JP4058211B2 - 微粒子粉末を含む化粧料の製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は微粒子粉末を含む化粧料の製造方法、とくに化粧料における粉末の機能を改善する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
微粒子粉末を配合した化粧料は数多く存在するが、製法的にこれらは油性粉末化粧料と乳化化粧料に大別することができる。
例えば、油性化粧料である油性ファンデーションの製造は、一般に微粒子粉体を含む色材を油性成分とロールミルなどにより混練し、凝集した粉体を一次粒子にまで分散したペースト状の組成物を、固形剤と他の油性成分などを加熱融解したところに添加しディスパーなどで攪拌混合し、充填、成型という方法で行われたり、あるいは粉末部をパルペライザーなどの粉砕機にて事前に粉砕し、それを油性成分とディスパーなどで混合するか、スティック状の場合は、固形剤、油剤を加熱溶解したところに添加しディスパーなどで混合した後、充填、成型という方法で行われる。
【0003】
一方、微粒子粉末を配合した乳化化粧料であるサンスクリーンや乳化ファンデーションの製造は、一般に油中水型乳化の場合、粉末を活性剤を含む油剤中にディスパーやホモジナイザーなどにより分散し、そこに水性成分を添加しホモジナイザーなどで乳化する。また水中油型乳化の場合、粉末を活性剤を含む水性成分にディスパーやホモジナイザーなどにより分散し、そこに油性成分を添加しホモジナイザーなどで乳化する、という方法で行われる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記方法で油性粉末化粧料を製造する場合、事前にロールミル処理工程やパルペライザー粉砕工程が必要となるため製造コスト、製造時間の点で不利となる。ロールミル工程は熟練した技術が必要であり、大量製造ができないなどの問題を抱えている。さらに微粒子粉末のような比表面積が大きなものは、粉末比を大きく下げないとロールミル処理ができない。そのため、微粒子の酸化鉄などは透明感に優れ、紫外線防御効果があることが知られていたが、実際には配合されていないのが現状である。またパルペライザー工程は作業環境が悪く、紫外線防御効果付与の目的で油性ファンデーションに配合される微粒子酸化チタン・微粒子酸化亜鉛の粉砕・分散が充分ではなく、配合量に見合った紫外線防御効果が得られない場合などが存在し、微粒子粉末配合の化粧料の製造方法としては不適である。また透明性、紫外線防御効果の付与が期待できる微粒子酸化鉄の配合も同様の理由で不適であるため、こちらは実施されていないのが現状である。
【0005】
また、前記方法で微粒子粉末を配合した乳化化粧料を製造する場合、紫外線防御効果付与の目的で配合されている微粒子の酸化チタンや微粒子の酸化亜鉛の凝集はほぐれないため、配合量に見合った紫外線防御効果を達成できず、さらにはなめらかな質感が得られにくい、という問題を抱えていた。
【0006】
一方、塗料やインキなどの分野では、近年ロールミルに替わり媒体ミルを顔料分散の手段として用いるようになってきた。この手段はロールミルよりも粉末の粉砕・分散に優れ、微粒子粉末の粉砕・分散も可能であり、さらには大量製造にも適した装置である。また、乳化化粧料に微粒子粉末を配合する目的で、近年微粒子酸化チタンや微粒子酸化亜鉛の油分散体、水分散体が製造されている。この場合、媒体ミルは微粒子粉末を分散させる手段として、原料粉体の中間処理として用いられる。
【0007】
一般的な媒体ミルとは、固形分散媒体としてビーズを用い、予め別の装置で予備混合された粉末と溶媒からなるスラリー状の組成物が、ビーズが充填され、駆動軸と垂直に攪拌ディスクが設置されたタンク内を通過すると、その際に粉末が攪拌ディスクのせん断力とビーズによる衝撃力により粉砕・分散される、という構成のものである。
【0008】
油性化粧料の分野では、媒体ミルは微粒子酸化チタンの分散体の製造(特開平9−208438)、複合粉体の製造方法(特開平9−143030)、及び表面処理粉体の製造方法(特開平7−108156)のような所に応用されているが、どれも連続式のサンドミルと呼ばれる媒体ミルを使用し、また2種以下の粉末しか用いていない。これをそのまま油性粉末化粧料の製造へ応用すると、予備混合装置が分散装置の外に必要である、同一の強い機械力にて分散するため粉砕が好ましくない粉末が配合される粉末化粧料には不適である、分散装置以外にも予備攪拌装置や循環パイプなどを使用するため洗浄が容易にできない、などの問題があった。
【0009】
また、乳化化粧料に関して、これまでの研究では、微粒子酸化チタンの分散体の製造(特開平9−208438)、油分散体およびその製造方法(特許登録6−61457)、及び分散性良好な組成物およびそれを含有する化粧料(特開平10−167946)などがあるが、どれも横型連続式のサンドミルと呼ばれるパイプ、モーターを利用した循環式の媒体ミルを使用している。
【0010】
しかしながら、これら分散体をサンスクリーンや乳化ファンデーションに配合する場合、分散体の供給・コストの問題や、分散体製造までの時間的な制約があり簡単に配合できないのが現状である。
【0011】
そこで、分散体製造から乳化化粧料製造までを一括して行なう製造方法が望まれていた。しかしながら、上記循環式のサンドミルでは、粉末を油剤に分散はできても水相部を添加するところがなく、乳化は不可能であった。また、このタイプの媒体ミルは、分散装置の外に予備混合装置が別個に必要、同一の強い機械力にて分散するため様々なタイプの粉末が配合される乳化化粧料の製造には不適、分散装置以外にも予備攪拌装置や循環パイプなどを使用するため洗浄が容易にできない、などの問題があった。
【0012】
本発明は、前記従来技術の課題に鑑み為されたものであり、その目的は、微粒子粉末を含む化粧料に関し、短時間、容易な操作性、低コスト、さらには配合される粉末の機能を充分に発揮しうる化粧料の製造方法を提供するものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは鋭意検討の結果、事前処理工程を経ず、1つのタンク内において、タンク内攪拌装置を併設した1つの媒体ミルで微粒子の粉末を含む化粧料を製造する方法を見出した。そしてこの方法によれば、タンク内攪拌装置で攪拌され、さらに固形分散媒体を用いて微粒子粉末を含む粉末を分散するため、ロールミル、アトマイザー、ディスパー、ホモジナイザーなどの従来の分散装置に比べ粉末が微分散されるため、油性粉末化粧料においては、なめらかで粉っぽくなく透明感ある紫外線防御効果の高いファンデーションといった微粒子粉末を含む粉末の機能を十分発揮した化粧料を提供することができることを見出した。また、乳化化粧料においては、紫外線防御効果が高く、なめらかな質感といった微粒子粉末を含む粉末の機能を十分に発揮した乳化化粧料を提供することができ、固形分散媒体により乳化工程を行なっているため、乳化安定性にも優れ乳化粒子も細かく、特徴的な使用感としてなめらかでありながらクリーミーな質感を示すものとすることができることも見出し本発明を完成させるに至った。
【0014】
すなわち、本発明にかかる微粒子粉末を含む化粧料の製造方法は、平均粒子径が0.005〜0.5μmの2種以上の微粒子粉末を配合した化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて該微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または該微粒子粉末を含む粉末と水性成分を固形分散媒体により分散して、化粧料を得る方法であって、前記バッチ式媒体ミルが、1つ以上の固形分散媒体が収容されバスケット内部を攪拌するためのバスケット内攪拌装置をもつバスケット部と、1つ以上の予備混合用と分散液流動用とを兼ね備えたタンク内攪拌装置とを別々に同一タンク内に併設し、タンク内攪拌装置で予備混合された前記微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または前記微粒子粉末を含む粉末と水性成分の混合液がバスケット部に流入し、バスケット部内の固形分散媒体により微粒子粉末を含む粉末が分散され、バスケット部外へ分散液として流出し、タンク内攪拌装置により分散液が流動し、再びバスケット部へ一部が流入し循環するように構成され、かつバスケット部を出入りする流体の経路を妨げない位置にタンク内攪拌装置が配置されていることを特徴とする。また、本発明の微粒子粉末を含む化粧料の製造方法においては、固形分散媒体が、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石から選ばれるビーズであることが好適である。
【0016】
また、本発明にかかる微粒子粉末を含む化粧料の製造方法においては、前記バスケット部が側壁に固形分散媒体がバスケット部の外側に流出しない大きさのスリットから成る小孔を多数持つことが好適である。
また、本発明にかかる微粒子粉末を含む化粧料の製造方法においては、前記予備混合用と分散液流動用とを兼ね備えたタンク内撹拌装置が、回転する棒の先端にタービン型の回転翼をとりつけたディスパーであることが好適である。
【0017】
また、本発明にかかる微粒子粉末を含む化粧料の製造方法においては、油性化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末を油性成分に分散して油性粉末化粧料を得ることが好適である。
【0018】
また、本発明にかかる微粒子粉末を含む化粧料の製造方法においては、固形油性化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末を油性成分に分散し、その後固形剤などを添加し、加熱撹拌した後充填成型をして固形油性粉末化粧料を得ることが好適である。
【0019】
また、本発明にかかる微粒子粉末を含む化粧料の製造方法においては、乳化化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末と水性成分を固形分散媒体により分散し、その後、水性成分または油性成分を加え媒体ミルにより乳化し、乳化化粧料を得ることが好適である。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の製造方法に用いられる分散装置であるバッチ式の媒体ミルは、その一態様を示すと図1(A)となる。
図1(A)に示されるように、本発明の製造方法に用いられるバッチ式の媒体ミルは、タンク18内にバスケット部10と、これに併設された予備混合用と分散液流動用とを兼ね備えた1つ以上のタンク内撹拌装置20を備えたものである。上記バスケット部10は上蓋のジャケット28を備えておりロッド16により位置を固定されている。そしてバスケット部10の側壁にはスリットからなる小孔が多数設けられている。また、バスケット部10にはバスケット部10の内部を撹拌するためのバスケット内攪拌装置14が存在する。
【0021】
まず、化粧料原料である微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または微粒子粉末を含む粉末と水性成分は付設したタンク内攪拌装置20にて予備混合され混合液となされた後、装置に取り付けられたバスケット部10の上部にあるバスケット内攪拌装置14の回転軸周囲の開口からバスケット部10内に流入する。
【0022】
ここで、バスケット部10の内部を図1(B)に示す。このバスケット部10の内部には固形分散媒体(ビーズ)22が充填されており、バスケット内攪拌装置14には回転軸と垂直に取り付けられた攪拌ピンディスク26(または撹拌ディスクでもよい)が存在する。この攪拌ピンディスク26には攪拌のためのピン24が存在する。
【0023】
バスケット部10内に流入した混合液は高速回転する攪拌ピンディスク26により、粉末成分中の種々の粉末凝集粒子を固形分散媒体(ビーズ)22が砕いて粉砕・分散し、さらにバスケット部10の側壁に設けられた多数のスリットからなる小孔12から流出する。
【0024】
図1(A)の矢印は全体的な流体の経路を示している。
流出した分散液は前記タンク内撹拌装置20により分散流動し、再び一部がバスケット部10上方の開口部分よりバスケット部10内部に流入しタンク18内を循環する。なお、タンク内攪拌装置20の攪拌部分はバスケット部10を出入りする流体経路を妨げない位置にあることが重要である。バッチ式の媒体ミルとは、このようにしてタンク18内での粉末の分散が均一になるように保たれる工程を有する装置である。このような本発明の微粒子粉末を含む化粧料の製造方法に好適な分散装置としては、特公平8−17930の分散装置が挙げられる。
【0025】
上記バッチ式の媒体ミルに設置されている固形分散媒体(ビーズ)が充填されたバスケット部は、その側壁にスリットからなる小孔を多数有しており、その大きさは使用する固形分散媒体(ビーズ)がバスケット部の外側に流出しない大きさにするので、得られる化粧料には固形分散媒体が含まれることはない。
【0026】
また、上記のように、本発明に好適に用いられるバッチ式媒体ミルは、固形分散媒体が充填されているバスケット部の側壁に小孔が設けられているため、軸の回転により円心力で固形分散媒体が側壁部に集中することにより固形分散媒体の密度が高いところを微粒子粉体を含む粉体が通過するため、分散効率を高くすることができる。
【0027】
本発明における固形分散媒体としては、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石等を原材料としたビーズが使用可能であるが、特にジルコニア製のものが好ましい。また、ビーズの大きさとしては、通常、直径0.3〜2mm程度のものを使用するが、本発明では1mm前後のものが好ましい。
【0028】
また、本発明における予備混合用と分散流動用とを兼ね備えた攪拌装置としては、通常の化粧料製造に用いられる攪拌装置を用いることができるが、回転する棒の先にタービン型の回転翼を取り付けたディスパーを用いることが好適である。
【0029】
次に油性粉末化粧料と乳化化粧料の製造方法についてより具体的に例を示して説明する。
油性粉末化粧料の製造方法の例を示すと、タンク内攪拌装置を有したバッチ式の媒体ミルを用い、油性成分と粉末とをタンク内攪拌装置にて混合した後、媒体ミル部であるバスケット部により分散混合し、その後必要であればワックス部を添加し加熱融解し、所定の金型などに充填成型することにより油性粉末化粧料を得るという方法が挙げられる。その結果、1つのタンク内において、短時間、低コストで多種の粉末を配合した油性粉末化粧料の製造が可能となる。また製造後の洗浄も従来の製造に比べ、大幅に簡単になる。しかも本発明により得られた油性粉末化粧料は、微粒子粉末を含む粉末の粉砕・分散に優れているため油性ファンデーションはなめらかでさらっとした質感で透明感のある仕上り、さらには高い紫外線防御効果を示すものとすることができる。
【0030】
また、乳化化粧料の製造方法の例を示すと、タンク内攪拌装置を有したバッチ式媒体ミルを用い、油中水型乳化化粧料の場合、上記油性成分と粉末とをタンク内攪拌装置にて混合した後、媒体ミル部であるバスケット部により分散混合し、その後水性成分を添加し混合攪拌部によって槽内の分散液を混合しつつ、媒体ミルを用いて乳化を行なうことにより油中水型乳化化粧料を得るという方法が挙げられる。また、上記水性成分と粉末とをタンク内攪拌装置にて混合した後、媒体ミル部であるバスケット部により分散混合し、その後油性成分を添加し混合攪拌部によって槽内の分散液を混合しつつ、媒体ミルを用いて乳化を行なうことにより水中油型乳化化粧料を得るという方法が挙げられる。本製造方法によれば、1つのタンク内において、短時間、容易な操作性、低コストで微粒子粉末配合の乳化化粧料の製造が可能となる。しかも、本発明により得られた微粒子粉末を含む乳化化粧料は、微粒子粉末を含む粉末の粉砕・分散に優れているため高い紫外線防御効果を示し、媒体ミルにより乳化しているため滑らかでクリーミーな質感を示すものとすることができる。
【0031】
本発明における微粒子粉末としては、平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛、微粒子酸化鉄赤、微粒子酸化鉄黄、微粒子酸化鉄黒、微粒子コバルトブルー等が挙げられる。また、上記の微粒子粉末にシリコーンやフッ素、テフロン、脂肪酸、脂肪酸セッケン、ラウロイルリジン等の表面処理を施した微粒子粉末等を用いることができる。微粒子粉末は通常の粉末より紫外線防御効果、透明感等に優れていることが知られている。これらの1種以上を粉末成分1〜60重量%のうち、1〜20重量%を含有せしめることが好適である。1重量%以下では微粒子粉末の効果が発揮できないことがあり、20重量%以上では粉末の比表面積が大きいため油性成分への濡れが悪く粉っぽい質感や成型不良となることがある。
【0032】
本発明においては、微粒子粉末より大きい、すなわち0.5μmより粒径が大きい通常化粧料に配合される粉末も用いることができる。
【0033】
本発明における上記粉末成分としては、酸化チタン、酸化亜鉛、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、群青、酸化セリウム、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、シリカ、ステアリン酸亜鉛、含フッ素金雲母、合成タルク、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、チッ化ホウ素などの無機粉末、ナイロン粉末、ポリエチレン粉末、シリコーン粉末、シリコーン弾性粉末、ポリウレタン粉末、セルロース粉末、PMMA粉末、ポリエチレン粉末などの有機粉末成分、酸化チタン、酸化亜鉛などの無機白色顔料、ベンガラ、黄酸化鉄、黒酸化鉄、カーボンブラック、マンガンバイオレット、コバルトバイオレット、群青、紺青などの無機有色顔料、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚燐箔などのパール顔料、、アルミナなどの金属粉末顔料、赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色305号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、および青色404号や、さらに赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、および黄色203号などのジルコニウム、バリウムまたはアルミニウムレーキなどの有機顔料が挙げられる。また、上記の粉末にシリコーンやフッ素、テフロン、脂肪酸、脂肪酸セッケン、ラウロイルリジン等の表面処理を施した粉末等を用いることができる。これらの1種以上を1〜60重量%含有せしめることが好適である。
【0034】
本発明における油性成分としては、セチルイソオクタノエート、グリセリルトリヘキサノエート、イソプロピルミリステート等のエステル油、ワセリン、流動パラフィン、スクワラン等の炭化水素系油分、ヒマシ油、オリーブ油、椿油、ホホバ油、ラノリン等の天然動植物油などを組合わせて用いる。油性成分は合計25〜90重量%含有せしめることが好適である。
【0035】
本発明において固型の油性粉末化粧料を製造する際には固形剤としてはワックス成分を配合せしめることが好適である。固形剤のワックス成分としては、マイクロクリスタリンワックス、カルナバロウ、キャンデリラロウ、ポリエチレンワックス、セレシンワックスなどを組合わせて用いることができる。ワックス成分は合計3〜25重量%含有せしめることが好適である。
本発明における水性成分としては、グリセリンなどの多価アルコール、エチルアルコールなどの水溶性物質、水等が挙げられる。
【0036】
本発明における化粧料には、更に、界面活性剤、分散剤、安定化剤、着色剤、防腐剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、保湿剤、香料等も本発明の目的を達する範囲内で適宜配合することができる。
【0037】
本発明の製造方法は例えば、アイライナーペンシル、アイブロウペンシル、油性ファンデーション、油性スティックファンデーション、油性アイカラーなどの油性粉末化粧料、乳化サンスクリーン、乳化ファンデーションなどの乳化化粧料の製造に適用される。
【0038】
【実施例】
以下、実施例によって本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
本発明は、微粒子粉末を含む粉末成分1〜60重量%と油性成分25〜90重量%、ワックス成分0〜25重量%を含有する油性粉末化粧料の製造に好適に用いることができる。
また、本発明は、微粒子粉末を含む粉末成分10〜60重量%と油性成分20〜50重量%、水性成分10〜50重量%を含有する乳化化粧料の製造に好適に用いることができる。
【0039】
以下により具体的な実施例について示す。なお、実用特性の評価については後述のとおりである。
実用特性評価
20名の女性パネラーに試料を塗布し、しっとりさ及びなめらかさ、粉っぽさ、均一な仕上り、透明感について評価した。
(評価)
17名以上が良いと回答 ◎
12名〜16名が良いと回答 ○
9名〜11名が良いと回答 △
5名〜8名が良いと回答 ×
4名以下が良いと回答 ××
【0040】
SPF(紫外線防止効果)の評価
Spectro Radiometer法によりin vitro SPF値を測定。
以下、油性化粧料の実施例を示す。
【0041】
<実施例1> 油性スティックファンデーション
表1に実施例1として、油性スティックファンデーションを本発明の製造法にて製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにワックス成分を添加し、タンクを加熱し90〜95℃まで上昇させた後、溶融状態のままスティック成型用金型に流し込み、冷却後スティックファンデーションとした。一方で、比較例1、2では通常の製造方法で製造した。比較例1では、実施例1と同一処方中の粉末成分をパルペライザーで2回粉砕した後、油性成分とワックス成分が加熱溶解されているタンクに添加し、ホモジナイザーにて10分分散・混合した後、実施例と同様な方法でスティックファンデーションを成型した。比較例2では、微粒子粉末を使用せず、通常の酸化鉄を用い比較例1と同様な方法でスティックファンデーションを成型した。
【0042】
【表1】
【0043】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法によるスティクファンデーション実施例1は、微粒子粉末である微粒子酸化鉄黄、微粒子酸化鉄赤、微粒子酸化鉄黒およびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および仕上がり、透明感、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造したスティクファンデーション比較例1および2は、上記微粒子粉末の分散が十分でないため、本発明によるスティクファンデーションより、使用感および仕上がり、透明感、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。また、微粒子粉末は通常の粉末より効果が高いことが知られているが、比較例2に対する比較例3の評価が大きく向上していないことから、通常の製造方法によるスティクファンデーションでは微粒子粉末の効果を生かしきれていないことがわかる。
【0044】
<実施例2> 油性ファンデーション
表2に実施例2として、油性ファンデーションを本発明の製造方法にて製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合し、油性ファンデーションを得た。一方で、比較例3、4では通常の製造方法で製造した。比較例3では、実施例2と同一処方中の粉末成分をパルペライザーで2回粉砕した後、油性成分に添加し、ホモジナイザーにて10分分散・混合して油性ファンデーションを得た。比較例4では、微粒子粉末を使用せず、通常の酸化鉄を用い比較例3と同様な方法で油性ファンデーションを得た。
【0045】
【表2】
【0046】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による油性ファンデーション実施例2は、微粒子粉末である微粒子酸化鉄黄、微粒子酸化鉄赤、微粒子酸化鉄黒およびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および仕上がり、透明感、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した油性ファンデーション比較例3および4は、上記微粒子粉末の分散が十分でないため、本発明による油性ファンデーションより、使用感および仕上がり、透明感、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。また、微粒子粉末は通常の粉末より効果が高いことが知られているが、比較例4に対する比較例3の評価が大きく向上していないことから、通常の製造方法による油性ファンデーションでは微粒子粉末の効果を生かしきれていないことがわかる。
【0047】
<実施例3> 油性スティックファンデーション
表3に実施例3として、油性スティックファンデーションを本発明の製造法にて製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにワックス成分を添加し、タンクを加熱し90〜95℃まで上昇させた後、溶融状態のままスティック成型用金型に流し込み、冷却後スティックファンデーションとした。一方で、比較例5では通常の製造方法で製造した。実施例3と同一処方中の粉末成分をパルペライザーで2回粉砕した後、オイル成分とワックス成分が加熱溶解されているタンクに添加し、ホモジナイザーにて10分分散・混合した後、実施例と同様な方法でスティックファンデーションを成型した。
【0048】
【表3】
【0049】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による油性スティックファンデーション実施例3は、微粒子粉末である微粒子酸化チタンおよびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した油性スティックファンデーション比較例5は、上記粉末の分散が十分でないため、本発明による油性スティックファンデーションより、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。
【0050】
<実施例4> 油性ファンデーション
表4に実施例4として、油性ファンデーションを本発明の製造方法にて製造した。下記の処方中の粉末成分とオイル成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合し、油性ファンデーションを得た。一方で、比較例6では通常の製造方法で製造した。実施例4と同一処方中の粉末成分をパルペライザーで2回粉砕した後、オイル成分に添加し、ホモジナイザーにて10分分散・混合して油性ファンデーションを得た。
【0051】
【表4】
【0052】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による油性ファンデーション実施例4は、微粒子粉末であるステアリン酸アルミ処理微粒子酸化チタンやその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した油性ファンデーション比較例6は、上記粉末の分散が十分でないため、本発明による油性ファンデーションより、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。
【0053】
以下、乳化化粧料の実施例を示す。
<実施例5> 油中水型乳化サンスクリーン
表5に実施例5として、油中水型乳化サンスクリーンを製造法にて製造した。下記の処方中の微粒子粉末成分と油性成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにそこに水性成分を添加し、ディスパーにて槽内を混合させつつ媒体ミルにて乳化し、サンスクリーンとした。一方で、比較例7では通常の製造方法で製造した。実施例5と同一処方中の粉末成分を油性成分に添加し、ホモジナイザーにて10分間分散し、そこに水性成分を添加しホモジナイザーにて乳化しサンスクリーンとした。
【0054】
【表5】
【0055】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による油中水型乳化サンスクリーン実施例5は、微粒子粉末であるステアリン酸アルミ処理微粒子酸化チタンおよびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した油中水型乳化サンスクリーン比較例7は、上記微粒子粉末を含む粉末の分散が十分でないため、本発明による油中水型乳化サンスクリーンより、使用感および仕上がり、透明感、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。
【0056】
<実施例6> 油中水型乳化ファンデーション
表6に実施例6として、油中水型乳化ファンデーションを製造法にて製造した。下記の処方中の微粒子粉末成分と油性成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにそこに水性成分を添加し、ディスパーにて槽内を混合させつつ媒体ミルにて乳化し、ファンデーションとした。一方で、比較例8では通常の製造方法で製造した。すなわち比較例8では、実施例6と同一処方中の粉末成分を油性成分に添加し、ホモジナイザーにて10分間分散し、そこに水性成分を添加しホモジナイザーにて乳化しファンデーションとした。
【0057】
【表6】
【0058】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による油中水型乳化ファンデーション実施例6は、微粒子粉末であるステアリン酸アルミ処理微粒子酸化チタンおよびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した油中水型乳化ファンデーション比較例8は、上記微粒子粉末を含む粉末の分散が十分でないため、本発明による油中水型乳化ファンデーションより、使用感および仕上がり、均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。
【0059】
<実施例7> 油中水型乳化ファンデーション
表7に実施例7として、油中水型乳化ファンデーションを製造法にて製造した。下記の処方中の微粒子粉末成分、粉末成分と油性成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにそこに水性成分を添加し、ディスパーにて槽内を混合させつつ媒体ミルにて乳化し、ファンデーションとした。一方で、比較例9、10では通常の製造方法で製造した。比較例9では、実施例7と同一処方中の粉末成分を油性成分に添加し、ホモジナイザーにて10分間分散し、そこに水性成分を添加しホモジナイザーにて乳化しファンデーションとした。比較例10では、微粒子粉末を使用せず、通常の酸化鉄を用い比較例9と同様な方法でファンデーションを得た。
【0060】
【表7】
【0061】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による油中水型乳化ファンデーション実施例7は、微粒子粉末であるステアリン酸アルミ処理微粒子酸化チタン、微粒子酸化鉄赤、微粒子酸化鉄黄、微粒子酸化鉄黒およびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した油中水型乳化ファンデーション比較例9および10は、上記微粒子粉末の分散が十分でないため、本発明による油中水型乳化ファンデーションより、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。また、微粒子粉末は通常の粉末より効果が高いことが知られているが、比較例10に対する比較例9の評価が大きく向上していないことから、通常の製造方法による油中水型乳化ファンデーションでは微粒子粉末の効果を生かしきれていないことがわかる。
【0062】
<実施例8> 水中油型乳化サンスクリーン
表8に実施例8として、水中油型乳化サンスクリーンを本発明の製造法にて製造した。下記の処方中の粉末成分と水性成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにそこに油性成分を添加し、ディスパーにて槽内を混合させつつ媒体ミルにて乳化し、サンスクリーンとした。一方で、比較例11では通常の製造方法で製造した。実施例8と同一処方中の粉末成分を水性成分に添加し、ホモジナイザーにて10分間分散し、そこに油性成分を添加しホモジナイザーにて乳化しサンスクリーンとした。
【0063】
【表8】
【0064】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による水中油型乳化サンスクリーン実施例8は、微粒子粉末であるステアリン酸アルミ処理微粒子酸化チタンおよびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した水中油型乳化サンスクリーン比較例11は、上記微粒子粉末を含む粉末の分散が十分でないため、本発明による水中油型乳化サンスクリーンより、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。
【0065】
<実施例9> 水中油型乳化ファンデーション
表9に実施例9として、水中油型乳化ファンデーションを製造法にて製造した。下記の処方中の粉末成分と水相成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにそこに油性成分を添加し、ディスパーにて槽内を混合させつつ媒体ミルにて乳化し、乳化ファンデーションとした。一方で、比較例12、13では通常の製造方法で製造した。比較例12では、実施例9と同一処方中の粉末成分を水性成分に添加し、ホモジナイザーにて10分間分散し、そこに油性成分を添加しホモジナイザーにて乳化しファンデーションとした。比較例13では、微粒子粉末を使用せず、通常の酸化鉄を用い比較例12と同様な方法でファンデーションを得た。
【0066】
【表9】
【0067】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による水中油型乳化ファンデーション実施例9は、微粒子粉末である微粒子酸化チタン、微粒子黄酸化鉄、微粒子赤酸化鉄およびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した水中油型乳化ファンデーション比較例12および13は、上記微粒子粉末を含む粉末の分散が十分でないため、本発明による水中油型乳化ファンデーションより、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。また、微粒子粉末は通常の粉末より効果が高いことが知られているが、比較例13に対する比較例12の評価が大きく向上していないことから、通常の製造方法による水中油型乳化ファンデーションでは微粒子粉末の効果を生かしきれていないことがわかる。
【0068】
<実施例10> 水中油型乳化ファンデーション
表10に実施例10として、水中油型乳化ファンデーションを本発明の製造法にて製造した。下記の処方中の水性成分に油性成分を添加し、ディスパーにて槽内を混合させつつ媒体ミルにて乳化した。その後、疎水化処理を施した粉末をバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合し、ファンデーションとした。一方で、比較例14、15では通常の製造方法で製造した。比較例14では、実施例10と同一処方中の粉末成分を水性成分に添加し、ホモジナイザーにて10分間分散し、そこに油性成分を添加しホモジナイザーにて乳化しサンスクリーンとした。比較例15では、微粒子粉末を使用せず、通常の酸化鉄を用い比較例14と同様な方法でファンデーションを得た。
【0069】
【表10】
【0070】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による水中油型乳化ファンデーション実施例10は、微粒子粉末であるステアリン酸アルミ処理微粒子酸化チタン、シリコーン処理微粒子黄酸化鉄、シリコーン処理微粒子赤酸化鉄およびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した水中油型乳化ファンデーション比較例14および15は、上記微粒子粉末の分散が十分でないため、本発明による水中油型乳化ファンデーションより、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。また、微粒子粉末は通常の粉末より効果が高いことが知られているが、比較例15に対する比較例14の評価が大きく向上していないことから、通常の製造方法による水中油型乳化ファンデーションでは微粒子粉末の効果を生かしきれていないことがわかる。
【0071】
<実施例11> 水中油型乳化ファンデーション
表11に実施例11として、水中油型乳化ファンデーションを製造法にて製造した。下記の処方中の粉末成分と水性成分とをバッチ式媒体ミルに付設されたディスパーにて10分間混合し、その後1mmのジルコニアビーズを内蔵したバスケット部を駆動させて30分間分散・混合した。さらにそこに油性成分を添加し、ディスパーにて槽内を混合させつつ媒体ミルにて乳化し、乳化ファンデーションとした。一方で、比較例16では通常の製造方法で製造した。実施例11と同一処方中の粉末成分をパルペライザーにて2回粉砕し、水性成分に添加した後ホモジナイザーにて10分間分散し、そこに油性成分を添加しホモジナイザーにて乳化しファンデーションとした。
【0072】
【表11】
【0073】
上記表の結果より、バッチ式の媒体ミルを用いた本発明の製造方法による水中油型乳化ファンデーション実施例11は、微粒子粉末である微粒子酸化チタン、およびその他の粉末の分散状態がよいので、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)に優れていることがわかる。これに対して、ホモジナイザー等の通常の分散装置のみにより製造した水中油型乳化ファンデーション比較例16は、上記粉末の分散が十分でないため、本発明による水中油型乳化ファンデーションより、使用感および均一な仕上がり、紫外線防御効果(SPF値)において劣っていることがわかる。
【0074】
つぎに、本発明者らは本発明にかかるディスパーを付設したバッチ式媒体ミルと、従来用いられてきた連続式媒体ミル(ダイノーミル)について比較検討を行った。
パウダーカーボン混合樹脂等総量350Lを5μm、2.5μmの粒度にするのに必要な時間を以下に示す。両媒体ミル共に固形分散媒体として、直径1.6mmのチタニアビーズを用いている。
【0075】
【表12】
製造装置名 粒度 ( μm ) パス数 時間 (hr) 連続式媒体ミル 5 1 42.5 2 8
【0076】
上記表の結果より、本発明にかかるバッチ式媒体ミルにおいては、パウダーカーボンを粒度5μmにするのに1.5時間、2.5μmにするのに1.75時間で済むのに対して、連続式媒体ミルにおいては、パウダーカーボンを粒度5μmにするのに4時間、2.5μmにするのに8時間かかっていることがわかる。したがって、本発明の化粧料の製造方法においては、バッチ式にすることによって大幅に製造時間が短縮できることがわかる。
【0077】
つぎに、その他の連続式媒体ミルを含めて、パウダーカーボン混合樹脂等総量で300Lを5μmまで粒度を下げるのに必要な時間を下記表に示す。
【0078】
【表13】
【0079】
上記表の結果より、本発明にかかるバッチ式媒体ミルを用いた製造方法においては、パウダーカーボンの粒度を5μmに下げるのに2〜3時間しかかからないのに対し、連続式媒体ミルにおいては、10〜40時間かかることがわかる。したがって、上記表からも本発明にかかる化粧料の製造方法はその工程時間を短縮するのに極めて有効であることがわかる。
【0080】
【発明の効果】
本発明の微粒子粉末を含む化粧料の製造方法によれば、平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて該微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または該微粒子粉末を含む粉末と水性成分を固形分散媒体により分散しているので、配合される微粒子粉末の機能を充分に発揮しうる化粧料の製造が可能である。
【0081】
また、本発明の微粒子粉末を含む化粧料の製造方法によれば、バッチ式の媒体ミルが、固形分散媒体が収容されバスケット内部を攪拌するためのバスケット内攪拌装置をもつバスケット部と、1つ以上の予備混合用と分散液流動用とを兼ね備えたタンク内撹拌装置とを別々に同一タンク内に併設するので、短時間、容易な操作性で、低コストに微粒子の粉末を含む化粧料を製造することができる。
【0082】
また、本発明の微粒子粉末を含む化粧料の製造方法によれば、油性化粧料を得る際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末を油性成分に分散しているので、得られる油性粉末化粧料を、高い紫外線防御効果を示し、なめらかでしっとりとした使用感触を有し、透明感のある均一な仕上りが得られるものとすることができる。
【0083】
また、本発明の化粧料の製造方法によれば、乳化化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末と水性成分を固形分散媒体により分散しているので、得られる乳化化粧料を、高い紫外線防御効果を示し、なめらかでしっとりとした使用感触を有するものとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる微粒子粉末を含む化粧料の製造方法に関する説明図である。
【符号の説明】
10 バスケット部
12 スリットからなる小孔
14 バスケット内攪拌装置
16 ロッド
18 タンク
20 予備混合用と分散液流動用とを兼ね備えたタンク内攪拌装置(ディスパー)
22 固形分散媒体(ビーズ)
24 ピン
26 攪拌ピンディスク
28 ジャケット
Claims (7)
- 平均粒子径が0.005〜0.5μmの2種以上の微粒子粉末を配合した化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて該微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または該微粒子粉末を含む粉末と水性成分を、固形分散媒体により分散して、化粧料を得る方法であって、
前記バッチ式媒体ミルが、1つ以上の固形分散媒体が収容されバスケット内部を攪拌するためのバスケット内攪拌装置をもつバスケット部と、1つ以上の予備混合用と分散液流動用とを兼ね備えたタンク内攪拌装置とを別々に同一タンク内に併設し、タンク内攪拌装置で予備混合された前記微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または前記微粒子粉末を含む粉末と水性成分の混合液がバスケット部に流入し、バスケット部内の固形分散媒体により微粒子粉末を含む粉末が分散され、バスケット部外へ分散液として流出し、タンク内攪拌装置により分散液が流動し、再びバスケット部へ一部が流入し循環するように構成され、かつバスケット部を出入りする流体の経路を妨げない位置にタンク内攪拌装置が配置されていること
を特徴とする微粒子粉末を含む化粧料の製造方法。 - 請求項1記載の製造方法において、固形分散媒体が、ガラス、アルミナ、ジルコニア、スチール、フリント石から選ばれるビーズであることを特徴とする微粒子粉末を含む化粧料の製造方法。
- 請求項1または2に記載の製造方法において、前記バスケット部が側壁に固形分散媒体がバスケット部の外側へ流出しない大きさのスリットからなる小孔を多数持つことを特徴とする微粒子粉末を含む化粧料の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法において、前記予備混合用と分散液流動用とを兼ね備えたタンク内攪拌装置が、回転する棒の先端にタービン型の回転翼をとりつけたディスパーであることを特徴とする微粒子粉末を含む化粧料の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法において、油性化粧料を得る際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末を油性成分に分散して油性粉末化粧料を得ることを特徴とする微粒子粉末を含む化粧料の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法において、固形油性粉末化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末を油性成分に分散し、その後固形剤などを添加し、加熱攪拌した後充填成型をして固形油性粉末化粧料を得ることを特徴とする微粒子粉末を含む化粧料の製造方法。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法において、乳化化粧料を製造する際、バッチ式の媒体ミルを用いて平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末と油性成分/または平均粒子径が0.005〜0.5μmの微粒子粉末を含む粉末と水性成分を固形分散媒体により分散し、その後、水性成分または油性成分を加え媒体ミルにより乳化し、乳化化粧料を得ることを特徴とする微粒子粉末を含む化粧料の製造方法。
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