JP4057451B2 - 非接触方式による通信方法、通信システム、外部装置及びrfidタグ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、非接触による通信方法及び通信システム並びに通信システムに用いられるRFIDタグ及び外部装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
機械、在庫品又は生き物を識別したりその動きをチェックする目的で、無線周波数識別(RFID)システムが利用されている。このRFIDシステムはアンテナコイルやメモリ等を有するRFIDタグと、アンテナコイルとRFIDタグからの情報の読み込みとRFIDタグへの情報の書き込みを行うリーダ/ライタモジュールと、リーダ/ライタモジュールの情報を管理するホストコンピューター等により構成される。このRFIDタグは商品の種類等の所定の情報が記憶されており、データキャリアとして例えば、商品等に貼り付けられ、ホストコンピューターにより在庫情報等の管理が行われる。このRFIDタグとリーダ/ライタ間の通信はアンテナコイルを用いて非接触方式により行われるため、接点劣化や機械的ストレスによる不良障害の恐れが少なくすることができる。このRFIDタグは非接触方式のICカードとして用いられ、商品管理等に利用される。
【0003】
このRFIDタグとリーダ/ライタ間の通信方式としてはASK方式が用いられている(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3)。ASK変調を用いることにより、アンテナコイルの導電性部材の影響によって生じる周波数ずれによる通信感度の低下を抑制することができる。RFIDシステムにおいてASK方式を用いる通信方式の1例を以下に説明する。
【0004】
RFIDシステムで送受信されるデータは例えば、9バイトのコマンド情報にエラーチェックに用いられる2バイトのCRCデータ等から構成されている。この1度に送受信されるデータを1フレームのデータとする。書き込み時には、このコマンド情報等がRFIDタグに設けられたメモリに記憶される。書き込み時には、この1フレームのデータは振幅変位変調されてリーダ/ライタからRFIDタグに送信されている。
図5は従来の通信方式により、キャリアを変調するための信号波形を示す図である。2ビットのデータに基づいて変調するために、データの値に応じて図5に示す4種類の波形が用意されている。ここで、00の2ビットデータはlogic“00”の波形で表される。01、10、11の2ビットデータも同様にlogic“01”、logic“10”、logic“11”の波形で表される。4種類の2ビットデータはそれぞれ異なる4種類の9.44μsecの波形により表されている。この時間を単位変調区間とする。例えば、logic“00”の波形では最初の1.18μsecの間、信号がHとなり、その次の1.18μsecの間はLとなる。そして残りの5.9μsecはHとなる。
図5に示すように信号がLレベルとなっている時間はlogic“00”、logic“01”、logic“10”、logic“11”のいずれの波形でも1.18μsecであるが、HからLに変わるタイミングがそれぞれ異なり、単位変調区間の始まりから1.18μsec、3.54μsec、5.90μsec、8.26μsecでそれぞれHからLになる。この4種類の波形により2ビットデータを表している。送信される1フレームのデータに応じて単位変調区間の波形が連続した波形が生成される。例えば、0011と続くデータではlogic“00”の波形とlogic“11”の波形が連続している波形が生成される。このようにして2ビットデータに基づく波形により、複数バイトからなる1フレームのデータを表している。RFIDタグではこの波形に基づいて2ビットのデータが区別されるため、複数バイトのデータの送受信を行うことができる。
【0005】
リーダ/ライタからRFIDタグへの信号の送信時では、ASK方式を用いているため、上述の単位変調区間の波形が連続する信号によってキャリア信号を変調している。キャリア信号には13.56MHzの正弦波が用いられている。よって、13.56MHzの正弦波のキャリアを乗せた信号を出力している。すなわち、波形がLレベルとなっている間はキャリアが乗らず、Hレベルとなっている間だけキャリアが乗るようにしている。この送受信される信号の出力の一例を図6に示す。図6は11のデータと00のデータが連続する部分の出力信号を示す図である。図6では上に11と00が連続している変調用の波形を示し、下にキャリアが乗った出力信号の波形を示している。Aの部分とCの部分では波高(レベル)がLになっているため、キャリアが切れている。Aより前の部分、Bの部分及びCより後の部分ではHレベルであるため、キャリアが乗っている。従って、Aより前の部分、Bの部分及びCより後の部分ではキャリアが送信され、Aの部分とCの部分ではキャリアが送信されていないことになる。なお、キャリアが送信されていない時間をキャリアOFF時間、キャリアが送信されている時間をキャリアON時間とする。
【0006】
そして送信された信号に基づいてキャリアON時間を測り、その時間からデータ認識を行う。具体的にはキャリアON時間の長さはそれぞれのデータ及びその順番により異なるため、1回のキャリアON時間に含まれるキャリア数に基づいて、波形を検出する。単位変調区間の波形が#1logic“00”〜logic“11”のいずれの波形に対応しているかを順次判別していき、1フレーム分のデータを認識していく。データの書き込み時には、RFIDタグはこの認識されたデータをメモリに記憶させる。
【0007】
このような通信方式を用いた場合、以下に示す問題点があった。RFIDタグは通常、リーダ/ライタから送信されるキャリアによって電源を生成して、メモリ等に電源供給している。具体的には、リーダ/ライタのアンテナコイルから送信される信号のキャリアはRFIDタグに設けられたアンテナコイルに受信される。このRFIDタグのアンテナコイルに受信された信号を用いて電源が生成される。この電源を用いてメモリの書き換え等を行っている。従って、キャリアON時間はなるべく長くすることが望ましく、キャリアON時間が短いと電源が安定して供給されず、メモリへの書き込みができないことがあった。
【0008】
特に11、00とデータが連続する場合、図6に示すように11区間から00の区間に切り替わる時には、1.18μsecの時間幅でキャリアOFF時間(A)、キャリアON時間(B)、キャリアOFF時間(C)が連続することになる。この場合、3.54μsecの間でその1/3の1.18μsecしかキャリアが送信されず、電源が安定して供給できなくなってしまう。このようなキャリアON時間の減少はRFIDリセットの原因となってしまう。もちろん、上述の変調用の波形は一例であるので11、00とデータが連続する場合にキャリアOFF時間が短くなるとは限らないが、変調用の波形の組み合わせによって、ある特定の2つのデータが連続するときに必ずキャリアON時間が短くなってしまうことになる。
【0009】
この問題点を解決するためには、変調用の波形を変えることが考えられる。例えば、logic“00”の波形のLとなる時間を後にする、あるいはlogic“11”の波形のLとなる時間を前にすることが考えられる。しかし、Lの位置が他の波形と重なった場合または近づいた場合は2ビットデータが誤認識されてしまう恐れがある。そのため、Lの位置を4種類の波形間である程度離す必要があり、理想的には単位変調区間の中でLレベルの位置を均等に配置することが望ましい。また、変調用波形のLの時間を短くすることが考えられるが、データの誤認識の観点から限界がある。さらに通信速度の観点から単位変調区間を短くした場合、キャリアON時間もさらに短くなってしまう。従って、従来の通信方法ではRFIDタグに安定して電源を供給することが困難であった。
【0010】
【特許文献1】
特開2002−208876号公報
【特許文献2】
特開2002−157568号公報
【特許文献3】
特開2002−366908号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
このように、従来の通信方法では、タグに安定して電源を供給できないという問題点があった。
【0012】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたもので、安定して電源を供給することができる非接触方式の通信方法及び通信システム並びに前記通信システムに用いられる外部装置及びRFIDタグを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明にかかる通信システムは、アンテナを有するタグと前記タグにデータを送信する外部装置により非接触方式にてデータの通信が行われる通信方法であって、前記送信データをnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に、前記nビットのデータの値に対応した変調用波形を生成するステップと、キャリア信号を生成するステップと、前記変調用波形に基づいてキャリア信号を変調して、送信信号を生成するステップと、前記送信信号を前記タグに送信するステップと、前記タグが前記送信信号に基づいて電源を生成するステップとを備え、前記変調用波形を生成するステップでは前記nビットのデータが第1の値例えば、本実施の形態における00)であるかを判別し、前記第1の値である場合は第1の変調用波形(例えば、本実施の形態における#2logic“00”)又は第2の変調用波形(例えば、本実施の形態における#1logic“00”)が生成されるものである。これによりタグに電源を安定して供給することができる。
【0014】
上述の通信方法において、前記第1の値以外の値の直後にある第1の値では第2の変調用波形が生成されることが望ましい。これによりタグに電源を安定して供給することができる。
上述の通信方法の好適な実施例は、前記変調用波形が、HレベルとLレベルの2つのレベルを有し、前記nビットのデータの値により異なるタイミングでLレベルとなるものである。
【0015】
本発明にかかる通信方法は、上述の通信方法の前記送信信号において、前記変調用波形がLレベルに対応する間はキャリアが送信されないことを特徴とするものである。
【0016】
上述の通信方法において前記第1の変調用波形は、前記第1の値以外に対応する変調用波形と比べて、Lレベルとなるタイミングが最も早い波形であり、前記送信データにおいて前記第1の値以外の値の直後にある第1の値では前記第2の変調用波形が用いられることが望ましい。これによりタグに電源を安定して供給することができる。
【0017】
上述の通信方法において前記第2の変調用波形はLレベルとならない波形であることが望ましい。これによりタグに電源をより安定して供給することが出来る。
【0018】
上述の通信方法の好適な実施例はASK方式によって変調されるものである。
【0019】
本発明にかかる通信システムは、アンテナ(例えば、本実施の形態におけるアンテナコイル11)を有するタグ(例えば、本実施の形態におけるRFIDタグ10)と非接触方式により前記タグにデータを送信する外部装置(例えば、本実施の形態におけるリーダ/ライタ20)を備える通信システムであって、前記タグは前記外部装置から送信された信号に基づいて電源を生成する電源生成部(例えば、本実施の形態における電源生成回路12)と、前記電源生成部により生成された電源によって、前記データに基づいた情報を記憶する記憶部(例えば、本実施の形態におけるメモリ13)とを備え、前記外部装置は前記送信データをnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に、前記nビットのデータの値により異なるタイミングでLレベルとなる変調用波形を生成する変調用波形生成部(例えば、本実施の形態におけるコントローラ21)と、前記変調用波形に基づいて送信信号を生成する送信信号生成部(例えば、本実施の形態におけるトランシーバ/レシーバ22)と、前記送信信号を送信する送信部(例えば、本実施の形態におけるアンテナコイル23)とを備え、前記nビットのデータの値のうち第1の値には第1の変調用波形と第2の変調用波形を有する2種類以上の異なる変調用波形が対応付けられているものである。これによりタグに電源を安定して供給することができる。
【0020】
上述の通信システムの好適な実施例は前記タグがRFIDタグであるものである。
【0021】
上述の通信システムにおいて前記第1の変調用波形は、前記第1の値以外に対応する変調用波形と比べて、Lレベルとなるタイミングが最も早い波形であり、前記送信データにおいて前記第1の値以外の値の直後にある第1の値では前記第2の変調用波形が用いられることが望ましい。これによりタグに電源を安定して供給することができる。
【0022】
上述の通信システムにおいて、前記第2の変調用波形はLレベルとならない波形であることが望ましい。これによりタグに電源を安定して供給することができる。
【0023】
本発明にかかる外部装置は、信号を受信するアンテナを有し、前記アンテナにより受信された信号に基づいて電源を生成するRFIDタグにデータを送信する外部装置であって、送信データをnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に、前記nビットのデータの値に対応した変調用波形を生成する変調波形生成部と、前記変調用波形に基づいて送信信号を生成する送信信号生成部と、前記送信信号を送信する送信部とを備え、前記nビットのデータの値のうち第1の値であった場合において、前記変調波形生成部が第1の変調用波形又は第2の変調用波形を生成するものである。
【0024】
上述の外部装置において、前記第1の変調用波形は、前記第1の値以外に対応する変調用波形と比べて、Lレベルとなるタイミングが最も早い波形であり、前記送信データにおいて前記第1の値以外の値の直後にある第1の値では前記第2の変調用波形が用いられることが望ましい。
【0025】
本発明にかかるRFIDタグは、1フレームのデータがnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に前記nビットのデータの値に対応された変調用波形によって変調された信号を非接触方式により受信するRFIDタグであって、前記信号を受信する受信部と、前記受信された信号に基づいて電源を生成する電源生成部と、前記電源生成部によって電源が供給され、前記受信された信号に基づくデータを記憶するメモリと、前記信号を復調して、前記変調用波形を検出する復調部(例えば、本実施の形態におけるコントロール回路14)と、前記電源生成部によって生成された電源により駆動され、前記変調用波形に基づいたデータを前記メモリに記録する制御部とを備え、前記制御部が異なる2つの変調用波形を同じ値のデータであると認識するものである。これにより、電源供給を安定して行うことができる。
【0026】
上述のRFIDタグにおいて、前記異なる2つの変調用波形の一方がLレベルとなるタイミングが最も早い波形であることが望ましい。これにより、電源供給を安定して行うことができる。
【0027】
上述のRFIDタグにおいて、前記異なる2つの変調用波形の他方がLレベルとならない波形であることが望ましい。これにより、電源供給を安定して行うことができる。
【0028】
上述のRFIDタグの好適な実施例は、前記変調用波形がLレベルに対応する時に前記信号のキャリアがOFFとなり、前記復調部は前記信号のキャリアがOFFとなる時間により変調用波形を検出するものである。
【0029】
【発明の実施の形態】
発明の実施の形態1.
本実施の形態にかかるRFIDタグを用いた通信方法について説明する。図1はRFIDシステムの1例を示す構成図である。10はRFIDタグ、11はアンテナコイル、12は電源生成部、13はメモリ、14はコントロール回路、20はリーダ/ライタ、21はコントローラ、22はトランシーバ/レシーバ、23はアンテナコイル、30はホストである。
【0030】
RFIDタグ10とリーダ/ライタ20間ではアンテナコイル11及びアンテナコイル23により信号の送受信が行われ、データが通信される。ホスト30とリーダ/ライタ20はUSBケーブルやUARTケーブル等によって接続されている。RFIDタグ10からリーダ/ライタ20に読み出された情報はホスト30に送信される。ホスト30は通常のコンピュータや産業機器であり、リーダ/ライタ20から受信した情報を記憶できるようになっている。また、ホスト30はリーダ/ライタ20にRFIDタグ10に記憶された情報を書き換えるコマンドを送信できるようになっている。このコマンドに基づいて、リーダ/ライタ20は送信信号を生成、出力しRFIDタグ10に情報を書き込む。RFIDタグ10は例えば商品毎に取り付けられているため、ホスト30により商品管理等ができるようになっている。あるいはRFIDタグ10をICカードとして用いることにより、人間の識別等を行うことができる。このようにRFIDタグ10を用いた通信システムにより機械、在庫品又は生き物を識別したり、その動きをチェックをすることができるようになる。なお、RFIDタグ10には所定の情報が記憶され、この情報の書き換えが行われるデータキャリアを含むものとする。
【0031】
リーダ/ライタ20はコントローラ21、トランシーバ/レシーバ22及びアンテナコイル23を備えている。コントローラ21はASICなどのマイコンにより構成される。トランシーバ/レシーバ22は変調器及び復調器等により構成される。コントローラ21はホスト30からRFIDタグ10への書き込みコマンドを受けた場合、そのコマンド情報のデータに基づいて変調用の波形を生成する。トランシーバ/レシーバ22は変調用の波形に基づいてキャリアを変調して送信信号を生成し、アンテナコイル23を介して信号を出力する。RFIDタグ10のデータを読み込む時はアンテナコイル23により受信された信号をトランシーバ/レシーバ22が復調する。コントローラ21はこの復調された信号に基づいてデータを認識し、ホスト30に送信する。
【0032】
RFIDタグ10はアンテナコイル11、電源生成部12、メモリ13、コントロール回路14を備えている。RFIDタグ10には半導体チップ上にアンテナが形成されたCoil−On−Chipを用いている。さらに、電源生成部12、メモリ13、コントロール回路14を同じチップ上に形成することも可能である。アンテナコイル11は半導体チップ上に形成された渦巻状の導体層により形成されている。アンテナコイル11は半導体ウェハにリソグラフィー処理及び、蒸着、スパッタ、めっき処理等を施すことにより形成することができる。このアンテナコイル11は従来の製造方法と同様の方法により形成することができるため、詳細については説明を省略する。
【0033】
ホスト30からRFIDタグ10へのデータの書き込みコマンドが出された場合、リーダ/ライタ20により出力された信号はアンテナコイル11により受信される。アンテナコイル11は電源生成部12に接続されている。電源生成部12は受信された信号をAC/DCコンバータ等により整流し、この電流をメモリ13、コントロール回路14に供給する。これにより、メモリ13及びコントロール回路14を駆動するための電源が供給される。コントロール回路14はアンテナコイル11により受信された信号を復調してメモリ13に記憶させることができるようになっている。メモリ13はデータを保存するROM、RAM、EEPROM及び/又はFRAM等から構成される。このメモリに商品情報等に基づくデータが記憶される。コントロール回路14はCPU等により構成される。
【0034】
データの読み出し時には、RFIDタグ10からリーダ/ライタ20へ信号が送信される。この場合、メモリ13に記憶されている情報がコントロール回路14によって変調される。変調された信号はアンテナコイル11を介してリーダ/ライタ20に送信される。リーダ/ライタ20はアンテナコイル23により信号を受信し、その信号はトランシーバ/レシーバ22により復調される。復調された信号に基づいてコントローラ21はデータを認識し、ホスト30に送信する。
【0035】
RFIDタグ10を用いた通信システムにおいて送信されるデータは例えば、9バイトのコマンド情報及びエラーチェックに用いられる2バイトのCRCデータ等から構成されている。この1度に送受信されるデータを1フレームのデータとする。書き込み時には、このコマンド情報がRFIDタグに設けられたメモリに記憶される。この1フレームのデータは振幅変位変調(ASK変調)されて、送受信されている。
【0036】
書き込み時にリーダ/ライタ20のコントローラ21で生成される信号波形の一例を図2に示す。図2はキャリア信号を変調するための2ビットデータの値(00、01、10、11)に対応した変調用の波形を示す図である。従来の通信方法では2ビットのデータに対応した4種類の波形が用意されていたが、本実施の形態では5種類の変調用波形が用意されている。ここで、値が00のデータはlogic“00”の波形によって示されている。01、10、11のデータも同様にlogic“01”の波形、logic“10” の波形、logic“11”の波形によって表される。さらに00のデータを示す波形が予め2種類用意されている。この2つの波形を#1logic“00”の波形、#2logic“00”の波形とする。これらはそれぞれ異なる9.44μsecの波形により表されている。この時間を単位変調区間とする。この単位変調区間の波形を変調用波形とする。この変調用波形の種類によって、2ビットの信号が区別される。また、2ビットのデータが9.44μsecで送信されるため、1ビットデータの送信時間は4.72μsecとなる。
【0037】
例えば、#2logic“00”の変調用波形では最初の1.18μsecの間、波高(レベル)はH(High)となり、その次の1.18μsecの間はL(Low)となる。そして残りの5.9μsecはHとなる。図2に示すように振幅がLレベルとなっている時間は#2logic“00”、logic“01”、logic“10”、logic“11”のいずれの波形でも1.18μsecであるが、HからLに変わるタイミングがそれぞれ異なり、単位変調区間の始まりから1.18μsec、3.54μsec、5.90μsec、8.26μsecでそれぞれHレベルからLレベルになる。さらに#1logic“00”の変調用波形ではLとなる時間がなく、単位変調区間(9.44μsec)の間、Hレベルのままで一定である。この5つの波形により2ビットデータが表されている。送信される複数バイトのデータに応じて単位変調区間の波形が連続した波形が生成される。例えば、送信するデータが11、10である時、logic“11”の変調用波形とlogic“10”の変調用波形が連続することになる。このように変調用波形が連続した信号波形により、複数バイトからなる1フレーム分のデータを表している。RFIDタグではこの連続波形に基づいて1フレームのデータが区別されるため、複数バイトのデータの書き込みを行うことができる。
【0038】
リーダ/ライタ20からRFIDタグ10へのデータの書き込み時には、上述の変調用波形が連続する波形にキャリアを乗せた信号を送信している。キャリア信号にはクロック周波数(fc)が13.56MHzの正弦波が用いられている。従って、変調用波形によってキャリアが変調され、Lレベルとなっている間はキャリアが乗らず、Hとなっている間だけキャリアが乗る。この送受信される信号の出力は図2に示す様になる。図3はデータの値が11、00、00となっている部分の出力信号を示す図である。実際はこのような出力信号が1フレームのデータ分だけ生成される。図3の上には11、00、00のデータに基づく連続波形を示し、下には連続波形に13.56MHzのキャリアが乗った出力信号を示す。なお、実際は単位変調区間に128のキャリアが乗ることになるが、説明のため、キャリア数は実際の数より少なくしてある。Lの部分では、出力波形においてキャリアが切れる。この時間をキャリアOFF時間とする。Hレベルの部分では、キャリアが乗っている。この時間をキャリアON時間とする。キャリアON時間ではキャリアが送信され、キャリアOFF時間ではキャリアが送信されていないことになる。なお、この変調はトランシーバ/レシーバ22によって行われる。
【0039】
そして送信された信号に基づいてコントロール回路14はキャリアON時間(データエッジ間隔)を測り、その時間からデータ認識を行う。具体的にはキャリアON時間の長さはそれぞれのデータの順番により異なるため、1回のキャリアON時間に含まれるキャリア数(13.56MHzの正弦波の数)に基づいて、変調用波形を検出する。単位変調区間の波形が#1logic“00”〜logic“11”のいずれの波形に対応しているかを順次判別していき、1フレーム分のデータを認識していく。認識されたデータはメモリ13に記録される。コントロール回路14はこのようにして信号を復調し、データを認識している。
【0040】
本実施の形態ではキャリアON時間を長くするために、Hレベルで固定されLレベルとなることがない#1logic“00”の変調用波形を用いている。このような波形を用いてキャリアを乗せた場合、無変調の出力信号が生成される。この#1logic“00”の変調用波形は11、10、01のいずれかのデータの後に00のデータが連続する時に生成される。例えば11のデータの直後に00のデータがある場合、#1logic“00”の変調用波形が連続する。これにより図3に示すようになる。
【0041】
従来は11の波形から00の波形に切り替わる時に1.18μsecの間隔でレベルがL→H→Lと連続していたが、本実施の形態では#1logic“00”の変調用波形を用いているため、Lレベルの後に00のデータに対応する単位変調区間の間、Lレベルとならず、Hレベルのままとなる。このように単位変調区間の間、Hレベルのままである波形の場合もコントロール回路14は00のデータを認識するようになっている。本実施の形態では他のデータ(01、10、11)に対応する変調用波形(logic“01”、logic“10”、logic“11”)と比べてLレベルとなるタイミングが最も速い#2logic“00”とHレベルで固定されている#1logic“00”の2種類の波形を00のデータに対応させている。
これにより、Lレベルとなるタイミングが最も遅い11からLレベルとなるタイミングが最も早い00へデータが切り替わる時であっても、キャリアON時間を一定時間以上長くすることが出来る。logic“11”の変調用波形の後、#1logic“00”の変調用波形を連続させることでメモリへデータを記録するための電源を安定して供給することができる。さらにRFIDタグ10のリセットを防ぐことができる。
【0042】
一方、00のデータが2回以上連続する場合、2回目以降の波形として#2logic“00”の変調用波形を用いる。これにより図3に示す様に#1logic“00”の変調用波形の後には#2logic“00”の変調用波形が用いられることになる。もし、#2logic“00”を用いずに#1logic“00”の変調用波形のみで00が連続するデータを表した場合、#1logic“00”の変調用波形ではLとなる時間がないため、00のデータ数に対応する時間だけHレベルが連続することになる。この場合、キャリアON時間を長くすることはできるが、キャリアOFF時間がなくなってしまう。
【0043】
ところで、RFIDタグ10ではキャリア数によって、連続波形のどの部分が1つの単位変調区間に対応しているかを認識している。すなわち、ある一定の数(クロック周波数、単位変調区間及び変調用波形によって決まる数)のキャリアが来たら、その部分を1つのデータに対応する単位変調区間である認識している。しかし、このキャリア数は通信環境、通信距離等によってずれる恐れがあるため、キャリアOFF時間に基づいてキャリア数のずれを補正している。これにより、各データに対応する単位変調区間が正確に認識され、クロックとデータの整合性をとることができる。すなわち、各波形に対してキャリアがOFFとなるタイミングは予め記憶されているため、キャリアOFF時間によって、データ毎にクロックとデータの整合性をとることができる。このようにしてデータの誤認識を防いでいる。
【0044】
#1logic“00”の変調用波形のみで表した場合、キャリアOFF時間がないため、補正を行うことができずに、ずれが蓄積していってしまう。よって、00のデータが連続するとずれに蓄積によってデータが誤認識されてしまう。しかし、本実施の形態のように00のデータに対して2種類の波形を用いることによって、00のデータが連続した場合でもキャリアOFF時間が発生するので、ずれを補正することができる。これにより、クロックとデータの整合性をとることができる。
【0045】
このように本実施の形態では01、10、11のいずれかのデータから00のデータになった場合、#1logic“00”の変調用波形を生成する。そして00のデータが連続した場合は2回目以降のデータに対して#2logic“00”の変調用波形を生成する。そして#1logic“00”の変調用波形または#2logic“00”の変調用波形のいずれの波形でも00のデータと認識することができるようなっている。この2種類の波形の生成はリーダ/ライタ20のコントローラ21で行われる。以下にこの2種類の波形を生成するためのフローについて図4を用いて説明する。
【0046】
図4は変調用波形生成のためのフローチャートである。変調用波形の生成はRFIDタグ10への送信データに対して行われる。コントローラ21は2ビットのデータ毎にその値に基づいて変調用の波形を1フレーム分順次生成していく。まず、2ビットデータの値が00であるか否かを判別する。データが00でない場合、01、10、11のデータであるかが順次判別され、それぞれのデータに対応した波形(logic“01”、logic“10”又はlogic“11”の変調用波形)が生成される。さらにデータが00でない場合、00連続フラグを0にする。この00連続フラグにより、00が連続しているか否かの判別が行われる。
【0047】
データが00である場合、00連続フラグに基づいて00が連続しているか否かを判別する。直前のデータが01、10、11の場合、上述のようにフラグは1となっている。従って、フラグが0の時、00が連続していないと判別し、00無変調波形(#1logic“00”)を生成する。この時フラグを1にする。一方、直前のデータが00である場合は、前のデータの処理で上述のように00連続フラグが1となっているので00変調波形(#2logic“00”)が生成される。このようにして2種類の00データに対応する波形が判別され、生成される。
【0048】
00が連続したデータの後に、00以外のデータがきた場合は、上述のように00連続フラグが0とする。そのため、00以外のデータの後に再度00のデータが来た場合であっても直後の00のデータは00無変調波形(#1logic“00”)が生成される。2回目以降の00データでは00変調波形(#2logic“00”)が生成される。このような処理を繰り返して行うことにより、1フレームのデータに基づいた連続波形が生成できる。そしてこの連続波形に基づいて変調され、信号が送信される。
【0049】
このように本実施の形態では他の値に対応する変調用波形と比べて1番早いタイミングでLレベルとなる変調用波形に対応するデータ(00)には、さらにLがない波形を用意している。そして他のデータ(11、10、01)の後、そのデータ(00)が来た場合、Lとならない波形とすることで、キャリアを無変調とすることができ、全てのデータの組み合わせでキャリアONの時間を一定時間以上長くすることができる。また、そのデータ(00)が連続する時、2回目以降のデータはLとなる波形を用いる。これにより、クロックとデータの整合性をとることができ、データの誤認識を防止することができる。なお、連続する00データの1回目の00データにのみ、#1logic“00”の変調用波形を用いることとしたが、データの誤認識が起きない程度であれば、連続する00データの2回目までの00又は3回目までの00のように#1logic“00”の変調用波形の数を増やすことも可能である。さらには00のデータが連続する場合、#1logic“00”の変調用波形と#2logic“00”の変調用波形を交互に用いること等も可能である。これにより、RFIDタグ10に安定して電源を供給することができる。
【0050】
その他の実施の形態.
上述の実施の形態は好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。例えば、それぞれのデータに対応する波形のHの時間、Lの時間、変調用波形、単位変調区間、キャリア信号、クロック周波数、変調方式は1例であり、これに限られるものはない。また、2ビット毎に変調用波形が生成されるものに限られるものではなく、任意のnビット(nは1以上の整数)毎に変調用の波形を生成しても良い。さらに、上述の実施の形態では00のデータのみ2種類の波形を用意したが、これに限られるものではなく、01、11、11(nビットの場合はそれに対応する値)に2種類の波形を用意しても良い。もちろん、Lとなるタイミングが最も早い変調用波形に対応する値に2種類変調用波形を用意することが望ましい。そしてもう一方の変調用波形を無変調の波形とすることが望ましい。これにより、データを誤認識することなく、さらにデータが切り替わる時のキャリアOFF時間を短くすることができ電源供給を安定させることができる。
【0051】
さらには、ある特定の値の直後のみ、無変調波形を用いてもよい。例えば、Lとなるタイミングが最も遅い変調用波形に対応するデータ(実施の形態1における11)の直後のみ無変調波形とすることでも同様の効果を得ることが出来る。この場合、図4に示すフローでフラグを0とするタイミングを00ではないと判別した時でなく、10でないと判別した時にすればよい。また、用意する変調用波形は2種類に限らず3種類以上用意して、その中から変調用波形を選択しても良い。
【0052】
【発明の効果】
本発明によれば、安定して電源を供給することができる非接触方式による通信方式及び通信システム並びに前記通信システムに用いられる外部装置又はRFIDタグを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1にかかる通信システムを示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1にかかる通信システムにおいて、データを変調するための波形を示す図である。
【図3】本発明の実施の形態1にかかる通信システムにおいて、送信される信号を示す図である。
【図4】本発明の実施の形態1にかかる通信システムにおいて、変調用波形を生成するフローを示すフローチャートである。
【図5】従来の通信システムでデータを変調するための波形を示す図である。
【図6】従来の通信システムで送信される信号を示す図である。
【符号の説明】
10 RFIDタグ、11 アンテナコイル、12 電源生成部、
13 メモリ、14 コントロール回路、20 リーダ/ライタ
21 コントローラ、22 トランシーバ/レシーバ、23 アンテナコイル
30 ホスト
Claims (17)
- アンテナを有するタグと前記タグに送信データを送信する外部装置により非接触方式にてデータの通信が行われる通信方法であって、
前記送信データをnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に、前記nビットのデータの値に対応した変調用波形を生成するステップと、
キャリア信号を生成するステップと、
前記変調用波形に基づいてキャリア信号を変調して、送信信号を生成するステップと、
前記送信信号を前記タグに送信するステップと、
前記タグが前記送信信号に基づいて電源を生成するステップとを備え、
前記変調用波形を生成するステップでは前記nビットのデータが第1の値であるかを判別し、前記第1の値である場合には、第1の変調用波形及び第2の変調用波形の一方を選択的に生成する通信方法。 - 前記第1の値以外の値の直後にある第1の値では第2の変調用波形が生成される請求項1記載の通信方法。
- 前記変調用波形は、LレベルとHレベルの2つのレベルを有し、前記nビットのデータの値により異なるタイミングでLレベルとなることを特徴とする請求項1又は2記載の通信方法。
- 前記送信信号において、前記変調用波形がLレベルに対応する間はキャリアが送信されないことを特徴とする請求項3記載の通信方法。
- 前記第1の変調用波形は、前記第1の値以外の値に対応する変調用波形と比べて、Lレベルとなるタイミングが最も早い波形であることを特徴とする請求項3又は4記載の通信方法。
- 前記第2の変調用波形はLレベルとならない波形であることを特徴とする請求項5記載の通信方法。
- ASK方式によって変調される請求項1乃至6いずれかに記載の通信方法。
- アンテナを有するタグと非接触方式により前記タグに送信データを送信する外部装置とを備える通信システムであって、
前記タグは前記外部装置から送信された信号に基づいて電源を生成する電源生成部と、
前記電源生成部により生成された電源によって、前記データに基づいた情報を記憶する記憶部とを備え、
前記外部装置は前記送信データをnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に、前記nビットのデータの値により異なるタイミングでLレベルとなる変調用波形を生成する変調用波形生成部と、
前記変調用波形に基づいて送信信号を生成する送信信号生成部と、
前記送信信号を前記タグに送信する送信部とを備え、
前記nビットのデータの値のうち第1の値には第1の変調用波形と第2の変調用波形を有する2種類以上の異なる変調用波形が対応付けられている通信システム。 - 前記タグがRFIDタグであることを特徴とする請求項8記載の通信システム。
- 前記第1の変調用波形は、前記第1の値以外の値に対応する変調用波形と比べて、Lレベルとなるタイミングが最も早い波形であり、
前記送信データにおいて前記第1の値以外の値の直後にある第1の値では前記第2の変調用波形が用いられる請求項8又は9記載の通信システム。 - 前記第2の変調用波形はLレベルとならない波形であることを特徴とする請求項10記載の通信システム。
- 信号を受信するアンテナを有し、前記アンテナにより受信された信号に基づいて電源を生成するRFIDタグにデータを送信する外部装置であって、
送信データをnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に、前記nビットのデータの値に対応した変調用波形を生成する変調波形生成部と、
前記変調用波形に基づいて送信信号を生成する送信信号生成部と、
前記送信信号を送信する送信部とを備え、
前記nビットのデータの値が第1の値であった場合において、前記変調波形生成部が第1の変調用波形及び第2の変調用波形の一方を選択的に生成する外部装置。 - 前記第1の変調用波形は、前記第1の値以外の値に対応する変調用波形と比べて、Lレベルとなるタイミングが最も早い波形であり、
前記送信データにおいて前記第1の値以外の値の直後にある第1の値では前記第2の変調用波形が用いられる請求項12記載の外部装置。 - 1フレームのデータがnビット(nは1以上の整数)のデータ毎に前記nビットのデータの値に対応された変調用波形によって変調された信号を非接触方式により受信するRFIDタグであって、
前記信号を受信する受信部と、
前記受信部で受信された信号に基づいて電源を生成する電源生成部と、
前記電源生成部によって電源が供給され、前記受信された信号に基づくデータを記憶する記憶部と、
前記信号を復調して、前記変調用波形を検出する復調部と、
前記電源生成部によって生成された電源により駆動され、前記変調用波形に基づいたデータを前記記憶部に記録する制御部とを備え
前記制御部が異なる2つの変調用波形を同じ第1の値のデータであると認識するRFIDタグ。 - 前記異なる2つの変調用波形の一方が、前記第1の値以外の値に対応する変調用波形と比べてLレベルとなるタイミングが最も早い波形であることを特徴とする請求項14記載のRFIDタグ。
- 前記異なる2つの変調用波形の他方がLレベルとならない波形であることを特徴とする請求項15記載のRFIDタグ。
- 前記変調用波形がLレベルに対応する時に前記信号のキャリアがOFFとなり、
前記復調部は前記信号のキャリアがOFFとなる時間により変調用波形を検出する請求項15又は16記載のRFIDタグ。
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