JP4060720B2 - 高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法 - Google Patents
高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
化学工場、製油工場、または工場跡地などで多く見られる地盤汚染物質の種類としては、揮発性有機化合物、油、重金属などがあり、従来、それぞれの汚染物質に対応した浄化処理技術が実施されている。
【0003】
汚染土壌地盤を掘削により地上に搬出し、良質な地盤に置換する場合、地上から全面掘削する方法が一般であり、従来の掘削方法としては、(1)開削による掘削、(2)ライナープレート(深礎工)による掘削、(3)オールケーシング工法による掘削等がある。しかし、汚染地盤中の汚染物質を完全に浄化除去するためには、多大な労力・費用を要しており、例えば、汚染地域全域を完全に掘削してその掘削土を浄化する方法(掘削置換法)の場合には、完全を期すために汚染されていない部分まで掘削する必要があり、その掘削量は膨大となることが多く、しかも、掘削した汚染土の処理(焼却処理)費用も嵩む。
【0004】
また、揚水ばっき法や土壌ガス吸引法のように、地盤中に井戸を設置して周辺の汚染物質を回収する方法については、高濃度(例えば環境基準の数千〜数万倍)の汚染物質を低濃度に低下させることには有効な方法ではあるが、機能的にさらにそれ以下に低下させることは困難であり、長期間(例えば3年〜5年)では再度汚染物質が蓄積し、再度の浄化の必要も生じる。
【0005】
汚染地盤を処理費用が嵩まず、また長期間を必要とせずに浄化することができる汚染地盤の浄化処理方法として、高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工事としては、下記特許文献がある。
【0006】
【特許文献1】
特開2001−162262号公報
【特許文献2】
特開2001−311140号公報
【0007】
前記特許文献1は、汚染物質が深部の難透水層まで侵入した場合の汚染地盤の浄化処理方法であって、地中の汚染地盤内の所定深さまで削孔する削孔工程と、その削孔内にウォータージェット装置を挿入してウォータージェットによって水を還流する水噴射工程と、水の還流によって汚染物質を地上に排出除去する汚染物質排出工程と、さらにウォータージェット装置によって透水材料を噴射し透水材料と置換する透水材料置換工程とを有することを特徴とする汚染地盤の浄化処理方法である。
【0008】
この特許文献1の方法によれば、地盤中の汚染部分のみをピンポイントで浄化・除去することができ、余計な掘削作業が不要であるので、処理費用が嵩まず、また長期間を必要とせずに汚染土壌を浄化することができる。
【0009】
前記特許文献2は、改良するべき地盤にボーリング孔を穿孔する穿孔工程と、穿孔されたボーリング孔内に挿入された噴射モニタから地盤改良材及び水を地盤中に噴射して地盤の掘削及び地盤改良材との混合を行いつつ前記噴射モニタを引き上げて地中固結体を造成する噴射工程とを含み、該噴射工程に先立って前記水に還元剤を混合する工程を含むことを特徴とする有害物質処理工法である。
【0010】
この特許文献2の方法によれば、地中固結体を造成する際に、還元剤を混入した水が地盤を掘削して、細かく切り刻む。そのため、地盤中の有害物質は還元剤と良好に接触し、還元されて無害化する。従って、造成された地中固結体は完全に無害化されている。そして、無害化された地中固結体で有害物質を含有する領域を包囲すれば、有害物質の拡散は当該地中固結体により抑制される。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、高圧ジェットによるジェットグラウト工法は、周知のごとくボーリングマシンによって目標深度まで削孔したのち、ロッド下端から改良材(グラウト)を超高圧で噴射し、地盤を切削すると同時に土粒子とグラウトを混合攪拌するか、もしくは置換により円柱状の固結体を造成する工法であり、使用するロッドが二重管であるか、三重管であるかで、JSG工法とコラムジェット工法に分類される。
【0012】
JSG工法は図12に示すように羽根ビット2を先端に有するモニター3を設けた二重管1を使用し、空気を伴った超高圧硬化材液6を地盤中に回転して噴射させ地盤を切削し、スライム(排泥)4を地表に排出させると同時に円柱状の固結体5を造成するものであり、コラムジェット工法は図13に示すように、モニター7を設けた三重管8を使用し、空気を伴った超高圧水(高圧ジェット水)9を地盤中に回転して噴射させて地盤を切削し、そのスライム(排泥)4を地表に排出させるとともに硬化材10を同時に排出して充填させ、円柱状の固結体5を造成するものである。
【0013】
このようなジェットグラウト工法を用いて汚染土壌の地盤改良工事を行う場合に、汚染された土壌はスライム(排泥)4として地表に排出させることになる。しかし、その排出時に土被り部の健全土壌Aとスライム(排泥)4の接触によって健全土壌Aが汚染されてしまうおそれがある。
【0014】
なお、図15に示すようにケーシング11で防護する方法も考えられるが、ケーシング11と地盤との隙間に汚染物質が回ってしまい、汚染を回避できない。
【0015】
本発明の目的は前記従来例の不都合を解消し、改良するべき地盤にケーシングガイドによるボーリング孔を穿孔する穿孔工程と、穿孔されたボーリング孔内に挿入された切削ロッドから高圧ジェット水を地盤中に噴射して地盤切削を行うとともに汚染土を切削ロッド周囲を通して地上に排出する噴射切削工程と、この地盤切削箇所に流動化硬化材を打設する流動化硬化材打設工程とからなる高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法において、掘削した孔を介して健全土壌が汚染されてしまうことを簡単かつ確実に防止することができる高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記目的を達成するため、改良するべき地盤にケーシングガイドによるボーリング孔を穿孔する穿孔工程と、穿孔されたボーリング孔内に挿入された切削ロッドから高圧ジェット水を地盤中に噴射して地盤切削を行うとともに汚染土を切削ロッドの周囲を通して地上に排出する噴射切削工程と、この地盤切削箇所に流動化硬化材を打設する流動化硬化材打設工程とからなる高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法において、前記穿孔工程前に地上から前記地中固結体形成エリアに至るまで削孔し、この削孔内にモルタルを充填し、前記穿孔工程におけるボーリング孔はモルタル充填部分を貫通するように穿孔してモルタル充填部の残りの部分はプロテクトホールとし、前記汚染土を切削ロッドの周囲を通して地上に排出するのはプロテクトホール内を上昇させて行うことを要旨とするものである。
【0017】
請求項1記載の本発明によれば、高圧ジェットにより部分的な掘削を行い、汚染土壌を地上に搬出するので、汚染土壌の掘削では土被り部は小径の削孔ですむことから、深度が深く部分的な掘削で効率的な施工が可能となり、比較的小さい施工機械で行うので、既設構造物の直下に汚染土壌の掘削も施工スペースがあれば適応可能となる。
【0018】
さらに、モルタル充填部分はその中央にボーリング孔が中央に貫通するように形成されるが、残りの部分が地上から前記地中固結体形成エリアに至るまでの健全土壌をプロテクトするものとして存在し、汚染土壌での排泥がボーリング孔を通り上昇する際にも健全土壌と接触することはない。
【0019】
請求項2記載の本発明によれば、流動化硬化材充填は地盤中の見えないところで行われるが、その完了を確実に知ることができ、施工の信頼性が向上する。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図面について本発明の実施の形態を詳細に説明する。図1〜図4は本発明の高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法の各工程を示す側面図で、図1(a)に示すようにボーリングマシン12やアースドリル等の掘削機で地上から地中固結体形成エリア(第1ステージ汚染土壌)13の上端に到るまで削孔14する。この削孔14は後述の高圧ジェット水噴射ロッドを挿入するためのガイドホールの削孔径よりも太径(例えば約2倍)のものとする。なお、前記ボーリングマシン12による削孔の場合には削孔水を伴う掘削となる。
【0021】
次に、図1(b)に示すように削孔14内にモルタル15を打設・充填(セメンテーション)してモルタル柱を形成し、(c)に示すように口元装置設置用のジョイント部16を設置・養生する。
【0022】
図2(a)に示すようにジョイント部16に口元装置(ガイドホール削孔用)17をセットし、ケーシング18によるボーリングマシンで、モルタル15のモルタル充填部を貫通して地中固結体形成エリア(第1ステージ汚染土壌)13の最深部に到るまでボーリング孔によるガイドホール削孔を行う。モルタル15のモルタル充填部の残りの部分はプロテクトホールとなる。
【0023】
図5〜図9にこのジョイント部16および口元装置(ガイドホール削孔用)17の概要を示す。このうち、ジョイント部16はドーナツ状で適宜間隔でボルト16aを立設したベース板16bを上端板として管体16c(ガス管200a)を設けたものである。
【0024】
また、口元装置17は前記ベース板16bにボルト止めするドーナツ状の脚板17aに円筒状のハウジング17bを立設したものであり、このハウジング17bはパッカ21の配設を行うための上部体22aと、その下に位置し、排出口23を有する下部体22bとかなり、これら相互はフランジ接合として間に図8に示すようなドーナツ状の止水ゴム24を挟み込む。図中27はベース板16bと脚板17a間に挟み込むOリングである。
【0025】
上部体22aはパッカ21の係止用の段部26を下端内周に形成し、さらに、上部内周面にネジ(図示せず)を形成し、図9に示すようなハンドル25aを有する押管25をパッカ21の押さえとしてこのネジを介して螺合できるようにした。
【0026】
前記ケーシング18によるボーリングマシンでモルタル15のモルタル充填部を貫通してガイドホール削孔を行う場合に、水を吐出しながら行うが、地中固結体形成エリア13での汚染水はケーシング18に沿ってモルタル15のプロテクトホール内を上昇し、口元装置17に入り、排出口23から排出されて処理される。
【0027】
図2(b)に示すようにケーシング18内に噴射モニタから高圧ジェット水を地盤中に噴射する切削ロッド19を挿入し、同図(c)に示すようにケーシング18を引き抜いた後、口元装置(ガイドホール削孔用)17を口元装置(切削・流動化硬化材打設用)20に再セットする。
【0028】
図10〜図12に示すように、口元装置(切削・流動化硬化材打設用)20も前記口元装置(ガイドホール削孔用)17と同じ構成であり、円筒状のハウジング20bは前記ベース板16bにボルト止めするドーナツ状の脚板20aを有し、また、このハウジング20bはパッカ21の配設を行うための上部体22aと、その下に位置し、排出口23を有する下部体22bとかなり、これら相互はフランジ接合として間に図11に示すようなドーナツ状の止水ゴム24を挟み込む。図中27はベース板16bと脚板20a間に挟み込むOリングである。
【0029】
上部体22aはパッカ21の係止用の段部26を下端内周に形成し、さらに、上部内周面にネジ(図示せず)を形成し、図9に示すようなハンドル25aを有する押管25をパッカ21の押さえとしてこのネジを介して螺合できるようにした。
【0030】
切削ロッド19は先端のモニター19a部分から水+空気の高圧ジェット水(ウォータージェット水)28を地盤中に吐出噴射して地盤切削を行うものであり、回転させて上下動することで、円柱状の地盤切削が可能である。
【0031】
図3(a)に示すように、前記切削ロッド19を地中固結体形成エリア13の最深部から上端部まで引き上げて最初の切削を行い、次いで、図3(b)に示すように、下降させ、また、上昇させるなどターニングを行う。
【0032】
この高圧ジェット水(ウォータージェット水)28での地中固結体形成エリア13の切削では、切削された汚染土はスライムとして切削ロッド19の外周に沿ってモルタル15のプロテクトホール内を上昇し、口元装置(切削・流動化硬化材打設用)20に入り、排出口23から排出されて処理される。
【0033】
切削ロッド19を引き抜き、図3(c)に示すように打設管29を挿入し、図4(a)に示すように打設管29で前記地中固結体形成エリア13の切削箇所に流動化硬化材30を打設する。この流動化硬化材30は前記排出口23から排出されて処理された汚染土壌から洗浄処理後の土部分を発生土として再利用し、これに水中不分離材を添加してさらに流動化処理したものである。
【0034】
図4(b)に示すように流動化硬化材30は地中固結体形成エリア13を満たし、余剰のものは打設管29の外周に沿ってモルタル15のプロテクトホール内を上昇し、口元装置(切削・流動化硬化材打設用)20に入り、排出口23から排出される。これにより、流動化硬化材30が高圧ジェット水(ウォータージェット水)28での地中固結体形成エリア13の切削箇所を充填したことを知ることができる。
【0035】
図4(c)に示すように打設管29を引き抜き、口元装置20を撤去し、モルタル15のプロテクトホール内を洗浄して施工を完了する。
【0036】
【発明の効果】
以上の述べたように本発明の高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法は、改良するべき地盤にケーシングガイドによるボーリング孔を穿孔する穿孔工程と、穿孔されたボーリング孔内に挿入されたロッドから高圧ジェット水を地盤中に噴射して地盤切削を行うとともに汚染土をロッド周囲を通して地上に排出する噴射切削工程と、この地盤切削箇所に流動化硬化材を打設する流動化硬化材打設工程とからなる高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法において、掘削した孔を介して健全土壌が汚染されてしまうことを簡単かつ確実に防止することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法の1実施形態を示す第1〜3工程を示す側面図である。
【図2】 本発明の高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法の1実施形態を示す第4〜6工程を示す側面図である。
【図3】 本発明の高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法の1実施形態を示す第7〜9工程を示す側面図である。
【図4】 本発明の高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法の1実施形態を示す第10〜12工程を示す側面図である。
【図5】 口元装置(ガイドホール削孔用)の縦断側面図である。
【図6】 ジョイント部の側面図である。
【図7】 ジョイント部の平面図である。
【図8】 口元装置(ガイドホール削孔用)の止水ゴムの平面図である。
【図9】 口元装置(ガイドホール削孔用)のパッカ部の平面図である。
【図10】 口元装置(切削・流動化硬化材打設用)の縦断側面図である。
【図11】 口元装置(切削・流動化硬化材打設用)の止水ゴムの平面図である。
【図12】 口元装置(切削・流動化硬化材打設用)のパッカ部の平面図である。
【図13】 JSG工法の説明図である。
【図14】 コラムジェット工法の説明図である。
【図15】 汚染防護としてケーシング使用例を示すの説明図である。
【符号の説明】
1…二重管 2…羽根ビット
3…モニター 4…スライム(排泥)
5…円柱状の固結体 6…空気を伴った超高圧硬化材液
7…モニター 8…三重管
9…超高圧水(高圧ジェット水) 10…硬化材
11…ケーシング 12…ボーリングマシン
13…地中固結体形成エリア 14…削孔
15…モルタル 16…ジョイント部
16a…ボルト 16b…ベース板
16c…管体 17…口元装置(ガイドホール削孔用)
17a…脚板 17b…ハウジング
18…ケーシング 19…切削ロッド
19a…モニター
20…口元装置(切削・流動化硬化材打設用)
21…パッカ 22a…上部体
22b…下部体 23…排出口
24…止水ゴム 25…押管
25a…ハンドル 26…段部
27…Oリング 28…高圧ジェット水
29…打設管 30…流動化硬化材
Claims (2)
- 改良するべき地盤にケーシングガイドによるボーリング孔を穿孔する穿孔工程と、穿孔されたボーリング孔内に挿入された切削ロッドから高圧ジェット水を地盤中に噴射して地盤切削を行うとともに汚染土を切削ロッドの周囲を通して地上に排出する噴射切削工程と、この地盤切削箇所に流動化硬化材を打設する流動化硬化材打設工程とからなる高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法において、前記穿孔工程前に地上から前記地中固結体形成エリアに至るまで削孔し、この削孔内にモルタルを充填し、前記穿孔工程におけるボーリング孔はモルタル充填部分を貫通するように穿孔してモルタル充填部の残りの部分はプロテクトホールとし、前記汚染土を切削ロッドの周囲を通して地上に排出するのはプロテクトホール内を上昇させて行うことを特徴とした高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法。
- 流動化硬化材の打設は打設管に口元装置を設置し、この口元装置に流動化硬化材の還流が見られた時に地盤切削箇所への充填が完了したことを認識する請求項1記載の高圧ジェットによる汚染土壌の地盤改良工法。
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