JP4059364B2 - ヒト脊柱インプラントの２つの離間した細長いロッドを連結させるための手段 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒト脊柱インプラントの２つの離間した細長いロッドを連結させるための手段に関する。
【０００２】
【従来の技術】
ヒトの脊柱の脊椎骨の復元化、再配置、転位等を目的として、適当なインプラント(implant)を埋め込むことが知られている。インプラントは、普通、脊椎骨の肉茎(pedicle)内にねじ止めされるように作製された肉茎ねじを含む。該肉茎ねじ、及び他の適当な手段（例えば、適当な締結手段によって肉茎ねじに取り付けられる細長いロッド）によって脊椎骨同士を連結することが知られている。肉茎ねじの配置に応じて通常互いに平行に延びる細長いロッド(rod)は、しばしば、少なくとも一つの横断する棒状体(transverse bar)によって連結される必要がある。また、この目的のために、適当な手段が知られている。この既知の器具は、外科医が連結手段を埋め込むのに多大の時間を要するという欠点をもつ。ロッド間の間隔、及びロッドの位置は、意味深く種々に異なり、連結手段の適用に関する利用可能性も、限定されている。
【０００３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、簡単な構造を有し、迅速な埋め込みができるヒト脊柱インプラントの２つの離間した細長いロッドを連結するための手段を提供することにある。
【０００４】
本発明のヒト脊柱インプラントの２つの離間した細長いロッドを連結させるための手段は、
口状部（５０）を有し、第一の細長いロッド（６０）の周囲を部分的に把持するように作製されているフック（１４）と、該フックに接続されている横断する棒状体（１２）と、第二の細長いロッドに接続するように作製され、上記横断する棒状体に取り付けられた把持手段とを含み、
上記横断する棒状体（１２）と上記フック（１４）が、ジョイントを介して連結されており、
上記ジョイントが、解除の位置と固定の位置の間を回動できるように作製されたジョイント部分（２０）を有し、
さらに、上記フックの上記ジョイント部分（２０）が上記解除の位置に回動するのを阻止するために、固定用部分（２８）が設けられており、
上記横断する棒状体（１２）に接続された上記ジョイント部分（２０）が、次の構成、すなわち、上記固定の位置にある場合には、上記第一の細長いロッド（６０）が、上記口状部（５０）内に固定され、上記解除の位置にある場合には、上記口状部（５０）を有する上記フック（１４）が、上記第一の細長いロッド（６０）の上に自由に載置され得るような構成を有し、
上記横断する棒状体（１２）と組み合わされている上記ジョイント部分（２０）が、上記フック（１４）の上記口状部（５０）に対向する偏心面（２６）を有することを特徴とする（請求項１）。
【０００５】
上記手段において、上記横断する棒状体と組み合わされている上記ジョイント部分（２０）は、変形可能な固定用部分（２８）を有しており、上記フック（１４）が上記固定の位置まで回動したときに、該フック（１４）の縁部（５８）が、上記固定用部分（２８）の裏側に嵌合されるように、構成することができる（請求項２）。
上記手段において、上記固定用部分（２８）は、円弧状の溝によって形成された円弧状の部分として形づくられるように、構成することができる（請求項３）。
上記手段において、上記フック（１４）が、該フック（１４）が上記固定の位置にあるときに、上記固定用部分（２８）と略同じ高さに位置する貫通孔（４８）を、上記口状部（５０）中に有するように、構成することができる（請求項４）。
【０００６】
上記手段において、上記把持手段は、フック（１６）を含み、該フック（１６）の支持部（６４，６６）が、上記横断する棒状体（１２）を収容するための通路（７０）と、該通路内で上記横断する棒状体（１２）に当接される止めねじ（１８）を収容するための軸方向に螺刻された孔（６８）とを含むように、構成することができる（請求項５）。
上記手段において、上記通路（７０）は、上記横断する棒状体（１２）の挿入を容易にするために、上記支持部（６４，６６）の自由端に対して開放されているように、構成することができる（請求項６）。
上記手段において、上記支持部（６４，６６）の螺刻された孔（６８）は、鋸歯状の側面を有し、尖形の当該側面が、フックの部分（７２）に対向するように、構成することができる（請求項７）。
【０００７】
【発明の実施の形態】
本発明の手段において、横断する棒状体は、フックとのジョイント部を形成している。該フックは、細長いロッドの上に横方向の力を及ぼすために、フック自身の口状部(mouth)を通して細長いロッドを把持し得るように設計されている。フックが、横断する棒状体に対して相対的に種々の異なる位置をとり得ることは、本発明にとって、本質的なことである。解除の位置において、フックの口状部は、細長いロッドを自由に把持したり、離脱させたりすることができる。しかし、ロッドとフックの間の相対的な回動が、固定の位置にまで達した場合には、フックからのロッドの離脱が、阻止される。最も簡単な方法として、この機構は、口状部の入口の領域を狭めることによって、達成される。フックが解除の位置へと回動するのを防ぐために、固定化手段は、固定の位置までフックが回動したときに固定化が有効となるような形で、提供される。
【０００８】
フックと、横断する棒状体は、細長いロッドの上にフックを都合良く載置させることができるように、互いに相対的に、予め定められた角度で交わる。このようにして、細長いロッドへの固定手段の接続が、行なわれる。その後、細長いロッドは、フックに対して、固定の位置に達するまで相対的に回動する。好ましくは、棒状体に組み合わされるジョイントの連結構造は、細長いロッドが、多少、フックの口状部内で締め付けられるように構成される。
【０００９】
横断する棒状体の他端に接続される適当な把持手段によって、第二の細長いロッドとの接続が、行なわれ得る。
フックに対する横断する棒状体の連結は、固定の位置において、フックにかかる張力が、横断する棒状体に対して、おおよそ軸方向に伝達されるようになされるのが、好ましい。これによって、横断する棒状体に張力が働いているときに、比較的小さな力のみが、固定手段に働くことになる。
【００１０】
本発明の一実施態様によれば、フックの口状部の入口部分を狭めること、または、口状部内で細長いロッドを締め付けることは、横断する棒状体に組み合わされるジョイント部分が、フックの口状部に面する偏心面をもつことによって、達成され得る。
【００１１】
本発明の他の実施態様によれば、固定手段は、横断する棒状体に接続されるジョイント部分に付いている変形可能な延設部(extension)を含むことができる。該延設部は、フックが固定の位置に回動したときに、フックの縁部(edge)に嵌合する。好ましくは、固定化のための延設部は、ジョイント部分の中の円弧状の溝(arcuate slot)によって形成されるジョイント部分の円弧状の部分によって形成される。
【００１２】
本発明のさらなる実施態様によれば、フックの口状部(mouth portion)は、固定の位置において固定手段とほぼ同じ高さに位置する貫通孔(throughgoing opening)を有する。これによって、固定手段または固定化のための延設部を縁部から外すために、器具を挿入することが可能になり、それによって、フックは、解除の位置に回動され得ることとなる。
【００１３】
横断する棒状体の他端の把持手段の設計のために、種々の異なる構造の態様が、考えられる。とりわけ、把持手段が、細長いロッドの空間に対する適合性を獲得するために、棒状体によって滑動可能に支持されていることは、必須である。本発明の一実施態様によれば、この把持手段は、また、止めねじの収容のための軸方向の孔と、横断する棒状体を通過させて延出させるための通路とを含む支持部を有するフックによって、形成される。このフックを、横断する棒状体に対して容易に取り付けるために、通路は、支持部の自由端に対して開放されている。これによって、横断する棒状体は、支持部の中に容易に挿入され得る。その後、止めねじ、好ましくは頭部のないねじは、横断する棒状体の上にフックを固定させるために、螺刻された孔内に螺入される。
【００１４】
支持部の螺刻部は、好ましくは、螺刻部の尖形の側面が、口状部に対向するように、鋸刃状の形状を有する。これによって、負荷がかかった際に、脚部が互いに屈曲して反り返り、止めねじがフォーク状の頭部から離脱することが、防止される。そのような螺刻部によって、実質的に、張力のみが脚部に働くことになり、脚部の屈曲が生じないことになる。
【００１５】
次に、添付の図面に基づいて、本発明の態様を説明する。
図１中、手段１０は、実質的に矩形の断面形状をもつ横断する棒状体１２と、第一のフック１４と、第二のフック１６とを有する。第一のフック１４は、ジョイントによって、横断する棒状体１２に接続されている。この点については、後で詳述する。第二のフック１６は、横断する棒状体１２に堅く取り付けられている。第二のフック１６は、止めねじ１８によってフック１６内に固定されている横断する棒状体１２を収容するために、後述の通路を有する。
【００１６】
フック１４、及び横断する棒状体１２とのジョイント部の構造は、図４〜７中でさらに明らかにされる。図４から理解されるように、平円盤状のジョイント部分２０は、貫通孔２２を伴いつつ設けられている。下部の領域では、ジョイント部分２０の円周状の表面２４は、円形状であり、符号２６で示す部分では、偏心した胴は、円弧状の部分２８の方向にへこみ３０を伴って設けられている。円弧状の部分(arcuate segment)２８は、円弧状の溝３２によって形成されている。
【００１７】
フック１４は、支持部３４と口状部３６とを有する。支持部３４は、フォーク状の形状を有し、かつ、各々が貫通孔４２を有する２つの離間された脚部３８，４０を有する。脚部３８，４０は、平円盤状のジョイント部分２０を収容するように作製された凹部４４を形成しており、貫通孔４２，２２は、ジョイント・ピン（図示せず）を挿入できる位置に配置される。フックの部分３６は、凹部４４に対して開放された貫通孔４８を有し、フックの口状部５０まで延びている。表面５２は、凹部４４に面する側の支持部の脚部３８，４０によって形成されている。表面５２は、ジョイント部分の組み立て後、円弧状の部分２８の外側に位置する。組み立て後の位置において、フック１４は、図１及び図２に示すものと比較すると、より上方に回動している。フック１４が、図１及び図２に示される位置まで、横断する棒状体１２に対して相対的に回動した場合には、部分２８の自由端５４は、表面５２によって形成される肩部５８の裏側に嵌合し、元に戻る方向に回動できないようにフック１４を固定する。表面５２は、フックの回動時に、部分２８が内方に放射状にわずかに変形して、それに続いて、部分２８が縁部５８に嵌合するように、形成されている。
【００１８】
仮に、この動作の前に、図２中の符号６０で示されるように、ロッドが、フックの口状部５０の中に挿入され、その後、フックが、図１及び図２中に示される位置に回動されるのであれば、偏心部分２６が口状部の入口領域を限定または狭めるので、ロッド６０は、フック１４の口状部５０内で締め付けられる。上述の通り、フックは、回転させたり、元に回し戻すことができない。こうして、ロッド６０は、口状部５０に安全に取り付けられる。
【００１９】
図８〜図１０中、第二のフック１６が詳細に示されている。図１に示すように、フック１６は、２つの円弧状の支持部６４，６６を有する。支持部６４，６６は、螺刻部を有する。螺刻部の一つは、図１０中の符号６８で示されている。通路７０は、支持部６４，６６間に設けられている。通路７０は、支持部の自由端に対して開放されている。通路は、図１中に示されているように、横断する棒状体１２を収容するように作製されている。止めねじ１８は、棒状体１２をフック１６に固定するために、螺刻部６８内に螺入される。フックの口状部７２は、図示されていない第二の細長いロッドを、軸方向に固定することなく、収容する。螺刻部６８は、螺刻部の側面が、軸に対して実質的に垂直に延びるように、すなわち、当該側面が、口状部７２に対向するように、形成されている。おそらく、口状部７２において生じる張力は、支持部６４，６６に対して、張力として単に伝達されるであろう。こうして、支持部６４，６６は、止めねじ１８の螺合に影響を与えるであろう互いに屈曲することから、回避される。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の手段を示す斜視図である。
【図２】図１に示す手段の一部分を示す側面図である。
【図３】図２に示す部分の平面図である。
【図４】図１に示す手段中のジョイント部分と組み合わされた横断する棒状体を示す側面図である。
【図５】図４に示す部分の平面図である。
【図６】図１に示す手段中の回動可能なフックを示す平面図である。
【図７】図６中の線７−７で切断した断面図である。
【図８】図１に示す把持手段を示す側面図である。
【図９】図８中の矢印９の方向から見たフックを示す側面図である。
【図１０】図９中の線１０−１０で切断したフックを示す断面図である。
【符号の説明】
１０ 手段
１２ 棒状体
１４，１６ フック
１８ 止めねじ
２０ ジョイント
２２，４２，４８ 貫通孔
２４，２６，５２ 表面
２８ 固定手段（固定用部分）
３０ へこみ
３２ 溝
３４，６４，６６ 支持部
３６，５０，７２ 口状部
３８，４０ 脚部
４４ 凹部
５４ 自由端
５８ 固定手段
６０ ロッド
６８ 孔
７０ 通路

Claims (7)

1. 口状部（５０）を有し、第一の細長いロッド（６０）の周囲を部分的に把持するように作製されているフック（１４）と、該フックに接続されている横断する棒状体（１２）と、第二の細長いロッドに接続するように作製され、上記横断する棒状体に取り付けられた把持手段とを含み、
   上記横断する棒状体（１２）と上記フック（１４）が、ジョイントを介して連結されており、
   上記ジョイントが、解除の位置と固定の位置の間を回動できるように作製されたジョイント部分（２０）を有し、
   さらに、上記フックの上記ジョイント部分（２０）が上記解除の位置に回動するのを阻止するために、固定用部分（２８）が設けられており、
   上記横断する棒状体（１２）に接続された上記ジョイント部分（２０）が、次の構成、すなわち、上記固定の位置にある場合には、上記第一の細長いロッド（６０）が、上記口状部（５０）内に固定され、上記解除の位置にある場合には、上記口状部（５０）を有する上記フック（１４）が、上記第一の細長いロッド（６０）の上に自由に載置され得るような構成を有し、
   上記横断する棒状体（１２）と組み合わされている上記ジョイント部分（２０）が、上記フック（１４）の上記口状部（５０）に対向する偏心面（２６）を有することを特徴とする、ヒト脊柱インプラントの２つの離間した細長いロッドを連結させるための手段。
2. 上記横断する棒状体と組み合わされている上記ジョイント部分（２０）が、変形可能な固定用部分（２８）を有しており、上記フック（１４）が上記固定の位置まで回動したときに、該フック（１４）の縁部（５８）が、上記固定用部分（２８）の裏側に嵌合される請求項１に記載の手段。
3. 上記固定用部分（２８）が、円弧状の溝によって形成された円弧状の部分として形づくられた請求項２に記載の手段。
4. 上記フック（１４）が、該フック（１４）が上記固定の位置にあるときに、上記固定用部分（２８）と略同じ高さに位置する貫通孔（４８）を、上記口状部（５０）中に有する請求項１に記載の手段。
5. 上記把持手段が、フック（１６）を含み、該フック（１６）の支持部（６４，６６）が、上記横断する棒状体（１２）を収容するための通路（７０）と、該通路内で上記横断する棒状体（１２）に当接される止めねじ（１８）を収容するための軸方向に螺刻された孔（６８）とを含む請求項１に記載の手段。
6. 上記通路（７０）が、上記横断する棒状体（１２）の挿入を容易にするために、上記支持部（６４，６６）の自由端に対して開放されている請求項５に記載の手段。
7. 上記支持部（６４，６６）の螺刻された孔（６８）が、鋸歯状の側面を有し、尖形の当該側面が、フックの部分（７２）に対向する請求項５又は６に記載の手段。

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