JP4061344B2 - 無線通信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、送信器及び受信器を備えた無線通信装置に係る。特に、本発明は、法規制を遵守しながらも、無線通信装置の回路構成の簡素化と信頼性の確保とを両立する対策に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば下記の特許文献1に開示されている自動ドアには、ドアの開放動作を開始させるためのタッチ式の起動スイッチが備えられている。つまり、人が起動スイッチを押すことにより、このスイッチがON作動してドアの開放動作が行われるようになっている。
【0003】
具体的に、この種の起動スイッチは、ドアに取り付けられたスイッチ本体の内部に送信器が備えられている一方、無目等に取り付けられたコントローラの内部に受信器が備えられている。そして、人がスイッチ本体を押すことにより送信器から所定周波数の発振信号が送信され、この発振信号を受信器が無線受信する。これによってドア開放用のモータが起動してドアの開放動作が開始される。また、この種の自動ドアは、ドアが開放された後、ドア開口部に人体などの物体が存在しない状態が所定時間継続された場合に、自動的に閉鎖される。
【0004】
ところで、上記自動ドアの起動スイッチ等のように送信器と受信器との間で信号の送受信を行う無線機器は、電波法の規制により、同一周波数の発振信号を長時間継続して出力することが禁止されている。
【0005】
解決策として、周波数の異なる複数の発振信号を利用する、マルチチャンネル方式による通信がある。つまり、無線機器毎に利用可能な周波数帯が複数割り当てられており、これら周波数帯の発振信号を所定時間毎に切り換えることにより同一周波数の発振信号を継続して出力しなくとも受信器への連続送信が行えるようにしている。具体的には、例えば下記の特許文献2に開示されているようなPLL(Phase Locked Loop)周波数シンセサイザを使用し、短時間(例えば数秒間)毎に発振信号の周波数を複数のチャンネルに切り換えるようにしている。一方、受信器側では、送信器の発振周波数チャンネルの切り換えタイミングに同期して受信すべき周波数を切り換えていき、送信器からの発振信号が正確に受信できるようになっている。
【0006】
【特許文献1】
特開2000−90768号公報
【特許文献2】
特開平10−145229号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記PLL周波数シンセサイザを使用して発振信号の周波数を複数に切り換える方式では、分周回路、位相比較回路、ループフィルタ等の回路構成部品を必要とする。このため、部品点数の増大、回路構成の複雑化、それに伴う製造コストの高騰、更には消費電力の増大を招くといった不具合があった。
【0008】
これら不具合を解消するために、送信器からは単一周波数の発振信号のみを出力する簡素な構成を採用し、しかも上記電波法の規制を遵守すべく、所定時間毎に休止期間(発振信号の出力を強制的にキャンセルする期間)を設けることにより同一周波数の発振信号が長時間継続して出力されることがないようにすることが考えられる。
【0009】
ところが、この方式を上記自動ドアの起動スイッチに適用した場合、人がスイッチ本体を数秒間に亘って押し続けたり、連続して多数回押したりした場合に、スイッチ本体が押されているにも拘わらず送信器からは発振信号が送信されなくなるといった状況を招くことがある。これでは、自動ドアに所望の動作を行わせることができなくなる可能性があり、自動ドアの信頼性を十分に確保することができなくなってしまう。
【0011】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電波法の規制を遵守しながらも、回路構成の簡素化と信頼性の確保とを両立することができる無線通信装置を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
−発明の概要−
上記の目的を達成するために、本発明は、発振回路に備えられた発振用トランジスタに対するバイアスポイントを、電波法の規制を遵守可能なタイミングで切り換え、これによって簡単な発振回路で周波数の異なる複数種類の発振信号を選択的に出力することができるようにしている。
【0013】
−解決手段−
具体的には、スイッチが押されることにより発振信号を送信する送信器と、この送信器からの発振信号を受信可能な受信器とを備えた無線通信装置を前提とする。この無線通信装置に対し、送信器に、発振回路に備えられた発振用トランジスタに対するバイアスポイントを、予め定められた複数のバイアスポイント同士の間で切り換えるバイアス切換手段を備えさせる。そして、このバイアス切換手段が、上記スイッチが押し続けられた場合に、電波法で規制される制限時間よりも短い時間間隔で上記発振用トランジスタに対するバイアスポイントを切り換えることにより、上記スイッチが押されている間、継続して発振信号を送信する構成としている。
【0014】
送信器の回路構成として具体的には、水晶振動子を備えたコルピッツ型のクリスタル発振回路を備えさせている。そして、バイアス切換手段が、水晶振動子の入力ラインに接続されて制御信号を複数段階で切り換えることにより、発振用トランジスタに対するバイアスポイントを切り換えるようにしている。
【0015】
この特定事項により、バイアス切換手段による制御信号の切り換えに伴って、周波数の異なる複数種類の発振信号を選択的に出力することが可能となる。
【0016】
また、バイアス切換手段によって切り換えられる各バイアスポイントの継続時間を、電波法で規制される制限時間に合わせることにより、電波法の規制を遵守しながらも、従来のPLL周波数シンセサイザを使用した場合に比べて回路部品が大幅に削減され、しかも発振信号の切り換えによって受信器に対する継続した出力が可能な構成を得ることができる。
【0017】
更に、具体的には、バイアス切換手段として、水晶振動子の入力ラインに接続された抵抗を有する変調制御ラインを備えさせ、この変調制御ラインに対する制御信号のHi,Loを切り換えることにより発振用トランジスタに対するバイアスポイントを切り換えるようにしている。つまり、周波数の異なる2種類の発振信号を交互に出力することが可能な構成としている。
【0018】
一方、上記解決手段において採用される受信器の構成は以下のとおりである。つまり、受信器を、発振用トランジスタに対するバイアスポイントの切り換に伴って変化する発振信号の周波数の全帯域をカバーする周波数帯の発振信号を受信可能に構成している。これにより、送信器からの発振信号の周波数切り換えタイミングに同期して受信すべき周波数を切り換える構成は採用することなしに、送信器が送信する発振信号の全ての帯域に亘って信号受信が可能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。本形態では、自動ドアの開放動作を行わせるためのタッチ式の起動スイッチに本発明を適用した場合について説明する。
【0020】
上述したように、タッチ式の起動スイッチは、図示しないドアに取り付けられたスイッチ本体の内部に送信器が備えられている一方、無目等に取り付けられたコントローラの内部に受信器が備えられている。そして、人がスイッチ本体を押すことにより送信器から所定周波数の発振信号が送信され、この発振信号を受信器が無線受信する。これによってドア開放用のモータが起動してドアの開放動作が開始されるようになっている。
【0021】
図1は、本実施形態に係る起動スイッチの送信器の発振回路1を示している。この図1に示すように、本発振回路1はコルピッツ型のクリスタル発振回路2を備えている。このクリスタル発振回路2の回路構成は周知であるため、以下では、既存回路部分については説明を簡略にする。
【0022】
発振用トランジスタTrのベースとエミッタとの間には、複数のコンデンサC1,C2,C3及びコイルL1が備えられている。また、エミッタとGNDとの間には抵抗R1が、ベースとGNDとの間にはコンデンサC4がそれぞれ設けられている。更に、ベースとコレクタとの間にはコンデンサC5、抵抗R2及びコイルL2が備えられている。また、コレクタとGNDとの間にはコンデンサC6が、コレクタと電源ラインLvとの間には抵抗R3が、電源ラインLvとGNDとの間にはコンデンサC7がそれぞれ備えられている。
【0023】
そして、発振用トランジスタTrのベースに接続される入力ラインLinには、水晶振動子3、コイルL3、抵抗R4、コンデンサC8が設けられ、且つバリキャップダイオード4が接続されている。このバリキャップダイオード4は、一端がアースされた容量可変型のものであって、入力端子INから容量可変用の制御電圧が供給されている。
【0024】
そして、上記コンデンサC1,C2,C4及びバリキャップダイオード4のバラツキによる発振周波数の変動を容量可変型コンデンサC3によって所定の発振周波数が得られるように調整し、発振信号が出力端子OUTから出力されるようになっている。具体的に、上記水晶振動子3の振動数は85.2675MHzであって、これが逓倍されて基準の発振周波数として426.3375MHzの発振信号が出力端子OUTから出力可能な回路構成とされている。
【0025】
そして、本形態の特徴は、入力ラインLinに接続されたバイアス切換手段としての変調制御ライン5によって、発振用トランジスタTrに対するバイアスポイントを切り換えて、水晶振動子3の振動数が変更されるように構成されていることにある。以下、具体的に説明する。
【0026】
この入力ラインLinにおけるコンデンサC8と抵抗R4との間には、一端が電源ラインLvに接続された抵抗R5及び一端がアースされた抵抗R6がそれぞれ接続されている。
【0027】
上記変調制御ライン5は、抵抗R7を備えていると共に、一端が入力ラインLinにおけるコンデンサC8と各抵抗R5,R6の接続点O(中点)との間に接続されている。また、この変調制御ライン5の他端は図示しないマイコンの出力ポートに接続されている。このマイコンの出力ポートからはHiレベルの制御信号とLoレベルの制御信号とが予め設定された時間間隔を存して交互に出力されるようになっている。
【0028】
このため、マイコンの出力ポートからHiレベルの制御信号が出力された場合には、この変調制御ライン5の抵抗R6と抵抗R7との合成抵抗値が高くなり、それに伴って入力ラインLinのバイアス電圧が上昇する。その結果、この高いバイアス電圧が水晶振動子3に印加されることになってこの水晶振動子3の振動数が比較的高い値として得られる。
【0029】
一方、マイコンの出力ポートからLoレベルの制御信号が出力された場合には、この変調制御ライン5の抵抗R6と抵抗R7との合成抵抗値が低くなり、それに伴って入力ラインLinのバイアス電圧が下降する。その結果、この低いバイアス電圧が水晶振動子3に印加されることになってこの水晶振動子3の振動数が比較的低い値として得られる。
【0030】
具体的には、マイコンの出力ポートからHiレベルの制御信号が3secだけ出力された後に、この出力ポートからLoレベルの制御信号が2secだけ出力されるようになっている。そして、Hiレベルの制御信号が出力されている場合には、出力端子OUTから426.3426MHzの周波数の発振信号が送信される一方、Loレベルの制御信号が出力されている場合には、出力端子OUTから426.3316MHzの周波数の発振信号が送信されるようになっている。つまり、本発振回路1は、図2に示すように、人がスイッチ本体を押している間、426.3426MHzの発振信号(図2における発振信号F1)が3sec(図中の時間t1)だけ出力される状態と、426.3316MHzの発振信号(図2における発振信号F2)が2sec(図中の時間t2)だけ出力される状態とが交互に切り換わるようになっている。つまり、11kHzの差を有する2種類の発振信号F1,F2が、マイコンの出力制御のみで得られるようになっている。これら発振信号F1,F2の出力継続時間(t1,t2)は、電波法が規制する継続時間(同一周波数の発振信号を継続出力可能とする最長時間)よりも短い時間として設定されたものである。
【0031】
次に、受信器について説明する。本形態に係る起動スイッチの受信器は、上記送信器が送信する2種類の発振信号F1,F2の周波数帯を含む帯域に亘って発振信号を受信可能となっている。具体的には、上記426.3316MHzの発振信号と426.3426MHzの発振信号との両方をカバーする426.330MHzから426.350MHzに亘る発振信号の受信を可能に構成されている。
【0032】
つまり、送信器からの発振信号の周波数切り換えタイミングに同期して受信すべき周波数を切り換える構成は採用することなしに、上記帯域に亘る発振信号の受信を可能に構成されている。
【0033】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本形態では、入力ラインLinに接続した変調制御ライン5に対するマイコン出力ポートからの制御信号を切り換えるのみで、周波数の異なる2種類の発振信号F1,F2を交互に出力することができる。そして、この発振信号F1,F2の切り換えタイミングは、上記電波法が規制する継続時間に合わせて各発振信号F1,F2が出力されるように設定されている。このため、電波法の規制を遵守しながらも、従来のPLL周波数シンセサイザを使用した場合に比べて回路部品が大幅に削減され、しかも発振信号の切り換えによって受信器に対する継続した出力が可能となっている。このため、無線通信装置の回路構成の簡素化と信頼性の確保とを両立することが可能である。
【0034】
(変形例)
次に、本発明の変形例について説明する。本変形例は、電波法が規制する「送信時間制限」及び「送信休止時間制限」に対する上記発振信号F1,F2の出力継続時間(t1,t2)の設定について具体化したものである。以下、電波法が規制する「送信時間制限」をT1とし、「送信休止時間制限」をT2とした場合の各出力継続時間(t1,t2)の設定について説明する。
【0035】
先ず、「T1=T2」、つまり、「送信時間制限」と「送信休止時間制限」とが等しい場合には、発振信号F1,F2の出力継続時間(t1,t2)として、「T1=t1」、「T2=t2」に設定する。即ち、発振信号F1,F2が同一時間長さ(t1,t2)で交互に出力されることになる。
【0036】
また、「T1>T2」、つまり、「送信時間制限」の方が「送信休止時間制限」よりも長い場合には、発振信号F1,F2の出力継続時間(t1,t2)として、「t1≦T1」且つ「t1≧T2」であって「t2≦T1」且つ「t2≧T2」に設定する。即ち、時間T2よりも長く且つT1よりも短い時間間隔で発振信号F1,F2が交互に出力されることになる。
【0038】
−その他の実施形態−
上述した実施形態では、発振回路1としてコルピッツ型のクリスタル発振回路2を備えたものとしていた。本発明はこれに限らず、発振回路1としてピアース型のクリスタル発振回路を備えたものや、水晶振動子を備えないLC発振回路に対して適用することも可能である。
【0040】
更に、上記実施形態では、バイアスポイントを2点設定しておき、2種類の発振信号F1,F2が交互に出力されるようにしていた。本発明はこれに限らず、3点以上のバイアスポイントを設定して、3種類以上の発振信号が選択的に出力される構成としてもよい。また、上述した各周波数はそれに限るものではない。
【0041】
【発明の効果】
以上のように、本発明では、発振回路に備えられた発振用トランジスタに対するバイアスポイントを、電波法の規制を遵守可能なタイミングで切り換え、これによって簡単な発振回路で周波数の異なる複数種類の発振信号を選択的に出力することができるようにしている。このため、バイアス切換手段による制御信号の切り換えに伴って、周波数の異なる複数種類の発振信号を選択的に出力することが可能となり、また、各バイアスポイントの継続時間を、電波法で規制される制限時間よりも短く設定することにより、電波法の規制を遵守することができる。その結果、従来のPLL周波数シンセサイザを使用した場合に比べて回路部品が大幅に削減され、しかも発振信号の切り換えによって受信器に対する継続した出力が可能となり、無線通信装置の回路構成の簡素化と信頼性の確保とを両立することが可能になる。
【0042】
また、受信器として、発振用トランジスタに対するバイアスポイントの切り換に伴って変化する発振信号の周波数の全帯域をカバーする周波数帯の発振信号を受信可能に構成している。このため、送信器からの発振信号の周波数切り換えタイミングに同期して受信すべき周波数を切り換える構成は採用することなしに、送信器が送信する発振信号の全ての帯域に亘って信号受信が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態に係る起動スイッチの送信器の発振回路を示す図である。
【図2】2種類の発振信号の切り換えタイミングを説明するための図である。
【符号の説明】
1 発振回路
2 クリスタル発振回路
3 水晶振動子
5 変調制御ライン(バイアス切換手段)
Tr 発振用トランジスタ

Claims (4)

  1. スイッチが押されることにより発振信号を送信する送信器と、この送信器からの発振信号を受信可能な受信器とを備えた無線通信装置において、
    上記送信器は、発振回路に備えられた発振用トランジスタに対するバイアスポイントを、予め定められた複数のバイアスポイント同士の間で切り換えるバイアス切換手段を備えており、
    上記バイアス切換手段は、上記スイッチが押し続けられた場合に、電波法で規制される制限時間よりも短い時間間隔で上記発振用トランジスタに対するバイアスポイントを切り換えることにより、上記スイッチが押されている間、継続して発振信号を送信するよう構成されていることを特徴とする無線通信装置。
  2. 請求項1記載の無線通信装置において、
    送信器は、水晶振動子を備えたコルピッツ型のクリスタル発振回路を備えており、
    バイアス切換手段は、水晶振動子の入力ラインに接続されて制御信号を複数段階で切り換えることにより、発振用トランジスタに対するバイアスポイントを切り換えるよう構成されていることを特徴とする無線通信装置。
  3. 請求項2記載の無線通信装置において、
    バイアス切換手段は、水晶振動子の入力ラインに接続された抵抗を有する変調制御ラインを備えており、この変調制御ラインに対する制御信号のHi,Loを切り換えることにより発振用トランジスタに対するバイアスポイントを切り換えるよう構成されていることを特徴とする無線通信装置。
  4. 請求項1〜のうち何れか一つに記載の無線通信装置において、
    受信器は、発振用トランジスタに対するバイアスポイントの切り換に伴って変化する発振信号の周波数の全帯域をカバーする周波数帯の発振信号を受信可能に構成されていることを特徴とする無線通信装置。
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