JP4058615B2 - 超臨界流体を用いた発泡体の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発泡体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、大量に排出される産業廃棄物や家庭廃棄物の処埋が大きな社会問題になっている中、これらの廃棄物に含まれるプラスチックを回収して、再利用(リサイクル)するための研究が盛んに行われている。
【0003】
プラスチックの再利用は、廃棄物処理の問題を解決するためのみならず、資源の有効利用の面から極めて重要である。しかしながら、多くのプラスチックについては未だ十分な再利用技術が確立されていない。例えば、その優れた絶縁特性から、電線・ケーブルの絶縁材料などとして広く用いられている架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどの架橋ポリオレフィンについては、架橋されているため、加熱しても溶融流動性を有しておらず、熱可塑性樹脂のように成型再利用することが困難である。
【0004】
このような現状において、プラスチックの廃棄物を発泡体に加工して、緩衝剤、防音材、断熱材などとして利用する方法が提案されている。例えば、超臨界二酸化炭素を利用して発泡体を製造する方法が特開2000-290417号公報に記載されているが、エラストマーを溶融させる必要があるなど工程が煩雑である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、穏和な条件で発泡体を製造する方法を提供することを主な目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明は、下記の各項に示す方法及び発泡体に係るものである。
項1 発泡体の製造方法であって、
固体プラスチックを、酸化剤の存在下で超臨界二酸化炭素に接触させる工程、及び
圧力を低下させる工程
を含むことを特徴とする発泡体の製造方法。
項2 プラスチックが、熱硬化性プラスチックであることを特徴とする項1に記載の方法。
項3 熱硬化性プラスチックが、架橋ポリオレフィンであることを特徴とする項2に記載の方法。
項4 架橋ポリオレフィンが、架橋ポリエチレンであることを特徴とする項3に記載の方法。
項5 酸化剤が、過酸化水素であることを特徴とする項1に記載の方法。
項6 架橋ポリオレフィン100重量部に対して、酸化剤を0.05〜5重量部用いることを特徴とする項1に記載の方法。
項7 8〜20MPa、50〜150℃においてプラスチックを超臨界二酸化炭素と接触させることを特徴とする項1に記載の方法。
項8 圧力を、大気圧以上まで低下させることを特徴とする項1に記載の方法。項9 項1に記載の方法により得られる発泡体。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、プラスチックを、酸化剤の存在下で超臨界二酸化炭素に接触させて、その後、圧力を低下させることにより発泡させる方法である。
【0008】
固体プラスチックとしては、常温で固体のものであって、本発明の製造条件下で固体のまま発泡できるようなものであれば特に限定されるものではなく、熱可塑性プラスチックであっても、熱硬化性プラスチックであってもよい。本発明の方法では、特に熱硬化性プラスチックが好適であり、架橋ポリオレフィンがより好ましい。架橋ポリオレフィンとしては、架橋ポリエチレン、架橋ポリプロピレン、架橋ポリイソブチレン、架橋エチレン・酢酸エチル共重合体、架橋エチレン・酢酸メチル共重合体、架橋エチレン・酢酸ビニル共重合体等が挙げられる。これらの中でも、架橋ポリエチレンが好ましい。架橋ポリエチレンは、高密度架橋ポリエチレンであってもよく、低密度架橋ポリエチレンのいずれであってもよい。また、架橋の方法は、特に限定されるものではなく、たとえば、ガス架橋(窒素ガス中での高温、高圧下での架橋)、電子線架橋、シラン架橋などの方法が挙げられる。本発明の方法において、プラスチックは、2種以上のプラスチックの混合物であってもよい。
【0009】
本発明で用いる酸化剤は、例えば、過酸化水素、オゾン(O3)、塩酸(HCl)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、二クロム酸カリウム(K2Cr2O7)、硝酸(HNO3)、二酸化硫黄(SO2)、硫酸(H2SO4)等が挙げられる。
【0010】
超臨界二酸化炭素とは、一般的に二酸化炭素の臨界温度(31℃)と臨界圧力(7.4MPa)を超えた非凝縮性の高密度流体といわれているものである。
【0011】
本発明の方法では、プラスチックを、酸化剤の存在下に超臨界二酸化炭素と接触させればよく、発泡体が得られる限り、接触させる際の条件は特に限定されるものではない。
【0012】
接触させる際の温度及び圧力は、二酸化炭素が超臨界状態を示す温度及び圧力の範囲内であればよく、例えば、温度を、好ましくは50〜150℃程度(より好ましくは90〜130℃程度)、圧力を、好ましくは8〜20MPa程度(より好ましくは9〜18MPa程度)の範囲で調整することができる。
【0013】
酸化剤の使用量は、プラスチックの種類、発泡体の所望の気泡割合、気泡の粒径等に応じて適宜設定すればよいが、一般に、プラスチック100重量部に対して、0.05〜5重量部程度が好ましく、0.1〜3重量部程度がより好ましい。
【0014】
二酸化炭素の使用量については、プラスチック全体が浸漬するような量であればよく、プラスチックの種類,大きさや形状、発泡体の所望の気泡割合、気泡の粒径等に応じて適宜設定すればよく、通常、プラスチック100重量部に対して、液化二酸化炭素として50〜500重量部程度が好ましく、100〜300重量部程度がより好ましい。
【0015】
プラスチックと超臨界二酸化炭素を接触させる時間は、所望の発泡体が得られる限り特に限定されるものではないが、通常、0.5〜10時間程度が好ましく、1〜5時間程度がより好ましい。
【0016】
プラスチックを超臨界二酸化炭素に接触させた後は、圧力を低下させることにより発泡させる。圧力の低下の程度は、発泡体が得られる限り特に限定されるものではなく、大気圧未満(例えば、1×10-3MPa程度まで)減圧させてもよいが、大気圧以上であってもよい。本発明の方法では、大気圧程度まで圧力を低下させることにより発泡することが可能であり、必ずしも減圧する必要がない。また、本発明では、必ずしも急激に圧力を低下させる必要はなく、圧力を解放し、ゆっくり低下させればよい。大気圧程度まで圧力を低下させる場合には、減圧装置が必要でないので、減圧する場合と比べて容易に発泡体を製造することができる。圧力を低下させる際には、通常、同時に加熱を停止し、温度を低下させる。この場合、加熱を停止し、放冷すればよい。
【0017】
本発明の方法は、バッチ式で行ってもよく、連続反応式などのいずれの方法であってもよい。
【0018】
本発明の方法では、例えば、適当な大きさ(得られる発泡体の用途に応じた適当な大きさ)に切断したプラスチックを容器に入れ、そこに液化二酸化炭素及び酸化剤を添加し、二酸化炭素が超臨界状態となるような温度及び圧力にて保持する。
【0019】
酸化剤の使用形態は、発泡体が得られる限り特に限定されるものではないが、例えば、酸化剤が過酸化水素など、上記に例示したようなものなどの場合には、液状(例えば、水溶液)として用いることができる。水溶液として用いる場合は、通常、0.05〜5重量%程度、好ましくは0.1〜3重量%程度の濃度の水溶液として用いられる。
【0020】
このようにして得られる発泡体は、緩衝剤、防音材、断熱材、照明反射板、建築材料などとして再利用することができる。また、本発明の方法により得られる発泡体は、気泡が均一に含まれ、発泡体の品質が一定となるので、再利用する際に好適である。
【0021】
得られる発泡体の気泡サイズは、発泡体の製造条件によって変わりうるものであるが、例えば、5〜1000μm程度、好ましくは5〜800μm程度、より好ましくは10〜600μm程度である。また、発泡体の気泡密度についても、発泡体の製造条件によって変わりうるものであるが、例えば、50〜30,000個/cm2程度である。
【0022】
本発明には、このようにして得られる発泡体も含まれる。
【0023】
【発明の効果】
本発明によれば、穏和な条件で、プラスチックから発泡体を製造することができる。本発明の方法によれば、気泡が均一に含まれる発泡体を得ることができる。
【0024】
【実施例】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。
【0025】
実施例1〜3及び比較例1〜3
酸化剤(1%H2O2)の存在下で架橋ポリエチレン(以下、「XLPE」という場合がある)を超臨界二酸化炭素に接触させて試験を行った(実施例)。また、酸化剤を用いない場合を比較例とした。
【0026】
実験装置は、流通型反応装置を用いた。まず、XLPE立方体(5mm角)試料約20gを、反応容器(210ml)内のかごに入れ、反応容器をセットした。次いで、保圧弁および安全弁の圧力を所定圧力に設定した。所定圧力の液化二酸化炭素を所定流量で通液し、1%過酸化水素水を、所定流量で通液した。液化二酸化炭素及び過酸化水素水の流量が安定し、系内が置換されたことを確認し、反応容器を所定温度まで昇温した(60分)。
【0027】
反応容器が所定温度に達した後、液化二酸化炭素と過酸化水素水の通液を止め、所定圧力を維持しながら、所定時間保持した。その後、圧力を解放し、放冷した(3〜30分)。反応容器が常温程度まで下がった後、試料を取り出し発泡状態を評価した。
【0028】
各実施例及び比較例における所定圧力、所定流量、所定温度及び所定時間は、表1に示す条件の通りである。
【0029】
【表1】
【0030】
実施例1〜3の方法では、いずれも発泡体が得られた。発泡状態は均一であり、特に実施例3の発泡体は、微細な気泡(光学顕微鏡及びSEMで観察したところ、10μm程度の気泡)が均一に分散した状態であった。これに対して、酸化剤を用いていない比較例では、XLPEがいずれも白濁しており、発泡しなかった。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(A)及び(B)は、発泡処理前のXLPE試料を示す。
【図2】図2(A)及び(B)は、実施例1で得られたXLPE試料を示す。
【図3】図3(A)及び(B)は、実施例3で得られたXLPE試料を示す。
【図4】図4(A)及び(B)は、実施例3で得られたXLPE試料のSEM像を示す。
【図5】図5(A)及び(B)は、比較例2で得られたXLPE試料を示す。
Claims (6)
- 発泡体の製造方法であって、
架橋ポリオレフィンを、酸化剤の存在下で超臨界二酸化炭素に接触させる工程、及び
圧力を低下させる工程
を含むことを特徴とする発泡体の製造方法。 - 架橋ポリオレフィンが、架橋ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 酸化剤が、過酸化水素であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 架橋ポリオレフィン100重量部に対して、酸化剤を0.05〜5重量部用いることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 8〜20MPa、50〜150℃において架橋ポリオレフィンを超臨界二酸化炭素と接触させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
- 圧力を、大気圧以上まで低下させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
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