操作油圧に応じてゲイン(勾配)を決定するため、図4(B)に示されるように増圧時(P→Q)及び減圧時(S→T)が共に同じゲイン(勾配)で制動油圧が増減することになる。
【0022】
このように、本実施例においては運転者のブレーキ操作に基づいて比例的に制動油圧を決定するため、運転者にとって違和感がなく、さらに、図5のように緊急状態と判定された後に運転者がすぐにブレーキを戻す事態(P→W→P´)が生じた場合においても、運転者の意志に反してフルブレーキが行われることがなく、システムの信頼性がより向上する。なお、図5(A)における斜線部が増圧機構14によるアシスト分(制動油圧から操作油圧を減算した場合の差分)を示しており、この場合の制動油圧の最大値C´はPmax より小さい。
【0023】
第2実施例
図6には本実施例の処理フローチャートが示されている。上述した第1実施例においては、運転者のブレーキ操作量に応じて制動油圧を増減制御したが、本実施例においては、さらにブレーキ操作時の増圧の勾配とブレーキ戻し操作時の減圧の勾配を変え、ブレーキ戻し時の減圧をより滑らかにして運転者の制御性を向上させる。なお、本実施例の基本構成は第1実施例と同様である。
【0024】
図6において、まずコントローラ22は増分制御開始時の操作油圧x1を記憶する(S401)。そして、制御開始後の運転者のブレーキ操作油圧の最大値xmを算出し記憶する(S402)。この算出は、前回までの最大値と今回検出された油圧の大小比較を行い、今回検出された油圧が前回までの最大値より大きい場合には新たに最大値を更新することにより求められる。そして、運転者のブレーキ操作油圧xが増加したか否かが判定される(S403)。この判定は1制御周期前の運転者操作油圧と今回検出された運転者操作油圧の大小比較により行われ、運転者の踏み込み/踏み戻しを検出するための処理である。運転者がブレーキペダルを踏み増ししている場合には、xは増加するのでYESと判定され、次にフラグflagの値がチェックされる(S406)。このフラグflagは初期値においては0にセットされており、踏み増し時にはこの初期値のままflag=0である。
【0025】
一方、運転者が踏み戻してxが減少している場合には、次にS402にて得られた運転者による操作油圧の最大値xmと所定値x2との大小比較が行われる(S404)。このx2は上述した第1実施例と同様に制動油圧を最大値Pmax とするときの運転者のブレーキ操作油圧であり、x2>x1である。そして、運転者の操作油圧の最大値xmがx2以下の場合、すなわち制動油圧が最大値Pmax となるまで運転者がブレーキを操作せずに踏み戻した場合には、フラグflagの値は同様に0に維持したままS406の処理に移行する。また、xmがx2以上である場合、すなわち制動油圧が最大値Pmax となるまで運転者がブレーキを操作し、その後運転者のブレーキ踏み戻しが生じた場合には、フラグflagの値を0から1にセットする(S405)。そして、S406の処理に移行する。
【0026】
フラグflag=0の場合、すなわち運転者がブレーキを踏み増ししている場合、あるいは制動油圧が最大値Pmax となる前に運転者が踏み戻しした場合には、次にブレーキ操作油圧xがどの範囲にあるかが判定される(S407)。すなわち、操作油圧xと所定値x1、x2との大小比較が行われ、x2>x>x1の場合には上述した第実施例と同様に運転者のブレーキ操作量に応じて
(数2)
y={(Pmax −x1)/(x2−x1)}・(x−x1)+x1…(3)
により制動油圧yを決定する(S408)。また、x≧x2の場合には、コントローラ22は制動油圧を最大値Pmax に維持する(S409)。また、x≦x1の場合、すなわちコントローラ22が増圧制御を開始する操作油圧x1より小さい場合には、制動油圧yをy=xとして通常のブレーキ特性に移行する(S410)。
【0028】
方、フラグflag=1の場合、すなわち制動油圧が最大値Pmax となった後に運転者がブレーキ踏み戻し操作を行った場合には、同様にして操作油圧xの値がどの範囲にあるかが判定され(S411)、x2>x>x3の場合には、運転者のブレーキ操作量に比例した制動油圧
(数3)
y={(Pmax −x3)/(x2−x3)}・(x−x3)+x3
…(4)
により減圧制御を行う(S412)。ここで着目すべきは、x3は増圧制御開始時の運転者のブレーキ操作油圧x1より小さい操作油圧(x3<x1)であり、これによりブレーキ戻し操作時の減圧制御のゲイン(勾配)は増圧時のゲイン(勾配)より小さく設定される。なお、x≧x2の場合には、S409と同様にコントローラ22は制動油圧yを最大値Pmax に維持(S413)、x≦x3の場合には、通常のブレーキ特性に復帰すべく制動油圧yをy=xとする(S414)。
【0029】
図7には本実施例における運転者のブレーキ操作油圧及び制動油圧の時間変化が示されている。運転者は上述した第1実施例と同様に0→P→Q→R→S→T→Uのようなブレーキ操作を行い、R→S→T→Uがブレーキ踏み戻し操作に対応している。P→Q間は第1実施例と同様に運転者のブレーキ操作油圧に比例して制動油圧が増圧され、Qにて最大値Pmax となる。また、Q→R→S間においてはコントローラ22は制動油圧を最大値Pmax に維持する。そして、運転者のブレーキ操作油圧がQと同一のSに達したときにコントローラ22は制動油圧yを減圧させるが、本実施例では第1実施例と異なり増圧開始時の運転者のブレーキ操作油圧x1より小さい値の操作油圧x3で制動油圧yがx1となるようにゲインを小さく設定して減圧を行う。図7(B)により、P→Q間のゲイン(勾配)に比べS→T間のゲインがより小さく、ゆるやかな変化を示すことが明らかであろう。
【0030】
このように、本実施例においてはブレーキ踏み増し時には緊急性が重視されるため迅速に最大油圧まで制動油圧を増圧する一方、ブレーキ踏み戻し操作時においては運転者の制御性を重視して急に最大値から通常ブレーキ特性に復帰する違和感を防止すべく減圧の勾配を小さく設定する。従って、本実施例によれば緊急状態における安全性を確保しつつ、運転者によるブレーキ制御性の向上を図ることができる。
【0031】
第3実施例
上述した第2実施例においては、ブレーキ戻し操作側の減圧の勾配を増圧時の勾配よりも小さく設定したが、本実施例においてはさらに減圧時の勾配を小さく設定する例を示す。なお、基本構成は第2実施例と同一である。
【0032】
図8には本実施例の処理フローチャートが示されている。処理の流れはほぼ図6に示す第2実施例の処理と同様であるが、フラグflag=1の場合の処理が若干異なっている。すなわち、S505でフラグflagを1にセットした後、その時の運転者のブレーキ操作油圧すなわち運転者がブレーキ戻し操作を開始した時の操作油圧x4を記憶する(S506)。次に、S507にてフラグflagの値をチェックし、flag=1の場合には、図6におけるS411の処理と同様に操作油圧xの値がどの範囲にあるかを判定する(S512)。そして、x4>x>x3の場合には、コントローラ22は制動油圧yを
(数4)
y={(Pmax −x3)/(x4−x3)}・(x−x3)+x3
…(5)
とする(S513)。この式から明らかなように、コントローラ22は運転者がブレーキ戻し操作を開始した時点から減圧制御を開始し、運転者のブレーキ操作油圧がx3になったときに制動油圧yをとする減圧制御を行う。上述した第2実施例においては、図7に示されるように運転者の操作油圧がx2となるS点においてコントローラ22は減圧制御を開始するが、本実施例においては図9に示されるように運転者がブレーキ戻し操作を開始するR点において減圧制御を開始する。従って、図9(B)に示されるようにR→T間の制動油圧は第2実施例の場合に比べてより緩やかな変化となり、運転者のブレーキ戻し操作時の制御性がより向上する。なお、本実施例においても、あくまで運転者の操作量に比例して減圧制御が行われることに留意すべきである。
【0033】
第4実施例
上述した第1、第2及び第3実施例においては、緊急時において、運転者のブレーキ操作及びブレーキ戻し操作に応じてコントローラ22が増圧制御及び減圧制御をする構成を示したが、本実施例においてはブレーキ戻し操作時の戻し速度に応じて減圧制御を調整する例を示す。上述した各実施例から明らかなように、ブレーキ戻し操作時の減圧の勾配を小さく、具体的には減圧制御開始時を運転者のブレーキペダルOFFのタイミングに近付けるほど、運転者がゆっくりブレーキ戻し操作を行った場合の制御性は向上する。しかしながら、運転者がすばやい戻し操作を行った場合には、制動液圧制御手段4の応答遅れにより、場合によっては運転者がブレーキペダルを完全に戻したにもかかわらず制動油圧の増圧分が残存してしまう可能性がある。そこで、本実施例においては、このような事態を防ぐべく運転者のブレーキ戻し操作時の速度を検出し、その速度が大きいほど減圧の勾配を大きくして減圧制御を迅速に行う。
【0034】
図10には本実施例における処理フローチャートが示されている。処理の流れは、第2実施例を示す図6及び第3実施例を示す図8とほぼ同様であるが、フラグflagが1にセットされた場合の処理が若干異なっている。すなわち、図10においても図8と同様にフラグflagを1にセットした後に運転者のブレーキ戻し操作時の操作油圧x4を記憶する(S606)。そして、第3実施例と同様に(5)式に応じて減圧制御を行うが、増圧分の油圧=0(制動油圧y=操作油圧x)とする操作油圧x3をS613に示されるように戻し操作時の速度dx/dtに応じて決定する。すなわち、ブレーキ戻し操作時の速度が大なるほど、x3は大きく設定される。ここで、x3が大きく設定されるということは、すなわち運転者のブレーキ戻し操作時点Rにより近いタイミングで減圧制御が完了し、通常ブレーキ特性に戻ることを意味している。このようにしてx3が設定された後は、第3実施例と同様の処理が行われる。
【0035】
本実施例によれば、ブレーキ戻し操作時における減圧制御のゲインを戻し操作速度に応じて変化させるため、運転者がすばやい戻し操作を行った場合においても、ブレーキペダルが完全にOFFとなった後に増圧分の油圧が残存する事態を確実に防ぐと共に、戻し操作時におけるブレーキ制御性を確保することができる。
【0036】
実施例
上述した第4実施例においては、ブレーキ戻し操作時の減圧の勾配を戻し速度に応じて可変とする構成を示したが、ブレーキ操作時の増圧の勾配をブレーキ操作速度に応じて可変とすることも考えられる。本実施例においてはこのように増圧時のゲインをブレーキ操作速度に応じて、すなわちより緊急度の高い場合にはより大きなゲインで急峻に最大油圧まで増圧させる例を示す。
【0037】
図11には本実施例における処理フローチャートが示されている。まず、ブレーキペダルを操作した後に生ずる減速度が所定の減速度に達するまでの時間により緊急か否かを判定する(S701)。加速度センサ24で検出された減速度が所定の減速度に達するまでの時間が所定のしきい値以下である場合には、緊急と判定されるが、この時の時刻tG を記憶する(S702)。そして、この所定の減速度Gthが得られるまでの時刻tG に応じて制動油圧が最大値Pmax に達するまでの操作油圧x2を決定する。具体的には、S703に示されるように、時間tG が小さいほど最大値に達する操作油圧x2を小さく設定し、より急峻に制動油圧を最大値まで増圧する。これにより、運転者がすばやくブレーキペダルを操作し、より緊急度の高い状況においてはより急峻に制動油圧を最大値まで増圧させることが可能となる。
【0038】
以上本発明の各実施例について説明したが、これら各実施例の構成に加え、車両の走行路の勾配を検出するセンサを新たに設け、勾配に応じて増圧時及び減圧時のゲインを可変とすることも考えられる。すなわち、車両が上り坂を走行している場合には、増圧時及び減圧時の圧力変化の勾配をより小さく設定し、逆に下り坂を走行している場合には、その圧力変化の勾配を大きく設定する。これにより、走行路に応じた緊急ブレーキ特性が得られることとなり、システムの信頼性がより向上する。
【0039】
また、各実施例においては運転者のブレーキ操作検出手段1として油圧センサ12と加速度センサ24を用いているが、これをマスタシリンダ油圧センサのみとすることもでき、あるいはブレーキストロークセンサのみでブレーキ操作検出手段を構成することも可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、緊急時の制動距離を短くして安全性を図ると共に、ブレーキ戻し操作時の運転者による制御性を向上させ、停止位置の微妙な調整等を可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施例の構成ブロック図である。
【図2】 第1実施例における具体的構成図である。
【図3】 本発明の第実施例におけるブレーキ制御演算の処理フローチャートである。
【図4】 第実施例における運転者の操作油圧と制動油圧の時間変化を示すグラフ図である。
【図5】 第実施例における運転者の操作油圧と制動油圧との関係を示すグラフ図である。
【図6】 本発明の第実施例におけるブレーキ制御演算の処理フローチャートである。
【図7】 第実施例における運転者の操作油圧と制動油圧の時間変化を示すグラフ図である。
【図8】 本発明の第実施例のブレーキ制御演算の処理フローチャートである。
【図9】 第実施例の運転者の操作油圧と制動油圧の時間変化を示すグラフ図である。
【図10】 本発明の第実施例のブレーキ制御演算の処理フローチャートである。
【図11】 本発明の第実施例の処理フローチャートである。
【符号の説明】
10 ブレーキペダル、12 油圧センサ、14 増圧機構、16 チェンジバルブ、18 車輪ロック防止機構(ABS)、20 車輪、22 コントローラ、24 加速度センサ(Gセンサ)、26 車速センサ。

Claims (4)

  1. 車両運転者のブレーキ操作を検出する操作検出手段と、
    検出されたブレーキ操作が緊急状態であるか否かを判定する判定手段と、
    緊急状態と判定された場合に制御増圧分を加えることによりブレーキ駆動用の制動液圧を運転者のブレーキ操作量に比例して最大圧力まで増圧させるとともに、ブレーキ操作量が0となる前の所定値で前記制動液圧の前記制御増圧分が0となるように、運転者のブレーキ戻し操作量に比例して制動液圧を減圧させる圧力制御手段と、
    を有することを特徴とする車両用制動圧制御装置。
  2. 請求項1記載の車両用制動圧制御装置において、
    前記圧力制御手段は、前記制御増圧分について増圧時のブレーキ操作量に対する変化の勾配よりも減圧時のブレーキ戻し操作量に対する変化の勾配を小さく設定することを特徴とする車両用制動圧制御装置。
  3. 請求項1記載の車両用制動圧制御装置において、
    前記圧力制御手段は、運転者のブレーキ戻し操作を検出した時に制動液圧の減圧を開始することを特徴とする車両用制動圧制御装置。
  4. 請求項1または請求項2または請求項3記載の車両用制動圧制御装置において、
    さらに、運転者のブレーキ戻し速度を検出する検出手段を備え、前記圧力制御手段はブレーキ戻し速度が大きい程、前記制御増圧分について減圧時のブレーキ戻し操作量に対する変化の勾配を大きく設定することを特徴とする車両用制動圧制御装置。
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