JP4059325B2 - 積層表皮材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、通気性のある積層表皮材の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の表皮材、特に自動車座席用の表皮材には、繊維織物、編物、皮革、樹脂レザー等が用いられてきた。
特に自動車座席用表皮材に対する機能付加のために、繊維織物、編物等通気性の表皮材の裏面に空気の調節機能をもった裏打ち(バッキング)をほどこす提案がなされてきた。たとえば、特開平4−73273号には、活性炭を含む裏打ちをほどこすことによって、臭気(タバコ臭等)の吸収をおこなう例があり、その他にも、吸湿性、調湿性の機能をもった裏打ちに関する出願もなされている。
自動車座席用表皮材は、適度の柔軟性、伸縮性があったほうが座り心地がよく、座席本体へのフィット性も良い。上記の従来の裏打ちによる空気の調節機能付与方法をとると、表皮材がかたく、柔軟性がなくなり、また伸び率が低下するので、風合い、座り心地を損ねる問題があった。また長期の使用において、表皮材に伸縮、折り曲げ等がくりかえし加えられると、皺が発生したり、座席とずれたりする可能性もあった。さらに表皮材の編み目や織目がつまるために通気性が低下し、表皮材裏面への空気の流通が悪くなって、裏打ち材の機能が十分に発揮できなかった。
実願昭63−21639号は、この点に着目した考案であり、「樹脂もしくはラテックスと添加物とからなるバッキング剤を布帛の裏面に塗布した表皮材において、バッキング剤を塗布した部分と塗布していない部分が海島構造をなすとともに、そのバッキング剤を塗布した部分が一様に拡がっている表皮材」によって表皮材としての柔軟性を維持することにつとめている。しかしながらこの場合、バッキング剤を海島構造に一様に塗布するために特別の塗布装置、工程が必要であり、コスト、工数が圧迫される。また、依然としてバッキング剤を特定の厚みに塗布する必要があり、表皮材の柔軟性が低下することは避けられなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記課題を解決するものであって、表皮材としての風合い、柔軟性をそこねることなく、空気の調節機能を付与した積層表皮材の合理的な製造方法を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
課題を解決する本発明の手段は、通気性のある表面材と、空気の調節機能をもった不織布製の裏面材とを、間に熱可塑性樹脂のランダムフィルムを挟んで重ね、押圧、積層することによって積層表皮材を形成する方法であって、前記表面材と前記裏面材とをそれぞれ送り出しながら、先端が表面材の裏面もしくは裏面材の表面に接するようにダイリップを位置させ、スクリュー押出機からごくわずかの押出量でランダムフィルムの原料樹脂を押し出すことによって、ランダムフィルムを形成することを特徴とする等の積層表皮材の形成方法による。
【0005】
【発明の実施の形態】
以下、図面をもとに本発明の好適の実施の形態を説明する。
図1は本発明による積層表皮材10の断面図を示す。通気性のある表面材11と、空気の調節機能をもった不織布製の裏面材13が、間に熱可塑性樹脂のランダムフィルム12を挟んで積層されている。
表面材11として好ましいのは、この用途に公知の各種の繊維編物や織物、シングルジャージ、ダブルジャージ、モケット等であり、一定の通気性をもっていることが好ましい。
熱可塑性のランダムフィルム12は、樹脂のある部位12aと空隙部位12bが相互に多点状ないし多孔質状にランダムに存在する樹脂フィルムである。空隙部位の比率は全面積に対して50〜80%にし、表面材の通気性を大きく損ねないようにする。フィルムの素材はタックタイムが比較的長い(15〜60秒)の反応型ホットメルト樹脂が好ましく、たとえば湿気反応型ウレタン系ホットメルト樹脂は最も適する。フィルムの厚さは目付量で10〜20g/m2 が最も良い。フィルムが厚すぎる(目付が多い)場合は表皮材の風合いを硬くし好ましくない。またフィルムが薄すぎると(目付が少ない)と表面材と裏面材を留めることができず、両者が分離してしまう。
【0006】
空気の調節機能をもった裏面材13としては、吸湿性、放湿性、吸臭性、抗菌性等の機能をもった不織布が好ましい。たとえば活性炭、シクロデキストリン、テルペン類、含水珪酸マグネシウム、シリカゲル、ゼオライト、セピオライト、珪素含有第4アンモニウム塩、ウンデシレン酸混合物等を含浸、ないし分散処理した繊維を含ませるのが好ましい。
不織布の目付量は200〜500g/m2 が適する。目付量が多すぎれば表皮材としての柔軟性がそこなわれ、少な過ぎると不織布の機能が十分に発揮されず、また不織布がやぶれるおそれがある。
【0007】
本発明の積層表皮材の製造工程の例を図2に示す。表面材と裏面材はあらかじめ形成しロールに巻き取って積層工程に供給する。それぞれのロールから表面材11と裏面材13を送りだしながら、間にランダムフィルム12を配し、押圧ローラー20によってこれらを一体に積層して積層表皮材10とする。
ランダムフィルムの形成には好ましい複数の態様がある。まず第1の態様としては、スクリュー押出機の先端にTダイ等の横長のダイ30を取り付け、ダイリップ31を間を十分に狭くして、ダイリップの先端は表面材の裏面(もしくは裏面材の表面)に接するように位置させる(図2)。スクリュー押出機からごくわずかの押出量でランダムフィルムの原料樹脂を押し出すことによって、ダイリップから押し出された原料樹脂は表面材に引かれること、および押し出し量が少ないことからフィルム状態にならず、ランダムな多孔質ないし多点状に形成される。
【0008】
第2の態様としては、樹脂の供給装置の先端にランダムに穿孔した中空ドラムを配し、このドラム内にランダムフィルムの原料樹脂を溶融状態で供給し、前記の穿孔を通してドラムの表面に原料樹脂をランダムに滲出させつつ、このドラムを表面材の裏面(もしくは裏面材の表面)に押接、回転させることによって、ランダムの多点状ないし多孔質フィルムが形成されるものである。
第3の態様としては、押出機の先端にTダイをそなえ、ランダムフィルムの原料樹脂をフイルム状に押し出すと同時に、外周に多数の針を植設したローラーをもって、フィルムに多数の穿孔をしてランダム多孔質フィルムを形成する態様がある。
いずれの態様の場合でも、形成したランダムフィルムが固化する以前に(または必要に応じてヒーターを設置してフィルムを再加熱し)表面材と裏面材でランダムフィルムを挟む形で押圧ロール間で押圧し、可塑化していたランダムフィルムの原料樹脂が再固化する作用によって、積層物を一体化するのが好ましい。得られた積層物を冷却することで、全体として通気性のある柔軟な積層表皮材10が得られる。
【0009】
【発明の効果】
本発明によって、通気性のある積層表皮材を連続的に、高い生産性をもって製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】積層表皮材
【図2】製造工程を示す
【符号の説明】
10・・・積層表皮材
11・・・表面材
12・・・ランダムフィルム
12a・・・樹脂のある部位
12b・・・空隙部位
13・・・裏面材

Claims (3)

  1. 通気性のある表面材と、空気の調節機能をもった不織布製の裏面材とを、間に熱可塑性樹脂のランダムフィルムを挟んで重ね、押圧、積層することによって積層表皮材を製造する方法であって、前記ランダムフィルムは、前記表面材と前記裏面材とをそれぞれ送り出しながら、先端が前記表面材の裏面もしくは前記裏面材の表面に接するようにダイリップを位置させ、スクリュー押出機からごくわずかの押出量でランダムフィルムの原料樹脂を押し出して形成され、ここで前記ごくわずかの押出量とは、前記ダイリップから押し出された前記原料樹脂が前記表面材の裏面もしくは前記裏面材の表面に引かれる工程をもって、フィルム状態にならずランダムな多孔質ないし多点状に形成される量であることを特徴とする、積層表皮材の製造方法。
  2. 通気性のある表面材と、空気の調節機能をもった不織布製の裏面材とを、間に熱可塑性樹脂のランダムフィルムを挟んで重ね、押圧、積層することによって積層表皮材を製造する方法であって、前記ランダムフィルムは、樹脂の供給装置の先端にランダムに穿孔した中空ドラムを配し、このドラム内にランダムフィルムの原料樹脂を溶融状態で供給し、前記の穿孔を通して前記ドラムの表面に原料樹脂をランダムに滲出させつつ、このドラムを前記表面材の裏面、もしくは前記裏面材の表面に押接、回転させることによって、形成することを特徴とする、積層表皮材の製造方法。
  3. 通気性のある表面材と、空気の調節機能をもった不織布製の裏面材とを、間に熱可塑性樹脂のランダムフィルムを挟んで重ね、押圧、積層することによって積層表皮材を製造する方法であって、前記ランダムフィルムは、押出機の先端にTダイをそなえ、ランダムフィルムの原料樹脂をフイルム状に押し出すと同時に、外周に多数の針を植設したローラーをもって、前記フィルムに多数の穿孔をすることによって形成することを特徴とする、積層表皮材の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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CN103362102A (zh) * 2013-07-23 2013-10-23 衡水大众橡塑有限公司 一种自主排气防水膜及其制备方法

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