JP4060490B2 - 光記録媒体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体に関し、特に最外層の印刷受容層が熱転写プリンター等で良好な印刷ができる光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、CD−R/RWやDVD−R/RWに代表されるような光ディスクが個人ユーザによっても広く使用されるようになり、音楽関係者を始めコンピューターによって自作のCD−ROMを作成する人が珍しくない。このような個人情報を保管、管理、配布、販売等をする際には、ディスクの表面に記録内容を明示しておくことが必要である。
【0003】
現在、市販されているCDでは、油性ペンで筆記可能で、ブランド名の印刷されているものや水性のインクジェットプリンターによって印刷が可能なタイプがあるが、前者は1枚づつ手書きするため時間と手間がかかる上、バラツキがあり見栄えが良くない。後者は表面が親水性であることから印刷画面の保存性やにじみといった問題があり、特にバーコード等の印刷には不向きである。このようなことから、にじみが少なく、印刷画面の保存性に優れた光記録媒体が望まれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記のような問題を解決する印刷方法として、熱転写プリンターやコピー機に使用されるトナーを用いた印刷方法が開発されている。従来市販されている最外層に保護層を備えるタイプのものでは、樹脂の種類によって表面がインクを受容しなかったり、印刷抜けが多く発生し良好な画像が得られない場合もある。またインクジェットプリンターによって印刷可能なタイプでは印刷特性や製造上の問題からシリカ等の微粉を添加している場合が多く、そのため表面が粗くなり、熱転写プリンターなどでは印刷抜けが多く発生する。また印刷時に熱と力が加わるため記録層にダメージを与える可能性が強い。
【0005】
関連する特許公報として、特開平7−169100号公報には最外層に吸水性または吸油性を有する有機フィラーや無機フィラーを含有させる、また特開平8−161769号公報には最外層にポリビニルアセタール樹脂と水分散性樹脂または水溶性樹脂を含有させる、また特開平8−153341号公報には記録層に耐熱性の色素を用い、かつ保護層上に熱転写による印刷部を設ける、とするものなどがある。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、記録層にダメージを与えることなく、熱転写プリンター等で良好な印刷ができる光記録媒体を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、第一に、透明基板上に少なくとも記録層、反射層、保護層及び印刷受容層を備えた光記録媒体において、上記記録層に無機記録材料を用い、かつ上記印刷受容層が紫外線硬化樹脂と非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤を含有することを特徴とする光記録媒体が提供される。
記録層に無機記録材料を採用することにより、有機記録材料を用いた場合に比較して耐熱性及び耐応力性が優れ、熱転写プリンターやトナーを用いて印刷する際、記録面にダメージを受け難い。また印刷受容層中に非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤を含むため、層形成の際に重要な消泡効果を失わずして、熱転写プリンターやトナーによる印刷において良好な印刷画像を得ることができる。
【0008】
第二に、上記第一に記載した光記録媒体において、上記非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤が上記印刷受容層の組成比(重量比)で10%未満添加されていることを特徴とする光記録媒体が提供される。
上記非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤の添加量は上記印刷受容層の重量組成比で10%未満が最適であり、これにより熱転写プリントまたはトナーによる印刷において良好な印刷画像を得ることができる。
【0009】
第三に上記第一または第二に記載した光記録媒体において、上記印刷受容層の塗膜光沢が変角光沢計で50以上であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
上記塗膜光沢の印刷受容層とすることにより表面平滑性が向上し、プリント画像を形成したとき、まだらの発生の抑制や色の再現性を向上させることができる。
【0010】
第四に、上記第一、第二または第三に記載した光記録媒体において、上記印刷受容層が着色されてなり、かつ、着色成分の混合比率(重量比)が50%以下であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
着色により印刷面の色を様々に設定できることからデザインの自由度を大幅に広げることができる。さらに着色成分を50%以下にすることから成膜時の硬化性を良好に保つことができる。
【0011】
第五に、上記第一、第二、第三または第四に記載した光記録媒体において、上記印刷受容層と保護層との間に中間層を設けることを特徴とする光記録媒体が提供される。
中間層を設けることにより、使用中に発生しうる不意の衝撃や引っ掻き傷などから記録したデータを守ることが可能になり、安定した記録再生動作を行うことができる。さらに任意に着色された中間層を選択すれば、印刷表面色を自由に設定することが可能である。
【0012】
第六に、上記第一、第二、第三、第四または第五に記載した光記録媒体において、前記印刷受容層の表面硬度がJIS鉛筆硬度試験でHB以上であることを特徴とする光記録媒体が提供される。
表面硬度をHB以上にすることで、上述と同様、使用中に発生しうる不意の衝撃や引っ掻き傷などから記録したデータを守ることができ、安定した記録再生動作を行うことができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について説明する。
本発明の光記録媒体は、その構成として透明基板上に、少なくとも記録層、金属反射層、保護層及び印刷受容層を備え、特性を向上させるために保護層と印刷受容層との間にさらに中間層を積層させてもよい。
【0014】
まず本発明の光記録媒体に用いられる透明基板としては、代表的なものとしてポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂などのプラスチックまたはガラスが挙げられる。この透明基板上にはスパイラル状の案内溝が形成される。
【0015】
透明基板上に形成される光記録層には、本発明の場合、80℃の高温下に300時間放置したとき及びレーベル面に300g/mm2の圧力をかけたときに記録面の劣化、すなわちエラーの増加が実質的にないような無機材料を用いることが望ましい。例えば光熱磁気効果により記録を行うTb−Fe−CoやDy−Fe−Co等の希土類遷移金属合金や相変化をするGe−Te、Ge−Sb−Te、Ag−In−Sb−Teなどのようなカルコゲン系合金を含むものが用いられる。もちろん上記要請を満たすものであれば、これらに限定されるものではない。これらの層は、一般的には作業性からスパッタリング法で形成される場合が多いが、それだけに限定されない。
【0016】
光記録層上に形成される光反射層は、Au、Ag、Cu、Ni、Al、Pt等の金属や合金材料が用いられ、真空蒸着法やスパッタリング法、イオンプレーティング法によって形成される。
【0017】
保護層は重合反応によってポリマーとなる有機モノマーとポリマーを架橋反応させることで設けられる。材料としてはアクリレート系やメタクリレート系などの紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂、放射線硬化樹脂が望ましいが、これらに限定されない。また、さらに必要に応じて希釈剤や顔料、染料を添加してもよい。保護層はスピンコート法などで形成される。
【0018】
本発明においては、この保護層上に印刷受容層を形成するが、保護層が印刷受容層を兼ねるものであってもよい。また、DVDのように2枚のディスクを貼り合わせる場合、透明基板上に直接印刷受容層を形成してもよい。
【0019】
この印刷受容層に含有させる紫外線硬化樹脂材料としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、クロロヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、グリセリン(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、フェニルグリシジルエーテル(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAエポキシ樹脂のジ(メタ)アクリレートなどのアクリレート樹脂等が挙げられる。
【0020】
これらの樹脂に架橋性モノマーを加えてもよく、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタジエニルジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートなどが用いられる。
【0021】
紫外線硬化させるにはラジカル開始剤が必要で、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、4−フェノキシ−2,2−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン等のプロピオフェノン系、2−クロロアントラキノン等のアントラキノン系、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系が挙げられる。これらは通常組成比(重量比)にして1〜10%である。1種類でも、また2種類以上を混合使用してもよい。
【0022】
さらに本発明では非シリコーン系または変性シリコーン系の消泡剤の少なくとも一方を加える。従来、消泡剤は主にシリコーン系のものが使用されているが、熱転写やトナーによる印刷方法では色材が表面にうまく転写しない。
【0023】
非シリコーン系消泡剤の例を挙げると、2−エチルヘキサノール、ジイソブチルカルビノール、オレイン酸、トール油、ソルビタンラウリン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸モノエステル、ソルビタンオレイン酸トリエステル、低分子量ポリエチレングリコールオレイン酸エステル、ノニルフェノールEO低モル付加物、プルロニック型EO低モル付加物、ポリプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール誘導体、アクリル酸とブタジエンの共重合体などの有機極性化合物系や鉱物油系消泡剤、メタノール、エタノール、イソプロパノール、sec−ブタノール、n−ブタノール等の低級アルコール系消泡剤がある。
変性シリコーン系消泡剤とはシリコーン系消泡剤のSiO鎖末端の置換基がメチル基以外のものに置き換えられたものを指す。
【0024】
また、この層には必要に応じて色材となる顔料、染料やシリカ等の増粘剤を添加してもよい。この層を形成する方法としてはスピンコート法やスクリーン印刷方法が挙げられる。これらの方法で層を形成することによって、薄く層形成することが可能となり、光記録媒体の反りを抑えることができる。しかしながら、これらの方法に限定はされない。
【0025】
保護層と印刷受容層の間には必要に応じて第2保護層、弾性層、着色層等の中間層を設けてもよい。
【0026】
【実施例】
以下、実施例により本発明を説明する。
ポリカーボネート透明基板上にAg−In−Sb−Teを用いた記録層、Ti−Alを用いた光反射層、さらに保護層を備えた光記録媒体上に次の(1)〜()の組成からなる印刷受容層をそれぞれ形成し、種類の試料を得た。なお、%は重量基準である。
(1)
エポキシアクリレート 45%
エチルジエチレングリコールアクリレート 42%
光反応開始剤 5%
着色顔料 5%
シリコーン系消泡剤(ポリシロキサン) 3%
(2)
エポキシアクリレート 45%
エチルジエチレングリコールアクリレート 42%
光反応開始剤 5%
着色顔料 5%
非シリコーン系消泡剤(ポリプロピレン誘導体) 3%

エポキシアクリレート 45%
エチルジエチレングリコールアクリレート 42%
光反応開始剤 5%
着色顔料 5%
変性シリコーン系消泡剤(変性ポリシロキサン) 1%
【0027】
以上のようにして得られた3種類の光記録媒体についてRIMAGE社製熱転写プリンターにより印刷テストを行った。判定基準として、○:印刷性が非常に良好(印刷抜けが無い)、△:印刷性が良好、×:印刷性が悪い(印刷抜けが有る)、を用いた。結果を表1に示す。また、上記印刷時に記録層に与えるダメージを評価した。このテストには上記(2)の印刷受容層を形成した試料No.2と、記録層にシアニン色素を用いたCD−Rの保護層上に上記(2)の印刷受容層を形成した比較品について、Audio development社製CD−CAT’Sを用い、BLER値を測定した。測定結果を表2に示す。表2にはトナープリントの場合のBLER値も併記した。
【0028】
【表1】
Figure 0004060490
【0029】
【表2】
Figure 0004060490
【0030】
【発明の効果】
以上のように請求項1の発明は、記録層に無機記録材料を採用することにより、有機記録材料の場合と比較して耐熱性及び耐応力性が優れ、熱転写プリンターやトナーを用いて印刷する際、記録面にダメージを受け難い。また印刷受容層中に非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤を含むため、層形成の際に優れた消泡効果を示すと共に熱転写プリンターやトナーによる印刷においてインクの受容性が良く、また印刷抜けもなく、良好な印刷画像を得ることができる。
【0031】
請求項2の発明は、上記非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤を組成比(重量比)で10%未満添加するもので、最適な添加量であり、これにより熱転写プリントまたはトナーによる印刷において良好な印刷画像を得ることができる。
【0032】
請求項3の発明は、上記印刷受容層の塗膜光沢が変角光沢計で50以上とするものであり、表面平滑性にすぐれ、熱転写プリントまたはトナーによる印刷において良好な印刷画像を得ることができる。
【0033】
請求項4の発明は、上記印刷受容層が着色されており、かつ、着色成分の混合比を50%以下にする、とするもので、着色により印刷面の色を様々に設定でき、デザインの自由度を大幅に広げることができる。さらに着色成分を50%以下にすることから成膜時の硬化性を良好に保つことができる。
【0034】
請求項5の発明は、上記印刷受容層と保護層との間に中間層を設ける、とするもので、これによれば印刷時にかかる熱や応力から記録層を守ることが可能である。さらに任意に着色された中間層を選択すれば印刷表面の色を自由に設定することも可能である。
【0035】
請求項6の発明は、上記印刷受容層の表面硬度がJIS鉛筆硬度試験でHB以上である、とするもので、これによれば印刷時にかかる熱や応力で表面に傷が入るのを防ぎ、記録層を守ることができる。

Claims (6)

  1. 透明基板上に少なくとも記録層、反射層、保護層及び印刷受容層を備えた光記録媒体において、前記記録層に無機記録材料を用い、かつ前記印刷受容層が紫外線硬化樹脂と非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤を含有することを特徴とする光記録媒体。
  2. 請求項1記載の光記録媒体において、前記非シリコーン系または変性シリコーン系消泡剤が前記印刷受容層の組成比(重量比)で10%未満添加されていることを特徴とする光記録媒体。
  3. 請求項1または2記載の光記録媒体において、前記印刷受容層の塗膜光沢が変角光沢計で50以上であることを特徴とする光記録媒体。
  4. 請求項1、2または3記載の光記録媒体において、前記印刷受容層が着色されてなり、かつ、着色成分の混合比率(重量比)が50%以下であることを特徴とする光記録媒体。
  5. 請求項1、2、3または4記載の光記録媒体において、前記印刷受容層と保護層との間に中間層を設けることを特徴とする光記録媒体。
  6. 請求項1、2、3、4または5記載の光記録媒体において、前記印刷受容層の表面硬度がJIS鉛筆硬度試験でHB以上であることを特徴とする光記録媒体。
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