JP4057698B2 - 液晶表示素子及びその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示素子、特に強誘電性液晶表示素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
クラーク及びラガーウオルにより提案された強誘電性液晶を用いた液晶表示素子(特開昭56−107216号公報に記載)は双安定性を有し、かつ電界の変化に対する応答が高速であることから、大画面で高精細な液晶表示素子としての応用が期待されている。しかしながら、双安定性を有していることから、中間調の表示が困難という問題があった。
【0003】
これを解決する技術として、我々は先に強誘電性液晶と液晶性(メタ)アクリレートモノマーを含有する液晶組成物を液晶セル中に注入した後、該組成物が強誘電液晶性をしめす温度において直流電圧を印加しながら紫外線を照射し、液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させることによって得られる高分子安定化強誘電性液晶素子を提案した。この素子においては、強誘電性液晶の双安定性は消失するので、中間調の表示が可能になる。そして、この高分子安定化強誘電性液晶素子に電圧を印加していない時の液晶分子の配向方向は、配向膜の容易軸(液晶分子が配向しやすい軸)方向から紫外線照射の際に印加していた直流電圧の極性によって決定する向きに、ある角度だけずれた状態となっている。この角度をメモリー角度と定義すると、通常、このメモリー角度は強誘電性液晶自体のチルト角より若干小さな値となる。従って、紫外線照射の際に印加していた直流電圧と同極性の直流電圧を印加すれば、ある電圧以上では、強誘電性液晶の配向方向は配向膜の容易軸に対してメモリー角度より大きな角度をなすようになる。双安定性は消失しているので、電圧を印加しなくなれば、強誘電性液晶は再び、配向膜の容易軸に対してメモリー角度をなすように配列する。一方、この高分子安定化強誘電性液晶素子に、紫外線照射の際に印加していた直流電圧に対して異極性の直流電圧を印加すると、直流電圧の絶対値に比例して、配向膜の容易軸に対して、今度はメモリー角の方向とは反対方向に、強誘電性液晶の配向方向が傾いていく。この場合でも、双安定性は消失しているので、電圧を印加しなくなれば、強誘電性液晶は再び、配向膜の容易軸に対してメモリー角度をなすように配列する。
【0004】
以上のような動作原理から、この高分子安定化強誘電性液晶表示素子では、絶対値が等しい直流電圧を印加しても、強誘電性液晶分子のふれ角の絶対値が等しくならない。つまり素子として動作させた時、絶対値がおなじ直流電圧を印加しても、おなじ光透過率が得られないという問題があった。これは薄膜トランジスタのようなアクティブ素子を用いて駆動する場合には、素子に望ましくない静電荷をためてしまうことになり、表示の焼き付き等の問題を引き起こす場合があった。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、高分子安定化強誘電性液晶を用いた素子において中間調表示が可能で、かつ表示の焼き付き等の問題がない、液晶表示素子及びその製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は前記課題を解決するために、
1.配向制御膜を付与した一対の電極付基板間に液晶層を挟持することにより構成された単位画素を有する液晶表示素子において、該液晶層が少なくとも液晶性(メタ)アクリレートの光硬化物及び強誘電性液晶を含有し、且つ該単位画素内において少なくとも2種の配向領域を有する配向分割がなされ、このうち少なくとも一つの配向領域では、電圧無印加時における該強誘電性液晶の容易軸からの配向角度が右回りに一定角度Tであり、他の少なくとも一つの配向領域では、電圧無印加時における該強誘電性液晶の容易軸からの配向角度が左回りに一定角度T’であることを特徴とする液晶表示素子。
2.配向角度Tの絶対値と配向角度T’の絶対値の差が2度以内であることを特徴とする上記1記載の液晶表示素子。
3.液晶性(メタ)アクリレートが一般式(I)
【0007】
【化3】
Figure 0004057698
【0008】
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、nは0または1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に、
【0009】
【化4】
Figure 0004057698
【0010】
を表し、mは1〜4の整数を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Zは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数2〜20のアルケニル基を表す。)で表されることを特徴とする上記1又は2記載の液晶表示素子。
4.一般式(I)において、Xは水素原子を表し、nは0を表し、6員環A及びCはそれぞれ独立的に1,4−フェニレン基、または1,4−トランスシクロヘキシル基を表し、Y1は単結合又は−C≡C−を表し、Y3は単結合を表し、Zはハロゲン原子、シアノ基あるいは炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする上記3記載の液晶表示素子。
5.能動素子によって駆動されることを特徴とする上記1乃至4記載の液晶表示素子。
6.(1)配向制御膜を付与した一対または複数の電極付基板間に液晶性(メタ)アクリレートモノマー及び強誘電性液晶を含有する液晶組成物を注入する第1工程、(2)注入した液晶組成物が強誘電液晶性を示す温度を保ち、電極層を介して基板間に挟持された液晶組成物に直流電圧を印加しながら、もしくは印加した後に、単位電極の任意の領域を紫外線に対して不透明なマスクで覆った状態で、紫外線を照射することにより、マスクで覆われてない部分の液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させる第2工程、及び(3)次いで、注入した液晶組成物が強誘電液晶性を示す温度を保ち、電極層を介して基板間に挟持された液晶組成物に(2)で印加した逆符号の直流電圧を印加しながら、もしくは印加した後に、紫外線を照射することにより、マスクを取り除いた状態で未硬化の液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させる第3工程、を有することを特徴とする上記1記載の液晶表示素子の製造方法。
7.配向制御膜が単位画素内での配向分割がなされていることを特徴とする上記6記載の液晶表示素子の製造方法。
を上記課題の解決手段として見出した。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の一例について説明する。
本発明者らは上記課題を解決するため、液晶表示素子の単位画素中の配向状態に着目し鋭意検討した結果、かかる課題が単位画素中を配向分割することによって解決できることを見いだし本発明を提供するに至った。即ち、本発明は、配向制御膜を付与した一対の電極付基板間に配置された液晶層から構成される単位画素を有する液晶表示素子において、液晶層が少なくとも液晶性(メタ)アクリレートの光硬化物と強誘電性液晶を含有しており、かつ単位画素内において少なくとも2種の配向領域を有する配向分割がなされ、配向分割された配向領域の少なくとも一つの領域では、強誘電性液晶は電圧無印加時に配向制御膜の容易軸から右回りに一定の角度Tをもった方向に配向し、他方の領域では、強誘電性液晶は電圧無印加時に配向制御膜の容易軸から左回りに一定の角度T’をもった方向に配向していることを特徴とする液晶表示素子を提供する。尚、本発明で言う容易軸とは、液晶が配向しやすい軸方向のことを意味し、例えば、配向処理法としてラビング法を用いた場合は、ラビング方向に沿った軸のことを指す。
【0012】
本発明の液晶表示素子においては、単位画素中に少なくとも2種の配向領域の配向がお互いに相補的な関係を保つように設定することによって、絶対値が等しい直流電圧を印加しても、おなじ光透過率が得られないという問題を回避する。
【0013】
少なくとも2種の配向領域の配向がお互いに相補的な関係とは、例えば図1に示した単位画素内の配向例(1)のように、電圧無印加時には配向容易軸を挟んでお互いに反対の方向に傾いている状態である。これに正の電圧を印加した場合、印加電圧の絶対値の大きさによって、図2に示した動作例のように液晶分子の配向状態が変化する。また、負の電圧を印加した場合、印加電圧の絶対値の大きさによって図3に示した動作例のように液晶分子の配列が変化する。図2と図3において、V1とV3の絶対値が、V2とV4の絶対値が等しい場合について記載してある。これからわかるように、図1に示した配向例をもった素子では絶対値が等しい直流電圧を印加すれば、おなじ光透過率が得られるのである。実際には、配向領域ごとに偏光フィルムの偏光軸を変化させた2組の偏光フィルムと共に使用するのが特に好ましい。具体的には、偏光フィルムの偏光軸は、電圧無印加時の液晶分子の配向方向に一致または90度の角度をなすようにすると最大のコントラスト比が得られる。
【0014】
また、2種の配向領域の配向がお互いに相補的な関係の例としては、例えば図4に示した単位画素内の配向例(2)がある。これは、図1の単位画素内の配向例(1)では2分割だった配向領域を、さらに増やして6分割にしたものであり、基本的な動作については全く同等である。この分割数をさらに増やせば、用いる偏光フィルムの偏光軸を配向領域ごとに変化させる必要がなくなり、偏光軸は配向容易軸の方向に一致させるか、または90度の角度をなすようにすれば良くなる。従って、分割数を増やすことは、通常の偏光フィルムを使用できる観点から特に好ましい。
【0015】
さらに、2種の配向領域の配向がお互いに相補的な関係の例としては、例えば図5に示したように、電圧無印加時には両方の領域の液晶分子が一致しているが、容易軸がそれぞれ異なった方向にある状態も挙げられる。これに正の電圧を印加した場合、印加電圧の絶対値の大きさによって、図6に示した動作例のように液晶分子の配向状態が変化する。また、負の電圧を印加した場合、印加電圧の絶対値の大きさによって図7に示した動作例のように液晶分子の配列が変化する。図6と図7において、V1とV3の絶対値が、V2とV4の絶対値が等しい場合について記載してある。これからわかるように、図3に示した配向例をもった素子では絶対値が等しい直流電圧を印加すれば、おなじ光透過率が得られるのである。この場合も、用いる偏光フィルムの偏光軸を配向領域ごとに変化させる必要がなくなり、偏光軸は電圧無印加時の液晶の配向方向に一致させるか、または90度の角度をなすようにすれば良い。
【0016】
以上のような配向分割の際、角度Tと角度T’の絶対値はほぼ等しく、好ましくは角度Tと角度T’の絶対値の差が2度以内であることが好ましい。角度Tと角度T’の絶対値の差がこれより大きい場合、絶対値が同じ電圧を印加した時に同じ光透過率が得られるよう配向領域の面積を調節する必要がある。
【0017】
液晶層中における液晶性(メタ)アクリレート化合物の光硬化物の濃度は、0.1から10重量%に調節するのが好ましく、0.5から7重量%に調節するのがさらに好ましく、1から5重量%が特に好ましい。液晶層中における液晶性(メタ)アクリレート光硬化物の濃度が0.1%より低いと、強誘電性液晶の双安定性が消失せず、中間調の表示が困難になる。また10%より多いと、駆動電圧が増大してしまう。光硬化性組成物中に含有される液晶性(メタ)アクリレートとしては、液晶骨格と重合性官能基を分子内に有する化合物であれば特に制限なく用いることができるが、中間調表示と低電圧駆動を両立するためには、重合性官能基と液晶骨格の間にメチレンスペーサーが無い、単官能液晶性アクリレートを用いるのが好ましい。このような化合物としては、例えば一般式(I)
【0018】
【化5】
Figure 0004057698
【0019】
(式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、nは0または1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に、
【0020】
【化6】
Figure 0004057698
【0021】
を表し、mは1〜4の整数を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Zは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数2〜20のアルケニル基を表す。)で表されるものを挙げることができる。その中でも特に、上記一般式(I)において、Xは水素原子を表し、nは0を表し、6員環A及びCはそれぞれ独立的に、1,4−フェニレン基、または1,4−トランスシクロヘキシル基を表し、Y1は単結合または−C≡C−を表し、Y3は単結合を表し、Zはハロゲン原子、シアノ基あるいは炭素原子数1〜20のアルキル基を表す化合物が室温付近の液晶相を発現しやすく、扱いやすいため特に好ましい。また、環A,B,Cのいずれかにピリミジン環を導入した化合物は、スメクチック液晶相を発現しやすく、強誘電性液晶への相溶性にすぐれるため、好適に使用することができる。このような液晶性(メタ)アクリレート化合物の具体的な例としては、式(1)〜(21)に挙げた化合物が好ましいが、本発明の液晶組成物において使用することができる単官能(メタ)アクリレートはこれらに限定されるものではない。
【0022】
【化7】
Figure 0004057698
【0023】
【化8】
Figure 0004057698
【0024】
【化9】
Figure 0004057698
【0025】
(上記中、シクロヘキサン環はトランスシクロヘキサン環を表し、またCは結晶相、Nはネマチック相、Sはスメクチック相、Iは等方性液体相を表し、数字は相転移温度を表す。)これらの化合物の中でも、光学活性基を有する(16)や(17)の化合物を利用すると、螺旋ピッチの微調整や、駆動電圧低減の効果が期待できるので、これらも特に好適に使用することができる。
【0026】
液晶層中に含有される強誘電性液晶は、通常この技術分野で強誘電性液晶と認識されるものであれば、特に制限なく使用することができるが、強誘電性液晶組成物はカイラルスメクチックC相より上の温度領域でスメクチックA相及びネマチック相を呈するものを使用するのが好ましい。
【0027】
配向制御膜は従来用いられているラビング処理を施したポリイミド配向膜を特に制限なく用いることができる。またポリビニルシンナメート薄膜やポリイミド薄膜等に偏光紫外線を照射した、ラビング処理を施していない配向制御膜も用いることができる。
【0028】
液晶層の厚さは、使用する強誘電液晶の屈折率の異方性にも依存するが、1から20ミクロンであることが好ましく、1.5から10ミクロンがさらに好ましく、1.5から6ミクロンが特に好ましい。
【0029】
本発明の液晶表示素子は、双安定性を有していないため、能動素子を用いて駆動するのが好ましいが、能動素子の中でも特に、TFT(薄膜トランジスタ)素子、MIM(メタルインシュレーターメタル)素子、薄膜ダイオード等が好ましい。
【0030】
次に本発明の液晶表示素子の製造方法について説明する。図1や図2に示したような電圧無印加時の配向状態を有する液晶表示素子は、まず配向制御膜を付与した一対または複数の電極間に液晶性(メタ)アクリレートモノマー及び強誘電性液晶を含有する液晶組成物を注入する。その後、注入した液晶組成物が強誘電液晶性を示す温度を保ち、電極層を介して基板間に挟持された液晶組成物に直流電圧を印加しながら、もしくは印加した後に、単位電極の任意の領域を紫外線に対して不透明なマスクで覆った状態で、紫外線を照射することにより、マスクで覆われてない部分の液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させる。さらに、液晶組成物が強誘電液晶性を示す温度を保ち、電極層を介して基板間に挟持された液晶組成物に前の行程で印加した逆符号の直流電圧を印加しながら、もしくは印加した後に、紫外線を照射することにより、マスクを取り除いた状態で未硬化の液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させることにより製造することができる。
【0031】
また、図3のような電圧無印加時の配向状態を有する液晶表示素子は、上記行程にて用いる配向制御膜に、領域ごとに容易軸を変化させた配向膜を用いることによって製造することができる。
【0032】
用いる液晶性(メタ)アクリレートモノマー光硬化を迅速に行う目的で、液晶組成物中に光重合開始剤を添加してもよい。ここで使用することができる光重合開始剤としては、例えば公知のベンゾインエーテル類、ベンゾフェノン類、アセトフェノン類、ベンジルケタール類から選択して使用することができる。その添加量は、液晶組成物中に含有される液晶性アクリレートモノマーに対して、10重量%以下であることが好ましい。
【0033】
また、液晶性アクリレートモノマー及び強誘電性液晶を含有する液晶組成物には、製造プロセスにおける安定性を向上させる目的で、安定剤を添加してもよい。ここで使用することができる安定剤としては、例えば公知のヒドロキノン、ヒドロキノンモノアルキルエーテル類、第三ブチルカテコール類等から選択して使用することができる。またその添加量は、液晶組成物中に含有される液晶性(メタ)アクリレートモノマーに対して0.05重量%以下であることが好ましい。
【0034】
また、光硬化性組成物を高分子化させる行程における紫外線または電子線の照射量は、使用する液晶組成物及び光重合開始剤の濃度にも依存するが、50から10000mJ/cm2の範囲が好ましい。紫外線または電子線の照射量が、50mJ/cm2以下であると、光硬化性組成物が十分に硬化せず、製造後の経時変化が大きくなってしまい、10000mJ/cm2以上であると液晶組成物自体が劣化してしまう傾向がある。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の実施例を示し、本発明を更に詳細に説明する。しかしながら、本発明は実施例に限定されるものではない。
(実施例)
縦1.5cm、横1cmの長方形のITO(インジウムチンオキサイド)透明電極を形成した厚さ1.1mmのガラス基板上に、ポリイミド膜「RN−1199」(日産化学製)を300オングストロームの厚さで形成した後、ラビング処理を施してポリイミド配向膜付きガラス基板を得た。このようにして得た2枚のポリイミド配向膜付き基板を、配向膜が形成された面が内側になるようにして2.0ミクロンの間隔をもって対向させて液晶セル(A)を作製した。この時、液晶セルをなす2枚の基板のラビング方向は、パラレル方向になるように設定した。
【0036】
次に、化合物(1)
【0037】
【化10】
Figure 0004057698
【0038】
50重量部及び化合物(4)
【0039】
【化11】
Figure 0004057698
【0040】
50重量部及び光重合開始剤「イルガキュアー651」(チバガイギー社製)1重量部からなる液晶性アクリレート組成物(a)を調製した。この液晶性アクリレート組成物(a)は、室温でネマチック液晶相を示し、透明点は41℃であった。
【0041】
次に液晶セル(A)を80℃に保ちながら、調製した液晶性アクリレート組成物(a)2重量%及び強誘電性液晶「ZLI−4654−100」(メルク社製)98重量%からなる液晶組成物を注入した。その後、温度を室温まで下げ、液晶組成物をカイラルスメクチックC相まで転移させた。次に、縦1.5cmで横1cmの大きさである透明電極の縦半分の領域、即ち、縦0.75cmで横1cmの透明電極領域をアルミホイルでマスクした。この状態で透明電極間に4Vの電圧を印加しながら、60mJ/cm2の紫外線を照射した。紫外線照射後、紫外線が照射された領域の配向を電圧無印加状態において偏光顕微鏡で調べたところ、液晶分子は容易軸から右に8度傾いていることがわかった。この紫外線が照射された領域部分にセルの両側から偏光フィルムを貼った。この時、片面の偏光フィルムの偏光軸は、容易軸から右に8度傾いた方向と平行方向に、もう片面の偏光フィルムの偏光軸は、容易軸から右に8度傾いた方向と直角方向をなすようした。次に、アルミホイルをはがした後、透明電極間に−4Vの電圧を印加しながら、60mJ/cm2の紫外線を照射した。紫外線照射後、紫外線が照射された領域の配向を電圧無印加状態において偏光顕微鏡で調べたところ、液晶分子は容易軸から左に8度傾いていることがわかった。この領域部分にセルの両側から偏光フィルムを貼った。この時、片面の偏光フィルムの偏光軸は、容易軸から左に8度傾いた方向と平行方向に、もう片面の偏光フィルムの偏光軸は、容易軸から左に8度傾いた方向と直角方向をなすようした。このようにして作製した液晶表示素子の印加電圧−光透過率特性を測定したところ、中間調表示が可能であり、絶対値が同じ電圧を印加した場合、おなじ光透過率が得られることがわかった。この液晶表示素子に振幅が正負3Vで周波数20Hzの方形波を印加したところ、ちらつきがない表示が得られ、焼きつきも起こらなかった。
(比較例)
実施例1で作製したものと同じ液晶セル(A)を80℃に保ちながら、実施例1で調製した液晶性アクリレート組成物(a)2重量%及び強誘電性液晶「ZLI−4654−100」(メルク社製)98重量%からなる液晶組成物を注入した。その後、温度を室温まで下げ、液晶組成物をカイラルスメクチックC相まで転移させた。次に透明電極間に4Vの電圧を印加しながら、60mJ/cm2の紫外線を照射した。紫外線照射後、紫外線が照射された領域の配向を電圧無印加状態において偏光顕微鏡で調べたところ、液晶分子は容易軸から右に8度傾いていることがわかった。次にセルの両側に偏光フィルムを貼った。この時、片面の偏光フィルムの偏光軸は、容易軸から右に8度傾いた方向と平行方向に、もう片面の偏光フィルムの偏光軸は、容易軸から右に8度傾いた方向と直角方向をなすようした。このようにして作製した液晶表示素子の印加電圧−光透過率特性を測定したところ、中間調表示が可能なものの、絶対値が同じ電圧を印加しても、おなじ光透過率が得られないことがわかった。この液晶表示素子に振幅が正負3Vで周波数20Hzの方形波を印加したところ、表示がちらついてしまった。このちらつきを解消するために、駆動電圧にバイアスをかけることを試みたが、表示の焼きつきが生じてしまった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の液晶表示素子は、高分子安定化型液晶表示素子であり、中間調表示が可能で、かつ焼きつきの問題がない。従って、能動素子と組み合わせることによって高品位の表示を達成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液晶表示素子の単位画素内において、電極基板間に電圧を印加していないときの液晶分子の好ましい配向状態例を示す模式図。
【図2】本発明の液晶表示素子の単位画素内において、電極基板間に正の直流電圧を印加したときの液晶分子の配向状態例を示す模式図。
【図3】本発明の液晶表示素子の単位画素内において、電極基板間に正の直流電圧を印加したときの液晶分子の配向状態例を示す模式図。
【図4】本発明の液晶表示素子の単位画素内において、電極基板間に電圧を印加していないときの液晶分子の好ましい配向状態例を示す模式図。
【図5】本発明の液晶表示素子の単位画素内において、電極基板間に電圧を印加していないときの液晶分子の好ましい配向状態例を示す模式図。
【図6】本発明の液晶表示素子の単位画素内において、電極基板間に正の直流電圧を印加したときの液晶分子の配向状態例を示す模式図。
【図7】本発明の液晶表示素子の単位画素内において、電極基板間に正の直流電圧を印加したときの液晶分子の配向状態例を示す模式図。

Claims (7)

  1. 配向制御膜を付与した一対の電極付基板間に液晶層を挟持することにより構成された単位画素を有する液晶表示素子において、該液晶層が少なくとも液晶性(メタ)アクリレートの光硬化物及び強誘電性液晶を含有し、且つ該単位画素内において少なくとも2種の配向領域を有する配向分割がなされ、このうち少なくとも一つの配向領域では、電圧無印加時における該強誘電性液晶の容易軸からの配向角度が右回りに一定角度Tであり、他の少なくとも一つの配向領域では、電圧無印加時における該強誘電性液晶の容易軸からの配向角度が左回りに一定角度T’であることを特徴とする液晶表示素子。
  2. 配向角度Tの絶対値と配向角度T’の絶対値の差が2度以内であることを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子。
  3. 液晶性(メタ)アクリレートが一般式(I)
    Figure 0004057698
    (式中、Xは水素原子又はメチル基を表し、nは0または1の整数を表し、6員環A、B及びCはそれぞれ独立的に、
    Figure 0004057698
    を表し、mは1〜4の整数を表し、Y1及びY2はそれぞれ独立的に、単結合、−CH2CH2−、−CH2O−、−OCH2−、−COO−、−OCO−、−C≡C−、−CH=CH−、−CF=CF−、−(CH24−、−CH2CH2CH2O−、−OCH2CH2CH2−、−CH=CH−CH2CH2−、−CH2CH2−CH=CH−を表し、Y3は単結合、−O−、−COO−、−OCO−を表し、Zは水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、炭素原子数1〜20のアルキル基又は炭素原子数2〜20のアルケニル基を表す。)で表されることを特徴とする請求項1又は2記載の液晶表示素子。
  4. 一般式(I)において、Xは水素原子を表し、nは0を表し、6員環A及びCはそれぞれ独立的に1,4−フェニレン基、または1,4−トランスシクロヘキシル基を表し、Y1は単結合又は−C≡C−を表し、Y3は単結合を表し、Zはハロゲン原子、シアノ基あるいは炭素原子数1〜20のアルキル基を表すことを特徴とする請求項3記載の液晶表示素子。
  5. 能動素子によって駆動されることを特徴とする請求項1乃至4記載の液晶表示素子。
  6. (1)配向制御膜を付与した一対または複数の電極付基板間に液晶性(メタ)アクリレートモノマー及び強誘電性液晶を含有する液晶組成物を注入する第1工程、(2)注入した液晶組成物が強誘電液晶性を示す温度を保ち、電極層を介して基板間に挟持された液晶組成物に直流電圧を印加しながら、もしくは印加した後に、単位電極の任意の領域を紫外線に対して不透明なマスクで覆った状態で、紫外線を照射することにより、マスクで覆われてない部分の液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させる第2工程、及び(3)次いで、注入した液晶組成物が強誘電液晶性を示す温度を保ち、電極層を介して基板間に挟持された液晶組成物に(2)で印加した逆符号の直流電圧を印加しながら、もしくは印加した後に、紫外線を照射することにより、マスクを取り除いた状態で未硬化の液晶性(メタ)アクリレートモノマーを高分子化させる第3工程、を有することを特徴とする請求項1記載の液晶表示素子の製造方法。
  7. 配向制御膜が単位画素内での配向分割がなされていることを特徴とする請求項6記載の液晶表示素子の製造方法。
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