以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(1)第1の実施例
図1は、本発明の一実施例による光ディスク装置を示すブロック図である。この光ディスク装置1は、再生専用の光ディスク、記録再生用のディスク又はハイブリッド型光ディスクを選択的に装填できるように形成され、ホストコンピュータ2から出力されるコマンドに応動して、これら光ディスク4から得られる再生データD1をホストコンピュータ2に出力し、また、これとは逆に対応する光ディスク4にホストコンピュータ2より出力されるデータD2を記録する。
ここで、再生専用の光ディスクは、デジタルオーディオディスクと同様に、ピットにより情報記録面が形成され、最内周の小領域がリードイン領域に、最外周の小領域がリードアウト領域に、中間領域がプログラム領域に割り当てられるようになされている。このプログラム領域は、例えばコンピュータプログラム等のデータが記録され、このプログラム領域の管理用情報(TOC:Table Of Contents)がリードイン領域に記録される。
記録再生用の光ディスクは、内周側から順次リードイン領域、UTOC(User Table Of Contents)領域、プログラム領域、リードアウト領域が規定され、このリードイン領域がピットにより形成され、このリードイン領域にUTOC領域の位置情報等が記録されるようになされている。またUTOC領域、プログラム領域、リードアウト領域は、熱磁気記録の手法を適用して所望のデータを記録再生できるように垂直磁化膜により形成され、このプログラム領域の管理用情報をUTOC領域に記録できるようになされている。さらにUTOC領域、プログラム領域、リードアウト領域は、レーザービームのガイド溝でなるプリグルーブが蛇行して形成され、このプリグルーブを基準にしてトラッキング制御できるように形成され、またこのプリグルーブの蛇行を検出して規定の回転速度により光ディスクを回転駆動し、さらにレーザービーム照射位置の位置情報を検出できるようになされている。
ハイブリッド型光ディスクは、例えば図2に示すように再生専用プログラム領域42と記録可能プログラム領域45を有する所謂ハイブリッドディスクであり、その最内周側からリードイン領域41、上記再生専用プログラム領域42、パワーキャリブレーション領域43、UTOC領域44、上記記録可能プログラム領域45、リードアウト領域46を備えてなる。
上記リードイン領域41と内周側の再生専用プログラム領域42がピットによる再生専用領域として形成されている。また、UTOC領域44、外周側の記録可能プログラム領域45及びリードアウト領域46は、記録再生可能な光ディスクと同様に垂直磁化膜による記録再生可能領域に形成され、これにより例えば再生専用プログラム領域42に記録されたコンピュータプログラム等に従って、この記録可能プログラム領域45を記録再生できるようになされている。
この光ディスク4は、そのセクタ構成を図3に示すように、セクタ同期を取るためのフィールドである12バイトのSYNCと、セクタのアドレスやモードを示すデータが格納されたフィールドである4バイトのHEADERと、実際のデータフィールドである2336バイトのDATAから1セクタが構成されている。
そして、上記リードイン領域41は、そのTOCセクタ=0の内容を図4に示してあるように、ディスクの種類(Disc type)、ディスクの最適記録パワー(Rec.Power Pw1),(Rec.Power Pw1)、リードアウト領域のスタートアドレス(Lead-out start address)、パワーキャリブレーション領域のスタートアドレス(Power cal.area start address)、UTOC領域のスタートアドレス(U-TOC start address)、記録可能領域のスタートアドレス(Recordable user area start address)、トラックn(n=1〜255)のスタートアドレスを指すポインタ(P-TNO)、各トラックのスタートアドレス(Start address)及びエンドアドレス(End address)などが記録されている。
なお、トラックとは、記録再生データの管理やコンピュータファイルの管理などのデータ管理を行う管理システムが取り扱う論理的なデータの集合体である。
また、上記パワーキャリブレーション領域43は記録パワー調整用の領域である。さらに、上記UTOC領域44は、上記記録可能プログラム領域45内の各トラックについての情報が記録されている領域である。
光ディスク装置1は、ユーザが装填した光ディスク4をスピンドルモータ3により規定の回転速度で回転駆動し、この光ディスク4を間に挟んで対向するように光ピックアップ5及び変調コイルMを配置する。
ここで、光ピックアップ5は、例えば、図5に示すように、内蔵のレーザーダイオード51より規定偏波面のレーザービームを射出し、このレーザービームを対物レンズ6により光ディスク4の情報記録面に集光する。これにより光ピックアップ5は、対物レンズ6を上下、左右に移動してフォーカス制御及びトラッキング制御できるように形成されている。この光ピックアップ5は、レーザーダイオード51が出射したレーザービームを、回折格子52により0次光、+1次光、−1次光に分解した後、コリメータレンズ53により平行光とし、さらに、ビームスプリッタ54及び45°ミラー55を介して対物レンズ6に導いて、上記0次光によるメインビーム、+1次光と−1次光による2つサブビームを上記対物レンズ6により集光して光ディスク4の情報記録面に照射する。そして、この光ピックアップ5は、上記光ディスク4の情報記録面に照射したメインビーム及び各サブビームの戻り光を上記45°ミラー55及びビームスプリッタ54を介してウォラストンプリズム56に導き、このウォラストンプリズム56により各戻り光をそれぞれ偏光方向に応じて2本のビームと偏光方向に応じない1本のビームに分離し、コリメータレンズ57及びマルチレンズ58を介して受光素子59により受光する。
この受光素子59の受光面を図6に示すように、この光ピックアップ5の受光素子59は、中央に矩形形状の受光面が2行2列のマトリクス状に分割されて各受光面(符号A〜Dで表す)が形成され、この中央の受光面の左右及び上下に、それぞれ矩形形状の受光面(符号E、F及びI、Jで表す)が形成されるようになされている。
光ピックアップ5は、レーザービームの+1次光、−1次光による各サイドビームの戻り光を、それぞれ受光面E、受光面Fで受光する。これにより光ピックアップ5は、いわゆる3スポット法を適用して、トラッキングエラーを検出できるようになされている。すなわちピットで形成された再生専用領域を再生するときには、受光面Eの出力信号から受光面Fの出力信号を減算することにより、トラッキングエラー量に応じて信号レベルが変化するトラッキングエラー信号TEを検出できるようになされている。トラッキングエラー信号TEは、受光面に対応する出力信号を同一符号で表すとE−Fとして検出される。これに対してプリグルーブの設けられた記録再生可能領域を記録再生する場合、受光面Fの出力信号から受光面Eの出力信号を減算することにより、再生専用領域におけるトラッキングエラー信号TEと同一極性のトラッキングエラー信号TEがF−Eとして検出できるようになされている。
さらに、光ピックアップ5は、メインビームの戻り光の一部を上記ウォラストンプリズム56により45°の偏波成分に分離し、それぞれ受光面I及びJで受光する。これにより光ピックアップ5は、再生専用領域では戻り光に対する受光面I及びJの出力信号を加算することにより、再生専用領域からの戻り光の光量変化に追従して信号レベルが変化する再生信号をI+Jの信号として検出できるようになされている。これに対して記録再生可能領域では、受光面I及びJの出力信号を減算することによりI−Jの信号として、記録再生可能領域からの戻り光の偏光面の変化に応じて信号レベルが変化する再生信号を検出できるようになされている。
さらに、光ピックアップ5は、凹レンズとシリンドリカルレンズを組み合わせたマルチレンズ58を介してメインビームの残りの戻り光を中央の受光面A〜Dで受光する。これにより光ピックアップ5は、いわゆる非点収差法を適用して、受光面A〜Dの出力信号について、対角方向の受光面間で出力信号を加算した後、減算処理することにより、フォーカスエラー量に応じて信号レベルが変化するフォーカスエラー信号FEを(A+C)−(B+D)の信号として検出できるようになされている。
また、記録再生可能領域では、光ディスク4の円周方向に対応する受光面間で出力信号を加算した後、この加算結果間で減算処理することにより、プリグルーブの蛇行に応じて信号レベルが変化するウォブル信号WBを(A+D)−(B+C)の信号として検出できるようになされている。
さらに、記録再生可能領域では、これら受光面A〜Dの出力信号を加算することにより、メインスポットの光量をA+B+C+Dの信号として検出できるようになされている。
光ピックアップ5は、これら各受光面による出力を電流電圧変換して出力する。RF増幅器7は、マトリックス回路構成の増幅回路で形成され、光ピックアップ5より出力されるこれら受光面の出力信号A〜Dを受け、光ピックアップ5について上述した演算処理を実行する。このときRF増幅器7は、システムコントローラ8より出力されるコントロールデータDCに応じて動作モードを切り換える。
ここで、この実施例において、動作モードは、再生専用領域に対応する第1の動作モードと、記録再生可能領域に対応する第2の動作モードが規定されるようになされている。
RF増幅器7は、この第1の動作モードにおいて、各受光面I,Jによる出力信号を加算して再生信号RF(I+J)を生成し、第2の動作モードにおいては、受光面I及びJの出力信号を減算してなる再生信号RF(I−J)を生成する。さらにRF増幅器7は、この再生信号RFを各領域に対応する利得で増幅した後、規定のスライスレベルで2値化し、2値化信号S1を出力する。
すなわち、RF増幅器7は、図7に示すように、各受光面I,Jによる出力信号を減算合成する演算増幅器71Aと加算合成する演算増幅器71Bを備え、上記演算増幅器71Aにより得られる再生信号RF(I−J)と上記演算増幅器71Bにより得られる再生信号RF(I+J)を演算増幅器71Cにより切り替えてイコライザ71Dを介して出力するようになっている。
上記各演算増幅器71B,71Cは、それぞれスイッチオペアンプであって、各制御入力端SがS=0のときに「1」側がイネーブルされ、S=1のときに「2」側がイネーブルされて、「1」側と「2」側とで異なる利得で演算処理を行う。そして、上記演算増幅器71Bの制御入力端Sには、再生専用領域に対応する第1の動作モードでS=0とし、記録再生可能領域に対応する第2の動作モードでS=1とするモード切換信号RFSW0が供給される。また、上記演算増幅器71Cの制御入力端Sには、再生専用領域に対応する第1の動作モードでS=0とし、記録再生可能領域に対応する第2の動作モードでS=1とするモード切換信号RFSW1が供給される。なお、このモード切換信号RFSW1は、UTOC領域の再生時はS=1とするようになっている。
また、上記RF増幅器7は、各受光面E,Fによる出力信号を減算してトラッキングエラー信号TE(E−F)を生成し、第1の動作モードにおいて、このトラッキングエラー信号TEを規定の利得で出力するのに対し、第2の動作モードにおいては、このトラッキングエラー信号TEの極性を切り換え、さらに周波数帯域を広く、利得を上げるように切り換えて出力する。
すなわち、上記RF増幅器7は、図8に示すように、各受光面E,Fによる出力信号を減算合成する演算増幅器72Aと、この演算増幅器72Aにより得られたトラッキングエラー信号TEが供給される各演算増幅器72B,72Cを備える。
上記演算増幅器72Bは、上記モード切換信号RFSW0が制御入力端Sにされて「1」側と「2」側が選択的に動作するスイッチオペアンプである。この演算増幅器72Bは、制御入力端SがS=0のときに「1」側がイネーブルされ、S=1のときに「2」側がイネーブルされて、「1」側と「2」側とで異なる利得で演算処理を行い、トラッキングエラー信号TEの極性を反転させるとともに周波数帯域及び利得を切り換えるようになっている。
また、上記演算増幅器72Cは、上記モード切換信号RFSW1が制御入力端Sにされて「1」側と「2」側が選択的に動作するスイッチオペアンプである。
この演算増幅器72Cは、制御入力端SがS=0のときに「1」側がイネーブルされ、上記演算増幅器72Aにより得られたトラッキングエラー信号TEを出力し、また、S=1のときに「2」側がイネーブルされ、上記演算増幅器72Bにより極性反転されるとともに周波数帯域を広く、利得を上げるように切り換えられたトラッキングエラー信号TEを出力するスイッチ回路として動作する。
また、上記RF増幅器7は、中央の受光面A〜Dの出力信号よりフォーカスエラー信号FE((A+C)−(B+D))、ウォブル信号WB((A+D)−(B+C))を生成して出力する手段を有している。
また、上記RF増幅器7は、図9に示すように、受光面A〜Dの出力信号を加算合成する演算増幅器73Aと、この演算増幅器73Aにより得られた加算信号(A+C+B+D)が供給される演算増幅器73Bを備える。上記演算増幅器73Bは、上記モード切換信号RFSW1が制御入力端Sにされて「1」側と「2」側が選択的に動作するスイッチオペアンプである。この演算増幅器73Bは、制御入力端SがS=0のときに「1」側がイネーブルされ、単なるボルテージフォロワとして動作し、S=1のときに「2」側がイネーブルされて、ローパスフィルタとして機能する。そして、上記RF増幅器7は、第2の動作モードにおいて、上記極性反転されるとともに、周波数大意器及び利得が切り替えられたトラッキングエラー信号TEよりレーザービームがプリグルーブを横切る周期で信号レベルが変化するトラバース信号TRを生成して出力する。これに対して第1の動作モードにおいては、再生信号RFのピークホールド結果、ボトムホールド結果を順次比較することにより、レーザービームがピットを横切る周期で信号レベルが変化するミラー信号を生成し、帯域制限の周波数を切り換えてこのミラー信号をトラバース信号TRとして出力する。これによりトラバース信号TRは、第1及び第2の動作モードにおいて生成方法、利得、帯域が切り換えられることになる。
これによりRF増幅器7は、コントロールデータDCに応じて、演算処理方法、利得、周波数特性を切り換えて、光ディスク4の各領域を記録再生する際に必要とされる各種信号を出力するようになされている。
サーボ回路9は、RF増幅器7からトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEを受け、このトラッキングエラー信号TE、フォーカスエラー信号FEに応じて対物レンズ6を左右、上下に移動することにより、トラッキング制御及びフォーカス制御する。
また、サーボ回路9は、システムコントローラ8より出力されるコントロールデータDCに応じて動作を切り換え、再生信号RF又はウォブル信号WBよりクロックを生成する。さらにサーボ回路9は、このようにして生成したクロックがそれぞれ規定周波数になるように、スピンドルドライバ10を制御してスピンドルモータ3を駆動し、これによりプリグルーブの蛇行又はピットの形成周期を基準にしたスピンドルサーボにより光ディスク4を線速度一定の条件で駆動する。
また、サーボ回路9は、光ピックアップ5より別途得られるレーザービームの光量検出結果に基づいて、光ピックアップ5に制御信号を出力し、これによりレーザービーム照射位置の領域に対応して、さらに再生時、記録時に対応してレーザービームの光量を規定の光量に設定する。
さらに、サーボ回路9は、直流モータでなるスレッドモータ11を駆動して光ピックアップ5をシークさせる。このときサーボ回路9は、システムコントローラ8により出力される目標値を内蔵のカウンタにロードした後、RF増幅器7より入力されるトラバース信号TRによりこのカウンタのカウント値を順次ダウンカウントし、カウント値が値0になると、スレッドモータ11を停止制御する。
アドレスデコーダ12は、プリグルーブの領域を記録再生する際に、ウォブル信号WBを周波数復調し、この復調結果よりレーザービーム照射位置の位置情報ATIPを検出して出力する。
デジタル信号処理部13は、サーボ回路9により生成されたクロックを基準にして、2値化信号S1を順次ラッチすることにより、2値化信号S1をシリアルデータに変換する。さらにデジタル信号処理部13は、このシルアルデータをエンコードした後、誤り訂正処理等のデジタル信号処理を実行し、これにより光ディスク4に記録されたデータを再生し、必要に応じてホストコンピュータ2に出力する。
このようにして光ディスク4に記録されたデータを再生するにつき、リードイン領域、UTOC領域について、デジタル信号処理部13は、再生結果より得られる管理用情報、位置情報等をバスを介してシステムコントローラ8に出力してメモリ19に記憶するする。これにより光ディスク装置1では、システムコントローラ8により、プログラム領域に記録されたデータ、プログラム領域の未記録領域を管理できるようになされ、またプリグルーブの設けられている記録再生可能領域の開始位置すなわち記録再生可能領域とピットによる再生専用領域との境界位置を検出できるようになされている。
また、再生データよりアドレスデータを検出し、このアドレスデータをシステムコントローラ8に出力することにより、レーザービーム照射位置のアドレスデータをシステムコントローラ8で検出できるようになされている。
これに対して、デジタル信号処理部13は、プリグルーブの領域を記録する場合、ホストコンピュータ2より入力される入力データD1に誤り訂正符号等を付加して規定のデータ構造に変換した後、8−14変調(EFM:Eight to Fourteen Modulation)する。さらに、デジタル信号処理部13は、位置情報ATIPを基準にして規定のタイミングでこの変調データをドライバ14に出力し、このドライバ14により変調コイルMを駆動する。
これにより光ディスク装置1では、レーザービーム照射位置に入力データD1による変調磁界を印加し、この入力データD1を熱磁気記録するようになされている。
ここで、第1の動作モードで再生信号RF(I+J)を検出した場合、その再生信号RFをピークホールドして得られるピーク信号と再生信号RFをボトムホールドして得られるボトム信号とのレベル差は、再生可能領域ではピットにより大きなレベル差となる。一方、記録再生可能領域では、ピットがないので、再生信号RFをピークホールドして得られるピーク信号と再生信号RFをボトムホールドして得られるボトム信号とのレベル差は、大きなレベル差とはならない。そこで、判定回路15では、再生信号RF(I+J)のピーク信号とボトム信号とのレベル差が予め設定した所定の基準レベル値よりも大きいか小さいかを検出し、それによって、ピットを有する再生専用領域か、プリグルーブを有する記録再生可能領域かを判定している。
なお、再生信号RFから2値化信号を生成する際には、再生信号RFを積分してスライス基準レベルを生成し、このスライス基準レベルと再生信号RFを比較して、2値化信号を生成している。すなわちこの種の光ディスク4は、ピットによる再生専用領域についてもEFMにより所定のデータが記録されるようになされており、このEFMは、変調後の直流レベルが0レベルに保持されることにより、RF増幅器7の設定がレーザービーム照射位置の領域に対応した設定に保持されている場合、再生信号RFの積分結果においてはRF増幅器7において2値化信号S1を生成する際のスライスレベルと一致する。
システムコントローラ8は、この光ディスク装置1全体の動作を制御するマイクロコンピュータで形成され、図10及び図11に示す処理手順を実行することにより、光ディスク4を回転駆動した後、ホストコンピュータ2より出力される制御コマンドに応動して光ピックアップ5をシークする。
すなわち、システムコントローラ8は、電源が投入されるとステップSP1からステップSP2に移り、光ディスク4の装填を待ち受ける。ここで光ディスク4が装填されると、システムコントローラ8は、ステップSP3に移り、サーボ回路9を制御してスピンドルモータ3を起動し、これにより光ディスク4を規定の回転速度で回転駆動する。
続いて、システムコントローラ8は、ステップSP4に移り、サーボ回路9にコントロールデータDCを出力して光ピックアップ5をリードイン領域に移動させ、RF増幅器7の動作モードをピットの領域に対応した第1の動作モードに設定した後、サーボ回路9を駆動してフォーカスサーチの処理を実行し、続いてフォーカス制御及びトラッキング制御を開始する。これによりサーボ回路9においては、ピットの領域に対応した再生方式によりトラッキング制御、フォーカス制御することができ、システムコントローラ8は、この状態でリードイン領域に記録された管理用情報(TOC)を再生し、デジタル信号処理部13より内蔵のメモリに格納する。
これにより、システムコントローラ8は、このメモリに格納した管理用情報から装填された光ディスク4の種類を判別し、この光ディスク4が再生専用の光ディスクの場合、ホストコンピュータ2のコマンドを待ち受け、このメモリに記録した管理用情報を基準にして再生処理を実行する。
これに対して、装填された光ディスク4が記録再生用の光ディスク、ハイブリッド型光ディスクの場合、システムコントローラ8は、続いてステップSP5に移り、メモリに格納した管理用情報からUTOC領域のスタートアドレスを読み出し、このスタートアドレスよりピット及びプリグルーブの領域の境界について、開始アドレスを計算する。
なお、この実施例において、光ディスク4は、UTOC領域のスタートアドレスよりリードイン領域側3クラスタの領域がこの境界の開始アドレスに設定され、システムコントローラ8は、スタートアドレスより3クラスタ分のアドレスを減算して境界の開始アドレスを計算し、この計算結果をメモリに格納する。
続いて、システムコントローラ8は、ステップSP6に移り、ホストコンピュータ2からのシークコマンドの入力を待ち受け、ここでシークコマンドが入力されると、ステップSP7に移る。ここでシステムコントローラ8は、デジタル信号処理部13を介してレーザービーム照射位置のアドレスデータを検出し、これにより光ピックアップ5の現在位置を検出する。
続いて、システムコントローラ8は、ステップSP8に移り、ここでシーク中に境界を跨ぐか否か判断する。この判断は、ステップSP7において検出した現在位置のアドレスからシークコマンドにより指定された目標アドレスまでの間に、UTOC領域のスタートアドレスが存在するか否か判断することにより実行され、否定結果が得られると、システムコントローラ8は、ステップSP9に移る。
ここで、システムコントローラ8は、RF増幅器7の動作モードを現在設定されている動作モードに保持したまま、現在位置のアドレスから目標アドレスを減算し、その減算結果よりサーボ回路9のカウンタにシーク目標までのカウント値を設定する。続いてシステムコントローラ8は、サーボ回路9を制御してシークを開始する。
システムコントローラ8は、サーボ回路9によるシークの完了を待ち受け、シークが完了すると、続いてステップSP10に移り、サーボ回路9を制御してフォーカス制御、トラッキング制御及びスピンドル制御を行う。すなわち、スピンドル制御でスピンドルモータを目的の回転数に一致させ、フォーカス制御でレーザービームの焦点深度内に集光させ、トラッキング制御でレーザービームのメインスポットがトラックセンタをトレースする状態にする。そして、各サーボ制御の終了後、デジタル信号処理部13よりレーザービーム照射位置のアドレスを検出する。これによりシステムコントローラ8は、必要に応じて再び全体をシークの動作に立ち上げ、シークコマンドにより指定された目標位置に光ピックアップ5を移動させるための各種サーボ制御を行う。
さらに、システムコントローラ8は、続いてステップSP16に移りシークコマンドと共にホストコンピュータ2より入力された書き込み、読み出しのコマンドに応じて、デジタル信号処理部13等を制御して目標位置にホストコンピュータ2よりのデータを記録し、又は目標位置からデータを再生してホストコンピュータ2に出力し、ステップSP6に戻って続くシークコマンドの入力を待ち受ける。
これにより、光ディスク装置1では、シーク中に境界を跨がない場合、RF増幅器7の特性を現在設定されている特性に保持したまま、トラバース信号TRを基準にして光ピックアップ5の移動量を検出し、目標位置まで光ピックアップ5をシークさせるようになされている。
これに対して、シーク中に境界を跨ぐ場合、ステップSP8において肯定結果が得られることにより、システムコントローラ8は、ステップSP11に移る。
ここでシステムコントローラ8は、現在位置のアドレスから境界の開始アドレスを減算し、その減算結果よりサーボ回路9のカウンタを設定する。これによりシステムコントローラ8は、境界開始アドレスすなわちUTOC領域のスタートアドレスよりリードイン領域側3クラスタの領域を目標にセットし、続いてサーボ回路9を制御してシークを開始する。
続いて、システムコントローラ8は、ここでサーボ回路9によるシークの完了を待ち受ける。シークが完了すると続いてステップSP12に移り、サーボ回路9を制御してトラッキング制御、フォーカス制御を開始する。続いてシステムコントローラ8は、サーボ回路9よりフォーカスサーボのオン状態が検出されると、判定回路15に光ピックアップ5の現在いる領域が、再生専用領域か記録再生可能領域かを検出させる。
さらに、システムコントローラ8は、この判断結果に基づいて、レーザービームが照射されている領域に対応するように、RF増幅器7の動作モード、サーボ回路9の動作を設定し、これによりレーザービーム照射位置の再生手法に対応するように全体の動作を設定した後、ステップSP13に移る。ここでシステムコントローラ8は、トラッキングサーボのオン状態が検出されると、デジタル信号処理部13よりレーザービーム照射位置のアドレスデータを検出する。
続いて、システムコントローラ8は、ステップSP14に移り、ここで境界を越えたか否か、すなわち、最終的なシーク目標までの間に未だ境界が存在するか否か判断し、境界を越えたとの判断結果が得られると、ステップSP9に移る。
これにより、システムコントローラ8は、RF増幅器7の動作モード、サーボ回路9の動作を現在設定されている状態に保持したまま、目標アドレスまで光ピックアップ5をシークさせた後、ステップSP10に移る。
すなわち、このようにしてシークするとき、シークの距離が長い場合等においては、UTOC領域のスタートアドレスより3セクタリードイン領域側を目標にしてシークさせたにも係わらず、光ピックアップ5の慣性等により境界を越えてシークする場合がある。この場合、ステップSP12において、光ピックアップ5の移動を停止した状態でレーザービーム照射位置の領域を判断することにより、簡易かつ確実にレーザービーム照射位置の領域を確認することができる。
これにより、続いてこの判断結果に基づいてRF増幅器7及びサーボ回路9の動作を設定した後、残りのシークを実行し、サーボ回路の不安定な動作を有効に回避して、目標位置に確実にシークさせることができる。また、シーク後においては、RF増幅器7の動作モードを切り換えて、トラッキングエラー信号TE等についてもシーク後の領域に対応するように設定して残りのシークを実行することにより、シーク後、速やかにジャストトラッキングの状態を形成することができ、これによりアクセス時間を短縮することができる。
また、このとき併せてサーボ回路9の動作を切り換えたことにより、即座に光ピックアップ5の現在いる領域に対応して(すなわちプリグルーブの蛇行又はピットの形成周期を基準にしたスピンドルサーボでなる)光ディスク4の回転速度を制御し、これによりシーク後、短時間で記録再生動作を開始することができる。
これに対して、最終的なシーク目標までの間に未だ境界が存在する場合、システムコントローラ8は、ステップSP14において否定結果が得られることにより、ステップSP15に移る。
ここで、システムコントローラ8は、境界の開始アドレス及び現在位置のアドレスより、境界を越えるまでの残りのアドレスを計算し、この残りのアドレスに所定の値を加算する。これにより、システムコントローラ8は、境界を確実に越えることができる必要最小限のアドレス量を算出する。さらにシステムコントローラ8は、このアドレス量に対応する時間を内蔵のタイマにより計測しながら、サーボ回路9を制御して光ピックアップ5をトラックジャンプさせる。
これにより、システムコントローラ8は、境界を確実に越えることができる必要最小限度で、光ピックアップ5をトラックジャンプさせた後、ステップSP12に戻る。すなわち、境界を間に挟んでトラックジャンプする場合、基準となるトラバース信号をジャンプ途中で正しく検出することが困難になることにより、このように境界の手前で一旦シークを中断した後、トラバース信号以外の基準により必要最小限の範囲でトラックジャンプすれば、安全かつ確実に境界を間に挟んでトラックジャンプすることができる。
従って、このようにトラックジャンプした後、RF増幅器7及びサーボ回路9の動作を切り換えて、残りのシークを実行すれば、サーボ回路の不安定な動作を有効に回避して、目標位置に確実にシークさせることができる。これにより、この実施例においてはスレッドモータ11に直流モータを適用し、かつ光ピックアップ5の位置検出センサを省略した簡易な構成により、安定かつ確実にアクセスできるようになされている。
ところで、このように時間によりトラックジャンプ量を管理すると、正しく境界をトラックジャンプしない場合も考えられる。これによりこの実施例においては、ステップSP15からステップSP12に戻り、ここで改めて判定回路15によりレーザービーム照射位置の領域を確認した後、ステップSP13において現在位置のアドレスを検出し、必要に応じてステップSP14からステップSP15を繰り返す。
これにより、光ディスク装置1では、記録再生用の光ディスクにおいて、リードイン領域とUTOC領域との間の境界を跨ぐ場合、ハイブリッド型光ディスクにおいて、内周側のプログラム領域とUTOC領域との間の境界を跨ぐ場合について、確実に境界を越えた後、各領域の再生方式に対応するトラバース信号を基準にして続くシークの処理を実行し、目標の位置に確実にシークできるようになされている。
以上の構成において、光ディスク装置1は、スピンドルモータ3により光ディスク4を線速度一定の条件で回転駆動し、この状態で光ピックアップ5より射出されるレーザービームの戻り光に基づいて、光ディスク4に記録されたデータを再生し、また併せて変調コイルMを駆動して熱磁気記録の手法により所望のデータを記録する。
この記録再生の動作において、光ディスク装置1は、ホストコンピュータ2よりのシークコマンドに応じて直流モータでなるスレッドモータ11を駆動して光ピックアップ5及び変調コイルMを移動し、所望の記録再生位置よりデータを再生し、またデータを記録する。
このシーク、記録再生の処理において、光ディスク装置1は、装填された光ディスク4の種類をリードイン領域に記録された管理用情報により判別し、各光ディスク4に対応して再生方式を切り換え、またシーク動作を切り換える。
すなわち、光ディスク4が再生専用の光ディスクの場合、光ディスク装置1では、RF増幅器7の動作モードがピットの領域に対応する第1の動作モードに設定され、併せてサーボ回路9がピット形成周期を基準にしたスピンドルサーボに設定される。これにより、この場合、光ディスク装置1では、戻り光の光量変化に応じて信号レベルが変化する再生信号RFよりデータが再生され、またこの再生信号RFに対応したトラッキングエラー信号、フォーカスエラー信号によりトラッキング制御、フォーカス制御され、さらに、この再生信号RFに対応したトラバース信号を基準にしてシークの処理が実行される。
これに対して、光ディスク4が記録再生用の光ディスク、ハイブリッド型光ディスクの場合、光ディスク装置1は、リードイン領域より得られるUTOC領域の開始アドレスを基準にしてピットの領域、プリグルーブの領域を判断することができ、これによりRF増幅器7の動作モード、サーボ回路9の動作を設定し、各領域の再生方式に対応して記録再生の処理を実行することができる。
これに対して、シークコマンドが入力されると、光ディスク装置1においては、始めに境界を跨ぐか否か判断され、跨がない場合は、RF増幅器7の動作モード、サーボ回路9の動作がそのまま維持された状態で、直接目標位置までシークの処理が実行される。
境界を跨ぐと判断された場合、光ディスク装置1においては、一旦、境界の手前をシーク目標にしてシークの処理が実行され、これによりシーク中の光ピックアップ5の暴走等が有効に回避される。このシークにおいて境界を越えてしまった場合、RF増幅器7の動作モード、サーボ回路9の動作が切り換えられ、残りのシーク量が確認された後、最終目標位置までシークの処理が実行される。これにより境界を越えた領域の再生方式に対応するトラバース信号により、最終目標位置までシークの処理が実行され、確実に目標位置にシークすることができる。
このときRF増幅器7の動作モードを切り換えてトラバース信号の生成方法、利得、帯域を切り換えるだけでなくトラッキングエラー信号の極性、周波数帯域、利得、再生信号RFの生成方法を切り換えたことにより、またサーボ回路9の動作を切り換えたことにより、シーク後、速やかに記録再生動作を開始することができる。
これに対して、境界の手前をシーク目標にしたシークにおいて、正しく境界の手前にシークできたとき、トラバース信号に代えて時間を基準にして、必要最小限度の境界を越えるトラックジャンプが実行され、これにより、シーク中の光ピックアップ5の暴走等が有効に回避される。
さらに続いて、光ディスク装置1では、必要に応じて再度トラックジャンプが繰り返された後、RF増幅器7の動作モード、サーボ回路9の動作が切り換えられ、残りのシーク量が確認された後、最終目標位置までシークの処理が実行される。これにより、境界を越えた領域の再生方式に対応するトラバース信号により、最終目標位置までシークの処理が実行され、確実に目標位置にシークすることができる。
以上の構成によれば、リードイン領域に記録されたUTOC領域のスタートアドレスより、リードイン領域側3クラスタの領域を目標にしてシークした後、境界を確実に飛び越し、続いて最終目標位置までシークすることにより、簡易な構成で、安全かつ確実にシークすることができる。
本発明は、上述の実施の形態のみに限定されるものでなく、例えば、シーク先として指定された場所が、再生専用領域なのか記録再生可能領域なのかを再生専用領域のリードイン領域から読み出した管理情報TOCに含まれているUTOC領域のスタートアドレス(U-TOC start address)に基づいて予測しておき、シークを行った後に、上記予測に基づいて設定を切り替えるようにしてもよい。
また、UTOC領域のスタートアドレスよりリードイン領域側3クラスタの領域を目標にして一旦シークする場合について述べたが、本発明はこれに限らず、UTOC領域のスタートアドレスよりリードアウト側を目標にして一旦シークするようにしてもよい。
また、例えば、シーク先として指定された場所が、再生専用領域なのか記録再生可能領域なのかを再生専用領域のリードイン領域から読み出した管理情報TOCに含まれているUTOC領域のスタートアドレス(U-TOC start address)に基づいて予測しておき、シークを行った後に、上記予測に基づいて設定を切り替えるようにしてもよい。
また、トラッキングエラー信号により、また再生信号よりトラバース信号を生成する場合について述べたが、本発明はこれに限らず、中央に配置した4つの受光面A〜Dの和信号から生成する場合にも広く適用することができる。
本発明に係る光ディスク装置の第1の実施例の構成を示すブロック図である。
ハイブリッド型光ディスクの領域構成を模式的に示す平面図である。
上記光ディスク装置に装着される光ディスクのセクタ構成を示す図である。
上記光ディスクのリードイン領域のTOCセクタ=0の内容を示す図である。
上記光ディスク装置における光ピックアップの構成を示す斜視図である。
上記光ピックアップにおける受光素子の受光面の構造を模式的に示す平面図である。
上記光ディスク装置におけるRF増幅器の要部構成を示す回路図である。
上記RF増幅器の他の要部構成を示す回路図である。
上記RF増幅器のさらに他の要部構成を示す回路図である。
上記光ディスク装置におけるシステムコントローラによる処理手順を示すフローチャートである。
上記システムコントローラによる処理手順を示すフローチャートである。
さらに、ピットによる再生専用領域とプリグルーブを有する記録再生可能領域とに情報記録面を分割した光ディスクについて、この光ディスクが適用される光ディスク装置に本発明を適用した場合について述べたが、本発明はこれに限らず、例えばピットによる再生専用領域とサンプルサーボによる記録再生可能な領域とに領域を分割した光ディスク等、種々の光ディスクを再生し、また記録する場合に広く適用することができる。
1 光ディスク装置、2 ホストコンピュータ、4 光ディスク、3 スピンドルモータ、4 光ディスク、5 光ピックアップ、7 RF増幅器、8 システムコントローラ、9 サーボ回路、10 スピンドルドライバ、11 スレッドモータ、12 アドレスデコーダ、13 デジタル信号処理部、14 ドライバ、15 判定回路、19 メモリ、20 光ディスク装置、21 システムコントローラ、41 リードイン領域、42 再生専用プログラム領域、43 パワーキャリブレーション領域、44 UTOC領域、45 記録可能プログラム領域、46 リードアウト領域、51 レーザーダイオード、6 対物レンズ、52 回折格子、53 コリメータレンズ、54 ビームスプリッタ、55 45°ミラー55、56 ウォラストンプリズム、57 コリメータレンズ、58 マルチレンズ58、59 受光素子、71A,71B,71C 演算増幅器、71D イコライザ、73A,73B 演算増幅器、100 カートリッジ、101 メモリ、110 管理情報読み取り部