JP4060928B2 - 緩衝機能付き包装体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、陶器、ガラス製品、ガラスボトル、精密機器等の衝撃に弱い物品を衝撃から保護する緩衝機能性のある包装体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、陶器、ガラス製品、ガラスボトル、精密機器等の物品に対して物流時に商品が受ける衝撃から物品を保護するために包装材自体に緩衝機能のある段ボールを使用するばかりか、物品と段ボールとの間に発泡性プラスチック、パルプモールド製品等種々の緩衝材が使用されている。
また、物品の区画、底上げ等に使用される中仕切、ゲスも緩衝機能を有しており、主として複数個の物品が詰め合わされるギフト商品、キットとしての組合せ商品等に多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、段ボール等の緩衝性のある包装材料に加えて物品の形状に応じて成形された発泡性プラスチックやパルプモールド製品等の緩衝材を使用することは、コスト高になるばかりか、ストックスペースを必要としたり、使用後の廃棄や処理が容易でないという問題がある。また、物品に対する緩衝効果を高めるためには、物品全体を上記のような緩衝材で被覆せざるを得ないので、一旦そのように包装されると消費者あるいは販売者にとって中身を透視できないという不便さがある。
一方、中仕切あるいはゲスだけでは、水平方向の衝撃吸収性はあっても、上下方向には物品の押さえが効かず緩衝性は期待できないという問題がある。
本発明は、前述の問題点に鑑みてなされたもので、従来の緩衝材を排除することによって、低コストで、しかも物品を透視できる緩衝機能性のある包装体の提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために本発明による緩衝機能付き包装体は、物品が載置される底板と、前記底板の一辺に側板を介して連接されており、折線と切れ目線で形成される中仕切に前記物品の一部が収容される中仕切板と、前記底板の他辺に側板を介して連接されており、前記中仕切と対応する領域に打抜部が形成され、該打抜部に緩衝機能性フィルムが貼付けられたフィルム支持板を備えた一枚のブランクから組立てられたカートンで構成され,前記中仕切に前記物品を収容した後に前記中仕切板と前記フィルム支持板を固定して前記中仕切から突出した前記物品の表面を前記緩衝機能性フィルムで押さえ込むように包装したことを構成とするものである。また、前記カートンは、前記底板の別の他辺にスリットを有する側板が連接され、前記フィルム支持板の端部に突起辺が形成され、前記スリットと前記突起片を係合したことを構成とするものである。さらに、前記カートンにおいて、前記中仕切が複数形成されていること、前記底板の物品が載置される領域に緩衝片が貼着されていること、前記カートンが、前記中仕切と対応する領域に打抜部が形成された外箱に収容されたことを構成とする。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下,本発明を図面を用いてさらに詳しく説明する。
「中仕切」なる用語は、単に物品を箱内で区画するだけでなく、一般に箱内で折り込まれて物品を持ち上げるように作用する所謂「ゲス」の機能を合わ持つものとして使用する。
図1は、本発明による緩衝機能付き包装体のカートンを形成するカートンブランクの一態様を示す展開図である。
カートンブランク10の材質は、対象となる物品の大きさ、重さ等によって異なるが、比較的厚手の板紙、あるいはEフルート段ボール等が好適に使用される。
図1に示すように、本発明による緩衝機能付き包装体のカートンを形成するカートンブランク10は、底板1の4辺に折線a,fを介して4枚の側板2、3が連接され、このうちの対向する側板2の一方には、中仕切板4と糊代N1とがこの順に折線b,cを介して連接され、他方の側板2には、フィルム支持板5と糊代Nとがこの順に折線d,eを介して連接されている。
中仕切板4においては、物品A用の中仕切6Aと物品B用の中仕切6Bとが、切れ目線h,h’と折線g,g’,g”とによって形成できるようになっている。
フィルム支持板5においては、物品Aと物品B用の打抜部M1,M2が設けられていて、打抜部M1の方には、緩衝機能性フィルムFが打抜部M1の周辺の接着領域Sでいわゆる窓貼りされている。
また、側板3の中段と折線dに沿ってスリット8が設けられている。またこれらに差し込まれる突起片9がフィルム支持板5の対向する2辺と折線cに沿って設けられている。これらは、フィルム支持板5と中仕切板4を底板1に対向して所定のレベルに固定するために使用されるものである。
さらに、底板1の物品が載置される所定の位置には緩衝片7が貼着されている。これは物品によっては使用されない場合もある。
【0006】
図2は、本発明による緩衝機能付き包装体の組み立て説明図である。
図2(a)は、図1に示すカートンブランク10から成形され、物品が詰め込まれた状態のカートン20−1の斜視図である。
本発明による緩衝機能付き包装体20に詰め込まれる物品の数は一個であっても、図2(a)のように2個以上であってもよい。また図2(a)に示すように、特定な物品(図2ではA)に限って衝撃から保護するようにしてもよい。
この特定な物品とは衝撃に弱い物品であることは当然であるが、中仕切によって左右、上下方向に位置が固定されにくい物品総てが対象となる。例えば、物品の表面が曲面、球面であったり、また不定型である場合に中仕切だけでは固定しにくい場合があり、このような場合に、本発明による緩衝機能付き包装体20は特に効果的に使用できる。
【0007】
図2(a)に示すような形状にカートン20−1をカートンブランク10から組み立てる方法について説明する。
先ず、フィルム支持板5の打抜部M1に緩衝機能性フィルムFを接着領域Sで窓貼りしておく。また必要に応じて底板1の物品Aが当接する位置に緩衝片7を貼着させておく。
次いで、サック貼り機でフィルム支持板5側の折線aと折線bとでカートンブランク10を三つ折りして、フィルム支持板5側の側板2と糊代N1とを糊付けして、フラットな折り畳みカートンとする。以上の折り畳みによって、図1に示すように配列している、糊代N1,中仕切板4、側板2、底板1、側板2、フィルム支持板5、糊代N2は糊代N1を最内部として丁度巻き折りされた状態となる。
以上のフラットな折り畳みカートンを受け取ったユーザーは、これを起こして筒状体とし、折線cに沿って設けられている突起片9を、折線に沿って設けられたスリット8に差し込んで係止させる。次いで、最上部のフィルム支持板5を一旦外側に折り返して外し、現れる中仕切板4の中仕切6Aと6Bに対して上部からそれぞれ物品Aと物品Bとを詰め込んで中仕切を形成すると同時に物品A,Bを中仕切6A,6Bによって固定させ、最後にフィルム支持板5を中仕切板4上に戻し、糊代N2を中仕切板4側の側板2に接着させると同時に、最後に側板3を折り曲げて、側板3の中段に設けられているスリット8にフィルム支持板5の突起片9を差し込んで係止させるとフィルム支持板5は、緩衝機能性フィルムFが物品Aの上部を押さえ込んだ状態で固定される。
物品Bの方は、衝撃保護をあまり必要とせず、また中仕切6Bによって固定し易い形状にあるので緩衝機能性フィルムFによる押さえは必要としない。
【0008】
図2(b)は、外箱20−2の一態様を示す斜視図である。
外箱20−1には、物品A,Bの位置に応じて打抜部が設けられていて中身物品A,Bが透視できるようになっている。
この外箱20−2の形態は、図2(b)に示すようなスリーブ状の外箱であるが、スリーブ状に限定されることなく、例えば、身蓋箱であってもよい。
【0009】
図3は、本発明による緩衝機能付き包装体の緩衝機能の説明図である。
図3(a)は、図2(a)に示すカートン20−1におけるx−x断面である。
図3(a)に示すように、横断面が円形状のガラスボトルのような物品Aは、通常の中仕切だけでは固定が難しく、中仕切6Aとフィルム支持板5に窓貼りされた緩衝機能性フィルムFによって押さえ込まれ、さらに、底板1に貼着された緩衝片7と当接して、水平方向と垂直方向から受ける衝撃を緩和させるようになっている。
また、フィルム支持板5と中仕切板4は、いずれも側板2の上辺で上述のように固定されている。この場合、フィルム支持板5のレベルは物品Aの最高部よりも下にあって、フィルム支持板5に窓貼りされた緩衝機能性フィルム7が物品Aの上部を底板に対して押さえつけるように作用している。
図3(b)は、底形状が広くてフラットな物品Cについて適用されるカートン20−1の断面図である。この場合には、中仕切6Cは、底板1上でさらに折り返されて、物品Cの下側を支持することが可能である。従って、カートンブランク10の素材がE段ボールあるいは、比重が小さいく、弾性係数の高い板紙等であれば、緩衝片7の使用を省くことができる。
また、図3には縦断面図は省略されていて図示されていないが、物品Aの頭部と底部も中仕切6Aに当接し、緩衝作用を受けるようになっている。
物品Bは、中仕切6Bだけで、固定し易い形状であるので、緩衝機能性フィルムFによる上部からの保護は削除されている。また、図示はされていないが、比較的軽量の物品においては、中仕切が若干折れ曲がった状態で、物品を空中に浮かした状態で保持することもできる。
複数の物品が詰め合わされる場合には、そのうちの壊れやすい特定な物品に対してのみ緩衝機能性フィルムFによる固定を行えばよい。ただし、フィルム支持板5には、それ以外の物品を透視できるように、それらに対応する打抜部Mを開けておくことが全物品を透視させる点で好ましい。
【0010】
緩衝機能性フィルムFは引張弾性が大きく、且つ引張強さのある透明なプラスチック素材が好適に使用される。その物性は、物品の重量、物品のトップの形状、コスト等を勘案して適宜選択して用いることができる。素材的には、ポリオレフィン系樹脂が一般的であるが、ポリウレタンエラストマー等のフィルムも好適に使用することができる。
緩衝片7には、段ボール、発泡プラスチックシート等の適宜な緩衝性を持たせた小片を底板1に接着して使用することができる。それらの緩衝性も物品に応じて適宜選択すればよい。
なお、カートン20−1と外箱20−2の素材は板紙、段ボールいずれでもよいが、大型でなく、重量が少ない物品に対してはコストの余りかからない板紙の使用が好ましい。
【0011】
【発明の効果】
本発明によれば、従来の緩衝材を全く使用しないで中仕切と透明な緩衝機能性フィルムFを組合せて物品を衝撃から保護することによって、トータルコストを削減することができ、しかも内部の物品をかなりの面積で透視させることができる。
さらに、従来の緩衝材に代わって緩衝機能性フィルムFを窓貼りしたフィルム支持板5と中仕切板4を他のパーツと共にフラットに折り畳んだ状態で供給できるので、省スペース化が可能であり、使用後も折り畳んで減容化することができるので廃棄性に優れた効果をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による緩衝機能付き包装体のカートンを形成するカートンブランクの一態様を示す展開図
【図2】本発明による緩衝機能付き包装体の組み立て説明図
【図3】本発明による緩衝機能付き包装体の緩衝機能の説明図
【符号の説明】
1 底板
2、3 側板
4 中仕切板
5 フィルム支持板
6A 物品A用の中仕切
6B 物品B用の中仕切
6C 物品C用の中仕切
7 緩衝片
8 スリット
9 突起片
10 本発明による緩衝機能付き包装体のカートンのカートンブランク
20 本発明による緩衝機能付き包装体
20−1 本発明による緩衝機能付き包装体のカートン
20−2 本発明による緩衝機能付き包装体の外箱
a〜g 折線
h 切れ目線
A,B,C 物品
F 緩衝機能性フィルム
M 打抜部
N 糊代
Claims (5)
- 物品が載置される底板と、前記底板の一辺に側板を介して連接されており、折線と切れ目線で形成される中仕切に前記物品の一部が収容される中仕切板と、前記底板の他辺に側板を介して連接されており、前記中仕切と対応する領域に打抜部が形成され、該打抜部に緩衝機能性フィルムが貼付けられたフィルム支持板を備えた一枚のブランクから組立てられたカートンで構成され、前記中仕切に前記物品を収容した後に前記中仕切板と前記フィルム支持板を固定して前記中仕切から突出した前記物品の表面を前記緩衝機能性フィルムで押さえ込むように包装したことを特徴とする緩衝機能付き包装体。
- 前記カートンは、前記底板の別の他辺にスリットを有する側板が連接され、前記フィルム支持板の端部に突起辺が形成され、前記スリットと前記突起片を係合したことを特徴とする請求項1記載の緩衝機能付き包装体。
- 前記カートンは、前記中仕切が複数形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の緩衝機能付き包装体。
- 前記カートンは、前記底板の物品が載置される領域に緩衝片が貼着されていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の緩衝機能付き包装体。
- 前記カートンが、前記中仕切と対応する領域に打抜部が形成された外箱に収容されたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の緩衝機能付き包装体。
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